タイはグリホサートなど3農薬の年内禁止に向かっている。タイの環境NGOや消費者団体などが求めてきたグリホサートなど危険3農薬の禁止に関し、政府、輸入業者、農家、消費者からなる作業部会は10月7日、12月1日からの禁止について満場一致で合意した。最終的には、全面的な禁止に抵抗してきた国家有害物質委員会の決定に委ねられているが、禁止決定は楽観視されているという。この禁止へ向けた決定は、タイの市民によるキャンペーンの成果。グリホサート禁止は、東南アジアでは今年3月のベトナムに続くもの。(有機農業ニュースクリップ)
正式な禁止の決定には国家有害物質委員会の同意が必要であるが、産業大臣は、同省工業担当幹部が議長を務める国家有害物質委員会は、この禁止案には抵抗しないと述べたという。正式に決定されれば、タイでは12月1日以降、グリホサートなど3農薬の所有、流通、輸入および製造は禁止されることになるという。
この3農薬の禁止については、禁止の決定権を握る国家有害物質委員会は条件付で禁止を回避しようとしてきた。農業・協同組合省(以下、農業省)は大臣が同様の立場であり、一方、副大臣が世論を背景に禁止をリードしていたという。一時は、情報が上がってこないという愚痴が報じられるなど、 農業省内での対立が明らかになっていた。政府内では保健大臣が禁止支持の立場を表明するなど、政府内での対立も明らかになっていた。
10月7日の作業部会では、副大臣を除き全面的な禁止に反対してきた農業省の農薬規制担当局長の対応が注目されていたが、禁止は農業副大臣と副首相兼公衆衛生大臣の政策に沿ったものであり、危険が明らかであり賛成票を投じると述べたという。
タイの環境NGOや消費者団体などは、グリホサート、パラコート(除草剤)、クロルピリホス(有機リン系殺虫剤)の3農薬を危険であるとしてその禁止を求めてキャンペーンを展開してきたという。こうした世論を受けて、農業省のマナニャ副大臣は8月9日、既に6月以降新たな許可を停止し、見直しが行われており、年内の禁止を確約すると語ったと報じられていた。
タイ農薬行動ネットワークによれば、グリホサートなど3農薬の禁止を求めキャンペーンを展開してきた環境NGOや消費者団体などは9月10日、マナニャ副大臣に禁止を求める686団体による文書を提出していた。
・Bangkok Post, 2019-10-8 Panel votes for chemical ban https://www.bangkokpost.com/business/1766939/panel-votes-for-chemical-ban
・Thai PBS, 2019-8-10 Deputy Agriculture Minister promises to ban 3 herbicides this year https://www.thaipbsworld.com/deputy-agriculture-minister-promises-to-ban-3-herbicides-this-year/
・Thai PAN, 2019-9-10 https://www.thaipan.org/action/1183
日本はグリホサートを104剤、パラコートを2剤、クロルピリホスを7剤登録しているが、禁止を含む規制強化の動きは見えない。ようやく2021年に、グリホサートを優先的に再評価するというレベルで留まっている。
(参考) ・グリホサート関連年表 http://organic-newsclip.info/nouyaku/glyphosate-table.html
【関連記事】 ・オーストリア国民議会 EU初のグリホサート全面禁止法案を可決 http://organic-newsclip.info/log/2019/19070988-1.html
・農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示 http://organic-newsclip.info/log/2019/19091010-1.html
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