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2016年03月22日13時57分掲載
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前田朗著『軍隊のない国家(27の国々と人びと)』を読む 根本行雄
憲法を改正したいと考えている人々の大半は、なによりも、憲法9条の「戦争放棄」をなくしたいと考えている。それを安倍自民党政権は、「解釈改憲」の手法を悪用し、国会で3分の2の議席をもっているあいだに実現しようとしている。前田朗は世界中の「軍隊のない国家」を約3年かけて歴訪した。そして、「軍隊をもたない国家」は27カ国あるという事実と、『国家は必ず軍隊を持っている』という通念が誤りであるということを明らかにした。
前回は、ルドルフ・ラメル著『政府による死(DEATH BY GOVERNMENT)』を紹介した。ラメルは、「軍隊は国民を守らない。むしろ、国民を殺すものだ」ということを歴史的データをもとにして論証していた。そして、前田朗も、「軍隊では平和はつくれな い。軍隊は国民を守らない。この言葉の意味は、軍隊は国民を守ろうとしても守れないということではありません。軍隊はそもそも国民を守らない。むしろ、まず国民を殺すものだということです。」と述べていることを紹介した。
今回は、前田朗著『軍隊のない国家(27の国々と人びと)』日本評論社(2008年刊)を紹介したい。 1946年、わたしたちは多くの人びとの犠牲によって、「平和憲法」と呼ばれる『日本国憲法』を手に入れた。そして、70年が経過した。
「日本政府は日本国憲法第9条を空文化してきた。半世紀以上も米軍駐留を続けて、米軍によるアジアでの戦争犯罪に協力してきた。軍需景気に便乗して高度成長を遂げてきた。戦争のおかげで経済発展を享受してきた。自衛隊を創設し、世界有数の軍事力を誇り、海外派兵も強行してきた。『第9条の歯止め』も次々と破壊して、いまや集団的自衛権まで公然と唱えるようになっている。」前田著 4ページ
自民党・安倍政権は、「解釈改憲」路線を暴走し続け、「国家機密法」を成立させ、「戦争法案」と呼ばれている法律を可決成立させた。とてもきな臭い時代がすでに到来している。なぜ、強行に、安倍晋三を代表とする保守反動的な人々は、「戦争法」を可決成立させたのか。それは彼らが近代国家についての観念を正しいものだと思い込んでおり、軍隊は国家にとって必要不可欠なものだと思い込んでいるからであり、国家は軍隊を持つのが当たり前だと思い込んでいるからだ。
前田はスイスの弁護士クリストフ・バルビーから、「軍隊のない国家」があると教えられる。世界には「軍隊のない国家」が27カ国あるという。前田は約3年かけて、これらの国ぐにを全て訪れ、調査し、観察し、報告してくれている。
前田によれば、「軍隊をなくした理由、あるいは軍隊なしで国家が存続している理由」には、さまざまなものがある。 もともと(長い間)軍隊を持っていない国がある。 軍隊が国民を殺害したために廃止した国がある。 外国軍によって占領されて軍隊が解体された国がある。 集団安全保障体制を結んだ国がある。 外国との自由連合協定下にある国がある。 非武装永世中立の国がある。 非核憲法をもつ国がある。
前田の著書(同書249〜250ページ)を参照して、まとめると、次のようになる。
第2次大戦以前に軍隊を保持していなかった国は、7カ国。 1960年代までに軍隊をもたなくなった国は、6カ国。 1970年代までに軍隊をもたなくなった国は、6カ国。 1980年代までに軍隊をもたなくなった国は、6カ国。 1990年代までに軍隊をもたなくなった国は、2カ国。
「バルビーは27カ国を掲げている。本書でも27カ国を掲げている。しかし、27という数に重要性があるわけではない。『国家は必ず軍隊を持っている』という通念の誤りを示すためには10カ国もあれば十分だ。」(8ページ)という思いで、前田は「軍隊のない国」めぐりを始めた。そして、「国連加盟国192カ国のうち25カ国が軍隊を持たないという事実そのものに大きな意味がある。『国家は軍隊を持つのが当たり前』という通念がまったく誤りであることを明白に実証したからである。」 (249ページ)という結論に至ったのである。
日本国憲法 第99条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と書かれている。 自民党・安倍政権は、「解釈改憲」を暴走し続けている。「国家機密法」を成立させ、「戦争法案」と呼ばれている法律を可決成立させた。安倍首相をはじめとする、彼らの行動は、明らかに憲法第99条に違反している。自民党・安倍政権は、「解釈改憲」ではなく、文字通りの「改憲」をめざしており、夏の参議院選挙において、絶対安定多数の議席数を確保しようと画策し、活動をしている。それに対して、私たちは自民党・安倍政権には議席を与えないよう活動をしていかなければならない。そして、「戦争法」を廃止し、憲法第9条を守り、それを活用していかなければならない。
「私たちの反戦平和運動は、実は悪法反対運動として組み立てられてきた。安保反対から、最近の教育基本法改悪反対、国民投票法反対に至るまで、私たちは半世紀にわたって反対運動に取り組んできた。悪法が次から次へとやってきたからである。もちろん悪法反対運動は必要だったし、正当だったと思う。しかし、悪法反対運動と平和運動は必ずしも同じではない。(中略)私たちは、悪法反対運動に取り組むことによって平和運動を闘っていると錯覚してこなかっただろうか。悪法反対運動は最大限うまくいっても現状維持しか獲得できないことに、気づかない振りをしてこなかっただろうか。(中略)憲法第九条を使って平和運動が一歩前に進むために、何をすることができるのだろうか。そのことを真剣に議論し、創意工夫を重ねることが大切だ。」(251〜252ページ)
この前田の意見に、ネモトは賛成である。 今年は、私たち一人ひとりが個性を発揮し、創意工夫をし、小さな力を結び合わせて、大きな力にしていかなければならない。対抗文化運動を育て上げていかなければならない。
【前田朗著『軍隊のない国家(27の国々と人びと)』】 日本評論社、2008年
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