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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2015年08月23日12時25分掲載
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安倍政権を検証する
「知性的」って、どういうこと?
安倍首相は、かつて自著「美しい国へ」で、映画「ALWAYS三丁目の夕日」を絶賛し、「いまの時代に忘れられがちな家族の情愛や、人と人とのあたたかいつながりが、世代を超え、時代を超えて見るものに訴えかけてきた」と書いている。 一見、まとも。しかし、彼は、昭和33年には4歳、その時代の庶民感情を知らないはずである。まして彼は、父方の祖父に衆議院議員の安倍寛、母方の祖父に妖怪と呼ばれた岸信介、大叔父に佐藤栄作という政治家一族の次男坊であり、庶民生活にリアリティなど持てない。だから彼は、この文章の直後に、高度経済成長期の庶民の生活を愛国心につなげ、あたかも愛国心が高度経済成長期の日本人の心性であったかのように語って憚らない。虚言、もしくは彼の勝手な妄想である。
下町で下世話に育った小生からすれば、オリンピックで日本選手を応援したからと言って、高度経済成長期の庶民感情は彼の言う愛国心などとは全く別のところにあった。インフレに追いつかないからもっと給料を、戦前からの前近代的な軛ではなくもっと自由な幸せを! 安倍首相の知性は現実に根差さない、観念的なものである。彼は自分が知らないということを認められない、認めたくない、下町風に言うと「知ったかぶり」の人である。ソクラテス先生なら大目玉だろう。だから、リアリティが無い、あり得そうもない戦闘場面や戦場からの避難場面を想定(夢想)し、そこに自衛隊の活動、「切れ目のない安全保障法制が必要である」などと考えるのだと思われる。一国の宰相として恐ろしすぎる。 〔※上記については、日本の反知性主義(晶文社)所収の「戦後70年の自虐と自慢」(平川克美)から論旨を模倣した。パクリである。平川先生、ごめんなさい。〕
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手元にいろんな退職者の会から資料が送られてきた。「国公退職連ニュース」(発行:国公退職者の会連合会)、「裁退連通信」(発行:裁判所退職者の会全国連合会)、「東京家裁退職者の会ニュース」(発行:東京家裁4の会)などである。ツラツラ目を通してみる。 退職者の会であるから、名所にお花見に行ったり、国内の世界遺産を訪ねたり等の報告があり、江東区にある「東京大空襲・戦災資料センター」への見学会が予定されたりして楽しそうで、かつ勉強になりそうである。 しかし、会員相互の懇親、お楽しみ報告だけではない。「国公退職連ニュース」には、マクロ経済スライドによる年金額の調整(実質年金額は今後30年余、目減りを続けることになる)、介護保険・医療制度の改悪(介護難民を多数生み出す可能性がある)等の記事があり、「裁退連通信」には沖縄裁判所退職者の会からの現地レポート『辺野古に基地は許さない』が載っている。いずれも硬派ながら、歴史的経緯をふまえ、現在の問題点を的確に描き出し、行動参加を訴えている。うーん、賢くて立派。沖縄まで行きたくなっちゃう。 加えて、裁判所退職者の会全国連合会の在京近県学習会「社会保障大改悪の安倍暴走政治予算が成立=年金はどうなる?=」が呼びかけられている。講師の小林赫子さんは、家裁調査官の大先輩で、特に家事事件を長年担当しておられ、教えを乞うた人は多い。 それだけではない。小林さんは長年、全司法の共済組合運営委員も務められた。冗談でなく、当初は共済組合の理解が十分でなかった裁判所当局に、共済組合とは何かを、その歴史的経緯と意義を教え導いた方々の一人である。温厚で、気取りのない、市井のおば様であるが、現実に即した知性の持ち主であり、正真正銘の生き字引なのである。 裁判所で働く若い人に伝えておきたいが、現在の産前・産後休暇制度や育児休業制度は、お上が与えてくれたものではない。つい40年前まで、女性は出産前日まで勤務させられていたのである。戦後、国公女性協(旧婦人協)、とりわけ全司法労働組合女性部(旧婦人部)が産前・産後休暇制度を提案し、中心となって要求を組織し、制度をつくらせた。その後、休暇期間が徐々に延長され、育児休業制度もつくられた。こうしたことも小林さんは良くご存じのはずである。退職者の会の学習会であり、現役の職員は参加できないが、是非どこかで小林さんの教えを乞いたいと思う。
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さて、知性はどのように使うべきか。安倍さんのように?それとも小林さんのように?言うまでもないだろう。現実を良くするように、現実に根差して、知性は使われるべきである。 ところで、退職者の会の資料の中に一句見つけた。「妖怪の復権狙うか孫総理」(泉さん作)。今日の名句としたい。(伊藤一二三)
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