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2026年04月20日20時41分掲載
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コラム
牛とミサイル
山形県の置賜地域で、松坂牛と並ぶ有名ブランド牛、米沢牛を育てている友人がいる。コメと黒毛和種肥育の複合経営で、牛がひり出すウンコとおしっこで作った良質の堆肥で育てた稲はとても健康に育ち、彼が作ったつや姫やコシヒカリは日本一じゃないかと思うほど美味しい。飼育頭数を抑え、ていねいに育てた彼の牛肉の美味しさも格別だ。(大野和興)
彼は政府が進める農業の大規模化効率化には反対で、その路線には乗らず、中規模といわれる経営規模を保ちながら、耕種(稲作)と畜産(牛肥育)を有機的に結合させて(これをかつては有畜複合経営といったが、国の大規模・効率化路線のもとで、いまではほとんど死語となっている)、経営的にも自然との調和という面でも実績を上げ、ゆうゆうと百姓として生きている。
まだコロナがおさまっていなかったから、2023年頃だったと思う。彼の在所を訪ねたら、「自分が出した牛がセリに出るから、これから市場に行く。一緒に行かないか」というので、ふたつ返事で米沢市の食肉市場に連れて行ってもらった。
その日の上場頭数は確か五十頭前後だったと記憶しているが、興味をひかれたのは、上場頭数の中に沖縄で生まれ育った仔牛をこの地で育て肥育した牛が数頭いたことである。友人は米沢市の隣の山形県置賜郡白鷹町で百姓をしている。米沢を含む置賜一帯が米沢牛の産地で、庶民にはなかなか手が出ない高級牛肉が作られている。黒毛和種の肉の価値を決めるのは、もちろん飼育技術や餌などの要素もあるが、仔牛の素質も大きい。肉牛農民には仔牛を見る目が問われるのである。名だたる米沢牛の百姓に沖縄の仔牛が選ばれていることに感動した。
沖縄の仔牛は先島で生まれ育てられていることは知っていた。しかしそこでどのような繁殖経営か営まれ、それをどんな百姓が担っているのかは、勉強不足で知らなかった。黒牛の子取りはやまとでも山間地で小規模に営まれ、主に年寄りが担当し、手塩にかけて育てられる。先島でも同じように小規模で、ここでは女性が主役で営まれていることをこのあと知った。
人は逃げるが牛は残る
さて沖縄。先島では最先端の与那国島に地対空ミサイルと電子戦部隊、石垣島に地対艦ミサイルと地対空ミサイル、宮古島では同じく地対艦ミサイル・地対空ミサイルが配備され、実戦に対応する日米共同の実動訓練が年々規模を拡大して行われている。さらに奄美諸島まで含めると、奄美大島瀬戸内に地対艦・地対空ミサイル、勝浦に陸自第7地対艦ミサイル連隊が置かれ、種子島の隣沖の無人島、馬毛島は自衛隊基地の島となり米軍訓練拠点となっている。
南西シフトと呼ばれるこうした島ぐるみミサイル基地化のもとで起こっているのが、全島住民避難計画体制づくりだ。以下、その大まかな組み立てを報道されたニュースからまとめてみた。
・対象者は先島諸島の住民約11万人、観光客約1万人、計12万人。 ・避難先: 九州各県と山口県の32市町 ・輸送は 自衛隊・海上保安庁の船、民間フェリー・航空機を使用し、1日約2万人を輸送。 ・ 2027年末までに与那国島に地下シェルター。 ・ 2026年度中に実動対応を含めた避難訓練を実施。
台湾有事をあおり立てて軍事化を進める日本国家。その行き着く先がここから見えてくる。ミサイルを撃ち合う報復合戦が始まり、住民が真っ先に被害を受けることを前提に、政府は軍拡路線を推し進めているのである。その最先端か琉球弧である。
先島だけでなく、いま日本列島はいたるところにミサイルがおかれ、針ネズミのようになっている。列島丸ごと原発とミサイルの島といってもよい。ミサイル性能は中国大陸を射程におさめていて楽に届く。自衛の範囲を超えているのだ。今も続いている米国イスラエルが引き起こしたイラン戦争が明らかにしたことのひとつに、戦争に関わった軍事基地は攻撃されるという冷厳な事実がある。だから住民避難を打ち出したのだ、と政府はいうかもしれない。
だが、自分が生まれ育ち、くらしを築いてきた地を離れないと「避難」を拒否する人をどうするのか。放置するのか、拘束しても連れ出すのか。犬や猫や鶏や牛やヤギや豚といった、人びとくらしを共にしてきた仲間たちは避難の飛行機や船に乗ることはできるのか。 地震と津波で原発が破裂し、全住民が避難を余儀なくされた福島県の沿岸部で、やむなく牛舎につながれたまま放置された牛が餓死した光景が目に浮かんだ。知人の山形の女性獣医さんは、仲間に呼びかけて、福島に犬猫救出に出かけた。そんなことなどなかったことにして、戦争準備が国家によって進められている。
牛飼いの友人に、「牛にも避難する権利がある」という署名運動を仔牛市場と食肉市場の前に立ってやらないかと話したら、「そうだなぁ」と真剣に考えこんでいた。
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