・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・市民活動
・核・原子力
・みる・よむ・きく
・国際
・農と食
・アジア
・反戦・平和
・入管
・欧州
・中国
・イスラエル/パレスチナ
・文化
・市民活動告知板
・人権/反差別/司法
・教育
・沖縄/日米安保
・難民
・医療/健康
・環境
・中東
・スポーツ
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年10月07日
・2024年10月06日
・2024年10月05日
・2024年10月04日
・2024年10月03日
・2024年10月02日
・2024年10月01日
・2024年09月30日
・2024年09月29日
・2024年09月28日
|
|
2024年09月07日22時22分掲載
無料記事
印刷用
核・原子力
【たんぽぽ舎発】「2年半遅れの六ヶ所再処理工場」「2年半遅れの東海第二原発」 いずれも稼働させてはならない理由 (上) 山崎久隆
8月17日(土)のNHKニュースと20日(火)のNHKニュースでは、2つの原子力施設が「そろって」2年以上完工が延期されることを報じた。
1.六ヶ所再処理工場が2年半延期
◎ 六ヶ所村の再処理工場は1993年に着工、当初は27年前の1997年に完成する計画で始まった。しかし度重なるトラブルで延期に次ぐ延期。 さらに東日本大震災により原子炉等規制法が改訂され、加えて基準地震動も、それまでの450ガルから700ガルへと引き上げられ、安全対策工事を行うための審査が長期にわたるなどの理由で、完工時期が不透明になっていた。
◎ 日本原燃はこれまで、2024年度のできるだけ早い時期(9月中)とする「目標」らしきものを掲げていたが、審査のために提出していた申請書約6万頁のうち約3100頁に誤りがあり、これではまともに審査はできないと、規制委から社内体制の見直しを命じられたのが2023年4月。 これほどの誤りが続出したのは、期限を必ず守れとの経営層から圧力が掛けられたことで、現場では資料のチェックもまともにしないままで提出したからだという。
その資料は、経営層も中身をチェックせず規制庁にそのまま提出していた。これで審査が進むと考えたのだとしたら、認識力に重大な欠陥があるとしか思えない。
◎ 結果として原燃は無駄な作業を積み重ね、審査が何も進まない状況を作った。そうした問題があることを指摘し、改革することができる社内体制もなかった。
これは、審査を通して運転開始にこぎ着けようと考える社員が ほとんどいないことを意味している。今のまま、操業もできないのに高額の給与が保証され、のらりくらりと仕事「らしきもの」をしていればよいとする感覚だ。
このような組織が、1日で原発1年分の放射性廃棄物を放出する再処理工場をこれから運転しようというのであるから、その恐ろしさは想像を絶する。 まともな組織が担っても危険な施設を、これだけ劣化した組織が運営するというのだ。 2年半後に稼働させていいと思っている人には、ぜひ、実態を知るために原燃の作った書類を見ていただきたい。
2.再処理工場の危険さを示す事実
◎ 原発の放射性物質は、使用済核燃料プール以外では、炉心に集中している。 したがって、運転中は圧力容器内の燃料を損傷させないように、これを防護することが最も重要となる。 そのため新規制基準では、航空機が故意に衝突することも前提とした対策として「特定重大事故等対処施設」(特重)まで準備することを定めている。
◎ 炉心の核燃料は、ペレット状に焼き固められており、ジルカロイ製の燃料被覆管(燃料棒)に入っている。 さらに厚さ15cm程度の圧力容器と厚さ4cmの鋼鉄製の格納容器があり、鉄筋コンクリート製の建屋がある。これを「5重の壁」と呼んで、強力な防護が施されていると宣伝する。
◎ 炉心溶融を引き起こしても、格納容器が損傷しなければ放射性物質の大量漏洩には至らないので炉心を冷却することができればいいとして 「特重」から冷却用水とポンプを駆動するための電力を供給することになっている。 仮に中央操作室が機能喪失しても「特重」によって冷却できれば、炉心溶融を回避できる可能性があり、故意に航空機が突っ込んできても放射性物質の大量漏洩を低減できるかもしれない。
◎ では、再処理工場には『特重」はあるのか。 まず、再処理工程では、燃料棒は切り刻まれ、ペレットで焼き固められていた放射性物質は硝酸で溶かされ、最初から溶液状つまり「溶けて」いる。 最初の2つの壁は、再処理工程の最初で消えている。圧力容器はなく、代わりに容器や配管に内蔵されているが、その肉厚は、高レベル放射性廃液を貯蔵する容器でも2cm程度しかない。
◎ 圧力容器のような頑丈なものではないのである。格納容器も存在しない。再処理工場の構造上、容器や配管に建屋の壁程度しかないのだ。 そのうえ、溶液状になった放射性物質は、どこかに集中しているのではなく配管や貯蔵タンク、あるいは工程のあちこちに分散している。 そのうえ、臨界事故を起こせば核爆発事故にもなる「プルトニウム」が分離されている。 すなわち、「ここを守りさえすればよい」という場所は存在しないのだ。
◎ これではどこかを冷却するとか、電力を送れば助かるという点が存在しないため、「特重」は新規制基準適合性審査でも要求されていない。よしんば、そうした施設を建ててみても意味はないだろう。 再処理工場に航空機が突入した場合、建屋は大規模に損壊し、その崩落した天井や航空機の機体、エンジン、或いは爆弾によって容器や配管類は損傷し、直ちに放射性物質が大量漏洩する。 再処理工場の場合は、過酷事故が発生すれば直ちに放射性物質の大量漏洩につながる。
(下)に続く。たんぽぽ舎メルマガ【TMM:No5078】から
(たんぽぽ舎共同代表)
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
|