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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年02月15日03時56分掲載
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葬り去られるかアブグレイブのレイプの実態 米国で集団訴訟も
駐留米軍兵士によるイラク人収容者への性的虐待・暴行で、大きな問題となったバグダッド郊外の旧アブグレイブ刑務所。そのアブグレイブなどの収容所にいたイラク人女性の多くは、これまでその体験を語るのをかたくなに拒んできた。しかし、時間の経過と共に、その重い口を開く女性も出てきている。性的な辱め、自白の強要、拷問などの恐るべき実態の数々。彼女たちの心の傷はいまだに深い。密室の中で、女性収容者が、どのような扱いを受けたのか。その体験は、戦争の持つ非人間性の一断面を浮き彫りにしている。(ベリタ通信=江口惇)
米誌アメリカン・プロスペクトによると、バグダッド北方のサマラで2003年9月、米軍兵士らがセルワさん(55)の自宅を急襲し、警察署に連行した。駐留軍は、その4カ月前にも、ここを急襲し、セルワさんの夫でイラク商業省幹部だったサダンさんを連行していた。二度目の捜索に、彼女の娘が叫んだ。「なぜ、母を連行するの? 父を既に連れ去ったじゃないか」
一回目の捜索で自宅から多額の現金が見つかり、反政府勢力に資金提供をしていると疑われたのが原因だ。夫はともかく、妻のセルワさんは、まったくの民間人だった。
米軍の尋問官が、「どうして多額の金を持っているのか? 武装勢力について何か知っているか」と尋ねた。
「農場と不動産を持っているからだ」
「武装勢力については知らない」
セルワさんは、ティクリートの収容所に入れられた。汚物の焼却の仕事を割り当てられ、強烈な臭いで気を失ったことも。同年10月初め、アブグレイブに移された。同誌は、こうした犯罪を犯していない民間人の扱いは明らかにジュネーブ条約違反と、指摘している。
セルワさんは、アブグレイブで強制的に服を脱がされることがあったのかとの質問には、涙を浮かべながら「覚えていない」と、回答を拒んだ。
旧フセイン政権のヤシン副大統領の妹、ハデハ・ヤシンさん(51)は、03年8月逮捕された。副大統領の居場所はどこか、と尋問され、黒い大きな犬に吼えたてられた。「怖くて、気が狂いそうだった」。 アブグレイブで5カ月間拘束された。
ミハルさん(55)は04年2月逮捕され、隣人の元政府役人について尋問を受けた。駐留軍は、期待した回答が得られないのがわかると、頭巾をかぶせ、素足で鋭い石が転がる庭を歩かせた。協力しなければ、30年間刑務所に入れると脅された。その後、アブグレイブの独房に移された。
サンダスと名乗るイラク人女性が、アブグレイブにいた元女性収容者54人にインタビューしている。「アブグレイブにいた女性の多くは米軍兵士にレイプされたと思う」と話す。
アブグレイブに入居していた男性たちも、兵士の暴行を目撃している。サレハさん(42)は、「兵士が女性を暴行していた。彼女は私を見ていたが、助けることができなかった。彼女の目は死んでいた」
イラクでは、レイプは、一族の大きな恥辱とされ、被害者の女性が、身内から殺害されることもある。このためレイプの事実はなかなか表面化しない。また戦場での混乱から、事実確認は容易ではない。
駐留軍当局は、釈放された女性から、レイプの有無について追跡調査することはしていない。告発があれば、調査するとの受け身の姿勢のため、実態は闇の中だ。
04年4年にアブグレイブでの虐待事件が発覚した後、ここにいた42人の女性は解放された。その女性たちを含む被害者が、米国の左派系の弁護士グループの協力を得て、米国で集団訴訟を起こしている。弁護士たちは、米国の裁判で、なんらかの事実が特定されることを期待している。
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