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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2018年09月08日10時04分掲載
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労働問題
<武建一語り下ろし>関生型労働運動とは何か(2)日本の社会・経済の民主化をめざす
なぜでこんなに関生に攻撃が集中しているのか。それは関生53年の闘いの歴史のなかにあります。関生の闘いの歴史をしっかりと総括しなければならない。関生型労働運動の特徴と本質を簡潔に紹介します。(構成:大野和興)
2、日本の社会・経済の民主化をめざす
■日本の社会・経済の民主化をめざす
まず背景にある社会の状況ですが、社会が急速に壊れています。その背後にあるのは労働現場の劣悪化です。労働者の働く権利、自身と家族が命とくらしを再生産する権利が奪われてしまっている。働く若者の半分以上が非正規で、先の見通しが立たない状況に追いやられています。働くものをこうした状況に追いやった原因は、もちろん政府の政策もありますが、労働組合の弱体化です。この社会の当たり前のくらしから引き剥がされようとしている人びとのよりどころとしての労働組合の姿がさっぱり見えない。働くものが平和にゆったりと生きていくための要求を掲げ、憲法で保障された人権、生存権を実現する労働組合をどう打ち立てるか、今年設立50年を迎えた私たち連帯労組関西生コン支部は、三つの原則で運動を積み上げてきました。
一つは、労働者どうしが競争をしない、ということです。そのことを労働者として確認するとともに、競争しないで済む仕組みをつくった。同じ業種、産業で働いている労働者の最低賃金制度を実現すると同時に、評価制度を排して一切の差別を認めない「同一労働同一賃金」としました。年功序列もありません。そして賃金水準は、本人と家族が健康で文化的な生活できることを基準に決める。これは、資本が振りかざす生産性向上の論理を打ち破ることでもあります。われわれ関西生コン支部は産業別組織として正規も非正規も一緒の単一組合であり、賃金は企業の大小を問わず、産業別賃金として一本の統一賃金です。
二つは、産業別雇用制度を実現したことです。企業との間で優先雇用協定を結び、正規雇用も日々雇用(非正規)も労働組合が推薦する人だけを雇用するという制度です。生コンクリートは鮮魚と同じ生ものなのです。一定の時間が経つと使いものにならなくなる。その都度仕事があったりなかったりしますから、企業はその都度使い捨てできる雇用形態をとりたいし、下請けにもそれを強要して安く買いたたく。そうしたことをさせない仕組みをつくったのです。ダンプ業者などの工場への出入り権も労働組合が確保しています。資本家は放っておくとコスト削減のために出入り業者をあの手この手で競争させる。競争させない仕組みをつくりことで、出入り業者を含め雇用や生活、労働環境が安定します。日々雇用についていえば、生ものを扱いますからどうしても日々の仕事が発生するのですが、その割合を年々縮小させています。
三つは、経済・産業構造の民主化です。日本の経済構造は重層的下請け構造です。一握りの独占企業が中小企業を分断支配し、それが多重多層につながっています。この構造にくさびを打ちこまない限り、問題は根本的に解決しません。生コン産業でいえばセメント独占とゼネコンに業界は支配されて、単価の値下げと原料であるセメント価格の値上げを強要される。業界側は過当競争でそれに応じざるを得ない。その結果が、規定より多くの水を加えたシャブコンの発生で、非常に脆く、災害時の崩落の原因にもなっています。この問題は単に業界内部だけでなく、消費者・生活者の問題でもあるのです。そこで私たちは業界の経営者に働きかけて、事業協同組合を作ってもらいました。そして事業協同組合と労働組合が一緒になってセメント資本やゼネコンと交渉し、適正価格を実現する。次に、中小企業経営者と私たち労働組合が集団交渉し双方は成り立つようにパイを分配する。 中小企業に対する私たちの姿勢は「一面競争・一面闘争」です。不当労働行為、解雇、人権侵害、賃金抑制などには断固闘いますが、大企業の収奪に対しては一緒に闘うという意味です。事業協同組合に対しては、労働組合として企業同士の競争を抑制するための方針を提案し、実行しています。共同受注、共同販売、シェア運営の三つです。シェア運営というのは、シェアをひとり占め留守企業が出ないよう不均衡が出たら調整する仕組みのことです。業界での力は圧倒的に元請けの大企業にありますが、労働組合がストライキを武器に独占と闘うことで中小企業も元請けと対等に渡り合えるのです。2010年、関西生コン支部は大手ゼネコンを相手に4ヵ月半にわたるストライキを行うなど、私たちはいつでもストを打てる体制を確保しています。
■中小企業とは“一面闘争一面共闘”
それはひとつは、産業別労働組合の機能を生かして、集団交渉をし、その集団交渉の中で個別の会社を対象にするだけではなくて、大企業の収奪をたたかうということで、協同組合と協力連携して結果を出しているわけです。例えばセメントはこの間トン当たり5000円値上げしようとしたけれども、協同組合が窓口になってセメントの値上げを完全にストップしています。これはわれ我々の政策的な提起の勝利なのです。ゼネコンに対しては適正な価格ということでストをしてあげている。大企業の収奪と闘うという産業政策が、実に見える形で中小企業の経営安定の源泉になっている。
中小企業との対応につては、二面性があると考えています。搾取する面と収奪される面がある、搾取する中小企業とは断固として戦うが、大企業に収奪されていることに対しては“一面闘争一面共闘”という形でともに戦っていく。そういう形がこの間進んできて、近畿1府4年が安定してきたわけです。また、経営者と一緒になった組合総研を設立したりもした。ここでは労使がいssh0になった学習会を定期的にやっている。一緒になってのマイスターも9年間も継続sてやっている。労働学校にも経営者は参加している。1年1回の500人を上回る決起集会を労使で一緒にあるわけです。歴史教養ツアーと称して、40人を超研修ツアーをやる。過去から現在を見直して、未来の展望が開けるように。中諸企業とのれ連携が大変進んでいるわけです。権力は、この産業別の闘いをつぶさないと日本の中小零細企業において労働組合との連携関係が進み、経済の民主化だけでなく社会の民主化につながっていきかねない、そういう恐れが彼らには強く流れている。
また、経済闘争を頑張っているわけですから、年間所得850万をとっている。125日に休日、職場の自由が確保されている、優先雇用協定はどこにもないです、日雇いにしろ本勤労働者でも労働組合の推薦がなければ雇用してはならないという制度です。こういうことが定着している。彼らにしてみれば、この機会にこういう制度をはく奪したい。それを徐々にやろうとしている。そういう狙いがあるのです。
我々は、経済闘争だけでなく政治闘争をやるわけです。ベトナム侵略戦争反対で解雇されがら戦った歴史がある。イラク戦争でもストをやった。共謀罪、戦争法案でもストをやった。政治闘争をしっかりと闘っている。もう一つは思想闘争です。物事の本質を射ることができる人を育てる。労働者だけでなく経営者も含めてです。これはヨーロッパでは普通のことですが、この国では特別ななこととみられる。こういう運動を追求すれば、中小零細企業と、そこで働く労働者の地位を向上できる。 こういう運動をこの53年間、貫いてきたから権力がすごい勢いで攻撃してくるのです。
武建一(たけ・けんいち 連帯労組関西地区生コン支部委員長)
(季刊『変革のアソシエ』33号から)
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