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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2011年03月15日21時48分掲載
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東日本大震災
地震から5日目 村上良太
地震から5日目を迎えた。テレビで解説する原子工学専門家の楽観的な言葉とは裏腹に、福島第一原発の状況は悪化していく。「これぐらいの放射線量では人体に影響はない」という言葉がテレビ画面で頻繁に飛び交う。
その言葉は福島で退避勧告を受けたり、放射能の測定を行う妊婦や母親たちの耳には不信や疑問を増すばかりだ。専門家たちは人体に危険があるなどと言ったら、人々のパニックや暴動が起きるとでも考えているような印象すらある。住民を軽視しているように見える。しかし、報道されている放射線量が正確な数値を示しているかどうか確かなことはわからない。またその疫学的な影響も簡単に結論できないのではなかろうか。安心とか、安全という言葉の根拠がどこにあるのかが問われているのである。
ここで思い出されるのはスピルバーグの映画「ジョーズ」である。サメが湾に入りこんで遊泳者を次々と襲った。浜辺は遊泳禁止となり、人々は海に近づかなくなる。市長や観光業者は夏のかき入れ時に観光収入が減るのを避けようと、事態の早期打開をもくろむ。サメの危険を過小評価し、小さなサメがつかまったら、「これで安全だ」と遊泳禁止を解除する。しかし、本当のサメは潜んでいた。映画ではロイ・シャイダーとリチャード・ドレイファスの超人的な活躍があったからサメを退治できた。
いたずらに恐れを煽るのも問題だ。しかし、福島の人々は「誰を信じたらいいのかわからない」と語っていた。関係者は原子炉で起きていることの説明を小出しにしているように感じられる。たとえば昨日、冷却機能が低下した福島第一原発2号機の状況に対して午後8時過ぎに東京電力の会見が行われた。その会見では2号機の危険はすでに去ったかのような説明だった。一旦下がっていた圧力容器内の水位は安定した、と伝えられたからだ。しかし、それから1時間後、2号機の水位があまり上昇していないと報じられた。それでは、会見時点で水位は上昇していたが、それからまた下がったのか。それとも会見時にはほんのわずか上昇傾向を示していただけだったのか。
安心させておいて、後から後から悪い事が現実化していく。その2号機では今日、格納容器の一部である圧力抑制室が破損した、と報じられた。しかし、専門家は圧力抑制室が破損しても、放射性物質の飛散はそれほど深刻ではない、と説明した。それまでは建屋が爆発しても中の格納容器が無事なら安全だと説明していた。「安心」「安全」という言葉がむしろ、不信感を募らせていく。
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