これまで開発途上国への技能移転という名目で、実質的には海外からの労働力を得るために使われてきた外国人技能実習制度。働きながらOJTによる技能習熟を目指すとされてきたが、実際は低賃金かつ劣悪な環境下で、技能移転とはほど遠い単純労働を強いられる外国人労働者が多く、実態と建前が乖離する制度の在り方を問題視する声が上がり続けてきた。このような実態を踏まえ、今年6月、同制度に代わる育成就労制度の新設を盛り込んだ法律が国会審議を経て成立。関連法規を整備した後に、2027年から同制度の運用開始が予定されている。
技能実習生をとりまく現状と育成就労制度の影響などについて、在日ベトナム人支援に永く携わる「日越ともいき支援会」の吉水慈豊代表に尋ねた。
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(以下、Q=筆者、A=吉水代表)
Q:これまで、永く在日ベトナム人の支援に携わられてきたと思いますが、ここ数年の在日ベトナム人の方々の状況はどうですか。 A:コロナ禍の頃と比べると、在日ベトナム人からの相談件数は少なくなりました。そういった意味では多少は良くなってはいるのでしょうが、未だに年に1万件以上の相談が寄せられており、支援の手は、常に足りていない状況です。
Q:支援に携わる中で、最近特に印象に残っているケースとしては、どのようなものがありますか。 A:最近では、自宅で孤立出産したトナム人技能実習生からの相談が寄せられ、この技能実習生の支援を在ベトナム日本大使館の方と一緒に取り組んだ事例は、印象的でした。ここ数年、技能実習生が孤立出産して、生まれた赤ちゃんの死体が遺棄される事例が増えています。この事例では、幼い命を救うことができてホッとしました。
Q:このような技能実習生の孤立出産を減らすためには、どのような取組が必要だと思いますか。 A:制度の周知が必要だと思っています。制度上、妊娠・出産した技能実習生は実習期間を中断し、一度帰国した後に改めて実習を再開することが可能となっていますが、このような仕組みが実習生にあまり周知されていません。「帰国できない」と追い詰められることで、孤立出産に至るケースも多いため、一度帰国して家族に相談し、長期的な人生設計を考えてから、改めて来日するということも必要だと考えています。
Q:技能実習制度から育成就労制度に代わることで、外国籍の方々の労働環境は変わると思いますか。 A:育成就労制度の創設の際には、転籍(転職)要件の緩和に関する議論が主に交わされていましたが、本質的な論点は別にあります。実習生が転籍しなければならないような労働条件で働かせようとする企業が、派遣先に選ばれていることが問題なのです。実際に悪質な企業が派遣先にならないようにするための仕組み作りが必要ですが、育成就労制度の新設にあたって、実効性のある仕組みは設けられたとは思っていません。そのため、制度の新設によって少なくとも在日ベトナム人の労働環境を大きく改善させることは難しいと感じています。
===================================== 育成就労制度は、技能実習制度の下で頻発した人権侵害を踏まえた上で新設が検討された制度であるが、�犂波弔硫佑餌悗┐鵬瓩�ない″と指摘されるなど、同制度の創設により、外国人労働者に対する人権侵害が根本からなくなるとは、まだまだ言い難い。支援の現場の声に耳を傾けながら、外国籍の人々の人権に配慮した外国人受入政策が求められているといえる。
日越ともいき支援会ホームページhttps://nv-tomoiki.or.jp 吉水代表の著書「妊娠したら さようなら」https://nv-tomoiki.or.jp/news/event/20240917.html
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