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2026年07月23日00時01分掲載
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入管
ウィシュマさん国賠訴訟が結審 遺族、入管の責任問う判決求める
提訴から4年4カ月。名古屋入管に収容中に亡くなったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんの遺族が国に損害賠償を求めた裁判が7月22日、名古屋地裁で結審した。判決は12月11日に言い渡される。
この日、満席となった法廷で、妹のポールニマさんは、著しく衰弱した姉が「病院に持って行って」「点滴お願い」と訴えていた収容中の映像に触れ、涙で言葉を詰まらせながら、国と入管の責任を明らかにする判決を求めた。スリランカにいる母スリヤラタさんと妹ワヨミさんのメッセージも代理人によって読み上げられ、結審の日に遺族3人の訴えが裁判所に届けられた。
──「同じ思いを誰にも味わわせたくない」
ポールニマさんは、ウィシュマさんが亡くなってから5年4カ月が過ぎたことに触れ、「私は一日たりとも、姉のことを思わなかった日はありません」と語った。
ポールニマさんとワヨミさんは2021年5月、姉の死の真相を知るために来日した。ポールニマさんは、当初は国と入管から説明と謝罪を受け、すぐにスリランカへ帰れると思っており、その後も日本にとどまって4年4カ月にわたる裁判に向き合うことになるとは想像していなかったという。
陳述では、これまで法廷で上映された収容中の監視カメラ映像にも触れた。ウィシュマさんが「病院に持って行って」「点滴お願い」と入管職員に訴える場面を読み上げると、ポールニマさんは涙を流し、言葉を詰まらせた。
また、ポールニマさんは「同じ思いを誰にも味わわせたくない」とも語り、入管が姉の死について責任を認めないままでは、同じことが繰り返されると訴えた。その上で、「この裁判所には正義がある」と信じていると述べ、判決で入管の責任を明らかにするよう求めた。
──母と妹「なぜ命まで奪われたのか」
母スリヤラタさんとワヨミさんの連名のメッセージは、駒井知会弁護士が代読した。
メッセージでは、ウィシュマさんが困っている人に進んで手を差し伸べ、教師となった後は、自宅の庭を開放して学校に通えない子どもたちに勉強を教えていたことなどが紹介された。
また、スリヤラタさんが娘を日本へ留学させたことを今も悔やんでいることも記されていた。ウィシュマさんが在留期間を過ぎて日本に滞在したことについて「家族として、心からお詫びします」とする一方で、「どうして、ウィシュマは、こんなに残酷な形で命を奪われなければならなかったのでしょうか」と問い掛けた。
生きて帰ってきてさえくれれば、家族で過ちを受け止め、ともに立ち直り、その後の人生を歩むことができたはずだとし、最後に「生きることを諦めなかったウィシュマの人生に、justiceを与えてあげて下さい」と裁判官に訴えた。
──「助けるには十分な時間があった」
続いて児玉晃一弁護士が意見を述べた。結審を迎えるにあたり、国側が証拠として提出した約5時間分の監視カメラ映像を改めて見返し、「国に見殺しにされたんだということを、改めて強く感じた」と語った。
原告側は今回、ウィシュマさんが元気だった2018年の映像も証拠として提出した。児玉弁護士は、映像の中で楽しそうに踊る姿こそ「ウィシュマさんの本当の姿」であり、入管への収容から約6カ月後には「要介護の老人のような姿」に変わり果てていたと述べた。
また、入管が施設内では対応できない状態だと考えていたのであれば、仮放免を認め、外部で治療を受けさせることもできたはずだと指摘した。最初の仮放免申請を不許可とした際、入管内部で「一度、仮放免を不許可にして立場を理解させ、強く帰国説得する必要あり」と記されていたことにも触れ、「ウィシュマさんを助けるには、十分な時間があったはずだ」と述べた。
さらに、ウィシュマさんが最後には声を出すこともできない状態で亡くなったとして、裁判所に約5時間分の映像を改めて見返すよう求めた。
──実現しなかった入管職員らの証人尋問
この裁判では、収容中の診療に関わった医師への証人尋問などが行われた一方、原告側が求めていた当時の名古屋入管局長や職員、看護師らの証人尋問は実現しなかった。
閉廷後の記者会見で弁護団は、本来であればウィシュマさんの収容や医療対応に直接関わった入管職員らを証人として尋問し、なぜ外部医療につなげず、仮放免も認めなかったのかなど、入管の体制上の問題まで審理を尽くしてほしかったと振り返った。
一方で、裁判所はすでに提出された証拠だけでも国の責任を判断できると考え、追加の証人尋問を必要としなかった可能性もあるとの見方を示した。その上で、これだけ重要な証人を呼ばないまま原告側の請求が退けられることは「あってはならない」と強調し、判決では個々の医療対応だけでなく、入管の組織的な判断や制度上の問題にも踏み込んだ判断を求めた。
その後の報告会でポールニマさんは、死亡前の約2週間を記録した約295時間分の映像がすべて開示されていないことに不安を示した。一方で、国の責任を問い、現在も収容されている人に同じことが繰り返されないよう、入管の制度や体制の改善につながる判決を望むと語った。
国側は、収容中の医療対応に違法性はなく、死亡との因果関係も認められないとして、遺族側の請求を争っている。
判決は12月11日午後2時半、名古屋地裁で言い渡される。
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結審を前に名古屋地裁へ入るポールニマさん(中央)と弁護団、支援者ら=7月22日、名古屋地裁前
閉廷後の記者会見で思いを語るポールニマさん(左から2人目)=7月22日、名古屋市内


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