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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2024年11月26日22時16分掲載
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農と食
自作農体制の創出と解体をめぐって(下)より早く、より大きく、より強く
◆より早く、より大きく、より強く
1950年代後半、朝鮮戦争という他国の戦争に便乗してこの国で経済成長が始まるとともに、村も農業も急速な変貌を遂げます。“より早く、より大きく”をめざして「農業改革」が進み、1980年代以降は、地球の果てまでを市場競争に巻き込むグローバリゼーションが進む中で、そこに“より強く”が加わりました。そんな価値観が横溢するなかで、小さな自作農が生き延びていけるはずがなかったのです。(大野和興)
この国の村と農業が大きく変わったのは1960年代以降です。鉄道、道路など物流の基盤づくりがはじまり、新幹線、高速道路が次々建設されました。エネルギーは石炭から石油に切り替えられ、炭鉱閉鎖と沿岸部の石油コンビナート造りが併行して進みます。
これらのことを成し遂げるには膨大な労働力がいります。農地改革で創られた零細な自作農群は、過剰労働力のプールでもありました。そうした過剰労働力を抱える農業という産業は生産性が低く、そこで生産される食料は割高になり、労働者の賃金引き上げにつながってしまう。労働者を低賃金に引き留めておくには低農産物価格が必須になると為政者や経済界は考えた。そこで出てきたのが近代化農業創設という政策目標でした。目標は農業の生産性向上と農村の人減らし。1961年に施行された農業基本法のもとで進められた農業近代化は、経済成長を農業の側から支える役割を担いました。政府補助金をつぎ込んで農地の区画を大きくし農業の、機械化・化学化、大規模化がを進められたのです。
◆新食料・農業・農村基本法は何を狙うか
1980年代になると、問題は一国ではおさまらなくなりました。経済のグローバル化の中で、それぞれの地域で農業内部の矛盾が爆発、農民の流動化がさらに激しくなります。1999年、農業基本法は食料・農業・農村基本法に衣替えします。1995年に発足したWTO(世界貿易機関)など世界のグローバル化の流れに即応した体制づくりという意味をもっていました。
しかしグローバル化の流れに即応するということは農業にとってみれば農産物が国際競争に組み込まれ、価格はとめどなく下落するということを意味しています。その結果、農業で生きていく見通しが立たなくなった中小規模農民は農業から離脱、この国の戦後社会の基盤をつくってきた自作農体制は崩壊過程に入っていきました。 そして21世紀、ウクライナ、中東の戦争危機、気候変動による生存の危機が加わり、世界に国家主義た台頭してきます。そうした状況に対応しようと、2024年通常国会で農と食に関する政策理念を定めた食料・農業・農村基本法を改定されました。1961年制定の農業基本法から数えて3番目の基本法とになります。いくつかの特徴を列記すると、
�’醒禄衢�・利用の規制緩和をいっそう進めて、農外資本を農業生産の主体に組み込み、巨大経営体をつくる。 ��農産物価格はその量と品質に応じて市場で決める。 ��AIと生命科学によるイノベーションで生産性を上げ、巨大経営体の生産を支える。
ここにはもはや独立自営の自作農は存在する余地はありません。さてどうするか。こうなると、単に農業の問題ではなくなります。社会全体のありようや経済の仕組み方を作り直す動きを、それぞれの場で始めるしかないだろうと思っています。 (了)
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