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2026年03月09日20時34分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】柏崎刈羽原発6号機のトラブルはやまない 核物質防護規定に違反して文書持ち出し 山崎久隆
「偽りの改善と規制の死滅」現在、東電柏崎刈羽原発で起きていること を一言で表すならばこうなる。柏崎刈羽原発における「秘密文書の不適切管理」の発覚は、かつて日本中に衝撃を与えた同じ東電による核物質防護不備の再来である。しかし、当時の原子力規制委員会が下した「赤(最悪)」判定という厳し い姿勢は見る影もなく、今回は「白」といった軽微な評価として再稼働を 優先させている。この変節は、規制当局自らが安全の砦を放棄したことを意味する。
1.構造的共通点…病理としての「現場の形骸化」
2021年に「赤」判定を受けたIDカード不正利用や侵入検知設備の故障放置と、今回の秘密文書の違法持ち出しには、驚くほど共通する組織的 病理が隠れている。 そこでは「ルールより利便性」が優先されている。 かつては他人のカードで中央制御室へ入るという「便法」が常態化し、 今回は機密書類を鍵付き書庫に戻さないという「手抜き」が常態化して いた。 これらは監視機能の劣化という問題もある。どちらも機密を重視しなけ ればならない「核物質防護担当」という、最も厳格であるべき人物で発生 している。 16人もの同僚にメールで送信していたということから上司が異常に気 づきながら、あるいは自らも加担して黙認する土壌が全く改善されて いない。 ここにあるのは形骸化した「安全文化」つまり、形式さえ守れない人々 が管理している原発の姿である。 東電は過去の改善報告書で「心理的安全性の確保」や「核物質防護の意 識向上」を誓ったが、実態は単なる作文であり、現場の行動原理に対して は1ミリも浸透していない。
2.規制側の問題…なぜ「赤」判定ではないのか
かつて規制委は、複数の防護機能が長期間喪失していたことを重く 見て、4段階で最悪の「赤(重要度高)」を付け事実上の運転停止命令を 出した。 しかし、今回の秘密文書の違法取り扱いに対し、規制当局が下そうとし ている評価は極めて甘い。 秘密文書、特に核物質防護に関わる情報は、核テロに直結する重大事案 である。 これが無造作に放置されていたことは、防護網が内側から破られていた ことを意味する。 物理的なセンサーが壊れていること(過去の赤判定)と、守るべき情報 が晒されていること(今回の事案)に、安全上の軽重の差など存在しない。 にもかかわらず判定を一段階以上下げているのは、判定基準を「安全の 確保、遵法意識の確立」から「工程(再稼働)最優先、安全の確保は 二の次」へとすり替えたからに他ならない。
3.規制当局の「崩壊」稼働優先の免罪符
最も許しがたいのは、規制委と規制庁が「追加検査は稼働しながら 行う」という姿勢を鮮明にしていることだ。 「赤」判定を出した当時は、原発の安全管理に責任を有するという立場 が多少なりとも機能していたが、GX法の制定に伴い、「運転は経産省の 所管で、それを妨害しない程度に安全規制」へと位置付けが低下し、この 程度のことで運転を止めさせるなとの推進側・経産省による圧力に負け、 安全優先という任務を果たさなくなった。 東電を厳しく叱責し、再稼働の門を閉ざすことで「規制の独立性」を誇 示した規制李の姿はもはやなく、一度再稼働のゴーサインを出して しまった現在、自らの判断ミスを認めたくない規制委は、不祥事を「軽微 なもの」として矮小化するバイアス(正常性バイアス)に陥っている。 原因究明が不十分なTIP(中性子計測装置)の不具合を「回路の 異常」とし、組織的なガバナンス欠如を「追加検査」という形だけの儀式 で済ませる。 これはもはや規制ではなく、東電の「不祥事もみ消し」の片棒を担ぐ 共犯関係である。
4.監視なき「核」の暴走を許すな
かつての「赤」判定は何だったのか。 あれが単なる「再稼働を遅らせるためのポーズ」にすぎなかったという のなら、日本の原子力規制は死んだも同然である。 秘密文書を管理できない組織に核燃料を扱う資格はなく、それを止めら れない規制当局に「安全」を語る資格はない。 過去の判定基準との整合性を問い直し、全ての不備が完全に解消される までの即時停止を改めて要求する。
5.規制委が用いている「解釈のレトリック」と恣意的運用
規制の劣化と判定基準の形骸化の流れは、次のようなロジックになる。 2021年の核物質防護不備において、規制委は「組織的な管理機能の 喪失」を理由に史上初の「赤」判定を下した。 しかし、現在進行中の秘密文書違法持ちだしにおいて、規制委は「安全 上の影響は限定的」として、稼働継続を前提とした「白(重要度:低〜 中)」の評価に抑え込んだ。
この判定基準のダブルスタンダードを解読すると以下の通り。
(1)判定引き下げのレトリック
「実効性」から「形式」への後退。規制委が評価を引き下げる際に用い る主な論理は、「多層防護(ディフェンス・イン・デプス)」の解釈変更で あり以下の通りである。 *2021年(赤判定時)の論理 「侵入検知センサーが機能せず、代替措置も不十分。これは防護の壁が 一枚も存在しない状態であり、核物質防護の根本的崩壊である」 *現在(評価引き下げの論理) 「秘密文書が机上に放置されていたとしても、中央制御室という『防護 区域(PA)』の内部での出来事であり、外部からの侵入者が即座にアクセ スできたわけではない。したがって、防護の最終ラインは維持されている」 *この論理の危険性 これは極めて危険である。核物質防護の根幹は「内部脅威(インサイ ダー)」対策にある。 中央制御室にアクセス可能な者が、機密情報を容易に取得し撮影できる 状態は、内部テロや情報の外部流出に対して無防備であることを意味する。 これを「限定的」と切り捨てるのは、防護の本質を知らない形式論に 過ぎない。
(2)追加検査の変質「再稼働の障壁」から「免罪符」へ
本来、原子力規制法に基づく追加検査(区分[4]など)は、原因が究明さ れ、改善が確認されるまで次のステップへ進ませないための 「ストッパー」であった。 しかし、現在の規制委の運用は以下の通り変質している。
(3)検査の同時並行運用
「運転中に検査を行うことで、実際の運用状況を確認できる」という名 目を立てている。 しかし、原子炉が起動している状態では、物理的な不備の検査は事実上 不可能であり、書類上の確認に終始せざるを得ない。
(4)「重大な違反」の定義の矮小化
規制委は近年、「直ちに安全に影響を及ぼす事態」でない限り、運転停 止を命じない姿勢だ。 制御棒の故障を「単一故障」と見なし、秘密文書放置を「管理ミス」と 矮小化することで、法的拘束力のある「命令」を回避し、行政指導レベル の「監視」に留めている。
(5)政治的圧力と「規制の虜」の再来
規制委が厳しい判定を避ける背景には、「電力需給逼迫」扇動やGX( グリーントランスフォーメーション)方針に伴う「再稼働への政治的期待」 の増大が影を落としている。 (初出:2026年2月27日たんぽぽ舎発行「金曜ビラ」)
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