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2007年07月26日14時28分掲載
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沖縄/日米安保
現場の作業員を殺人行為に追い詰めた権力の責任こそを問う 平良牧師が緊急声明
米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の環境現況調査(事前調査)に反対し、海中で抗議行動を行っていた際、機器設置作業員に酸素ボンベのバルブを閉められ生命の危機に陥った平良夏芽牧師(本紙既報)が26日、緊急声明「バルブ事件に関して」(後述)を発表した。平良牧師の声明は、事実関係を述べるとともに、海底では立場は違ってもダイバーどうしの思いやりが存在していたこと、今回の事件は作業に携わるダイバーをこうした危険な行為に追い込んだ防衛施設局にこそ責任があること、個人をいたずらに攻めることはしたくないこと、などが淡々と述べられている。(大野和興)
事件が起こったのは21日正午過ぎ。現場は現場は、辺野古漁港から約400メートルほど離れた海中だった。この海域では、那覇防衛施設局が米軍普天間飛行場移設に伴う新基地建設のために 2007年4月から環境現況調査を開始。この作業は来年10月まで続くとの計画が明らかになっている。5月18日(金)、19日(土)、20日(日)には海上自衛隊艦船を投入し、未明から調査機器設置作業を強権的に実施した。
7月21日には朝6:00前から5船団10隻の作業船が出て、作業を行っていた。これらの作業は2014年完成の方針のもとに強行されているもので、アセス法に依らない違法な事前調査であるとして、ヘリ基地反対協議会と平和市民連絡会の二つの市民団体は陸と海で阻止行動を続けている。
この日もリーフ内での作業を阻止しようと市民運動のダイバーが潜っていたところ、業者の作業ダイバーがハンマーで殴りつけ、蹴りつけ、マスクを引き剥がすという暴行を繰り返し、その中で、作業員1人がこちらのダイバーを羽交い締めにしたうえで、もう1人がボンベのバルブを締めたため息が出来ない状態で海上にも上がれないという事態が引き起こされた。
24日午後、市民団体がこの事件への抗議と謝罪を求めて那覇防衛施設局を訪ねた。これに対し施設局側は当初、「栓を閉めた事実はない」として要請を受け付けず、突っぱねた。交渉の結果、施設局の畠憲昭広報室長は抗議声明文だけを受理。そのさい畠室長は「証拠があるなら(保安庁に)提出してはっきりさせてからやるべきだ。事実関係がはっきりしたら話をうかがう」と語った。
この事件の後も施設局の作業は続き、26日には作業船7船団14隻が出てきた。市民団体は「こちらは船2隻、ゴムボート1隻、カヌ−5艇で阻止行動に向かっています」と26日朝8時45分に伝えてきた(ブログ「辺野古からの緊急情報」)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 緊急声明「バルブ事件に関して」
被害を訴えている平良夏芽です。多くの方々にご心配をいただいておりますが元気です。様々な情報が飛び交っておりますので、事実と、私の思いを公にしたいと思います。
ことは、7月21日(土)午後12時30分頃に起きました。順を追って説明します。パッシブ・ソナーという機材を海底に固定するための台座の杭の打ち直し作業が行われようとしていました。作業ダイバーたちがタンクを背負って海に入ったので、私もタンクを背負って潜りました。14リットルのタンクに満タン(200)を確認し、バルブを全開にしてから半回転戻すという基本操作をして潜りました。
皆さんに知っていただきたいのは、作業ダイバーが作業を強行する時もお互いの安全確認がなされていたということです。この日もダイバーのリーダーは、海底で何度も何度も私の安否を問うてきました。私が押しつぶされるたびに、私の目の前にOKサインを出して確認して来たのです。私のタンクがはずれた時に背負い直す手伝いをしてくれたのもダイバーのリーダーであり、急浮上した私を介助してくれたのもダイバーのリーダーです。
それゆえにエアーが止まって急浮上した時、私はバルブが閉められたとは夢にも思いませんでした。船上にあがって落ち着いた私は、作業ダイバーが乗っている船に阻止船を近づけてもらって「助けてくれてありがとう。エアーがゼロになってしまったみたい」と告げているぐらいです。
ダイバーがそんなことするはずがないという思いと、海底でかなり息が荒れていたのでエアーの消費が激しかったのだと判断した私は、原因を確かめることもせずにお礼を言いに行ったのです。
しかし一緒にいた仲間たちから「バルブをさわっていたようだが閉められていないか」と確認され、改めて確認してみたらバルブが閉まっており、エアーの残量も150もあったのです。船上の仲間たちはもちろんバルブをさわっていません。状況として作業ダイバーがさわったとしか言えないというのがはっきりと言える事実です。更にこれを補完する資料として映像があります。前日に購入したばかりの防水ビデオカメラに現場の映像が映っていますが、じっくりと見ないと分かりにくい映像です。
現在、ブログ等で出回ってしまっているくっきり写っている写真は、バルブが閉められて瞬間のものではありません。確かにバルブに手が伸びており、半回転ほど回っているようですが、閉めたとも言えますが開いているのを確認したとも言える映像です。ですから、この部分の映像や写真を現場写真として使用することは止めてください。関係のないダイバーを巻き込むことになります。
もう一つ大切なことは、辺野古の闘いは「相手との関係性を大事にして来た」ということです。基地建設計画が白紙撤回されたとき、作業をしていた人たちと酒を飲めるような、そんな阻止行動を目指してきました。現実は厳しいもので、なかなかそのようにはいきませんが、目指していたのはそのような関係性です。バルブを閉めた本人は、その責任を負わなければなりません。
しかし、必要以上にその個人を責めるのではなく、現場の作業員をそのような精神状態に追い込んでしまった権力にこそ、その矛先を向けて欲しいのです。
施設局は、これまで多くの怪我人を出してきました。気を失って救急搬送された仲間もいました。どんなに危険な状況が生じても、一切の責任を負わず、ノルマだけを業者に押しつけ続ける施設局こそが糾弾されるべきです。これが「防衛」という言葉を使っている人々の実態です。
現在は現場に責任者もおかず、すべての責任を業者だけに負わせる体制をとっています。全国の皆様、このことをこそ問うてください。絶対に許してはならないことです。お願いします。
壊れてしまった信頼関係を回復することは非常に困難です。しかし、この困難を克服しない限り本当の平和を創り出して行くことは不可能だと思っています。
基地建設に繋がる作業の強行がなされないように厳しく対峙しながら、個々人を追い込まない方法を模索しています。どうぞ現場の思いを理解し、ご協力をよろしくお願いいたします。
2007年7月26日 うふざと教会牧師 平和市民連絡会共同代表 平良夏芽
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「辺野古新基地建設に伴うアセス法違反の事前調査(環境現況調査)受注業者による危険行為に対する抗議と謝罪を要求する声明」
那覇防衛施設局は、2007年4月から新基地建設のための環境現況調査を開始した。これは2014年完成の方針の下、アセス法に依らない違法な事前調査である。 政府は5月18日(金)、19日(土)、20日(日)に自衛隊をも投入し、未明から調査機器設置作業を強権的に実施した。6月9日(土)、10日(日)にも継続作業を実施した。
それ以降、未設置の機器設置作業とそのメンテナンス、さらにサンゴのライン調査作業が継続されている。
私たちは非暴力による新基地建設阻止、違法な事前調査阻止行動を進めている。
7月21日(土)12時すぎ、辺野古の海で作業を止める行動の中、いであ(株)の作業員が海中で平良夏芽さんの空気ボンベのバルブを閉め、夏芽さんは窒息状態となり急浮上した。ボンベ内の空気は200(20MPs・メガパスカル)中50(5MPs)しか消費されておらず、明らかにバルブを故意に閉めた結果である。これは人命軽視の危険な暴力行為であり、絶対に許されるものではない。
那覇防衛施設局は前回のボーリング調査と違い、今回は現場に責任者を配置せず、事業受注業者の暴力行為を放置して来た中での、故意による人命軽視の暴力的危険行為である。
私たちは今回の危険行為に関し、いであ(株)と那覇防衛施設局に対し厳重に抗議し、謝罪を要求する。
また、ここに改めて基地押しつけを糾弾し、辺野古への新基地建設計画の白紙撤回を要求する。
2007年7月21日 ヘリ基地反対協・平和市民連絡会
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