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2024年03月06日



Writer

記者

村上良太( MURAKAMI Ryota)


岡山県生まれ。著書に『立ち上がる夜 <フランス左翼>探検記』(社会評論社)。フランスの評論誌Les Temps Modernes(現代)誌に寄稿。TVディレクター・監督として米、ロ、フランス、中国、台湾、トルコ、西サハラ、インドネシア、タイ、ヨルダン、ニュージーランド、ドイツ、キューバ、デンマーク、アルジェリア、ジンバブエ、フィリピン、ブラジルなど過去17ヵ国以上で取材。日本テレビでは報道部長賞2回。NHK、TBS、日本テレビ、読売テレビ、テレビ朝日、テレビ東京などで報道・ドキュメンタリー番組のディレクターをつとめてきた。近作にミンダナオ島で撮影したビデオ作品『甘いバナナの苦い現実』(監督:制作PARC)。2020年春、哲学者マチュー・ポット=ボンヌヴィルのエッセイ集『もう一度・・・やり直しのための思索』(社会評論社)を翻訳刊行。現在、大学院でフランス現代史を研究中。社会主義の理論を構想する月刊誌「科学的社会主義」にフランス現代政治について寄稿。




欧州
AFPSコミュニケ 「ガザの偉大な女性に対してフランスの内務大臣が出したひどい退去命令」
フランス・パレスチナ連帯協会(AFPS)は、フランスの内務大臣がマリアム・アブダカ氏に出した退去命令に対して、これ以上なく強い抗議をしています。マリアム・アブダカ氏は偉大なパレスチナ人の女性で、その取り組みは広く知られ、尊敬されています。 (2023/10/21)


みる・よむ・きく
ピエール・ロザンヴァロン著『良き統治 〜大統領制化する民主主義〜』 行政府の独走をいかに阻止するか?
フランスの歴史学者で政治学者でもあるピエール・ロザンヴァロンはコレージュ・ド・フランスで教鞭を執っているそうだが、彼が最近書き下ろしたのが浩瀚な『良き統治 〜大統領制化する民主主義〜』である。日本では2020年3月に翻訳が出て(6人で共訳している)、序文を宇野重規教授が記している。本書の骨子は、民主主義の危機についてであり、いかなる危機かと言えば、大統領の権力および行政府の権力が強くなり、独裁的になっている問題である。ロザンヴァロンは、このテーマを歴史を長期スパンで振り返り、フランス革命で当初は国会(立法)が最高の主権者の機関であり、政治の最高位に長らくあったはずなのに、今では行政府と位置が逆転しているのはなぜか?と追及している。そして、そこから、いかに打開できるかも提案しているのだ。(2023/10/20)


みる・よむ・きく
『民主主義の統治能力 日本・アメリカ・西欧〜その危機の検討〜』(サミュエル・P・ハンチントン&ミシェル・クロジエ&綿貫譲治、日米欧委員会編) 1975年に提言された新自由主義の起源
新自由主義の起源はいったい何だったのか?新自由主義の誕生を象徴するのが、1979年のサッチャー首相の登場や1981年のレーガン大統領の誕生である。一般には1980年代以後に先進諸国で政治体制に大きな変化が起きた。日本でも同様である。それは新自由主義と呼ばれ、規制緩和、小さな政府、グローバリゼーションなどの特徴がある。過去40年にわたって新自由主義の時代が日本ではほぼ一貫して続いた結果、貧富の格差が増大し、製造業の工場群の多くがアジアなどの海外に移転し、中流階級のボリュームが減少することになった。(2023/10/20)


みる・よむ・きく
武井彩佳著『歴史修正主義〜ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで』
2年前に出版された武井彩佳著『歴史修正主義〜ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで』は、歴史修正主義の歴史とその概念が丁寧に説明されている本で、極めて有益に思えました。私が今研究しているフランス現代史のテーマとも密につながっていまして、先日、ある歴史学会で私と同じ分野の研究をしている若い人もまた本書を参照していることを知りました。読まれているんだな、と感じた次第です。(2023/10/19)


コラム
右派保守政権による独裁制に向かうイスラエル この秋政府が提出する法案が分岐点
イスラエルは国連で定められたパレスチナの領土に不法に入植活動を続けてきたのですが、そんなイスラエルは民主国家であることを誇って来た国でもありました。とくに周囲の王室を持ち、君主制を維持するアラブ諸国との比較で、三権分立も残す国家という矜持があったはずです。ところが、そのイスラエルが建国75年目の今日、ついに三権分立が崩壊し、行政府の独裁制に向かいつつあります。その鍵はこの秋行われるとされる司法制度改革法案にあります。(2023/10/17)


コラム
今回の戦闘は、イスラエル政府・与党による司法制度骨抜きプロセスの最中の出来事だった
7月に法案が通ったイスラエル政府による司法制度改革は建国以来最大の民主主義の危機とされ、今年野党を中心に多くの市民が反対デモに繰り出したことは前回書きました。7月の段階では、あまりにも多くの市民の反対があったために、ネタニヤフ首相は野心の道半ばで妥協した法案にしてひとまずは国会を通したとされます。ニューヨークタイムズの9月13日の続報*によると、市民が最も危惧していた2つの部分、すなわち、1,最高裁の判断を国会の多数決でひっくり返せるという部分、および2,イスラエル政府が最高裁判事の任命に当たって大きな影響力を行使できるようにする、というこれらの部分は7月の段階では取り下げられていたとのこと。では、7月の段階で可決された司法改革案の問題点として何があったのか、と言えばニューヨークタイムズは次のように書いていました。(2023/10/17)


コラム
この夏のファッショ的司法改革への批判を忘却に追いやったイスラエルとハマスらとの戦闘
今回のハマスなどによるイスラエルへの攻撃と、イスラエルのガザに対する攻撃は夏の話題をすっかり忘れさせてしまったかに見える。それはイスラエル政府による司法改革で、多くの市民が抗議のデモを行った。その改革こそは司法の力を削ぎ、行政府の独裁を許してしまう憲法上の危機、民主主義の危機だったのである。日本で報じられたかどうかわからないが、世界的には大きく報道された*。イスラエルはただでさえ、一院制議会であるが、これはその建国から周辺諸国・諸勢力との戦闘を繰り返してきた歴史が語るように、慎重に国会の両院で議論を繰り返す時間を短縮する効力がある。(2023/10/17)


コラム
NHKは違憲ではないか 〜 NHKの料金徴収は認められるか?〜 参政権の保証のために情報へのアクセスは水や空気と同じ基本的権利
私は先日来、テレビのあり方について私なりの小論を続けて書いてきました。その骨子はテレビの報道が営利システムで行われることには問題があることと、本来非営利であるはずのNHKが視聴率を気にしたり政治権力を忖度したりして公平性と公共性を失っている現状です。そんな中で、私は提案を記しています。●提案・参政権を行使するためには国内と国外の情報が不可欠であり、その意味で国民は情報を得る権利がある。その情報は企業の営利で取捨選択されるべきものではなく、国民が政治について判断を下すうえで必要かどうかという選択の基準で行われるべきである。その意味で、情報へのアクセス権は水や空気へのアクセス権と同じである。(2023/10/16)


みる・よむ・きく
新自由主義の源流 『民主主義の統治能力』(サミュエル・P・ハンチントン&ミッシェル・クロジエ&綿貫譲治 =日米欧委員会編) 
まだ筆者が読んでいない段階で、紹介するのもなんですが、パリで私は知人の哲学者のパトリス・マニグリエ氏から新自由主義の源流になったレポートがあると2017年にインタビューの際に耳にしていました。それは日米欧委員会なる組織が新しい時代への提言としてまとめた『民主主義の統治能力』と題するもので、英語では『The Crisis of Democracy: Report on the Governability of Democracies to the Trilateral Commission』です。いつか必ず読もうと思っていたのですが、意外に身近なところにあったのです。翻訳までされていたんですね。私はどこかの資料館とかライブラリーで探さなくてはならないと思い込んでいました。(2023/10/15)


コラム
報道の冬の時代と、次のメディアの時代  〜「報道」限界集落化を克服する道〜
2012年末あるいは2013年初頭に始まった第二次安倍政権は、すでに1990年代のデフレスパイラルと2008年以後のリーマンショックのダブルパンチで追い詰められていたテレビの世界の調査報道番組あるいは報道番組の制作者・ディレクターたちにとどめの一撃となった。もちろん、今も活躍している人はいるとしても、10年前と比べると、あるいは20年前と比べると厚みがかなり減っていると思われる。私の身の回りだけでも、第二次安倍政権が始まる前からすでに、報道に半生を捧げてきたような先輩方たちが彼らの報道が金食い虫であることを理由に企業の窓際に追いやられたり、退職をしたりを余儀なくされていた。(2023/10/15)


コラム
テレビ報道と視聴率の問題  報道番組は営利とは切り離す必要がある
これは今さら言うまでもない問題と思いましたが、それでも書いておこうと思います。テレビの報道番組が、視聴率と深く関係していることであり、それが報道に悪しき影響を与えていることです。民放の報道枠で番組を作っていると、視聴率を取る番組を作ることにプライドを感じ、視聴率がむしろ良い番組を作る指標であると思うようになります。そして、視聴率至上主義はよくないと言えば、負け犬のように響いてしまうものです。しかし、実際のところ、視聴率が取れそうにないために、いくら重要なテーマであっても報道できないものがたくさんあります。さらに、報道できたとしても、それは問題が進展して多数の死者が出るまでに至ってようやく、ということが多いのです。多数の死者が出ると、話題になり視聴率につながるからです。(2023/10/14)


コラム
反共は「連合」組合員の総意なのだろうか?  〜ドイツ労働戦線(DAF)と産業報国会〜 
2021年に日刊ゲンダイは連合の芳野会長の野党共闘では共産党とは組めないという反共的言動について、このように書いていた。「立憲が共産党などと一緒に作り上げた『野党共闘』によって、自民党の現職幹事長らを小選挙区で落選に追い込んだのは紛れもない事実であり実績だ。芳野会長はそうした功績も否定しているわけで、『連合と共産党の考えが違う』のであれば、まずは連合組織内で共通認識を得る手続きを踏んだうえで、何がどう異なっているのかをきちんと説明し、違うのであれば両者ですり合わせる努力をするべき。それこそが熟成された民主主義というものだろう。」(2023/10/14)


国際
戦争に抗して考える  アリーヌ・パイエ(Aline Pailler ; ジャーナリスト)Penser contre la guerre
ハマスの攻撃による民間人の恐怖に直面して、私たちにできるのはイスラエル人とパレスチナ人の双方のために、民間人への攻撃を拒否すること。そして公正で尊厳ある平和を求める運動を、心に怒りを抱きつつ毅然と行うことのみだ。もちろん、民間人の殺害は文字通りどちらの側においても耐え難いものである!しかし、プロパガンダを良しと感じるような短絡は、私たちの思考を妨げ、当たり前に感じるような感情だけに私たちを縮減してしまう。フランソワ・オランド元大統領は10月9日、フランス・インテルで、反シオニズムを反ユダヤ主義と、さらにイスラエルの消滅を望む願望と同一視した。これは元大統領にふさわしくない発言だ。(2023/10/13)


検証・メディア
自民党連戦連勝の理由:テレビ局群による自民党護送船団方式
自民党が連戦連勝している理由には様々なものがありますが、前にも書きましたように政治に国民が関心を持たないようにするマスメディアの不作為があります。そして、さらに言えば、そこにはマスメディアが自民党を守る護送船団方式があると言っても過言ではありません。その象徴を最近の例で挙げると、2021年9月に行われた自民党総裁選です。この時はテレビでも演説会が中継され、河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子が候補者として登壇しました。この模様は、アメリカの大統領予備選とよく似た雰囲気で、当時は岸田氏への期待は自民党員だけでなく、安倍政権の強権的姿勢にうんざりしていた国民にとっても高まっていました。この選挙は、自民党員の選挙に過ぎず、国民の大半には投票権すらなかったにも関わらず、民主的選挙で首相が選ばれたかのような、一種の大統領選を感じさせるものでした。(2023/10/12)


検証・メディア
テレビにおける啓蒙と野蛮 〜テレビ改造論その2〜 地上波に地方自治の枠を作る 
テレビ改造論1で、現行のチャンネルを抜本的に改め、多数の社会運動を行うグループやNPOなどに時間ごとに託すことを提案しました。その中に、どうしても必要なものが地方自治を専門に伝える番組でしょう。つまりは、自分の暮らす街の問題を伝えると同時に、その解説を考えるためのものです。地方自治は民主主義の基本だと習ったことがありますが、そのような実感を私自身は持ったことがなかったばかりか、地方議会すら足を運んだことがありませんでした。これは私の怠慢ゆえですが、しかし、同時に地方自治についてあまりにも知る機会がないことも原因をなしていると思います。と言っても、地方議会にカメラを据えるだけではなく、地域における問題や課題を常日頃から取材して放送しておくものです。老朽化するインフラとか、学校の問題(いじめや教師の日常など)、商店街の活性化や野生動物との関係などなど、課題は地域によってさまざまでしょう。(2023/10/12)


検証・メディア
テレビにおける啓蒙と野蛮 〜テレビ改造論その1〜 チャンネルを分割して社会貢献している様々なグループに隔年入れ替えで託す 
私はテレビの問題点を書いてきましたが、TVシステムの根底にある問題が人間疎外を引き起こしていることにあると思っています。忖度とか、癒着といった各論的問題も重要ですが、構造的な問題に迫る必要があるのではないでしょうか。それはTVの放送局が1社で1日中、百貨店のように様々なジャンルの番組を作って放送するのはもう時代遅れではないか?という認識です。もう1つは、スポンサー企業が基本的に資金力のある大手企業(その多くが経団連)ばかりで、今日のように大企業と中小零細企業の間で不公平が広がっている上に中小零細企業で働く人の方が国民の圧倒的多数であるという不具合です。そして、さらにより本質的なことですが、テレビの視聴者は受け身であり、テレビの中の人々を仰ぎ見るような一方通行的な構造になっていることです。(2023/10/10)


みる・よむ・きく
『オットーという男』 トム・ハンクスが嫌な老人役を演じるがなぜか味わい深い映画
仕事を定年退職し、愛妻を半年前に失って、頑迷な性格の老人と思われ(実際にそうでもある)隣人たちからも嫌われ、すっかり生きる喜びがなくなってしまった男が命を断とうとする・・・そんな爺さんの役をトム・ハンクスが演じている。とても身につまされる映画の立ち上がりだ。ハンクスが学生役でデビューした80年代の頃、僕も学生だったので、時が経つのはあっと言う間だと思わされる。そこへ、この映画ではラテンアメリカ系の若い家族が近所に引っ越してきて、何かといろんなことで手助けを求められるうちに、自殺のタイミングを逸し・・・・この映画は彼の心の転機、再生を描いている。(2023/10/10)


みる・よむ・きく
カルロス・マルテン・ビリンゴ著『ノワール・フランセ』( Carlos Martens Bilingo , Noir Français)  かつて暴動が起きたフランス最貧地帯から選挙資金約100万円で国会議員に当選
フランスの最貧地帯に独自のネットワークを築いて、昨年、選挙資金100万円超で国会議員に初当選した黒人カルロス・マルタン・ビリンゴ(32)の奇抜な人生の書。そこから、未知なるフランスが見えてくる。本書は2022年の選挙で、野党連合NUPESから立候補して当選した現在、32歳の下院議員カルロス・マルタン・ビリンゴ(1990−)の自伝である。所属政党は「服従しないフランス」。『ノワール・フランセ』とは、文字通り、黒人のフランス人ということで、著者の誇りがそこに込められている。コンゴからフランスに移民した両親のもとにフランスで生まれた。(2023/10/09)


国際
AFPSコミュニケ カルフールがイスラエルによる不法な植民地化への関与を強める Carrefour intensifie ses liens avec la colonisation illégale de la Palestine
 複数のNGOや労働組合によると、フランスの流通大手(カルフール)はパレスチナの植民地化に関連する企業とのパートナーシップを強化しています。植民地化に関与したイスラエル企業2社と最初の協定を締結してから1年半が経過し、2022年11月に発表された報告書で詳述されたこれらのNGOや労働組合からの警告にもかかわらず、カルフール・グループは警告を無視し続け、植民地化への関与を強めています。(2023/10/09)


国際
AFPSのコミュニケ <ガザ:イスラエルによるパレスチナ人封じ込め政策の失敗>
今回のイスラエルとハマスの戦闘に関して、フランスにおけるパレスチナとの連帯組織 AFPS(ASSOCIATION FRANCE PALESTINE SOLIDARITÉ)の記者発表を翻訳しました。AFPS「パレスチナ武装勢力、特にハマスが行ったとするガザ地区からの攻撃は前例のない規模です。 イスラエルの軍事拠点、特にスデロットと、ガザ封鎖の再強化以降では物資の唯一の通過地点であるカレム・アブ・サレム基地が占領されました。と同時に、数千発のロケット弾が発射され、イスラエルの対ミサイル防衛を打ち破る大規模な攻撃が行われました。(2023/10/08)


検証・メディア
なぜれいわ新撰組はテレビ局から避けられるのか
昨日「テレビにおける啓蒙と野蛮 〜国会パブリックビューイングが照らし出したメディアの問題点」ということで、テレビが国民を政治から排除してきたことを書きました。特に過去10年くらいは高市総務大臣(当時)の恫喝も効いて、一層加速してきました。しかし、それだけではなく、そもそも新自由主義における自由貿易協定の時代には政治を国民から切り離す方向性が濃厚になってきたのです。ここから、想像できることは、れいわ新撰組をテレビ局としてはあまり報道したくないであろうことです。(2023/10/07)


検証・メディア
テレビにおける啓蒙と野蛮 〜国会パブリックビューイングが照らし出したメディアの問題点
法政大学の上西充子教授らが立ち上げた国会パブリックビューイング(以下、国会PV)という運動は、コロナ禍に入る前は大きく盛り上がっていたのを覚えている方も多いでしょう。安倍政権時代に国会で野党が質問をしても、まともに答えようとしない極めて不誠実な首相や内閣の実像がそこに如実に映し出されていたのです。国会PVが行われていたのは新宿駅西口の地下が多かったのですが、大衆が通る道の脇の一角に白幕を張ってそこに国会の質疑応答を記録した動画を上映し、適宜解説を入れる、というものでした。その特徴の一つが、国会の質疑応答をなるだけノーカットでみんなに見てもらう、ということにありました。(2023/10/06)


検証・メディア
テレビにおける啓蒙と野蛮 〜スポンサー企業の資金力と番組の公平さ〜 少額スポンサーでも番組の制作放映ができる時代へ
インターネットの番組がなかった時代には、あまりにも当たり前なので疑問に思うことは少なかった問題が、スポンサー企業の資金力と番組の公平さの問題だと思う。テレビ番組のスポンサーと言えば、基本的には日本を「代表する」ような世界的に知られた企業が多かった。そして、戦後の昭和時代は右肩上がりだったので、多くの国民が望む暮らしと政治の間に〜イデオロギーの違いはあったとしても〜生活の面では今日ほど大きな亀裂はなかった。しかし、冷戦終結とバブル経済の崩壊後、税制も変わり、庶民の暮らしが厳しくなる一方で富裕層は富を増して、今日の1%対99%みたいな格差を生む社会になった。(2023/10/05)


コラム
菜食だった時代もあるワニ
ワニと言えば、狂暴な肉食動物というイメージですが、最近、それとは違った記事や動画をいくつか見ることがありました。たとえばワニにはエンパシー(共感力、empathy)がある、というものや、かつては菜食だった、というものなどです。後者は2019年のニューヨークタイムズの記事*にも科学者の説として紹介されているんです。「Crocodiles Went Through a Vegetarian Phase, Too」(ワニもヴェジェタリアンだった時期があった」というタイトルで、少なくとも3回あったという説です。(2023/10/05)


欧州
パリのトコジラミとモスクワの『南京虫』(マヤコフスキー作)
トコジラミがフランスで大流行し、国会でその対処をめぐって議論が起きています。トコジラミは別名、南京虫。この名前は、私の世代には〜かつて文学青年だったような人々には〜たぶん、懐かしい響きがあるように思います。ロシアの詩人、マヤコフスキーが書いたSF喜劇『南京虫』は、1980年代までは大きな書店では書棚に置かれていた一冊だったと記憶しています。(2023/10/04)


欧州
トコジラミがフランスで問題に  来年のパリ五輪への試練1
トコジラミという成虫で5ミリから8ミリ程度の小型吸血昆虫がフランスで大きな問題になっています。家庭、病院、学校、老人施設、刑務所、映画館、電車などに増えていると言うのです。これがかゆみや不快感で睡眠障害などの健康障害を引き起こすと、野党「服従しないフランス」(LFI)の下院リーダーであるマチルド・パノ―議員が議会やラジオなどで訴えています。しかも、殺虫剤でも薬剤耐性を獲得するという悪循環があると言うから面倒です。(2023/10/03)


検証・メディア
テレビにおける啓蒙と野蛮 〜テレビの問題点〜 疎外と産業ファシズムの主因に
前回、第二次安倍政権で加速した報道の問題以前に、そもそもテレビというメディアに内在された問題があったのではないか、と書いた。それは今さら新しい言説ではなく、昭和時代に評論家の大宅壮一がテレビによって一億が総白痴化すると指摘した言説に象徴されるように当初から存在したものでもあった。私が思うテレビのメディアとしての問題点も、おそらくはそれと通底すると思われる。ここで、私なりに今、思いつくまま、その問題点を書いてみたい。(2023/10/02)


政治
「緑の党」(今日では後継政党がEELV)とは何かについて改めて考えました
ニューヨークでの豪雨。フランスでの旱魃。日本ではますます強くなる台風。昨今、気候変動が猛威を振るっています。私個人も2018年の脅威的な台風で長年暮らした住宅で暮らせなくなり、転居を余儀なくされました。決して他人事ではありません。そしてこれは南の人々が被害を受けているだけでなく、北部の先進諸国にもすでにダメージを与えているんです。私は環境問題を特に専門にするわけではないのですが、欧州やフランスの現代政治を見る上で「緑の党」がどんな機能を果たしているのか?その謎を自分なりに考えたいと思い、社会主義協会発行の「科学的社会主義」10月号に「フランスの政治的エコロジー」を寄稿しています。(2023/10/01)


政治
作家アルンダティ・ロイがインドのファシズムにつき世界に警鐘を鳴らす 「欧米諸国は有色人種の独裁者については黙認する傾向がある。これはレイシズムと違うの?」
ルモンド紙のインタビューでインドの作家アルンダティ・ロイが、ナレンドラ・モディ首相とヒンドゥー至上主義団体RSSのファシズム的傾向に警鐘を鳴らした。そのファシズムとは、ヒンズー教至上主義であり、2億人にも上る国内のムスリムを収容所で殺しこそしなくても2級市民に格下げすることにあると言う。(2023/10/01)


政治
本日、東京・渋谷でれいわ新撰組の増税反対デモ
2019年に設立されて4年目になるれいわ新撰組はこれまで増税反対デモを全国的に展開してきましたが、本日午後は東京・渋谷で増税反対デモを行う予定とのこと。れいわ新撰組のフライヤーによると、集会は午後4時半、神宮通公園で。その後、デモの出発は午後5時。一時間程度で一連のコースを歩いて、再び神宮通公園に戻り、流れ解散とのこと。その後、午後7時からは、渋谷区文化総合センター大和田4階のさくらホールで、「山本太郎とのおしゃべり会」が開催されるそうです。この情報は、れいわ新撰組のSNSなどの情報ですが、様々な状況で変化する場合もあるかと思いますので、参加される場合は情報を確認してみてください。(2023/09/30)


検証・メディア
特定のテレビ局を越えて、今、テレビの意味が問われている〜 テレビにおける啓蒙と野蛮〜
私は日刊ベリタでこれまでも度々、NHKや民放などのテレビ局を批判してきましたが、同時に過去には個別の番組や制作者という形で称賛もしてきました。第二次安倍政権以後、テレビ局はNHKが象徴的ですが、政府が右と言うものを左と言えなくなりました。たとえ個別番組で批判できても全体的には政府寄りの報道が基軸になっています。これは与党にとっては広告料なしで、莫大な広告PRを毎日打っていることと同じ効力があります。卑俗な言い方で恐縮ですが、与党にとってはたまらんうまさです。要するに、それが批判的報道であるか、肯定的報道であるかは、広告効果が180度違いますから、その意味で第二次安倍政権以後は、テレビは総じて与党の宣伝媒体になったと言っても過言ではないでしょう。さらに、選挙報道では平等に扱わないと電波停止にする、と高市早苗総務大臣(当時)が圧力をかけました。(2023/09/29)


みる・よむ・きく
フォルカー・シュレンドルフ監督『シャトーブリアンからの手紙』(2011年)
フォルカー・シュレンドルフ監督と言えば、ギュンター・グラスの小説を映画化した『ブリキの太鼓』(1979)でパルム・ドールを受賞したことで知られていましたが、その後、私は寡聞にしてシュレンドルフ監督作に出会う機会がありませんでした。ところが、私が見逃していたのですが、2011年に『シャトーブリアンからの手紙』という佳作を監督していました。私の見るところ、シュレンドルフ監督はまだ生きていたのか・・・どころではなく、『ブリキの太鼓』よりも優れた構成と演出だと思わされてうなりました。(2023/09/28)


経済
Amazonが米・連邦取引委員会(FTC)と17州から訴えられる 
米・連邦取引委員会(FTC:Federal Trade Commission )と17州がアマゾンを不公正な取引を強要し、公正な競争を阻んでいるとして訴えたことがニューヨークタイムズで報じられました。連邦取引委員会がというのはわかりますが、17州というのはかなりな数です。たとえば、具体的な中身としては、アマゾンがそのサイトに出品する業者たちに、価格を統制していたこと(アマゾン以外で売る時は、アマゾンでの価格以下に下げないように圧力を加えていたこと)などをあげています。これは競合相手の流通業者にダメージを与える手法だとされており、その他のケースも含め、訴えは172頁に及ぶと書かれています。(2023/09/27)


文化
インボイス制度導入への反対署名が50万筆を越える  10月から導入される制度で文化への危機
9月25日に首相官邸前でインボイス制度への反対集会が行われました。10月に導入されるこの制度はフリーランスなど小規模の事業者・クリエイター・俳優・声優・映画人など日本の文化に貢献している多くの人々の暮らしを直撃するものとして、危惧されています。50万人以上の反対署名も集まりました。アニメーションのプロデューサーの植田益朗氏によると、アニメ・漫画業界などのクリエイターの3割を超える人々が廃業の危機に面しているとされます。(2023/09/26)


国際
米国へのベネズエラからの不法移民のドキュメンタリーを作ったUSAトゥデイ 〜ネット時代の1つの理想〜
米国への不法移民の流入を報道したUSAトゥデイの動画は、新聞社による動画だが、これまでのTVの映像とは異なるインターネット時代の動画報道の1つの理想に私には思えた。米南部エルパソのシーダーファレスにある川を渡って米国入りするベネズエラ人たちの姿が描かれている。ベネズエラと言えば、チャベスとマドゥーロの時代に様々な軋轢が米国を中心とした資本主義グループと生じたことは多くの人の記憶にあるだろう。(2023/09/25)


国際
NYで移民たちがホームレスと化す 合計約10万室のホームレス用シェルターは満室
米国はインフレも鎮静化し、失業率もさして上がることなく好景気に入りつつあると報じられる一方、ニューヨーク市ではホームレスが町で増えているとの報道がある。そして、西海岸でも同様の事態が起きているらしい。いったい何が起きているのか?米メディアの報道を複数見る限り、まずは移民たちがそのコアな人々らしい。まだ手続き中なので仕事を得ることができないらしい。ニューヨーク市で難民申請者たちに情報提供を行っているマンハッタンのルーズベルトホテル前にはずらりと居室をもたないらしい人々の列が二重三重にできていた。(2023/09/25)


経済
1ユーロが158円をつけた  欧米と金利差が拡大
昨日、1ユーロが158円をつけた。これは欧州旅行をしようという人々や留学しようという人々にとっては経済的な試練だろう。もちろん、海外の本や物品、食品などを買う人々にとっても。その背景には欧州中央銀行(ECB)が金利を上げる決断をしたことがある。NRIのウェブサイトにある木村登英氏のコラム「10回連続で利上げを決めたECB:軸足は利上げから政策金利の高水準維持に」*では、10会合連続と指摘してある。(2023/09/24)


コラム
「上か下か」は政治言説としては曖昧である(と私は思う)
「右か左かではなくて、大切なのは上か下かです」こうした言説を耳にすると、これは政治家の言説であっても、ジャーナリズムがこれに追随することはできないだろうと私は思う。というのは、「上か下か」という言葉は、ニュアンスとしては伝わって来るし、気分としてもわかるけれど、明快さを欠く。何をもって「上」で、何をもって「下」か、ということだ。そこが曖昧で、受け取る人の主観次第であれば、このメッセージは結果的にいつかは曖昧さの結果責任を伴うことになるだろう。特に、もしその言説をアピールする野党が政権与党の座をつかんだ時、上と下はどうなるのか、ということでもあるし、最終的に政策を実行する時、具体的に何をやるか、というところで、歴史的な意味での右か左か、という解釈をされてしまうだろうからだ。この右か左か、という考え方は、基本的には世界のジャーナリズムで通用している考え方なのである。(2023/09/23)


みる・よむ・きく
細見和之著『フランクフルト学派〜ホルクハイマー、アドルノから21世紀の『批判理論』へ〜』
中公新書から出ている細見和之著『フランクフルト学派〜ホルクハイマー、アドルノから21世紀の『批判理論』へ〜』は、入手する前に期待していた以上に素晴らしい書だった。私は今年から大学院で現代フランスの歴史学を研究しているのだが、フランスの戦後の歴史学を考える上で、ドイツのフランクフルト学派を無視することはできないことがわかってきた。フランクフルト学派と言えば、アドルノやホルクハイマーといった大物社会学者で著名だが、彼らの多くが1930年代から40年代にかけてナチスを避けて米国に亡命した。つまり、欧州の知性がアメリカの学界を潤し、戦後、再び欧州にフランクフルト学派とその弟子たち=「米国発」の歴史学が影響を及ぼすことになる。それは隣国フランスの歴史学にも波及するのである。(2023/09/22)


検証・メディア
ジャニーズと安倍政権の関係に切り込んだSAMEJIMA TIMES 〜報道番組におけるタレントの起用について〜
 鮫島浩さんのYouTubeチャンネル、SAMEJIMA TIMESでジャニーズと安倍政権の関係に切り込んでいます。秀逸な着眼ですね。必見です。これは現代メディアの問題の核心にも触れるテーマをはらんでいます。つまり、なぜタレントが報道番組のキャスターをつとめているのだろうか、という問題です。そこには、報道→ショー化という情報の変質の契機が含まれています。(2023/09/20)


経済
ウラン価格が国際市場で高騰〜12年間で最高(FT報道)
 原発の原料であるウランが12年ぶりに高騰しているとされ、この12年ぶりというのは福島の原発事故のようです。ウランの高騰には複数の背景があるとフィナンシャル・タイムズには書かれていますが、今年ニジェールで起きた軍事クーデターも要因とのこと。ニジェールはアフリカの北西部の国で、フランスの影響力のあるところですが、そこにロシアの勢力が影響力を増してきたことが報道されています。とはいえ、ニジェールの生産量は全体の4%程度です。(2023/09/19)


みる・よむ・きく
久邇良子著『フランスの地方制度改革〜ミッテラン政権の試み〜』(早稲田大学出版)
フランスの現代政治をウォッチする時、最も困惑するものの1つにコミューンとか、地域圏といった自治体に関する概念が日本の市町村とや県とどう違っているのか、ということがあります。コミューンと言えば、なんだか革命っぽい響きがありますが、フランスの政治制度でコミューンは市町村を指します。日本ではサイズの異なる市町村が同じ単語で表されている点もなかなかわかりづらい点です。(2023/09/18)


国際
左翼とウクライナの戦争 〜フランス左翼はこの問題で真っ二つ〜
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記がモスクワのプーチン大統領と先日会談した件はBBCなどで、北朝鮮が兵器提供の見返りにミサイル技術をロシアから求めたらしいと記されていました。また、各紙でこのミサイル技術は北朝鮮のミサイルが米本土に届くために必要な技術であるらしいことも報道されています。このことがウクライナ戦争の長期化に結びつくという意味で、「なぜ左翼はこれを批判しないんだ」という論調をSNSで見ました。日本でウクライナ戦争を批判している人々はNATOの東方拡大という戦争の前段階を批判するとともに、NATOがウクライナに兵器支援をすることで戦争の長期化につながっていることを批判していますが、かといって恐らく誰もロシアを応援しているわけでもないと思います。人によって違いはあると思いますが、多くの人は戦争に踏み出したロシアを批判しているはずですし、1日でも早く撤退してほしいと思っているはずです。(2023/09/18)


検証・メディア
NHKと旧東独・東欧の放送局の比較史の研究のために  〜NHK瓦解のプロセスとその背後の要因を歴史的に解明する国際プロジェクトを始動〜
NHKの放送が政府の広報機関と化した今、未来人のためにその過程と力学の歴史研究を開始する時期になりつつあります。まず、その検証の参考にするために、旧東欧のTVについて研究した先行研究書がいくつも世界で出版されています。若い人たちや学生たちは、こうした研究をして、どこで間違ったのかを調査して、しっかりと理解していただきたく思っています。(2023/09/14)


コラム
投票率低下の背景にあるもの 〜政治や経済のメカニズムが全くわかっていない人が国民の半数以上を占めるのではないだろうか。
国政選挙があるたびに低投票率が戦後の記録を更新して下がっていきます。有権者はますます投票に行かなくなっています。その理由には様々な要因があるでしょうが、もっと注目されるべきなのは〜私の仮説ですが〜有権者=国民の知的空白が拡大してきた、ということではないかと思います。つまり、インフレとか、金利とか、限界消費性向とか、あるいは新自由主義とか、民主社会主義とか、ヘッジファンドやポツダム宣言、三権分立など基本的概念が理解できない人々が国民の過半数を超えてしまったのではないでしょうか。多少言葉は聞いたことがあっても、その理解が浅すぎて、世界で、日本で起きている現象と関連づけて考えることがまったくできない人々です。こんなことを書くと、お前はいったい何様なのか、と批判されるでしょうが、それでも現状を冷徹に見ることは重要だと思っています。(2023/09/14)


国際
モロッコの地震
 モロッコの地震を海外メディアはどう伝えているのでしょうか?CBS Morningは以下。(2023/09/14)


経済
米経済の<痛みなき>インフレ鎮静化  (日本は円安 1ドル=146円で物価高騰 経済政策は大丈夫?)
ニューヨークタイムズで経済学者のポール・クルーグマンが失業率の高騰なき、インフレ鎮静化に米経済が成功したことを示し、その原因が何であったかについて論じています。NYT <How Goldilocks Came to the U.S. Economy>記事のタイトルになっているGoldilocksというのは、イギリスの童話「ゴルディロックスと3匹のくま」の主人公だそうですが(筆者は知りませんでした)、米経済で使われる場合は「インフレなき成長を維持する絶好調な景気」(英辞郎)だそうです。(2023/09/12)


経済
NYT報道 カリフォルニア州のファストフードレストラン業界が最低賃金の時給20ドル(2920円)で労組と妥結
2030年代半ばには時給の最低賃金を1500円にあげるのを「目標」に掲げて国民に大見えを切ったつもりの岸田首相だが、そんな遠い先の1500円に国民は信頼していない。そんな中米国のカリフォルニア州ではレストラン業界で最低賃金の時給20ドル(2920円)で労組と経営者たちが妥結したとニューヨークタイムズ*が報道した。(2023/09/12)


コラム
これから10年間に新聞界は大きく変わる 〜抜本的な変革なしにこれ以上存続できないだろう〜
新聞の発行部数の統計データを見ていると、過去20年来、激しく減少し続け、その減り方も加速しつつあるようだ。そして単純にこのままいけば10数年後には新聞は消滅する、という勢いである。仮に政府の広告で生き延びたとしても、それはもはや自立した新聞ではない。まさに政府広報でしかない。それを考えれば、これから10年間に新聞界は大きな変化の波が押し寄せるのではないかと想像される。そうならないと新聞界は存続できないし、またそれは新聞業界の問題だけでなく、日本国の存亡にも直結することになる。(2023/09/07)


コラム
タイのゾウ達と日本の政治文化  権力への従順さは子供時代に鋳型で作られる
私は知人にタイの象使いをドキュメンタリー作品にしてきた人がいまして、伝統的なゾウの仕込み方について雑談で話を聞いたことがあります。まだ力の弱い小さなゾウの時代に、ゾウは人間に逆らわないように仕込まれます。逆らったら金属の刃のついた棒で引っかかれ、痛みを覚えさせられて、そうやって集中的にねちねちと学習させられるそうなのです。今では違った飼育方法もあるそうです。とはいえ、かつてはそうやってゾウを人間に服従させてきたのです。幼いうちから痛めつけて、徹底的に人間に服従することを学習させるのです。(2023/09/05)


欧州
旧ソ連=ウクライナの腐敗の深度 将来の欧州連合入りの障壁
ウクライナの国防大臣が国防省の汚職・腐敗の責任を取らされて更迭されたが、ウクライナ政府内の腐敗は深刻なレベルで、欧州連合入りするには大きな壁になっているらしい。アメリカの公共放送PBSではそのことが報道されている。(2023/09/05)


コラム
岸田首相はウクライナ国防省の腐敗に抗議したのか?日本人の税金への責任感はあるのか?
ウクライナの国防大臣が国防省の腐敗の責任を取らされて更迭された。もともとわいろが伴う腐敗した政治風土だったとされるが、ロシアとの戦争の1年目では支援国も目をつぶっていた。しかし、2年目に入り、ついに米議員たちが文句をつけ始め、ウクライナ国防省が腐敗しているならもう米国からの支援を減らせ、という議論を始めた。このことが即、ウクライナの国防大臣の更迭につながったらしい。これはニューヨークタイムズの報道である。(2023/09/05)


コラム
政治家の世襲制は日本の近代化をはばむカースト制度である
政治家の世襲制は、自民党の首相や閣僚クラスの政治家たち自身やその子弟の中に脈々と受けつがれており、それこそが戦後復興してきた日本が低迷し、没落していくきっかけになったものと言えるでしょう。それはインドの低迷の原因がカースト制度という前近代の束縛にあったのと似ています。インドが金融やITで世界的に浮上できたのは、新しい職種であるIT業界はカースト制度の縛りがなく、誰でも参入できた職だったからです。(2023/09/03)


コラム
最低賃金時給1500円「2030年代半ば」までの目標だが、それまで日本人が生存しているか未知数〜フランスでは今年最低賃金の時給は1777円
岸田首相は2030年代半ばまでに最低賃金1500円を「目標」にすると語ったとNHKが報道しています。はっきり言って、日本の多くの人びとは「ふざけるな」と思ったのではないでしょうか。即1500円にしなさい、と。(2023/08/31)


コラム
近代劇とネット時代 〜今こそ近代劇が復権する時〜 日本の近代の始まりは今
ネット社会は2020年に始まったコロナ時代に、新しい段階に突入したのではないでしょうか。つまり、それまで対面して行っていた会議も、講義も、インタビューも、商談も、そのかなりがインターネットを使って遠隔でできるようになったことです。これは良い点もたくさんあると思いますが、困った点もあると思っています。1つ、例を挙げると、人間が場をリアル空間で共有していることが前提だった劇的空間が成立しなくなってきたのではないか?ということです。かつてなら人間同士、喧嘩もしたけど、仲直りもしたし、喧嘩を通して互いの理解を深めたりしてきた、という人類の歴史が断絶したのではないか、ということなのです。(2023/08/30)


みる・よむ・きく
水俣病と向き合ったユージン・スミスの伝記映画『MINAMATA』
偶然と言えば偶然、必然と言えば必然だった気がする。写真家ユージン・スミスが水俣病の人びとの写真を撮影した伝記映画『MINAMATA』(2020)を見たのが、福島から核汚染水が太平洋に放出された日だったことだ。この映画を見るチャンスが訪れたのは偶然だったのだが、それを知った以上、見ずにはいられなかった。それが必然だった。(2023/08/26)


コラム
政治家の世襲制の悲劇  先祖が馬鹿なら馬鹿が濃縮されていく
核汚染水を放流したことで中国が日本産の水産物を輸入禁止にしたことに驚いている日本政府を見れば、与党の政治家が何も考えていない本質的な馬鹿であることがわかる。なぜ馬鹿が国政のトップにあるのか?これは極めて不思議な事態のはずだ。日本国内に存在する様々な試験や選挙などの選抜は意味があるのか?ということでもある。(2023/08/26)


みる・よむ・きく
ブリュノ・ラトゥール著『諸世界の戦争 〜平和はいかが?』(工藤晋訳)
昨年亡くなったフランスの哲学者ブリュノ・ラトゥールには人類学者としての顔もあり、そのことが彼に大きな視点をもたらした。『諸世界の戦争〜平和はいかが』は、ちょっと拍子抜けしたタイトルのようにも感じられるが、中身は非常に興味深い示唆に富んでいる。コロナウイルスの感染症に襲われたり、ウクライナで始まった戦争のことを案じたりしている私たちに、今、世界で何が進行しているかを考えさせてくれる。(2023/08/23)


環境
福島の核汚染水放出に関するNYTの報道 東京電力のウェブサイトによると「約47万3千トンのタンクの水のうち、完全に処理されたのは30%」
24日にも福島の核汚染水の放流が迫っているとされ、世界でも大きく報道されています。この汚染水は一応、放射能除去の処理を受けたとされ、残るのは微量のトリチウムだけ、と喧伝されていますが、ニューヨークタイムズは、そこまで処理されたのは30%だと報じました。この出典は東京電力のウェブサイトにそう書かれているとされます。(2023/08/22)


検証・メディア
韓国での福島の核汚染水放流への反対デモを報じたアルジャジーラ
日本政府が福島の核汚染水を太平洋に投棄しようとしている問題は世界的に注目を集め、様々な言語で報道されています。アルジャジーラでも、ソウルで反対デモが行われたことを取り上げていました。 (2023/08/22)


環境
フランスのMediapartの見出し「海はゴミ箱じゃない」核汚染水の海洋放出に危惧する住民の声を報道
フランスの調査報道で知られるネット新聞Mediapartが核汚染水の太平洋放出に不安を感じる福島第一原発に近い地元住民の声を報じた。記事では「汚染水を海に流すな」と横断幕を掲げた人々の写真がつけられていた。(2023/08/21)


コラム
「プラハの春」のドゥプチェク第一書記と2009年の鳩山首相 〜戦車なくして粉砕された「人間の顔をした資本主義」〜
今年亡くなった作家のミラン・クンデラは『存在の耐えられない軽さ』や『冗談』などの小説から創作論、文学論まで様々な本が邦訳されており、何よりも読んで面白い作家だった。たぶん、そのように感じている読者は多いだろうと思う。しかし、クンデラについて、もっと詳しく理解しようと思うと、きっともっと読んだり、研究する必要があるに違いない。クンデラはまず、チェコスロバキアで1968年に起きた、いわゆる「プラハの春」に作家としてコミットしたことで、のちにフランスに亡命することになった。書籍も祖国では発禁処分となっていた。プラハの春は、当時、ソ連の衛星国だったチェコスロバキアが「人間の顔をした社会主義」を求めたとして知られる。検閲の廃止や表現の自由といった改革を実行したのだった。(2023/08/20)


環境
フランスでアグリビジネス主導の巨大貯水池建設計画に抵抗する農民・環境保護活動家たちのパリまでのコンボイが始まる 
日刊ベリタで前にも紹介したことですが、フランスでは今、気候変動による農地の乾燥化が各地で進行しており、農民たちはその対策と生き残りに苦労しています。そして、今年話題になっているのが、アグリビジネスが主導している巨大貯水池建設計画です。メガバッシーヌと現地で呼ばれているものは、サッカー場くらいの人工の貯水池を各地に作り、雨の降る冬場に地下水から水をくみ上げて、夏場に貯水池から供給しようとする半官半民のプロジェクトです。ところが、このプロジェクトに農民たちや環境保護活動家たちが反対運動を続けているのです。(2023/08/19)


コラム
マスメディアは国民の思想管理のための機械である〜政治変革のためにメディア市民革命を始めたフランス人〜
 今、日本でマスメディアが多くの人に批判されているのは、そのコンテンツが年々劣化していることが誰の目にも明らかになりつつあるからでしょう。今日、日本のマスメディアの役割は、政治権力が国民の思想を管理するための監視装置(世論調査・世相の声)であると同時に、洗脳装置でも会えり、選挙の際に有権者を誘導する装置でもあります。こんなことを書くと、極論のように思われるでしょうが、すでにフランスでは20年も前からTVを見ない人が増えていました。私の知人の多くもTVを見ないだけでなく、受像機自体家に置いていない人が大半です。(2023/08/18)


コラム
二度あることは三度目もある 「借金返済期間8300年」 無責任国家と地獄
二度あることは三度目もあるだろう。一度目は日中戦争と第二次大戦を始めても東京裁判で裁かれた以外にはほとんど誰も責任を取らなかったことだ。二度目は1980年代のバブル経済を引き起こして日本経済をどん底に陥れ、失われた30年をもたらして誰も責任を取らなかったこと。そして、今、また戦争を煽る政治家たちがいる。私はこの中で、二度目のバブル経済とその崩壊を若い頃、目撃した。(2023/08/18)


コラム
危機に柔軟に対応できなければ滅びるしかない 〜偽りの危機を煽る与党と真の危機を報じないマスメディア〜
威勢のよいスローガンをぽんぽん放っていた安倍政権のアベノミクスの行きついた最果ての地が今の日本であると、ようやく多くの人々が感じつつあります。そうなることを理解していた人は2013年の夏には一定数存在したと私は見ています。つまり、それから10年にわたって、ほぼ一貫して、マスメディアは国民に真実を伝えてこなかった、あるいは、両論併記=どっちもどっちという論調で、真実が何か誰にもわからないような記事で、読者の思考を不可能にする記事を量産してきたと言えると思います。(みんなが気がつくまで、その間に儲けるだけ儲けたのです)(2023/08/17)


コラム
昨今のマスメディアの特徴は<報じない力>  報道しないことで存在感を見せる
極めて残念ながら、昨今のマスメディアは、報じないことに自らのパワーの源泉を見つけているのではないでしょうか。マスメディアは報じないことで、その事実が「公認」ではないことになり、したがって存在しない、という風に見られていくのです。伊藤詩織さんが被害を受けた事件や木原議員の関与したとされる殺人事件の謎、与党と異なる思想・行動を取る新党をなるだけ報じないこと。安倍首相狙撃の翌日も選挙を前にしているのに、統一教会のことは報じなかったのでした。(2023/08/15)


経済
中国のバブル崩壊の兆し 「150か国」に貸した総額1兆ドル融資はどうなる?
今、海外の新聞では中国のデフレとバブル崩壊の可能性が日々、大きく報じられています。ニューヨークタイムズの7月8日付の記事では、中国がこれまで150カ国以上に総額約1兆ドルほどを融資してきたが、中国バブルがはじける場合、それはどうなるのか?と言ったことを論じていました。(2023/08/14)


みる・よむ・きく
全労連のフランスの福祉事情についての記事 『社会連帯は安心な生活の保障から─フランスの取り組みより』フランス子ども家庭福祉研究者 ( 安發 明子)
全労連の1つの記事がじわじわ話題となっています。自民党の女性局の議員などの一行がフランスで行った「研修」がわずか6時間の観光旅行に近いものだったことなどが庶民の怒りを呼んでいます。一方で、この全労連の記事はフランスで本当に学ぶべき福祉のあり様があるとしてSNSで拡散されています。『社会連帯は安心な生活の保障から─フランスの取り組みより』 フランス子ども家庭福祉研究者 安發 明子(2023/08/13)


コラム
斎藤憐作『上海バンスキング』と日中戦争
時代が完全に右傾化したということは、右傾化をもはや誰も意識しなくなり、それが新しいスタンダードになったかのように感じられることだと思います。斎藤憐作の和製ミュージカル『上海バンスキング』が上演されたのは1979年で、六本木のオンシアター自由劇場であったとネットで知りました。このミュージカルは戦前、上海に渡ってジャズをやっていた日本の音楽家たちをモデルにしており、ジャズをベースにした音楽の魅力に加えて、吉田日出子その他、多彩な俳優たちの演技の力も加味して、ロングランとなりました。しかし、その内容は、長期化する日中戦争という波にもまれ、日本と中国の間で右往左往しながら、ジャズという自由の境地を求めた人々の人生が描かれるという意味で、重いものを含んでもいます。つまり、テーマの重厚さと俳優たちと音楽の軽やかさやユーモアが協奏曲のように響きあい、このミュージカルに独特の味わいを与えていたのを思い出します。(2023/08/12)


アジア
日中戦争を本気で誘引する日本の政治家たち 〜中国側にも戦争待望論が出る可能性〜
中国のデフレにどんな意味があるのか?ニューヨークタイムズのコラムニストや記事、またその他の経済学者のインタビューなどに触れてみると、中国のデフレは日本のデフレとよく似ている。そもそも中国の経済発展モデルは戦後、日本やブラジルがたどったのと同じタイプで、輸出が輸入より大きく、そこで得た外貨(収入)を庶民が消費よりもなるだけ銀行の貯金に回して、その金をインフラや工場建設などに再投資するモデルだった。しかし、中国はすでにインフラもビルも十分にできたために有効な投資先が少なくなってきた。そこで収入を消費に回さなくてはGDPは拡大しないが、これまで貯金型をずっとやってきたことがネックになっているようである。(2023/08/11)


みる・よむ・きく
ブルーノ・ラトゥール著『どこに着陸するか? 政治をどう舵取りするべきか』(2017 / Où atterrir ? Comment s’orienter en politique)
昨年亡くなったフランスの哲学者ブルーノ・ラトゥールは世界で最も言及される知識人の一人だと言われている。晩年の2017年に出版された『どこに着陸するか? 政治をどう舵取りするべきか』という比較的短い書は、日本では『地球に降り立つ――新気候体制を生き抜くための政治』(新評論 2019年:川村久美子訳)という邦題で刊行されている。この書がどのくらいの人に読まれたかわからないが、最初の1頁から圧倒的な力で引き込まれてしまうパワーを持っていて、彼がなぜ世界で注目されているか、それを自ら理解できた。(2023/08/10)


コラム
パトリス・マニグリエ (哲学者)落書き好きの僕の嫌いな落書き〜「君の平和主義は階級の特権だ」〜  Patrice Maniglier
これは僕がこれまで見た落書きの中でもっともよく知られたフレーズです。壁の落書きが好きな僕も、この言葉はとても嫌いです。もし「平和主義」の代わりに「非暴力」を、と書くのならわかります。でも、「平和主義」とは!・・・しかも、戦争が欧州を含め、世界各地でいささか新たな炎を上げようとしている時に、です!(2023/08/10)


アジア
中国でデフレが顕在化してきたとNYTが報じる 
本日のニューヨークタイムズで最も筆者の関心を掻き立てた記事はこれ。中国経済がデフレに転じた、というものです。これはいったい、何が起きているのでしょうか?気になります。(2023/08/09)


コラム
軍産複合体とマスメディア  戦争のスポンサーにもなるのだろうか。
『21世紀の資本』という映画の評を書いた時、日本のマスメディアが政治権力と癒着し、「マスメディア=政治権力」という結合の形で軍産複合体に組み込まれたという私なりの見立て(仮説)を書きました。格差が拡大しているのにほぼ一貫して自民党政権が交代なく続く根底にはマスメディアが応援団=広報機関になっているからだ、というものです。民衆はそれ以外に政治や経済がどうなっているのか、知る手がかりがこれまであまりなかったのでした。マスメディアは政府に反対する政党などの意見も紹介しますが、最終的には「どっちもどっち」みたいな締めにして、民衆を宙ぶらりんのままにして、むしろ民衆を投票から遠ざけているのではないかと思っています。(2023/08/06)


みる・よむ・きく
映画トマ・ピケティ原作『21世紀の資本』 その2 特権意識の起源を示すシーン
トマ・ピケティ原作の映画『21世紀の資本』が、元の本と異なるのはピケティ以外に様々な専門家たちのインタビューが挿入されていることで、資本のシステムを多角的に追っているのです。特に興味深いのは、心理学者が登場して、特権意識の何たるかを実験から検証しているくだりでしょう。カリフォルニア大学の心理学者ポール・ピフは人類はたとえ富裕層になってもその富を分かち合いたくない、ということを実験で確かめたと言います。(2023/08/05)


みる・よむ・きく
映画トマ・ピケティ原作『21世紀の資本』 資本主義の意味を4世紀にわたって100分で俯瞰する
世界的にヒットしたフランスの経済学者トマ・ピケティの『21世紀の資本』は2020年に映画版が作られた。ピケティ以外にも様々な経済学者や経済史家、歴史学者、心理学者、ジャーナリスト政治アナリスト、世界経済アナリストらが登場している。1970年代あたりから始まった新自由主義革命によって格差が広がり、ソ連崩壊とともに今は資本主義が野放しになり、第一次世界大戦前夜の状況に来ているという。実際に2年後にウクライナで戦争が起きたが、イデオロギーではなく、国粋主義・ナショナリズムを基盤に領土の獲得・確保を目指したある意味で第一次大戦に似た戦争だ。しかし、ピケティはこれはまだ序の口で、世界の格差は18世紀に向かって逆戻りしている恐れがあると言う。(2023/08/05)


コラム
自民党女性局に自民党をぶっ壊せるか? 自民党と男尊女卑思想
自民党女性局の松川るい議員がフランスの集団研修旅行に子供を連れていき、大使館員に世話をさせていたことが露見して、この話題に新たな火種を提供しています。日本はジェンダーギャップレポートで総合力で国際順位が底辺に近く、政権与党である自民党の女性局は、海のないチェコの海軍省みたいな存在にすら感じられます。もし、松川るい議員が「男社会の自民党をぶっこわす!」と、小泉純一郎みたいにタンカを切って、既存の自民党に宣戦布告しておれば、庶民はもっと共感してくれたのではないでしょうか?問題は、そうした意気込みが感じられないことです。(2023/08/03)


みる・よむ・きく
タランティーノ監督『イングロリアス・バスターズ』は意外にまともな映画だった・・・
目には目を、と言わんばかりにナチの将校や兵士を捕まえてはバットで殴り殺したり、頭の皮をはいだり、額に鍵十字をナイフで刻んだり、とナチに恐怖を植えつけるべく編成されたユダヤ人8人の米軍特殊部隊の行動を描いた映画『イングロリアス・バスターズ』。私は日本での公開当時は、トンデモ映画の類かと思い、見そびれていた。実際に見てみると、当初思っていたような映画ではなかった。何よりも暴力シーンはそれほど多くなく、その間の駆け引きや準備などの心理描写が結構、正攻法で描かれているのである。(2023/08/03)


コラム
自民党女性局エッフェル塔前記念写真と日本経済
自民党女性局なる組織が国会の夏休みにパリに「研修」旅行に38人で繰り出した際に撮影したエッフェル塔前の記念写真が庶民の批判を呼んで、ニュースでも取り上げられる事態となりました。SNSで回って来る写真には筆者が見る限り3〜4枚あり、38人で横断幕を掲げた記念写真と、3人が頭の上で手を合わせてエッフェル塔のポーズをしている写真と、コースで出てきたらしいフランス料理の写真です。騒ぎが大きくなって議員たちは写真を削除したり、弁解したりしているようですが、確かに少子化問題の研修を受けている写真も見ました。(2023/08/02)


コラム
芸術か、粗大ゴミか?
大阪府所蔵の美術品105点が地下駐車場で青いビニールシートで覆われるなど、粗大ごみ同様に置かれてたことを毎日新聞がスクープした。ツイッターにはたくさんの怒りの声が寄せられていた。確かに美術品がそんな扱いを受けていたと知った時、ショックを受けても不思議ではない。しかし、不思議なことに、その記事を読む少し前に、僕はこんなジョークを友人たちに言ったことがあった。「美術の展示で、様々な美術作品の並びの間に5%くらい粗大ごみを混ぜてみたらどうだろう?」と。(2023/07/27)


国際
イスラエルで大規模デモ 最高裁の違憲判決を下す力を封じた法案に国民の怒り
イスラエルで大規模なデモが起きている。これは極右と右派のネタニヤフ首相率いる連立与党が最高裁が政府の決定に違憲判決を下す力を削ぐ法案を通したことにある。デモは各地で行われている模様。(2023/07/25)


国際
米戦時情報局による対日勝利後の政策策定とマンスフィールド研修
私は以前から、米官僚たちを日本の各省庁に派遣して「研修」させてきたマンスフィールド研修という制度は、日本を構造改革するための米国務省の情報収集プロジェクトだったと考えている。マンスフィールド研修は1994年に始まったのだが、アメリカが日本をアメリカ化するための「日米規制改革および競争政策イニシアティブ」(規制改革イニシアティブ)が設置されたのが2001年のことである。この規制改革イニシアティブから毎年日本政府につきつけられる要望書がいわゆる年次改革要望書である。これは多岐にわたって日本に規制緩和を迫るものだ。2001年と言えば小泉総理とブッシュ大統領の時代である。(2023/07/21)


コラム
新聞について 新聞に最低限必要なものは何なのか?
新聞にあって欲しい情報とは何だろうか?私は昔、ドラマの教育を受けた時、演劇にとって最低限必要なものは何か?という問いを講師からぶつけられたことがあった。台本は必要か?俳優は必要か?演出家は必要か?観客は必要か?劇場は必要か?最低限、絶対にそれなしでは演劇が成り立たない要素は何か?こういう問いは、その活動をラディカルに考え直すときに必要になる。(2023/07/21)


みる・よむ・きく
サム・メンデス監督『1917 命をかけた伝令』 全編ワンカットに見える驚異の戦争映画
「全編(ほぼ)1カットの戦争映画」ということで近年、映画界で話題を呼んだサム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』を見た。製作は2019年だから、私の想像では、この企画は第一次大戦(1914−1918)から100年という節目ということで進行したと思われる。実際、2014年から2018年にかけて第一次大戦を振り返る記事も欧州でしばしば出ていたと記憶する。1カットという売りだったが、実際には地下壕で黒味になった瞬間とか、爆発の瞬間などで、おそらくカットをつないだのではないか、と私は推察した。(2023/07/17)


国際
アメリカの景気後退 過去10年間で最大の倒産ペース レイオフも進む
最近、グーグルが12000人を世界でレイオフ(一時解雇)する計画に対して、雇用された労働者が各地でストライキを起こしていることをニュースで知りました。グーグルと言えば、パソコンを使えば毎日接しているものですが、その足元で労働者たちが闘争をしています。以下は4月上旬のロイターの記事で、ロンドンでのストライキを紹介したものです。労働者が「being evil (不道徳であること)はストラテジーではない」というプラカードを手にしています。しかも、彼はフランスの「黄色いベスト」と同じジャケットを着ています。ロイターの記事によると、米国のレイオフの波を大きくかぶっているのがテクノロジー(IT)の分野で、今年に入って4月上旬現在で29万人にも及ぶというデータを紹介しています。(2023/07/15)


コラム
どうやって権力者を怖がらせるか? 〜暴君が生まれるのは人々が跪くから〜
2016年3月31日にNuit Debout(立ち上がる夜)というパリ市民による政府への抗議集会がパリ共和国広場で始まり、夏まで毎日、人々が数千人広場に集まっては様々なテーマで討論を始めました。その運動は「服従しないフランス(LFI)」という後に野党共闘の中心政党に結実しました。ところが、日本のマスメディアはこの市民運動をそろって無視していたのです。メディアのパリの支局の人びとは、お菓子やハンドバッグの情報については感度が良くても、政治や社会性のあるテーマには大変弱い。さらに、彼らは革命を怖れているので、恒例の華やかな革命記念日の式典の取材はできても真の革命的な運動は直視できないのです。(2023/07/14)


欧州
革命を怖れるマクロン大統領 革命記念日に警官13万人を動員して「国民を守る」
7月14日はフランスでは革命記念日ということで、毎年、与党がどこであれ盛大に祭りを繰り広げてきた。しかし、今年は例年になく、ものものしい事態になっているらしい。というのも、今年になってから年金制度改革への大規模ストライキがあり、さらに警察官が17歳の少年を射殺した事件への怒りの暴動もあったばかりだからだ。「服従しないフランス」(LFI)の国会議員グループのリーダーのマチルド・パノ下院議員はツイッターで、マクロン大統領とボルヌ首相が革命記念日の前夜と当日に最大13万人の警官と憲兵を動員して「フランス国民を守る」としていることに疑問を呈している。(2023/07/13)


政治
<プロ>の政治家たちは政治学の教養があるのか?  仏歴史家・哲学者ピエール・ロザンヴァロンの重すぎる問いかけ 
フランスの著名な歴史家・哲学者で、コレージュ・ド・フランスという権威のある教育機関で講義をしているピエール・ロザンヴァロンという人がいます。『福祉国家の危機』や『良き統治』『カウンター・デモクラシー』などの著書があります。この人はTVにもよく出演していますが、マクロン大統領の政治について、興味深い発言をしています。マクロン大統領の政治スタイルは、自分に反対する人々を徹底的に警察力で封じ込めることが特徴でした。警察の放ったLBDと呼ばれるゴム弾で多くのデモ参加者が片目を失明しています。(2023/07/12)


コラム
現在の国会は正当性があるか? 昨年の参院選で行われたNHKによる誘導(安倍元首相狙撃事件報道)
日本の国会は二院制ですが、昨年7月に行われた参院選は選挙無効ではないか、と私は思っています。というのは、直前に起きた安倍元首相狙撃事件に対して、マスメディアは旧統一教会の問題が事件の根底にあったことを隠蔽していました。それだけでなく、NHKは翌日、NHKスペシャルで、この事件を報じながらも銃社会のテロ問題に主なテーマを設定し、旧統一教会の問題には触れなかったのです。しかし、後日明らかな異なったように、原因は旧統一教会の問題にありました。私はNHKは国民の目を真実から反らしたのだと思います。(2023/07/10)


コラム
「アパルトヘイトは合法だった」 皆、歴史の審判を受ける その2 米国という宗教
前回、フランス語で書かれたあるメッセージがSNSで回っていたことを書きました。そのメッセージとは次のような文言です。「アパルトヘイトは合法だった。ホロコーストは合法だった。奴隷制は合法だった。植民地支配は合法だった。合法性というものは、権力者のものであり、正義とは異なる」これは様々な視点から読むことができると思います。(2023/07/09)


コラム
「アパルトヘイトは合法だった」 皆、歴史の審判を受ける
フランスでは移民の子弟である17歳のナヘルという名前の若者が交通違反をし、その取締りにあたった警察官に射殺されるという事件がありました。警察官がこの若者を撃ち殺す必然性がなかったことが映像で広まり、全国的に大きな怒りを巻き起こし、その暴動から逮捕者数千人という事態となりました。そして、そんな最中に私は1枚のメッセージをSNSで目にしました。(2023/07/07)


コラム
私たちはナンテールの蜂起である パトリス・マニグリエ(哲学者 Patrice Maniglier)
「黄色いベスト」が人々にとって真の出来事(革命的事件)と呼ぶに値するものであったかどうかを評価できるのは今である。仮にもしそうだったのであれば、現在起きている暴動は2005年の暴動よりも幅広い国民の理解を得ているはずだろう。たとえメディアや政治の世界のエリートたちの言説は相変わらず、常に社会史の大きな潮流とは無縁で、それらはゴミ箱に入れるべきだとしても。もしこのように人々の理解が拡がったのであれば、この一連の流れから何か新しいもの、新しい社会の協定、つまり真の政治的発明が生まれるだろう(それはフランスの政治家たちが長い間やってこなかったものである。彼らは単に民衆を操作することだけで満足しているのだ)。(2023/07/01)


国際
パリ郊外の都市ナンテールで警察が17歳の少年を射殺 現場動画が公開され各地で抗議
 新型コロナが流行し始めた2020年5月に米国のミネアポリスで、警察官が黒人を路上で窒息死させるシーンが動画で世界に流れ、人種差別として大きな抗議の波が起きた。そのフランス版とも見える事件が今週火曜日にパリ郊外のナンテールの路上で起きた。交通法規違反の17歳のドライバーを取り締まろうとしたバイク部隊の警官が、警察と赤信号を無視して車を発進して逃げようとした少年を射殺したのだった。(2023/06/30)


コラム
NHK組織を変えた安倍方式 トップダウン戦略の衝撃 〜NHKにチャーチルなし〜
インターネット上の議論を読んでいて、第二次安倍政権以後のNHKにおける報道の劣化を、放送局員の意識の劣化と簡単に結び付けている議論を何度か目にしました。誤りというわけではないとしても、単純化されすぎていると私には感じられます。そこで私の見立てを記したく思います。(2023/06/30)


国際
2米紙「ワグネル傭兵部隊創設者はショイグ国防大臣とゲラシモフ参謀総長を拘束する計画だった・・・2人は事前に察知して隠れた」クレムリンはこれを否定
ドイツのDWはウォールストリートジャーナルなど2米紙が、ワグネル傭兵部隊創設者はショイグ国防大臣とゲフ参謀総長を拘束する計画だった・・・2人は事前に察知して隠れたとする報道を行っており、クレムリンがこれを否定していると報じた。ニューヨークタイムズも事前にロシア国防省の将軍たちもプリゴジン氏の計画を事前に察知していたと報じたとされる。(2023/06/29)


国際
ワグネル傭兵部隊創設者の反乱に関し、国防軍のセルゲイ・スロヴィキン将軍が逮捕される
プリゴジン氏の背後にいると目された国防軍のセルゲイ・スロヴィキン(Sergei Surovikin)将軍*が逮捕された。前のウクライナ侵攻軍の最高司令官であり、プリゴジン氏が尊敬していた軍人であり、セルゲイ・ショイグ国防大臣とは異なる立場にあった。このスロヴィキン将軍については、米諜報部はプリゴジン氏が反乱を実行する前にその情報をつかんでいたと見ている。(2023/06/29)


国際
アフリカにおけるワグネル傭兵部隊の活動 〜水面下でのNATO勢力との死闘〜
ワグネル傭兵部隊の海外報道を見ていて、よく出てくるのがワグネルグループのアフリカにおける活動です。とはいえ、ロシアの傭兵部隊がアフリカでいったい何をしているのか、理解している人はほとんどいないでしょう。かつて、リビアにサルコジ大統領が軍を派遣して、カダフィ大佐を始末した時、カダフィの息子たちを含む一族を守ろうとしていた軍勢にロシア人部隊があったことをフランスのジャーナリストが『サルコジーカダフィ』という本に記していました。ロシアの軍勢は、冷戦終結後、フリーハンドで活動し始めた米国やNATOに対して、一定のカウンター活動を繰り広げていたことがうかがえます。(2023/06/29)


国際
プリゴジンの反乱を支援したロシア国防省の将軍たち
ロシア連邦国防省の将軍たちの中にプリゴジンの反乱を支援していた人物が存在するのではないかという見方をニューヨークタイムズは伝えた。プリゴジン氏が尊敬していた前のウクライナ戦争の総指揮官だったSergei Surovikinもその可能性が取りざたされており、しかも、彼だけではないようだ。現在の国防大臣の戦争方針に対する国防軍の内部での疑問が募っている可能性がある。こうしたことが米高官に伝えられた模様である。(2023/06/28)


国際
ロシアの次期大統領は誰に?  
ニューヨークタイムズでロシアのNovaya Gazetaというメディアの元幹部Andrei Kolesnikov氏が興味深いコラム「Yesterday’s Putin Is Gone」を書いていたので、その一部を紹介します。ドイツのDWや先のニューヨークタイムズなどの分析と同様に、今回の事件で、プーチンの権力の掌握力が綻びている、弱さが露呈したとしています。そのうえで、プーチン大統領がプリゴジン氏よりも怖れているであろう人物が、プーチン大統領やメドベージェフ元首相(元大統領)への批判を行ってきて現在、刑務所にいるアレクセイ・アナトーリエヴィチ・ナワリヌイ氏であることです。2014年に「進歩党」を創設して党首になっています。(2023/06/27)


文化
フランチェスコ・ロージ監督『遥かなる帰郷』(1997:原作はプリモ・レーヴィ作『休戦』)
20世紀の1つの象徴とも言えるアウシュビッツ強制収容所から、ソ連軍に解放されてイタリアまで帰還の旅をする化学者プリモ・レーヴィの記録文学『休戦』を原作にした映画『遥かなる帰郷』は、1997年にイタリアの名匠フランチェスコ・ロージ監督によって作られた。主演はジョン・タトゥーロで、この映画では化学者を演じる彼の眼差しが重要な役割を果たす。というのも、アウシュビッツからなぜ自分たちは生還できたのか?他の人びとは死んだのか?という問いは、少なからずの生存者たちの心に残る問いかけであり、レーヴィはアウシュビッツでの体験を書き記すことが自分の生きる理由であると考えたようだ。そのことはこの映画でも描かれている。(2023/06/27)


国際
NYT報道 来春の大統領選にプーチンに出馬しないよう側近が説得するかも…
ニューヨークタイムズは、プーチンの権力の掌握力が弱まったとみて、独裁的政権が終末を迎える可能性について触れた。側近が来年3月のロシアの大統領選にプーチンに出馬をしないように求める可能性である。以下の箇所は、モスクワの新聞編集者に話を聞いた時のメモだ。要は、プーチンはもはや、エリートたちの財産と安全を保障するパワーがないと見切りをつけられたのかもしれない、ということなのだ。(2023/06/26)


国際
ドイツのDW モスクワ支局長 「この件でプーチンの権力は弱まった」
 昨日来のワグネル傭兵軍団の反乱と手打ちの経緯を見たうえで、ドイツのテレビチャンネルDWのモスクワ支局長は「この件でプーチンの権力は弱まった」と言い、「プーチンの確固とした権力ピラミッドはもはや確固としたものには見えなくなった」と語った。(2023/06/25)


国際
NYT はワグネル傭兵軍の創設者プリゴジン氏が反乱を起こす準備をしていることを米当局がつかんでいたと報道
ニューヨークタイムスは、米諜報機関がワグネルのプリゴジン氏がロシア国防省に対する反乱を起こす準備をしていることを数日前につかんでいたと報じた。これはロシアが核大国であるが故のリスク情報として重視されていたという。(2023/06/25)


国際
ロシア政府がプリゴジン氏への嫌疑を取り下げ、プリゴジン氏はベラルーシへ  ブリゴジン氏がウクライナ戦争の大義へ疑問をつきつける
ロシア政府は反乱を起こしたプリゴジン氏への嫌疑や反乱罪の適用を避け、取引が成立し、プリゴジン氏はモスクワ攻略は放棄し、ベラルーシへ出国したと伝えられている。ニューヨークタイムズと同様に、ロイター通信はワグネル創設者のプリゴジン氏がロシア連邦国防省上層部とウクライナ戦争をめぐって確執があったことを伝えている。(2023/06/25)


国際
ワグネル傭兵軍がモスクワまであと100キロまで北上 政治家・大富豪らが私有ジェットで逃亡中
政治ストラテジストのジェイソン・ジェイ・スマート氏は、ワグネルの反乱軍が北上を続け、モスクワまで100キロ地点に迫っているとツイートした。モスクワの政治家や大富豪たちは私有のジェット機で逃げているとされる。(2023/06/25)


国際
ワグネル傭兵軍がモスクワまで450キロ地点を突破して北上中 ウクライナ政府顧問のツイッターから  エリートらが背後にいるクーデター説も
ロシア政府軍と民間軍事会社のワグネル傭兵軍との内戦で、ワグネル傭兵軍が北上してモスクワを目指している模様。この情報はウクライナ政府顧問アントン・ヘラシチェンコ氏(元国会議員)のツイッターから。反乱軍はモスクワから450キロのLipetsk を通過した模様。 (2023/06/25)


国際
wagner傭兵軍とロシア連邦国防大臣や将軍たちとの間に戦争指揮をめぐる確執
ニューヨークタイムズは、傭兵グループのワグネルの創設者プリゴジン氏と、ロシア連邦国防大臣や将軍たちとの間にウクライナでの戦争をめぐる考え方の対立が存在していたと報道。ウクライナで戦闘を続けていたワグネルのキャンプが爆撃されたとして、プリゴジン氏がロシア連邦国防軍に報復をすると言っていた理由が、これなのかもしれない。(2023/06/24)


国際
ロシアで傭兵軍と正規軍の内戦が始まる
ロシアの傭兵グループWagnerがロシア政府に反逆し、ウクライナ東部に近いロシア南部で内戦が始まった。(2023/06/24)


沖縄/日米安保
バイデン大統領は対日兵器営業部長 「社長」はオバマ
バイデン大統領が岸田首相に3回も防衛予算増大を勧めたとスピーチで公にしたことが日本で波紋を呼んでいます。もちろん、それは当然のことではあり、日本が外交においても、さらには財政においても主体性を持ち得ない国であることを暴露してしまいました。日本にとって大切なことは日本と米国は存在する地理的状況も歴史的状況もまったく異なっていると認識することで、そこに日米で同じ国益があるという風に考えたことに誤りがあります。前に日刊ベリタで何度か指摘しましたが、米国に誘われて中国と戦争を始めたとしても米国が途中で抜けてしまう可能性もあることです。そうなった場合に日本一国でも大義のために戦うのか、というところを考えないと戦争を遂行することは不可能です。(2023/06/23)


みる・よむ・きく
戦後憲法の生成を批判的に描いた『日本独立』(2020)
2020年暮れに公開された伊藤俊也監督の『日本独立』は、占領下における日本国憲法生成に関わった人々の思いと行動を群像的に描いた歴史映画です。といっても群像の中心はマッカーサー元帥を頂点とするGHQと日本政府の間でコミュニケーションを行う役割の英国帰りの白洲次郎と白洲と等しかった外相(当時)吉田茂の2つの視点に多くが割かれています。この映画では日本人の思いに反して、戦勝者であるGHQが日本人が主体的に作成したという名目で、実態としては統治のためにやってきた米官僚・軍人たちが基本を作り、押し付けたという過程が描かれています。GHQが押し付けた、というのは恐らく実態としてそうだったでしょうし、それを悔しさをにじませながら飲まざるを得なかった日本の政治家たちの思いもおそらくそんなものだったであろうと、思えます。(2023/06/22)


文化
ニューウェーブ歴史映画論  『朝鮮総督府』と『台湾総督府』
昨日、ニューウェーブの戦争映画あるいは歴史映画が今世紀になって欧米で生まれてきていることを書きました。それらの作品は、通常の一人の主人公の目線で葛藤を克服するドラマツルギーではなく、史実に基づくとともに複数の、あるいは多数の登場人物と視点を併存させつつ1つの出来事の全貌を描こうとするものだと書きました。ドイツ映画の『ヒトラー最期の12日』とか『ヴァンゼー会議』あるいは米映画の『硫黄島からの手紙』などです。実は、今日、歴史学会でも文学の世界でも歴史学が大きな変化を起こしており、歴史と文学、ジャーナリズムと文学の境界領域を進む斬新な小説や映画などの作品がフランスなどで続々と作られつつあります。(2023/06/21)


みる・よむ・きく
21世紀のニューウェーブの戦争映画試論  複数の視点と歴史への問い 
今世紀に入ってドイツの『ヴァンゼー会議』や『ヒトラー最期の12日間』あるいは米国の『硫黄島からの手紙』など、戦争・戦闘の全貌あるいはある出来事の全貌を多数の視点を絡ませてポリフォニックに描く戦争映画、もしくは歴史映画が複数制作されました。これらはハリウッド的な主人公がある課題を解決するまでの葛藤を描くタイプの1つの視点をたどる映画とは異なる思考で貫かれているように感じます。そして、そのことは歴史叙述のテーマと関係しているように思われます。(2023/06/20)


みる・よむ・きく
敗色濃い日本軍を描いた米映画『硫黄島からの手紙』(2006)
硫黄島と言えば太平洋戦争でも激戦地で知られた島であり、この島を占領されれば本土防衛が難しくなると言うことで決死の戦いを求められながらも海軍も陸軍も増援が来なかった。この玉砕覚悟で米軍を迎え撃つ日本軍の死闘を描いたのは米国人のクリント・イーストウッド監督でした。『硫黄島からの手紙』は『父親たちの星条旗』と同じ2006年に公開された硫黄島の戦いを日米それぞれの側から見つめた姉妹作品ですが、日本軍を見つめた『硫黄島からの手紙』の方がはるかに出来が良いと私は率直に感じました。(2023/06/19)


みる・よむ・きく
日本政治を描いた日本映画『はりぼて』(ドキュメンタリー)と『新聞記者』(ドラマ)〜 敵は何なのか?〜
日本政治を描いた日本映画『はりぼて』(ドキュメンタリー)と『新聞記者』(ドラマ)は、それぞれ勇気のある作品で、その意義を評価していますし、それらが成功したことも喜ばしいことと思っています。そのうえで、若干私が不満を感じたことを書きたく思います。私の指摘通りに修正しても映画の完成度とか、集客力が上がると思っているのではありません。ただ、観客として率直に感じた点が1つ2つあったのです。それは、説明をもう少し加えてほしいと思った点でした。(2023/06/17)


みる・よむ・きく
ナチ犯罪を振り返るドイツ映画『ヒトラー最期の12日間』(2004) 〜ブレヒトを越えた群像劇〜
 名優のブルーノ・ガンツが1945年4月から5月にかけてのヒトラーを演じたドイツ映画『ヒトラー最期の12日間』(2004)は、昨年公開の『ヴァンゼー会議』と並んで、ナチスの歴史を正面から問う映画でした。『ヒトラー最期の12日間』は、その一部が切り取られて、しばしばツイッターで暴君のパロディに日本語の偽吹き出しがつけられて、当時の安倍首相への風刺として使われていたことを覚えています。まさに東からソ連の赤軍に、西から英米を軸とした連合軍に包囲され、首都防衛が不可能となりつつある頃でした。(2023/06/13)


みる・よむ・きく
ナチ犯罪を振り返るドイツ映画『ヴァンゼー会議』(2022) 
昨年公開された『ヴァンゼー会議』(邦題は『ヒトラーのための虐殺会議』)もまたナチ時代の犯罪を見つめた1本です。バンゼー会議は1942年1月にドイツで開かれ、ユダヤ人問題の『最終解決』を決めたとされる極めて重要な会議です。この映画はほとんど丸ごと会議を再現したらしく(会議録を読んだことがないので、脚色がどの程度施されているか、私は知りえないのですが)、その意味でも映画として特殊です。通常の映画のドラマツルギーとは異なっていて、おそらく事実のままの再現ではなく(もちろんそんなことは不可能でしょうが)、親衛隊大将でナチNO3のハイドリヒや、この会議で書記を担当したアイヒマン、さらにその上官や、内務省高官、外務省高官、それぞれの占領地域を担当している高官たちなど、それぞれの考え方や立場を描き分けて、効果的にセリフに落とし込んでいるという印象を受けました。(2023/06/12)


みる・よむ・きく
ナチ犯罪を振り返るドイツ映画『アイヒマンを追え!』(2015),『顔のないヒトラーたち』(2014)
最近、私はamazonのprimeビデオで、ドイツ映画を何本か見ました。いずれもナチスに関連した映画でした。中でも強い印象を与えられたのは、『アイヒマンを追え!』(2015)と『顔のないヒトラーたち』(2014)でした。これらはドイツの敗戦直後に連合国によって行われたナチ戦犯を裁いたニュールンベルク裁判(1945−1946)とは異なり、ドイツ人が自国でナチ戦犯(アウシュビッツ強制収容所の看守など)を裁いた1963年から1965年にかけてのヘッセン州(フランクフルトがある)でにおける裁判を描いた現実に基づくドラマです。ドイツ人は自国で戦争犯罪を裁いたということで、そうした裁判を自主的に行い得なかった日本とは歴史に対する責任の取り方が決定的に異なり、歴史認識の差を象徴するものでもあります。(2023/06/11)


コラム
本の文明とデータの文明
20世紀の終わりから今世紀の最初のほぼ四半世紀に人類の文明はいろんな面で大きく変化を遂げました。本の文化もその1つでしょう。紙の本は次第にデジタル書籍へと変わりつつあります。また、町のリアルな書店がどんどん消滅しつつあります。これは、単に本の消費のされ方が紙の本からデジタルというデータの集積に移行した、というだけの変化なのでしょうか。(2023/05/06)


コラム
21世紀の植民地主義〜小泉首相と安倍首相によるナショナリズムの粉砕〜その10
安倍晋三総裁が2012年の選挙の時に「日本を、取り戻す」という標語を大々的に掲げて、ナショナリストの象徴と見せかけたことは多くの人の記憶にあることでしょう。しかし、安倍首相は韓国のカルト教団の盟友であり、それは祖父の時代からのものだった。安倍首相をバックアップしたネトウヨや在特会の運動が嫌韓運動を繰り広げていた最中に安倍首相がこれほどの密なつながりを韓国のカルト教団と持っていたことは本来的にはナショナリズムを標榜する人々には大きな衝撃だったはずだし、もしそうでなかったなら、彼らの思考は根無し草に過ぎなかったと言われても仕方がないだろう。(2023/05/03)


コラム
21世紀の植民地主義〜日本植民地主義の聖地「下関」、朝鮮と台湾、長州閥〜その9
安倍首相はかつて長州だった山口県の出身政治家であることを誇りにしていました。前回述べたように朝鮮植民地化のレールを敷いたのは長州藩出身者たちだったと言っても過言ではありません。そして、朝鮮半島植民地化と台湾の植民地化の始まりとなった日清戦争の講和条約が締結された場所が、最近は旧統一教会の「聖地」とも人口に膾炙した山口県の下関でした。下関市の料亭・春帆楼で日本側全権が伊藤博文・陸奥宗光、清国側全権が李鴻章・李経方で講和会議を行いました。長州藩出身の伊藤博文は最初の韓国統監で、朝鮮から内政も外交も独立国としての一切を奪い取った政治家です。(2023/04/30)


コラム
21世紀の植民地主義〜朝鮮半島植民地化と長州閥〜その8
朝鮮半島植民地化の歴史が、現在の「エリート」日本人による日本植民地化のヒントになると前に書きましたが、日本植民地化の先鞭をつけたのは私の仮説では小泉首相で、それを本格化したのが安倍首相でした。安倍首相の時代になって、国会できちんとした議論が行われなくなりました。憲法改正前から、実質的に憲法がなし崩しとなっていき、投票率が低下し、実質的に日本国民から参政権が失われていきました。安倍首相が誇りに思っていたのが祖父の岸信介で、満州国という植民地のトップレベルの行政官でした。(2023/04/28)


みる・よむ・きく
21世紀の植民地主義 〜「21世紀の初頭から世界的に退行」〜 その7
 昨年、河出書房新社から出版されたエドガール・モラン著『百歳の哲学者が語る人生のこと』(翻訳:澤田直)は、社会学者モランの遺言とも読める中身が詰まった一冊です。モランは世界の複雑さについて語り、なかなか簡単に未来予測はたてられないと率直につづっています。また、ナチズムやスターリニズムに対する無知や見通しの甘さから予測を誤った自己の経験についても語っています。しかし、そのうえで、モランは現代の危機について、こんな風につづっています。「最後に、欧州をはじめ世界中で、議会制を装う権威主義的政治制度が形成され、とりわけ中国の新全体主義が、電子監視体制によって打ち立てられたことは、二十一世紀の初頭から世界的に退行が起こっていることを証言しています。(2023/04/27)


コラム
21世紀の植民地主義 〜朝鮮植民地化と同じことを日本国民に〜 その6
今、歴史の中で大きな変動が起きつつあるのではないでしょうか。変化は極めてゆっくりしているように思えるでしょうが、ある瞬間に一気に断層が生まれ、昨日までとは完全に異なる国にいた、ということが起き得ます。特権を握った一部の人々のグループが全権を握り、残りの日本国民はすべて植民地の住民とされて、搾取される・・・このスキームは、今の時代に奇想天外に思えるかもしれませんが、自民党が準備している緊急事態条項や憲法改正はまさにそれである可能性が高いのです。(2023/04/25)


コラム
21世紀の植民地主義 〜日本国民の上に君臨する「高天原族」〜 その5
日本の内部に植民地を作る、というより日本を丸ごと植民地にして、日本人を支配する…その支配者が日本人だとしたら、どう考えたらよいのか。このような仮説を作る場合、日本人の上に立つ「高天原族」というものを仮に想定してみたいと思います。日本人を統治するために天から降臨したエリート集団というイメージです。私は今の自民党を中心とする政界や財界、マスメディアが形成している特権的集団というのは、この高天原族みたいなものではないかと思います。特定の民族的概念ではありませんが、同質の利益集団です。たとえば選挙に立候補する時に一族の家系図を披露するようなケースはその典型でしょう。とはいえ、一か所に集中しているのではなく、日本の各地にこのような人々は存在し、利益集団を形成しています。(2023/04/23)


みる・よむ・きく
NHK特集(1985)『日米開戦不可ナリ〜ストックホルム 小野寺大佐発至急電〜』
かつてNHKは優れたドキュメンタリー番組を作ることで知られた放送局でした。時代の真実に切り込んだ番組の1つが1985年に放送されたNHK特集『日米開戦不可ナリ〜ストックホルム 小野寺大佐発至急電〜』です。これは情報が国民の運命を決めるインテリジェンスの重要さを実証した傑作です。現在のNHKの報道とは決定的に異なるエートスがこの番組にはあるのです。もちろん、NHKの中には今日でも優れた番組を作る人はいるのでしょうが、全体としてみれば権力の言うがままにインテリジェンスとは無縁の報道を続けています。(2023/04/23)


みる・よむ・きく
鈴木江理子・児玉晃一編著『入管問題とは何か 終わらない<密室の人権侵害>』
明石書店から昨年出版された鈴木江理子・児玉晃一編著『入管問題とは何か 終わらない<密室の人権侵害>』は、今、国会で審議が進行している入管法改正(改悪)問題と深くつながるテーマで、11人の人々が様々な立場でこの問題を論じた画期的な書です。この問題に長年取り組んできた「移住者と連帯する全国ネットワーク」共同代表理事で大学教授の鈴木江理子氏と外国人の法律問題に長く取り組んできた児玉晃一弁護士が共同で編者となっています。執筆者には他に朴沙羅、挽地康彦、高橋徹、井上晴子、周香織、安藤真起子、木村友祐、アフシンがいます。(2023/04/22)


コラム
21世紀の植民地主義 〜自国植民地支配のために天皇制も危機にさらす〜 その4
すでに1回目から3回目まで、日本自体が自民党政権から植民地化されつつあるのではないか、という仮説を書いてきました。日本の国際的地位の低下、国民経済の衰退、一部富裕層と対称に庶民の暮らしの困窮化、教育費の高騰、自由貿易協定における国民の権利の削減、安保法制における国民の権利の削減条項など、この20年余りのトレンドを1つ1つ重ねていくと、日本人の大衆すなわち「負け組」を植民地住民化しようとしているように見えてきます。これは明治維新の時の帝国主義につながったナショナリズムとは一線を画しています。一見、安倍政権はナショナリスト政権のように見えましたが、先述のように北方領土はほぼ永久に取り戻せなくなりましたし、米国への追従は増しています。中東の2人の日本人の人質の命を救うことさえできませんでした。さらに、日本の国力が衰退しても、責任を取ろうという政治家が与党にいるようには見えません。(2023/04/20)


人権/反差別/司法
21世紀の植民地主義 〜外国人研修生の苦難は明日の日本人の運命〜 その3
21世紀の植民地主義は、自国を植民地とする新植民地主義ではないかという仮説の3回目です。自民党が憲法から、国民主権や基本的人権を削除したがる理由というのは、それが「植民地の人間(支配される日本人)に対して」だからというのが一番、わかりやすいと思います。基本的人権が憲法から奪われた場合、労働基準法もまた奪われるものです。まさに、自国を植民地にする理由がここにあるので、こう考えてみると、多くの事象に理解が及ぶのではないかと思います。支配者のグループと、被支配者のグループの間で、いずれは大きな壁ができるはずです。現在も着々と目に見えない「壁」は建設されています。(2023/04/19)


コラム
21世紀の植民地主義 〜自国を植民地にして今後はもっと苛酷に収奪する〜 その2
「日本の与党政治家が日本国を植民地にする?バカも休み休み言え」と保守の人から送られるかもしれません。しかし、過去20年の間にこの国で、さらに他の先進諸国で進行している現象を見ると、多くのことが私の仮説を裏付けているのです。「アメリカファースト」とか、「都民ファースト」とか、「国民ファースト」というスローガンを極右・ナショナリストの政治家は拡散しますが、これは前回のコラム1で私が書きましたように、まさに「自国植民地化」の兆候です。すなわち、植民地化を隠蔽するために、ナショナリストを偽装する必要があるのです。(2023/04/17)


コラム
21世紀の植民地主義 〜自国を植民地にして敗者から収奪する〜その1
 植民地と言えば、1960年代のアフリカ諸国の独立を機にほぼ地球からなくなった〜西サハラは別として〜と思われてきたが、実は21世紀の新植民地主義が新しい展開を見せている。すなわち、他国に攻め入るのは難しいので自国を植民地にして、自国民を一握りの勝者とおびただしい敗者に分け、敗者を奴隷にする、という画期的な政治システムだ。(2023/04/16)


みる・よむ・きく
真野倫平著『アルベール・ロンドル〜闘うリポーターの肖像〜』(水声社)
真野倫平著『アルベール・ロンドル〜闘うリポーターの肖像〜』(水声社)は今、メディアをめぐって議論が起きている日本で読まれてほしいタイムリーな企画だ。本書はフランスのジャーナリスト、アルベール・ロンドル(1884−1932)の伝記である。日本ではあまり知られていない名前だが、フランス語圏ではよく知られたジャーナリストで、「アルベール・ロンドル賞」と言えば、その年に最も優れたグラン・ルポルタージュを書いた記者に与えられる登竜門的な賞だという。ジャーナリズム版のゴンクール賞とか、フランス語圏版のピューリッツァ賞という評価まであるようだ。(2023/04/12)


みる・よむ・きく
タイムリーな企画 真野倫平著『アルベール・ロンドル〜闘うリポーターの肖像〜』を読みながら
現在進行形の読書中ですので、読後に改めて書評を書いてみたいと思っていますが、真野倫平著『アルベール・ロンドル〜闘うリポーターの肖像〜』(水声社)は今、メディアのあり方をめぐって議論が起きているこの国で読まれてほしいタイムリーな企画だと思いました。本書はアルベール・ロンドルの伝記ですが、日本ではほとんど知られていない名前かもしれません。しかし、フランス語圏ではよく知られたジャーナリストの名前です。とはいえ、恥ずかしながら、私自身が本書を手に取るまで無知でした。(2023/04/05)


国際
裁判のためにニューヨーク入りしたトランプ前大統領を映し出す望遠レンズ
トランプ前大統領はニューヨーク州の大陪審に起訴され、米日時で4日、ニューヨーク州の裁判所で罪状認否を行うために、米時間で4月3日ニューヨークのラガーディア空港に自分のジェット機で到着しました。罪状は明確にはわかりませんが、ポルノ女優との不倫関係で払った口止め料支払いをめぐる問題が絡んでいるなど、メディアでささやかれていますが、具体的なことは外部にはよくわかりません。起訴された罪状も複数にわたっている模様で、30に及ぶという報道もあります。ただ、今回の起訴は、大統領選の開票結果に絡んだ2021年1月6日の米議会襲撃事件とは関係がない模様です。(2023/04/04)


欧州
フランスの民衆の闘争がサント=ソリーヌの巨大貯水場計画への反対へ 〜背後には気象変動・夏の渇水による農民の危機と大手穀物企業〜
 年金制度改正問題で大揺れに揺れたフランスで、新たな民衆の闘争として注目されたのがフランス西部のサント=ソリーヌの巨大な貯水場建設計画の問題だった。実は、私はデモ隊と警察隊が緑のぬかるみ的な田園地帯で対峙し、ここでも再び乱戦模様になっている様子の動画や写真をSNSなどで見た。しかし、最初は何が起きているかわからないままだった。(2023/04/02)


コラム
早く訳されてほしいパトリック・ブシュロン編『Histoire Mondiale de la France ( 世界の中のフランス史)』
私が最近、早く訳されてほしいな、と思っている本がフランスの歴史学者パトリック・ブシュロンが編集した『Histoire Mondiale de la France ( 世界の中のフランス史)』です。これは原書で750頁を越える大著で、フランスの歴史学者ら129人による共著なので、訳すとなると大変な作業になることは確実でしょう。しかし、その価値のある本だと思います。何がよいのか、と言えば、本書のコンセプトが『国民の歴史』と反対になっていることです。(2023/04/02)


政治
維新・国民・「有志の会」(衆院会派)の改憲案〜戦時に議員任期を6か月ごとに無限に延長可能〜狙いは内閣が戦犯になるのを防ぐこと
維新・国民・「有志の会」(衆院会派)が提案している改憲案を国民民主党のウェブサイトで見ました。6か月が「上限」の議員任期の延長は上限とは名ばかりで、6か月ごとに再度、任期の延長をすることができるようになっています。任期延長は災害やテロ、感染症などの場合に内閣の発議を受けて、出席議員の3分の2以上で決定可能となります。したがって、半年ごとに同じことを繰り返すなら、選挙は永遠にない国になる可能性があり、議員が生涯議員になることも理論上は可能なのです。(2023/03/30)


検証・メディア
マクロン大統領の独占インタに「それは嘘」と大手労組事務局長が抗議
マクロン大統領の年金制度改正案ごり押しに国民が怒って通りに繰り出している状況を前に、マクロン大統領の言い訳独占インタビューを3月22日にフランスのテレビTF1が放送したことを書きました。その様子が安倍首相にペラペラ言いたい放題話させたNHKとそっくりだったことも指摘しました。これを見た大手労組CFDTの事務局長が「それは嘘」と抗議しています。以下が、それが報じられたラジオフランスの記事です。これを見ると、フランスのテレビが忖度報道となって安倍チャンネル化しているとしても、ラジオはまだ健全な印象です。(2023/03/25)


検証・メディア
安倍首相の話したい事だけを話させたNHKとそっくりのTF1(フランス) マクロン大統領が言いたいことだけ話す
フランス政府の安倍化が進んでいると以前書きましたが、問題となっている年金制度改革法のごり押し法制化の後、民衆の怒りがさらに高まっている中、マクロン大統領がテレビ(TF1)のインタビューで語る45分の番組がありました。(2023/03/23)


国際
パリの夜 49条3項という手段に対する怒りに揺れる町
年金制度改正案 第五幕と銘打ったパリの騒然とした夜の動画がYouTubeに上がっています。CLPRESS / Agence de presseの動画です。動員された警察によって催涙弾が用いられているようですが、失明者を続出させたゴム弾は、この動画を見る限りは使われていないようです。(2023/03/22)


国際
NYTでも報道されたパリのゴミの山 ゴミ回収労働者たちが年金制度改正案に反対してストライキ
先日、フランスで年金制度改革法案をボルヌ首相が憲法49条3項という下院での採決なしに法制化したことを書きましたが、その少し前にニューヨークタイムズはパリのゴミの山を取り上げていました。(Garbage Mounts in Odorous Last Stand Against France’s Pension Change) これはゴミ回収労働者たちが、年金受給年齢を2年引き上げて64歳まで労働させる改正案に対抗して行っていたストライキでした。パリだけじゃなく、他の都市でも一斉に行われていました。花の都パリもゴミの袋が通りに高く積み上がる有様。(2023/03/22)


コラム
58歳で大学院に進学 「いい年をして無理しないで」と言われつつ
私は58歳といういい年の初老の人間ですが、この春、大学院に進学する予定です。経済が右肩上がりの時代の昔だったら、退職後に悠々自適で教養を深めるゆとりたっぷりなイメージだったと思いますが、私の場合は未来の年金手取り額が月額4万円程度なので、とても普通の年よりの未来とはなり得ない気がします。ですから、教養を深める、ということも大切でしょうが、より切実なことは、学んだことを仕事に活かしていく、ということが期待されるのです。(2023/03/21)


国際
フランス内閣への不信任動議はわずか9票足りず否決される 圧倒的な大衆の反対の声を押し切り年金制度改正案を法制化
フランスの下院577人の議員の多数決で、過半数まで9票足りず、内閣への不信任動議が否決され、年金制度改革案が法制化されることになった。これは先日、ボルヌ首相が憲法49条3項を使い、下院での議論と採決を打ち切り取った反民主主義手段だった。この結果、多くの人々が怒りを表明している。(2023/03/21)


人権/反差別/司法
男女の平等を阻害する世襲政治 〜経済低迷の主犯が世襲政治にあり〜
世の人々の眼にも現在の日本の没落の元凶に凡庸で、政治家として立候補する真の動機に欠ける世襲制度の政治があることはくっきりと見えてきたと思われます。これは江戸時代さながら、岸田首相の秘書官から、政治家としてデビューするに際して家系図をネットで示した岸家の後継者まで、アンシャン・レジーム(旧体制)の存在を明確に見せています。フランス革命における旧体制とは、王侯貴族とカトリック教会の聖職者が特権階級として、その他の平民を統治する差別社会でした。日本は今も、実質的に日本の方針を決める政治家という重要な職業が世襲で決められる割合が他の先進国よりもずっと高いとされています。特に自民党では世襲政治家が3割以上に上るとされます。(2023/03/19)


欧州
フランスのボルヌ首相が年金制度改正案でも49条3項という非民主的手段を採択すると告知 〜安倍政権化するフランス政府〜
ついにボルヌ首相がこれまでも連続して続けてきた憲法49条3項を使い、下院の議決をすっ飛ばして年金制度改正法案をごり押しする手段に打って出た。年金受給年齢を2年引き上げると言うだけでなく、男女差別の問題など様々な問題があるため、1月以来、100万人規模の大規模反対デモやストライキが繰り返されてきた。これはボルヌ首相に49条3項を今度も使ったら、ただじゃ済まさない、という示威運動だったのだが、マクロン大統領とボルヌ首相は強気で来た。野党陣営は国会で、ラ・マルセイエーズを歌い、抗戦の意志を示しており、24時間以内に内閣に対する不信任動議が出されて、採決される。不信任案が勝てば内閣解散になり、法案も流れる。しかし、不信任案が否決されれば法案が通ってしまうのだ。(2023/03/17)


欧州
政権批判の替え歌グループもひっぱりだこ Les Goguettes
昨日、マクロン大統領たちによる年金制度改革に反対しているAttacのLes Rosiesたちによる替え歌闘争をご紹介しましたが、今日はプロフェッショナル的に今ひっぱりだこになっているフランスの政治的な替え歌のパフォーマンス集団をご紹介します。ゴゲットという4人組の男女です。以下は、「マクロンは何一つ手放さい!」という風刺ソングです。資本家とマクロン大統領や仲間たちの思いを歌っています。(2023/03/16)


欧州
フランスの年金制度改革反対の最前線にAttacの女性たち〜替え歌とダンスで盛り上げ市民100万人単位の動員の起爆剤となる
フランスでは年明け早々、エリザベット・ボルヌ首相が年金制度改革案を発表して以来、反対のデモやストライキが再び盛り上がりを見せました。1月には控えめな内務省発表の数字でも全仏で100万を超える動員を繰り返し見せました。そして、3月7日に至っては主催者発表で300万人超の動員を見せており、CGTやATTACなどの主催団体は廃案に追い込む本気度を見せてきました。(2023/03/15)


検証・メディア
実はフランスでも大統領と”飯友”のメディア幹部たちが大問題 〜オウム / 番犬と呼ばれる人々〜
最近、岸田首相がメディア幹部を日比谷公園のフランス料理店に集めて夕食会を行ったことが報じられています。特に、放送行政の問題が国会で話し合われているその真っただ中の出来事で、メディアの腐敗ぶりがありありと浮き彫りになりました。安倍時代の負のレガシーであるメディア幹部と首相との夕食会は日本でしかありえない、欧米ではこんな愚かなことはありえない、という論をよく見受けるのですが、実は同様の事態はフランスメディアでも進行しています。(2023/03/15)


コラム
ソ連時代の検察官に思考が似ている高市早苗さん
高市早苗元総務大臣に対する国会での質疑応答を聞いていて、思い出したのは1986年頃、大学の刑法ゼミで話を聞いたソ連の現職検察官のことだ。私のゼミの教授だった中山研一教授は、刑法が専門だったが、ソ連法とポーランド法の専門家でもあり、ロシア語も堪能だったので、ある時、ソ連の現職検察官がゼミにやってきて、話を聞いたことがあった。(2023/03/14)


検証・メディア
ポスト安倍時代の抗争〜総務省内部文書問題が照らし出していること〜
朝日新聞の記者だった鮫島浩さんがSamejima Timesで書いていたことですが、朝日新聞社を始め大手新聞社が政府批判的な内容につながる記事が書けなくなっていった背景には、紙媒体の売り上げ部数現象から来る構造的な危機がベースにあり、政府の広告費(一種の補助金)なくして社員を養えなくなってしまった、という現実があったらしいことです。私たちは外側から見ている限り、なぜ安倍政権下で、大手新聞社や放送局の幹部たちがことあるごとに官邸と夕食会などを行っているのか、理解不能でしたが、鮫島氏の情報から、なんとなくですが、背景事情が推察できることになりました。新聞社が事情を読者に説明できなかった理由も、その理由が知られたら、誰も買ってくれなくなると理解していたからだと私は解釈しました。安倍政権から10年近くもこうしたことが続いてきたことを考えると身の毛がよだちます。(2023/03/11)


検証・メディア
安倍時代の残照 真実追及への執念の激減 〜下山事件以来の解決なき迷宮入り事件群〜
これは自分への反省も含めて書いていますが、この10年間、大半は安倍政権のもとでテレビの後退や週刊誌・総合誌の減少などを背景に、真相を知りたいと思うことでもなかなか知ることができなくなってきました。最近、変わったのは安倍首相の暗殺後に旧統一教会に関する事実が次々とジャーナリストたちから報じられるようになったことです。しかし、まだまだ真実探求への情熱はかつてと比べると弱弱しいものです。(2023/03/10)


政治
2015年に礒崎氏について記者会見で質問を受けていた高市氏 〜安倍首相のレガシー「ご飯論法」の切れ味〜
 高市氏は礒崎氏について知ったのは今年の3月〜今月だったと国会で答弁した。ところが・・・2015年に高市総務大臣(当時)は、礒崎氏の発言について共同通信記者の質問を受けていた。これは平成27年7月28日の記録で、総務省のウェブサイトで公開されている。「高市総務大臣閣議後記者会見の概要」である。以下の答が、高市氏の発言である。高市氏は、これも改竄文書と言うのだろうか?(2023/03/09)


政治
取扱厳重注意・総務省内部文書 高市大臣が認めようとしない「高市大臣レク結果(政治的公平について) 日時 平成27年2月13日(金)15:45〜16:00」
 総務省が発表した政治的公平性をめぐる内部文書で、高市早苗総務大臣(当時)へのレクチャーのくだり。高市氏はこのようなレクチャーがあったこと自体を否定している。総務省はこの文書が捏造ではないことを保証している。高市氏によれば、この内部文書を総務省は空想ででっちあげた、ということになる。真実はどこにあるのか?(2023/03/09)


検証・メディア
内閣法違反容疑で「礒崎氏は予算委の証人喚問に応じるべきだ」と小西参議院議員
総務省の放送行政に介入した内部文書が公開されたばかりの自民党・礒崎陽輔氏が、国会で文書を開示した当の小西ひろゆき参院議員(立憲民主党)とツイッター上でぶつかりあっている。(2023/03/09)


政治
総務省内部文書 〜「政治的公平」に関する放送法の解釈について(磯崎補佐官関連)〜厳重取扱注意
今、国会で注目されているのが、放送の公平性をめぐって圧力を自民党がかけた時の総務省内部文書。これを総務省が一般公開しました。(2023/03/09)


検証・メディア
BBCが日本メディアの間隙をついて日本の報道に乗り出す
 BBCがツイッターで、「故ジャニー喜多川氏の加害について取材 言葉を詰まらせる元ジュニア」という番組について告知していました。今、ネットでは大きな話題になっています。<今朝イギリスで放送されたBBCの番組「Predator: The Secret Scandal of J-Pop」は、BBCワールドニュースで3月下旬に放送を予定しています。日本からも視聴可能です。放送日時が決まり次第、お知らせします。・・・>(2023/03/08)


政治
情報の価値を下落させ、市民を危機にさらした高市大臣はすぐに辞職を
高市早苗経済安保担当大臣が、総務大臣だった時代に放送局を恫喝していた問題で、最近、立憲民主党の小西参院議員が国会で見せた総務省の内部文書が、与党が総務省に放送法の解釈変更をめぐって圧力をかけた証拠として浮上しています。高市氏はこの文書を捏造だと語りましたが、ホンモノだったことが確定したことを受けて、辞職を求める声が高まっています。これは高市氏本人が、文書が捏造でなかったら辞職するとタンカを切ったことによるものですが、タンカを切ろうと切るまいと高市氏は即座に辞職するべきです。(2023/03/07)


検証・メディア
「第三の敗戦」 報道のグローバル化がNHKの怠惰を埋めるかもしれない 
 昨今、第二次安倍政権以後、NHKの報道が劣化しているとはもう腐るほど語られてきました。筆者は日刊ベリタで、2014年秋の解散総選挙をめぐり安倍首相の考えをひれ伏すように聞いて、一切鋭い質問をしなかったNHKの9時のニュースの報道姿勢に厳しい批評を加えたことを思い出します。以後、NHKは本来ならNHKスペシャルで追及すべきだった様々なテーマには触れないまま、NHKは政権与党は批判しない姿勢に転じて今に至っています。(2023/03/07)


欧州
3月7日のデモに備える女性たち  年金制度改革反対デモ
フランスでは政府の年金制度改革法案が発表された1月以来、100万人単位の大規模デモが何度か行われてきました。明日、3月7日にも予定されており、これで政府案を廃案に追い込むという勢いです。この政府の改革案で最も不利になるのが女性です。というのは、女性は非正規労働者の割合が圧倒的に高く、出産と子育てでも就労期間に穴があくことが多く、年金の掛け金を払える時期が男性より短いため、政府案で満期まで働こうとすると(この改革でフランス政府は満期を64歳に変更しようしていますが)、非正規ゆえに満期まで掛け金を払うには67歳、あるいはそれ以上まで働かなくてはならないとされます。(2023/03/06)


政治
この政治では戦争になると、中国と日本とどちらを選ぶか迷う日本人が増えそうだ
岸田内閣は米国の指示に従い、中国との戦争準備に余念がない。しかも、物価高に対する効果のある政策は何一つなく、労働者は非正規と正規に二分され、貧しい人々は1日の食事代や家賃を引くと、旅行にも行けず、病院にも満足に行けない、という人が増えているだろう。しかも、マスメディアへの強まる統制で、次第に中国の情報統制と大差がなくなりつつある。昨年の安倍首相暗殺の翌日に至っては主要紙はすべて同じ見出しをつけるに至った。戦時中を振り返れば、もっと状況は悪くなうだろう。(2023/03/03)


コラム
貴重な才能と労力が政治の変革とは無縁の場所に集中
昨今、書店に行って感じるのは、総体的にノンフィクションがぱっとしなくて、様々なタイプのフィクションや漫画が花盛りという印象です。ノンフィクション、すなわち現実における真実の探求に割かれているエネルギーは少ない、という印象を受けます。そのことが、政治における腐敗の是正や政治変革への可能性を乏しくしているのです。ファンタジーの中でどれほど様々な物語が構築され、人々の胸を打ったとしても、政治の場で変革を行わない限り、何一つ現実は動きません。(2023/03/01)


コラム
メディア統制の結果が情報不足による国力の低下へと今後ますますなっていくだろう
近年、TVメディアはかつて信じられていたような情報産業ではなく、ファッション産業に変異している。ファッション産業というのは多少単純化することになるが、一言で言えば、確たる知識・情報よりも、オシャレであるかどうかをモノサシとする変化である。では、かつて日本のTVはそんなに優れた情報にあふれていたのか?そこは検証の余地があるとしても、少なくとも優れた情報を得るために、製作者たちはしのぎを削っていた。しかし、今日、国や財界から統制されたり放送局が権力者を忖度したりするようになると、もはや情報産業であり続けることはできなくなったのだ。(2023/02/28)


コラム
仏教も西洋文明も、ナチズムも「吸収」した日本 〜高齢者の集団自決、集団切腹発言〜「生産性」信仰に基づく日本型ナチズムの誕生
2016年に神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人を刺殺した植松聖は「ヒトラーの思想が2週間前に降りてきた」と語ったと報道された。そして、最近、イエール大学で教鞭をとる経済学者・成田悠輔が、少子高齢化の解決策として「高齢者の集団自決、集団切腹みたいなもの」を語ったことが報じられた。私はこれが国際的話題になったきっかけになったニューヨークタイムズの記事を読んだのだが、成田の弁明も紹介しており、決して一方的な記事ではなく、この件に関する事実を集めて、冷静に書かれていたと思う。(2023/02/18)


欧州
フランス人が大規模な年金改革法案反対デモに託した思い
フランスで昨日、歴史的な規模の市民のデモが行われました。パリ現地時間の31日の朝からツイッターでも続々と各地での参加者の模様と参加人数が報じられていきました。どこどこで3000人、どこどこで何万人という具合です。ともかく、昨日のデモは動員の数が大きな目標になっていたことは間違いありません。社会党第一書記のオリヴィエ・フォールは「これなら成功と言えるだろう」と日中、ツイートしました。実際、主催者の1つでもある労組CGTは全国で参加者は280万人と発表しました。フランス内務省は128万人と約半分の数字を掲げ、日本のメディアは主催者ではなく、取り締まる側の内務省の数字をそのまま記載していました。(2023/02/01)


欧州
パリだけで50万人が31日の年金改革法案抗議デモに参加 全土で280万人が参加
年金改革法案に反対する民衆の意志を示すために1月31日にフランス各地で反対集会やストライキが行われた。パリでも広場や通りを市民が埋め、野党発表の数字ではパリだけで50万人が参加した。(2023/02/01)


欧州
マクロン大統領が近い将来の下院解散を示唆 選挙での敗北で国会運営に支障 ボルヌ首相は49−3という非常手段の連続
 本日、年金改革案に反対する労働組合と市民による大規模デモが行われるフランス。2022年の下院議員選挙で議員数を減らして過半数を割ったマクロン大統領の「前進」は、ボルヌ首相によって49−3という下院での議論と評決をすっ飛ばして予算案や法案を作成する非常手段を続けてきた。この年金改革案でも野党の反対が強く、法案を通すなら、またまた49−3という下院での議決を飛ばすしかないだろう。しかし、これほどの重要法案を国民の代表である下院の議決をすっとばして通してしまえば、もはや政府は国民の信頼を永久に失ってしまうだろう。そもそも、世論調査でも圧倒的多数の国民が反対しているのだ。(2023/01/31)


政治
立憲民主党の思想的系譜〜野田政権発足時の民主党の「転換」を振り返る〜
立憲民主党が右傾化運動の柱になったことを先日記しました。立憲民主党に関しては、その立ち上げ時の期待を思い返すと、残念です。また、優れた議員も数多く存在しているだけに、現在の執行部の方針には疑問を感じます。とはいえ、旧民主党の思想的系譜においては右傾化は当初から組み込まれていて、いざとなれば必ず自民党に助け舟を出すという行動を繰り返してきたのも事実なのです。特に、民主党の没落の原因となった野田首相時代のことを振り返ってみます。当時、民主党議員だった長島昭久氏が著書で書いていることです。(2023/01/31)


欧州
1月31日にフランス政府の年金改革法案(年金受給年齢62歳→64歳)に各地で反対の大規模ストライキ
前回100万人超の参加者となったマクロン大統領のもとで進行中の年金改革案に反対の労働者・市民が、明日1月31日、再び大規模ストライキを計画中です。パリだけでなく、各地で行われて、民衆の力を見せる模様。(2023/01/30)


政治
間接金融時代と直接金融時代の日本の首相の違い(仮説)〜宏池会の激変とグローバル化〜
リベラル派とされた宏池会出身の岸田首相がなぜ期待外れだったのか?この理由をめぐっては、様々な見方が可能です。私は岸田首相が自分の思想を持たない権威主義的人間だったという見方を示したことがありました。しかし、一方で、客観的に振り返ってみると、昭和時代とれいわの時代で、宏池会といえども時代の波にさらされて変質したと言うこともできるのではないでしょうか。すなわち、昭和時代の宏池会の政治家たち〜池田勇人、大平正芳、宮澤喜一など〜の時代は経済の根幹をなす金の動きすなわち金融が直接金融システムでした。護送船団と呼ばれる大枠の中で、各銀行が借り手企業の体力や可能性を見ながら、成長するのを時間をかけて待つことができた時代です。政治の足元にある経済が待つことができる構造であれば、政治家も長期的な視野に立った政策を作りやすいのだろうと私は推測します。(2023/01/29)


コラム
戦後民主主義も憲法の素晴らしさも実感が持てない世代と圧倒的にリアリティを感じられた世代の間に体験の格差がある その2
  憲法改正をめぐる意識の格差の背景には、憲法のもとで過去に行われてきた理不尽な政策とそれによる社会の変容があるのではないか、と先ほど書いた。特に、平成時代の約30年間は、憲法の理念と政治・経済・社会の開きが大きくなっていた時代だった。すなわち、憲法を維持しながらも、実質改憲のような事態が社会に進行していたのだ。安保法制が制定された2015年は大きなデモが行われたが、憲法9条に限らず、様々な面で憲法の実質廃棄が平成時代に進行していたことをもっと重視すべきなのだ。身近な暮らしこそが憲法と関係しているのである。消費税導入の是非もそうだろう。多くの死票を生み出す小選挙区制もそうだ。日米構造協議以後、日本の憲法は死文化し、実質、廃棄されてきたと言って過言ではないのではなかろうか。その極みは10年近くにわたって、毎年10万人もの人々が自殺していたことである。(2023/01/27)


コラム
戦後民主主義も憲法の素晴らしさも実感が持てない世代と圧倒的にリアリティを感じられた世代の間に体験の格差がある
 「戦後民主主義も憲法の素晴らしさも実感が持てない世代と圧倒的にリアリティを感じられた世代の間に体験の格差がある」このようなべたなタイトルを掲げたのは、昭和と平成の間で社会・政治・経済・世相の革命的な変化が存在しており、それを体験した人としていない人の間で、同じ日本語を使っていても、意味概念あるいはそのイメージがまるで共有できていない、ということが存在しているように私には思えるし、そのことが今日の自民党政権の改憲運動や憲法違反の法令に対する反対の運動にも大きな障壁となっていると思えるのだ。(2023/01/27)


政治
野党第一党が与党補完政党となったので、何をやっても岸田内閣は安泰 〜90年代から続く右傾化運動の旗手となった立憲民主党〜
立憲民主党が日本維新の会と国会で共闘することになり、日本維新の会は自民党の補完勢力であるため、野党第一党を含めた大政翼賛会化が進んでいると言っても間違っていないだろう。岸田内閣が国民不在で次々と外交防衛から内政まで重要事項を決めていけるのも、野党第一党の立憲民主党の執行部が自民党政権と極めて親和性が高いからに他ならない。これは野田元首相がかつての安倍首相と親和性が高かったこととよく似ている。(2023/01/25)


政治
岸田首相の性格類型は権威主義的性格
ジャパンタイムズに掲載された岸田首相がバイデン大統領に肩に手を回され、何やら激励されており、岸田首相が大喜びしている写真に、多くの人がやるせない思いを抱いたらしく、「犬」という言葉がネット上に散乱した。「岸田ちゃん、ミサイルをあと1000発買ってくれたら、10%割引にするよ、こんなことができるのは君が日本の首相の中では抜群に優秀な人だからね」とでも言われたのだろうか。(2023/01/17)


アジア
バイデン大統領のアフガン撤退演説を今一度 アフガニスタンの「内戦」にこれ以上米国人を送り込むことはできない
2021年のバイデン大統領のアフガニスタンからの米軍撤退の声明を今いちど耳にすべきではないだろうか。私たちはどんなものでもアフガニスタンに与えてやった。にも拘わらず、アフガニスタンの大統領は国外に逃亡し、アフガニスタンの軍は崩壊した。アフガン軍が戦わないようなところに米軍がこれ以上いるわけにはいかない、とバイデン大統領は語った。しかし、忘れてはならないのは、アフガニスタンをぼろぼろに壊したのは米軍だということだ。この身勝手な演説は何だろうか。しかも、米軍のミッションは「驚くべき成功」だったとも語っているのである。(2023/01/10)


検証・メディア
新聞各社は大胆な経営革新を  
新聞社が政府とその関係組織から広告収入を得ることで経営を続けてきたことが、権力への追従というジャーナリズムとは言えない新聞へと堕落してしまった元凶だということが鮫島浩氏やその他のブログで浮き彫りにされています。ジャパンタイムズでも経営難からそういうことになった話をどこかで読んだことがありました。第二次大戦中は大本営発表の大戦果などの報道で、多少なりとも読者を増やして経営を維持していた歴史を振り返ると、こうした新聞社は、確実に同じ道を進んでいます。(2023/01/09)


国際
ついにアメリカの戦争に巻き込まれて  連戦連敗の米軍の実像直視を
今起きている台湾を核とした米中の戦雲に対して、安倍首相時代に制定した憲法違反の安保法制によって日本も参戦させられる可能性があります。しかし、この戦争の最大の特徴は米国がシナリオを書いた米国のための戦争に他ならないことです。にも、関わらず、日本は参戦させられる可能性があるばかりでなく、日本本土がアフガニスタンやイラクと同じ戦場になる可能性が高いものです。しかも、20年くらいまで長期化する可能性があります。(2023/01/09)


検証・メディア
Samejima Timesが大手新聞各社と政府との癒着を指摘 〜安倍官邸と大手紙幹部らの夕食会の謎に迫る〜
私は2019年3月に首相官邸前で行われた日本マスコミ文化情報労組会議主催の表現の自由を求める集会を聞きに行ったことがありました。そこではマスコミ各社のスター的な記者や労組の有力者たちが集まり、官邸が記者たちにかける圧力に抗議していました。(2023/01/07)


コラム
軍備増強でなく、東アジア軍縮会議の開催を
第二次安倍政権時代に憲法の精神を逸脱して制定された安保法制のために、本来日本の危機ではない事態に日本が巻き込まれて戦火に見舞われるリスクが高まっています。飛んで火に入る夏の虫が日本でしょう。しかも、ずるずるときちんとした国会での議論もなく、前の日中戦争や太平洋戦争と同様になし崩し的に事態が進み、マスメディアはそれを翼賛する記事を書いています。(2023/01/06)


政治
杉田水脈氏が政務官を辞職   議員は辞職せず
杉田水脈氏が差別発言が問題視されたことで政務官を辞職した。しかし、杉田氏は今も「差別発言」だったとは認めていない。<記者団に過去の発言に問題はなかったかを問われ、「差別とかもしておりませんし、ただ、その真意が伝わりづらいのであろう」と語った。今後の政治活動については「私を支援してくださっている方々がいっぱいおりますので、その方々の代弁者として、しっかり頑張ってまいりたい」と述べた>(朝日新聞)(2022/12/28)


コラム
軍事大国化した場合の軍事力が日本国民に向けられる可能性もある クーデターの可能性
昨年の自民党総裁選に臨んだ岸田首相は、自民党内のハト派でリベラル派だと一般には思われており、多くの人はこれで安倍首相時代の強権的な政治から解放されたと安堵したはずだった。ところが、岸田首相は安倍首相の魂が乗り移ったように、表層は穏やかだがやっていることは強硬かつタカ派で、防衛予算倍増やミサイルの大量購入など、戦後、最も戦争に近づいている首相となった。広島出身とうたっているものの、もはや「二度とヒロシマを起こさないために核武装を」といつ言い出してもおかしくないように私には感じられる。(2022/12/24)


国際
囚人を傭兵会社が兵士としてリクルート 権威主義国家から独裁国家に移行したロシア〜戦争目的で法律を恣意的に運用〜
BBCが9月に公開した動画では、ロシアの傭兵企業「ワグネル」が刑務所で刑期短縮と引き換えに兵士を募集しているものだった。BBCは記事で、ロシアの法律では軍務や傭兵企業での奉仕によって減刑するシステムはない、と書かれているが、動画では傭兵会社の男が囚人たちを前に半年兵士として戦場で働けば自由になると語っている。(2022/12/23)


コラム
フランス語学教材に画期的貢献をしている久松健一教授の動詞に注目した参考書群
英語の一人勝ちという状況が冷戦終結後、どんどん強まり、さらにまたアラビア語や中国語の学習者の増加などにも伴い、かつて英語に次ぐ学習者が多かったフランス語の語学学習はじり貧と言える状況です。そうした逆風の中にあって、毎年のように革命的なフランス語学の参考書を作ってきた天才的な教授が久松健一氏(明治大学商学部)でした。久松氏の参考書の最大の特色は、実践を最重用課題としていることで、その要はラテン語に源を発する言語に共通して言える動詞の活用の徹底的訓練にあります。(2022/12/23)


コラム
有料講読者1千万突破・ニューヨークタイムズの料理欄は「家庭欄」でなく、華のある取りのページになっていた
私は昨年、ニューヨークタイムズの電子版に切り替え、もはや紙版の配達を受けなくなりました。講読費が劇的に下がりましたし、過去の記事にもアクセスでき、さらには読み終えた新聞が堆積して場所をふさいだり、処分の手間がかかったり・・・ということもなくなりました。ただし、電子版の読者になると、新聞全体の構成、レイアウトというものが以前より見えにくくなった気がします。あまりにも一瞬に読みたい記事に飛べるので、新聞をめくっていくような作業がないのです。紙版で読んでいた時、最後のページには写真入りの世界の旅行記事やグルメ記事が並んでいて、ビジネスパーソンにとっては週末やバカンスの愉しみを喚起してくれるものだったのを記憶しています。(2022/12/22)


コラム
キッシンジャー著『外交』と翻訳者の岡崎久彦氏
私は学生時代から日本は米国の実質的な属国と思ってきたので、米国と日本の関係を、古代ローマとその周辺の属州との関係に置き換えてみていました。ですから、宗主国である米国のキッシンジャー元米国務長官が記した上下二巻組の『外交』という彼の自伝的エッセイーを今から20年以上前に堪能したのを覚えています。(2022/12/19)


文化
モスフィルムが英語字幕入りで過去の名作を放流
 ロシアの映画会社モスフィルムが、旧ソ連時代の名作映画に字幕をつけてたくさんユーチューブチャンネルで放流しています。『モスクワは涙を信じない』「惑星ソラリス』『ストーカー』『ワーニャおじさん』『戦艦ポチョムキン』『アレクサンドル・ネフスキー』『メキシコ万歳』などの名作です。(2022/12/18)


コラム
米軍が単独講和で戦線離脱した場合、日本人は一国で戦い抜く覚悟があるのだろうか  「旧敵国条項」・戦勝国による戦犯の裁判・天皇制の行方
対中戦争を想定したミサイル増設や防衛予算の倍増計画が閣議決定で勝手に進められていますが、岸田首相や与党閣僚たちを見ていれば、戦略は米軍頼みであることが見て取れます。しかし、前に書いたように、最初はコミットしていたとしても大統領選で米大統領が変わり、新しい執行権力がワシントンDCに生まれた時、戦争を継続するかどうかは未知数です。むしろ、戦争を終わらせると公約に掲げた野党候補が当選する場合もあり得ます。TPPの時を思い出せば米国が言い出しっぺだったとしても途中で抜ける可能性があります。第一次大戦後にウッドロウ・ウイルソン米大統領が世界を主導して作った国際連盟にすら米国自身は参加していません。米国が政権交代が起きる二大政党制の国であるだけでなく、三権分立の国であり、執行権力と議会と司法が対峙しあっている、ということも考えておく必要があります。(2022/12/18)


コラム
異論を厭う文化が両論併記を生む 〜異論はあって当たり前 大切なのは異論同士のつながり〜
異論を厭う文化が両論併記を生む、とは何が言いたいのか?変なタイトルになりましたが、要は両論併記は逃げに過ぎなくて、論を咬み合わせていなくてあくまで「併記」に過ぎない、ということだと思うのです。前に私は赤旗は野党連合が与党になった時こそが、赤旗にとっては試練の時になるだろう、と書きました。赤旗は桜を見る会などで画期的な取材を行い、スクープを取ってきましたが、権力を監視するという意味では共産党が政権に参画した場合に、対自民党で行ってきたような果敢なジャーナリズムができるのか?ということにあります。(2022/12/16)


コラム
商品の品質に厳しい日本人はなぜここまで政府の品質に緩いのか? その2
先ほど、「商品の品質に厳しい日本人はなぜここまで政府の品質に緩いのか?」という問いかけをして、自分なりの考えを書きましたが、ここでもう1つ、付け加えておきたい点があります。それは「商品の品質に厳しい日本人はなぜここまで政府の品質に緩いのか?」という問いかけそのものの中に、ヒントがあるのです。すなわち、商品の品質に厳しいがゆえに、政府の品質に緩いという仮説です。いったいどういう意味か、と言えば、今日、限られたリソースの中で商品・サービスの質に完璧を期すためには、労働者の長時間の拘束が求められています。そうなると、家に帰れば、もう頭を使う作業をするゆとりがほとんどなくなってしまうのです。政治や経済、社会について考えたり、対話したり、集会に参加したりという余裕もなくなってしまいます。(2022/12/13)


コラム
商品の品質に厳しい日本人はなぜここまで政府の品質に緩いのか?
これは答えがあって書いているのではありませんが、日本の政治が劣化している時、「商品の品質に厳しい日本人はなぜ政府の品質に緩いのか?」という問いかけが大切になってきます。商品の品質、パソコンでたとえれば、個々のスペックの容量、デザイン、強度、アフターサービス、使いやすさなどが問われます。それぞれ、基準があり、他社の製品とどのくらいコストパフォーマンスが良いかが冷徹に比較されます。(2022/12/13)


国際
社会党にかわって新たな野党連合の基軸になった「服従しないフランス」(LFI)の22歳の注目議員
フランスの今年の国会議員選挙で躍進した野党共闘NUPESの基軸になったのが、元社会党議員のジャン=リュク・メランションが様々な市民運動家たちと作った「服従しないフランス」(LFI)でした。この政党は若手が元気で、良きにつけ、悪しきにつけ話題を次々と提供しています。悪しきにつけ、というのは32歳のアドリアン・カンテネン議員が妻を平手打ちするなどの家庭内暴力を訴えられた件です。党の幹部たちは常習犯ではない、などと弁護しましたが、極めて歯切れが悪かったのでした。(2022/12/13)


米国
トランプが去っても、新トランプが来る J・カラベル教授「トランプ主義は生き残る」再読
共和党の上院リーダーであるミッチ・マコーネル議員と言えば、リベラル派から非情な共和党員と見られがちでしたが、そのマコーネル議員がトランプ元大統領は再選される可能性は極めて乏しい、という意味の発言を記者団に向けて行いました。これは先日、日刊ベリタでも書きましたレイシストで反ユダヤ主義の人物と会食したことが発覚したからです。その人物はホロコーストの存在自体を否定するネガショニストだったことから、トランプが2024年の大統領選の際に、一定の影響力があるユダヤ系の支持を得るのは難しくなったのです。トランプは即座にマコーネル議員に向けた切り返しの言葉を発したのですが、もはや勢いは失墜して、共和党系のメディアでも批判的論調が強まっています。(2022/12/02)


コラム
中国版ロスジェネ世代とコロナデモ  1989と2022の違い
この2〜3日は中国のデモの行方について興味がそそられ、天安門事件以来の激動の予感すら感じました。仮に現政権が民衆を抑え込んだとしても、こうした反政府的な意識がこれほど覚醒してしまうと、必ず数年後に激震が及ぶ可能性があります。天安門事件が起きたのは1989年で、日本では昭和から平成への転換点でした。中国にとっては経済がテイクオフした頃であり、民主化運動を抑え込んでも経済的に豊かになって夢が持てる時代だったのです。(2022/12/01)


国際
中国ではフォックスコンのi-phone工場でも抗議デモ ドイツの報道 その背景にある若者たちの閉塞
中国での抗議運動が連日世界で報じられていますが、今日は台湾のフォックスコンの中国工場(鄭州市)で労働者たちの抗議デモが報道されました。ドイツのDWの報道では労働者たちが雇用されたものの10日間の隔離をまず求められた上に、給与条件が一方的に変更され、下げられたことが不満にあったとされます。さらにDWは中国の若者たちが大学を卒業しても就職が困難になっており、ある統計ではなんと2020年に24%が大学院に進学していたのに比べ、2020年には58%が大学院での教育を受けざるを得ないとのこと。(2022/11/30)


国際
「習近平政権の10年で最大の挑戦」 デモクラシー・ナウ!
米報道の「デモクラシー・ナウ!」で中国で広がるデモを特集していました。国際労働に詳しいエリ・フリードマン氏が分析していますが、今回のデモは中国全体で起きており、習近平政権の過去10年で最大の規模に及ぶものになっているとのこと。(2022/11/30)


国際
中国のデモ  習近平への抗議
中国で起きている抗議デモについてMediapartがパリの大学の教授をしているLun Zhang氏に何が起きているのかインタビューしていて、わかりやすかった。このデモは起きて当たり前であり、新型コロナが発生して以来、3年間で最初のものとなるが、中国政府の政策に対する不満がついに爆発したものだという。それは「ゼロ・コロナ」で自宅に閉じ込められたまま、収入は滞り、生活がかなり悪化していることが背景にあるという。様々な政府の発表に対して、若者たちを中心に世界の実情を知っている人々は世界では「コロナとともに暮らす」というwith COVID時代に突入していることを知っており、政府に対する不信感を増幅させているようだ。(2022/11/29)


米国
商務長官ジーナ・ライモンドの講演 日本人には非常に近いテーマ〜製造業の再構築戦略〜米最初の女性大統領になる有望株
昨日、ニューヨークタイムズが2024年の大統領候補の有望株として示唆していたのが商務長官のジーナ・ライモンドだったことを書きました。どういう政治家なのかを少し知ろうと、彼女のブラウン大学での講演会を聞いてみました。日本語字幕で聞くことも可能です。(2022/11/29)


米国
2024年の米民主党大統領候補は商務長官ジーナ・ライモンドになるのか?
まだ、新しい情報をニューヨークタイムズで読んだばかりですので、詳しいことまでわかりませんが、2024年の米民主党大統領候補の有望株として、女性の商務長官であるジーナ・ライモンドが浮上している気配を感じました。記事によると、バイデン大統領のもとで、毅然とした対中経済政策を行い、共和党に対しても一定の支持を得られている政治家であるようです。(2022/11/28)


米国
落ち目に転じたトランプ元大統領にさらなる打撃 レイシスト・反ユダヤ主義者たちとの夕食会が露見
中間選挙の敗北を仲間の失態に責任転嫁していたトランプ元大統領は、逆に敗北の元凶とされるに至り、失墜しつつあります。それでも米メディアでは共和党員たちはトランプ頼みだと書いていたものでした。ところが、ここに来て、さらにきついオウンゴールとも言えるスキャンダルが露見しています。(2022/11/27)


国際
国際原油価格と米=ベネズエラ関係の小春日和
ニューヨークタイムズでは米政府が石油メジャーのシェブロンにベネズエラでの操業を許可したという記事を読みました。否、操業ではなく「expansion(操業拡大)」でした。記事では、この「limited 限定された」拡大によって、ベネズエラが国際市場で原油を販売することが再開できるかもしれない、としています。今はマドゥーロ政権は経済政策を受けていました。以下の時事の記事では、米政府がベネズエラの政治へ介入していることにしか触れていませんが、ニューヨークタイムズではロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁で、原油価格が高騰していることが背景にあるときちんと書いています。(2022/11/27)


人権/反差別/司法
左翼の「革命」アレルギー  日本の野党第一党が政権交代を目指さない元凶
先日、私は初めて米国歌の歌詞をYouTubeの翻訳字幕で知りました。それまでメロディは腐るほど聞いていながら、歌詞については無知だったのです。米国歌の題名は「The Star-Spangled Banner(星条旗)」であり、歌詞を読む限り、独立戦争時の1775年から1783年まで8年かけで大英帝国軍と戦った時の記憶に基づいているようです。(2022/11/26)


国際
NYTのコラム トランプは修正第14条3項で葬れ
中間選挙で共和党が当初の見込みほど風が吹かなかったばかりか、上院での民主党支配を許してしまったことで、トランプ元大統領への支持者が減りつつあると米国で報道されています。また、トランプ的でまだ40代のフロリダ州知事デサントスを2024年に共和党候補にしようというムードも高まってきました。そんな気配にトランプ元大統領はいち早く、予備選への立候補を表明したのですが、ニューヨークタイムズにはトランプを米憲法の修正第14条3項で法的に葬れ、というコラムは掲載されました。(2022/11/25)


検証・メディア
TVの討論番組に正統性はあるか? 財界が金を出す政治ショーではないか
先日の続編ですが、フランスの大企業グループのトップである大富豪のヴァンサン・ボロレが保有するTVチャンネルの討論番組で行われた司会者と左派議員の喧嘩が、フランスで大きな議論になっています。あまりにも露骨な富裕層への媚びが、TVの正統性すらも疑問符をつきつけ、当該議員が所属する政党が新法案を出すと言っています。(2022/11/20)


欧州
「服従しないフランス」(LFI)が大富豪のメディア支配を終焉させるための新法案を提出
先日、フランスのTVチャンネルC8(Canal+グループ)の番組「TPMP(僕のポストに手を付けるな)」の生放送中、左派政党LFI(服従しないフランス)の議員がチャンネルのオーナーである大富豪を批判したところ、司会者のシリル・アヌーナと大喧嘩になって大きなスキャンダルになったことを紹介しました。この大富豪はヴァンサン・ボロレという名の大企業グループのトップで、大富豪です。以下はLFIのウェブサイトニュース(L'insoumission=「不服従」)ですが、フランスのメディアは9人の大富豪に90%が支配されているとして、こうした状況を変えるための新法案を書いたことを伝えています。(2022/11/18)


検証・メディア
フランスのTV 左派議員と司会者が大富豪の番組提供者の行動に関して激突 名誉棄損の提訴と大富豪のメディア介入に対する国会調査委員会の設置を提案
 11月10日、フランスのTPMP(僕のポストに手を付けるな)という人気番組に登場した左派政党「服従しないフランス(LFI)」の議員、ルイ・ボヤールが番組司会者のシリル・アヌーナと突然、大口論を始めた。きっかけとなったのは、オーシャン・バイキング号という234人の難民を乗せた船が地中海を渡ってアフリカから欧州南部のフランス、イタリア、スペインなどに接岸を求めているが、受け入れられることなく海上を漂っていることが話題になったことだ。この時、ボヤール議員がアフリカで大儲けをしながらアフリカを貧しくしているとして、大富豪のヴァンサン・ボロレの名前を挙げた。(2022/11/16)


国際
ネバダ州の上院議員選挙で民主党候補に当確 米民主党が上院での優位を確実に
レッドウェイブ(共和党の波)が今年の中間選挙を襲う、という前振れの米選挙だったが、最終的に米民主党が上院で50人目の当確を出した。上院は100人の議員で構成され、民主党は50人を確保したことになる。議長はカマラ・ハリス(副大統領)であるため、その1票が加算されればすでに51票となり、優位を持つこととなる。(2022/11/13)


コラム
政治家・政党とジャーナリズム 絶対権力を作り出さないために その6 右か左か 上か下か
最近、政治論議で、右か左かが大切ではなく、上か下かが大切です、という語り方をよくSNSで目にします。右か左かには戦後の社会主義のイデオロギーが関係していて、それはもう古い、という思いが込められているのではないかと思います。ただし、上か下かという表現は、権力者(富裕層)と民衆(庶民)という二分法だと思いますが、この表現は「右か左か」に存在したものが抜き取られているように私には感じられます。それは歴史というものです。(2022/11/12)


経済
チャンネル「正論」で経済記者・田村秀男氏が財務省について語る
今、左派の政党の中で、大きく政策論が分かれているのが財政です。緊縮か、反緊縮か、という点ですが、元日経新聞記者で現在は産経新聞でコラムを書いている田村秀男氏が、財務省批判を繰り広げています。私たちが通常感じている日本経済を「家計」に例えて財務省が記者に説明し、記者がそれを自分で分析しないままに、それを新聞に展開していくことに問題があるとチャンネル「正論」で指摘しています。(2022/11/05)


国際
NYTが報じるツイッター買収後のイーロン・マスク氏による大規模なリストラが進行中
ツイッターを買収したイーロン・マスク氏が世界に7500人存在するツイッター社のスタッフを大幅にリストラしつつあるとニューヨークタイムズは報じています。(2022/11/05)


アジア
政治家・政党とジャーナリズム 絶対権力を作り出さないために その5   ネット言論のプチ絶対権力者たち
インターネットの時代は誰でも活字で公的な場に自分の言葉を投じることができるようになりました。かつてであれば、活字で言論活動ができるのは特権的な地位のエリートだけで、私的に言論活動をやろうと思ったら多くの場合はいわゆるガリ版という形で少数の同人の間で回覧されるだけでした。しかし、1990年代に状況は劇的に変わりました。(2022/11/05)


政治
政治家・政党とジャーナリズム 絶対権力を作り出さないために その4  自民党支持者たちの心性
第二次安倍政権以後の一強時代に、自民党は国会を軽視し、国会での質問にきちんと答えず、強行採決も辞さず、という風に次々と法制度を作り続けてきました。こうした政治によって日本は権威主義政権の国あるいはファシズムに近づいてきましたが、これを自民党支持者の人たちはよしとするのか、という謎があります。小泉首相時代から、党の総裁が選挙の際の公認候補を決める際の決定権が強まったと言われますが、党内の異論も許さない空気を自民党支持者は良しとするのだろうか、ということが謎であり、また、メディアでこれまであまり掘り起こされてこなかったのではないでしょうか。(2022/11/03)


政治
フランスのコアビタシオンと日本の4党合意の違い
 政治記者の鮫島浩氏のSamejima Timesでは、自公維に立憲民主党を加えた4党が歩み寄りつつある、という話でした。すなわち、野党第一党の立憲民主党が与党と共同で政策を作るように、政局が変わりつつあるのではないか、という指摘です。その理由としては、清和会の安倍首相が亡くなって、宏池会の岸田首相に移行してから、野党第一党としては組んでもいい相手という風に執行部の見方が転じて、その象徴が野田首相の安倍首相追悼演説だった、と見る見方でした。今は4党で旧統一教会被害者対策法案を作っているようです。(2022/10/31)


みる・よむ・きく
独仏TV局ARTEの習近平のドキュメンタリー「習近平の世界」  汚職摘発キャンペーンで政敵を一網打尽 絶対権力を確立
 習近平国家主席が率いる中国は、中国共産党が勝利した1949年から100年後の2049年に経済でも軍事でも世界一の大国を目指している、と独仏のTV局ARTEの習近平のドキュメンタリー「習近平の世界」で語られます。それは中国が欧米列強に屈辱をなめたアヘン戦争から約200年後になります。これは昨年放送され、現在はYouTubeで公開されています。フランス語ではありますが、隣国の指導者の情報満載です。(2022/10/31)


国際
少女殺人事件にフランス極右が追悼・反移民集会 その2 
昨日、ローラという12歳のフランス人少女がアルジェリア人で不法滞在中の24歳の女性にレイプされ、惨殺された事件の波紋を紹介しました。大統領選に出馬した極右論客のエリック・ゼムールらが追悼集会を呼びかけ、各地で集会が持たれました。中には日本の在特会的な言葉を発して、夜の通りを練り歩くシーンもSNSに上がっていました。以下の「ヴァレール・アクチュエル+」というYouTubeチャンネルは、極右・ナショナリストの雑誌ヴァレール・アクチュエルの動画配信サイトで、先日、パリのダンフェール・ロシェローというライオンの彫刻のある広場でのローラ追悼・反移民集会の模様をUPしていました。(2022/10/30)


欧州
少女殺人事件に、フランス極右が各地で追悼・反移民集会
フランスでローラという名の12歳の少女がレイプされ、10月15日に惨殺されて発見されました。容疑者がアルジェリア人であったことから、極右勢力が各地で反移民集会を行い、盛り上がりを見せています。以下の動画はパリのダンフェール・ロシェローという広場での極右論客のエリック・ゼムールのもとに集まった集会です。(2022/10/29)


中東
米PBS フロントライン が追ったサウジの皇太子MBS~The Crown Prince of Saudi Arabia (full documentary)
今年、ロシアへの経済制裁の関係でエネルギー価格が高騰したため、エネルギー価格を安定させるべく、今年7月にバイデン大統領がサウジアラビアを訪問しました。その際、皇太子のモハマド・ビン・サルマン(通称MBS)とグータッチをした瞬間がメディアで全世界に拡散されました。MBSは2018年にトルコのサウジアラビア総領事館内でジャーナリストのジャマル・カショーギ記者が殺された事件の黒幕と指弾されていた人物で、人権外交を旨とするはずのバイデン大統領自身も非難していました。バイデン大統領は現地で記者団から厳しい質問を浴びせられ、「MBSと対談するために来たのではない」と答えました。(2022/10/28)


政治
政治家・政党とジャーナリズム 絶対権力を作り出さないために その3 政敵を皆殺し(推定75万人超)にしたスターリン
ソ連のスターリンの日常を描いた英語のドキュメンタリー「独裁者の1日 ヨシフ・スターリン」スターリンの遺族などが登場して、独裁者の人間性を論じています。ナレーションは、政敵は全員抹殺したと語りますが、戦慄そのものです。しかも、自殺した妻や死んだ妻の家族までシベリアに送ったり、次々と抹殺しています。(2022/10/27)


検証・メディア
ビデオニュース・ドットコムが番組を拡大
神保哲生氏が立ち上げて続けてきたインターネット報道のビデオニュース・ドットコムが、これまでの番組に加えてこの10月から新企画・新番組を順次立ち上げていくと発表しました。神保氏はYouTubeで、その狙いや思いを率直に語っています。今の政治状況を見た時にこれまでの発信ペースでは、市民の要求に十分にこたえられないと考えていたことが動機だと言います。(2022/10/27)


政治
政治家・政党とジャーナリズム  絶対権力を作り出さないために その2 アベ政治を振り返る
安倍元首相の政治を振り返ると、絶対権力を求めた約8年間だったのではないでアベす。そして、内閣法制局に自分の意になる長官を据えて伝統的な憲法解釈を一瞬にして変更したかと思うと、判事にも与党に都合に良い判決を出しそうな人々を次々と任命していきました。また、官僚機構も内閣人事局を作って統制し、メディアも夕食会で掌握していました。(2022/10/27)


政治
政治家・政党とジャーナリズム  絶対権力を作り出さないために
安倍元首相のスキャンダルとなった「桜を見る会」に関するスクープは共産党の赤旗新聞で、赤旗は与党の腐敗を暴く優れた報道を行ってきました。また、政治記者・鮫島浩氏のSAMEJIMA TIMESもまた、与党に対する鋭い指摘をしながら、れいわ新選組を応援しています。鮫島氏がどこかで書いていたと記憶しますが、ジャーナリズムが特定の政党を応援することは欧米のジャーナリズムではあります。実際にニューヨークタイムズも民主党を応援するばかりでなく、2016年の米大統領予備選ではヒラリー・クリントンを応援していました。そのことはニューヨークタイムズが正々堂々と社説でも打ち出していたものです。そして、トランプ候補のちにはトランプ大統領に対しては、戦争とも言えるほどの厳しい批判的記事を浴びせてきました。(2022/10/26)


アジア
FT「米海軍トップ:中国の台湾侵攻は2024年の前に起きる可能性があるので米軍は備えよ」
フィナンシャルタイムズ(FT)と言えば西側の経済新聞であるので、どこまでが真実でどこまでがプロパガンダかわかりませんが、FTの記事には2024年までに中国軍が台湾に侵攻する可能性があると米海軍トップが警告を発したということです。(2022/10/24)


政治
歴史の終わりと日本の権威主義国家群入り 愚劣な政治でも政権交代が起きない国
昨日、あるテキストを読んでいて、日本は民主国家というよりはむしろ権威主義国家群に位置し、独裁制に近い中国やロシアと同じグループに入ったのではないか、と感じました。1992年に「歴史の終わり」というタイトルで、市場主義経済の民主国家群が鉄のカーテンの向こう側に勝利した段階をもって、歴史が終わったとする論考の本が出ました。昨日読んだものは米国の政治経済学者フランシス・フクヤマのもので、彼が30年後のこの秋、やっぱりあれは間違っていなかった、という論考を寄稿したものです。「歴史の終わり」は冷戦終結をもって、マルクス主義の勝利という思想を否定したものでした。今回の論考は「More Proof That This Really Is the End of History」(「歴史の終わりに、さらなる証拠が出た」)とThe Atlantic誌に書いたものです。(2022/10/23)


欧州
フランス市民の物価高、生活苦、気候変動への怒りのデモ 10月16日
フランスでも日本と同様に食材やエネルギー価格が上がって、庶民の生活を直撃しています。左派野党共闘NUPES(ニューぺス)の政治家たちから労組、知識人、労働者、市民まで、10月16日(日)にパリでデモを行いました。NUPESによると、14万人が参加したとされます。「高い生活費と気候変動に対する政府の無策への怒り」を表現したのです。今年の夏は非常に扱ったのですが、気候変動も生活に直結していますし、死者が例年よりも多かった(フランスでは11000人以上例年よりもこの夏の死者が多かった模様)とされるのです。(2022/10/21)


欧州
フランス議会:来年の予算案審議で首相が反民主的な49−3を適用
フランスのメディアが今華々しく報じているのは予算案をめぐる下院での議論で、エリザベット・ボルヌ首相が49−3(憲法49条3項)を適用して、議論と多数決という国家のプロセスを一方的に打ち切り、法案(今回は予算案)を力づくで通してしまったことである。これはフランス憲法に規定のある方法だが、極めて反民主的な方法であり、非常手段ということで野党からは非難が飛んでいる。(2022/10/20)


コラム
2015年の安保法制は民主主義に仕掛けられたダイナマイト 1日も早く廃棄に
法制度と民衆のパワーの力関係は時と場所で変化し得るものですが、今日の日本の特徴は民衆のパワーがなくなっていることに尽きます。そのため、ちょっとした法律の変更がテコの効果によって最大限のパワーを生むことにつながる時代です。安倍元首相が殺された翌日のメジャー新聞5紙の一致した見出しを見た時、2015年の安保法制は、1933年のナチスの全権委任法と同じ効力を持つことに気がつきました。(2022/10/19)


コラム
政治家の世襲禁止法の制定を 日本は未だ近代以前の身分制社会
日本の円がさらに対ドルレートを下げて147円になったと報じられました。経済だけでなく、いろんな面で日本の実力の下降が報じられています。こうした下降していく時代において、機会の均等は右肩上がりの時代よりもさらに保障されなければ、社会の不公平感はますます高まり、放置すると民衆の暴動も起こりかねません。(2022/10/16)


検証・メディア
マスコミ各社へのお願い3点  読者との信頼関係修復のために
何年も前から繰り返してきたことですが、新聞・TV報道各社に早急に明らかにしてほしい事柄は以下です。1)過去10年ほどの間に政府から広告費などの支援を受けたのかどうか。受けたとしたらその金額はいくらで、どのような形だったのか。(2022/10/16)


政治
国葬と連合の芳野会長   
安倍元首相の国葬について、歴史修正主義との関係を書きましたが、1つ書きそびれたことがありましたので、加筆します。私は前の稿で安倍元首相は目標の70%は達成したであろうと書きました。この達成というのは安倍首相の思想から見た時の達成度を意味しています。これは2015年の安保法制で、100%完全ではないけれども70%は日本国憲法を壊すことができたのです。では、残りの30%は何かと言えば、これも私の考察に過ぎませんが、日本国憲法から国民主権を削除することだったのではないかと推察します。(2022/09/29)


アジア
歴史修正主義者の政治家の国葬
安倍首相の国葬は何を意味するのか、反対する人々の声を報道やSNSで見ていると人によって様々な角度がありますが、私は安倍首相の根幹は歴史修正主義にあったと思います。ですので、戦争責任および植民地支配の過去を持つ日本国が歴史修正主義者を国葬にした、ということが最も大きな意味だと考えます。これは日本の未来に大きな意味を投げかけることになるでしょう。安倍首相がその意味で最初に大きな注目を集めたのは2001年1月に放送されたNHKのETVシリーズ2001「戦争をどう裁くか」第二夜「問われる戦時性暴力」について、自民党議員の安倍氏と中川昭一氏がNHKに政治介入した結果、番組が急遽大幅に改竄された事件でした。(2022/09/29)


政治
イタリアの極右女性首相ジョルジア・メローニは ムッソリーニを賛美
新しいイタリアの女性首相ジオルジア・メロー二(イタリアの同胞党)対する警戒感が欧州を大きく包んでいる。フランスのビデオテークINAでは1996年の特集番組が再生されている。まだ駆け出し時代のメローニ氏が、ムッソリーニを「素晴らしい政治家だった」と讃えている。(2022/09/28)


政治
12年前に「マンスフィールド研修と対日政策」という記事を書いて
このところ、12年前に書いた拙稿「マンスフィールド研修と対日政策」を毎日、少しずつながらでも読んでいただいているようです。ネット情報を切り張りして書いたように思われるかもしれませんが、発端は27年ほど前に私が外務省で実際にマンスフィールド研修のある記念式典を取材したことにあります。日本で最初に研修を受けた米官僚たちが研修を終えた時ではなかったかと思いますが、おそらく1995年か1996年だったと記憶します。(2022/09/25)


政治
ビデオニュース・ドットコム「結局国葬の何が問題なのか」 重要な論点を凝縮
安倍元首相の国葬に対してどう考えるか。ビデオニュース・ドットコムのニュースコメンタリーで「結局国葬の何が問題なのか」を憲法学者の木村草太氏をゲストに論じています。極めて重要な論点が話されています。(2022/09/24)


コラム
大新聞への政府広告・補助金と安倍首相(当時)との夕食会の関係性
鮫島浩氏がSamejima Timesで、朝日新聞の低迷の背後に、東京五輪のスポンサーに朝日新聞がなったことで政府の広告収入等がかなり入って来た可能性を指摘していました。これは朝日新聞に限らない現象でしょう。メジャー新聞各社と政府広告の関係はこれまでまったくもって「闇」でした。報道機関のど真ん中に読者の手の届かない闇があります。なぜ新聞社や放送局の幹部たちがかつて安倍首相の夕食会に誘われていたのか?そっちの「闇」と政府からの広告収入の関係がどうなっていたのか。今後は2つの報道メディアの「闇」の関係の解明が必要でしょう。(2022/09/23)


みる・よむ・きく
Samejima Times の「マスコミ裏話」のさもありなん
朝日新聞元政治部記者の鮫島浩氏が独自に立ち上げたSamejima Timesに朝日新聞と安倍元首相の国葬に関する「マスコミ裏話」のコーナーに、かなり生々しい元同僚による話が掲載されていました。マスメディアと政権との癒着ぶりです。(2022/09/22)


みる・よむ・きく
ナンテール大の哲学者パトリス・マニグリエ氏が構造主義哲学の国際ゼミを立ち上げ参加者を募る
新型コロナのおかげで、大学等で遠隔の講義や会議が普通に行われるようになりましたが、その流れで学びと研究活動もますます国境を越えた広がりを見せています。今回ご紹介するのは、パリ第10大学にあたるナンテール大学の哲学者、パトリス・マニグリエ(Patrice Maniglier)氏が主導する構造主義の国際ゼミです。今夜日本時間22時(フランス時間では17時)に第一回目が行われ、以後、月1回くらいのペースで発信していくとのこと。※一度、ZOOMの中継はないと書いてしまいましたが、先ほど筆者にZOOMのリンクが届きましたのでZOOMで視聴できそうです。初めてなもので、情報が混乱したことをお詫びします。(2022/09/20)


コラム
フランス語のすすめ
私がこのようなテーマで書くのはおこがましいのは知っていますが、あえてここでは「フランス語のすすめ」という短文を書いてみたいと思います。前にも書いたことですが、戦後の無頼派と呼ばれた作家の坂口安吾は外国語の勉強は精神の健康に良い、とエッセイで書いていました。頭を使わないからいいのだ、と。そう書くと語学の先生から怒られそうですが、安吾がそう書いた意味は「哲学のような頭の使い方をしない」という意味でした。哲学の場合はしばしば難解ですし、解答が必ずしも得られるとは限りません。そういうことに頭を長時間使っていると、疲労してしまうのでしょう。安吾はインド哲学を研究していたらしいです。一方、語学は基本的には学べば学んだだけできるようになりますし、誰でもできる学びであり、さらに場合によっては収入への道にもつながります。(2022/09/20)


政治
エッジの効いた政治チャンネル Samejima Times  安倍国葬について歴史からひも解く斬新な解説
安倍元首相の国葬が近づく中、政治記者で自分のYouTube動画チャンネルを立ち上げた鮫島浩氏が、今回の日本の国葬の危険性について「権威と権力」のすみわけをキーワードに解説しています。非常に面白い内容で、しかも歴史からひも解いている点で、多くの世代の人に見てほしい内容になっています。鮫島氏の解説の中でも1つの頂点でしょう。(2022/09/19)


検証・メディア
フランスの「メディアパルト」(Mediapart)の有料講読を始めました 共同創刊者・編集長のエドウィ・プレネル氏からの手紙
私は今年、フランスのメディアパルト(Mediapart)の有料講読を始めました。この媒体については日刊ベリタでも何度か言及したことがありますが、ルモンドの編集主幹をしていたジャーナリストのエドウィ・プレネルが独立して仲間と創刊したインターネット新聞です。プレネル氏は権力を監視するのが新聞の使命であることを理解し、ルモンド在籍中も国家秘密機関による犯罪の検証報道で名が知られた敏腕記者でした。私がその名を初めて知ったのは、飛幡祐規訳で「五百年後のコロンブス」というプレネル氏の著書を読んだ時でした。(2022/09/17)


コラム
本の値段と物価高と国葬と   来年は1ドル=180円台まで?
私は翻訳文学の読書を核にしたYouTubeチャンネルを作って昨年来運営していますが、昨今の円安とインフレは読書家にとっても馬鹿にできない一大事です。特に洋書関係はアベノミクスで円が外国通貨に対して減価しているために、ますます障壁になって、あたかも外国文化に対する予防壁のようです。外国旅行についても、コロナと同時に通貨の面でもWで難しくなりつつあります。(2022/09/11)


政治
鮫島浩氏の逆襲  元朝日記者がYouTubeでも政治解説<岸田の安倍化を防げ!支持率急落にほくそ笑む自民党の面々>
鮫島浩氏と言えば今、売り出し中の「朝日新聞政治部」の著者であり、優れた政治記者であったにも関わらず、「吉田調書」問題の報道がきっかけで担当部署を外され、最終的に朝日新聞を自ら辞める決断をしたことで知られます。朝日新聞について筆者は第二次安倍政権誕生以来、批判記事を何度か書きました。特にアベノミクスに便乗したかのような経済記事と朝日新聞幹部による安倍首相との会食についてでした。(2022/09/06)


政治
面白かったニュース・コメンタリー 『国葬と旧統一教会問題に揺れる永田町に今起きていること』(2022年9月3日)
ビデオジャーナリストの神保哲生氏が主宰してきたビデオニュースドットコムによるニュース・コメンタリー 『国葬と旧統一教会問題に揺れる永田町に今起きていること』(2022年9月3日)は、今話題になっている安倍元総理の国葬をめぐる興味深い番組になっていて、誰でも見れる形で今、公開されています。ゲストはジャーナリストの角谷 浩一氏。1時間半じっくり、いろんな角度から大人の政治記者の対談が満喫できるでしょう。しかも、ちょっとユーモアがあります。こんな時勢でも、心に余裕があることがとても魅力的です。(2022/09/04)


政治
中野晃一教授の英語でのメッセージ 「安倍さんの国葬に反対する5つの理由」
 市民連合のメンバーとして、野党共闘を支えてきた中野晃一教授がYouTubeのチャンネル(プログレッシブ!チャンネル)で、安倍元首相の国葬に反対する理由を英語で約10分間語っています。(2022/09/03)


政治
シビリアンコントロールの崩壊と自衛隊暴走の可能性 カルトの信者は隊にいないのだろうか?
岸田首相には3年間あるというような数年の「猶予」感覚を日本人全体がぼんやりと持っているのではあるまいか。そんな中、安倍元首相の弟である岸信夫元防衛大臣が家族葬に自衛隊の儀仗隊を私物化して使ったことが報じられた。これは緩みの象徴のように見える。防衛大臣が自衛隊を統括するのは、シビリアンコントロールという点で重要なことだが、今回、内閣のシビリアンが制服組の自衛隊に「借り」を作ってしまったことは、いろんな意味でリスクが大きい。借りは返さなくてはならなくなるだろうからだ。(2022/08/31)


検証・メディア
コンテンツとストラクチャーの違い  報道のストラクチャーの民主化こそが重要
 今、TVでは日本テレビやTBSが旧統一教会をめぐって優れた報道をしており、素晴らしいことだと思います。これを否定するつもりはないのです。ただ、ここで指摘したいのはメディアではコンテンツとストラクチャーの違いを無視することができません。すなわち、コンテンツとは具体的な取材メニュー、番組、テーマといった例えていえば皿に盛る具体的な中身、料理です。今、それらの放送局ではこれが充実してきたことを意味します。(2022/08/28)


アジア
左派の野党勢力の中心はれいわ新選組に向かう  与党との対抗軸を鮮明に築ける政党である
 まずは今年のフランスの大統領選と国民議会選挙について。フランスで今年生まれた野党共闘Nupes(ニューぺス)で左派11政党が結束した結果、131議席を獲得し、マクロンの与党が全577議席中の過半数を割ったことは記憶に新しいものです。その要となったのがジャン=リュク・メランション党首が率いる「服従しないフランス」(LFI)でした。メランションは2008年に右傾化した社会党を飛び出して、左翼党を結成し、その後、「Nuitdebout(立ち上がる夜)」という市民運動の人々の支持を得て、「服従しないフランス」を結成しました。大統領選挙でも2017年と2022年の第一回投票で、左派の他党を圧倒的大差で下していますが、その政策の核の1つが原発からの100%離脱です。(2022/08/27)


コラム
NHKスペシャルとred herring (燻製ニシン) 〜核心から人々の目をそらさせる修辞学〜
 NHKが7月9日、安倍首相暗殺の翌日に不思議な情熱をこめて突貫工事で放送したNHKスペシャルを見て、昔学習したある英語の表現を思い出した。red herringである。直訳すると、燻製のニシンだ。ウィキペディアには次の説明がある。「燻製ニシンの虚偽(くんせいニシンのきょぎ)、またはレッド・ヘリング(英語: red herring)は、重要な事柄から受け手(聴き手、読み手、観客)の注意を逸らそうとする修辞上、文学上の技法を指す慣用表現」(2022/08/25)


政治
米国を批判しても、すぐに反米を意味するわけではない 〜ホワイトハウスへの盲従を捨てることが日本再生の一歩〜
私は将来起こりうる対中戦争で米国が戦線離脱する可能性を示唆して日米同盟に水を浴びせるようなことを書いたりもしていますが、だからと言って米国が嫌いなわけではありません。むしろ米文化の愛好者です。ただ、日本が独立国であるならば、日本人の運命を盲目的にホワイトハウスの方針に追随して賭けることはできないと考えます。冷戦終結後の日本ではイエスかノーか、二者択一の発想が支配的になっていますが、もっと多重の思考をしないと多極化する時代を乗り切ることはできません。二者択一的思考とは、「この道しかない」というような発想で、そのように決めたら、柔軟さを失ってしまいます。(2022/08/23)


政治
野党共闘の柱に2015年の安保法制の撤廃を  集団的自衛権という集団的妄想
 私は故安倍首相が力づくで強行採決で通した2015年の安保法制(有事法制)は違憲だと考え、野党共闘はこれまで通り、これを撤廃することを今後も共通政策に盛り込むべきだと考えています。というのも、憲法改正をしないまま、憲法解釈だけを無理やり変更し、さらに法律の制定によって憲法を停止させることはそもそも民主主義へのクーデターだと考えているからです。安保法制をこのまま放置しておくことは憲法9条への違反にとどまらず、憲法の保障する表現の自由や知る自由を中止させられることに同意したことになりかねません。(2022/08/21)


反戦・平和
日本が核攻撃をされても米軍が核で報復する可能性は少ない
広島出身の岸田首相には日本国民が再び核兵器の被害にあうのを食い止める力量がないように見える。これは近い将来、中国と台湾あるいは中国と日本で戦争になった場合のことである。これは仮定すなわち想像に過ぎないが、もし中国軍が集団的自衛権で米国とともに戦っている日本を核攻撃した場合(沖縄、神奈川、山口、青森、東京など)、米軍が中国を報復で核攻撃するだろうか?(2022/08/20)


みる・よむ・きく
タル・ブリュットマン&クリストフ・タリコヌ著「ショアの100話」〜ショア研究の最前線〜
今年白水社から刊行された「ショアの100話」(タル・ブリュットマン&クリストフ・タリコヌ著)は、ショア=ナチスによるユダヤ人虐殺に関する事実と研究のキャッチアップができる本で、しかもテーマにあわせて簡潔に記されているので、どこから読んでもいい形になっています。これを読んで、まだまだ知らない事実がたくさんあるんだなあ、と感じました。(2022/08/20)


政治
2015年の有事法制は、1933年の全権委任法とほぼ同じだったのでは? 〜7月8日から10日までもしや憲法は<緊急停止>していたのでは?〜
私は安倍首相暗殺の翌朝7月9日の朝刊の見出しが主要紙すべて同じだったのを見た時、頭にあることが浮かびました。それは、安倍首相時代の2015年に制定された有事法制は、1933年にナチスが制定した全権委任法の簡易版だったのではないか、というものでした。つまり、ナチスは憲法より下位に位置するはずの法律の制定(しかも時限法)によって、当時もっとも民主的だったワイマール憲法を永久に葬り去った、というものです。いったい「有事」を誰が何をもって判定するのか。(2022/08/18)


アジア
安易に日中戦争を始めれば再び食糧危機が襲う 〜 第三次日中戦争前夜の予感〜
岸田首相を含め、最近の与党や準与党勢力は、中国との戦争に対する備えを強調しています。旧統一教会と懇意だった故・安倍首相が2015年に力づくで制定した有事法制は、麻生副首相の言葉を思い返せば、憲法を改正しないままに時限的な特別法を制定するだけでワイマール憲法を中止してしまったナチスのやり方から十分に学んだと思われます。安倍元首相が暗殺された翌朝の7月9日の主要新聞紙面の同一の見出しも、表現の自由という日本国憲法が保障した重要な価値が、かつての高市総務大臣による選挙中の「公平な報道」という恫喝よりも、むしろ有事法制によって骨抜きにされ、実質的に表現の自由が失われたのだ、ということの証左に私には思えてなりません。戦時中と同様に、ずるずると誰一人責任を取らないまま、同じ深みにはまろうとしているかのようです。(2022/08/16)


検証・メディア
7月9日の新聞朝刊の金太郎飴的見出しはなぜ?
安倍首相暗殺翌朝の複数のメジャー新聞の見出しがまったく同じだったことに衝撃を受けた人は多いはず。あれは政府が検閲をしたからではないか、命令しなかったとしても実質的な検閲を新聞各社が受け入れたからではなかったのだろうか。NHKのOBのフリージャーナリストの人は11日の統一教会の会見までは訴えられる可能性があったので、書けなかっただろうと推測で擁護論を書いていた。つまり、8日に安倍首相が狙撃され、犯人の取り調べを元に警察が「旧統一教会」の名前を記者たちに伝えていたとしても、裏を取っていなければ報道できない、というのだ。しかし、私はこの説に対して以下のいくつかの疑問を感じる。(2022/08/12)


反戦・平和
核抑止論が核兵器の限定使用に道を開く
ロシアのプーチン大統領がウクライナでの核兵器の使用も考慮に入れると今春、宣言したことを私は重く受け止めています。これをブラッフと考える人もいるかもしれませんが、私は可能性としてあり得ると考えています。ロシア文学を読めば、ロシア人は自己の実存をかけた賭けに出ることが少なくありません。帝国主義国家を覆した革命が起きたのがロシアだったこともその証左です。プーチン大統領の一度目の賭けはウクライナとの国境を越えたことでしたが、二度目の賭けは核兵器の使用です。もちろん、私はそれがブラッフに過ぎず、実現しないことを祈っています。(2022/08/06)


欧州
「パンデミックで悪化した階級間の壁 〜フランスにおける新型コロナ感染症対策の自宅閉じこもり違反者の報道から〜 その2」 ソフィー・ビュニク 
 その反動から、メディアや論説記者たちは急進左翼を活気づけ、またポピュリスト的政党をも持ち上げつつ、ブルジョア階級や経営者たちの利己主義を強く批判した。ブルジョア階級と経営者たちは、大衆が労働に拘束されている中、コロナ対策の自宅閉じこもりからも抜け出すことができた。たとえば、最初の自宅引きこもり命令が出される数日前のことだ。最も富裕な家族は〜たいていパリやリヨン、ボルドーなどで賃料が最も高い中心街区に居住しているのだが〜この時ばかりは田舎か、海浜にある別荘へと繰り出したのだった。また田園地域の別荘を借りうけた者すらいた。出発前に自家用車のトランクにインターネットで購入した生活必需品を詰め込んで。(2022/08/06)


欧州
「パンデミックで悪化した階級間の壁 〜フランスにおける新型コロナ感染症対策の自宅閉じこもり違反者の報道から〜 その1」 ソフィー・ビュニク
ソフィー・ビュニクさんはソルボンヌ大学で地理学や社会学を研究した女性の研究者です。その後、来日して立命館大学で研究を続け、東京の日仏会館(フランス国立日本研究所)でも研究員として過ごしました。専門は高齢化で都市機能が縮小していく縮退都市(shrinking city)の問題です。高齢化が世界一進む日本にとってはまさに今、注目の研究者です。今回のビュニクさんのご寄稿はフランスにおけるコロナ禍に関する内容になっています。昨年、いただいた原稿を村上個人のブログで紹介させていただきましたが、ビュニクさんの許可を得て日刊ベリタでも紹介させていただきます。(2022/08/06)


コラム
米劇作家エドワード・オールビーの”遺言”  Civics(市民論・市政学)の教育を取り戻す必要がある
エドワード・オールビーと言えば米劇作家で、「動物園物語」や「ヴァージニア・ウルフなんて怖くない」などの戯曲で多大な影響力を誇っていた作家でした。かつて日本で翻訳された外国人劇作家の戯曲集の巻末には著名な劇作家の翻訳集のリストが宣伝として掲載されていたものですが、そこにはオールビーの作品もしばしば掲載されていたものです。オールビーは2016年に亡くなっていますが、生前のインタビューでは興味深い発言をしています。(2022/08/05)


検証・メディア
「7月9日の朝刊」は戦争報道におけるメディアの翼賛体制が完成したことを示す
  安倍首相暗殺の翌朝の主要新聞の見出しが全部同じだったことは、有事の際の報道統制がすでに完成していたことを象徴的に見せたものだと私は解釈したと書きました。実際にそうだったかは各新聞が検証しないと事実はわかりませんが、読者として外から見る限りそう見ざるを得ません。ですので、各社の検証を待ちます。今、主要メディアがいくら良い報道を繰り広げていたとしても、肝心な時に黙ってしまう可能性があるますし、戦争となれば自衛隊も出動して、死者も出るでしょうから、もっと緊迫するわけですから、もっと統制されるでしょう。(2022/08/04)


アジア
ペロシ下院議長(民主党)の訪台は世界を危機にさらすと批判したNYTのトマス・フリードマン 〜有事への引き金〜
米下院議長のナンシー・ペロシ議員(民主党)が台湾を訪れたことについて、タイミングが最悪でいいことは何一つない、と手厳しく批判したのがニューヨークタイムズのコラムニストでジャーナリストのトマス・フリードマンです。ペロシ議員の訪台はまず同じ民主党のバイデン大統領とホワイトハウスの意思に反したものだったということがあります。(2022/08/04)


検証・メディア
7月9日の朝刊見出しの一致ぶりについての検証は終わっていない 〜有事・選挙とメディア〜
参院選挙投票日の2日前に起きた安倍首相の暗殺事件、その翌日、すなわち投票前日の朝刊の大新聞の紙面は横並びの見出しで、「旧統一教会」という名前はありませんでした。このことは、重要なことだと思いますので、これを忘却せず、必ず検証してほしいと思っています。このことが今後の「選挙運動期間中」の報道の基準を作ると考えるからです。もし、そこを不問にしてしまったなら、選挙運動期間中の報道は限りなく委縮し、民主主義にとって取り返しのつかない大きなダメージになる歴史的な契機だろうと思えるのです。(2022/08/03)


政治
多数の与党議員が韓国カルト教団に関連していたという報道を受けて、岸田首相はすみやかに衆院の解散と総選挙を
韓国発のカルト教団である旧・統一教会に何らかの形で関連していた国会議員が自民党を中心に100人ほどにも及ぶことが報道で暴露された以上、岸田首相は1日も早く衆院は解散し、総選挙を行った方が良いのではないでしょうか。第二次安倍政権では2014年4月に消費税を5%から8%に引き上げたのち、その秋には消費税増税(10%)を引き延ばす代わりに2017には必ず10%に引き上げる、ということでよいかを国民に問うとして2014年秋に解散総選挙を行ったことがありました。それに比べると、日本在住の市民の安全を保障するべき日本の国会および内閣に、韓国のカルト教団と親密で、さらには信者の秘書を身内に引き入れた議員がたくさん存在することは日本の独立と防衛への危機に他なりません。(2022/07/29)


政治
安倍元首相の”レガシー”が岸田首相を襲う
菅首相から岸田首相に替わったのは2021年9月。まだ1年も経過していない。菅首相は安倍首相の官房長官であり、いわば「顔」でもあった。だから「桜を見る会」のスキャンダルは菅首相にも影響を与えた。しかし、昨年9月の自民党総裁選は実に巧みだった。自民党はアメリカ大統領選の予備選挙に似た総裁選をTVで行い、あたかも、自民党という一党の総裁選〜国民の大半には投票権はない〜が日本の首相選のような印象を与えたのだった。といっても、それはまったく表層のイメージだけで、米大統領選のような長期間の選挙プロセスもなければ国民との対話もなかった。(2022/07/24)


政治
アベノミクスとジニ係数  〜所得再配分後の数値に定義変更したら、労働者の所得格差は隠ぺいされるのではないか〜
最近、TVで知名度が上がって来た社会学者がある記事を推奨していたので読んでみると、安倍政権下のアベノミクスで貧困の程度を示すジニ係数が減少していたというのである。それはビジネスジャーナルの「『アベノミクスで格差拡大』という誤った認識が流布した理由…ジニ係数の読み方」というものだった。読んでみると、ジニ係数は1990年代半ばから急激に右肩上がりで上昇し、第二次安倍政権の中盤で峠(0.57あたり)を越えたかのように減少傾向に転じている。とはいえ、20年近く右肩上がりで上がって来たものだから、減少傾向に転じたとはいっても、1996年あたりが0.44から、0.57とピークをつけて、2017年の0.56くらいなので、0.1減少したというだけなのだ。(2022/07/24)


検証・メディア
表現の自由とネットメディア 統一教会をめぐる投票日前の報道をきっかけに
安倍首相が暗殺された翌日の朝刊は各紙ともまったく同じ見出し「安倍元首相 撃たれ死亡」というもので、ネット世界では多くの人が大手5紙を並べて、その異様さを見える化していました。これを見たら、報道の自由はもはやこの国になくなったのだなと多くの人は思うに違いありません。しかも、宗教団体という言葉はあっても統一教会という具体名は伏せられていました。これもまた異常な事態でした。(2022/07/19)


国際
NATOの夏戦略 V.S. ロシアの冬戦略  トマス・フリードマンのNYTコラムから
ニューヨークタイムズの著名な国際ジャーナリストでコラムニストのトマス・フリードマンが先日、The Ukraine War Is About to Enter a Dangerous New Phase(ウクライナの戦争は新たな危険な局面に移行しつつある)というタイトルの文章を載せました(7月12日付)。(2022/07/16)


みる・よむ・きく
ウラ東アジア共同体と「女性たちのフランス革命」(クリスティーヌ・ル・ボゼック著) 
安倍首相暗殺事件と統一教会の関係のニュースを見ながら感じたのは国際ニュースの二分法(中国VS米国を中心とした資本主義陣営)とは違った視点から東アジアを見ることはできるんだな、ということでした。それは韓国の反共カルト宗教組織・統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)と自民党の支持母体の1つであり、安倍首相の背後にあった日本会議が、いずれも男尊女卑的な家父長制を保守することに思想的な核があったことでした。その原点は中国の儒教思想という案外、古い思想でしょう。そういう風に見ると、中国と韓国・北朝鮮と日本はウラ東アジア共同体とも言うべき、家父長制社会で固く結束した同盟国群といってよいと思います。(2022/07/16)


反戦・平和
ドイツ在住のグローガー理恵さんの情報 ミアシャイマー教授によるウクライナ戦争の構造
ちきゅう座のグローガー理恵さんは、ウクライナの戦争に関して、マスメディアが無視してきた非常に示唆に富んだ欧米の情報を発信していました。今回も、またそうした情報です。アメリカの国際政治学者ミアシャイマー教授によるウクライナ戦争の構造です。この教授は2014年の前回の紛争の頃もインターネットで見解を発信してきた米国のシカゴ大学の大物教授で、一流のメディアではしばしば引用される人物です。日本のメディアの特徴は、一見、年表は並べるものの、本質的な歴史性を軽視することにありますが、ミアシャイマー教授はまさに、そのアキレス腱の部分、ブラックボックスになっている個所について話しているのです。(2022/05/14)


欧州
「21世紀の資本」の著者トマ・ピケティが左派の野党共闘を歓迎 ルモンドの報道
「21世紀の資本」でフランスの経済学者、トマ・ピケティは、今日、投資や不動産による収入を得ている人々は賃金労働者よりもはるかに富を増していく理由を明確に示した。2013年にフランスで刊行された「21世紀の資本」は世界的に大ヒットを記録し、折しも2011年から始まっていた「ウォール街を占拠せよ!」などの格差是正の運動にも大きな知的刺激を与えることになった。このピケティが、先日、フランスで成立した左派の野党共闘にエールを送っており、ルモンドでも紹介されている。(2022/05/08)


欧州
フランスでついに左派の歴史的共闘が実現 社会党が服従しないフランスと選挙協力へ
フランスでついに社会党(PS)がジャン=リュク・メランションが率いる服従しないフランス(LFI)と6月の国民議会選挙で野党共闘を行う決定をした。ルモンドによると、はオリビエ・フォール党首ら、社会党の執行部がLFIと妥協して作り上げた共闘方針に関して、社会党が党大会を開いて62%の賛成で批准したという。これにより、すでに共闘を決定しているフランス共産党(PC)や環境政党(EELV)なども加わり、左派が久々に大きな勢力としてまとまった。(2022/05/06)


みる・よむ・きく
ちきゅう座のグローガー理恵さんが興味深い動画を紹介しています ウクライナ戦争に関する動画です
ちきゅう座にドイツ在住のグローガー理恵さんという寄稿者がいて、よく興味深い寄稿をしてくださり、おかげで欧州の生きた情報に接することができます。今回、彼女はウクライナ戦争に関する2つの動画を紹介する記事を掲載しています。いずれも日本語訳がついています。(2022/05/05)


みる・よむ・きく
アラン・コルバン著「静寂と沈黙の歴史」  
今回、私が制作していますYouTubeチャンネルの「フランスを読む」では、アラン・コルバンについて慶應義塾大学教授(フランス文学・文化史)の小倉孝誠教授にお話しいただきました。小倉教授はコルバンの書籍を多数翻訳しており、今回はその中から「静寂と沈黙の歴史」についてお話しいただきました。「静寂や沈黙」にいったいどんな「歴史」があるのか、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、そういう方にはぜひお薦めです。(2022/05/04)


欧州
フランスの野党共闘 社会党(PS)と服従しないフランス(LFI)の交渉が続く LFIと環境政党(EELV)と共産党(PC)の合意は成立
フランスでは6月の国民議会選挙(フランスの国会下院に相当)に向けて、左派野党で共闘の話し合いが続いていた。大統領選では左派政党がバラバラに出馬したため、誰一人決戦にこぎつけることができなかったが、2位と僅差までこぎつけた服従しないフランス(LFI)のメランション党首が今回、盟主となって左派野党の集結を目指して交渉を加速させている。そして、ルモンドの最新記事によると、すでに共産党(PC)と環境政党(LLEV)は選挙協力で提携が成立した。残りは社会党である。(2022/05/04)


欧州
フランスの野党共闘 PS(社会党)とLFI(服従しないフランス) オランド元大統領ら社会党の重鎮らがメランションとは絶対組めないと現社会党党首に圧力
フランスのルモンドでは6月の大統領選に向けた記事が日々掲載されているが、1つの柱が左派で野党共闘が実現するかどうかだ。このテーマは20世紀においては社会党と共産党の路線の違い、という形でたびたび起き、さらにまた何度か左派政党が手を結んだ結果、勝利してもきた。ところが、今の左派の野党共闘の軸となるはずのPS(社会党)と服従しないフランス(LFI)とでなかなか、手が組めなくなっている。(2022/04/30)


欧州
フランスの左派野党共闘の足並みに乱れ 6月の国民議会選挙を前に社会党と服従しないフランスとの確執 
日本での野党共闘は、市民団体の幹部たちが手を合わせて作った組織「市民連合」が軸となって、左派・中道の各野党と相談しながら選挙協力のための統一政策を作り、市民団体がそのペーパーを携えて各野党を回って、党首たちによる調印という形を踏んでいました。これは選挙ごとに一定の効果を発揮し、結果的には大きな結果をもたらしたものでした。一方、大統領選挙を終えたフランスでは、6月の国民議会選挙(下院)に向けて左派政党間で選挙協力のための話し合いが進められています。(2022/04/29)


欧州
NATO諸国のウクライナへの兵器供給 防御兵器から転じて戦車や曲射砲などの攻撃用重兵器へ 
フランスのルモンドはNATO側の国々はこれまでロシアに対する交戦国(ウクライナと同盟した)と認定されるのを避けるため、ウクライナに供給したものは対空砲や対戦車砲などの防御用兵器が中心だったが、今、攻撃兵器へと軸が転じた、と報じている。たとえば供給が開始された戦車について言えば、チェコ、ポーランド、ドイツなどが供給を開始した。こうした兵器は軍需産業にとっては大きな収益源になり、国民経済的には一種の公共事業になる。(2022/04/29)


欧州
メルケル首相以後、増大してきたドイツの兵器輸出額 2012年のサウジアラビア向けの兵器輸出の突出は何に使われたのか?
ナチスドイツの歴史に対する反省から兵器輸出に慎重であったはずのドイツは、メルケル首相時代から積極的な武器商人への道を歩み出した。これはドイツ経済が軍産複合体と深くつながってしまったことを意味している。ドイツの公共放送DWが近年のドイツのサウジアラビアへの兵器輸出額をグラフに示している。(2022/04/28)


欧州
ドイツの公共放送DWが検証したナチズムの始まりの1ページ 「恥の子どもたち」第一次大戦後にラインラントに進駐させられたアジア・アフリカから動員された植民地兵士たちの子どもたちの末路
1年前にドイツで公開された公共放送DWによる優れた検証ドキュメンタリー番組を紹介します。番組は英語です。「恥の子どもたち」がテーマになっており、それはナチズムの始まりに強い関連を持っていた、という結論でした。「恥の子どもたち」とは、第一次大戦後に戦勝国のフランス国家から占領地となった独仏国境地域のラインラントに駐留させられた有色人種の兵士たちが現地のドイツ人女性との間に作った子どもたちを意味します。この有色人種とはフランスの植民地だった国々の兵士たちでアフリカやベトナムなどから動員された兵士たちです。動員はラインラントで戦後処理に対してドイツ人たちが反発した運動を起こした時に2020年に鎮圧のために駐留させられたのです。(2022/04/28)


コラム
マリーヌ・ルペン党首のファンを増やした猫写真
 今回の選挙(4月24日)でマクロン大統領が再選されました。世論調査でそういう予想が出ていたので驚きませんでしたが、今回はマリーヌルペン候補が前回よりも得票率を底上げして、41%まで善戦しました。前回の33%から大きな進展です。ましてや、2002年の父ルペンの18%と比べると、極右がついにここまで伸張したか、という思いがします。そのルペン氏の得票率に貢献した原因の1つが、彼女が猫を飼っていてソーシャルメディアで猫好きのおばさんであることをアピールしたことでした。(2022/04/26)


検証・メディア
2024年にトランプは復活するのか  オーストラリア版60ミニッツのTV報道
過去10年で報道メディアは大きく変貌した。インターネット環境の発達で映像のクオリティが20世紀と比較にならない程上がり、海外の報道番組が次々とYouTubeなどで公開されているのである。つまり、グローバル化の波がついに報道の世界を襲っているのである。未だ日本は言語の壁がある、と旧世代は安心しているかもしれないが、外国語で動画が視聴ができる人ははるかに広範な情報を得ることができる時代と言える。臭い前置きで恐縮である。しかし、そう書かざるを得なかったのは以下のオーストラリア版60ミニッツの報道をYouTubeで見たからである。これは海賊版でも何でもなく、公式チャンネルである。豪州の60ミニッツは先月、2024年のトランプ大統領復活はあり得るのか?という特集を組んだ。(2022/04/23)


欧州
主権国家を爆撃し、政権交代を力づくで起こした仏軍のリビア侵攻 マリーヌ・ルペンの2011年の反戦演説
今年、フランス大統領選で2度目の決戦に至った国民連合のマリーヌ・ルペン党首について、最初に党首として印象に残ったのは2011年のリビアに対するサルコジ大統領の軍事侵攻に反対の姿勢を示していたということである。2010年末にチュニジアで始まったアラブの春はリビアにも飛び火して、カダフィ政権に対する市民の抵抗運動が盛り上がりを見せていた。その時、国連安保理でこの問題を論じたのだが、フランスは国連で認められた一線を越えて、カダフィ大統領一族とその勢力だけを一方的に空爆する、という手段を取った。これに対して、当時の国民戦線のジャン=マリ・ルペンも娘で党首に1月になって早々のマリーヌ・ルペンもリビアへの軍事介入に反対の姿勢を示し、反戦ポスターすら作っていたことはインパクトがあった。(2022/04/22)


欧州
4月20日のTV討論で再び完勝したマクロン  
フランスの大統領選挙では第一回目の投票前に候補者の討論会が行われ、過半数の票を獲得できた候補者がいなかった場合、決選投票の前に討論会が再度、二人の候補者の間で行われる。4月20日はマクロン大統領(現職)とマリーヌ・ルペン候補の討論だった。フランスのルモンド紙はマクロン氏の完勝ぶりを伝え、今回も前回同様であったことをまず記して、1つ1つその象徴的なマクロン候補のルペン候補に対する攻撃ポイントを伝えていた。確かにルモンドが書く通り、マクロン候補の論戦はかなり手ごわいものだった。この討論は3時間弱の長さで、内政から外交まで多岐にわたる政策を論じる。(2022/04/22)


欧州
フランス大統領選 次の日曜日に決選投票 マクロンVSルペン 肉薄する極右勢力
ふたを開けてみると、今年のフランス大統領選もマクロン候補(現職)対マリーヌ・ルペン候補(国民連合)の決選投票となって、2017年の再来です。しかし、世論調査を見ると、2017年の大統領選決選投票で66%対33%のダブルスコアで勝利できたマクロン氏にルペン候補が差を縮めてきています。マクロン51%対ルペン49%と僅差になっていると報じた記事も見ました。私が初めてフランスを訪れた20年前のシラク対父ルペンの決戦でシラクが約82%取り、ルペン候補が約18%だったことを考えれば、極右勢力がいかにこの20年間、コツコツコツコツ勢力を増やしてきたかが如実にわかります。(2022/04/21)


コラム
フランス社会党のイダルゴ候補の得票率は1.75%
日曜日のフランスの大統領選挙、ふたを開けてみると、決選投票に勝ち残ったのは2017年と同じで、マクロン現職候補と、マリーヌ・ルペン国民連合党首だった。マクロン候補は27.85%、ルペン候補は23.15%、「服従しないフランス」のメランション候補は21.95%と肉薄した。社会党のイダルゴ候補はわずか1.75%、共和党のペクレッス候補も4.78%と5%割れを起こしてしまった。(2022/04/12)


文化
第一回目のゴンクール賞日本を取材して
3月29日に東京の駐日フランス大使公邸で、ゴンクール賞日本の受賞作が発表されました。ゴンクール賞と言えば、日本の芥川賞に相当する権威のある文学賞です。今回が日本では第一回目となります。そして、この海外版の特徴は学生が選考委員であるということです。フランスでは高校生が選ぶゴンクール賞というのがすでに長い実績を持ち、若者たちの視点が文学に注入されると同時に、若い活力を文学に呼び込む仕掛けになっているようですが、フランス以外でも26か国で学生選考委員によるゴンクール賞というのが存在しています。インドや中国でも行われているそうです。(2022/04/12)


コラム
フランスの大統領選挙を前に 2017年のマクロン「革命」の5年後は?
今月10日の日曜日にフランスでは大統領選挙の1回目の投票が予定されており、2週間後の24日に決選投票が行われる。今年の大統領選挙は現職のエマニュエル・マクロン大統領が再選されるか、どうかという選挙だが、まず思い出さなくてはならないのは2017年のフランス大統領選は昔ながらの共和党VS社会党の二大政党の支配が崩壊した年だった。マクロンは「革命」という本を出版して、「右でもなく左でもない」と訴えて39歳で大統領に選出されただけでなく、翌月の国会議員選挙でも新党「共和国前進!」を立ち上げて、過半数の議席を獲得した。それほどの激震だった。そういったことから、今回の選挙の私なりの見どころは共和党VS社会党の構図は復活しうるのか、永遠に不可逆の変化だったのか?ということ。もう1つは、左派政党が大きな共闘ブロックを結成して、決戦まで進めるか、ということだった。(村上)(2022/04/08)


コラム
中江兆民とウクライナの戦争  〜民主主義と時間〜
私は最近、「東洋のルソー」と呼ばれ、ルソーの社会契約論を日本に紹介した中江兆民の伝記や著書をいくつか読みました。YouTubeチャンネル「フランスを読む」で、フランスのボルドー・モンテーニュ大学で教鞭をとっているフランス人の中江兆民の研究者エディ・デュフルモン氏(ボルドー・モンテーニュ大学)にインタビューしたことがきっかけでした。いったい、なんでフランス人が中江兆民に関心を持つのだろう?というのが、私が抱いた謎でした。(2022/03/27)


国際
テレビ東京のインターネット配信ニュースで見るウクライナ情勢
テレビ東京がYouTubeにウクライナ情勢をまとめたドキュメントをUPしています。テレビ東京のこの報道の特色は、いったい何が起きているのか、ロシアとNATO、そして、ウクライナの住民、さらにウクライナにおける対立をできるだけ多角的に入手映像や撮影映像を豊富に盛り込んで描いていることです。(2022/01/10)


文化
マルク・アレグレ監督「Zouzou」(ズーズー) 昨年、パンテオン入りしたジョゼフィン・ベーカー主演の映画
昨年、近代思想家のジャン=ジャンク・ルソー、科学者のキュリー夫妻や哲学者のベルクソンらフランスの「偉人」が納められているパンテオンに、黒人ダンサーで女優のジョセフィン・ベーカーさんが納められたことが話題となりました。ベーカーさんと言えば腰蓑一つで、激しいリズムの熱狂的なダンスで知られていましたが、パンテオン入りした理由は対独レジスタンス活動やその他の人道的行動がフランス国家から評価されたのだと聞きます。(2022/01/09)


欧州
事実上の独裁政権に立ち向かうハンガリーの野党共闘 今春の総選挙はオルバン政権を打倒する最大のチャンス
ハンガリーのオルバン首相は与党連合のフィデス・キリスト教民主国民党(FIDESZ−KDNP)を率いて、欧州連合の民主的な枠組みを1つ、また1つと破壊し続けてきた挑発的な政治家である。ハンガリーの極右政権に習うかのようにチェコやポーランドでも右傾化が進んでいるとよく報道されている。しかし、それでも総選挙はあり(なければ欧州連合に留まることはできないだろう)、今春4月か、5月あたりとされている。(2022/01/09)


国際
昨年暮れに米失業率は3.9%まで減少したものの、12月に鈍化 オミクロン株の行方次第で数か月、回復にダメージの可能性も
コロナ禍で打撃を受けたアメリカの失業率は昨年末に3.9%と、ついに4%を切り、かなり低い数字になりました。これはバイデン政権の手柄であるはずですが、その一方で12月に増加した職(job)の数=すなわち新たに仕事についた人−(マイナス)仕事を離れた人の数の差が、19万9千人に留まったことが懸念を呼んでいます。11月の29万4千人より減少し、1年で最少となりました。これは米労働省の統計を使ったニューヨークタイムズの記事です。(2022/01/08)


政治
日本維新の会が憲法改正へ動く  自民党と日本維新の会の2大政党体制化で改憲実現の可能性も
昨年10月の総選挙で、自民党と維新の会の2大政党制時代の到来を予測する論者も出たように、立憲民主党が議員を減らした反面、日本維新の会は41人へと増え、第三位になっています。そして、日本維新の会は1月4日付の読売新聞によると、新たな憲法改正案を策定して、夏の参院選に臨む方向だとされます。(2022/01/08)


検証・メディア
大阪府と読売新聞が連携  権力と報道の密着に批判が上がる
 先日、インターネットで署名を求める内容の書面が出ていたので読んでみたところ、大阪府と読売新聞が「包括協定」なるものを締結することに対する危惧の表明でした。「包括協定」の具体的な中身は不明でしたが、自治体と報道機関がそのような協定を結んだら、客観的あるいは批判的記事が書けないか、書けたとしても牙のないものになりはしないだろうかという危惧を誰しも抱いて当然です。(村上良太)(2022/01/06)


国際
韓国の反フェミニズム運動  女性の指のしぐさに激怒する人々
韓国でフェミニズムに反対する反フェミニズム運動が起きており、その深刻さがニューヨークタイムズで報道されていました。記事によれば、運動をしている人々は、むしろ男性の方が社会において脅威を感じていると言っているそうです。そして、「男性嫌悪をやめろ」とも叫んでいると言います。筆者は男性嫌悪=misandryという言葉は記事を読んで今回、初めて知りましたが、フェミニズム運動の中には男性嫌悪に傾く人々もいたとされ、現在でもその傾向があると、この反フェミニズム運動をしている人は訴えています。(2022/01/02)


欧州
フランスで新型コロナの大波 24時間で新規感染者数が23万人を突破 主流はオミクロン
新型コロナウイルス感染で、欧州では知人の哲学者が3回目のワクチン接種をしたと先日言っていましたが、今、感染の新たな大波が押し寄せています。リベラシオン紙によると、この年末、12月23日から29日までで世界全体では毎日、新たな感染者数が平均104万人と大台を突破し、フランスでも24時間で23万人が感染したと言います。(2022/01/01)


欧州
写真家サビーヌ・ヴァイス(Sabine Weiss)氏、亡くなる(97)
ロベール・ドアノーやブラッサイなどと並んでユマニスト写真家と称されてきた写真家のサビーヌ・ヴァイスさんが亡くなった。享年97。活躍したのはフランスだが、生まれはスイスで後にフランスで帰化している。以下は、ワイスさんのホームページのリンクである。(2021/12/31)


国際
セレブの少女買春を手助けしていた女性が陪審で有罪判決に  Ghislaine Maxwell氏の有罪判決とその波紋
 日本から一見遠い印象のある報道と見えるかもしれませんが、アメリカの著名な投資家で、セレブだったジェフリー・エプスタイン氏は少女買春・人身売買事件で有罪判決を受け、2年前、ニューヨーク州の拘置所で自殺しました。年末の今、米国で報道されているのはエプスタイン氏の腹心の女友達であったジスレーヌ・マックスウェル氏にも司法の手が及んだ、ということにあります。彼女がエプスタイン氏の少女買春の手引きをしていたという疑いで、ニューヨークタイムズによると、今回、陪審裁判で起訴された6件のうち、5件で有罪判決が下されました。(2021/12/31)


検証・メディア
映画監督ロマン・ポランスキーにレイプされた少女の現在 〜30数年前に見たNHKのポランスキー監督の特集番組〜
映画監督のロマン・ポランスキーと言えば、私が学生時代にファンだった映画監督で、「テス」や「吸血鬼」、「ローズマリーの赤ちゃん」、「チャイナタウン」など数々の傑作を連打していました。さらに、ユダヤ系だったため両親がアウシュビッツで殺されたという彼の痛ましい少年時代や女優だった妻のシャロン・テートが子供を身ごもったまま、チャールズ・マンソンという男とその仲間たちに惨殺されたといった悲劇的なエピソードも聞いていました。彼の自伝も原書で読んだことがありました。(2021/12/30)


国際
労働のUber化(Ubérisation)と闘うレイラ・シャイビ(Leïla Chaibi)欧州議会議員
 今月9日、欧州委員会でIT企業のプラットフォームを介して単発で仕事を請け負う労働者たち=いわゆる「ギグワーカー」を一定の条件があれば雇用された労働者と見なす法案が作られました。施行までは欧州議会加盟諸国と欧州議会の議論をまだ経る必要があるとのことですが、労働者の生活条件の救済にはプラスに働く画期的な制度となりそうです。服装などを統制したり、労働時間を統制したり、報酬の水準をIT企業側が定めたりしているなど、5つの条件のうち2つの条件を同時に満たせば雇用関係があると見なされ、最低賃金や社会保障などの対象となります。欧州で400万人が雇用者と見なされるとの推定があります。(2021/12/26)


国際
1973年のチリのクーデターの背景 アジェンデ大統領就任後50周年で公開された米公文書からニクソンとキッシンジャーのチリ経済攪乱指令が明らかに
チリでガブリエル・ボリッチによる左派政権が誕生して間もないですが、この政権はピノチェット将軍によるクーデター以後に米国の肝いりで導入された新自由主義を打倒すると宣言したばかりです。こんな風に挑発的な発言をしたら、またCIAが謀略を企てるのではないかと危ぶむ人もいるのではないでしょうか。実は昨年がちょうど1973年のクーデターで自殺に追い詰められたアジェンデ大統領の1970年の就任から50周年にあたっており、ジョージワシントン大学が米公文書を公開しています。1970年の時点でキッシンジャー国務長官とニクソン大統領がチリ経済を攪乱して、ピノチェット将軍のクーデターにつながる作戦を指令していたことが文書で明らかになりました。(2021/12/26)


国際
チリで学費無料化闘争のリーダー(35歳)が大統領に選出される
 チリで大統領選挙があり、極右候補のホセ・アントニオ・カスト氏(55)を打ち破った左派の最年少、35歳のガブリエル・ボリッチ大統領が誕生しました。35歳というのは法律上立候補できる最年少の年齢です。CNNによるとボリッチ氏は10年前に学費無料化闘争でリーダーだった学生ですが、日刊ベリタではその当時、チリの学生運動を報じていました。以下は2010年の記事の抜粋です。「教育の機会均等を求める世界の学生たち・・・(村上良太)(2021/12/23)


文化
コロナ時代に再読したジャン=フィリップ・トゥーサン著「浴室」〜 YouTubeチャンネル「フランスを読む」から〜
ジャン=フィリップ・トゥーサン著「浴室」」(La salle de bain)が日本で翻訳出版されたのは1990年1月。バブル崩壊と同時に、冷戦終結、そして平成の始まりという節目の時期でした。「浴室」は野崎歓氏の最初の翻訳でしたが、「浴室」の大ヒットを受けて、野崎氏は「ムッシュー」や「カメラ」「ポートレイト」など、次々とトゥーサン作品を翻訳しました。しかし、21世紀に入ると、時代が変わり、トゥーサンを知らない世代が生まれ、残念なことにトゥーサンは日本の若者から遠い作家になってしまったのでした。もちろん、時代を越えられない作家ならば、一過性の作品として、その運命を甘受するしかありません。とはいえ、トゥーサンの「浴室」を最近、読み返してみて、全然古びていないことを確認した次第です。(2021/12/19)


コラム
野党共闘の伸び悩み 3  「反知性主義」批判と知の1%対99%格差
野党共闘が10月の総選挙で伸び悩んだ原因について、私は労働者の二極化、社会の二極化が憲法の価値をすでに劣化させ、憲法のありがたみを感じる人々と感じない人々にわかれてしまったのではないだろうか、ということを書きました。今回は2011年にアメリカで始まった「ウォール街を占拠せよ」で浮上した富の格差、1%対99%の対立が、富だけでなく、知識や教養の世界にも対立軸を創り出し、教養や知識を持っている人々に対する眼差しも、世界の1%の富裕層に対する眼差しに近いものになっているのではないか、という仮説について書いてみます。つまり、インテリたちに対する眼差しが、尊敬から一転して、怒りの対象に転じているのではないでしょうか。安倍政権の国会運営等に対する反対運動が吹き荒れていた時、大学の教授たちは安倍政権を「反知性主義」として批判したものでした。(村上良太)(2021/12/05)


政治
野党共闘の伸び悩み 2  改憲派を育てた平成時代
  前回、野党共闘が期待されたほど伸びなかったばかりか、票を減らす結果になった背景について書きました。左派陣営がエリートと非エリートに分断され、それまで左派政党に投票していた貧しい労働者が反発を感じ、極右政党にシフトする傾向がアメリカでもフランスでもあり、日本でも起きているであろうことです。1930年代のナチスの台頭を振り返ると、ナチスは国民「社会主義」を掲げていました。「1つのドイツ」というスローガンは生活が崩壊に瀕している人々にとっては胸に突き刺さったでしょう。労働者が二極化してしまった今、極右政党が「日本人は1つ」と語れば、下積みに敷かれた労働者にはアピールするのではないかと思います。(村上良太)(2021/11/30)


コラム
野党共闘の伸び悩み 左派陣営にある分断線 〜フランスとアメリカと日本で見る〜
安倍首相退陣後の重要な機会となった今年の衆院選は自民党の勝利で終わり、野党共闘は政権を取れなかったばかりか、第一党の立憲民主党は議員を減らす結果となった。最近のインターネット政治時評を見ると、連合が共産党との共闘を嫌がっていることが指摘されていた。しかし、もう1つ挙げると、立憲民主党とれいわ新選組の間に存在している分断線も関係しているのではなかろうか。これは左派陣営が中道と極左に分断されていることを意味する。今回の選挙では表向きは立憲民主党とれいわ新選組は共闘関係に入ったが、未だ本当の意味での共闘に入り切れていないのではないだろうか。(村上良太)(2021/11/12)


検証・メディア
ジャーナリスト高世仁さんのブログ<高世仁の「諸悪莫作」日記>の面白さ
高世仁さんはTV報道のジャーナリストとして著名な方で、最近は香港の民主化運動や中東などをテーマに活動していました。しかし、残念なことにリーマンショック以後の民放の予算削減や調査報道縮小の波の中で経営していたプロダクションを昨年春に締めざるを得なくなりました。残念なことです。それでも個人的にブログでメディアをウォッチしていて、長年の地道な調査活動で鍛えられた視点と直感が反映されてとても勉強になります。高世仁の「諸悪莫作」日記です。(2021/11/06)


コラム
交代すべきは「世代」なのか?
今回の衆院選挙で、見込み違いに議員を減らした立憲民主党の枝野代表が代表を退くという話が伝わってきました。それと軌を一にするかのように「世代交代」が必要という話をする人を他の分野でも見かけます。その「世代交代」の方向は若い人に受け継いでもらう、という方向性です。人類史を俯瞰すればどうということのない当たり前の言葉ではありますが、しかし、たとえばリベラル派の政治学者が語る場合は、少し慎重さが必要ではないでしょうか。(村上良太)(2021/11/04)


欧州
YouTubeチャンネル「フランスを読む」  #Me Too 以後に創刊された日仏のフェミニズム雑誌
今年の3月から始めましたYouTubeチャンネル「フランスを読む」の第十五回目は日仏で最近創刊されたフェミニズム雑誌について、翻訳家の相川千尋さんに話していただきました。「フランスを読む」は基本的には1回、10分ほどで1冊を紹介する本の紹介チャンネルですが、今回は特別編になります。相川さんは翻訳だけでなく、活字メディアの仕事もしていて、新しい動きに敏感でもあります。ぜひのぞいてみて頂けましたら幸いです。(2021/11/02)


政治
野党共闘は敗れたとの報道をどう見るか 日本共産党の植木俊雄広報部長に聞く
10月31日の総選挙で、自民党は大きく議員数を減らすのではないか、と見られていたが、ふたを開けてみると減少は15議席のみ。新聞などの予想より、かなり少なかった。一方、議員数を伸ばすと見られていた立憲民主党は逆に13議席減らす結果となった。さらに日本共産党も2議席減少したため、野党共闘は敗北した、との見方を伝えるメディアの総括も出ている。そこで以前、野党共闘について以前、インタビューさせて頂いた日本共産党広報部長の植木俊雄さんに、選挙結果をどう見ているのか、個人的な考えをお聞きしました。(村上良太)(2021/11/02)


コラム
コロナと選挙  前代未聞の総選挙となる
今日は総選挙の投票日だ。今回の選挙は今までと大きく違う。言うまでもなく、昨年来の新型コロナウイルスが選挙に影響を与えるだろうことは想像されるだろう。過去の、このような大きな出来事の後の選挙を顧みると、直近では2012年暮れの総選挙があった。この時は2011年の地震・津波・原発事故の翌年にあたり、与党・民主党が惨敗。「日本を取り戻す」をモットーに掲げた安倍総裁の自民党が政権に復帰することになった。(村上良太)(2021/10/31)


みる・よむ・きく
マチュー・ポット=ボンヌヴィル著「もう一度・・・やり直しのための思索」
昨年5月に出版した拙訳による「もう一度・・・やり直しのための思索」を1年以上の時を経て再読してみました。著者は哲学者のマチュー・ポット=ボンヌヴィル氏です。原書は「Recommencer」。全体は7つのエッセイから成り立っており、それぞれ欧州の哲学者や論理学者、政治哲学者、文人、政治運動家などのエピソードをひも解きながら、物事を再開したり、やり直したりすることにまつわる難しさや落とし穴、課題などを考察しています。(2021/08/09)


市民活動
明治大学大学院文学研究科仏文学専攻 特別講義 /オンライン講演会 人間の臨界へ Elisabeth de Fontenayを中心に
「Elisabeth de Fontenayは、知的障害によって沈黙しつづける弟という謎をめぐって、動物性を研究してき た哲学者である。著書『夜のガスパール』(2018年)では、人間と動物との境界を意識しながら、デカ ルトの動物機械論やシンガーの功利主義から、アウシュヴィッツの子供フルビネク、ドゴールの障害を 抱えた娘や映画『レインマン』までを検討する。同書は著者の家族史でもあるが、情緒に溺れることな く分析的な考察を繰り広げながらも、きわめて親密で温かい作品となっている。とりわけ、著者が対象 とのあいだで、いかにして──「注意・関心」と「配慮・思いやり」という二つの意味での──attentif な距離を保っているかを注視してみたい。」(2021/06/12)


国際
ジェローム・カラベル(米社会学者)「トランプ主義は生き残る」 〜アメリカの民主党と共和党の支持層の逆転現象〜
以前ご紹介しましたカリフォルニア大学バークレー校のジェローム・カラベル名誉教授(Jerome Karabel )がフランスのルモンド・ディプロマティーク誌に昨年12月、大統領選挙の後に寄稿したテキストを、カラベル教授の許可を得て、全文翻訳いたします。タイトル「Trumpism will outlive Trump」(直訳は、「トランプ主義はトランプより長く生きる」)からうかがえますように、トランプ大統領が選挙に敗れたとしても、その考え方や行動は「トランプ主義」という形で未だ根強い人気があり、今後も続くであろうことです。バイデン大統領が今まで通りの民主党穏健派の立ち位置から抜け出し、労働者や庶民の党としての方向性を取り戻さなくては、やがてトランプよりももっと切れ味のある極右政治家の台頭を許す可能性があるというものです。(2021/05/09)


検証・メディア
YouTubeチャンネルを立ち上げました 「フランスを読む」
新型コロナウイルスで講演会や討論会もリモートになり、かつてのように人が一堂に集まって熱い討論を交わす、という場が懐かしくなっていませんか。そんな中、フランスと日本の本を中心に、1冊の本の魅力を10分ほどで専門家が語るチャンネルを立ち上げました。「フランスを読む」です。もちろん、これとて所詮は「リモート」であることは変わりないのですが、できるだけ臨場感のあるものを目指しています。これまでの語り手はフランス文学の教授や日本とフランスの翻訳家たちで、紹介される本は一読の価値ありです。今後はさらに料理や映画、人文科学や哲学などの分野の語り手も登場するかと思います。(2021/04/19)


みる・よむ・きく
イヴァン・ジャブロンカ著「歴史家と少女殺人事件 〜レティシアの物語〜」
イヴァン・ジャブロンカ著「歴史家と少女殺人事件 〜レティシアの物語〜」(名古屋大学出版会)はフランスで大きな話題になった2011年1月に起きた18歳の少女が殺された事件を通して、現代フランスの影の部分に光を当てたノンフィクションの力作だ。昨年7月に真野倫平氏による翻訳が日本でも出版されたが、もっともっと読まれてよいと思う。筆者は本書を読みながら、久しぶりに本格的なノンフィクション作品を堪能したという満足感とともに、現代の闇の中で生きている数多くの若者たちのことを思うと苦い思いにとらわれた。特に貧困問題と家庭内のインセスト(近親相姦)の複合事例である。(2021/02/07)


みる・よむ・きく
芳沢光雄著「新体系 高校数学の教科書(上下)」
数学者の芳沢光雄氏が講談社のブルーバックスというシリーズから出している「新体系 高校数学の教科書(上下)」は文系に進んで、数学と縁遠くなった社会人がもう一度、高校の数学全体を復習するにはもってこいの2巻本です。本書が初めて出版されたのは2010年だから、およそ10年前にあたる。上下巻の構成は以下のようになっています。(2021/02/04)


みる・よむ・きく
岩波ジュニア新書「天文学入門 星・銀河とわたしたち」
今年の正月に何冊か、科学入門や高校の数学のやり直し用の本を読んだことを以前、書きましたが、岩波ジュニア新書「天文学入門 星・銀河とわたしたち」(嶺重慎・有本淳一編著)もその1冊です。この本もまた私に衝撃を与えたのでした。まずは、天文学がこんなにワクワクする面白いものだったことを痛感させられたことと、その理由として、2つ挙げられることです。まずは、生命の起源が天文学と結びつけられていることで、生命の起源だけでなく、霊長類の進化の歩み、大気組成の変化、元素の周期表とその起源についても触れられています。つまり、物理から化学、生物学などのサイエンスが総合される形になっています。そして、もう1つの面白さは、大量の天文写真がカラーで掲載されていたことです。読んでいると、天文観測台に行きたくなるはずです。(2021/02/04)


みる・よむ・きく
神崎洋治監修「プロが教えるデジタル一眼カメラのすべてがわかる本」(ナツメ社)
ナツメ社から出版された神崎洋治監修「プロが教えるデジタル一眼カメラのすべてがわかる本」には「史上最強カラー図解」と銘打ってあって、確かに史上最強と名乗っても誇大広告とは思えない。最近、僕は手持ちのビデオカメラを買い替える必要があって、カメラ店に入って、いろいろ見たり、店員に聞いてみたりした。しかし、最近のデジタル技術の進歩に伴い、技術についてわからないところが多々あることに気づいた。たとえば、店員にSONYのビデオカメラの説明を聞いていて、CMOSイメージセンサーというものが何か、筆者には知識がなかったし、さらにその発展型のExmorについてはさらにわからない。(2021/02/01)


コラム
俳優のジャン=ピエール・バクリさんが亡くなる
 ついこの間、フランスの俳優のクロード・ブラッスールさんが亡くなったことを書いたと思ったら、残念なことに1か月とたたないうちに、今度はジャン=ピエール・バクリさんが亡くなった。ガンによる死だという。享年69.フランス人の友人や知人たちの多くが悲しみをいろんな形で表している。バクリさんもブラッスールさんと似て、2枚目俳優ではなく、3枚目の俳優だった。バクリさんには脚本を一緒に書く奥さんで、女優で、監督でもあるアニエス・ジャウイさんだ。この二人がコンビで脚本を書いた「ムッシュ・カステラの恋」(‘Le gout des autres‘、2000年 )は本当に素晴らしかった。二人は共演し、監督はジャウイさんがつとめた。テーマの見つけ方、人間を描くときの深さなど、心に焼き付く作品で、私は10回以上見た。(2021/01/19)


みる・よむ・きく
長沼毅著 「生命とは何だろう?」  科学の本はこんなにも面白くなっていた!
この正月休み、私は理系の高校から大学一般教養レベルの入門書や参考書の類を集中的に何冊か読みました。最近、私の周辺では生涯学習ということで大学に再入学したりする人が増えています。そうい (2021/01/11)


みる・よむ・きく
ドロテ・デュシ著「支配のゆりかご〜インセスト(近親相姦)の人類学〜」<Le berceau des dominations. Anthropologie de l'inceste> de Dorothée Dussy
 昨年、インセスト(近親相姦)がフランスで大きな問題となっていることを知りましたが、それに火をつけたのが今月話題になっている政治学者の家庭内でのインセストでした。この場合、血のつながりだけでなく、義理の親が義理の子供と性的行為を行うケースも含まれています。30年後に義理の親たちの行状をつづった暴露本とされる「La familia grande」(大きな家族)は、単に暴露だけでなく、インセスト(近親相姦)がどのような構造になっているかを家庭内で見つめたとされますが、雑誌では人類学者がインセストについて研究した本も紹介されています。(2021/01/09)


みる・よむ・きく
特権左翼たちの実態を暴露した「La familia grande」(大きな家族)を読んで セルジュ・ルグール(Serge Regourd 法学者 )
先日、フランスの大物政治学者オリビエ・デュアメル氏がスキャンダルで辞職し、波紋を広げていることを書きました。10代半ばの義理の息子と性的関係を結んでいたとされる事件です。事実の出どころは家族(義理の娘)のカミーユ・クシュネルさんが書いた本「La familia grande」(大きな家族)で、今年1月にフランスで刊行されたばかりであるため、中身については未知数でした。そんな中、トゥールーズ1キャピトル大学で法学教授をつとめてきたセルジュ・ルグール(Serge Regourd 法学者・ 現在は名誉教授)氏が本書を読んだ感想を記していたのを読み、ルグール氏の承諾を得て、日刊ベリタに翻訳いたします。(2021/01/08)


欧州
Sciences Poを指導してきたフランスの大物政治学者が義理の子供への性的虐待で糾弾される 30年前の犯罪を子供が暴露した本「La familia grande」で刑事事件に
フランスのシアンスポ(Sciences Po ,政治学院)と言えば、エリートを輩出する名門校として世界的に知られていますが、その政治学院の運営母体である国立政治学財団(FNSP)の政治学者が義理の子供への性的虐待で告発されています。渦中にいるのはオリビエ・デュアメル氏で、義理の子供に本の中で糾弾され、政治学院の関連財団の職を辞したばかり。放送局Europe1のコメンテイターも辞職したとされます。(2021/01/06)


コラム
古いソ連のオートバイの修復動画に心動かされた
 年末、YouTubeで久々に心を動かされる動画に出会った。ぼろぼろになったソビエト時代のオートバイを工場で黙々と修復していく動画である。動画の主人公はほとんど手元しか露出せず、修復のプロセスが1つ1つ、美しいカットとよく採られた音声で見ることができる。印象深いのはバイクの鉄に付着した錆や汚れを1つ1つ様々な溶液につけて溶かし、その後、鑢をかけて綺麗にしていくのだが、もちろん、おそらく腐食が進みすぎて、全部取り変えたパーツも少なからずあったろう。(2021/01/04)


みる・よむ・きく
久松健一著「本気で鍛えるフランス語 広げる中級編」 音源はどこへ??
以前、久松健一氏による「動詞宝典」という動詞の活用をすべてのページにつけた動詞中心の参考書について絶賛する記事を書きました。フランス語を始めとして、イタリア語やスペイン語などの古代ローマ帝国から派生した言語は動詞の活用が言語習得に大きな重要性を持っています。しかしながら、第二外国語の一般教養の課程で学校教育で習得できる動詞が実際にはごく少数であるという理想と現実がありました。久松氏の参考書はその溝を埋めるものでした。「本気で鍛えるフランス語 広げる中級編」は昨年古書店で新品同然のものを購入して手に取って読んでいますが、ドリル式になっていますが、骨子はやはり動詞に焦点が当てられており、472の動詞が解説されています。(2021/01/02)


コラム
マリーヌ・ルペンの年末のメッセージ  2021年はフランスの政治に重要な1年になるだろう
かつて国民戦線(FN)だった極右政党は今、国民連合(RN)に名前を変えて、党首にマリーヌ・ルペンを頂き、政治勢力の躍進を続けている。2022年はフランスの大統領選の年であり、2017年にエマニュエル・マクロンに敗れた彼女は来年こそと勝負をかけてくるだろう。その気持ちは12月の暮れに彼女が発信したメッセージに込められていた。その言葉の中で、2020年は悲惨な年であったが、COVID−19以上に犯罪者のイスラミスト勢力が繰り返しフランスで仲間をテロで斃したと強調した。彼らにフランスを壊させてはならないと訴え、2021年には地方選挙があるので、皆さんの意志を見せてくださいと訴えた。(2021/01/01)


コラム
フランス語の辞書を読む
私は今年に入って翻訳書を出してから、泥縄式的に辞書を引く、というより日常的に毎日読むようになった。先日、その経緯については書いたのだが、今回は私が目下、愛読している辞書について。過去に使ってきた辞書は私の場合、白水社のものと旺文社のものが多かった。今回、私が愛読しているのは旺文社のNouveau Petit Royal(第三刷)という仏和辞典である。愛読している、というより実質的にノートにほとんど丸写ししているのだが、と言ってもアルファベットのAから順番にやるというようなことはできないし、飽きてしまうので、私の場合はサイコロ賭博のようにぱっと開いて気の向いた単語から書き写していき、筆写が終わったら蛍光ペンでしるしを付けて置く。(2020/12/31)


コラム
俳優クロード・ブラッスール氏の死去
私がフランス映画を見る時、よく思うことはアラン・ドロンやジャン=ユーグ・アングラードのような美形俳優とは別のところで、三枚目系の俳優たちが活躍しており、人気が高い人がたくさんいることだ。ゴダールの映画「軽蔑」で妻役のブリジッド・バルドーから見放される辛い役を演じたミシェル・ピッコリも私には長年、なぜ人気が高いのかよくわからなかったし、亡くなった今もわからない。しかし、確かに彼の登場する映画を見ると、独自の存在感を保っていて主役を張ってきた。先日、亡くなったクロード・ブラッスールという俳優もそうだ。(2020/12/27)


コラム
かつての安倍政権と2022年から訪れうるマリーヌ・ルペン大統領の時代
フランスにとって2021年は運命の年になるのではあるまいか。それはCOVID-19による危機、というよりも、むしろ2022年の大統領選の前哨戦という意味である。2017年に大統領選で決選で戦ったエマニュエル・マクロンとマリーヌ・ルペンが、もしもう一度決選投票になった時、マリーヌ・ルペンが大統領に選出される可能性は高まっていると聞く。もはや2002年のジャック・シラク対ジャン=マリ・ルペンの時のような、極右のルペン一族の政治に対する圧倒的な危機感はフランスにはない。では、もしマリーヌ・ルペンが2022年に大統領に選出され、さらに2027年に再選されて、10年間、ルペン時代が続いたら、フランスはどうなるだろうか。(2020/12/26)


コラム
語学の参考書と辞書の関係
今年私は生まれて初めて本の翻訳書を出版したのですが、やってみて初めてわかることがあるものです。まず体験して思ったのは、単語力があればあるほど翻訳は楽になる、ということです。泥棒を捕まえてから縄を綯うということわざがありますが、単語力が倍増すればテキストを初見で見た時の印象も変わるはずですし、辞書を引く手間も省けます。とはいえ、辞書を引く手間が省ける、ということは1つの単語が持っている様々な意味を全部理解していて初めてできることで、たとえば1つの単語に10個の日本語の意味があるとすると、10個知っておくことが大切です。(2020/12/24)


コラム
出版人・ジャーナリスト、大江正章さんの早すぎる死  
 NPOのアジア太平洋資料センター(PARC)の事務局の方から、共同代表をつとめていた大江正章さんが亡くなったとの知らせを昨日いただきました。アジア太平洋資料センター(PARC)とは、武藤一羊氏や「バナナと日本人」を書いた鶴見良行氏らが1970年代に市民が社会問題を調査研究する時代を拓こうとして設立したNGOであり、現在はNPO法人でもあります。ベトナム戦争への反対運動を原点に、南北問題や農薬などの問題を市民の自発的な調査を通して研究してきました。大江さんはその共同代表をつとめていたのですが、その傍らでコモンズという出版社の代表もつとめており、常に多忙な生活を送っていたようです。いずれもオルタナティブな世界を市民目線から探求するものであり、大江さんの場合は農業のあり方が核になっていたようです。(2020/12/18)


欧州
リベルテ、エガリテ、プレカリテ 最近のフランスの三色
リベルテ、エガリテ、フラテルニテ。日本語で自由、平等、友愛がモットーだった革命後のフランスだが、最近、フラテルニテ=友愛の替わりに、生活の不安定さを意味する「プレカリテ」が急浮上している。今年の2回の自宅ごもりを経て、フランスの庶民たちの暮らしはかなり追い詰められているのかもしれない。もちろん、それは日本とて同じなのだろう。けれども、なんか最近、私のフランスの知人たちが今までなかった類の悲鳴を上げているのだ。(2020/12/18)


欧州
パリの共和国広場で難民たちのキャンプが強制撤去される
先日来、自宅に巣ごもりを求められているフランスで、デモが起きています。先日お伝えしましたように、1つは機動隊や警察、憲兵隊がデモ隊などを鎮圧しているところを警察官の個人が識別できる形でSNSなどにあげてはいけない、という法案が国会で審議されてきたからです。もう1つ大きな話題になっているのがパリの共和国広場に集まっていた難民たちのキャンプが警察によって強制的に撤去されたことです。その映像も含め、難民に対する処置として人間的なのかが今、問われています。(2020/11/25)


欧州
Loi "sécurité globale" フランスで警察や機動隊を撮影して公開することを禁じる法案にデモが起きる
フランスでは12月まで新型コロナウイルス対策で、今年、2回目のconfinement(必要がない限り、自宅で過ごすこと)を求められています。しかし、そんな中、人々を町に駆り出している原因の1つが、与党が法制化しようとしている"securite globale"法案です。特にこの中の24条です。これは機動隊や警察官、憲兵隊が活動している姿を、個人が識別できる形で撮影して公開することを禁止する目的です。そのため、労働組合や野党、人権擁護の活動家、ジャーナリスト、その他の人々から強い反対の声が出ています。(2020/11/23)


国際
2021年のバイデン大統領と北朝鮮  米朝交渉  その2
バイデン大統領になった時、北朝鮮と米国がどのように関係するのか、そのことは日本と韓国の人々の明暗も関わってくる重要なイシューです。ワシントンポスト紙の記事「North Korea watches Biden victory with one finger on the missile test trigger」(北朝鮮はミサイル試射のボタンに指をかけてバイデンの勝利を見つめている)はバイデン氏がオバマ大統領の副大統領だった時の対北朝鮮政策は宥和政策であり、むしろイランやキューバとの国交回復への歩みの方が軸になっていたことを記していました。このことは1994年に一時、米朝戦争再開の危機があったものの、基本的にはそれ以後の米政権の方針を継続していたとも読めます。(2020/11/14)


国際
2021年のバイデン大統領と北朝鮮  米朝交渉・まだ何一つ解決されていない
ワシントンポスト紙は「North Korea watches Biden victory with one finger on the missile test trigger」(北朝鮮はミサイル試射のボタンに指をかけてバイデンの勝利を見つめている)というタイトルで、大統領に選ばれたバイデン氏が北朝鮮との関係をどう構築するのか、北朝鮮はどのようにバイデン氏のホワイトハウスと向き合うのか、その不安なムードを伝えています。というのはトランプ政権が北朝鮮の首脳と平和的交渉を4年の間は続けてきたからでした。トランプ氏が2016年11月に大統領に選出された時、米国の北朝鮮通の識者は就任最初の100日間が決定的だと述べていたのが記憶に残っています。実際、トランプ大統領はそのアドバイスに従うかのように100日以内に北朝鮮との交渉を決定したのでした。当時は北朝鮮の核ミサイル技術が進化すれば米本土に核ミサイルが届くことになると言われ、緊張感がありました。(2020/11/13)


米国
ジョー・バイデン候補(民主党)が第46代米大統領に選出される  〜 歴史に学んだことが勝因〜
大接戦だった米大統領選ですが、バイデン候補(民主党)がトランプ大統領を破って第46代米大統領に選出されました。トランプ陣営が選挙方法をめぐって法廷闘争をしていますが、NBCやCNN、CBSなど米主要メディアがすでにバイデン候補の勝利を報じています。今回の米大統領選はCOVID-19の最中の異例の選挙で、しかも、その影響下で警官に黒人が殺される事件を契機に、黒人の人権を尊重せよ、というBLM運動が広がりました。COVID-19のための経営危機でまっさきに解雇される黒人たちの不満が爆発しかけました。この経験は米国民にはデジャビュ的なものでした。(2020/11/08)


米国
波乱を呼んだ2000年の米大統領選で敗れたアル・ゴア氏が「法的に有効な投票はすべて数えよう。民衆の意志に従おう」
 2020年の米大統領選は非常な接戦で、しかも郵便投票の多くがバイデン候補への投票のため敗色濃くなってきたトランプ大統領が法廷闘争まで起こす結果となっている。このことは20年前の大統領選を思い出させる。NBCは当事者だった民主党元大統領候補アル・ゴアにインタビューした。ゴアは「今回は20年前と異なっている。バイデンは勝利を確実にする道を複数保持している」と語り、「だが一番大切な原則は法的に有効な投票はすべて数えること。そして民衆の意志に従うことだ」と語った。(2020/11/07)


欧州
フランスで始まった2回目の自宅閉じこもり令  書店は開けるべきだとパリ市長のアンヌ・イダルゴ氏
欧州を新型コロナウイルスの第二派が襲い、マクロン大統領は集中治療室を確保するために3月に続いて、二回目の自宅閉じこもりの命令を出しました。期間は10月30日から12月1日までのほぼ1か月。小中学校などは通学が認められるなど、前回よりも多少、規制が緩くなってはいますが、しかし、閉鎖を求められた飲食店などは経営が苦しくなっています。観光産業もダメージです。フランスのニュースを見ていると、前回と今回の違いがいろいろ書かれていて興味深いものがあります。(2020/11/01)


米国
マイケル・ムーア監督曰く、バイデンのリードは半分に割り引いてみるのが正しい 「世論調査でトランプ支持の数字は常に低めに出てくる」
ミシガン州と言えば米大統領選の鍵を握る「中西部」の1つで、ドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーアの郷里でもある。大統領選の運動の最終ラウンドで、トランプ大統領もバイデン候補も中西部を回っていると報じられている。(2020/10/31)


コラム
今年の米大統領選はアメリカ人の政治的復元力が見える選挙  〜鍵は最高裁判事のバランスに対する米国人の見方〜
今年の米大統領選は共和党のトランプ大統領が再選を決めるのか、民主党のバイデン候補が勝利するのか。トランプ氏が前回の2016年の大統領選で新聞各紙ではヒラリー・クリントン候補に敗れると書かれていた中、逆転勝利を飾ったことは記憶に新しいことです。今回も世論調査で10ポイント近くバイデン候補がリードしていますが、ふたを開けてみるまでわからない選挙です。私が今回の選挙で注目するのは、大統領選のまさに直前にトランプ大統領が最高裁判事に共和党寄りのエイミー・コーニー・バレット判事を据えることに成功し、最高裁判事の保守派(つまりは共和党派と考えられる)が6人、リベラル派が3人と大きく差がついてしまったことです。(2020/10/30)


米国
米国の連邦最低賃金は時給7・25ドル 2009年から11年間据え置き〜米民主党は15ドルまで上げる政策を提言
米大統領選まであと2週間。先ほど、民主党候補のバイデン氏の経済政策への期待が高まり、世論調査でトランプ大統領を抜いたという記事を先ほど読みました。COVID-19の中、大富豪はますます富を増やしている、という情報に何度か触れましたが、連邦の労働者の最低賃金はアメリカの連邦では2009年以来、時給7.25ドルに据え置かれています。以下はアメリカの労働統計局(U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS)のオフィシャルデータです。(2020/10/19)


米国
米国の失業率のグラフを見る  リーマンショックよりも激震度は高かった
米大統領選の鍵を握る失業率の変動。実際に、どう推移してきたのか、米政府の労働統計のオフィシャルデータ(※ U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS)を見てみます。リーマンショックから翌年にかけて一度10%とピークになり、それがオバマ政権の誕生からずっと右肩下がりになっていました。トランプ政権もその傾向を踏襲して、今年1月に3.5%と記録的な低さを達成しました。しかし、その後、COVID-19の蔓延で、まるで垂直に駆け上るように失業率がうなぎ上りし、約15%まで近づきます。それがまたどっと下がっていますが、今はその中間地点の7・9%です。(2020/10/18)


米国
トランプ大統領の最大の「売り」の経済政策でバイデン候補が優位を奪う、とCNNビジネスは報道
米大統領選で新型コロナウイルスに自らも感染したトランプ大統領がこの1か月、どう挽回するのかが見どころになっています。しかし、CNNビジネスは10月6日付で、トランプ陣営の厳しい現実を描いています。つまり、トランプ大統領の売りだった経済政策で、バイデン候補がCNNの最新の世論調査で追いついて並んでしまったことです。5月の時点では12ポイントもの差でトランプ大統領の方が経済政策では評価されていましたが、今やほぼ並んでしまったということです。特に、現職は年初に歴史的にも低い失業率3.5%を誇っていましたが、現在は新型コロナウイルスの影響で7・9%と、大統領選直前の時期としてはこれまた歴史的な高い数値に跳ね上がっているということです。新型コロナウイルスの蔓延で大量に失業者が出た後、復興に向かっていましたが、その勢いが鈍化しているとCNNビジネスは伝えています。(2020/10/18)


みる・よむ・きく
フランク・キャプラ監督「ナチス 怒涛の侵略 (原題は「Divide and Conquer」) 米プロパガンダシリーズ「我々はなぜ闘うか」の3作目
書店などでワンコイン(500円)で売られていた第二次大戦中の戦史もののDVDの中に、「我々はなぜ戦うのか(Why we fight)」と題する米軍のプロパガンダ映画シリーズがあります。これは欧州の戦争に参戦するのを厭う米世論にナチスおよび枢軸国の危険性を呼びかけ、集団的防衛の重要性を語りかけ、究極的には参戦に好意的な世論を創り出すことにあったとされます。シリーズは全7作。監督は民主主義の価値を訴えてきた名匠フランク・キャプラとアナトール・リトヴァクです。このシリーズは戦後70年以上たってもなお外国で販売されているように、プロパガンダ映画としては出来がよいのです。7本の構成は以下。(2020/10/17)


コラム
帰ってきたトランプ  
9月に新型コロナウイルスに夫婦で感染し、軍の病院で治療を受けていたトランプ大統領がホワイトハウスに戻り、大統領選に復帰した。復帰後のトランプ大統領の選挙集会などの一連の映像を見ていると、トランプ大統領が支持を集めつつある印象を受ける。世論調査では夏以来、一定して民主党候補のバイデン元副大統領が10%近くリードしてきたが、2016年の選挙でも開票までヒラリー・クリントン候補の勝利を各紙は予想していたことを忘れてはなるまい。おそらくトランプ大統領の支持層は世論調査でつかみにくい層なのだ。(2020/10/17)


コラム
安倍首相と雄弁術
安倍首相が辞任した。7年にわたる長期政権が終わり、安倍首相の悲願だった改憲も頓挫した。安倍首相は安保法制などを強行採決で通したことで、名を捨てて実を取ったと留飲を下げているのかもしれない。いずれにしても、安倍首相は2016年あたりまでは躍進していたが、それ以後はスキャンダルや反対する人々の抵抗にあって、いつしか推進力を失ってしまった。この失墜の原因は何かと考えると、人によって答えが違うと思うが、私は安倍首相に雄弁術がなかったことが大きな原因ではなかったかと思うことがある。(2020/10/17)


政治
日本の農作物の輸出は伸びているのか? 輸入はどうか? 〜政府に騙されないためには輸出統計は必ず輸入統計とセットで全貌を見ることが大切
39%まで落ち込んだ日本の食料自給率を政府は近い将来、50%まで少なくとも改善する方針である、とメディアの記事で読んだことがありますが、その際、マジックの1つとして輸入大豆などで飼育されている家畜(肉牛や養豚)を「国産」にカウントすることがあるようです。菅首相は秋田の農家のせがれと語りつつ、農家を支援すると言って、農産物の輸出を掲げていますが、いったいどこまでの可能性があるのでしょうか?政府(農水省国際部国際経済課)のグラフを見ると、農産物の輸入量は1966年に1兆円強だったのが、ほぼ右肩上がりに年々増え、2018年には6兆6220億円に達しています。一方、農作物の輸出は安倍政権に入って確かに伸びてはいたものの、2018年でも総額は5661億円と輸入農作物の10分の1にも達していません。(2020/10/10)


米国
カマラ・ハリス副大統領候補が米大統領になる可能性は
カリフォルニア州選出の上院議員カマラ・ハリス氏については民主党予備選では筆者は注目していませんでしたが、ふたを開けてみると、副大統領候補に選出され、バイデン氏が大統領になった場合は副大統領、バイデン氏が病気か死で執務不能となると、大統領に昇格します。ハリス氏が、予備選でもっと上を走っていたエイミー・クロブシャー候補やエリザベス・ウォーレン候補ではなく、ハリス氏を選んだポイントはどこにあったのでしょうか。クロブシャーもウォーレンも白人女性のエスタブリッシュメントの候補者であるに対して、ハリス氏は有色人種であるとともに、ライバルのバイデン候補に対して歯に衣着せぬ言葉を投げかけていたことにもあったかもしれません。(2020/10/09)


政治
米副大統領候補の討論会 マイク・ペンスV.S.カマラ・ハリス  大統領候補の討論会より面白い
米大統領選の候補者によるTV討論は3回行われるが、副大統領同士のTV討論はその間、一度だけ行われる。今年は現職の副大統領マイク・ペンス対カマラ・ハリスのディベートである。行われたのはユタ州で、10月7日(水曜)の午後9時から。マイク・ペンスは共和党の保守派として知られ、派手好みで感情的に表現するトランプ大統領とは対照的に冷静な話し方をする。一方、カマラ・ハリスは母はインド系、父はジャマイカ系の有色人種であり、人種対立が先鋭化した米国において、融和の象徴としてバイデン候補に副大統領候補として抜擢された。今回のディベートでカマラ・ハリスの話し方を見ると、一種の余裕すら感じさせる逞しさがある。その余裕は恐らくカリフォルニア州で検察官をして、裁判所で今回のディベートにも通じるようなやり取りを職業的にしてきたのではないか、と感じさせる。(2020/10/09)


みる・よむ・きく
アンドレ・バザン著「映画とは何か」(岩波文庫 上下二巻)  今、ヌーヴェルヴァーグの原典に触れる
フランスのヌーヴェルヴァーグの映画監督たちの父とも言われる映画評論家がアンドレ・バザンで、その影響はフランスのみならず日本やアメリカなど世界に及んでいます。そのバザンの主著が「映画とは何か」で、5年前に野崎歓・大原宣久・谷本道昭の3氏による翻訳が出ました。過去にも別の翻訳者による翻訳があったそうですが、ともかく、この岩波から出た「映画とは何か」は読みやすくてありがたい本です。そして、映画の著作権の有効期間が公開から70年だとすると、バザンが本書で語っている映画の多くもすでにパブリックドメインになっていて、今日、かつてよりも本書を読むための環境が整いつつあるのではないでしょうか。(2020/10/08)


コラム
新聞記事における識者のコメントでなぜ特定の著名人ばかり登場するのか?
新聞記事で記者たちが識者にコメントを求める際、どう見ても、特定の著名人に集中する傾向があるように思われる。たとえば、フランス文学とかフランスの哲学や法哲学などの方面でも、常々登場するのはせいぜい10人程度ではなかろうか。大学でフランス語を通した研究や哲学に携わっている人々が日本にいったい何人存在するのだろう。准教授や様々な教員まで射程に入れると、数百人には上るのではなかろうか。それないも関わらず、特定の人々の意見ばかり新聞が取り上げるのは、それがプロセス上、楽であり、それらの識者が言いそうな内容が事前に想定できる予定調和性にある、と言えると思う。そうした新聞記者の都合は理解できる。(2020/10/05)


米国
PBSがボブ・ウッドワード記者にインタビュー  トランプ政権を描いた最新刊「Rage(憤り)」
米大統領選挙の投票まで1か月。佳境にさしかかり、現職大統領がCOVID-19に感染する、という波乱ぶくみの展開。9月にウォーターゲイト事件の報道で知られるワシントンポスト紙のボブ・ウッドワード記者が新刊を出しました。タイトルは「Rage(憤り)」です。中身はトランプ政権です。COVID-19が流行する政権の後半に軸があります。この本につき、公共放送のPBSが著者へのインタビューを行っています。(2020/10/05)


米国
トランプ大統領は側近の女性(ホープ・ヒックス氏)が感染しているのを知りつつ、水曜日に大統領機で同乗させていた  Democracy Now!の報道
トランプ大統領の容態が目を離せなくなっているとの報道とともに、ホワイトハウスの感染症対策の不備が指摘されている。以下は「Democracy Now !」の報道。水曜日の段階で、大統領が疲労している状態の時、大統領機に側近のホープ・ヒックス氏がCOVID-19に感染していると知りつつ、同乗されていた事を報じた。(2020/10/04)


米国
第一回目のトランプVSバイデンのTV討論に対するバーニー・サンダースの感想
アメリカの「ジミー・キンメルLIVE」にバーニー・サンダース上院議員が登場し、第一回目のトランプVSバイデンのTV討論について29日の当日夜に述べています。(2020/10/03)


米国
米国:トランプ大統領(74)死亡の場合への備えの必要性  「65歳から74歳の感染者の8%は死亡、75歳から84歳まででは18%が死亡」(The Atlantic)
トランプ大統領は軽い風邪状態の新型コロナウイルス感染の症状が出ていると報じられています。死亡する確率は低いとはいえ、アトランティック誌は男性の場合、「65歳から74歳の感染者の8%は死亡、75歳から84歳まででは18%が死亡」(The Atlantic)と報じ、死亡する可能性がゼロとは言い切れないと伝えています。トランプ大統領の肥満もそのリスクを高めていると指摘しています。(2020/10/03)


みる・よむ・きく
ロラン・バルト著作集3「現代社会の神話」(下澤和義訳)  ロラン・バルトの最良の入門書
みすず書房から出ているロラン・バルト著作集3「現代社会の神話」(下澤和義訳)は、批評家だったロラン・バルトの仕事を理解する上で非常に良い入門書として読めると思いました。バルトは本書で社会の中に流通する様々な「神話」を集めて、その奥に潜むイデオロギーを抽出して見せる作業をしています。本書は文芸誌で毎月掲載していたエッセイ集とその理論から構成されています。対象もストリップやプロレス、休暇中の作家、映画の中のローマ人、ツール・ド・フランス、ステーキとフライドポテト、ワインとミルクなどなど、身近な事象です。たとえば、ストリップと言えば、ちょっと見には反道徳的な印象がありますが、バルトはストリップがいかに道徳的かについて記しています。(2020/10/03)


米国
米大統領選 1回目のトランプ V.S. バイデンのTV討論 
1回目の米大統領選のディベートがクリーブランドで9月29日に行われました。4年前とトランプ大統領の雰囲気はまったく異なります。最高裁判事の任命、COVID-19への対処、経済、人種差別問題などについて、最初に双方が2分ずつ自説を語ったあと、討論に入ります。司会はFOXニュースのクリス・ウォレス(Chris Wallace)氏。父親のマイク・ウォレスともどもTVの司会で活躍してきたジャーナリストです。(2020/10/02)


みる・よむ・きく
米ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが「Rage(怒り)」を刊行  トランプ政権の新型コロナウイルス対策などを検証
米大統領選を控える今、ジャーナリストのボブ・ウッドワードが任期の最後を迎えたトランプ政権がCOVID-19やその影響下で困窮する米経済、さらに黒人への差別事件と抗議デモなどに、どう対処してきたかが検証されているそうだ。サイモン&シュスター社から9月15日に出版。30ドル。(2020/10/02)


米国
トランプ大統領夫妻が新型コロナウイルスに感染  万一、死亡の場合は副大統領のペンスが大統領に
トランプ大統領が新型コロナウイルスに夫婦で感染したとツイートしたことで、米報道機関は一斉に報じている。以下はCNN.(2020/10/02)


みる・よむ・きく
ジャック・ベッケル監督「肉体の冠」(Casque d'or , 1952)
  ジャック・ベッケル監督(1906-1960)と言えば「現金に手を出すな」や「穴」など、ギャングや犯罪がらみの映画が得意な職人的監督として知られており、1952年に公開された「肉体の冠」もそうした系譜の映画です。主演は「嘆きのテレーズ」のテレーズ役など、恋人を地獄に突き落としてしまうファム・ファタール(運命の女)役で定評のあるシモーヌ・シニョレと、彼女に愛されたばかりにやっぱり悲痛な死を迎えるセルジュ・レジアニです。原題の「金のヘルメット」(Casque d'or)が邦題では「肉体の冠」と改変されていますが、「金のヘルメット」とはシニョレが金髪で、「金のヘルメット」というニックネームのついた娼婦を彼女は演じています。(2020/10/01)


みる・よむ・きく
大庭英子著「パンでごはん」  何気ないパンを自宅でご馳走にするノウハウ
西東社から刊行された「パンでごはん」(大庭英子著)は、今こそそのありがたみが今まで以上に実感できる本でしょう。トースト、サンドイッチ、ロールパンなど、スーパーで買える日常のパンに一工夫して、自家製の総菜パンを作るノウハウが詰まっています。たとえばトーストならバターを塗るだけでなく、1つ加えて、たとえばゆずこしょうバターやチーズ黒こしょうバター、バジルバターなど、トーストの世界が大きく広がります。あるいはツナマヨディップやアボカドディップのように、パンに載せて食べるディップの提案も出ています。トーストなど何十年と食べていながら、マーガリンかバター、あるいはジャムを塗るぐらいしか、やったことがありませんでした。(2020/09/28)


検証・メディア
NHK広島放送局の差別ツイートについて  思い出した2つの過去の事例
 NHK広島が1945年の状況を当時、ツイッターがあったら、という想定で、実在の人物の手記をもとに、一連のツイートをしたことが大きな批判を呼んでいます。朝鮮人への差別的なツイートが発信されていたことがその原因です。新聞記事や批判する人々の声を読んでいると、過去の事例が想起されてきました。(2020/09/27)


コラム
明治維新は革命だったのか?
明治維新を、あれは実質的に革命だった、と考える歴史家がわが国にいて、そのアピールが功を奏してフランスの革命史家にも認められたとの話を最近、耳にしました。明治維新が革命だった、というそれらの歴史家の理由は士族らによる上からの革命だったとしても、身分制社会や藩政が解体され、近代国家への移行が行われ、しかもフランス革命よりはるかに死者が少なく済んだ、ということでした。それを聞いた時は、そういう考え方もあるかな、と思いました。しかしながら、後で考えが変わりました。何と言っても明治憲法は人民主権が欠けています。どんなに社会構造が変わろうと、「人民主権」のない政体への移行は広義の革命だったとしても、「市民革命」とは呼べません。その意味で明治維新を革命だったとして評価を高める方向性は少し距離を置きたいと思うようになりました。(2020/09/27)


みる・よむ・きく
「ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち」 今後もこうした本を出し続けて欲しい。できれば米文学以外でも・・・
アルクから柴田元幸氏の編集・翻訳になる「ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち」が2枚のCDつきで刊行されたのは2004年でした。もともと2001年頃からEnglish Journalで掲載されたものを1冊にまとめたものです。2004年と言えば、16年も前のことで、当時は2003年に起きたイラク戦争が終結しないまま、米国が経済的に衰亡し、国家としても権威を失いつつある時代でした。米国はかつてのような世界が仰ぎ見る憧れの豊かな国あるいは文化的なリーダーの地位を失いつつありましたから、アメリカの文学に対する関心度も90年代までと今とを比べると、雲泥の差という気がします。もちろん、対アメリカだけでなく、日本人の多くが内向的になっていきました。(2020/09/26)


みる・よむ・きく
「無頼の画家 曾我蕭白」(狩野博幸 横尾忠則)
近年、独自の作風を持つ江戸時代の画家、伊藤若冲と曾我蕭白の人気が高まっているようです。辻惟雄著「奇想の系譜」で紹介されたことがそのきっかけとされますが、二人は独自の個性と言ってもどちらかと言えば対照的な作風であり、デザイン的に美しく優しい若冲の絵画に比べると、蕭白の絵は蝦蟇仙人や鬼女、龍や人間臭い賢人たちなど、毒々しく、人間の膿を掃き出し、笑い飛ばすような画風です。そして二人とも生き方自体も常識破りだったと言われています。新潮社刊「無頼の画家 曾我蕭白」(狩野博幸 横尾忠則)は蕭白の魅力を日本美術史の研究者・狩野博幸と画家の横尾忠則がたっぷりと語ってくれて、とても興味深い一冊です。(2020/09/25)


みる・よむ・きく
十時亨著「フランス料理の基本」  フランスの地方料理の豊かさ
フランス料理のシェフ、十時亨(ととき とおる)さんが書き下ろした「フランス料理の基本」の一番の特色はフランスの地方料理が紹介されていることです。フランス料理と言えば敷居が高く、一般の人には足を踏み入れにくい印象が未だにありますが、十時さんは「家庭でも簡単にでき、普段使いでも、恋人同士でも、友人を招待したときにも、簡単に作れて、皆様に大変喜ばれ得る料理ばかりです」と冒頭で方針を述べています。たとえばブルターニュ地方のガレットブルトン(そば粉のクレープ)、じゃがいものエシルエト風、かぼちゃのスープ、有機野菜のロースト、ベルギービールのスープ、牛肉の赤ワイン煮、野菜とベーコンのスープ、地鶏のロースト(ブルボン風)などなど、確かに郷土料理色の濃厚なラインナップになっています。またバスク地方の焼き菓子やルーアン風ミルリトンなど地方の菓子類も紹介されています。(2020/09/23)


みる・よむ・きく
ジャン・ヴィゴ監督「操行ゼロ」
29歳の若さで不幸にも亡くなったフランスの映画監督ジャン・ヴィゴが監督した「操行ゼロ」(1933)は翌年の「アタラント号」とともに世界の映画人や映画ファンに霊感を今も与え続けている。「操行ゼロ」では寄宿制の中学校で集団生活をする男子生徒たちが彼らを抑圧する教師や寄宿舎の監督官たち、校長らに反旗を翻す。約40分の短編だが、抑圧者への反抗を、大人と同じ真面目なモードでなく、遊び心たっぷりに描いた作品である。劇中に出てくる子供たちの遊びの描写がなんとも生き生きして面白い。また、この映画にはファンタジーも挿入されている。たとえばラストで出てくる県知事たちを迎えた記念式典の幕内の後方の席には人間ではなく、人形が並んでいる。この映画を見ると、自由奔放に映画を作ったイタリアのフェリーニ監督もかなり影響を受けたのではないかと思えてくる。(2020/09/23)


コラム
金とメディア
価値のあるメディアには金が必要だから募金を募る、というのはある意味でその通りなのですが、その言葉が増幅して、「金をかけないメディアは全部、価値がない」という風に受け取られると、金をかけない小さなメディアやサイトに関わっている人々を一括して「お前たちはゼロだ」と言っているように響いてきます。調査報道にはお金がかかるものです。それは確かですし、人に会って、話を直に聞こうとするとこれもお金がかかります。ですから、お金をかけないでやろうとすると、やれることが限られてきます。(2020/09/20)


みる・よむ・きく
エリック・ゼムール著「女になりたがる男たち」
エリック・ゼムールと言えばフランスメディアではムスリムに対して排外主義的な論客として知られていますが、この新潮新書の「女になりたがる男たち」では女性化するフランスの男性ひいては社会を批判的に語っています。フェミニストたちに男性が洗脳され、古き良き男たちの世界が没落しつつある、と注意を喚起しているのです。筆者はエリック・ゼムールは、本当に排外主義なのか、それともフランスのメディアで食っていくために排外主義的なポジションから面白おかしく風俗を語り、進歩派を皮肉る芸風なのか、判断しがたいところがあると思っています。実際、ゼムールには軽さがあって、殺意すら感じさせるような威圧感を持って話したことはありません。ですから、フランスのメディアも安心して、左翼あるいは進歩的な文化人や政治家をトークショーで特集する時はゼムールをかませて、話に陰影をつけることをしてきました。(2020/09/19)


みる・よむ・きく
ファラッド・コスロカヴァール著「世界はなぜ過激化するのか? 〜歴史・現在・未来〜」
フランスで活躍するイラン系の社会学者ファラッド・コスロカヴァール著「世界はなぜ過激化するのか? 〜歴史・現在・未来〜」は、欧州で先鋭化してきたジハーディストとフランス社会の背景について専門研究者の視点で分析された極めて興味深い本だ。コスロカヴァールが「過激化」(ラディカリザシオン)にテーマを絞った理由はそれが過去の欧州政治史の事象とは異なり、政党や国家的なイデオロギーよりも個々人の動機こそが重要だからだ。2001年9月のニューヨークにおける同時多発テロが「過激化」というキーワードが浮上するきっかけになったのだという。本来であればオルタナティブの役目を担ってくれたはずの政党や権威が失墜したことが、個人の過激化現象の背後にあるのだという。そしてジハーディストや極右テロリストは様々な時代や空間の出来事に自由に想像の中で感情移入しながら、メディアを介して自分も英雄になりたいと願う。(2020/09/14)


コラム
夏休みの果てのならず者たちの楽天主義
毎年、夏休みの終わる頃、あるいは二学期の始まる頃、子供の自殺が増えるという話を聞きます。実際の数値までは知らないのですが、自分の子供時代を考えると、確かに8月末は放置していた算数や国語、自由課題などの夏休みの宿題が山積みして、そのプレッシャーがあったことを思い出します。私が子供の頃は、今のようなインターネットのある情報化社会ではなかったので夏休みの日記などでは、毎日の天気の記録などで、家族で購読していた新聞をたどって再現しないといけませんでした。几帳面な子供は毎日コツコツできるのでしょうが、私のような子供はだんだん後にたまってきます。8月30日と31日あたりは泣きそうな気持ちで、課題をまとめてやっていたものです。(2020/09/13)


みる・よむ・きく
時代を画す傑作の参考書 「フランス語・動詞宝典」(初・中級編308と中上級編466」(久松健一著)
前にも一度書いたと思うのですが、駿河台出版社から出版された2冊の語学の参考書、「フランス語・動詞宝典」(初・中級編308と中・上級編466」(久松健一著)はフランス語を学ぶ人にとっては時代を画する参考書だと思います。久松健一氏はフランス語の参考書を多数書いていますが、本書が代表作と言っても良いのではないでしょうか。この2冊がどのようにすごいかと言えば、初・中級編では308の、中・上級編では466の動詞の活用が動詞1つに1ページか2ページの割合で付けられ、さらに重要例文が付してあるのです。(2020/09/12)


コラム
NHKはオンデマンドではなく、無料で過去の放送のYouTube公開を
百聞は一見に如かず。TVで放送された番組がYouTubeにUPされていても違法ではないのが、フランスの国立機関INAによる番組の公開制度です。公共放送の番組だけでなく、民間放送の番組も収集して公開しています。具体的な運営の仕組みまではわかりませんが、過去の思想家や作家などのインタビュー番組がかなり多数、YouTubeのINAのページでUPされています。(2020/09/10)


みる・よむ・きく
等身大の人間を描くタルディ(TARDI)の漫画 〜フランスの探偵漫画などで活躍〜
フランスは日本のアニメーションにほれ込んだオタクがたくさんいる国として知られていますが、フランスで独自に発展した漫画BD(バンドデシネ)には逆に日本に紹介したい作家にあふれています。作画を担当したタルディ(TARDI)は筆者が好きな漫画作家ですが、TARDIの代表作は「ネストール・ビュルマ」(Nestor Burma)という名前の探偵のシリーズでしょう。いわゆるハードボイルドタッチの作品で、レオ・マレという人が台本を担当し、Castermanというパリの出版社から刊行されています。この探偵は決して銃を撃たないことで知られています。タルディの漫画の最大の特徴は、登場人物の顔の描き方にあると思います。主人公も脇役も、みんなスーパーヒーローでも超悪人でもなく、等身大の人間として描かれています。特に目の描き方にそれが典型に現れています。これはタルディの人間主義というものでしょう。(2020/09/10)


みる・よむ・きく
これほどの黒人への差別反対運動の高まりは過去に経験したことがないと語るアンジェラ・デイビス教授 「デモクラシー・ナウ!」のインタビューから
ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイド氏が衆人環視の元、警官に殺されたことがきっかけとなって、全米で高まっている黒人差別反対の運動はレイシズム反対の運動を長年続けてきたアンジェラ・デイヴィス(Angela Davis)教授にとっても、過去にはない高まりに至っていると言います。アメリカの報道番組「デモクラシー・ナウ!」の6月のインタビューです。(2020/09/09)


みる・よむ・きく
「人新世とは何か <地球と人類の時代>の思想史」(クリストフ・ボヌイユ&ジャン=バティスト・フレソズ)
最近、すさまじい台風や異常な強風、竜巻など異常気象が毎日のように話題になっています。今回の台風10号も非常に強いと報道されています。私個人について言えば2018年秋の台風24号で老朽化した住まいの屋根が直撃され、近代的な住宅に引っ越しを余儀なくされました。身近に被害が起きている状況に生きていると、青土社の「人新世とは何か <地球と人類の時代>の思想史」(クリストフ・ボヌイユ&ジャン=バティスト・フレソズ)で提起された「人新世」という概念への関心度が異なってきます。それは人類の出現が地球の地質学的な時代区分を画するほどに、人類の生産活動が地球に莫大な影響を与えるに至ってしまったことを意味します。(2020/09/07)


文化
人類学者のデヴィッド・グレーバー氏が死去  「ウォール街を占拠せよ」のリーダーの一人
人類学者のデヴィッド・グレーバー(David Graeber)氏が亡くなったという記事が出回っています。「ウォール街を占拠せよ」のリーダーの一人として知られています。享年59.日刊ベリタに哲学者の森元斎氏がアナキズムの必読書を10冊挙げてくれましたが、その中にグレーバー氏の『アナーキスト人類学のための断章』もありました。(2020/09/04)


みる・よむ・きく
イヴァン・ジャブロンカ著 「公平な男性〜家父長制から新しい男性性へ〜」Ivan Jablonka 「Des hommes justes : du patriarcat aux nouvelles masculinités」
男女間の差を示すジェンダー・ギャップ指数で日本は昨年、153カ国中121位と底辺の一角を占めています。女性の衆議院議員はわずか10%、参議院議員も20%程度と公平(パリテ)には程遠い状況です。国民の政治意思を示す国会の場で男女間の議員の数に圧倒的な格差が生じていることが日本の停滞の原因になっているのではないでしょうか。つまり、男性の考える制度が反映される結果、家庭や社会に起きている現実の様々な不具合が全くと言ってよいほど調整できないのです。そんな日本の読者に、大きな刺激を与えるのがフランスで1年前に刊行されたイヴァン・ジャブロンカ著 「公平な男性〜家父長制から新しい男性性へ〜」です。(2020/09/04)


検証・メディア
フランスの政治番組の面白さ  野党党首の特集で2時間枠  〜野党党首に各分野の厳しい論客をかませて1対1で論戦させる〜
フランス人の私の友人たちの多くはTV番組を信頼せず、ほとんど見ていないばかりか、TV自体を持っていない人が少なくありません。それでも外国人の僕からみると面白い番組があるのです。たとえば政治番組で言えば、2017年の大統領選で健闘した左派政党「服従しないフランス」の党首であるジャン=リュク・メランションへの2時間にわたるスタジオ番組が放送されています。メランションはもともとは社会党議員で、その後、社会党の中道化、あるいは右傾化に反対して飛び出し、左翼党を立ち上げました。今は「服従しないフランス」の党首として、左派政党の一角を占めており、議員の人数以上に、メディアではしばしば発言が取り上げられています。以下のリンクは大統領選のあった2017年の11月にフランスで放送されたらしく、メランションが公共放送局France2の了解をもとにYouTubeにUPしているものです。(2020/09/02)


コラム
ドキュメンタリーとマイクロペニス 5
何度かこれまで、このシリーズでマイクロペニスであることがどういうことか自分なりに、書いてきました。自分の体、とくに生殖に関する部位に発育不全とか、異常などがあるとその人は男女を問わず、非常に孤独になりがちだろうと推測します。中には自殺を考える人もいるのではないかと思います。僕の場合も自殺を真剣に考えたことが人生に2度ありました、1度は20歳の時、2度目は40歳の時。20歳は人生の旅立ち、巣立ちの頃。40歳は働いて一通り仕事を経験して、これから後をどう発展させるか。いずれも自分とは何かというアイデンティティが大切な時期です。(2020/09/01)


コラム
権威主義政府とSNS  言論に関して外国人にも適用される刑法が・・・
 6月30日に可決され、すぐに施行された中国の国家安全法(香港国家安全維持法)には取り締まりの対象が香港の人だけでなく、国籍や地域を問わない条項(※)があるそうです。いかなる国の領土や外国人であってもこの法律を犯した人は中国政府から起訴される可能性があるということです。では、もし日本政府が中国政府の犯罪者引き渡しの要求に応じることがあれば、日本国内でいくら憲法で言論の自由が保障されていたとしても、中国でもしその日本人が起訴されていれば、中国に引き渡される可能性がある、ということでしょうか。 あるいは、日本政府は日本の憲法を尊重して、憲法の精神に則って「犯罪者」の引き渡しには応じない、ということになるのでしょうか?(2020/08/27)


コラム
ドキュメンタリーとマイクロペニス 4
今年になって、医学でマイクロペニスという極小であり(勃起時に7センチ未満がそう呼ばれています)僕もその範疇にあることを書きました。10代の思春期の頃から、ずっと誰にも言えず、隠し続けてきた一番恥ずかしいことです。僕はゲイではないのですが、恋愛してもその果てに肉体関係を結んだり、家族を持ったりということに対する不安があって、もうすでに50代半ばですが、今まで独身でした。一番苦しいことは、以前は僕のようなケースを呼ぶのに「短小」という曖昧な表現しか知らなくて、甚だしい肉体的ハンディだとは自分で思いながらも、それをどう認識したらよいのか、誰に聞くこともできず、悶々としていたわけでした。(2020/08/26)


みる・よむ・きく
手塚治虫著「ぼくのマンガ人生」(岩波新書)
岩波新書から出ている手塚治虫の「ぼくのマンガ人生」には意外な面白さがあった。手塚治虫のマンガと言えば反戦や生命の不思議さとその倫理、差別への反対など少年たちにとってはいずれも強いメッセージ性を伴うストーリーだった。そして、入門書である「マンガの描き方」などを含めて、様々な場で手塚氏はそうした思想を語ってきた。だから実を言えば岩波新書の「ぼくのマンガ人生」において手塚氏自身が語っている部分はさして新鮮味がなかった。価値がないというのとは違うけれど、すでに何度か聞いた話なのだった。(2020/08/22)


コラム
在日コリアンの映画人との交流が僕の国際交流の原点
1995年は戦後50周年という節目の年でしたが、当時、僕は映画の助監督の仕事を通して知り合った在日コリアンの映画人に招聘されて「解放50周年」記念式典の記録動画撮影のアルバイトで大阪に一時帰省しました。僕の助監督の初仕事は大阪在住の監督・金秀吉さんの「あーす」という映画だったのですが、映画のスタッフは日本人、在日韓国人、在日朝鮮人で、2か月の撮影期間は空いていた相撲部屋での合宿でした。ですから、在日の人々と寝食をともにして働き、食い、酒を飲む毎日でした。僕にとってはそれまで在日の人々と交流することは心理的に難しいところがありました。過去の植民地支配の歴史や日本における差別の歴史を意識すると、自由になれなくなってしまうところがあります。(2020/08/19)


みる・よむ・きく
ジャック・リヴェット監督「美しき諍い女」(La Belle Noiseuse) 女性を素っ裸にして「真実」を吐き出させようと挑む老画家
 ジャック・リヴェット監督の「美しき諍い女」(La Belle Noiseuse) という映画は1991年に作られたもので今から30年近く前になる。この映画はエマニュエル・べアールが素っ裸のモデルとして、ミシェル・ピッコリが演じる老画家の前に立つということで話題を呼んだ。老画家は彼女に肉体的に苦しい変なポーズばかり強いるのだ。だからと言って、若い裸の女を手籠めにするわけではない。老画家は筆一本で白い画布にそれを描くだけだ。とはいえ、若かった私にはこうした映画は理解不能と言ってよかった。というより、このような趣向に嫌悪感すら感じたのだった。30年近いときが流れると、今ではミシェル・ピッコリに年齢としては近づいた私にこの映画は当時とは違って見えた。(2020/08/15)


欧州
マクロン大統領の地中海バカンスのジェットスキーが批判を呼ぶ
地中海でバカンスとはなんとも楽しそうである。マクロン大統領と妻のブリジットさんだ。マクロン大統領が海上でジェットスキーをしている姿がグラビア誌の"Nouveau Voici"で紹介されたことで、野党やエコロジストたちの批判を浴びている。左派政党「服従しないフランス」の欧州議会議員のマノン・オブリ氏は「今、歴史的な猛暑の中にみんないる中、地中海の環境に最も悪いものの1つジェットスキーにいそしんでいる」との批判をツイートした。(2020/08/14)


みる・よむ・きく
毎日新聞記事 「コロナ禍に音楽の力」(村上春樹さん DJ体験語る) 音楽と物語の持つ力について
先日、たまった新聞を切り抜き・整理していて、毎日新聞7月12日付の「コロナ禍に音楽の力」(村上春樹さん DJ体験語る)に魅了された。作家の村上春樹氏がFMで時々、音楽番組のDJを担当していることは知っていたのだが、いつしか15回も重ねていたことに驚いた。これはもう副業(?)に立派に音楽番組のDJと書いてもよいレベルではないだろうか。そして、明日の8月15日にもTOKYO FMの「村上RADIO」で午後4時から16回目が放送されるそうである。ラジオの日時を控えて、その時間に視聴しようと思ったのは久しぶりだ。いつ以来だろう、多分、少年時代に関西で浜村淳が司会していた番組の「怖い話」を毎週、週末に聞いていた時以来だろう。(2020/08/14)


みる・よむ・きく
オリヴィエ・アサイヤス監督「夏時間の庭」(2008)
オリヴィエ・アサイヤス監督の映画「夏時間の庭」は老母が亡くなり、遺品である親族の巨匠画家の作品群や家に所蔵されていた世界的絵画や工芸品をどうするか、という男女3人の子供たちの物語である。オルセー美術館開館20周年記念に作られたというこの映画には本物の芸術作品が用いられていることで話題を読んだが、扱われている物語は芸術家ではない子孫たちがそれらの作品をどうするか、ということである。シャルル・ベルリングが演じる長男は家をそのまま残して一族で共有し、芸術作品もなるだけ置いておきたいという考えだった。しかし、外国で暮らしている長女や次男はそれぞれ遺産を金銭化して暮らしに活用したいと本音を語る。長男は悲しいが、二人の意見を聞き、家を売却し、さらに遺品の多くを相続税対策として国に寄贈することにする。(2020/08/12)


米国
米民主党大統領候補バイデン氏、副大統領候補にカマラ・ハリス氏を選ぶ 
米民主党の大統領候補に選ばれたジョー・バイデン氏が副大統領候補に誰を選ぶかで何人か噂が飛び交っていた。スーパーチューズデイ直前に大統領候補を降りたミネソタ州選出エイミー・クロブシャー上院議員や、カリフォルニア州選出の黒人の上院議員カマラ・ハリス氏など3〜4人が噂に上がっていた。今、ツイッターで続々と、バイデン氏やハリス氏らがカマラ・ハリス氏に決定した旨を発信している。オバマ大統領の祝福の言葉も出ている。(2020/08/12)


コラム
メディアのエコロジー  荒鷲からフンコロガシまで
筆者がこのインターネット媒体、日刊ベリタに初めて記事を書いたのは2009年8月のちょうど今自分で、かれこれ丸11年になります。その頃、取っていた新聞は朝日新聞だったのですが、そこにインターネット新聞が苦境にあることが書かれた記事が掲載されたことがありました。日刊ベリタの編集長になって間もない大野和興氏のコメントも添えられていました。その記事の核は日刊ベリタではなくて、たしか同様のインターネット新聞だったジャンジャンが廃刊になったことだったと記憶しています。ジャンジャンの編集長が市民記者を育てようとしたけど、ギャラの配分でお金が不足し、経営が維持できなくなった旨が書かれていました。日刊ベリタが存続できているのは書き手が無報酬でやっているからです。(2020/08/10)


欧州
チュニジア出身のフランスで活動した弁護士、ジゼル・アリミさんが亡くなる obituary: Gisèle Halimi 
先月、チュニジア出身でフランスで活動した女性弁護士のジゼル・アリミさんが亡くなった。93歳だった。アリミさんは様々な人権を守る活動に携わった著名人だが、中でも生まれた国であるチュニジアおよびアルジェリア独立のために闘っていた人々への支援活動(※)は特筆に値する。またベトナム戦争での戦争犯罪の追及や女性の人権向上などにも取りくんだ。今、ここですべてを記すことは不可能だが、彼女の素晴らしい活動は多くの人に光を与えた。冥福を祈ります。(2020/08/08)


コラム
大阪市立大学と府立大学の合併を前に  都市の大学とは何か、今一度考える
今、大阪は維新の会が府政も市政も与党となり、ネオリベラリズム的諸改革を行っています。大阪市立大学と大阪府立大学の合併もその1つです。両大学は公立大学ながら歴史も異なっていますが、何より両大学を合併することで「縮小」、「萎縮」あるいは「後退」につながらなければよいが、と思っています。私がこう思うのは東京都立大学が首都大学東京に再編される頃、取材したことがあり、人文学部とくに仏文科の教授たちが抵抗していたことが記憶にあるのです。戦後の民主主義の時代に開花した伝統ある人文学部が解体され、カルチャーセンター化してしまうことは文学や人文社会学への冒涜と言ってもよいものでしょう。当時、都知事だった石原慎太郎氏はフランス語は数も満足に勘定できない言語だという意味の中傷発言を行ったことも記憶にあります。(2020/08/07)


コラム
初めてハンバーグを作った日
自分がハンバーグを家で作る日が来るだろうということは想像したことがなかった。いつかはいいキッチンをもってその時は自分で調理をしようという風には30年間思っていたけれど、その時、僕の脳裏に浮かぶ「料理」は肉じゃがとか、魚の煮つけ、あるいはビーフシチューみたいなもので、その中にハンバーグは入っていなかった気がする。それはなぜだったのだろう。ハンバーグはこの間のポテトサラダと同じで、外側から中身がわかりにくい料理だからかもしれない。だから具体的なイメージが伴わなかった気がするのだ。肉じゃがだったら牛肉、糸こんにゃく、ジャガイモ、玉ねぎで何となく作っている映像が浮かぶのである。だが、ハンバーグは肉の塊と言っても中に何が混ぜ込んであるのかよくわからない。(2020/08/04)


みる・よむ・きく
小林かなえ著「京都の洋菓子教室『ラ・プティ・シェリー』のパリのケーキと人気の焼き菓子」
「三つ子の魂百まで」と言いますが、子供の頃、植えられた価値観とかものの見方はなかなか取れないものです。シェイクスピアと言えば、女子学生の花嫁修行・・・みたいに10代の頃、思っていて、英語の授業などは馬鹿にしていました。そうした見方が間違っていたことに気づき、軌道修正するまで何年もかかりました。他にもあります。ケーキとか、焼き菓子というと、やっぱり女子供、みたいな見方が自分の中にあって、心のどこかで馬鹿にしていたところがあったような気がします。これも間違っていました。(2020/08/01)


コラム
ペンネームを使って記事を書いていたレジスタンス紙「コンバ」のアルベール・カミュ
インターネット上のペンネームを特にハンドルネームと呼ぶそうですが、実名を避けて仮の名前を使って表現活動を行う意味ではペンネームと本質は同じでしょう。ハンドルネームの書き手の文章を大手新聞でそのハンドルネームのまま、掲載することの是非が議論されています。私が1つ思い出すのは第二次大戦中の抗独レジスタンス紙Combat(コンバ)にアルベール・カミュが記事を書いていた時の事です。1944年6月のD-dayのあと、8月にパリは連合軍によって解放されます。(2020/07/30)


アジア
ソウルのろうそくデモを支えたソウル市長、朴元淳さん さようなら
 ソウル市長の朴元淳さんが自殺をした事件は韓国のみならず、日本でも大きな悲しみを起こしています。日刊ベリタでは2016年11月にソウルのろうそくデモの記事を出しました。この記事はソウルを訪ねた在日韓国人の方の情報に基づいていました。大統領という最高の国家権力者と闘う市民の姿が描かれていていました。日本と比べると、市民の民主主義への願いの強さ、その思想および行動の力を見せつけられた気がしました。そのデモを支えていた人物がソウル市長だった朴元淳さんでした。2016年の記事をもう一度ここに掲載いたします。(2020/07/25)


みる・よむ・きく
手塚治虫著「マンガの描き方」   漫画は脳内のイメージで描く 
確か私が小学5〜6年生の頃だったと思うのです、手塚治虫の「マンガの描き方」という本が最初に出版されたのが。日本の漫画のパイオニアである手塚氏のこの本を最近、また再読する機会がありました。今、読んでみて、一番印象深かった言葉が、漫画は脳内のイメージで描く、というものでした。それはどういうことかというと、手塚氏は漫画を描くためには日ごろから、街を歩いた時にいろんなものを観察して、頭の中でデッサンすることを勧めているのです。そんなものは写真で撮影してあとでそれを見て描く方が正確に描けるんじゃないか、と思ってしまっても不思議ではありませんが、手塚氏はそれを勧めないのです。あくまでできる限り、裸眼で世界を観察して、頭の中で絵を描けと言うのです。(2020/07/24)


コラム
ポテトサラダに再度挑戦しました  今回はジャガイモだけで作ってみました
ポテトサラダは誰が作るべきなのかというポテサラ論争が発端となって、生まれて初めてポテトサラダを前回作ってみました。しかし、前に書きました通り、自己採点でも100点満点の50点という有様で、お世辞にもうまいとは言えないものになってしまいました。その反省点は調味料や食材のバランスがよくないことでした。ジャガイモやキュウリやニンジンや玉ねぎ、茹で卵の割合はどうすべきか。酢とマヨネーズの割合はどうなのか?そういったことに不慣れだったため、スーパーでポテトサラダを買って研究したりしました。今までなら、ただ単に食べるだけだったのですが、自分で作って失敗したりすると、なんということのない惣菜でも見方が全然違ってきますね。(2020/07/23)


みる・よむ・きく
最近翻訳出版された「思弁的実在論入門」の著者、哲学者グレアム・ハーマンの講演 
最近、「思弁的実在論」という言葉をよく耳にしますが、いったいどのような思想の哲学のグループなのでしょうか?最近、「思弁的実在論入門」という本が翻訳刊行されました。著者のグレアム・ハーマンは、この系統の中心的哲学者の一人、米国人の哲学者です。以下は2013年に行われたグレアム・ハーマンのEuropean Graduate School( EGS)での講演です。(2020/07/23)


コラム
翻訳書とスーパーリッチ
今の日本では出版不況と言われて久しいですが、特に外国の書籍の翻訳はもっと厳しいのではないでしょうか。出版社も経営を成り立たせないといけませんから、一定数の売り上げ(販売部数×定価)を見込めないとなかなか翻訳出版の企画を通すことが難しいことはよくわかります。こうした風潮はどこかで、マスメディアの「日本はすごい」キャンペーンと通底しているのではないでしょうか。もう外国から学ぶことはなくて、これからは日本が発信する時代・・・そういう言葉を若いエリートから耳にしたことがあります。外国なんか行ってもしょうがないですよ、という言葉も耳にしました。(2020/07/20)


コラム
映像メディアの構造変化 新聞のデジタル化がメディアを根底から変えつつある
 TVの世界はYouTuberによってその優位性を揺り動かされつつあるが、同時に新聞のデジタル化もさらに既存のTVに揺さぶりをかけている。今までの活字と映像という棲み分けは失われ、新聞がTVを侵食しているとも言える。その1つの例が、以下のリンクの映像だ。日本でも新聞社が記者会見やイベントなどを中継したり映像をYouTubeなどにUPしたりしていたが、この映像を見た時、明らかにデジタル新聞が新しい未来を展開したのだと感じた。(2020/07/18)


コラム
話題になっているポテトサラダを作ってみた
幼い子供を連れた若い母親がポテトサラダをスーパーで買おうとした際に、同行していた年輩の男が「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうか」と諭したとかいう話が話題になり、ポテトサラダは面倒くさい、とか、そういうお前が自分で作れ、というような声が女性たちから上がっていた。男性である自分から見ると、何よりポテトサラダをこれまでの人生で一度も調理したことがなかったことを痛感した。(2020/07/16)


欧州
フランスの革命記念日 マクロン大統領がインタビューを披露
7月14日と言えばフランスでは革命記念日ですが、マクロン大統領が1時間15分程度のインタビューをTV(TF1,France2およびYouTube)で行い、放送しています。就任3年を終えた今年7月、フィリップ首相その他の閣僚を入れ替えたばかりのマクロン大統領は、レア・サラメとジル・ブーローの2人のジャーナリストによるインタビューを披露しました。TV局だけでなく、YouTubeにも披露することはフランス一国だけでなく、世界に公開することです。筆者はマクロン大統領の政策には当初から疑問ではありますが、少なくとも逃げ回り、原稿をプロンプターに映してカンニングしかんできない日本の首相と比べると、はるかにマシであると思います。(2020/07/15)


みる・よむ・きく
ジャン=マルク・ロシェットさんの階級差別列車の冒険を描くBDの映像化 ジェニファー・コネリー主演『Snowpiercer Season2』
フランスの漫画家ジャン=マルク・ロシェットさんによるバンドデシネ(BD)「Le Transperceneige: 直訳=雪を貫くもの」の続編が作られました。これは近未来SFで、止まることができない1台の列車に様々な階層の人々が詰め込まれた寓話です。(2020/07/14)


みる・よむ・きく
ハンナ・アレント著 「政治の約束」(ジェローム・コーン編集版)
ハンナ・アレントと言えば「全体主義の起源」が主著として聳え立っていますが、ファシズムや全体主義批判の主著の流れと通底するテーマとして、政治学あるいは政治哲学のより広範かつ基礎的な研究内容の物も多数書いています。ちくま学芸文庫から出ている「政治の約束」はアレントのテキストをアレントの助手だったジェローム・コーンが編纂した政治論集です。今日の日本の政治を振り返ると、多くの有権者は投票するだけの存在になっています。しかも、投票率も半分程度でしかなく、投票にすら参加しない人が夥しい数に上っています。このことは単に与党や野党、あるいはメディアの問題というだけではなく、政治とは何か?という根源的な問いかけの必要性を投げかけてすらいるように思います。(2020/07/14)


政治
極右政治家が台頭する背景 2022年のマリーヌ・ルペン大統領、小池百合子首相の可能性 その2
アメリカの左翼媒体であるJacobinに、フランス戦後史における歴史認識の問題が改めて取り上げられていました。「How France’s Vichy Regime Became Hitler’s Willing Collaborators」(いかにフランスのヴィシー政権がヒトラーに対する自発的な協力者となったのか」というタイトルです。折しも1940年6月のナチスへの敗北と7月のナチスと手を結んだヴィシー政権の成立から80年目ということが契機となっています。執筆者のジム・ウォルフレイ(JIM WOLFREYS)によると、ナチスと休戦協定を結んだペタン将軍が率いるヴィシー政権には、もともとからフランスの極右思想あるいは右翼思想が根っこに存在しており、1789年のフランス革命や1930年代の左翼統一戦線の躍進を無きものにしたいという切望があったのだと言います。(2020/07/11)


農と食
コンビニ商品の曲がり角 
先日、ファミリーマートの沢田貴司社長が都心店舗の売り上げ減少が経営に響いていると朝日新聞のインタビューで語っていた。また商品についても、がっつり食べたい男性客向けのアイテムが多かったファミリーマートにとって、テレワークで自宅で食事をする人が増えてくると、むしろ自宅で調理して食べる食材へのシフトが求められているようである。ファミリーマートに限らず、コンビニ経営者にとって、この変化を新型コロナウイルス(COVID-19)の流行下における1〜2年の非常事態ととらえるか、長期的な変化の兆しととらえるかで今後の態勢も異なってくるのだろう。新型コロナウイルスの流行が去った時、今行われているテレワークが完全になくなるとは思えない。テレワークによって首都圏のラッシュも多少なりとも緩和されるはずである。(2020/07/11)


農と食
ジャック・ぺピンのフランス料理  オムレツの米仏比較
アメリカの料理ジャーナリスト・シェフとして、ジャック・ぺピンというがいます。フランスのリヨンの近くで生まれたフランス人ですが、フランス軍の兵役時代に料理人としての才能を発揮した彼は、のちにアメリカに留学し、ニューヨークタイムどで料理の記事を書くようになったということです。この情報はウィキペディア英語版を参照しています。ジャック・ぺピン氏はTVでも出演するようになり、アメリカ人でフランス料理の解説者だったジュリア・チャイルドとも共演していたようです。ともかくこうしたフランス料理の紹介事業によってでしょうが、フランスの最高勲章であるレジオンドヌールで表彰されています。(2020/07/10)


政治
バイデン候補擁立に向けてサンダース氏とバイデン氏との共通の政策が発表される 野党を統一し票を積み上げるための努力
 アメリカの大統領選で、民主党はバイデン候補の擁立に向けて準備しているが、その重要な礎石が作られた。サンダース候補とバイデン候補が共通の政策を立てて発表したことだ。予備選で多少、溝のできた二人でもあるが、サンダース候補は一貫して、予備選で自分が負けてもバイデン氏を支援すると語ってきた。それがトランプ政権を打倒するために必要であるからに他ならない。運動のための選挙として割り切るのではなく、勝つための努力を最後の最後まで行っていることがわかる。(2020/07/09)


政治
極右政治家が台頭する背景 2022年のマリーヌ・ルペン大統領、小池百合子首相の可能性
昨日の都知事選で右翼政治家の小池百合子現職が大差で再選を果たしたことは何を意味しているのでしょうか。筆者には日本の格差拡大と貧困化がついに長期安定軌道に突入したであろうことです。格差の拡大と貧困層の増大が極右政治家を台頭させる傾向は世界共通です。フランスのマリアンヌ誌で、先日、2022年の大統領選挙でマリーヌ・ルペン大統領が誕生する可能性が高まっていることが伝えられました。マリーヌ・ルペン氏はかつての極右政党・国民戦線(旧FN、現在はRN)の女性党首です。2017年の大統領選で決選投票でマクロン候補にダブルスコアで敗れましたが、2002年の大統領選の決選に臨んだ父ジャン=マリ・ルペン氏に比べると、票を積み増しています。世論調査では今はまだ僅差でマクロン優位だそうですが、2022年に状況次第で逆転する可能性もあると言うのです。(2020/07/06)


みる・よむ・きく
再開のための哲学  マチュー・ポット=ボンヌヴィル著「もう一度・・・やり直しのための思索」(Recommencer)
フランスの現代哲学者マチュー・ポット=ボンヌヴィル著「もう一度・・・やり直しのための思索」を4月末に翻訳出版した時、ちょうど新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の最中で、書店の多くが臨時休業、というような時期でした。売り上げ的に困ったナとその時、思いましたが、テーマとしては好機だったのではないかとも思いました。今まで少なくとも西欧の哲学史では「やり直し」とか「再開」あるいは二度目の試みの意味について考えたものは乏しいそうです。(2020/07/02)


中国
香港版「国家安全法」可決で、周庭さんが香港デモシストから脱退を表明
 香港版の国家安全法が成立したということで、一定の条件をクリアすれば一国二制度とはいえ、香港の住民が中国に送られて裁判にかけられる可能性もあると言います。このことから、香港で民主運動をしてきたアグネス・チョウ(周庭)さんが政治団体デモシストから脱退することをツイッターで本日表明しました。「生きてさえいれば、希望があります」と思いをつづっています。この言葉は個人ではもはや動かせない圧倒的な力の存在を感じさせます。(2020/06/30)


みる・よむ・きく
スワヴォーミル・ムロージェク作「象」  東欧化してきた日本
ヴァーツラフ・ハヴェルが2012年の暮れに亡くなった時、彼の戯曲について以前、このサイトで書きましたが、ハヴェルは東欧チェコの作家であり、冷戦終結後は大統領でもありました。ハヴェルの特徴は特異な言語遊戯を通して、当時、共産圏と言われたソ連・東欧圏の政治や社会をめぐる言説の空虚さを語ることでした。戯曲「ガーデン・パーティ」では、出世を目指す若者たちがその空しい言語感覚を懸命に身に着けていくさまが笑いとともに活写されていました。かつてなら他国の、あるいは鉄のカーテンの向こう側と突き放して笑えたかもしれない日本人でしたが、今日、事態が皮肉にも極めて似てきています。第二次安倍政権以来の国会における日本語の空洞化は「ガーデン・パーティ」といい勝負か、あるいはもはや独走している観もあります。(2020/06/30)


検証・メディア
毎日新聞が、NHK経営委員会の2018年のクロ現+への圧力の議事内容を公開  介入の中身が明らかに
毎日新聞が6月29日の朝刊で、NHK経営委員会が2018年にクローズアップ現代+の報道に圧力をかけた経緯を3ページにわたって、10月23日の議事内容をつきで報道した。これは瞠目する快挙と言えよう。NHK経営委員会が議事録を公開しないため、複数の関係者への取材で主要な発言を再構築したもののようだ。これまで漠然としたことしかわからなかった石原進前NHK経営委員長や森下俊三委員長代行(現在のNHK経営委員長)の具体的な発言と介入の内容がより明確となった。毎日新聞の記事によると、かんぽ生命の不正販売を報じた2018年4月のクロ現+について、NHKは続編制作のためのさらなる情報を募るネット動画を出した。(2020/06/29)


政治
Choose Life Project  27日の都知事選候補者討論会 司会の津田氏の質問が光る
 昨日、YouTubeで都知事選候補者討論会を見た。Choose Life Projectが企画しているもので、TVとインターネットの存在感が逆転していることがわかった。本来ならTVが主導してきた政治報道の分野でもYouTubeを使った候補者討論会が高い関心を集め一定数のアクセスを得る時代が到来したことを感じさせてくれた。昨日の番組の司会は津田大介氏で、以前別の司会で行われた都知事選の候補者討論会とは異なる工夫を行っていた。筆者は以前の討論会にも感謝する者だが、今回のChoose Life Projectは一歩、踏み込み、候補者の発言を曖昧な印象に終わらせない工夫を凝らしていた。(2020/06/28)


検証・メディア
NHKが映らないテレビは受信料契約の義務なしという判決のインパクト
6月26日、東京地裁で画期的な判決が出された。NHKが受信できないようにフィルターがつけられたテレビを購入した人はNHKの受信料を支払う義務がないという判決だ。そりゃ当たり前だろう、と思う人は多いと思う。しかし実はその当たり前のことが今まではむしろ非常識とされていたのだ。NHK受信料はほとんど税金化しており、NHKが視聴できるワンセグ携帯を買った人はNHKの受信料を払わされてきたし、裁判でも受信料を支払う義務があることが最高裁の判決(※)でくだされた。見ていないのに持っているだけで受信料を払わされるなんて、と不満に思ってもどうしようもない。NHKを視聴する人が受信料を支払うのは仕方がないが、見ていない人が払うのはどう考えても疑問だ。(2020/06/27)


みる・よむ・きく
ロラン・バルト著 「エッフェル塔」  〜「豊か」だった70年代や80年代よりむしろ、今日が読み頃では?〜
ちくま学芸文庫のロラン・バルト著「エッフェル塔」を読み返してみた。かれこれもう20年ぶりにはなるだろう。前回、読んだときは正直ポイントがわからず、読めども頭を直撃する何かを感じることがなかった。しかし、モーリス・ナド―とバルトの対談を読んだことで、バルトのねらいが鮮明になってくると(少なくともそう自分に思えると)、「エッフェル塔」も極めて明快な本であることがわかった。この本はパリのエッフェル塔が様々なシンボルになっているが〜つまり、様々な人々にとって様々なシンボルとして生きている〜それがどのような機能や理由でそうなっているのかを書いているのである。(2020/06/24)


コラム
6月18日はみんなドゴール将軍にあやかりたい・・・ 冴えるウイレムの風刺漫画
フランスのリベラシオン紙で健筆をふるう風刺漫画家ウイレムの最新作はちょっと得体のしれない光景の1コマ漫画でした。筆者は最初は落ちがわからなかったのです。ただ、不気味さは十分に漂っているのですが。この1コマ漫画で、気がつくのはみんなドゴール大統領の仮面をつけていることです。そして互いに相争っています。(2020/06/21)


みる・よむ・きく
石川美子著 「ロラン・バルト 〜言語を愛し恐れつづけた批評家〜」(中公新書)
フランスの批評家で、記号論でも知られたロラン・バルトについては最近はあまり書店でも関係する本を目にすることが少なくなった。けれども私個人では、先日も書いた通り、20年来、親しむことができず、10数冊棚に積んでおくだけだったロラン・バルトの世界にあるきっかけで突然、爆発的に親しみを感じるようになった。それはグルノーブル大学出版が出した「文学について」を読んだからで、これは批評家・ジャーナリストのモーリス・ナド―とロラン・バルトの対談の書き起こしである。「文学について」は薄っぺらい本で、パリの古書店の恐らく通りに面した安売りセールの棚で1ユーロくらいで買ったものだと思う。この本は引っ越しで処分してしまったバルトの本の中で、例外的に薄っぺらかったことが幸いして未読のまま新居に持ち越されていたのだった。(2020/06/20)


みる・よむ・きく
ジャック・ル・ゴフ著 「欧州は中世に生まれたのか?」 Jacques Le Goff 「L'Europe est-elle née au Moyen-Âge ?」
ジャック・ル・ゴフと言えばフランスの歴史学者で、欧州の中世を専門にしています。いわゆるアナール学派で、王の系譜を縦にたどる歴史ではなく、それぞれの時代の文化や社会を庶民の生活の観点から記述していく学派です。たとえばル・ゴフは「煉獄の誕生」という本で人は死後どういう経路をたどるのか、その死後に関する考え方をキリスト教の中で探っています。煉獄とは人間が死後、天国へ行くか、地獄へ行くかがまだ決められていない間に「個人の死と最後の審判の中間」に位置する空間と考えられていました。この煉獄と言う概念が欧州人に定着するのが12世紀から13世紀とされます。ル・ゴフは「煉獄」という本で、煉獄概念の形成を通して、中世欧州人の死生観や宗教観を思索し、ひいては中世人のこころを考えています。(2020/06/14)


文化
INA(Institut National de l'Audiovisuel, 国立視聴覚研究所)とは?  フランスのすべての番組を保管し、歴史的なインタビュー番組やニュースなどは一般にも公開
YouTubeの映像検索をしていると、よくina frというロゴの入った映像に出会います。これはフランスの放送番組の保管・公開を担当する公共機関INA(国立視聴覚研究所)がUPしているものです。経験的に非常に有益な映像資料が多いことを感じます。たとえばフランスの構造主義のパイオニアの文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースにジャーナリストのベルナール・ピヴォがインタビューした以下の映像もその1つです。(2020/06/13)


政治
街は中立というわけではない 政治学者フランソワーズ・ヴェルジェス <Les villes ne sont pas neutres>Françoise Vergès(politologue)
アメリカのミネアポリスの警官によって公衆の目前で黒人が殺された事件は瞬く間に世界を駆け巡り、各地で人種差別に対する抗議を起こしています。英国では人々が奴隷商人だったエドワード・コルストンの像を引き倒しました。米国では南部のバージニア州知事が南北戦争の際に奴隷制継続を望んだ南軍の総司令官リー将軍の像を撤去すると発表しました。バージニア州ではアメリカ大陸発見のコロンブスの像が先住民の大虐殺の責任があるとして、デモ隊に倒されたばかりです。こうした中、この話題に関して、パリ在住の政治学者、フランソワーズ・ベルジェスさんは次のように述べています。ちなみにヴェルジェスさんはマダガスカル島の脇にあるフランスの海外県、レユニオンで育っており、白人、黒人、アジア人の血が混じっています。(2020/06/10)


社会
パリ  フードデリバリーのプラットフォーマー会社前で抗議をする黒人たちと、新人のレイラ・シャイビ欧州議会議員 
  パリの街角、フードデリバリーのプラットフォーマー企業、Frichtiの前に先週金曜、黒人数十人と左派政党「服従しないフランス」のレイラ・シャイビ欧州議会議員らが集まり、抗議の活動を行っている様子がツイッターで発信されていました。シャイビさんは「立ち上がる夜」という2016年春の市民運動の参加者の一人。その際はホームレスの増加や不動産投機などについて、住宅問題の面から改善に取り組んでいました。その後、昨年、政党から立候補して議員となったばかりです。この日、シャイビさんらが駆けつけたのはFrichtiに労働者の待遇を改善し、正規雇用にせよ、と訴えるためです。(2020/06/10)


コラム
アベノマスクと日本の匠
新型コロナウイルスで様々な日本の政治と行政の実態が国民の目に露になってきましたが、中でも多くの人が「?」と思ったのは一世帯にマスク2枚の配布に実質2か月もかかったことでしょう。多くの人にとって、衝撃的な事件だったと思います。というのも、近代以後の日本の神話が剥がれ落ちてしまったからです。その神話と言うのは次のようなものになるでしょう。「日本は匠が支え、通産官僚が企画運営する技術立国である」(2020/06/09)


コラム
赤信号みんなで渡れば怖くない では、みんなで学歴詐称すれば・・・
学歴詐称がテーマになっているようです。私の場合も学歴詐称するほどの市場的な値打ちに乏しい大学卒業者なので、就職の履歴書に厚かましくも<ハーバード大学卒業>とか<モスクワ大学卒業>とか、書いてみたかった。もしそうなったら、どのように周囲の世界が変わりうるのか、実験してみたかった気がします。このことは、20世紀に作家の安部公房が生涯追いかけて描き続けたテーマと深く重なってきます。(2020/06/09)


コラム
リベラシオンにウイレムあり  トランプ大統領と聖書の巻
フランスで健筆をふるっている風刺漫画家のウイレムが、今回の白人警官による黒人殺害の後のトランプ大統領を風刺の対象にした。漫画は4つのコマになっていて、最初の1コマと4コマ目が大きく、2コマ目と3コマ目は小さい。1コマ目は聖書を高々と掲げるトランプ大統領。2コマ目と3コマ目は聖書で黒人をぶっ叩いている大統領。4コマ目はトイレで尻を聖書で吹いている大統領。(2020/06/06)


米国
FBIの元カウンターインテリジェンス幹部がトランプ大統領のデモ隊への反応を「カオス戦略」と発言 〜その本質は民衆の分断と征服〜
ミネアポリスでの白人警官による黒人殺害が怒りを呼び、ホワイトハウス周辺でもデモが起きるに及んで、トランプ大統領が軍隊の出動も示唆したというような報道が飛び込んできました。それに対して、マティス元国防長官が軍を出動させることは、国の分断を図るとして批判したことも報じられています。ロイターでは次のような記事が出ていました。(2020/06/06)


検証・メディア
白人ナショナリスト組織が反ファシスト団体を名乗るアカウントで偽ツイートし、暴動を呼びかけていたことが発覚
トランプ大統領がテロ組織に指定した反ファシズム団体、antifaの名前を語って、実は白人ナショナリスト組織Evropaが暴動をツイッターで呼びかけていたことが報じられた。「今夜は『町をファックする』と言う。そして白人の居住地へ行く・・・」みたいなメッセージだったようだ。(2020/06/02)


米国
黒人を殺したミネアポリスの白人警官の妻、離婚を求める 英紙などの報道では妻はラオスからの難民でミネソタ美人妻コンテスト優勝者
ミネソタ州ミネアポリスで起きた白人警官による黒人殺しはSNSでその現場のシーンが世界的に大量に拡散されるにつれ、全米で抗議の渦を巻き起こし、暴動にまで発展しています。一方で、白人警官の家庭に関する報道も地元でされており、この事件はアメリカの現代史を象徴する何かを感じさせます。前に書きましたが、白人警官の妻がすぐに離婚を申し出たという記事が複数出ていて、その妻と言うのはアジア系だそうです。(2020/06/02)


検証・メディア
The Japan Times を含めて、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は日本政府の広告費その他資金が毎年各社にいくら入っているか公開すべき
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)はこれまで官房長官の記者会見のあり方などを真摯に問うて報道の自由のために闘ってきましたが、今、求められるのは、The Japan Timesを含めて、新聞各社が日本政府から宣伝広告費などの補助金的な意味合いのマネーを年間いくら受け取っているかの情報公開でしょう。政府のキャンペーンなどを掲載した時に注がれる宣伝費です。もちろん、受け取っていないのであれば堂々と公開すべきですし、受け取っているなら、どんな内容で、いくら受け取っているのか、公表すべきでしょう。(2020/06/02)


検証・メディア
マスメディアは暴力シーンを好む 
アメリカの警官による黒人殺害に対する抗議運動にはダンスを使った平和なものとか、白人女性たちが警官の前に列を作って抗議者たちを守っているようなものがあり、ツイッターの声はこうした平和なシーンがなぜマスメディアでは出てこないのだろう、と言うものでした。暴力シーンばかりが繰り返し画面にさらされて戦争状態一色みたいに見えてしまっていると言うのです。確かに、指摘された意見はよくわかりますし、実際メディアは過激な対立をフレームにおさえようとするものです。今、これを聞いて、僕にはフランスでのある思い出がまさに思い返されています。(2020/06/01)


米国
ミネアポリスの白人警官による黒人殺人事件 現地報道では警官は長年、ナイトクラブの警備員を副業にしており、黒人も同じナイトクラブで警備員をしていた
ミネアポリスの白人警官による黒人の殺人がその現場映像の拡散とともに各地で大きな怒りを巻き起こしています。シカゴの女性市長はトランプ大統領がこの件で政治的利益を得ているとしてファックユーを意味するメッセージを送りました。さて地元のAPの報道ではこの4人の警官のうち、実際に黒人のフロイド氏を窒息死させた警官はデレク・ショーバン(Derek Chauvin)という名前で、警察官人生の大半、つまり17年ほど、休日にナイトクラブの警備担当のアルバイトをしていたとされます。(2020/05/31)


検証・メディア
19時〜【新聞記者】記者が語る!なぜ取材先と会食、麻雀をするのか?【LIVE配信】、毎日新聞・宮原健太氏がYouTubeにUPする予告
毎日新聞政治部の記者、ブンヤ健太(宮原健太氏)が、【新聞記者】記者が語る!なぜ取材先と会食、麻雀をするのか?【LIVE配信】という催しをYouTubeにUPするという予告を行っています。(2020/05/31)


米国
ミネアポリスの警官による黒人の殺害、暴動 そしてバイデン大統領候補の声明
今回のミネアポリスの警官による黒人容疑者の殺害とその後の暴動に関して、民主党の大統領候補者、ジョー・バイデン氏がどのような演説を行うか注目していました。というのも、このまま人種対立が激化していくと、トランプ大統領に投票する白人が増える可能性があるからでした。バイデン氏はこれについて次のように述べています。ツイッターでバイデン氏自らリンクを張り付けているので、以下のリンクを参照ください。(2020/05/31)


コラム
警官による在日クルド人の扱いと都知事選 そしてミネアポリス
前回、ミネソタ州ミネアポリスで黒人が白人警官に路上で制圧され、殺されるシーンの映像がソースシャルメディアで広がって抗議だけでなく、暴動に発展したことについて書きました。そして歴史的に白人と黒人の人種対立が先鋭化すると、アメリカの場合、民主党支持だった白人労働者層が共和党支持に乗り換える傾向があることを書きました。私の仮説ですが、この事件の背景には大統領選を共和党に有利に運びたい人々の意志が、明白な共謀がなくとも、未必の故意のような形で働いたのではなかろうか、ということです。もし興味のあるかたは以下のリンクに前の記事があります。(2020/05/30)


米国
白人警官による黒人の殺人、暴動と米大統領選 〜人種対立が深まると優位に立てる共和党〜 2012年夏の右翼の尖閣諸島上陸と自民党の復活を想起
ミネソタ州ミネアポリスで、白人警官が黒人の容疑者を膝で首を地面に押し付けて窒息死させた件で、怒った人々による暴動に発展しただけでなく、各地で抗議運動を呼び起こしています。なぜ撮影されていることが薄々わかっていながら警官たちが殺人をやめなかったのか、その動機とか心境が理解を超えるものでした。もちろん、そうした事件は過去にも多数起きています。しかし、この殺人を見ると、容疑者が無抵抗になっているのは明白で、殺すほどの制圧の必要性は映像では見ることができません。実際、4人の警官は懲戒解雇処分を受けました。解雇されることが予想できなかったのでしょうか?それともそれを上回る何かのメリットがあったのでしょうか?(2020/05/29)


米国
ミネアポリスで黒人が警察官に衆人環視の中、殺される 
インターネットである衝撃的映像がアクセスを集め話題になっていた。アメリカのミネソタ州、ミネアポリスの路上で白昼、白人のイケ面の警察官によって黒人男性が地面に押さえつけられている。首に警察官の膝が押し当てられ「息ができない」と言っているのだ。しかし、警察官は一向、その声に耳を貸すことなく、さっきまで苦しみを訴えていた黒人が全然動かなくなってしまう。周囲の人々はこの様子に疑問の声が上がり、早く起こしてパトカーに乗せて連れていけと言っているようだ。これは警察車両の脇で起きた出来事で、現場にミネアポリスの警察官が4人いた。1人は黒人を地面に押さえつけて殺した実行犯である。一人は周囲の人垣の前に白人警官を隠すような形で立ちふさがるアジア系の警察官。残り二人は裏側にいた模様。(2020/05/29)


政治
東京都知事選は日本の未来を分ける選挙になるだろう〜問われる野党共闘の真価〜
2014年と言えば日本が戦後初めてファシズムに転換した年であると以前、書きました。この年に何が起きたかと言えば内閣人事局が設置され、内閣が人事を通して官僚を支配することが可能になったことと(これが検察トップの人事問題にもつながっている)、さらにNHKの安倍首相べったり報道の甲斐もあり、安倍政権が長期政権になる土台となった年でした。この節目となる2014年の幕開けを飾ったのが1月公示の東京都知事選です。この時、野党支持者や浮動票の票が細川護熙元総理と宇都宮健児に割れ、安倍首相が率いる与党の自公が推薦した舛添要一元厚労相が選出される結果となりました。(2020/05/28)


コラム
嘘をついていた安倍首相  賭けマージャンの黒川氏の処分をめぐり 近代国家ではなかった日本
共同の記事で、検事長だった黒川氏の処分をめぐり、安倍首相がまた嘘をついていたことがわかった。安倍首相は前回の記事では黒川氏の処分について森雅子法務大臣から処分の内容を聞いて、承認したかのようなベクトルになっていた。ところが、実際には違っていたことが新たに浮上している。それは法務省が検事長だった黒川氏のマージャン賭博を重く見て、懲戒にする決断をしていたところへ、首相官邸が介入して、大変軽い訓告に軽減させた、ということである。これが事実であれば重大な事件である。(2020/05/25)


みる・よむ・きく
講談社 「英語で読む日本国憲法」 ~ 保守という言葉の本質を考える〜
日本は1980年代の円高で外国旅行の機会が増え、企業の海外進出も増えたことなどを背景に、講談社から1990年代に一連の日本語と英語のバイリンガルの本が出版されました。日本の事象や社会・行政などを英語でどう表現すればよいのかが参照できる画期的な事件でした。このシリーズの1冊に「英語で読む日本国憲法」があり、日本国憲法が勉強できるだけでなく、英語でどう表現できるかも記されていて、一石二鳥の本です。しかも、「英語で読む日本国憲法」は単に憲法のテキストとその英訳だけでなく、ところどころに様々な写真や資料が挿入されていて、退屈せず、豊かにいろんなイメージを自分の中で持ちながら読んでいけるように編集者の工夫が垣間見えるのです。(2020/05/24)


教育
成績上位3割だけじゃなく、すべての留学生に手を差し伸べて 〜日本在住の欧米の知識人の意見〜
新型コロナウイルスで学業が続けられなくなり、退学を考えている大学生がかなりの数に上ると報じられました。日本政府は日本人の貧困学生に給付金を検討していますが、その一方で、外国人の留学生には成績が上位の3割だけに支援の手を差し伸べる、という報道がありました。このことに多くの反対の声が出ています。たとえばアルバイトに追われる貧しい留学生の場合、学業の時間が奪われ、上位3割に入ることは難しいかもしれません。この問題に、日本在住の欧米の知識人に意見を寄せていただき、それを翻訳いたしました。都合により、匿名にさせていただきます。■成績上位3割だけじゃなく、すべての留学生に手を差し伸べて(2020/05/23)


コラム
「ルイ16世は馬鹿だった」「いやルイ16世は馬鹿ではなかった」・・・
安倍首相がルイ16世と自分は違う、というような趣旨の発言を国会でしたということがインターネットで話題になっているようです。このことでしばらく前に、ロシア人の哲学者とルイ16世は馬鹿か、馬鹿でなかったかで議論したことを思い出しました。私が「ルイ16世は馬鹿だった」と表現したことに、ロシア人の哲学者は「いや、ルイ16世は馬鹿ではなかった」と言うのです。18世紀のフランスのブルボン朝の王だったルイ16世は馬鹿ではなかった、と言う人は意外と少なくありません。実際に、ルイ16世は庶民から慕われていた王だったようです。(2020/05/23)


コラム
書店は不要不急の場なのだろうか・・・
新型コロナウイルスによる外出自粛と営業の制限で近所の書店も公共図書館も閉鎖になってしまった。スーパーやコンビニには立ち寄れても書店にぶらっと入って本を手にすることができない。たまたま僕はこの時期に翻訳書を出版したのだけれど、本の売り上げ以上に、自分が日々本に出会う場がなくなってしまったことがとても寂しい。書店が閉鎖されてしまったことに気がついたのは18世紀イタリアの喜劇作家、カルロ・ゴルドーニ作「二人の主人を一度にもつと」が行きつけの書店のコーナーにあった気がして買いに出かけたことだった。いつものことだが、ある本が買いたいと思うと、いてもたってもたまらなくなる。(2020/05/21)


政治
英国の国会論戦 トニー・ブレア首相の2007年の与野党攻防 日本が小選挙区制導入のモデルに掲げた英国議会 
 1994年に政治改革として小選挙区制が導入された時、TVなどで政治学者や政治家、識者などから盛んに主張されたのが英国のような二大政党制にしたら健全な議論が促進され、民主主義が発展する、というものだった。お手本とされた英国の議会の国会論戦が英国議会によって公開されている。これは2007年の国会論戦で、首相は労働党のトニー・ブレアである。折しも英国はイラク戦争に参加したことが〜大量破壊兵器の不在で〜大問題になっていた。(2020/05/19)


政治
カナダの国会論戦  日本の国会の閣僚たちの答弁と比較すると・・・
国会論議の中継で知られるアメリカの政治専門のケーブルチャンネルC-SPANでは、今年3月20日のカナダの新型コロナウイルスに関する国会論戦の模様も動画で公開されています。カナダは現在、自由党が政権を持ち、首相がジャスティン・トルドーです。一方、野党は保守党やその他のブロック・ケベコワや新民主党、緑の党などの小政党です。映像を見れば、テンポ感がまったく日本と違っています。自民党閣僚たちのような、もたもた時間稼ぎしたり、テキストを棒読みしたりといったまったりした空気はカナダの閣僚たちには感じられません。(2020/05/18)


コラム
時代の曲がり角と言葉   村上良太
今、パリのポンピドーセンターで様々な文化的事業の仕掛け人として活躍しているのが哲学者、マチュー・ポット=ボンヌヴィル氏。今、その個性的な哲学エッセイ集が日本で初出版となりました。彼は「言葉と物」や「監獄の誕生」などを執筆したミシェル・フーコーの研究者ですが、フーコーは自らを哲学者ではなく、認識についての歴史学者、という風に規定していました。フーコーは社会における人々の認識の仕方、認識の枠組みは歴史における時代時代によって移り変わっていくものであり、この認識の枠組みを「エピステーメー」と呼んでいました。エピステーメーが変わると新聞や書籍、演説、会話などのおける人々の言葉・言説もまた変わると考えていたようです。(2020/05/18)


文化
ミステリ作家フレッド・ヴァルガスさんが感染症の際にマスクが不足するであろうことを2006年の番組で警告していた
フランスの人気ミステリ作家にフレッド・ヴァルガスという女性がいまして、ミステリと言えばアメリカの作家がたくさん紹介されることが多いのですが、フレッド・ヴァルガスは日本でも紹介されています。「死者を起こせ」は3人の歴史学者が女性失踪事件を解明する話で邦訳も出ています。主人公が3人全員歴史学者ながら、それぞれ専門とする時代が古代、中世、現代と違っており、フレッド・バルガスさんがこういう設定でミステリを書いている背景には著者自身が中世を専門とする歴史学者で、フランスの国立研究機関CNRSで働いてきたことが関係しています。(2020/05/17)


政治
ミッテラン大統領 VS シラク首相 1988年のフランス大統領選の1対1の論戦
 1988年のフランス大統領選の決選で、社会党のミッテラン大統領(現職)と、保革のコアビタシオン(連立政権)で首相を務めていた保守政党のシラク首相との一騎打ちの2時間ほどの論戦。Inaが公開している。(2020/05/17)


政治
ミッテラン大統領の記者会見 1985年11月 外国人を含む400人のジャーナリストを前にしたフランス大統領の記者会見は
フランスのInaがミッテラン大統領の記者会見の映像を公開しています。ミッテラン大統領と言えば社会党の大統領で当時、任期が7年だったため、再選を含め1981年から合計14年間、行政府のリーダーシップを取りました。この映像は1985年に行われたもの。内政、経済、社会、外交について語ります。最初に10分ほどの簡単なスピーチを行った後、記者たちの質問も行われます。約400人の記者が詰めかけ、外国人の記者も参加しています。(2020/05/13)


政治
オバマ大統領の記者会見  米財政破綻の危機に臨んで(2013年10月)
世界の最前線の政治家たちはどのような記者会見を行っていたか。以下はかつて米国のオバマ大統領が米財政破綻の危機に臨んだときのホワイトハウスでの記者会見映像が公開されています。2013年10月。(2020/05/12)


医療/健康
フランスで外出禁止令が解除となる  病床空き率20%以下の地域が複数見られるフランスの北東部地域で注意が必要
フランスで外出禁止令(必要品の買い物やどうしても必要な活動は除く)が5月11日、予定通り解除となりました。当初は3月17日から15日間の限定でしたが、新型コロナウイルスの勢いが終息しないことを見て延長を続けていました。今日、ようやくマクロン大統領が解除を発表。ただし、マクロン大統領は慎重な行動を取るように呼びかけています。(2020/05/11)


みる・よむ・きく
「Recommencer」(もう一度・・・やり直しのための思索)のマチュー・ポット=ボンヌヴィルと国際哲学コレ―ジュ 
フランスの哲学者、マチュー・ポット=ボンヌヴィル氏が書き下ろした「Recommencer」という本を翻訳刊行しました。邦題は「もう一度・・・やり直しのための思索」となっています。commencerが「始める」という動詞の単語ですから、その前にもう一度を示すreがついて、再開する、とか、やり直す、という意味を持ちます。著者のポット=ボンヌヴィル氏は哲学者はこれまでほとんど「やり直す」ことの意味については論じてこなかったと言います。ほとんど常に初めてやること=commencerに注力してきたのだと言います。Recommencerという問いの独創性というか、貴重さは、人間はしばしば何であれ一回目は失敗しがちなのであり、外国のことわざにも「初めて焼いたプリンは塊になる」というのがあります(2020/05/09)


みる・よむ・きく
批評家モーリス・ナドーがロラン・バルトに切り込んだ対談「文学について」( sur la littérature)
新型コロナウイルスで外出を控えている昨今、長い間、読めずに積んでおいた本を何冊か手に取りました。1冊は、正味40数ページの対談なのですが、第二次大戦後、フランスで活躍した批評家・編集者のモーリス・ナド―が構造主義の大物の一人、ロラン・バルトにインタビューを行った対談の文字起こしです。ロラン・バルトと言えば、最初に読んだのは「零度のエクリチュール」という本でしたが、わかったような、わからないような。当時は構造主義に疎かったこともあって、十分に理解しきれませんでした。その後も、「物語の構造分析」とか、「記号学の冒険」、「神話作用」、「新=批評的エッセー〜構造からテクストへ〜」、「エッセ・クリティック」などなど、いつか読もうと書棚に積んでいたものの、事情で転居する際に、ほとんど全部未消化のまま、処分してしまいました。(2020/05/07)


政治
ドゴール大統領の記者会見  
フランスのドゴール大統領と言えば、第二次大戦中はナチスのフランス侵攻に妥協せず、ロンドンに亡命政府を設立して最後まで戦い、勝利に導いた軍人であり、政治家である。1961年のドゴール大統領の記者会見がYouTubeで公開されている。記者団を前にして、台本なしでどのくらいオープンに接していたかがわかるInaの映像。(2020/05/04)


文化
ベルベル人の心を歌ったイディール(Idir)さん、パリで亡くなる  ”肺の病で” 
先日、パリのCOVID-19(新型コロナウイルス)の感染率は推定10%弱という話を科学者のフランソワ・トロンシュさんから聞いたばかりですが、郊外も含めたパリの都市圏で100万人以上にはなる計算です。今日、飛び込んできたニュースはアルジェリアのベルベル人で、パリでも活躍してきた歌手のイディールさんが死亡した、という記事でした。フランスから悲しみのメッセージが届きます。イディールさんのデビュー曲は「アババ・イヌーバ」という歌で、アルジェリアの山の多いカビル地方に生きてきたベルベル人の心を歌ったものです。(2020/05/04)


農と食
イタリア料理シェフ、ジェンナロ・コンタルド氏の「ステイホーム・パスタ」 家にある食材を使って
イタリア生まれで、ロンドンで活躍してきたシェフのジェンナロ・コンタルド(Gennaro Contaldo)氏はBBCなどの番組でもイタリア料理の案内役を務め、イタリアの郷土料理の作り方の解説もたくさんしています。とにかく、分かりやすい英語で、説明もうまく、感情豊かで、料理がまた魅力的なので大変人気を持っていることがすぐに想像できます。このコンタルド氏が今、新型コロナウイルスで自宅にこもる生活を余儀なくされている人々に向けて、「ステイホーム・パスタ」の作り方を実演指南しています。外出を控える、という趣旨に自らも恐らくは自宅のキッチンを使って、娘が撮影している手作り感があふれる解説です。(2020/05/03)


コラム
パトリス・マニグリエ氏の論考と私たち  冷戦終結後の30年を振り返る
フランスの哲学者、パトリス・マニグリエ氏の新型コロナウイルスに対処する暮らしから私たちが発見した「公益」について、その試論「ケアの共産主義と、何もしないことによる貢献 :何かが起きている(起きる)のだろうか?」を翻訳したばかりです。フランス語のBien commune、英語のcommon goodは日本で公益と訳せるのではないか、と思います。これは英国のベンサムとか、ミルが使ったいわゆる功利主義哲学の用語の1つです。外出自粛はみんなの健康のために一人一人が行うのであり、大衆の「健康」という公益に貢献したら、たとえ、それが「外出しない」「仕事をしない」という普通ならネガティブな「行動」であったとしても、そのことでそこで形成された利益の再分配に与って当然である、という考えです。マニグリエ氏は「空気」はこの際、公益に含めず、あくまでみんなが努力して(行動しない努力も含めて)得られ、蓄積されたものに公益を限定しています。(2020/04/30)


コラム
「ケアの共産主義と、何もしないことによる貢献 :何かが起きている(起きる)のだろうか?」 パトリス・マニグリエ(哲学者)Communisme de soin et inactivité contributive : se passe(ra)-t-il quelque chose ? Patrice Maniglier (philosophe)
これは、マクロン大統領が語った言葉のタイトルに過ぎません。つまり、このウイルスの出現で私たちに不可能と思われていた事態が起こりつつあるのです。そして、逆にまた、昔は常識だったことが、今後は常軌を逸したことに思われるだろう、ということです。もちろん、これらの新しく生まれた数々の知覚を、再編成された古い思想(=再編された新自由主義)で、すべて塗りつぶすことが(フランス政府の)今後の最優先課題となるでしょう。私たちが経験したことを、違った生き方や考え方をする1つの機会だったという風にはさせず、むしろ、ただ単純に悪い思い出として葬り去り、私たちのものに再びなった(新型ウイルス登場以前の)生活様式を正当化するでしょう。(2020/04/30)


コラム
オンライン講義とYouTube公開講座
大学で感染症対策で導入されているオンライン講座で、いろいろなトラブルとか負荷が教員にかかったり、情報漏洩リスクが発生したりしていることが報告されています。現状のオンライン講座をこの新型コロナウイルス症対策に限定してみた場合、それは永久に続くわけではないことを前提に考えると、大学生が学費が払えなくなっていることへの支援策=国費導入による学費免除と引き換えに、オンライン講座を公開講座にしてYouTubeやVimeoなどにUPして、誰でもこの期間限定で講座を受けることができる(視聴できる)、という風にできないものでしょうか?(2020/04/29)


農と食
Omar Allibhoyシェフによる本場のパエリアの作り方 鶏を使った発祥の地バレンシアの場合 
新型コロナウイルスでネットによる講義が始まっているようですが、世界では様々な講義がインターネットで行われており、いずれはもっと広がって国境がなくなっていくでしょう。料理の作り方もたくさんネットに上がっています。下のリンクはスペイン料理のパエリアの作り方。パエリアと言うとムール貝とか、エビなどの魚介類を想像しがちですが、このYouTubeのレシピでは基本は鶏の肉です。バレンシアの作り方ということです。シェフはオマル・アリボイ(Omar Allibhoi)氏。風貌がチリ出身の革命家チェ・ゲバラに似ていることもあり、アリボイ氏もそれを意識しての事か、著書に「タパス革命」というタイトルのものがあります(2020/04/29)


みる・よむ・きく
マチュー・ポット=ボンヌヴィル著「もう一度・・・やり直しのための思索」(原題はRecommencer)と本に収録できなかった講演
 数日前に完成したばかりの翻訳書を受け取りました。マチュー・ポット=ボンヌヴィル著「もう一度・・・やり直しのための思索」(原題はRecommencer)です。筆者にとって55歳で出した人生初の翻訳書です。当初はアンスティテュ・フランセで哲学者のマチュー・ポット=ボンヌヴィル氏が2018年5月の来日時に講演したフランスの人文科学と社会学の研究と出版に関する報告も翻訳書に収録するはずでしたが、1年間の翻訳権の有効期間を考えると、本書「もう一度・・・やり直しのための思索」(原題はRecommencer)1本に絞ってギリギリまで、これに全力を集中させる方針を取らざるを得ませんでした。筆者が未熟だったために、訳せるほど内容をクリアに理解するのに予想以上に時間がかかったのです。(2020/04/26)


医療/健康
パリの新型コロナウイルス感染  自ら罹患したフランス人科学者François Tronche氏の証言  パリ首都圏で推定およそ100万人が感染
新型コロナウイルスの蔓延防止のため、フランスでは3月半ばと日本よりひと月近く早く外出制限命令が出されました。必需品の食品などの買い物やどうしても必要な用事以外は、市民は自宅で過ごす毎日を余儀なくされています。首都パリは市の人口は約200万人、郊外も入れるとおよそ1200万人が暮らしています。パリで暮らす脳科学者で、国立研究機関CNRSやパスツール研究所で研究チームを率いてきたフランソワ・トロンシュさんは先月(3月)、自ら、COVID−19(新型コロナウイルス)にかかってしまったそうです。(2020/04/25)


医療/健康
マスクのない人に簡単な作り方を指南  アメリカ疾病予防管理センター(CDC)
アメリカのアメリカ疾病予防管理センター(CDC)がマスクの作り方をサイトで指南しています。コットン素材を使って縫う場合と、Tシャツを切って作るのといくつかパターン別になっています。非常にわかりやすいです。(2020/04/20)


みる・よむ・きく
浜内千波著 「朝に効くスープ 夜に効くスープ」
スープ、というと、近年、駅構内などでもスープの専門料理店も生まれ、美味しいけれども自分で作るにはちょっと敷居が高い、と感じる人もいるかもしれません。そもそも何をもって「スープ」というのでしたっけ、というところから、考えてみると、よくわかりませんでした。味噌汁は、英語ではスープ扱いですが、本当に「スープ」なんだろうか?と思う人も少なくないでしょう。そんなスープに関する様々な疑問に答えるかのような1冊が、浜内千波著「朝に効くスープ 夜に効くスープ」ではないか、と思います。(2020/04/19)


文化
料理人ジェンナロ・コンタルド(Gennaro Contaldo)氏のイタリア料理の映像サイト「チタリア」  パスタの本場での作り方
新型コロナウイルスの緊急事態宣言で、今まで外食中心だった人々が自宅で料理を試みるという話をよく聞きます。自宅で仕事をする場合は昼食でも自宅のキッチンが使えるのです。そんな中、ありがたいのは本場の料理の作り方を紹介する映像サイト。これはイタリア料理のYouTubeサイト「Citalia」(チタリア)でシェフのジェンナロ・コンタルロ氏が本場の作り方を英語で披露しています。英語と言ってもネイティブと違って、日本人にも非常に聞き取りやすい英語です。たとえばこのリンクはカルボナーラ・スパゲッティの作り方を指南しています。手軽に作れるパスタはまさにランチに最適です。コンタルロ氏の説明にはイタリア人らしい豊かな感情があふれていて、その人間性にも惹かれます。(2020/04/18)


経済
価格戦略の第一人者ハーマン・サイモン氏
価格戦略の第一人者と見られているのがドイツ人のエコノミストのハーマン・サイモン氏だ。日本でも「価格の掟」や「隠れたチャンピオン」(※)というタイトルで翻訳書が出ている。1990年代に入って、日本では激安商戦に突入し、安さが訴求力の時代が30年間続いてきた。そこで価格に関する消費者の側の認知の歪みも起きているが、企業の側にも同じことは言える。ハーマン・サイモン氏は価格戦略の必要性を説いている。(2020/04/17)


コラム
改憲案に緊急事態宣言を盛り込んで通したら確実に言えるのはまっさきに来るのが報道の死であること
今回の新型コロナウイルス対策で、政府はもっと早く緊急事態宣言を出すべきだった、という声を新聞などが報じていますが、それと同時に、安倍政権が緊急事態宣言を盛り込む改憲案を審議しようとしているそうです。今後、このテーマを新聞社やTV局がどう報じるかは、日本の報道の明日を考える上での最大の指標になると思います。(2020/04/16)


農と食
緊急:米の農業生産者、加工業者に新型ウイルスの危機が押し寄せる  日本が大量輸入するのは牛肉、オレンジ、トウモロコシ・・・
新型コロナウイルスの患者が世界で最も増えているのが米国だ。すでに2万人以上が感染で死亡した。米国は農業輸出国でもあるが、すでに米国最大の豚肉の加工工場が新型コロナウイルスの感染者を多数出し、操業が停止となっている。ハフィントンポストによれば、従業員の230人が感染し、未だ復旧の期日は見えないという。そんな中、アメリカの報道番組「デモクラシー・ナウ!」では全米250万人の農業従事者が満足な感染予防の装備もないまま、低賃金で労働を続けている現状をレポートしている。スカイプでのインタビューに答えているのはヒスパニック系の農業従事者たちだ。(2020/04/15)


政治
新型コロナウイルスでダメージを受ける中小企業支援策 国際比較サイト  ドイツでは5人以下の中小企業に一人当たり3か月で最大21万円の一時金
新型コロナウイルスでダメージを受ける中小企業支援策 国際比較サイト。米国のオンラインビジネスのウェブサイトです。4月5日現在です。(2020/04/14)


政治
英国政府 新型ウイルスの休業補償として給料の80%まで補償 上限は月額2500ポンド(=33万7千5百円 平均給与)
 NHKで世界には新型コロナウイルスに関して休業補償を行っている国はない、という安倍首相の言葉を報じて、修正しなかったというので、いったいどうなのか、英国のケースを探ってみました。英国の保守党のRishi Snuk大蔵大臣が会見して語ったのは次のようなことでした。”It will pay 80% of salary for staff who are kept on by their employer, covering wages of up to £2,500 a month.”(雇用された労働者には給料の80%を支払います。上限は1か月2500ポンドです)(2020/04/14)


文化
TED講演 アダム・グラント 「与える人と奪う人」ギバー(与える人)が最も成功できる・・・
28歳で最良のビジネススクールの1つ、ペンシルベニア大学ウォートン校で終身教授に就任した組織心理学者アダム・グラントによるTED講演(日本語字幕付き)。ビジネス界にはギバー(与える人)、テイカー(奪う人)、マッチャー(損得のバランスを取る人)という3種類のタイプが存在すると言う。単純化すればパイを二人で切り分ける時に、どういう配分法を取るかで3通りに分けられる。テイカーは自分が多め、マッチャ―は平等、ギバーは相手に少し多めに与える。以外にも、この中でギバーが最も成功できるのだと説く。(2020/04/14)


国際
顧客ロイヤリティをキーワードにしたエコノミスト、フレデリック・ライクヘルド
「顧客維持率」が企業の業績を真に左右するとして、新規開拓ばかりに目を向けがちな企業行動に反省を促し、顧客満足度をどう高めるか、顧客ロイヤリティをキーワードにしているエコノミストがフレデリック・ライクヘルド氏です。日本では「リピート率」と言われているものと本質は同じです。顧客を大切にすることが売り上げ増加につながる・・・一見単純で当たり前に見えることですが、実際には軽んじられてきたのだとライクヘルド氏は言います。では、そのためにどうすればよいのか。そこでライクヘルド氏は分析方法を紹介しています。まずは、顧客が何に、どの程度(商品やサービスに)満足しているかを客観的にリサーチしなくてはなりません。(2020/04/13)


政治
新型ウイルスで「世界で5億人が貧困に」「30年前に逆戻り」「貧困のツナミ」・・・安倍政権が「存立危機事態宣言」を打ち出す日
今日になってBBCなどを中心に、新型コロナウイルスによって世界経済がどの程度ダメージを受けるかについて報道が出てきています。英国の国際的な経済発展に詳しいアンディ・サムナー(Andy Sumner)という大学人による発言が引用されていて、「(地域によっては)30年前に逆戻り」「貧困のツナミ」などと言った言葉が並びます。(2020/04/10)


みる・よむ・きく
慎改康之著「フーコーの言説 <自分自身>であり続けないために」
朝日出版社から出ているミシェル・フーコー+渡辺守章著「哲学の舞台」をフーコー入門には良いと先日書いたところですが、筑摩書房が2019年1月に出版した慎改康之著「フーコーの言説 <自分自身>であり続けないために」は、入門編を一歩くぐって少しフーコーに親しんだ人にさらなる奥地へと案内してくれる最良の案内人となるでしょう。副題の「<自分自身>であり続けないために」を見ると、多くの人が「なんだそれ?」と思いそうですが、主体から解放されるための思索を必死で続けてきたフーコーの核心と言ってよい象徴的な言葉です。2年前に21世紀におけるフーコーの読み直しを狙ったシンポジウムが日仏会館で行われ、フランスから2人の哲学者が来日したことはすでに触れましたが、その時にも話題になったのはフーコーの「性の歴史」(第四巻「肉の告白」)がフランスで2018年初頭に出版されることになったことが、フーコーに関心のある人々の最大のニュースになっていたことです。(2020/04/09)


政治
バーニー・サンダース候補が撤退
米民主党予備選で最初はトップランナーだったバーニー・サンダース候補が選挙戦から撤退を表明した。潮目が変わったのはスーパーチューズデイと呼ばれる多数の州での民主党予備選の選挙だった。この日を境に元副大統領のバイデン候補がトップに立った。その陰には民主党幹部たちが民主党穏健派あるいは共和党に近い候補者たちに撤退を求め、バイデン候補に一本化したことがあった。一方、左派はエリザベス・ウォレン候補とサンダース候補で票が割れ、結果として、2016年のヒラリー・クリントン候補の勝利と同じ展開になった。撤退表明の中でサンダース氏は高等教育の機会均等などについて信念を語った。(2020/04/09)


みる・よむ・きく
フランスの哲学者マチュー・ポット=ボンヌヴィル氏のエッセイ集「もう一度・・・やり直しのための思索」を刊行します
このたび、フランスの哲学者マチュー・ポット=ボンヌヴィル氏のエッセイ集「もう一度・・・やり直しのための思索」を刊行いたします。筆者は翻訳を行った者です。マチュー・ポット=ボンヌヴィル氏はフランスではミシェル・フーコーの研究者として著名です。現在、アマゾンで予約を受け付けています。新型コロナウイルスで世の中が混沌とした最中ですが、新しい時代の創造あるいは未来の再構築のための思索を本書は披露しています。絶望せず、粘り強くものごとを成し遂げるための方法序説です。大げさに思われるかもしれませんが1543年に種子島に鉄砲が入ってきた時のような西洋人の思索の力を感じました。(村上良太)(2020/04/07)


みる・よむ・きく
黒田恭一著「はじめてのクラシック」
 40年前、私が高校生だった頃はどの町のどの駅前にも1軒はレコード屋があったように思います。LPレコードだったり、SPレコードだったりと、CD化される前の時代に私はブラスバンド部で金管楽器を演奏していました。学校の授業が終わると、部活で楽器を演奏して、下校時間になると、駅前のレコード屋に必ず寄って、さまざまなクラシック音楽のLPレコードを手にするのが楽しみだったのです。お小遣いで買えるのはせいぜい月に1枚だったのですが、それを部活の友人の家に集まってレコードをみんなで持ち寄り、一緒に聞いて合評したり、同士で貸し借りして、テープに録音して聞いたこともありました。ある時はチャイコフスキーの交響曲4番だったり、ある時は、マーラーの交響曲9番だったり。しかし、今日、レコード屋はほとんど町から姿を消してしまいました。さらに何年か前、CDラジカセが壊れて以来、ぷっつり僕は音楽を聴くことがなくなっていました。(2020/04/07)


みる・よむ・きく
「フランス語 動詞宝典 308(初・中級編)」と「フランス語 動詞宝典 466(中・上級編)」
いま、1年がかりで取り組んだフランスの哲学関係の翻訳の仕事が終わったばかりです。それで最近、コツコツ読んでいるのが久松健一著「フランス語 動詞宝典 308(初・中級編)」と「フランス語 動詞宝典 466(中・上級編)」の2冊。普通なら、こうした本は学生時代に暗記して、満を持して翻訳に取り組む・・・という順序が筋かもしれませんが、筆者の場合は真逆で、翻訳に取り組んでみてから、動詞の単語力倍増が今後の課題だと思わされた次第なのです。というのも辞書で引いた動詞の多くがこれら2冊に例文と活用表つきで掲載されていたからです。最初からこれをやっていたなら、辞書を引く必要もなかったのです。(2020/04/06)


みる・よむ・きく
長期政権と遺書と道化と文化人類学  山口昌男著「道化の民俗学」を再読
 最近、高橋康也著「道化の文学」(中公新書)と、山口昌男著「道化の民俗学」の2冊の道化論を古書店で手に入れて読みました。いずれも20年以上前に読んだことのある研究でしたが、年号も変わった今日、再び読み返したくなりました。というのは、すなわち私たちの暮らしもまた、文化人類学の対象として興味深いものであろう気がするからです。二人の著者は、所属学会こそ異なれど、いずれも1970年代から90年代にかけて〜筆者が学生だった頃〜大きな支持を集めた研究者で、アプローチは違うもののいずれも道化に大きな関心を寄せていました。(2020/04/02)


みる・よむ・きく
ミシェル・フーコー+渡辺守章著「哲学の舞台」(朝日出版社)
ミシェル・フーコーの21世紀における読み直しがテーマになっています。なぜそうなのか、誰がそう言っているのか、となると、2年前にそのような題のシンポジウムに出かけたことがあったことが私にそう思わしめているだけなのですが。しかし、21世紀の始まりの1つがニューヨークの同時多発テロ事件であり、文明間の対立とか復讐の連鎖と言われるものであったり、あるいは資本主義社会の転換期ともなりえる格差社会だったりすることを考えると、今日、フランスの思想家ミシェル・フーコーの読み直しをすることはまさに重要ではないかと思います。とくに文明間の対立とも資本主義社会とも関りがあるのが性をめぐる言説であり、まさにフーコーが取り組んだテーマ群の中の1つの柱です。(2020/03/30)


コラム
基本食品と私 アリーヌ・パイエ  « Denrées essentielles » Aline Pailler 〜自宅引きこもり命令の中で〜
パリの放送局で司会やジャーナリストを長年してきたアリーヌ・パイエさんは退職して、現在は郷里に戻って年金生活を送っています。郷里はフランス南西部のアリエージュ県。スペインとの国境に近く、一帯はピレネー山脈が走っています。新型コロナウイルスの広がりを防ぐため、フランス政府は「基本食品」の購入その他の緊急の用事を除くと、自宅で過ごすように命令を下しています。以下は、そんな状況下でのアリエージュ県からの便りです。(2020/03/30)


みる・よむ・きく
辻静雄著「料理人の休日」(新潮文庫)
辻静雄氏と言えばフランス料理の日本における啓蒙活動をした人で、調理師学校の創設者としても著名ですが、もう亡くなって長い時間が経つため、最近の若い方々にはなじみがなくなっているように思われます。しかし、おそらくはフランス料理に関してもっともたくさんの文章を文庫版などを通して世に出してきた人物である辻氏の作品群は今日も捨てるのはあまりにももったいない貴重な宝に思えます。前に書きましたが、辻氏のアプローチはフランスにおける料理の古い価値のある文献をできるだけ集めて、料理の技法の成り立ちを理解することにありました。しかし、この「料理人の休日」は新潮文庫から出ているエッセイ集で、これ自体は古い文献のリストなどは出ていないのですが、逆に興味深いのは「私の勉強法」という一文で出てくる辻氏のそうしたアプローチの由来が、アメリカのフランス料理研究家の助言によるものだった、というエピソードです。(2020/03/29)


コラム
ドキュメンタリーとマイクロペニス 3  
 前回二度にわたり、筆者の2センチ余りのペニスの極小問題を書いたところ、望外に多くの方に読んでいただいているようです。筆者はTVの報道番組などを生業にしてきた人間で、情報を求めワシントンDCやらモスクワやらパリやらアフリカやら様々な国や地域を往来してきましたが、自分の人生に直結する問題に関して、情報を入手し、真剣に対処する、ということを怠けてしまい独身のまま、齢55歳になってしまいました。その意識が変わったきっかけは前にも書きましたが、偶然欧州で制作されたマイクロペニスを扱ったドキュメンタリーを見たことです。それは英国の製作だったと思うのですが、医師や当事者、その親や友人などが出てきて、ペニスのサイズの統計のばらつきのデータの分布なども含め科学的見地で描かれていました。「短小」という言葉を越えて、極小と言えるサイズの人々が一定割合で存在していて、マイクロペニスと呼ばれているのです。(ある情報源では1000人に6人の割合という記載もありました)日本でそうした情報に接したことがなかったものですから、非常に示唆に富む内容に感動しました。(2020/03/28)


コラム
20X0年の幸せ  情報統制で「幸せ」の条件を極限すればみんな幸せ・・・
今から何十年後か後の世界はどうなっているのだろう。世界の人口は増加しているだろうし、異常気象は改善されたかどうかは未知数だ。今、そうした様々なテーマが地上にあり、理性をもって改善していこうという方向性もあるが、片方で理性を排除した政治への志向性も強まっている。危機が強まれば人間の精神も正気ではいられなくなるかもしれない。たとえば次のような日本になっている可能性はないのだろうか。(2020/03/28)


アジア
NPO法人アジア太平洋資料センターの最新報告「バナナが降らせる『毒の雨』」
 NPO法人のアジア太平洋資料センター(PARC)がフィリピンのバナナの生産現場における農薬とその健康被害についての報告書を新たにまとめました。バナナのプランテーションにおける画一的な大量生産方式が必然的に大量の農薬を必要とする、という悪しき構造を持っています。では、現地住民や労働者の健康被害はどのような状況なのか。1970年代からPARCの設立者の一人、鶴見良行氏(「バナナと日本人〜フィリピン農園と食卓のあいだ〜」の著者)が先鞭をつけたフィリピンのバナナの生産現場の研究が今も続いています。以下はPARCのプレスリリースです。2020年3月19日・NGO、フィリピンにて「バナナへの農薬を原因として健康被害を受けた」とする証言を報告 ・環境配慮認証レインフォレストアライアンス取得バナナから使用禁止農薬も複数検出(2020/03/20)


文化
ルドミラ・パヴロヴァ―さんのバッハ作曲「シャコンヌ」 北部の村、スタラパカでの夏の音楽祭 Ludmila Pavlová(violinist)  
チェコと言えばスメタナやドヴォルザークなど偉大な音楽家を輩出した音楽の国として知られていますが、音楽が盛んなのは首都のプラハだけではありません。北部、ポーランドとの国境に近い山岳地域のスタラパカと呼ばれる村の教会では気鋭の若手演奏家を中心としたコンサートが毎年夏に行われています。チェコだけでなく海外からも演奏家を招聘し、クラシックだけでなくジャズなども演奏されます。日刊ベリタでも何度か取材させていただいたプラハ在住のバイオリニストのリュドミラ・パヴロヴァーさんも毎年のように、この夏の音楽祭で演奏しています。名前は「Podkrkonosske」のサマーコンサートです。(2020/03/20)


みる・よむ・きく
辻静雄著「フランス料理の学び方」(中公文庫)
本という商品は、今、駅前の書店などでは一種の生鮮食品と言えばオーバーかもしれませんが、かなり回転が速くなっている気がします。10年前に棚にあった本の何割が今もあるかというと、かなり率は低いのではないでしょうか。しかし、本の中には出版時点では早すぎて未だ人々にその真価が十分に理解されないまま書店から撤収されてしまう本もたくさんあります。辻静雄著「フランス料理の学び方」は出版された当時も、おそらくは一定の評価を受け、ある程度読まれた本ではないかと思いますが、今日、この本がどのくらい日本の新刊書店にあるでしょうか?しかしながら、辻静雄著「フランス料理の学び方」は、むしろ、今のインターネット時代の方がもっと本としての価値が高まっていると思います。(2020/03/19)


みる・よむ・きく
Hanako COOKING BOOK 「ちゃんと作れる和食 〜和食の本当の味、忘れていませんか。〜」
Hanako COOKING BOOK 「ちゃんと作れる和食」。これは本と雑誌の中間にあるような、版元のマガジンハウスは「ムック」としていますが、写真の多い上質の紙を使った和食の解説書です。味噌汁のだしの取り方や包丁の使い方もありますが、筑前煮、サバの味噌煮、めばるの姿煮、天ぷら、あじのひと塩干し、牛肉とごぼうの当座煮、おでん、鶏の竜田揚げ、鶏の照り焼き、ぬか漬け、真鯛の刺身、きんぴらごぼう、江戸厚焼き卵、親子丼、大根とぶりのあら煮、五目炊き込みごはん、鯖の棒ずしなど、一通り和食のメニューが取り上げられています。解説は金茶流の柳原一成氏です。(2020/03/16)


みる・よむ・きく
平野由希子著「『ル・クルーゼ』だから、おいしい料理」 
偶然、最近入手した平野由希子著「『ル・クルーゼ』だから、おいしい料理」は、今まで知らなかったことが惜しまれる優れた本です。初版は2003年に出版されているので、すでに17年も経っています。ル・クルーゼはすでにもう知名度も高いフランスの厚手の鍋のブランドですが、僕は未だ持っていません。いつか買いたいと本書を読んで思いました。とはいえ、本書で取り上げられている料理のレシピは、おそらくル・クルーゼでなくても〜味は少し落ちるかもしれませんが〜作れるレシピでもあると思います。ぶり大根とか、炊き込みご飯などの和食のレシピも多少はありますが、基本はフランスの家庭料理です。典型は「にんじんと牛肉の白ワイン煮」。(2020/03/14)


文化
ティボー・ソルシエの1コマ漫画と料理  パンデミックで男が家に閉じ込められた時
フランスで最近出回っている1コマ漫画が、37歳のティボー・ソルシエによるもの。新型コロナウイルスで仕事場に行けなくなったお父さんと娘が台所で一緒に料理を作っている。お父さんは今までの仕事がむなしく感じられるようになり、この世界が狂っていることに気がつき始めるのだ。この漫画のタイトルは「自宅監禁の真の危険」。これは面白い視点だし、実際に、そうした男性はいるのかもしれない。職場では忙しさに追われ、調理する場所もないから、外食したり、コンビニ食をしたり、という人が多いはず。(2020/03/14)


欧州
Willemの風刺画 コロナウイルス騒動を笑う
フランスのリベラシオン紙にウイレムあり、と言われる風刺漫画の天才、ウイレムの新作はイタリアだけじゃなく、フランスなど欧州にも飛び火したコロナウイルス騒動を描いていました。ここで絵を掲載することはできませんが、「ウイルス」と題された作品では妻と夫と幼い子供の3人家族が全裸で立っています。彼らの後ろにはひっくり返った車やTシャツや家具やぬいぐるみなどが廃棄されています。茫然として、家族の前に立っている着衣の男に、全裸一家の男がこう言っています。(2020/03/11)


コラム
トイレットペーパーがなくなったら・・・コロナウイルス騒動で
コロナウイルスの騒動でトイレットペーパーが買い占められている、という噂がツイッターで出回っていた時、まさかそんなことが起こるとは思えなかったので何日か無視していた。それでもそうした情報が続くので、ある日、店を一度のぞいてみようという気になって行ってみたら驚いたことに売り場からトイレットペーパーがきれいさっぱりなくなっていたのである。まさか自分の暮らす街のリアルな現実になっていたとは。売り場の人に聞いてみると、前日から買いに来る人が増えてなくなり、問屋にも買いが注文して混乱状態になっている。だから次にいつ入荷されるかわからない、というのだった。これは困ったことになったな、と思った。(2020/03/08)


みる・よむ・きく
上西充子著 「国会を見よう 国会パブリックビューイングの試み」
上西充子教授(法政大学)らが始めた「国会パブリックビューイング」は、今となっては新聞・TV・ラジオなどのマスメディアで取り上げられてすっかり定着した市民運動になりましたが、始まってまだ2年ほどに過ぎません。<国会の質疑応答の1コマをノーカットで公共の場で一緒に見る、そして見どころには解説を入れる>。回を重ねるごとに新宿駅前地下のスクリーンを囲む人垣は大きくなっていきました。この運動が大きく成功したのには、いくつかの要因があります。明確な動機、技能や知識を持つ何人かの個性的な仲間、プロのマスメディアではないことによる新鮮な視点など。上西充子著「国会を見よう 国会パブリックビューイングの試み」(集英社)にはそれらが見事に凝縮されて記されています。将来、同じような活動をしてみようという人にとって参考になるでしょうし、マスメディアで報道の仕事に携わっている人にとっても大きな刺激になるに違いありません。(2020/03/06)


国際
大口の代議員数415を持つカリフォルニア州ではサンダース候補が勝利の見込み バイデン候補がどこまで迫るか
The Hillによればスーパーチューズデイの投票が終わった段階でAPの調べではサンダース候補が勝利の模様。カリフォルニア州はスーパーチューズデイで最大の代議員数415を抱えており、その何割を獲得できるかがスーパーチューズデイの結果に影響する。(2020/03/04)


国際
開票 nprの速報によるとバイデン候補はオクラホマ州、ミネソタ州、アーカンサス州、テネシー州、アラスカ州、バージニア州、ノースカロライナ州など7州で勝利の模様 サンダース氏は3州
アメリカのスーパーチューズデイの民主党大統領候補予備選で、バイデン候補に予想以上に勢いが出ていることがわかってきた。nprの開票速報では14州と1地域のうち、すでにバイデン候補が7州で勝利をほぼ決めており、サンダース候補はコロラド州、ユタ州、バーモント州の3州にとどまっていて、テキサス州でも予想以上に接戦の模様。その他、メイン州とマサチューセッツ州でもバイデン候補に勢いがある。(2020/03/04)


政治
The Hill誌 世論調査ではスーパーチューズデイはサンダース候補勝利の勢い 
米国の政治誌The Hillは民主党の大統領候補予備選の重要な分岐点となるスーパーチューズデイ前の世論調査でバーニー・サンダース候補が勝利する可能性があることを示した。カリフォルニア州やテキサス州など多くの代議員が獲得できる州だけでなく、かなり広範な州でサンダース候補が勝つ見通しであると言う。(2020/03/04)


文化
パトウ犬「モウグリ」は山岳地帯エクランに戻った ジャン=マルク・ロシェット(漫画家)Jean-marc Rochette   
山岳をこよなく愛するフランスの漫画家、ジャン=マルク・ロシェットさんは晩秋から春にかけてはパリで仕事をして、夏場はフランス南東部のローヌ=アルプ地域圏のエタージュの別荘で仕事をしています。趣味は山登りですが、山登りや山の羊を襲う狼などを素材にした漫画を最近、連作しています。その別荘である日、出会った一頭の若い牧羊犬がモウグリでした。犬種はパトウです。本来は好戦的な性格なので牧羊犬になっているのですが、モウグリはあまり戦うのが好きではないらしく、やがてロシェットさんの別荘で飼われるようになりました。ところが、冬が訪れ、ロシェットさんがパリに帰る時がやってきました。放っておくと、働きの悪い牧羊犬は殺されてしまう可能性があるため、ロシェットさんはモウグリをパリに連れて帰ることにしました。しかし、もともと山岳を駆け回る大型犬ですから、パリでは環境が十分に適していなかったようです。(2020/03/04)


政治
米民主党予備選 ブタジェッジ、クロブシャーなどの候補がバイデン候補側に回って離脱 民主党幹部らがサンダースつぶしで結束を促しているとの報道
 米民主党予備選も佳境にさしかかり、初戦で苦戦していたジョー・バイデン前副大統領がサウスカロライナ州での勝利をきっかけにトップを走っているバーニー・サンダース候補に対して反転攻勢に出た。ポリティコ誌によると、これを転機にとバーニー・サンダース候補に敵意を抱いているとされる民主党幹部たちは中道派の候補たちに選挙戦からの離脱を迫り、バイデン候補への一本化を促そうと試みているという。すでにブタジェッジ候補、そしてクロブシャー候補らが選挙戦から離脱し、バイデン候補支持に加わるとされる。3月3日のスーパーチューズデイと呼ばれる、全米50州のうち14州と1地域での一斉投票を前に形成を逆転する動きだ。(2020/03/03)


政治
パリの議会ではエドワール・フィリップ首相が反民主的な憲法49条3項を使って議決なしに年金改革法案の通過を狙う
すでにここ数か月、「黄色いベスト」だけでなく、多くの反対運動を起こしてきたフランス政府の年金改革法案を内閣が可決させるために、議決なしで通す憲法49条3項の措置を使った。これは内閣がその信任をかけてある法案を議会の議決なしで通すものだ。しかし、もし反対議員から動議があれば24時間以内に内閣不信任案を提出し、下院で多数決を行い、否決されれば内閣は総辞職することにもなる。(2020/03/02)


コラム
「緊急事態宣言」 安倍首相の賭け どこまで民主主義を破壊できるか押せるところまで押していく決意
コロナウイルスの騒ぎで後手後手、と批判され、さらに一斉休校要請の決断を批判された安倍首相は国会で緊急事態宣言の立法化について話したと言う。これは、一斉休校の要請で日本国内を動かしたことで安倍首相の中で「ワクワク感」が増幅された結果だろう。安倍首相の「ワクワク感」は、日本国民はどれだけ批判しようとも自分に対して効果ある手を打つことはできないと学習した結果、さらにその限界まで行ってやろう、という賭けに出たのである。実を言えば、すでに今の日本国民はどこまで押されてもゼネラルストライキを行使した経験もなく、国民的な実力行使の仕方を誰も知らない状態にある。さらに革命と言う言葉一つとっても、無条件に恐怖を掻き立てられる心性にある。安倍首相の思いを文言にすれば「不満のある方々、やれるもんならやってみなさい」ということになろう。(2020/03/02)


国際
「Democratic Debacle 民主党の敗北」The defeat of Hillary Clinton was a consequence of a political crisis with roots extending back to 1964. ヒラリー・クリントンの敗北の根っこは1964年に遡る ジェローム・カラベル(社会学)
本論考はカリフォルニア大学バークレイ校の名誉教授、ジェローム・カラベル教授(社会学)が2016年11月の米大統領選の翌月に発表したものです。米民主党のヒラリー・クリントン候補はなぜトランプ候補に敗れたのか。その根源は1964年に遡る、というのがカラベル教授の見立てです。民主党の変遷を知ることで、それが理解できるのです。4年前の論考は、米大統領選を迎える今読んでも決して古びることのない洞察を与えるものです。それはまたサンダース候補と中道派の候補者の民主党予備選を見る時に遠近法を与えてくれるでしょう。カラベル教授の許可を得てその論考を訳しました(編集部 村上良太)(2020/02/29)


国際
サンダース候補を選ばせたくない民主党幹部勢力
米民主党の党幹部たちやスーパーデリゲートと呼ばれる民主党議員などの多くがバーニー・サンダース氏を民主党大統領候補にしたくないために7月にミルウォーキーで開催される民主党会議で、たとえサンダース候補が一番人気があり、代議員をもっとも獲得していたとしても、最終的にこの会議で代議員の取引を行い、別の候補者を選出することを考えている、と左派メディアのジャコバン誌は警告しています。記事を書いたジャコバン誌のサム・ルイス氏とべス・フアン氏によれば、全米50州の3979人の総代議員数と、771人のスーパーデリゲートの票で民主党の候補を最終的に選ぶことになりますが、そこでサンダース候補ではない人に他の候補の獲得代議員数をもらって上に積んで逆転させる可能性がある、と言っています。それを防ぐために、スーパーデリゲートの地元で会合を開いたり、デモを行ったりして行動に出る、と言っているのです。(2020/02/28)


国際
サンダース候補の「民主的社会主義」をどう見るか 「Democracy Now!」のポール・クルーグマンとリチャード・ウルフの討論
バーニー・サンダース候補が民主党の候補になる可能性が高まってきた。そんな中、民主党候補らの討論会でもサンダース候補の「社会主義」を警戒する声が飛ぶ。それに対して、サンダース候補は「民主的社会主義」はデンマークのような福祉国家だと反論し、<アメリカの今を見れば大富豪たちは政府の補助金を得て税金も免除されているのに、貧しい人たちはその恩恵を受けない。金持ちにとっては社会主義、貧乏人にとっては個人主義になっている>などと反撃した。(2020/02/27)


国際
バーニー・サンダース候補の外交政策  オフィシャル選挙サイトから
米民主党予備選で先頭を走っているバーニー・サンダース候補の外交政策とはどのようなものなのでしょうか。サンダース候補の選挙サイトを見ました。まず、大統領が議会を無視して行う軍事介入をできないように議会の権限をもう一度強めると言っています。一方、アフガニスタンやイラクなどに駐留している米軍はできるだけ早く帰国させるとも言っています。イエメンで戦争を行なっているサウジアラビアへの軍事支援はやめると言っています。イランを核合意に戻すとも言っています。その他、民主主義陣営を支援し、権威主義国家群とは闘うと言っています。このあたりが、どの程度整合性が取りうるのか、実現性があるのか、そのあたりが今後の予備選や本選で問われるでしょう。(2020/02/26)


国際
サンダース候補の外交政策を報じたワシントンポスト 共和党や民主党ライバルたちはサンダース像をゆがめている
米国の大手放送局、CBSが「60ミニッツ」でバーニー・サンダース候補にインタビューしていましたが、そこで台湾に中国が侵攻したら介入する、と米外交政策を論じていました。このことは香港の民主化運動を行っているデモシストがツイッターで興味深く、記していた事でもあります。外交政策が報道で取り上げられる、ということは米報道機関から民主党の大統領候補になる現実性を高く見られていると言うことでしょう。(2020/02/25)


国際
バーニー・サンダース氏にCBSの「60ミニッツ」でアンダーソン・クーパー氏がインタビュー
ネヴァダ州の民主党予備選で勝利を得たバーニー・サンダース氏にCBSの「60ミニッツ」でアンダーソン・クーパー氏がインタビューを行っています。約13分30秒。このインタビュー自体は特にすごい、というものでもないですが、同時に足りていないこともなく、アメリカの標準的なインタビューと言えるでしょう。(2020/02/24)


国際
MSNBCがエドワード・スノーデン氏に独占インタビュー:Full Interview: Edward Snowden On Trump, Privacy, And Threats To Democracy | The 11th Hour | MSNBC
アメリカ国家安全保障局 (NSA) および中央情報局 (CIA) の元局員で、NSAによる国際的監視網(PRISM)の実在を告発したエドワード・スノーデン氏がMSNBCの単独インタビューで現在のロシアでの生活や仕事、カショーギ記者の暗殺の背景、その他、様々なことを答えている。(2020/02/23)


国際
ブルームバーグ候補、ネヴァダでのつまづき  ウォレン候補の一刺し
富豪のマイケル・ブルームバーグ候補(元NY市長)が予備選に参戦して、討論会に参加した時、最も激しく攻撃したのがエリザベス・ウォレン候補だった。ウォレン候補はブルームバーグ氏は女性へのハラスメントが行ったことがあるうえ、女性への差別意識を持っている候補だと批判した。さらに、ブルームバーグ氏の企業は契約条項で社内で起きたことを外部に語らせないようにしていると批判した。討論会の場でブルームバーグ候補はうまく切り返せなかった。(2020/02/23)


コラム
米民主党予備選の政策論争から見えてくるもの
一昨年にフランスの社会と政治に関するルポを出したのですが、その時、2017年に行われたフランスの大統領選の様々な候補者たちが出版した本を読み比べる機会がありました。大統領選のない日本と比べると、フランスでもアメリカでも候補者たちの政策が述べられていて、1つ1つ読んでいくと意外といろんなことがわかってくるものです。アメリカの場合はフランスよりも政党の数が集約されているので、候補者は絞られてきますが、予備選まで含めるとそれぞれの候補者のホームページに目をやるだけでも今のアメリカの課題が何かについて、いろいろと参考になるものです。今、民主党予備選でトップを走っておるバーニー・サンダース候補の政策項目をホームページに見ると、国民健康保険やグリーンニューディールなどと並んで、みんなのための大学、という項目があります。ここで次のように現在の問題点を述べています。(2020/02/23)


国際
複数の米世論調査ではサンダース候補だけがトランプ大統領(現職)に勝てる民主党候補 〜国民皆保険案が圧倒的に支持される〜
ネヴァダ州の民主党大統領予備選でも勝利し、次のテキサス州入りしてサン・アントニオの集会で勝利宣言を行ったバーニー・サンダース民主党候補。その勢いはますます上げ調子になっています。米ジャーナリストのデビッド・フリードランダーはこれまで「サンダースではトランプに勝てない」と囁かれてきたのは単なる神話に過ぎないことを示し、複数の世論調査結果を提示しています。それによると、サンダース候補がそれぞれ多少の違いがあっても2ポイントから8ポイントくらいの差でトランプ候補に勝っているのです。(2020/02/23)


国際
サンダース候補が勝利宣言 ネヴァダ州の民主党予備選 「政治革命」を語る支持者たち
サンダース候補、ネヴァダ州でも勝利。支持者たちがなぜサンダース候補を支持しているかを熱く語るテキサス州のライブ。「政治革命」とは私たち自身だ、私たちみんなだ、と語る人もいます。(2020/02/23)


国際
ネヴァダ州の米民主党予備選  ラティノ系票がサンダース大勝の勝因
 昨日、米ネバダ州で行われた民主党の大統領候補予備選、事前の予測の中にはバイデン候補やブティジェッジ候補らとサンダース候補が接戦という見通しもありましたが、ふたを開けてみるとサンダース候補が圧勝しそうな勢いです。Voxの報道では、サンダース候補が突出した要因として、ラティノ系(ヒスパニック系)有権者が20%近く存在し(ラティノ系住民自体はもっと多い)、彼らの票がサンダース候補に注ぎ込んだとしています。(2020/02/23)


コラム
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の議長・南彰氏の慧眼
2018年9月から新聞労連委員長になった南彰氏は、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の議長もつとめており、昨年は"FIGHT FOR TRUTH”と称して首相官邸前で行われた、官房長官らの記者に対する不当な質問妨害への抗議集会を開くなど、これまでにない行動力を伴う言論人であり、労組のリーダーです。その資質は今、行っているテレビ朝日の「報道ステーション」のスタッフの大量解雇に対する抗議集会で、一層明瞭になったと思います。(2020/02/22)


みる・よむ・きく
講談社のお料理BOOK 「わが家の自慢カレー〜人気料理研究家イチオシ!〜」
日本には写真をたくさん使った料理の指南書が多数出ていますが、その多くが極めて高度のテクニックがあり、美しく仕上がっていていつも感心します。こういう料理の本を作るのには手間をかけているだろうな、と想像されます。そして、そうした素晴らしい本にもかかわらず、何年かすると新しく出版された本におされて書店から姿を消してしまうのは悲しいことでもあります。料理の本を一堂に集めた書店とか、図書館とかがあってもよいですね。講談社のお料理BOOK 「わが家の自慢カレー〜人気料理研究家イチオシ!〜」もそのような日本の手間をかけた一冊です。(2020/02/22)


政治
米民主党 新鋭アレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員(民主党・下院)の行動力
昨今、アメリカの民主党では「プログレッシブ」という言葉に勢いがあります。progressive 。これは進歩的、という意味です。動詞のprogressは前進する、進歩する、という意味。現在のアメリカの文脈で言えば、格差是正のため再分配を重視し、人種差別に反対、マイノリティや移民の人権重視、あるいは男女間の差別に反対、LGBTの権利の重視というような意味です。ニューヨークタイムズ電子版(2月20日)のカティ―・エドモンドソン記者による「オカシオ=コルテスが民主党進歩派の選挙陣営を構築中」と題する記事は、今の民主党の空気が伝わってくるかのようです。(2020/02/22)


国際
マイケル・ブルームバーグ元NY市長が起こす民主党大統領選挙・予備選での波紋
マイケル・ブルームバーグ氏はブルームバーグという金融情報端末の創業者で、その成功の結果、大金持ちとして知られており、ニューヨーク市長を過去に3期12年務めた大物。そのブルームバーグ氏が民主党大統領候補を選ぶ予備選挙に参戦し、サンダース陣営とは別の形で波紋を呼び起こしています。ブルームバーグ氏の参戦について、アメリカでは金に糸目をつけず、スタッフも大量動員し、選挙宣伝の動画PRもTV局でバンバン流す、とすら報じられています。CBSで先日、報じられていたのはブルームバーグ陣営の最初のTV広告がサンダース候補を始めとする他の民主党候補者たちを非難する内容のものだったことです。(2020/02/20)


国際
サンダース候補らの提案する「みんなのためのメディケア」(Medicare for all)  米報道番組はどう報じているか 〜がんと診断されて4割が2年以内に全財産を使い果たす〜
今、始まったばかりの米民主党・大統領予備選で重要なイシューの1つがバーニー・サンダース候補が掲げる”Medicare for all”(全員のためのメディケア)となっていて、これは現在、複数の制度を併用しているのをシングルペイヤーというシンプル化した支払制度に転換しようということのようです。そこでこの制度に改めるとどのくらい財源がいるのか、などをめぐって議論が起きています。すでに2018年暮れに米報道番組「デモクラシー・ナウ!」で、Medicare for allがいったい何か、そして、どのくらいその必要性があるのかをめぐって司会のエイミー・グッドマン氏が詳しい人々にインタビューを行っています。(2020/02/16)


コラム
安倍政権と旧ソ連とアメリカ  日本にソ連型を導入した異色の自民党政治家
 「なぜ財界人はこの期に及んでも安倍首相の辞職を求めないか」という文章を先日書いたばかりです。旧ソ連や東欧をリアルタイムで知っているのは1991年以前に生まれた世代であり、29歳以上です。物事の輪郭がおぼろげに分かってくるのが仮に10歳としても39歳以上でしょう。すると、それ以下の世代は旧ソ連というものを知りません。筆者は安倍政権になると旧ソ連に似てくると2013年の特定秘密保護法制定の頃に批判的に書きましたが、あれから安倍政権のもとで6年以上が過ぎ、統計の不正や、公文書の改竄・廃棄、政府要人の不起訴、権力者の取り巻きへのえこひいき、という典型的な旧ソ連の弊害が起きています。安倍政権と自民党が日本共産党を攻撃し、自分たちは資本主義の政党だと自己認識しているであろうだけに、事態は滑稽を通り越して悲痛ですらあります。なぜなら自己の失敗を認められないことがまさに旧ソ連の特質だったからです。(2020/02/16)


政治
貧困層が医療に十分アクセスができないことを示す米政府資料
米国のU.S. Department of Health & Human Servicesという省庁が公開している貧困層の医療アクセスを考えるための資料があります。2014年ころのデータを使っているものなので、数年の差はありますが、これらの数値からアメリカの貧困に関する概要が見えてくるはずです。(2020/02/15)


政治
マイケル・ムーア監督がバーニー・サンダース候補を応援する理由
マイケル・ムーア監督と言えば「ロジャー&ミー」でGM工場の海外移転と衰退する工場街を克明に描き、「ボウリング・フォー・コロンバイン」では銃保有の問題を描き、「華氏911」でジョージ・W・ブッシュ大統領時代の問題を描き、「シッコ」ではアメリカに国民医療保険制度がない問題を描き、とデビューから一貫してアメリカの病根を独自の語り口でユーモラスに描いてきたドキュメンタリー映画監督です。このムーア監督は民主党支持で、政治に関して遠慮せず語ってきたことでも知られていますが、今回の予備選ではバーニー・サンダース支持を昨年秋から打ち出しています。(2020/02/15)


コラム
映画「恋愛小説家」と米大統領選
ジャック・ニコルソンが主演した「恋愛小説家」は、恋愛に不器用な恋愛小説の名人が恋に目覚める、という風変わりな設定が功を奏して、ヒットを記録した。この映画でニコルソン扮する小説家が恋をする相手を演じたのはヘレン・ハントで、作家がいつも昼飯を食っている近所のレストランのウェイトレスという役だった。バツイチの彼女には一人息子がいて、少年はよく病気になる。だから、母親はいつもストレスがたまっているのだ。これまでにも再婚を考え、デートをしても子供の心配が途中で絡んでくるためにうまくいかない。(2020/02/13)


政治
ティム・ロビンス「ドナルド・トランプに勝つ最良の候補がバーニー・サンダースです」
バーニー・サンダースがニューハンプシャー州での民主党予備選でも得票首位に輝いた。米報道番組「デモクラシー・ナウ!」ではバーニー・サンダースはトランプ現職候補に勝てるか?という設問で番組を作っているが、映画俳優のティム・ロビンスは「トランプに勝つにはバーニーが最良の候補」と語った。バーニー・サンダース候補は社会主義者とも言われ、アメリカでは常識外れと思われがち。穏健派でないとトランプに勝てない、という説に対して、ロビンス氏は次のようなことを述べた。(2020/02/12)


文化
フランスの漫画家クレール・ブレテシェさん亡くなる Claire Bretécher est décédée
フランスの漫画家、クレール・ブレテシェさんが亡くなった。79歳だった。フランスでは女性を中心に多くの読者を擁していた国民的漫画家だった。代表作は「アグリッピーヌ」や「欲求不満の人」など。(2020/02/12)


国際
米民主党予備選 エイミー・クロブシャー候補が世論調査で3位に追い上げる
米民主党予備選では首位争いをしているサンダース候補とブティジェッジ候補の後ろに、女性候補であるエイミー・クロブシャー候補が世論調査で浮上してきた。バイデン候補とウォレン候補に勢いがない間隙をついての浮上で、クロブシャー候補は討論会でも目立っている模様。当選すれば最初の女性大統領となる。(2020/02/10)


文化
アンソニー・マカーテン講演「笑いについて」 ニュージーランド出身で英国で活動している映画作家・放送作家・ジャーナリストがユーモアを披露
「ボヘミアンラプソディー」や「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」などの映画を手がけてきた映画作家でジャーナリストのアンソニー・マカーテン氏がTEDトークで英語のジョークを披露しています。(2020/02/10)


検証・メディア
アメリカの新興ニュースメディア「 The Intercept 」   EBay創設者が出資 グレン・グリーンウォルドなど進歩派がペンを握る 
「The Intercept」という名前のアメリカの新興のオンラインニュースメディアがあり、誕生して6年ほど。プログレッシブな立場、つまり進歩的な立場を取っているようです。出資者はピエール・オミダイヤ(Pierre Omidyar)氏、EBayの創設者です。デジタルメディアの大富豪が新しいメディアを立ち上げる、というと、富裕層にフレンドリーな媒体かと思いがちですが、「The Intercept」はどうもそうではないらしいのです。先日「The Intercept」はアイオワ州における民主党の予備選挙をめぐる混乱の元凶となった事情についてレポートしていましたが、それは開票のためのアプリを作った企業の親会社に、民主党幹部やピート・ブティジェッジ候補に連なる人脈があったという指摘です。(2020/02/09)


政治
ニューハンプシャー州での候補者討論会でサンダース候補がブティジェッジ候補を億万長者からの寄付で闘っていると指摘
月11日に投開票を控えるニューハンプシャー州入りした米民主党大統領予備選候補者たちは討論会に参加したが、その中でサンダース候補がブティジェッジ候補が大富豪の献金で闘っていると指摘した。これが米国内で話題となっている。以下は、ブティジェッジ候補が40人の億万長者やその配偶者から選挙資金を得たなどとするビジネスインサイダーの関連記事。(2020/02/08)


国際
「デモクラシー・ナウ!」 アイオワ州民主党予備選の混乱の背景 
エイミー・グッドマン氏が司会をつとめる米報道番組「デモクラシー・ナウ!」ではアイオワ州の民主党予備選の混乱の元凶となったのが開票のためのアプリの欠陥であり、それを開発した企業は民主党幹部とともに、ピート・ブティジェッジ陣営にも関係があるのだと言う。(2020/02/08)


国際
2月11日のニューハンプシャーの民主党予備選  予測ではサンダース候補をブティジェッジ候補が追う
アイオワ州に続いて民主党予備選が行われるのはニューハンプシャー州で投票は2月11日火曜日。MSNBCの報道では、複数のメディアの予測でバーニー・サンダース候補が首位にたち、ピート・ブティジェッジ候補が追う形となっている。一方、副大統領だったバイデン候補とエリザベス・ウォレン候補は開きが生まれている。(2020/02/08)


国際
開票の混乱の中、サンダース候補が勝利宣言  アイオワ州の民主党予備選の得票総数で6000票差で二位をしのぐ
バーニー・サンダース議員がアイオワ州の予備選の開票の混乱のなか、勝利宣言を行った。開票率97%で得票数でブティジェッジ候補に6000票の差をつけてトップに立ったことをもって語った。獲得代議員数は不明だが、ポピュラ―ヴォ―トと呼ばれる得票数自体で宣言した形となる。(2020/02/07)


コラム
「大いなる幻影:流動性、不平等とアメリカンドリームについて」ジェローム・カラベル(カリフォルニア大学バークレイ校 名誉教授)”Grand Illusion: Mobility, Inequality, and the American Dream” By Jerome Karabel
カリフォルニア大学バークレイ校で社会学の教鞭をとってきたジェローム・カラべル名誉教授はハフィントンポストなど多くのメディアに論考を書いてきました。最近、とくに注目されるのがビル・クリントン大統領時代以後の民主党の変質です。民主党がかつての労働者の政党から富裕層にフレンドリーな政党に変質してしまったというのです。今回、ここにキャバレル教授の許可を得て訳出した一文はアメリカの二大政党に対する歯に衣着せぬ批判で2012年の大統領選の時に書かれたものです。しかし、今日もまったく内容は古びていないと思われます。(2020/02/07)


国際
2020年のバーニー・サンダースの公約
4年前の2016年の大統領予備選では予想外の注目を集めたバーニー・サンダース候補は後半、民主党幹部たちのヒラリー・クリントン候補への応援によって代表の座を失うことになった。今回、再び出馬してきたバーニー・サンダース候補のライバルはバイデン元副大統領であり、どちらも高齢でバイデン氏は選出されても1期限りで退くと言っているそうだ。(2020/02/06)


国際
アイオワ州民主党予備選 62%現在 サンダースが得票トップ  ブティジェッジが代議員数でリード
 開票62%現在でバーニー・サンダース議員が僅差で得票トップを走っている。ただし、民主党候補を決める代議員数ではブティジェッジが少し多い。(2020/02/05)


コラム
朝日新聞がなぜ危険な新聞か   村上良太
フランスでは右傾化は右翼政党のアクションよりも、社会党のような左派政党からいつも起きる、という言葉を何度か耳にしました。中野晃一教授(政治学:上智大学)の優れた著作「右傾化する日本政治」では自民党の右傾化が中心的に分析されていたと思います。これはこれで優れた分析だと思うのですが、右傾化の原因をなしているのは右翼政党やその支持者だけではありません。むしろ、かつての左派政党だった社会党の議員たちが自民党と連立政権を作ったり、その後に党を割って出て行ったりしたことが日本における左派政党の空洞化を招き、結果的に右傾化を許してきた、と言えると思います。この経過はフランスにおける2017年の選挙でも同じです。(2020/02/03)


政治
アイオワ州の民主党大統領候補予備選の投票  予測ではバーニー・サンダースがトップ
今日、アメリカの民主党の大統領予備選がアイオワ州で行われている。アイオワ州の結果は全米の予備選に影響を与える、ということで誰が勝つかが注目を集めている。メディアの調査ではバーニー・サンダースがトップを走っている。二位はジョー・バイデン元副大統領。(2020/02/03)


コラム
バーニー・サンダース応援映像「人民の香水 バーニー」〜ボランティアで制作〜
アメリカで大統領候補たちの予備選が始まり、応援映像もYouTubeで出てきた。この映像はバーニー・サンダース候補のための「人民の香水 バーニー」。バーニー・サンダース候補の香水、とはかなり斬新な発想。「みんなのためのメディケアを」と訴える声。映像では学費の借金などを燃やしているカットも出てくる。(2020/02/03)


コラム
なぜ財界人はこの期に及んでも安倍首相の辞職を求めないか
フランスに留学してのちフランスで暮らしてきた実業家の日本人から、貴重なご意見をいただいたのですが、それは国会で安倍首相らの見苦しい事態が続いてきたにも関わらず、日本の経営者、財界人たちが安倍首相に辞職を勧告しない、ということでした。海外から日本を見た時に異様な事態だと言います。(2020/02/02)


文化
フランスから来日、エディ・デュフルモン氏が中江兆民とフランス共和主義について熱弁
中江兆民と言えば「東洋のルソー」と呼ばれ、フランス革命の思想家であったルソーの「社会契約論」(民約論)を翻訳した人として知られています。とはいえ、私の中江兆民に関する知識はそこで止まっていました。ですから、フランスのボルドー大学から来日して、昨日、東京の日仏会館で中江兆民について熱く語ったエディ・デュフルモンさんのことを書きたいと思います。そもそもフランス人がなぜルソーを翻訳した中江兆民にそこまで情熱を注ぐことができるのか?ということが私にとって好奇心でもありました。デュフルモンさんの知的動機はどこにあったのだろうか、と。(2020/02/02)


みる・よむ・きく
岡谷公二著 「アンリ・ルソー 楽園の謎」 
最近、日本の風景や庭園を何日かに渡って撮影したのですが、丸一日、風景に浸る経験をこれまであまり意識的にしたことがなく、意外にも満ち足りた時間を満喫することができました。ただ風景と向き合うだけでこんなにも発見があり、感覚が刺激されるものだったとは。そんな中、風景を見る自分の見方の基盤に、ある画家の絵画世界が影響を与えていることに気がつきました。その画家とは素朴派と呼ばれるアンリ・ルソーです。アフリカの砂漠でジプシー女が月明かりの下で眠っているとライオンが静かに近寄っている、というような絵や、ジャングルの中で黒人がジャガーに食いつかれている絵など、その多くが異国的かつ幻想的なムードを漂わせています。(2020/02/01)


みる・よむ・きく
ロバート・O・パクストン著「ヴィシー時代のフランス 対独協力と国民革命 1940−1944」
ロバート・O・パクストンと言えば、フランスにおける対独協力の歴史に戦後いち早くメスを入れたアメリカ人の歴史学者です。その著「ヴィシー時代のフランス 対独協力と国民革命 1940−1944」はまさにその代表作の1つとも言っていいような研究書です。翻訳者の一人、渡辺和行氏によると、1972年に本書はアメリカで出版され、翌年フランス語に翻訳されて出版されたとされます。つまり、1945年の戦争終結から27年も経っていた事には事情がありました。その間、フランス人たちはナチ占領時代の記憶を、自分たちは対独レジスタンスの側に立っていたのだ、という風に思いたかったとされます。実際には、本書で指摘されているように、1940年の敗北後、ドイツと妥協したヴィシー政府は自ら進んでナチスと欧州新秩序を構想したり、自らユダヤ人の排斥を進んで引き受けたりという事実があり、フランス人の記憶に異議を唱えることになりました。(2020/01/29)


みる・よむ・きく
高橋康也著「道化の文学 〜ルネサンスの栄光〜」
本書は道化論ですが、著者の高橋氏が書いている通り、道化一般についての論ではなく、文学に現れる道化に限った文学論として書かれています。登場する道化はエラスムスの描いた「痴愚神」、ラブレーの「パンタグリュエル」、シェイクスピアの「フォールスタッフ」「フェステ」、セルバンテスの「ドン・キホーテとサンチョ・パンサ」など。タイトルにあるように、道化の文学が最も輝いた全盛期はルネサンスの時代であり、人文主義作家のエラスムスやラブレーらによって開拓された道化文学が、やがて劇作家のシェイクスピアや小説家のセルバンテスらによってその頂点が築かれたとされます。『道化の文学 〜ルネサンスの栄光〜』が興味深いのは、道化に関する考察だけでなく、道化の文学が成り立つ時代背景を描いていることです。(2020/01/28)


みる・よむ・きく
亡命した家族を描いた女優マリーナ・トメ(Marina Tomé )さんのオリジナル戯曲「白昼の月」(La lune en plein jour) パリのユシェット座で4月6日まで
 イヨネスコの舞台を長年やっているパリのユシェット座で今上演されているのが女優マリーナ・トメ(Marina Tome )さんのオリジナル戯曲「白昼の月」(La lune en plein jour) 。トメさんはパリ在住ですが、出身はアルゼンチンで母語はスペイン語。この舞台はそんな彼女の人生を描いたものです。アルゼンチンから軍事独裁政権を逃れて命からがらパリに渡ってきた彼女の家族、そしてパリでも監視下に生きてきた亡命者たち。しかも、彼女の場合はアルゼンチンにいた家族は、かつてポグロムというユダヤ人狩りが行われたポーランドを逃れてきたという苦難の歴史を持ちます。そんな中、彼女は二つの言語と二つの国のはざまに揺れながら、異郷パリの地でやがては舞台に、映画に、表現に生きる道をつかみ取ります。(2020/01/27)


コラム
ルーアンでの反年金改革デモの女性弁護士たちのダンス フランス各地で女性たちが年金改革への反対をダンスで表現
フランスでマクロン大統領の年金改革への反対運動が起きていますが、目を引くのは女性たちが各地でダンスで表現していることです。「マクロンのせいで・・・」という歌に合わせた踊りはすでに紹介しましたが、ニュージーランドのマオリ族の民族舞踊ハカで怒りを表現したりと地域ごと、職種ごと、グループごとに様々な自発性を伴うスタイルです。今回紹介しますルーアンの反対運動でもダンスが用いられていますが、パリでのスタイルとはまた異なっています。(2020/01/26)


コラム
「マクロンのせいで・・」 パリ東駅でアタック・フランスの女性メンバーが年金改革への抗議のダンスを披露
先日も記事にしたことですが、フランスでは今、マクロン大統領と政府に対する反対運動の焦点は年金改革への反対にあります。前回の記事でも女性の労働者が最もこの改革で被害を被るであろう旨をインタビューでお伝えしましたが、それゆえか、女性たちが抗議運動を盛り上げています。下のリンクは彼女たちはアタック・フランスのメンバーで、音楽に合わせてダンスをしながら、年金改革で誰が得をするかを告発しています。それは複数の大手の金融企業であり、それはダンスの小道具としても登場します。(2020/01/26)


国際
フランスで年金制度改悪への大規模反対デモ 
昨日、パリで多数の市民がマクロン大統領らの進める年金制度改悪に反対して大規模なデモ行進を行った。手には松明を掲げる人々も多数に上った。これはパリジャンの映像。ちなみに年金制度改革への反対のストライキはすでに40日以上になっている。松明を掲げる反対デモは北部のリールや中部のクレルモン=フェラン、東部のディジョンなどの地方都市でも行われている。フランス最大の労組C.G.TやF.O, さらに教職員が多数参加しているF.S.Uなどの労組が呼びかけている。(2020/01/24)


みる・よむ・きく
ラジ・リ監督の傑作映画「レ・ミゼラブル」 〜郊外をめぐる2つの結末〜
フランスの映画「レ・ミゼラブル」の試写会への誘いが来ました。「レ・ミゼラブル」というと、著名なヴィクトル・ユゴーの小説が想起されますが、この映画ではその小説の舞台となったパリの東17キロにある郊外の町、モンフェルメイユが舞台になっています。直接の共通点はそれだけ。とはいえ、確かにこの映画を見終えて、深い衝撃に満たされました。モンフェルメイユの現実、大人から子供まで、民族も思想も多様な人間たちそれぞれの「存在」。そして住民間の衝突。監督のラジ・リはこの町でずっと暮らしてきた黒人の監督で、2005年にこの界隈で起きた暴動も自分でビデオを回して撮影していたのだそうです。その時に大量に撮りためた映像を基にドキュメンタリーの監督としてキャリアを始めたと言います。こうした経緯が、これまでのフランス映画にはなかった何か、新しい味わいを生み出した秘密でしょう。(2020/01/21)


コラム
フランスの年金制度改革へ女性たちが反対を示す踊り 「マクロンのせいで〜」 踊る女性たちに聞く
マクロン大統領たちの年金改革に反対しているAttac(アタック)フランスの声を昨日伝えましたが、アタックはもともと金融の規制緩和が経済にダメージを与えている根源だと考えてきました。このアタック・フランスにとって、金融界の出身であるマクロン大統領はまさに、そうしたシンボリックな政治家です。昨日、アタックのロドリゲスさんが指摘したことはこの年金改革で最も生活がダメージを受けるのは女性の非正規労働者だという話でした。そのこともあって、アタックの女性たちは、マクロン大統領の年金改革を風刺するダンスを始めました。タイトルは「マクロンのせいで〜」。この運動のリーダーの一人、山本百合さんは日本人の父親を持つ日仏混血のフランス人です。ダンスの最前列で踊っています。(2020/01/21)


コラム
日本の大メディアによる、フランスの年金改悪反対デモの伝え方  朝日新聞もNHKもデモへの冷笑的視点で描いてきた
僕がフランスに足を運ぶようになって20年近くになりますが、そこで気がついたことは日本のメディアがいかにフランスの状況を伝えていないか、ということ。あるいは、こうも言えます。いかに大企業目線、富裕層目線でしか伝えてこなかったか。たとえば、以下のNHKの記事。見出しは、「仏 オペラ座 公演キャンセル相次ぐ 演奏家が年金改革反対訴え」読んだらお分かりいただけると思いますが、こうした記事にはパターンがあり、最後にデモとかストライキでいかに市民が「迷惑」しているか、ということが落ちになっています。朝日新聞の記事でもそうです。デモがなぜ行われているか、当事者の切実さを描く記事はとても少ないです。多くの場合、記者の視点が冷笑的なんです。(2020/01/20)


みる・よむ・きく
ミシェル・フーコー著「マネの絵画」(阿部崇訳)
昨年、来日したフランスの哲学者がミシェル・フーコーの専門家でもあり、その話から大いに刺激を受けたことから、齢50代半ばにして初めてフーコーを真剣に読み始めました。フーコーと言えば一般に権力批判とか、近代になって排除されるようになった異常性あるいは狂気という問題の本質は何かといった精神医学へのアプローチがまず想起されるのではないかと思いますが、その一方で本書「マネの絵画」に見られるように芸術への思索もあります。フーコーによる「マネの絵画」を読んでみると、画家としてのマネを知るに最適であるだけでなく、もしかしたらフーコー入門にも最適なのではないか、という印象を受けました。(2020/01/16)


コラム
カイロの猫たちの記録  ラムセス2世の死  Heather Hermit
ラムセス2世は孤立していた子猫で、2018年2月に大エジプト博物館の建設サイト近くで私が見つけました。そこには猫の家族が暮らしていたのですが、しかし、みんな次々といなくなってしまったのです。ラムセスはその猫家族の最後の生き残りでした。私が見つけた時はとても病んでいて、飢え、脱水症状を起こし、ほとんど死んでいたといってよいような状態でした。(2020/01/13)


コラム
台湾総統選と若者たち
 11日の台湾の総統選で独立への道を志向する民進党の蔡英文氏が再選を果たした。蔡氏が前回、総統に選出されたのは2016年1月で、大きなきっかけとなったのが2014年3月に起きた台湾の大学生たちによる議会(立法院)の占拠・立てこもりだった。この立てこもりをなぜ若者たちが起こしたかと言うと、当時与党だった国民党が秘密裏に中国政府との間でサービス分野も含む自由貿易協定を締結し、数に物を言わせて立法院での議論もほとんどないまま批准の強行採決を目指していたからだった。若者たちは強行採決阻止を狙って、数十人で立法院に突入した。(2020/01/12)


国際
フランスの風刺漫画家ウィレム(Willem) の1枚  マクロンの年金改革への風刺漫画があまりにも日本の某大臣を思い出させて
以前、フランスのリベラシオン紙に風刺漫画家ウィレム(Willem)あり、と書きましたが、今も健筆。最近の1枚はマクロン大統領とその仲間たちが進めている年金改革を風刺したもの。(2020/01/12)


国際
12月31日 トランプ大統領はイラクでの米大使館襲撃の原因はイランにあると断定 イラクで報復攻撃
トランプ大統領は12月31日(火曜)に、このところイラク国内で米大使館などが襲撃されているのはイラクでデモを行っている群衆の背後にイランが潜んでいると断定、報復の可能性を示していた。この火曜日の米大使館襲撃では米国人に死傷者は出なかった。(2020/01/03)


歴史を検証する
ナチ・ハンター セルジュ・クラルスフェルトとベアテ・クラルスフェルト夫妻の挑戦
ナチ・ハンターという言葉がありますが、これは史上最大のレイシズムを欧州で巻き起こし、欧州におけるユダヤ人の絶滅を試みたナチスの責任者を追及した人々を指します。著名な人にアメリカで活動したサイモン・ウィーゼンタール氏がいますが、フランスのセルジュ・クラルスフェルト氏も欧州では著名なナチ・ハンターとして知られています。ドイツ人のベアテさんを妻として二人で責任追及の道を歩んできました。クラルスフェルト夫妻の足取りは非常に興味深く、示唆に富んでいます。(2020/01/01)


コラム
30年間続けた英字新聞の定期購読をやめて
最近の企業経営者の中にはファンの心が読めなくなった人が多いように感じる。いまだに首相と会食を続ける日本の新聞社の幹部たちがそうだが、残念なことで言えば、編集スタンスの異なるジャパンタイムズとセットで購入させるニューヨークタイムズ国際版(紙版)もそうだ。新聞を手にして読む読者の心から遠く離れている。おかげで30年間、取り続けた英字新聞の購入をとうとうやめることになった。新聞と言えば紙、という思いがあったのに残念だ。(2019/12/31)


みる・よむ・きく
講談社「英語で読む高校世界史」 
最近、町の書店で高校の世界史の教科書を英語にした本が売られていたのを見ました。出版社は1つは山川出版社(英文 詳説世界史)で、もう1つが講談社(「英語で読む高校世界史」)でした。どちらもよく似たコンセプトです。筆者が購入したのは講談社によるものです。これは高校の「世界史B」(東京書籍)を全文英訳したもので、380ページ近くあります。世界史を英語で学ぶメリットは言うまでもなく、世界史を学びながら英語も学べると言う一石二鳥の効果です。もう1つは、英語で歴史を学べば、世界中の人と英語を通して情報交換ができ、交流する道が開けてくることにあります。(2019/12/31)


検証・メディア
放送局はこれからも必要なのか?   今、進行するパラダイムの転換
今年、国会パブリックビューイング(国会PV)に何度か出かけて記事も書きました。主催しているのは上西充子法政大学教授や全労連の伊藤圭一さんらのほか、映像的な技術やソフト作りの面で真壁隆さんや横川圭希さんなどの優れたスタッフもいます。最初に出かけたのは2月でしたが、70分くらいの持ち時間で1つのテーマで濃密に国会の質疑応答を見せていく手際は非常によく、既存のTV番組よりも面白くためになるコンテンツではないかと率直に感じました。国会PVをその場で見る人垣は60人から100人くらいですが、この国会PVをライブで撮影したものをYouTubeにUPすることで、不特定多数の人が津々浦々で国会を見て、その解説を家に居ながらにして聞くことができます。(2019/12/29)


歴史を検証する
日本の官僚の歴史的・社会的研究を  安倍政権時代の官僚たちの先駆を考察する
 公文書の改竄とか破棄とか、黒塗りとか、「決済はなかった」とか、今日の安倍政権の影響下にある官僚たちのやっていることの異様さを示す報道に事欠きませんが、なぜそうなったのか。これに関して言えば内閣人事局の設置が2014年に行われたことが直接の引き金になったと指摘されています。とはいえ、もう少し社会史的かつ歴史的に検証する必要があるのではないかとも思います。野党合同の官僚への質問の中継などを見ていると、普通の人々の目には官僚たちの答えがどうしても異様に見えるのです。日本の官僚の歴史について言えば、筆者は専門的研究をしたわけではないので、直感に過ぎませんが、いくつかの時代に分けて考察する必要があるのではないでしょうか。(2019/12/29)


コラム
現代日本の「凡庸な悪」  NHK独立検証委員会の設置を
2016年の夏、それまで筆者が世界の民主主義の運動を取材してきたNHKの番組が終了となり、その後に出会ったNHKのプロデューサーたちから「もう構造を描く番組はいりません」とか「知識人の言葉はもうドキュメンタリーには必要ありません」あるいは「面白いシーンだけあればOKです」などと立て続けに言われたので衝撃を受けた。当該テーマに関して個別・各論的に語られたのではなく、一般論的に言われたのである。2016年夏と言えば今年をもって退任する石原進氏が経営委員長に就任した時期だ。石原氏は経営委員長としてNHK会長を通してクローズアップ現代+の制作現場に大きな圧力をかけたことが最近、毎日新聞でスクープされた人物だ。かんぽ生命保険の不正販売を報じた「クロ現+」に日本郵政グループの抗議を受けたとしてNHK経営委員長らが圧力をかけた事件である。その石原氏が経営委員長に就任した頃に企画の募集要項とか選抜の方針が大きく変わったのである。そういったNHKのプロデューサーたちは自分の言葉を語っていたのではなく、上司から言われたことを私たちインデペンデントの製作者に語っていたのだと思う。(2019/12/27)


経済
ブルーオーシャン戦略 
新しい需要を自ら作り出してライバルのいない市場で稼ぐ「ブルーオーシャン戦略」がアメリカで提唱されて、発展しています。提唱者はW・チャン・キム氏と、レネ・モボルニュ氏。(2019/12/27)


コラム
新聞配達店の異変  
先日、朝日新聞から毎日新聞に30年ぶりに新聞の変更をしたことを書きました。首相の懇談会に参加せず、権力から独立した路線を取ろうとする毎日新聞を応援するためです。いつも新聞を届けてくださる朝日新聞の配達店の人に申しわけないな、と思って電話したら、「何か当方のことが原因ですか?」と聞かれるので、配達店の方には何の不満もありません、と答えました。「新聞を替えるものですから」と言って毎日新聞に替えることを告げると、「それならうちからお届けできますよ」と言う答えでした。(2019/12/26)


検証・メディア
国会パブリックビューイング 「桜を見る会」 田村智子議員が駆けつける 〜1時間でこの問題の概要がわかります〜
「桜を見る会」ビフォー・アフター 国会パブリックビューイング 2019年12月24日(街頭上映用映像)(2019/12/25)


検証・メディア
「桜を見る会」にスポットを当てて攻めている田村智子議員(日本共産党) 国会パブリックビューイング
困った時に本当の友達がわかるように、国が危難にある時、本当の議員がわかるというものです。今夜の国会パブリックビューイングは〜すでにもうそれが何かの説明も不要でしょう〜11月8日の国会・予算委員会での田村智子議員(日本共産党)の質問を取り上げました。テーマは安倍首相の新たな不正疑惑「桜を見る会」について。「桜を見る会」が話題になっているのは安倍首相ら自民党議員らの後援会を慰労することに税金が使われていたのではないか、という疑惑があるからです。国会PVで今回取り上げるように田村議員の11月8日の質問でこの問題に注目が集まることになりました。その田村議員が国会PVに駆けつけた時、100人以上いたであろう人々から大きな拍手が起きました。田村議員の奮闘に心を動かされた人々が自然に出た反応だったと感じます。(2019/12/24)


国際
ブランド戦略の大家 デービッド・A・アーカーの講演 Marketing Guru David Aaker, "Brand Relevance"
 UCバークレー大学のハース経営大学院名誉教授であるデービッド・A・アーカー氏よるブランド戦略のスピーチ。「ブランド優位の戦略」などの著書がある。(2019/12/23)


コラム
ファシズムと秘密警察と共謀罪
伊藤詩織さんのレイプ事件で、2015年に逮捕状が出されていながら執行直前で所轄警察署員に警視庁の上層部から逮捕取りやめの命令が入ったことが今回話題になっている民事訴訟が起こされるきっかけになりました。それだけでなく、安倍政権のもとで起きた様々なスキャンダルに対して、警察・検察がほとんど動かないことから政権に忖度して、あるいは政権の命令によって、その運用が差別的あるいは恣意的になっているのではないか、との疑惑が国民の間に膨らんでいます。このことは来年、国会の大きなテーマになるでしょう。(2019/12/23)


検証・メディア
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その11 東京新聞労組・宇佐美委員長の声明
今年3月、首相官邸前で東京新聞の望月記者の質問への官邸側の弾圧に抗議する集会が行われました。その時に新聞各社の労組の声明が伝えられましたが、望月記者が所属する東京新聞労組の委員長、宇佐美昭彦氏もマイクを握りました。以下がその声です。「東京新聞労働組合委員長の宇佐美です。望月さんは私たちが働いている東京新聞の同僚です。望月さんは記者会見で記者として聞くべき当たり前のことを行っているのだと思います。・・・」(2019/12/22)


検証・メディア
東京新聞労組が自社の新聞記事を批判 「こんな報道は本当にやめるべきだ」
東京新聞労組が自社の新聞記事を激しく批判している。偶然目にしたのだが、そういうのを見たのは初めてなので引用したい。批判の対象となった記事は<首相、報道写真展を観賞 「日本が世界で輝いた年」>という見出しで、共同が配信したもの。安倍首相の言葉も引用されていた。<「たくさんの人に日本を訪問していただいた。日本が世界の真ん中で輝いた年になった」と感想を述べた。>これについて東京新聞労組は次のようにツイッターで述べた。(2019/12/22)


コラム
冷戦終結後に準備された安倍政権誕生の空気 3つの局面で見る
今日の安倍政権を戦後初のファシズム政権と位置付けていますが、それは一夜にして突発的に生まれたものではありません。1989年の冷戦終結や1991年のソ連崩壊などに端を発する世界の構造の変化が底流にあります。この流れを理解しないと、今起きている安倍政権の腐敗をかつてのフィリピンのマルコス大統領の独裁政治などと同一視してしまいかねません。では冷戦終結後に何が起きたのか?折しも日本にとって冷戦終結期はバブル崩壊期と時を同じくしていました。1980年代に芽生えたアメリカを抜いたと思ったほどの経済大国の意識が一夜明けるとあっけなく崩壊して、昨日まで日本の優れた官僚制システムは、日本独自の閉鎖的なモデルとして徹底批判され、アメリカ式のグローバル化を強要される結果となります。(2019/12/21)


コラム
山口敬之氏の記者会見を見て 〜明らかにならなかった最大の謎〜
伊藤詩織さんがレイプされたとして損害賠償を訴えた民事訴訟で伊藤さんが勝訴し、それにあたって伊藤さんと訴えられた山口の山口敬之氏(元TBSのワシントン支局長)の記者会見がそれぞれ東京の外国人記者クラブで行われました。この記者会見でデイリービーストのアメリカ人記者が次のような質問をしました。「あなたへの警視庁の逮捕状は、菅官房長官の秘書だった人物によって取り消されました。あなた自身ジャーナリストで刑事事件も取材したことがありますが、逮捕状が取り消されたケースはありましたか?あなたはいわゆる上級国民扱いされたが、他のケースではJailに入っています」(2019/12/21)


みる・よむ・きく
フランソワ・ドゥノールとアントワーヌ・シュワルツ著「欧州統合と新自由主義 〜社会的ヨーロッパの行方〜」
英国の欧州連合からの離脱に関する記事を読むとき、日本ではほとんど報じられてこなかった視覚があることをいつも感じてきました。つまり、欧州連合の組織的・構造的欠陥です。欧州連合の統合のあり方が単なる「単一市場」であるなら、それは新自由主義を加速させる装置でしかない、という視覚です。本書でも引用されている「ヨーロッパは我々の構造調整プログラムだった」という言葉がすべてを表すかのようです。フランソワ・ドゥノールとアントワーヌ・シュワルツが書いた「欧州統合と新自由主義 〜社会的ヨーロッパの行方〜」はその歴史をひも解いた貴重な分析であり、フランスではピエール・ブルデューが設立した出版社であるレゾン・ダジール社から出版されたものです。(2019/12/21)


安倍政権を検証する
性暴力被害訴訟で勝訴 ジャーナリストの伊藤詩織氏が外国特派員協会で会見(2019年12月19日)
性暴力被害訴訟で勝訴 ジャーナリストの伊藤詩織氏が外国特派員協会で会見(2019年12月19日)(2019/12/20)


安倍政権を検証する
性暴力被害訴訟で賠償命令 元TBS記者の山口敬之氏が会見(2019年12月19日) THE PAGE
性暴力被害訴訟で賠償命令 元TBS記者の山口敬之氏が会見(2019年12月19日)(2019/12/20)


文化
俳優ケヴィン・ポラックのトークショー
スタンダップコメディアンで俳優のケヴィン・ポラックはトークショーをYouTubeで公開しています。たとえば、以下のリンクは映画監督のロブ・ライナーとの対談です。ロブ・ライナーと言えば大ヒットしたラブコメの映画「恋人たちの季節」「あなたにも書ける恋愛小説」などの監督です。(2019/12/20)


コラム
大企業の経営者目線の朝日新聞の経済記事 
最近、毎日新聞が安倍首相の懇談会を欠席して自由に記事を書く選択をしたことで朝日新聞から毎日新聞に替えた、というメッセ―ジを目にします。こう書く僕自身も元日から毎日新聞に替える手続きを下ばかりです。朝日新聞と言えば「左」という風に見られていますが、経済記事を見る限り、新自由主義を進める自民党の主張と大きく離れていない印象を受けます。雇用の不安定化などを招いている自由貿易協定もずっと推進の立場です。最近で言えば、フランス政府の年金改革への労働者たちの反対デモの報道でも、デモをしている労働組合の人たちは既得権を守るために反対している、という印象を与えています。(2019/12/19)


検証・メディア
毎日新聞が再び安倍首相の懇談会を欠席  買って応援
毎日新聞統合デジタル取材センター長の齊藤信宏氏がツイッターで再度、安倍首相の記者を対象とした会合に毎日新聞は欠席した、と伝えています。齊藤信宏氏「またしても #安倍晋三首相 が懇談実施。今度は若手の多い #総理番記者 が対象だったそうです。毎日新聞は欠席しました。」(2019/12/18)


コラム
最も効率の良い日本のファシズム  〜ファシズムも家電製品のように進化する〜
人間が創り出したファシズムも電話や家電製品と同様に進化すると思います。日本人ゼロからのは開発は苦手ですが、手を加えてより優れた品に磨き上げるのが得意な国民性を持ちます。ファシズムに関してもイタリアやドイツで生まれたファシズムを日本で磨き上げたのが今日の安倍政権のファシズムです。何が違うか、と言えば効率がよい、ということにつきます。(2019/12/18)


政治
途上国の独裁者か、ファシストか 
ネットでは異形の安倍政権が途上国の独裁者型という説と、ファシストであるという説が飛び交っています。筆者は途上国の独裁者型の要素はあるとしても、ファシズムの特徴を備えていることからファシストであると考えています。その理由を過去のファシズムの定説に沿ってあげたいと思います。(2019/12/17)


コラム
フランスの社会学者メラニー・ウルスさんの見つめる日本の「貧困」 
 厳寒の師走の夕べ、日本の貧困問題を研究する社会学者、メラニー・ウルスさんの話を聞く機会がありました。講演の中心的なテーマは高度経済成長を過ぎて、豊かになったはずの日本で「貧困」という言葉がいつ、どのように浮上してきたか、ということです。タイトルは「日本における貧困問題の認識とその変遷」。これはなかなか面白い視点。というのも、僕も記憶をたどれば日本は豊かな国だったはずだから。講演は貧困の実態の調査報告ではなく、「貧困」という語がどのように日本で認知されてきたか、ということにあります。(2019/12/17)


コラム
ファシズムの「兆候」ではない ファシズムの真っただ中
安倍政権をファシスト政権だと明快に書いたら、普段の倍以上の人に読まれています。ここで誤解のないように指摘したいのは、今の安倍政権が行っていることはファシズムの「兆候」なのではなく、今、すでにファシズムが「全開」しているということです。ファシズムなら、ジャーナリストを投獄したり、銃殺したり、黒シャツを着たり、少数民族を収容所に入れたり・・・といった20世紀のファシズムを思い浮かべがちですが、21世紀の今日、ファシズムも新しくなり、ネオ・ファシズムと言っていい形態になっています。(2019/12/16)


コラム
安倍政権のファシズムに終止符を打つ時  与野党を超えた国民的団結が必要
まず安倍政権になって何が起きたか。安倍首相の提灯報道こそあれ、逆に現実は北方領土が返還される見込みはなくなったばかりか、わが国固有の領土と呼ぶこともできなくなりました。これが「日本を取り戻す」とスローガンを掲げて政権を取った安倍政権の象徴的な現実です。子飼いのマスメディアを使って粉飾報道をさせるばかりで、政策の失敗に対する国民への真の謝罪はありません。2012年と比べて鳴り物入りのアベノミクスは失敗し、実質賃金は低迷し、消費不況が最悪なレベルまで深まっています。それ以上に恐ろしいことは安倍首相には軍事作戦を実行できる胆力も責任感も知性もなく、無能であるということです。安倍首相はかつて稲田朋美議員を防衛大臣に任命しましたが、戦争はロマンでは勝てません。このような首相のもとで集団的自衛権を行使して戦争に参加した場合、日本が独立を失い、長く続いた天皇制にも終止符を打たされる可能性があります。これは与野党を超えた日本の危機です。国会でも野党議員の質問に対して、ヘラヘラ笑ってまともな回答はしません。このような政治リーダーを見た日本の子供たちは日本に対する誇りなど持てないでしょう。(2019/12/16)


国際
チリの大衆デモ  ピ二ェラ政権への抗議
チリで大衆デモが激化している。以下はニュースの映像。(2019/12/16)


欧州
Election 2019: Story of the night - BBC News  英国の総選挙ニュース(BBC)
英国の総選挙ニュース(BBC)(2019/12/14)


みる・よむ・きく
ロバート・パクストン著 「ファシズムの解剖学」 〜平成ファシズムの歴史を総括する時〜
恥ずかしながら、長い間、歴史学者ロバート・パクストンが書いた"The Anatomy of facism "(ファシズムの解剖学)は邦訳されていないものと思い込んでいました。ところが、2009年に 瀬戸岡 紘氏が訳出して出版されていたのでした。ロバート・パクストンは世界的なファシズム研究の第一人者で、フランスの第二次世界大戦の時代の対独協力の影の歴史にもいち早く切り込み、フランスの歴史学者に多大な影響を与えた人物です。(2019/12/14)


コラム
安倍首相との会食を拒否した毎日新聞への熱い眼差し
先日、安倍首相との会食を拒否した毎日新聞を購読することにした、という小さな記事に対して、共感したというメッセージを読者の方からいただきましたので、一部紹介いたします。「私は地域柄中日新聞を購読していますが、「毎日新聞社安倍さんとの会食取りやめました」の記事を読んだ2,3日後に、毎日デジタルにスタンダード版ではありますが、応援の意を以って、初めてのネット有料購読を申し込みました。・・・」(2019/12/14)


検証・メディア
NHKは女性の活躍に反対なのだろうか? 〜なにゆえに経営委員に長谷川三千子氏が居座るのか?〜
NHK経営委員に再任された長谷川三千子氏は埼玉大学の名誉教授だが、1億人いる日本人の中で〜その半数が女性の中で〜NHK経営委員を再任するほどの資格や見識があるのだろうか?長谷川氏は過去に、男女間の職業差別を解消するための男女雇用均等法を批判し、女性はしかるべき年齢で子供をできれば2〜3人産むべきだと言った主張(「正論」)をしてきた女性である。彼女がNHK経営委員に再任される理由は女性の社会進出を食い止め、家庭にとどめておきたいと考える保守主義者の期待を担った存在だからはないか、筆者は推測する。このことは今日のNHKの本質を考える際に不可欠の情報を提供してくれると思う。(2019/12/14)


みる・よむ・きく
佐藤忠男著「ヌーベルバーグ以後 〜自由をめざす映画〜」
仕事で長い電車移動の前に古書店の店頭で一冊の本を手にした。それは映画評論家・佐藤忠男の「ヌーベルバーグ以後 〜自由をめざす映画〜」で、1971年に刊行された、つまり50年近く昔の新書だった。学生時代に手にして読んだはずで、電車で読み始めるとある程度は昔読んだな、という感慨を持ちながら懐かしくもあった。とはいえ、今読んでも遜色なく面白かった。戦後25年間くらいの映画の歴史をひも解いた本がなぜ、今読んでも面白かったか。その核心にあるものは、フランスのヌーベルバーグを育てた映画評論家・アンドレ・バザンに関する記述にある。アンドレ・バザン、伝説の人物だが、実際にはその著作をきちんと読んだことがなかったのだ。(2019/12/14)


文化
今日の英国をどう見るか?  英国で哲学を学んだ哲学者フィリップ・クラーク氏に聞いた interview: Philip Clark ( philosopher )
  英国のサセックス大学で哲学を学んだスイス人のフィリップ・クラークさん(Philip Clark) に、今日の英国についてどう見ているか、聞いてみました。専門は欧州の大陸系哲学にジェームズの功利主義やホワイトヘッドのプロセス思想など。Q 今日の英国についてどうご覧になっていますか?英国の状況は混乱しています。それは英国の議会制民主主義が、欧州のあらゆるところと同様に、直接民主主義に近い政治システムをとるすべをもたないことにあります。そのため、常にそれを粉砕するしか手がないのです。(2019/12/13)


政治
今回の英国総選挙への視点  データジャーナリストの分析
今回の英国の総選挙、直前にはSNSで労働党が拮抗という情報を目にしたこともありましたが、ふたを開けてみると保守党の圧勝。これをどう考えるか。1つの視点として、年齢別の投票傾向をデータジャーナリストが提供しています。企業向けの消費者動向調査などを行っているウェブサイトの中の記事ですが、今回の選挙前に投票傾向を年齢別に調べたところ、驚いたことに若者ほど労働党を支持しており、高齢になるほど保守党支持になっています。(2019/12/13)


コラム
映画「家族を想うとき」の合評会(「わたしの仕事8時間プロジェクト」)に参加して その2 〜背後に潜むもの〜
 ケン・ローチ監督の最新作、「家族を想うとき」について前回、書きそびれたことが1つ。映画を見た後の合評会でもたしか弁護士の方が指摘されていた気がしますが、映画の背景に住宅事情が関係している、というものです。転職してワゴン車を買って個人事業主となって稼ごうと考えた主人公の夢は、家を買うことにありました。つまり、この夢が家族の悲劇につながっていくのです。映画を見るとき、僕はいつも主人公を取り巻くミニマルな小状況と、その時代背景である大状況に分けてみています。過去に日刊ベリタで書いたものを引用します。(2019/12/13)


政治
英国総選挙で離脱を掲げる保守党が圧勝  労働党は後退・コービン党首は辞任へ
1年の仕事納めも間近になってきた師走の半ば、驚くニュースが届きました。英国の総選挙でボリス・ジョンソン率いる保守党が圧勝し、労働党のコービン党首が辞意を表明したと言うものです。選挙は昨日で、労働党は支援を訴える女優などの映像をソーシャルメディアで流しており、それを見た直後にこの結果を知り、驚いています。日経新聞がBBCの予測を紹介していました。英国の下院総選挙(定数650)で保守党が365と単独過半数に迫る勢い、一方、労働党は196で50議席近く議席を減らしそう、ということです。理由としては欧州連合からの離脱を国民が望んだ、ということがあるとされます。(2019/12/13)


政治
文春がスクープした首相補佐官とは? 〜2年半前の記事を振り返る〜
週刊文春が首相補佐官の「公費」不倫旅行というスクープ記事で世間をあっと言わせている。この首相補佐官、和泉洋人という人は以前、どこかで聞いたことのある名前だと思ったら、元・文科省事務次官の前川さんがらみで報じられたことのあるキーマンだと言うことがわかった。今から2年半前の2017年6月に日刊ベリタに書きました記事をここに採録し、記憶を蘇らせたい。(2019/12/12)


コラム
朝日新聞から毎日新聞へ 30年ぶりの転換
今月、ニューヨークタイムズの宅配をやめました。英字新聞の購読をやめたのはこの30年で初めてです。理由は前にも書きましたが、変節したジャパンタイムズを一緒に買わされることにうんざりしたことです。ですから、今後はデジタルでニューヨークタイムズだけ購読できればよいと思っています。同時に、朝日新聞の購読を今年いっぱいで中止する決意をしました。(2019/12/11)


コラム
映画「家族を想うとき」の合評会に参加して  " Sorry We Missed You "
 先日、ケン・ローチ監督の話題作「家族を想うとき」の上映会と合評会に参加したときのことを書きました。「わたしの仕事8時間プロジェクト」が主催した上映会です。映画も素晴らしかったのですが、そのあと、グループに分かれて見た人同士で映画についていくつかのポイントごとに論じたのです。学生時代はこういうことをしたことがよくありましたが、最近はほとんどなくなっていました。合評会は他人の視点を知る貴重な機会であると改めて認識しました。というのは参加者の中には様々な立場の人がいて、それぞれの経験が映画の評価とか、印象に残ったシーンの選択に影響を与えているであろうことです。ですから、10人いれば10通りの見方があると言っても過言ではありません。(2019/12/09)


コラム
映画「家族を想うとき」 問われる現代の労働のあり方   " Sorry We Missed You "
 9月からの3か月間、複数の仕事を掛け持ちでやってきたことも関係しているのだけれど完全に無休だった。本業の合間を縫って翻訳の仕事をしているという事情も関係している。フリーの立場の仕事の状況はますます厳しくなっていくのだろうか。そんな中、知人から「家族を想うとき」の上映会があるから参加しないかと言われて、寸暇を縫って会場に見に出かけたのだった。監督は労働者の生活と闘いをリアリズムで描いてきた英国の名匠、ケン・ローチ。(2019/12/08)


検証・メディア
毎日新聞が頭一つ抜ける  首相との会食を終焉か
毎日新聞統合デジタル取材センター長の齊藤信宏さんによれば、毎日新聞は11月、安倍首相との会食を拒否した。これは今の新聞業界の中で勇気ある、画期的な行動だ。もういじめには参加しないと決断した教室の生徒みたいなものだ。(2019/11/27)


みる・よむ・きく
森元斎(もり もとなお)著「アナキズム入門」(ちくま新書)
森元斎(もり もとなお)著「アナキズム入門」はこの秋、手に取って読んだのだが、もっと早く読むべきだった。「アナキズム」というと、日本では幸徳秋水や大杉栄などの名前が浮かぶけれど、これらの人たちは明治末期から大正末期にかけて、国家権力によって虐殺されてしまったために、近代思想の中でアナキズムは日本においては大きな空白を占めてきたように僕には思える。日本でアナキズムと言えば、近代途上で消えていった特殊で過激な1流派に過ぎないような印象を持つ人が多いのではないだろうか。確かに、国家権力を否定し、さらにはあらゆる権力にノーを突き付けるという思想は過激であろう。(2019/11/25)


文化
明治大学文学部主催「フランス革命とスペクタクル」 革命期の演劇を考える
17日、明治大学文学部主催で「フランス革命とスペクタクル」と題するシンポジウムが行われた。近年、日本でも劇場政治などと言って、TV報道により見世物化した政治と劇場の関連性を語る言説にあふれているのが、このシンポジウムでは実際に人が殺し、殺され、政治が大きく変わっていったフランス大革命の時代に「同時代」として演じられた演劇とはどのようなものであったか、ということがテーマとして掲げられている。フランス革命自体がスペクタクルですらあったが、刻々と進行する革命は社会を変えつつあり、それは当然、戯曲をも、劇場をも、そして観客自体をも変えていった。(2019/11/18)


政治
2012年ー2019年 安倍首相の無血クーデター時代  憲法空白の7年 基盤はメディア占領から
 未来の日本の政治史を想像すれば2012年暮れに始まる安倍晋三率いる自民党の独裁政治の7年間は、まさに安倍首相の「無血クーデター」の時代だったと記憶されるだろう。クーデターとあえて綴るのは、「日本を取り戻す」をモットーに憲法改正を目指した安倍首相はすでに憲法を軽視し、国会を侮辱してきたからだ。それが何を意味するかを的確に示したのが2018年に始まった上西充子教授らによる国会パブリックビューイングという市民運動だった。この稀有な運動は、それまでの政治運動と異なり、自ら演説するのではなく、人々に国会を見せることを中心にした運動だった。国会で野党議員の真摯な質問に与党がどういう態度を取っているか、それはまさにヒトラーのナチスさながらの傲慢さだった。(2019/11/16)


政治
安倍首相の選挙マシーンだったNHKの石原進経営委員長がついに交代  
第二次安倍政権誕生以来、NHKへの国民の信頼は大幅に下がり、企業体としてのNHKの名誉は戦後最大の危機にある。その危機を招いた核心は原発報道から、かんぽ生命の報道まで「経営」という立場から人事と予算を握ってきた石原進経営委員長だろう。この石原氏が12月10日をもって任期満了ということで交代することになる。これを朗報と呼ばずして何と呼べばよいのか。(2019/11/14)


文化
イタリアのThe Gypsy Queens が歌う名曲” L'Italiano ”のミュージックビデオ
イタリアというと今日、何を思い浮かべるのだろう。人それぞれ、正直なんだっていい。とはいえ、ジプシー・クイーンズが歌う「イタリア人」はとてもよいと思う。なぜ、キングスじゃなくて、クィーンズかはわからない。グループは男ばかりだ。しかし、ミュージックビデオを見ると、粋なグループであることはわかる。(2019/10/23)


欧州
カタロニア独立派を支持して黄色いベストが国境をブロック
反マクロン運動だった黄色いベスト運動は、今も続いているが、最近ではカタロニアの独立運動の闘士たちとも連携して互いにエールを送っているそうだ。(2019/10/20)


欧州
現代のカタロニア讃歌  カタロニアの独立国民投票を行い7年以上の禁固刑となった独立派へのエール
 以下の映像はバスク地方の人々がカタロニアの人々にエールを送っているものです。スペインのカタロニア選出議員らが、カタロニア独立のための国民投票を地域で行ったことで7年以上の刑を言い渡されたと言います。それに対して、バスク地方の人々が〜ここにも独立運動はありますが〜Estacaと題するレジスタンスの歌を歌っているところだそうです。(2019/10/20)


コラム
バルセロナ五輪の空気を感じられるロス・マノロスの”Amigos para Siempre”(永遠の友)
東京五輪で旭日旗を認めると担当大臣が言ったと報じられましたが、いつから五輪は偏狭な精神に乗っ取られたのでしょうか?もちろん、過去には政治が絡んで参加しない国があったこともありました。今、1992年のバルセロナ五輪のシンボリックな歌、”Amigos para Siempre”(永遠の友)を思い出します。以下のリンクで歌っているのはロス・マノロスという地元のバンドです。このグループは五輪でよく活躍したバンドです。このYou Tubeの映像では様々な信仰、人種、国籍の人々が互いに愛し合い、敬意を表しあい、楽しく歌い踊る姿が映し出されます。ここには本来の五輪の精神があると感じます。(2019/10/17)


コラム
路上生活者を避難所から排除した台東区の対応は恐ろしい
BUZZFEEDの記事によると、台東区で路上生活者たちが台風の避難所の使用を拒否された。驚いたことに、これは特定の職員の対応の問題と言うよりも、台東区災害対策本部の決定だという。その基準は台東区内に住所のある人だけを対象にした、ということだ。だから、台東区内に住所を持たない路上生活者は避難所に入れてもらえなかった。これは背筋が凍るような事件だと思った。多くの人は自分がホームレスになることはないから他人事と看過してしまいがちだろうが、この処置を容認したら、今後はますますひどい対応にエスカレートする可能性もある。(2019/10/14)


文化
フランスの風刺漫画家、ウィレム Willem 「リベラシオン紙にウィレムあり」
フランスのリベラシオン紙にはウィレム(Willem)という名前の風刺漫画家がいて、漫画家へのテロ事件にもめげず今も権力を風刺する健筆をふるっています。2015年のテロで殺された風刺漫画家たちは「ハラキリ」という風刺漫画媒体でかつて活躍していた漫画家たちですが、ウィレムもその一人でした。ウィレムが根城にしているのはリベラシオン紙だったため、シャルリの襲撃事件で殺されなかったのは不幸中の幸いでしょう。ウィレムは2013年のアングレーム国際漫画祭では漫画界への貢献を評価されてグランプリという栄誉を与えられました。(2019/10/14)


政治
放送業と新聞業の分離を 放送を捨てることで新聞の価値はむしろ高まる
 日本の情報は読売新聞→日本テレビ、朝日新聞→テレビ朝日、日経新聞→テレビ東京というように、経済的に株式関係があり、人材の交流があり、テレビのコンテンツが新聞社の情報および人材に大きな影響を受けています。そして、新聞社の幹部が官邸からの指令を受け入れたり忖度したりすれば、新聞だけでなく、テレビもまたその指令のもとに置かれます。このように日本の系列関係は権力による統制が極めて楽な構造になっています。そして、同時にそのことがテレビと新聞が互いに批判しあえない、利権を同じくする仲間同士になっています。しかも、新聞社や放送局の系列の違いを超えて、同じ大学の学友たちで横につながっていて、仲間同士守りあっています。(2019/10/13)


文化
PayPal創業者 ピーター・ティール(Peter Thiel)氏の講演  「競争するのは負け犬 〜いかに起業するか〜」
オンライン決済サービスのPayPal創業者、ピーター・ティール氏による講演。(2019/10/13)


文化
富田克也監督と空族の「ONE MEKONG」 破天荒なインドシナ半島の冒険行
「典座」「バンコクナイツ」「サウダーヂ」など、日本とアジアの関係を軸に斬新な映画を丹念に作ってきた映画制作グループの空族と富田克也監督たちが、YouTubeにUPした映像シリーズ作品があります。それが「ONE MEKONG」で、20分前後で1話になっていて、5回シリーズに分けられています。同じく空族で脚本家でもある相澤虎之助氏も参加しています。(2019/10/12)


文化
経営理論で「キャズム」(大きな谷)という概念を提唱した経営理論家ジェフリー・ムーア氏 ”Geoffrey Moore - The Chasm Has Evolved”
「キャズム」(Chasm)とは企業がある商品を市場に投入した時に、顧客層には初期からリスク覚悟で積極的に先駆けて買う顧客層から石橋を叩いても渡らないような慎重かつ保守的な顧客層までいくつかの層に分かれる。その初期に購入する顧客層と、なかなか購買に至らない顧客層との間に広がる「隙間」がキャズムだ。企業が成功するかどうかは、キャズムをどう超えるか次第だ。このことは自分にひきつけて考えても、理解できる。これは経営理論家のジェフリー・ムーア氏が提唱した概念だと言うことで、そのことは「キャズム Ver.2」に書かれている。キャズムを越えるための戦略も提案される。(2019/10/12)


国際
中華人民共和国誕生70周年と、その民族政策 かつて有していた寛容さを失ったと指摘するジェームズ・ミルワード教授(歴史学)
1949年に中華人民共和国が誕生して70年がたちました。中国の記念すべき時にジョージタウン大学で歴史学を教えているジェームズ・A.ミルワード教授は2012年の習近平政権以後、中国はかつての清朝だった頃の多民族への寛容な方針を捨て、漢民族への同化政策を強めており、このままではもっと葛藤が高まっていくであろうと予言しています。その表れの1つが香港ですが、新疆ウイグルやチベットなどもそうです。(2019/10/12)


コラム
NHK経営の失敗要因を考える  NHKは3つに分割して政府から独立した組織に監督させるべきだ
 NHKは経営に失敗していると筆者は思う。NHKの会計簿を見ながら言っているのではない。ではその根拠は何か、というとNHKという企業体にとって最大の売りであった情報の正しさや速さ、公平性という価値をこの6年間のうちに損なった、ということにある。Sonyという企業の最大の売りは何なのか?セブンイレブンというコンビニチェーンの最大の売りは何なのか?など、企業には核となる価値がある。顧客はその価値を信じてその商品やサービスを買う。ではNHKの価値は何か、というと人によってばらつきがあったとしても、情報の正確さとか、速さ、あるいは公平さと言ったことは基盤だ。ところが、NHKは政権や企業の圧力で放送コンテンツが影響されてきたと筆者は見ている。安倍政権べったりの政治部の記者・解説委員が、ジャーナリズムとは裏腹に、政権をべた褒めして恥じるところがないこともその根拠だ。そう、NHKはコアバリューを損なってしまったのだ。戦後70年近く信頼を集めてきたNHKだったが、その信頼が急速に失われていったのである。(2019/10/12)


コラム
台湾の独立運動家、史明さん死去  
先月、台湾の独立運動家として名高い、史明(Su Beng)さんが亡くなった。100歳だった。独立を目指す台湾の人々から本当に尊敬され、慕われていたようだ。もしベトナムの独立の指導者、ホーチミンが生きていたなら、少し似ているのではないか、という気がする。僕はこの人に台湾の2014年の政変の取材中に会ったことがあるのだが、すでに95歳近かっただろう、その時は車椅子だった。台湾の大学生たちが国民党政権が中国と秘密裏に結んだ自由貿易協定を数の力に任せて批准しようとしたことに反対して、議会を占拠したのだった。学生たちが立てこもって闘っているその時、史明さんは議会に若者たちの応援に駆け付けたのだった。僕はその時はオーラを放つこのお爺さんが独立運動家であることはなんとなしに知っていたが、その生涯については知らなかった。(2019/10/12)


検証・メディア
NHKは複数の放送局に解体してよりフラットな構造に変えるべきだ 村上良太
 明日からNHKの経営委員長らが国会に招致され、昨年起きた番組への圧力について野党の追及を受けます。これまで石原進経営委員長に関して様々な批判を日刊ベリタでは取り上げてきましたが、問題の核心には石原氏個人の思想的問題だけでなく、NHKという放送局が肥大化しすぎて風通しの悪い構造になっていることがあります。複数の関連組織を抱えて、さらにその「下」に多数のプロダクションを擁し、またNHKの内部に多数の派遣社員を抱えるNHKはピラミッド組織になっており、それだけにトップにとんでもない人物が据えられると、上から下まで権力に従属してしまう構造にあります。時に良い作品が作られることもありますが、そこにとらわれて全体を見損なってしまってはダメです。(2019/10/09)


みる・よむ・きく
アミン・マアルーフ著「アイデンティティが人を殺す」(小野正嗣訳) ”Les identités meurtrières”(Amin Maalouf) 
ちくま学芸文庫から出版された「アイデンティティが人を殺す」は来年の東京五輪に向かって動いている今、多くの人に読まれる価値のある本です。なぜなら、東京五輪では必ず日本人のナショナルアイデンティティのイメージがTVでも新聞でも書物でも氾濫するであろうからです。アミン・マアルーフ著「アイデンティティが人を殺す」は現代の人間にとってアイデンティティの実像がどうなっているか、通念に対して再考を促すものです。アイデンティティは「日本人」のような国家をシンボルにしたたった1つだけでなく、宗教・性・言語・文化・歴史・地域社会といった様々な要素もアイデンティティを形成しており、その組み合わせは千差万別で、同じアイデンティティの人間と言う考え方は妄想に過ぎない、と言うのです。(2019/10/09)


文化
ハンガリーの巨匠、Tarr Bélaによる "The Turin Horse " ( 邦題「ニーチェの馬」)
ハンガリーの巨匠、BELA TARR( タル・ベーラ 1955〜)の映画「The Turin Horse (邦題 ニーチェの馬)」を見ると、強風ですさんでいくかに見える世界が今の世界の闇を象徴しているのが感じられる。欧州を見舞う異常気象なのか、強い風がやむことなく地上を襲い、馬を使って行商的な仕事を営む家族は陸の孤島に閉じ込められてしまう。(2019/10/08)


文化
The European Graduate School / EGS が主催するビデオ講演  ジュディス・バトラー「翻訳の中のジェンダー 単一言語主義を越えて」
萩生田文部科学大臣になって、文化への支援に与党の意向が色濃く反映され始めています。いや、すでにそういう傾向は強まっていましたが、このままではますます強まるでしょう。さらに出版不況が強まり、翻訳が出版産業として成り立たなくなりつつあります。もう翻訳に頼っていたら先端の情報は入ってきません。そんな中、英語で世界の講演に耳を傾ける機会や能力の有無によって、持てる情報の質量が今後大きく変わっていくと思います。スイスにThe European Graduate School / EGS という学校がありますが、これは非営利法人が運営しています。(2019/10/06)


コラム
アルジェリアの言論の自由を求めるデモ
今、近くの香港で激しいデモが行われ、言論の自由を封じる中国の脅威について日本でも報道されています。しかし、日本国内でいかにメディアが自由に表現できなくなっているかはあまり報じられません。そんな中、僕に刺激になったのはアルジェリアの報道記者が、言論の自由を求めて首都アルジェでデモを行っている姿です。今年、病態のブーテフリカ大統領の再選への出馬に批判が高まり、ついには平和の革命となりましたが、放送の世界ではまだまだ報道が統制されているようです。(2019/10/06)


コラム
ドキュメンタリーとマイクロペニス その2
僕が発育不全による奇形の一種であるマイクロペニスの持ち主であることを書いた「ドキュメンタリーとマイクロペニス」をよんでくださった同業者の知人が「脱帽しました。なかなか書けないことです」と電話で言ってくださった。こういうことを書けるようになった理由は、前に書いたことだけれど、英国のドキュメンタリー作家がこのテーマを映像作品にしていた、ということである。ペニスのサイズで男性には悩んだ人が少なくないのではなかろうか。僕のような奇形の領域でなくとも、通常より1割、2割サイズが小型だったり、短かったり、というだけでくよくよしたことはないだろうか。あるいは、実際には標準のサイズだったとしても、上から自分のペニスを見下ろすと小さく見える、という心理的なことも関係しているかもしれない。(2019/10/05)


みる・よむ・きく
話題の書「ポスト・キャピタリズム」を書いたポール・メイソンを援護する経済学者アン・ペティフォー
英国は日本からあまり見えない国だが、面白い議論を常にしているようだ。ポール・メイソンの「ポスト・キャピタリズム」の出版に際して、金融の研究をしてきたアン・ペティフォー(Ann Pettifor)が絶賛している。筆者には未知の経済学者だが、ネットでググってみるだけでもとんがった経済学者で、リーマンショックの前に金融が崩壊することを予言する本を書いたりしていたようだ。以下のリンクの討論会でも、なかなかの存在感を発揮している。(2019/10/03)


コラム
ドキュメンタリーとマイクロペニス  
長い間、人生における謎だったことが50代になって解明される、そんなことがあるものだ。僕の場合は、恥ずかしいが話だが、自身の肉体である。僕のペニスの長さは2センチ5ミリくらいしかない。勃起した時でもせいぜい5〜6センチなのだ。10代の学生時代から、このことが恥ずかしくて、人前で裸になりたくなかったから、修学旅行とか、合宿みたいな場が嫌でならなかった。せめて人並みの肉体だったら、どれだけよかっただろうか、そんな風に思ってきたし、いっそ死んでしまいたいと思ったことも一度や二度ではない。(2019/10/02)


国際
シラク大統領死去  風刺漫画家Cabuに先立たれ 
フランスのジャック・シラク大統領が亡くなった。86歳だった。政界を引退してすでに時間がたってしまったが、相撲好きで知られ、日本人の中には好感を抱く人も多かったのではないだろうか。ジャック・シラク大統領で思い出すのは風刺漫画家のカビュ(Cabu)による一連の政治風刺漫画シリーズであり、それをまとめた「サルコ・サーカス(Sarko Circus)」である。サルコはサルコジの略称であり、シラク大統領は夜ごとにサルコジに大統領の座を奪われる悪夢にうなされベッドで「うわ〜」と叫ぶのだが、隣でベルナデット夫人が哀れな目線で見ているのである。(2019/09/26)


国際
ポール・メイソンが説く資本主義以後の世界
「ポスト・キャピタリズム〜資本主義以後の世界〜」を書いて話題を呼んでいる英国のジャーナリスト、ポール・メイソンが、同名のタイトルで講演したものが以下の映像。(2019/09/26)


みる・よむ・きく
ジム・ロジャーズ著「お金の流れで読む 日本と世界の未来」
ジョージ・ソロスとクオンタム・ファンドを率いていた伝説の投資家、ジム・ロジャーズ氏が最近書いたのが「お金の流れで読む 日本と世界の未来」(PHP新書)だ。本書の中で、ロジャーズ氏は未来予測をしている。将来の有望な投資先は朝鮮半島だ、と。これは南北が統一されることを視野に入れたものだが、特に北朝鮮経済が解放された場合に投資の機会を狙っている人が世界にかなり存在する、ということだ。本書の最大の主張は韓国と北朝鮮の経済の持つ将来性とインパクトだろう。一方、日本はアベノミクスの失敗があり、未来は極めて暗い。自民党は短期的な外国人労働者を入れても、移民は排除している。このことをロジャーズ氏は日本に未来がない大きな理由に考えている。高齢化が進む一方で、新しい挑戦もないまま沈没する可能性があるが、韓国は挑戦する精神が日本よりあると指摘しているのだ。(2019/09/24)


文化
エストニアの民族楽器カンネルを現代に生かした女性演奏家Duo ”RUUT "来日公演 
 以前、ロシアのバンド、Otava Yo のミュージックビデオが秀逸だと日刊ベリタに紹介記事を書いたところ、それを読まれてなんとロシアからOtava Yo を招聘して本当に日本でコンサートを開いた音楽プロデューサーの方がいたのです。その方、小巖仰さんは兵庫県に拠点を置くハーモニーフィールズという企業で音楽家の招聘活動をされています。彼が招聘する外国の音楽家は一味ある演奏家ばかり。北欧とか、伝統音楽とか地域に根を張って、貴重な物語が見えるバンドが多いのです。前置きが長くなりましたが、今回、ハーモニーフィールズが招くのはエストニアの伝統楽器奏者のデュオ。(2019/09/22)


文化
日仏会館シンポジウム ダニー・ラフェリエール&リ―ビ英雄&立花英裕〜 和歌と俳句、そして今書くということ 〜[ 講演と対話 ]同時通訳付き
日仏会館で10月7日(月)興味深いシンポジウムが開催されます。フランス語圏の文学界の鬼才、ダニー・ラフェリエール氏が、アメリカ出身で日本語で小説を執筆する作家のリービ英雄氏と講演および対談を行います。司会はNHKのフランス語講座でもおなじみの立花英裕教授。時間は18:30- 20:30です。以下は、日仏会館のウェブサイトを転載いたします。ダニー・ラフェリエール (作家、アカデミー・フランセーズ会員)「世界の旅人、芭蕉への挨拶 &」リービ英雄 (作家、法政大学教授)「『万葉集』と現代 」(2019/09/18)


みる・よむ・きく
永井孝尚著「世界のエリートが学んでいるMBA必読書 50冊を1冊にまとめてみた」
KADOKAWAから出版されている永井孝尚著「世界のエリートが学んでいるMBA必読書 50冊を1冊にまとめてみた」は、10年前の自分なら、あるいは6年前と言ってもいいが、書店でみかけても積極的に手にすることはなかったタイプの本だ。しかし、今日、メディア産業の多くが経営の危機に陥っており、コンテンツも利益も低下している中で出口が見えない状況では、輝いて見えた。というのは、マクロ経済を扱う経済学はジャーナリズムのコンテンツ作りに役立ったとしても、自分がその業界で生きていくための組織づくり、資金作り、あるいはビジネスモデルの形成には役立たないからだ。今、政府によるジャーナリズムへの強いプレッシャーのもとで、メディア産業は持続することに苦労し、節を曲げたり、仲間を切り捨てたり、仕事の質を落としたりしている。(2019/09/18)


政治
米民主党に改革を迫る左派グループJustice Democrats 2020年の下院選挙に向け、保守派現職議員に対抗馬を擁立中  〜 21世紀の分水嶺となるか〜
2016年の米大統領選は米民主党にとって転機となった。大統領候補擁立でヒラリー・クリントンとバーニー・サンダースが争ったが、それはまさに今の民主党内の水面下の確執を予言するものだった。ヒラリー・クリントンは夫のビル・クリントンとともに米民主党にあっては労働組合離れを促し、金融界を始め大企業から多額の献金を受けていた。バーニー・サンダースを応援した左派の民主党員にとって、クリントン夫妻は民主党の新自由化を象徴する存在だった。(2019/09/18)


コラム
ニューヨークタイムズのデジタル化戦略?
 もう今から何年か前になるけれど、外国の旅行から帰ってみると、ポストに定期購読のニューヨークタイムズと並んでジャパン・タイムズが入っていた。最初は配達の間違いだろう、と思った。ところが、そうではなかったのだ。数日後、新聞にニューヨークタイムズとジャパンタイムズが提携して、両紙が一緒に配達されることになったと折込のチラシに書かれていたのだ。僕はジャパンタイムズにかつては悪い印象は持っていなかった。伝統のある優れた英字新聞だ。しかし、英字新聞を2紙も読む必要はないのだ。僕が頼んだわけでもないのに、どうしてそんなことを勝手にできるわけ?と大いに疑問だった。(2019/09/17)


国際
トランプ大統領がロウハニ大統領と会談の模様 今月下旬か ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官が辞任
トランプ政権はなるだけ相手に手の内を見せないことを特徴としてきたが、今回のジョン・ボルトン国家安全保障補佐官の電撃辞任もその1つだ。アメリカのNBCの報道ではボルトンは「トランプからは辞任を求められたわけではない」と語っている。しかし、トランプ大統領に呼ばれ、大統領がイランへの経済制裁を一部解除する方針を伝えられた時、猛反対したとされる。ボルトンが辞任を申し出たのは翌朝だった。(2019/09/16)


コラム
大学の講義にもっと英語を   村上良太
大学の講義に英語の導入を、という論旨を僕が語るのは適任ではないかもしれないですが、思っていることを書きたいと思います。大学の講義に英語を導入したら、日本語で思考できなくなるために研究の水準が下がるとか、教育のクオリティが下がる、とか、あるいは植民地主義的だと言った批判があることは知っています。また、英語の講義を日本でやることは確かにある種の滑稽さを感じさせますし、教える側にも教わる側にもこれまで以上に負担を与えることになることも理解できます。そうではあるのですが、講義室で一度に数十人とか数百人向けに講義をする場合であれば英語で話す、ということは教授が普段研究している専門領域の一部を切り取ったPRみたいなものと考えることはできないのでしょうか。(2019/09/16)


文化
世界を飛び回る写真家、セシル・メラ氏に聞く Interview : Cecile Mella ( photographer )
私は最近、セシル・メラという名前のフランスの写真家と知り合いました。どのような写真を撮る人なのか、彼女のウェブサイトなどを探ってみると、活動はかなり多岐にわたっています。ベルリン国際映画祭のオフィシャルカメラマンでもあり、そうした華やかな場に出入りするカメラマンである一方で、アフリカの政情不安定に見える国に出かけたり、またある時は、スポーツのフィールドにいたり・・・。その合間にパリのカフェのテラスに座っていたり。セシル・メラさんを見ると、強い個性を放つ人だなとわかります。野生動物のようなたくましさと、詩人のような繊細さを兼ね備えている人かな、と思いました。今回、セシル・メラさんにインタビューに答えて頂きました。(2019/09/15)


文化
Interview: Clarinetist Franck Russo  J'ai toujours aimé les projets originaux et m'exprimer de toutes les manières possibles. (Franck Russo)
In 2105, I interviewed a young clarinetist ,Franck Russo who lives in Paris. I was collecting stories on young instrumentalists and conductors in the world. Those days, Franck won a prize at international music festival in Prague. Recently Franck produced a new record with pianist and a soprano singer. It features pieces by Robert Schumann and Franz Schubert. In my interview, Franck said he loved Shumann's music. Today I post the interview which I posted 4 years ago again here, translating it in English for the sake of Franck Russo (for his birthday) . And it is also my challenge ,too.(2019/09/12)


文化
ポール・ラルケンズのTED講演 「なぜ大多数は常に間違えるのか?」
オランダで脳力を最大限高めて創造性を発揮するすべを研究しているという人物、ポール・ラルケンズ(Paul Rulkens)氏によるTED講演の記録。論題は「なぜ大多数は常に間違えるのか?」。大多数、というのは英語で言えばマジョリティであり、マイノリティの逆ですね。さて、ラルケンズ氏のTED講演のつかみはアインシュタインのエピソードから。1942年にオックスフォードで教鞭を執っていたアインシュタインは物理の試験を行ったあと、キャンバスを歩いていた時に彼の助手から質問を受けた。助手「先生、これは去年の問題とまったく同じじゃないですか。どうして、そんなことができるんですか?」すると・・・(2019/09/08)


みる・よむ・きく
西川治・木村浩子著「イタリアを食べる本 パスタ」
郊外の近県に仕事で出かけてぶらりと入った古書店で見つけたのが西川治・木村浩子著「イタリアを食べる本 パスタ」である。本は縦長ではなく、むしろ正方形に近い。イタリア料理に関するレシピと写真付きのエッセイである。イタリアと言っても土地柄、土地土地で料理はかなり異なるのろうが、本書はミラノを舞台としている。西川氏は写真家で、木村氏は西川氏の伴侶であるとあり、家族で滞在した時に出会って体得した料理に、さらにイタリア縦断旅行で得た経験も盛り込んだルポルタージュになっている。つまり、レシピとエッセイが楽しめる贅沢な本であり、ルポルタージュとしても味わいがある本だ。(2019/09/06)


みる・よむ・きく
"the four GAFA"(GAFA 四騎士が創り変えた世界)の著者、スコット・ギャロウェイ教授の刺激的なビデオ講義
昨年、日本でも翻訳刊行された"the four GAFA"(GAFA 四騎士が創り変えた世界)はグーグル(G)、アップル(A)、フェイスブック(F)、アマゾン(A)を軸に、今後、デジタル経済がどのように進化するか、その際、現在の4騎士(GAFA)はどうなるか、さらに、新たに台頭して5番目の騎士になるのはどこかといったことを分析しています。本書が一般的な情報を連ねた解説本と違うのは、著者のスコット・ギャロウェイ教授自身が自身もデジタル業界で企業家として次々と会社を興し経営の厳しさの真っただ中にいたプレイヤーであり、その内側から見た分析や凄みがパンチのある文章でつづられていることにあります。(2019/09/05)


文化
音楽にかける青春 カロル・シマノフスキのヴァイオリン協奏曲2番に挑戦 ルドミラ・パヴロヴァー Ludmila Pavlová 
プラハのヴァイオリニスト、ルドミラ・パヴロヴァー(Ludmila Pavlova)さんがこの春、取り組んだのがカロル・シマノフスキ作曲「ヴァイオリン協奏曲2番」です。この曲を演奏していると、嗚咽が込み上げてきた、とパヴロヴァ―さんは語ります。以下が、この公演の録画です。パブロヴァーさんは前に立ってヴァイオリン・ソロを受け持っています。カロル・シマノウスキはポーランドの作曲家です。以前のインタビューで、毎回、演奏に際して、作曲家のことを研究すると言っていたパブロヴァーさんです。(2019/09/03)


文化
パトウ犬「モウグリ」とパリで始まる冬の5か月をいかに過ごすか ジャン=マルク・ロシェット(漫画家) ”Comment faire avec un Patou pendant mes cinq longs mois d'hiver à Paris?” Jean-marc Rochette 
登山をこよなく愛するフランスの漫画家、ジャン=マルク・ロシェットさん。ある日、ロシェットさんのもとに犬が訪れることになったのです。その犬は普通のペット犬とは違った過去を持っていました。ロシェットさんはこう書き記しました。ロシェット <「モウグリ」(こういう名前だと知った)は日ごとに私に対して、明快に私の家に留まるつもりがあることを示したのだった。モウグリ「(もしあなたが私の主であるなら、私にはそのことに反対はありませんね・・・)」(2019/08/31)


みる・よむ・きく
ミヒャエル・ハネケ監督「隠された記憶」 植民地主義の過去を直視した傑作映画
日本と韓国(北朝鮮)の間の植民地主義の過去の歴史の問題は、フランスではアルジェリアとの関係と言って過言ではない。今、日韓で激突しているが、過去に植民地支配を受けた国と、支配を行った国との間で感情のもつれが生じるのは当たり前のことである。フランスでもアルジェリアの独立を良しとしない人々は未だに存在する。このテーマを直視した映画で、日本でも公開されながら、たぶん、あまり知られていない傑作がミヒャエル・ハネケ監督の映画「隠された記憶」だろう。2005年に公開されており、フランスとアルジェリアの間に未だに横たわる亀裂を描いている。(2019/08/24)


政治
ブラジルのボルソナーロ大統領の土地「開発」政策 アマゾン一帯の放火 熱帯雨林を焼き、農業用地化へ
ブラジルのボルソナーロ大統領の政策で、アマゾン河流域の熱帯雨林地域に広大に火が放たれ、先住民たちを追い払い、生物多様性を破壊している。その大規模な炎でなんと2700キロも離れた沿海部の大都市サンパウロが今週月曜には1時間にわたり曇ってしまったという。以下はBBCの情報だが、それ以外にも夥しい情報がアマゾン周辺から届いている。(2019/08/23)


人権/反差別/司法
”I AM JULIAN ASSANGE” (私はジュリアン・アサンジだ) 報道の自由に対する支援の輪が広がる
今年4月、ロンドンのエクアドル大使館で逮捕されたウィキリークス創設者、ジュリアン・アサンジ氏への支援を呼びかけて「”I AM JULIAN ASSANGE” (私はジュリアン・アサンジだ)」というプラカードを掲げる人々が世界で増えている。これはそのウェブサイトだ。オリバー・ストーン監督や、哲学者のスラヴォイ・ジジェク、ケン・ローチ監督、経済学者のヤニス・バルファキスら錚々たる面々が参加している。もちろん、有名人だけではない。どんな人でも参加する価値があるのだ。(2019/08/23)


みる・よむ・きく
ロジェ=アンリ・ゲラン著「トイレの文化史」 東京湾の競泳予定地の大腸菌報道は多くの人に嘆かわしい思いを与えたが・・・
来年の東京五輪の水泳競技場を予定している東京湾の一角でトライアスロンの基準値の2倍の大腸菌が見つかった。すでにテスト遊泳の段階で「トイレ臭い」という評価が報じられていたが、菌も多かった。東京の周辺地域の下水にトイレの汚水が混じり、東京湾に放出されているため、臭いのは無理もないという。(2019/08/18)


コラム
イアン・ブルマ著” The Wages of Guilt " の邦訳タイトル「戦争の記憶」への疑問
冷戦終結から間もない頃、オランダ人の研究者イアン・ブルマ氏が書いた国際的なベストセラー”The Wages of Guilt "(1994)は日本では「戦争の記憶」というタイトルで翻訳出版されました。初版は英国で出版されています。日本とドイツの戦争責任をめぐる比較をしたルポです。しかし、この邦題、原題と比べると疑問を持つ人もいるのではないか、と思います。”The Wages of Guilt"は直訳すると、「罪の報い」(あるいは「罪の値段」)になります。Wagesは最近、厚労省の統計問題で浮上した「賃金」あるいは「労賃」と根は同じで、転じて罪の「報い」、という意味にもなります。Guiltは裁判で有罪の場合にギルティと言われるように、罪を指します。すると、本書の原題の意味は、多大な犠牲者を生んだ第二次大戦を引き起こした日本とドイツが、それぞれ、どのようにその「罪の報い」を受けたか、ということになると思います。「戦争の記憶」というのは、あまりにも漠然として、中立的なタイトルになっています。(2019/08/18)


文化
宮内好江著「15分でフランス料理」 ありふれた食材を美味しく食べるための1歩
 文化出版局から出ている宮内好江著「15分でフランス料理」は装丁が若干地味ながら、中身は詰まったフランス料理のレシピ集です。15分、という短時間で普通の人が台所で作れる品々が70品ばかり紹介されています。15分とありますが、5分もあれば7分もあり、12分もあります。「えびのカクテルソース、バジル風味」は、カクテルソースの作り方が味噌でしょう。使っている調味料も、マヨネーズとか、ケチャップとか、ブランデーやウイスキー、それにバジルとカイエンペッパー、タバスコ。これらの調味料はスーパーで簡単に手に入れることができます。えびを茹でて、カクテルソースにつけて食べる。これの料理の所要時間がわずか10分。スーパーに入ったら、加工食品ではない、えびのコーナーから目が離せなくなりそうです。(2019/08/17)


コラム
ニューヨークタイムズへのイアン・ブルマの寄稿文 明仁天皇(当時)の退位前の発言と東アジアの未来像
イアン・ブルマと言えば日本とドイツの戦争体験の記憶を書いた”The Wages of Guilt"(戦争の記憶〜日本人とドイツ人〜)で知られるオランダの研究者です。第二次大戦の歴史と記憶の問題を、ドイツと日本の双方を比較しながら語った、という点で画期的な本でした。そのブルマ氏が8月14日付のニューヨークタイムズに”Cold War in East Asia never ended "(東アジアの冷戦は決して終わらなかった)という一文を寄稿しています。これは現在、韓国と日本が対立を深めていることを題材にしています。(2019/08/17)


国際
「黄色いベスト」 39週目
昨年11月に始まったフランスの「黄色いベスト」の週末の抗議デモは先週も行われ、39週目となりました。フィガロがそれを報じています。(2019/08/16)


みる・よむ・きく
リュシアン・フェーブル著「歴史のための闘い」
フランスのアナール学派の歴史学者であるリュシアン・フェーブル(1878-1956)の「歴史のための闘い」(平凡社)は訳者の長谷川輝夫氏自身があとがきで述べているように「原著は極めて個性的な文章で書かれ、日本語化が実に困難であり、訳者の力量不足もあって、翻訳の出来栄えは完璧とはとうてい言い難い」。実際、筆者も本書を読んで、アナール学派の基本思考や歩みが述べられている貴重なテキスト群でありながら、読みづらさが残念でならない。解説の二宮宏之氏も書いていることだが、フェーブルはアナール学派の同僚のマルク・ブロックに比べると脱線しがちで、とりとめのない傾向が濃厚だったのかもしれない。(2019/08/12)


みる・よむ・きく
1週間読書の勧め  1週間で人生を変えるための集中読書
以前、日刊ベリタで1週間または10日間で読む集中読書ガイドを書きました。社会人になると、なかなか本を読む時間が取れないでしょう。ですが、夏休みとか、冬休みなどには1週間くらいのまとまった休暇が取れるはずです。そんな時、普段読めなかった本を集中的に読んでみることで、1週間後には予想できなかったような、それまでとは違った世界を得ることができるはずです。(2019/08/11)


社会
「表現の不自由展・その後」 脅迫FAXの犯人逮捕 警備強化のもと展示の再開を
 愛知で行われていたあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」にガソリン缶を持参するとの脅迫があり、その結果、主催者の説明によると、脅迫が展示を中止に至らせる原因となった。今日、犯人が愛知県警に逮捕されたと言う。50代の男性会社員と朝日新聞は報じた。主催者である愛知県知事と津田大介芸術監督は脅迫が唯一の中止の理由だったと語っていたことから、その脅迫男が逮捕されたことで、理由がなくなったことになる。(2019/08/07)


文化
フランクフルト学派の研究者、マーティン・ジェイ教授(歴史学) 科学や技術が進化しているのになぜ人は幸せになれないのか
ドイツのフランクフルト学派は、神話を否定し啓蒙の立場に立った近代人がなぜナチズムに吸収され、反ユダヤ主義やホロコーストという究極の排外主義や反人間的な思想に陥ってしまったかを研究した学派です。平たく言えば、人間は科学の進歩とともに古い迷信から抜け出し、生産性を上げ、医療も進歩でき、そのことによって究極の幸福にたどり着けるはずだった。それがなぜ、未だに貧困や憎悪、戦争にまみれ、さらには自然を破壊しているのか。いったい、どこに誤りがあったのか。近代を進めた啓蒙の中に何か間違っていたものがあったのか?こういう問いの立て方が根底にあります。アドルノとホルクハイマーによる「啓蒙の弁証法」はこの学派の1つの象徴的な刊行物です。(2019/08/05)


社会
京アニの35人の死者を自己の欲望のために利用した脅迫犯人の逮捕を あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」中止で
あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」で「平和の少女像」の展示に対して、脅迫のFAXを送った人物がいたことが展示中止の1つの要因として挙げられています。それが展示中止の本当の理由だったかどうかは議論の余地がありますが、それはともかく、この件が中止の主たる理由として主催者側から発表されていることは由々しき事態です。(2019/08/04)


文化
表現の自由から自主撤退したあいちトリエンナーレ2019  速攻で「平和の少女像」の展示中止を決定
8月1日に始まったあいちトリエンナーレ2019という国際芸術祭で日本軍による従軍慰安婦像をモチーフにした「平和の少女像」を展示していたが、名古屋市長の抗議や市民からかかってくる電話での抗議を受けて、早々と展示から外すことになったという。そもそもこの展示は「表現の不自由展・その後」展という最初から議論を招きそうな作品を対象に選んでいる展示であるということで、その上で今、日本でホットな議論を呼んでいる作品をあえて選んだのだ。だから、主催者側は最初からそれなりの覚悟を持って展示をおこなっていたのかと思ったが、わずか3日で展示をはずす決定になったことに驚く人も少なくないだろう。(2019/08/03)


コラム
野党が国民連合政府を目指すなら、文教予算の増大も
2015年9月に共産党の志位和夫委員長が野党共闘へと舵を切り、いずれ野党が集結して衆院選で勝ち、国民連合政府を作ると語りました。二度の参院選で一人区を中心に実際に実績を上げ、野党共闘は発展しつつあります。その野党共闘の1つ、国民民主党の玉木代表が今回の参院選の公示前に今後20年で文教予算300兆円を投入する、と語ったことは印象深く刻まれました。しかし、気になったのは「科学技術を中心とした」という文言です。(2019/08/03)


政治
日本に左派ポピュリズムはあるのだろうか
山本太郎氏のれいわ新選組の評価をめぐって、左派ポピュリズムかそうではないか、で議論が起きています。この言葉は欧州の政治学上の用語のようです。まず、この語の定義が日本人になじんでいない、ということが議論を不毛なものにしている印象があります。ポピュリズムという言葉について英国のガーディアン紙は以下のような文章を載せています。オランダ人の政治学者でポピュリズムの専門家Cas Mudde氏が寄稿した文章です。(2019/08/02)


みる・よむ・きく
イヴァン・ジャブロンカ著「私にはいなかった祖父母の歴史」  社会科学者が書く新しい文学
6月にフランスの歴史学者で作家でもあるイヴァン・ジャブロンカ(Ivan Jablonka)氏が来日し、東京の日仏会館で講演した時の衝撃は以前、報告しました。ジャブロンカ氏は社会科学者〜歴史学者、人類学者、社会学者、政治学者など〜が文学を創造することで、社会科学を刷新できると語り、大きな刺激を与えてくれたわけです。折しもフェイクニュースや忖度報道、記事に見せかけた宣伝が氾濫する現代、どうやって真実を取り戻していくのかは課題になっています。そこで社会科学者たちによる文学の創造が新しい活気を作りだすというのです。ジャブロンカ氏には自らそれを実践して、優れた文学を作り出し高い評価を得ています。彼の代表作とも言えるのが「私にはいなかった祖父母の歴史」(田所光男訳)です。(2019/08/02)


みる・よむ・きく
フランソワ・オゾン監督「彼は秘密の女ともだち (Une nouvelle amie)」 女装する男の探求 
今年の参院選で女装する大学教授が登場したことは話題を呼んだだけでなく、日本社会で女装が認知されるきっかけになったような気がします。20年くらい前に女装を扱ったTVドキュメンタリー番組などでは、かなり特異な人間という扱いだった気がします。今日でも珍しい存在ではありますが、それでもその大学教授が出馬したことで、何かが変わったような印象を持ちました。フランスで女装をテーマにした映画にフランソワ・オゾン監督による『彼は秘密の女ともだち』(2014年)があります。かつて怪盗ルパンを演じたフランスの人気男優、ロマン・デュリスが女装癖のある男性を演じています。この映画は筋書きが多少込み入っていますが、テーマは女性性を男性が憧れる、ということにあります。(2019/07/31)


みる・よむ・きく
空族の新作は禅の僧侶たちの葛藤を描いた「典座」(富田克也監督、相澤虎之助共同脚本)
空族(くぞく)とは変わった名前ですが、日本の気鋭の映画製作集団です。空族はこれまで疲弊する地方に生きる若者がブラジルからの移民労働者と抗争する物語を描いた「サウダーヂ」や、タイの売春婦に日本人客をあてがう日本人の風俗業者たちと売春婦たちの生を描いた「バンコクナイツ」など、いずれも3時間を超える長編力作を自前で作ってきたグループです。驚くのはたとえば「バンコクナイツ」で登場する売春婦たちが現実にその世界の女性たちであり、撮影の舞台も現実のその場所を借りて撮影した、ということです。これには本当に驚きました。現実の人がドラマを演じながら、俳優を凌ぐほどに見事に「自分」を演じ切っていたからです。空族は現実の人間に演じさせることで、プロの俳優にはできないホンモノの存在感や空気、リアリティを重視していると言えます。(2019/07/30)


みる・よむ・きく
ジョージ・オーウェル著「オーウェル評論集」(小野寺健訳 岩波文庫) オーウェルは冷戦的思考では読めない 
2013年秋の特定秘密保護法の国会審議と強行採決あたりから、日本ではインターネット世界で英国の作家、ジョージ・オーウェルの近未来小説「1984年」への言及が多くなった。高橋和久氏による優れた新訳版が2009年にハヤカワepi文庫から出版されたこともその背景にあるだろう。Amazonのサイトの売れ筋ランキングを見ると、今でもハヤカワepi文庫の売り上げNo1は「1984年」だそうである。さらに、英米文学のカテゴリーでも6位に位置するのだ。オーウェルが全体主義社会の恐怖を描いた「1984年」がこれほど読まれているのは、わが国に同様の未来が待ち構えているのではないか、と不安を持つ人が多いからだろう。(2019/07/28)


文化
イスタンブールの「悪い娘たち」  トルコの漫画家、ラミズ・エレール(Ramize Erer) さんがイスタンブールへ里帰り
トルコの漫画家、ラミズ・エレール( Ramize Erer 1963- )さんは2007年にパリに移住した。 エレールさんの代表作は「悪い娘たち」で、快楽主義的にふるまう娘たちの行状を描いたシリーズだ。素っ裸の娘が描かれたものもあった。といってもエロというよりおおらかな笑いだった。だが、トルコが年々保守化したため、エレールさんは娘を連れてパリに移り住む決意をしたのだ。(2019/07/28)


政治
「政治家とは人々が政治を行うのを手助けする職業である」
今回の選挙で山本太郎氏を左派のポピュリストと言う人もいるようですが、筆者はそういう風に見ていません。欧州で筆者が最近、耳にした言葉を1つ挙げさせてください。それは哲学者が政治について語った言葉です。「政治家とは人々が政治を行うのを手助けする職業である」これがその言葉です。最初、本当に驚きました。というのはこんな発想を日本で持ったことがなかったからです。日本の政治に対する常識と180%異なる視点ではないでしょうか。というのは当地では政治家とは人々を導いていくカリスマ的リーダーが良き政治家と思われてきたフシがあります。「強いリーダーが欲しいですね」という言葉が象徴的です。(2019/07/23)


文化
ジャン=マルク・ロシェットさんのBDが再映画化 SF階級差別列車の冒険を描くジェニファー・コネリー主演『Snowpiercer』(スノーピアサー)   
以前、お伝えしましたフランスのBD作家、ジャン=マルク・ロシェットさんの作品「脱走者」(Le Transperceneige: 直訳=雪を貫くもの)がハリウッドで映画化され来年公開となるそうです。2013年には韓国の名匠、ポン・ジュノ監督によって映画化されていますが、今回はジェニファー・コネリー主演による娯楽大作です。タイトルは『Snowpiercer』(2019/07/23)


政治
「れいわ新選組」野原ヨシマサ候補の衝撃 2 右翼知事の都・東京に要求を突きつけたオキナワ
れいわ新選組から東京選挙区で立候補した野原ヨシマサ氏が沖縄で辺野古への米軍基地移設に反対してきた創価学会員であることはすでに知られたことだ。野原氏はこれまでの候補者と異なるムードを持っていた。写真では南国ムードを醸し出すアロハシャツを着て、両手で親指を立てて「いいね」マークを見せていた。その眼差しは何を考えているか見通せない不敵な印象を与える。つまり、いかにヒエラルキーで上の者が命令しても、それがおかしければ従わない、自信に満ちた不敵な面構えなのだ。(2019/07/22)


政治
創価学会と公明党  「れいわ新選組」野原ヨシマサ候補の衝撃
今回、TVの選挙戦の報道で「れいわ新選組」の活動が投票後までほとんど報じられなかった本当の理由の1つは、「れいわ新選組」から立候補した野原ヨシマサ氏の公明党への異議申し立て演説だっただろう。野原氏は公明党が平和と福祉の党と言いながら、この10年間、安倍政権と連立を組む中で戦争と勝ち組の党に変質したことを訴えた。その演説は各地で大きな拍手に包まれていた。公明党は自民党のブレーキの役割を果たすとこれまで語って自民党との連立を正当化してきた。これについて野原氏が中野駅前で公明党を高齢の運転者にたとえ、ブレーキとアクセルを踏み間違えると危ないから免許を取り上げろ、と語った時は大きな笑いが起こった。(2019/07/22)


政治
国民民主党も野党共闘に参加したなら政策協定を守るべきだ
今回の参院選で自民党は議席を減らし、改憲勢力の自民・公明・維新を足しても3分の2に及ばないだろうという見通しが出る中、TVの中継で安倍首相は国民民主党にも改憲論議を持ちかけていく、と語っていた。 (2019/07/22)


検証・メディア
今回の選挙戦、最大の敗者は民間放送局だったかもしれない
今回の参院選、新聞ではTVの選挙報道が民放では4割も減ったと報じられている。投票率は50%を切ったとされ、争点が見えなかったとか、低調だったという声があるが、その責任のかなりの部分はおそらくTV報道に起因するものだろう。その象徴がれいわ新選組と山本太郎代表の報道であり、政党要件を満たしていないと言って、投票が終わるまで無視し続けてきた。過去の民放なら面白ければ食いついていったのではなかろうか。面白いと言うことは視聴率もとれる、ということである。ところがそれをしなかったということは選挙報道の本質を見失っているし、資本主義の原理も機能していないことを意味する。(2019/07/22)


社会
京都アニメーションの炎上を悲しむ  オーストラリアの聾者の映画監督  ロバート・ホスキン(Robert Hoskin, Australian deaf director )
「京アニ」(京都アニメーション)が炎上し、スタジオにいた約70人の半数弱、34人が亡くなった。事件の前、京アニは聾者のアニメーションを作っていた。「A Silent Voice : The Movie」(映画 聲の形)というタイトルで、2016年の映画だ。去年、僕はブルーレイ盤でこの映画を買った。メルボルン郊外のフランクストンにある「JB Hi-Fi」 (小売店)で買ったんだ。(2019/07/21)


欧州
削除されたクロード・ランズマンの言葉   パトリス・マニグリエ Patrice Maniglier  
評論誌「現代」について僕ら編集委員が全員の署名入りで書いた文章が今日、ベラシオン紙に掲載された。編集長だったクロード・ランズマンが亡くなって1周忌なのだ。ところで、僕には理解できない理由で、仲間の編集委員たちが、僕とジュリエット・シモンが書いた第一稿の中に出てくるクロード(ランズマン)が語った言葉を削って欲しいと要求してきた。それでやむなく、僕らはその言葉を削ったんだ、というのも僕らは人がいいからだ。(2019/07/20)


政治
NHKは民放にする必要なし 〜 久米宏氏のNHK分割民営化発言に思う〜
「ニュースステーション」の初代キャスターだった久米宏氏が先日、NHKの分割民営化論をNHKの番組で話したと言います。7月19日に放送されたNHK「あさイチ」だそうですが、筆者はその放送を見ていませんでした。久米氏の発言を報じたハフィントンポストによると以下(抜粋)。久米氏「NHKはね、民間放送になるべきだと思います。もしNHKが民間放送になり、スポンサーを集めたら、他の民放は全滅ですよ。だから1社でNHKが民放になるのは無理です。(2019/07/20)


政治
野党共闘の支持者たちが呼びかける戦略的投票 〜実態に合わない小選挙区制で中小政党の声を反映するための戦略〜
いよいよ選挙戦、投票まであと1日となった今日、SNSでは「戦略的投票」という言葉が流通しています。政策協定を結んで野党共闘をしている政党の候補者の中で、当選が固くなってきた候補者や当選見込みのなくなった候補者ではなく、当落線上にいる候補者に、たとえその政党が支持政党でなくとも野党共闘の議員数を最大化するように戦略的に票を投じてください、というもの。(2019/07/20)


政治
面白かった国民民主党・玉木雄一郎氏の映像キャンペーン 
 国民民主党と言えば支持者が1%いるかいないか、という小政党。だが、意外と存在感がある。それを支えている要素は党首の玉木雄一郎氏だろう。今回の参院選の選挙戦で野党はそれぞれ地道な選挙戦をSNSを中心にアピールしてきたが、国民民主党・玉木氏の映像キャンペーンはユニークだった。(2019/07/20)


コラム
戦争を一度始めたら終わらせるのが難しい  〜改憲を訴える政権与党に思う〜 
自民党の安倍首相は憲法9条の改正を求めており、自民党は改憲を参院選の争点だとしています。ですから、もし自民党が勝利したら、「国民の支持を得た」とばかりに改憲論議を加速していくでしょう。このことを考えた時、今、一番思い出されるのがドキュメンタリー映画「日本国憲法」を監督したジャン・ユンカーマン氏の言葉です。それは戦争というものは始めるのは簡単でも、終わらせるのは非常に難しい、ということです。太平洋戦争でも日本軍は真珠湾に奇襲を行い、程よいところでアメリカと講和条約を結ぶことを考えていたと聞きますが、そんな都合よく外国が認めるはずがありません。4年後に原爆を2発落とされ、国土が焼け野原になっても無条件降伏を認めるまでは、終わらせてくれませんでした。(2019/07/19)


政治
れいわ新選組の演説を聞きに来た人に聞いた   
れいわ新選組についてTVがほとんど無視しているというので、日刊ベリタで少しでも知りえたことを書いています。昨日のJR中野駅前の演説会では公明党の山口那津男代表に挑戦している沖縄の創価学会員の野原ヨシマサ氏と代表の山本太郎氏が演説を行いました。駅前は聴衆でいっぱいになり、駅への階段も座り込む人たちが連なっていました。聞きに来たある男性に「なぜれいわ新選組の話を聞き来たのか?」と聞くと、こう答えました。(2019/07/16)


政治
れいわ新選組・山本太郎氏がなぜ創価学会員を候補者に選んだか
4月に新党「れいわ新選組」を立ち上げ、山本氏も含め異色の候補者10人を参院選に投入した山本太郎氏。中でも沖縄で基地反対運動に取り組んできた創価学会員の野原ヨシマサ氏を、東京選挙区から立候補させ、基地建設を進める自民党に追随してきた公明党の山口那津男代表と競わせたことで日本中をあっと言わせた。今まで恐らく誰も思いつかなかった妙手である。(2019/07/15)


みる・よむ・きく
エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ著「自発的隷従論」〜生まれながら自由を知らない人々は自由を求めない〜
最近、フランスの新しい政治運動に参加した人々と話をしていると、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシが書いた「自発的隷従論」の話がしばしば出てくる。「自発的隷従論?いったいそりゃ何だ?」と思ってインターネットで検索してみると、驚いたことに邦訳も出ていた。しかも、なんと2013年の秋に初版が翻訳出版されていた。これはすごい!実際に中世フランス語から翻訳したのが山上浩嗣氏で、山上氏に出版しないかと持ちかけた東京外大の西谷修氏である。タイミングを振り返って思えば、両者の時代を察知するセンスに脱帽するのである。(2019/07/15)


文化
フランス革命記念日に向けてフランソワ・リュファン(映画監督・ジャーナリスト・国会議員)がパンク版を披露
 7月14日はフランスで1789年に起きた革命の記念日です。その象徴が革命の進軍の歌、「ラ・マルセイエーズ」。国歌になっていますが、これまで様々な歌手が権力批判のパロディ版を歌ってきました。今年話題になっているのが、ジャーナリスト・国会議員で映画監督でもあるフランソワ・リュファンとパンクバンド「La Horde」による「僕のマルセイエーズ」です。このパロディ版では市場経済至上主義が押し付けてくる様々な消費主義の「モラル」が徹底的に批判されています。(2019/07/14)


政治
参院選の野党共闘の合意13項目の第1項目 〜憲法第9条「改定」への反対〜 戦争リスクの排除が家計底上げ政策を保証
今回の参院選でも野党協力が行われていますが、その要として市民連合が間に入った形で13項目の政策協定が結ばれています。この中には最低賃金1500円を目指し、8時間働けば暮らせるルール作り、という今熱く語られている経済政策も入っています。しかし、1項目目には憲法9条の改定への反対が記載されています。さらに2項目には安保法制の廃止が盛り込まれています。これらは一見、最低賃金の引上げなどと比べると、多くの人には少し遠いテーマのように見えるかもしれません。(2019/07/13)


みる・よむ・きく
加藤晴久著「『ル・モンド』から世界を読む 2001ー2016」
藤原書店から出版された加藤晴久著「『ル・モンド』から世界を読む 2001ー2016」はいろんなことを筆者に思い出させてくれた興味深い一冊です。本書はフランスの夕刊紙ル・モンド(Le Monde)の記事の切り抜きをもとにフランス文学者の加藤晴久東大名誉教授が時々の思いをつづる、というスタイルになっています。まず興味深いのがここで取り上げられた時間が2001年というシンボリックな年号から始まっていることで、それはあの9・11同時多発テロが起きた年だということです。(2019/07/13)


政治
れいわ新選組 「れいわ祭」 政治の新しい風 〜日本社会を象徴する町の候補者たちが続々登壇〜
れいわ新選組の「れいわ祭」が品川駅前で12日の夕方行われています。冒頭、創設者の山本太郎議員が登壇し、消費税をゼロにして、その財源は富裕層や大企業などへの累進制度を当てればおつりが9兆円来ると語り、その9兆円を学生の借金をチャラにすることに使っていいですか、と問いかけました。大きな反響の中、今回の参院選の候補者が次々と登壇中です。(2019/07/12)


コラム
愛読する新聞を政府広報誌にしないためには買い支える必要がある
新聞が政府を忖度する記事を書くようになった背景には新聞の購読者が減少して経営が厳しくなっていることが想像されます。読者の購読料で経費が賄えなくなった新聞社は大企業などの広告費や政府の広報などに依存する割合が高まっていきます。現在の与党自民党は大企業を優遇する政策を取ってきましたから、両社は共通する力を目に見える形であれ目に見えない形であれ新聞社に加えていると想像されます。それは紙面に反映するはずです。(2019/07/12)


コラム
日本の資本主義の危機と冷笑主義の人々
資本主義陣営を支えるはずの経営者やエコノミストの多くが、政府の経済統計の誤りや公文書の隠蔽・改竄に対して行動を起こさないように見えるのはなぜだろう。ますますソビエト連邦に近い権威主義国家になっている日本政府を批判する人をなぜ「左翼反権力」などと言って冷笑する人間がいるのだろう。その人がもしかつてのソ連にいたなら、政府批判をしただろうか。いや、そのようには思えない。ソ連で政府批判をする人を「右翼反権力」と言って同じように冷笑していたのではなかろうか。(2019/07/10)


文化
教授と女学生のセクハラを巡る確執を描いた「オレアナ」の劇作家デビッド・マメットの新作"Bitter Wheat" ( 苦い麦) ジョン・マルコビッチ主演でハリウッドのセクハラ事件に着想を得た作品らしい
アメリカの劇作家デビッド・マメットと言えば「グレンギャリー・グレン・ロス」や「アメリカン・バッファロー」と言った作品で1970年代から90年代にかけてアメリカの劇作家の第一線で活躍していました。マメットは1992年にはセクハラを巡る大学教授と女子学生の葛藤を描いた戯曲「オレアナ」を発表し、その熾烈な葛藤で衝撃を与えました。「オレアナ」が衝撃を集めたのは、男の言い分では埋まらない男女間の深い溝、女性の怒りが男の想定を超えており、話そうとすればするほどむしろ溝が深まっていく難しさと怖さが描かれていました。(2019/07/08)


コラム
アルバイトと学生と読書のノルマ 〜いかに読んだ風を装うか〜
 最近、学生がアルバイトに追われて読書時間を作るのに苦労している、という報道によくお目にかかります。今の学生は学費が昔よりも高くなってしまったことでアルバイトに追われている人が多いようです。国立大学ですらそのうち年間の学費が60万円台になろうという庶民にとっては恐ろしい時代です。学校を終えて3〜4時間ほどバイトを入れると、家に帰ったら10時とか11時とかでしょうし、もっと長いと深夜に帰宅となるでしょう。こうなったら、それから勉強しようとしてもなかなか疲れて難しい本を読む気力もなくなってしまうのではないでしょうか。(2019/07/03)


国際
G20 米政治評論誌がサウジの皇太子の問題を指摘 記者会見でもカショーギ記者殺害の件が質問されていた
アメリカの政治評論誌POLITICOが今回、大阪で開催されたG20で多くの人が感じていた疑問について直截に指摘した。それはサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が参加していたが、この人物は国際的なスキャンダルの渦中にいる人物であり、それはカショーギ記者の虐殺を指揮していたのではないかという疑問である。この件は米議会でも追及されている問題だ。ところが、そのムハンマド皇太子とトランプ大統領と安倍首相が隣り合って記念写真を写している。POLITICOは見出しをこうつけた。(2019/06/30)


検証・メディア
将来、自民党が下野した場合のNHKについて  もとの軌道に戻すための道を考える時期に来た 〜NHK「非安倍化」検証委員会の設置を〜
今回、安倍政権が衆院を解散せず、参院選だけなら、もう少し先になるだろうが、いずれ自民党が下野したとしたら、安倍首相の応援団になっているNHKをもとの軌道に戻すための手術が必要になるはずだ。今回の選挙に備えた野党共闘の合意文書(13項目)は画期的なものだが、中でも注目は今回、新しく放送事業者の監督権を総務省から切り離して、独立した組織を作ることが盛り込まれていることだ。「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書」の13項目目は「国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること」(2019/06/29)


コラム
山の頂上の家と都会の家   文字を扱う人々とそうでなかった人々
僕は近年、フランス語の勉強を続けてきましたが、疲れた時に祖母のことが思い出されることがあります。父方の祖母で、彼女は日本語の字が読めない、いわゆる文盲でした。祖母は岡山の山の頂上にあった家に暮らしていて、祖父とともに農業と炭焼きをしていたのです。山羊も飼っていましたから、牛乳配達がなくとも、ミルクを得ることができました。子供の頃、僕は夏休みになると、両親に連れられて、この山頂の祖父母の家を訪ねるのがとても楽しみでした。山の匂い、囲炉裏の炎、電燈に集まってくる蛾や昆虫、そしてタヌキやキツネ、カラスなどの様々な生き物。(2019/06/28)


コラム
かくもトランスなチェ・ゲバラ 宝塚歌劇団の公演ポスター
街を歩いていて、1枚のポスターが目に飛び込んできました。宝塚歌劇団のこの夏の公演のミュージカルのポスターです。目に飛び込んできたのはキューバ革命の英雄、チェ・ゲバラを演じる俳優の顔でした。宝塚歌劇団は女性が男も演じるのが伝統なわけですから、チェ・ゲバラが主人公なら、男役の女優が演じるのは不思議でも何でもないのです。しかし、ゲバラのようにTシャツにまでなって世界中であまりにも頻繁にその顔を見る革命のイコンが女性によって演じられポスターになっていることが、目を引くきっかけではありました。(2019/06/27)


文化
イヴァン・ジャブロンカ氏の日仏会館における講演「社会科学における創作」 
社会科学を文学に創造する・・・それはいったいどのようなことなのか?フランスから初来日した歴史学者で作家のイヴァン・ジャブロンカ氏(Ivan Jablonka, 1973〜 パリ第13大学)の講演のタイトルが「社会科学における創作」だったことは大いに目を引いた。いったい社会科学は文学になるのだろうか?社会科学者は文学の創造者たりえるのだろうか?ここで社会科学者と言っているのは、たとえば歴史学者、社会学者、人類学者、政治学者などである。6月24日、会場である日仏会館に足を運ぶと、ジャブロンカ氏の著作の販売ブースが作られていた。売られていたのは「私にはいなかった祖父母の歴史」と「歴史は現代文学である」の2冊。いずれも名古屋大学出版会によるもので、売っている男性は名古屋から本をもって上京してきたと言う。百聞は一見に如かず。(2019/06/25)


みる・よむ・きく
ジョルジュ・ルフェーブル著「革命的群衆」〜フランス革命で津々浦々の農民たちはどのように立ち上がったのか?〜
フランス革命の研究で知られるジョルジュ・ルフェーブル(Georges Lefebvre, 1874-1959)は農村における革命過程の研究から出発した歴史学者である。翻訳者である二宮宏之氏によると、ルフェーブルは学位論文で「フランス革命下のノール県の農民」を提出して学位を得た。この研究は革命の起きた1789年の7月から8月に、「アリストクラート(特権階級の1つで貴族)の陰謀」という噂が各地に広まり、農民たちが自衛のための武装を始め、やがては革命に参戦していくプロセスということである。この陰謀の噂というのは貴族が雇って組織した野盗らが隊列を組んで農民の収穫物を奪い取り、農民たちを殺戮しにやってくる、と言ったものだったようだ。そこで恐怖を抱いた各地の農民たちは武装して領主の城や修道院を襲い、焼いたり、占領したりしたのである。映画でいえば黒澤明監督の「七人の侍」で、野武士の襲撃を目の前にした農民たちの自衛の反撃と言ったところだろうか。ノール県はフランスの東北部で、ベルギーとの国境地域に位置し、ルフェーブルが生まれ、大学で学んだのもリールを中心都市とするノール県だったのだ。(2019/06/16)


検証・メディア
ニューヨークタイムズが国際版から政治風刺漫画を禁止という報道が  村上良太
ニューヨークタイムズが国際版から政治風刺漫画を禁止する措置を来月から取る、との報道。本当か?!と思い、ネットで探ってみると、ワシントンポストやフランスのメディアなどでも同じことが報じられていました。社説やコラムの掲載されているエディトリアルというページがありますが、そこに毎日掲載されている漫画の事のようです。直接の引き金となったのは、イスラエルのネタニヤフ首相を盲導犬に描いて、盲人をトランプ大統領に仕立てたニューヨークタイムズの風刺漫画にイスラエルが抗議をしたかららしい。この件については重大なので、より真相がわかれば追って書きたいと思います。(2019/06/15)


コラム
パリで恒例の「詩の市場」 Marché de la poésie  村上良太
パリでは毎年、「詩の市場」という恒例の催しが行われていて、小さな独立系の出版社が多数、ブースを出して詩集を中心に出店しています。それらの詩集は印刷部数も100から1000くらいのものが多いようです。ですから大量出版・大量消費型の出版文化ではなく、むしろ、版画を売っている、みたいな感覚と言った方がよいのです。買いに来る人たちも大量消費型のマス文化よりは、街の人々の日々の文学つきあい的な感覚があります。(2019/06/15)


文化
フランスの歴史学者、イヴァン・ジャブロンカ氏の講演「社会科学における創作」 歴史学や社会科学の研究は文学にもなりえるか?  
 6月24日(月)18時半から、東京の日仏会館でフランスの歴史学者、イヴァン・ジャブロンカ氏による講演「社会科学における創作」が行われる。ジャブロンカ氏には「歴史は現代文学である」とか、「私にはいなかった祖父母の歴史」といった著作があり、歴史学における研究成果の出口に文学をあげているようだ。いったい、それはどのような営みなのだろう。文学になることで歴史が歪曲されることはないのだろうか?事実と記憶と想像力はどのような関係にあるのか?などなど興味は尽きない。(2019/06/11)


みる・よむ・きく
70歳の年金生活者がインターンになる映画 デ・ニーロ主演の「インターン」
昨今何かと高齢化社会に関わる記事が多くなった。将来、年金が少なくなっていくから2000万円貯金しとけ、と言うような政治家の話とか、高齢のドライバーの交通事故とか、70歳まで働ける仕組みを作るとか、そんな話題だ。全般的に暗い未来像がそこにある。そんな昨今、70歳の年金暮らしの男が「シニアのインターン募集」というチラシを目にして、ネット販売の企業(e-commerceと呼ばれることが多い)にインターンとして就職する映画を見た。「インターン」というまさにベタなタイトルのこのハリウッド映画にはロバート・デ・ニーロが主演している。(2019/06/10)


政治
れいわ新選組の経済政策への疑問点  村上良太
山本太郎参院議員が立ち上げた新党「れいわ新選組」が静かなブームになっている。その演説は最低賃金の大幅増加や、消費税ゼロなど刺激に富んでいる。筆者も興味深くその演説をyoutubeで見てきたのだが、しかし、核になっている経済政策に今一つ不安を感じるのだ。反緊縮という考え方には共感できるものの、財政難から国家破綻したり、ハイパーインフレになったりすることはないと山本議員が考えているとしたら、甘いのではないかな、という不安なのである。(2019/06/09)


コラム
チェコのもぐらのクルテク   村上良太
空港のカウンターに向かって並んでいると、子供がじろじろ見ることが多い。僕のスーツケースだ。そこにはKrtek(クルテク)のシールが貼ってあるからだ。クルテクはチェコの漫画の人気キャラクターなのだ。それは黒いモグラである。だが、クルテクはミッキーマウスやドナルドダック、あるいは、スーパーマリオほどには面が割れていないのではなかろうか。それでも子供たちは人気度などよりも、クルテクの漫画自体に興味をひきつけられるのかもしれない。(2019/06/06)


コラム
メディアーキーとメディアナルキー  いかに世界同時多発性からリズムをずらすか
先月、フランス人の研究者の方々との映像に関するシンポジウムに参加しましたが、その時、「メディアーキー」という言葉をフランスの知識人が提唱しているということを知りました。メディアーキーという本が書かれており、作者はイブ・シットンという名前のパリ第8大学の研究者です。生まれはスイスのようですが。僕は未読なので、詳しい話はできませんが、多少なりともイブ・シットン氏のテキストを読んだ限りでは、国境を越えたインターンネットメディアの大企業の影響力が強まり、これがリスクを高めていく可能性があると言うことのようなのです。シットン氏は一例としてサッカーのワールドカップみたいに、1人の選手のゴールが決まった時に世界中で億単位くらいの人が同時多発的に同じ反応を取ることをあげていました(応援するチームが逆なら喜怒哀楽も逆でしょうが)。こんな風に、ますます緊密にメディアの映像を通して、私たちは結びつけられてきたということです。(2019/06/04)


政治
参院選に向けた市民連合と野党4党および1会派の政策合意内容は? 〜立憲主義に加え、最低賃金の目標「1500円」や報道の自由の徹底(放送の管轄を総務省から独立機関へ)税制の公平化など〜
参院選を前に「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)が野党の選挙協力を進めるために要望書を作成し、5月29日に野党4党1会派と市民連合で調印を行いました。4党は立憲民主党、国民民主党、社民党、共産党、そして1会派は「社会保障を立て直す国民会議」。政策合意の中身は以下です。毎回基本は同じとも言えますが、細かく見ると、新しい中身が入っていることに気がつくでしょう。(2019/06/02)


検証・メディア
「国会は波静か」なのか? 国会PVの上西教授が記事に抱いた疑問
毎日新聞と言えば優れた報道が少ないくない。とはいえ、時に疑問を抱く記事もある。直近でいえば「国会は波静か 与党が応じず、衆院予算委は3カ月未開催」という5月30日の記事の見出しだ。この見出しに疑問を抱いて、SNSで発信したのが国会パブリックビューイングの代表、上西充子氏(法政大教授)だ。見出しは果たして「波静か」でよいのか、ということだ。ちょっとした言葉遣いに過ぎない、と見る人もいるかもしれないが、ちょっとした見出しにその記者、編集者の見方が集約されている。そして、それが積み重なって世論を形成していくのだ。(2019/06/02)


みる・よむ・きく
ハリウッドの才人、ジョン・ファブロー 映画「シェフ」で己の基本に立ち返る
最近のアメリカ映画の娯楽大作として「アベンジャーズ」や「アイアンマン」などスーパーヒーローが活躍する映画が大ヒットしているが、それらの作品群の多くに監督や俳優、製作などとして深く関わってきたのがジョン・ファブローだ。監督、俳優、脚本、製作と様々な仕事をこなしている映画人である。このファブローはSFXを多用するヒーロー映画以外に、ポスト・ウディ・アレンとでも言うような、温かい人間喜劇の作り手としての顔も持ち合わせている。(2019/06/02)


みる・よむ・きく
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)またはメキシコ人の力
アメリカのトランプ大統領は2016年の選挙選の時から、メキシコ人への侮蔑を繰り返してきた。国境を越えて侵入してくる犯罪者という見方を政治の場で堂々と語って恥じることがない。しかし、ハリウッド映画を担う一人のリーダーが、今やメキシコ人であることを世界に示したのが、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が2014年に公開した映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」と言っていいだろう。イニャリトゥ監督は2016年にもハリウッド映画「レヴェナント: 蘇えりし者」で高い評価を得て、文字通り、現在、米国で最も質の高い映画を作れる監督と認知されるに至った。(2019/06/01)


みる・よむ・きく
スティーブ・マックィーン監督がセックス依存症を描く映画 ”Shame”(恥)  
スティーブ・マックイーンというと、以前はハリウッドの活劇男優が浮かんだものだが、最近、英国の黒人で同名の映画監督が活躍しているのだ。そのスティーブ・マックィーン監督が2011年に作った「恥」(Shame)という映画は、セックスの描写が多いことで過激だと言われるが、同時に、その内容が現代人の生活に過激に切り込んだ、という意味で過激でもある。恥ではエリートサラリーマンの30代の男が主人公だが、日夜、セックスのことで頭がいっぱいだ。電車の中に乗っていると、向かいに座っている女性客とやりたいと思い、家でも職場でもパソコンでポルノを見ており、マスターベーションをしている。(2019/05/31)


みる・よむ・きく
"How Democracies Die " ( Steven Levitsky and Daniel Ziblatt ) 「いかに民主主義は死ぬか」(スティーブン・レビツキー&ダニエル・ジブラット著) 中野晃一教授(政治学)がNYTで言及した話題の書
野党共闘を進めてきた市民連合のリーダーの一人、中野晃一教授(政治学、上智大学)は、今日付けのニューヨークタイムズに寄稿した文章”Why does Abe gush over Trump?" (なぜ安倍はトランプのことを話しまくるのか?)の中で、日本の政治が権威主義に向かっていることを指摘している。権威主義とは英語ではauthoritarianismであり、中国やロシアなど西側の民主主義国家群とは異なる政治体制を指す。安倍政権の下で日本も民主主義から権威主義体制に転換しつつあることが指摘されている。(2019/05/30)


欧州
初選出の29歳の欧州議会議員マノン・オブリ氏 ブリュッセルの欧州議会での会話を披露
欧州議会議員の選挙で今回、選出されたマノン・オブリ(Manon Aubry)氏は29歳。ジャン=リュク・メランション党首が率いるFrance Insoumise (服従しないフランス)の候補者リスト1位がこのうら若い女性マノン・オブリ氏だ。3位は前回書いたレイラ・シェイビ氏。レイラ・シェイビ氏は36歳と、いずれの女性も若く今年初めて議員に選出された。(2019/05/29)


コラム
おっぱいと戦争 マザコンと戦争の親和性を描くボリス・ヴィアンの戯曲があった 「将軍たちのおやつ」
 ロシアが実効支配している国後島を日本の国会議員が訪ねて、そこで<戦争しないと島は取り戻せない・・・>的な発言をしたかと思うと、今度は「おっぱい」と叫んでいたという報道がそのあとに続いた。戦争とおっぱいにあまりにも隔たりがあるために、こうした報道を消費している人々はどう受け止めたらいいのか、混乱したのではないか。その議員はマザコンなのだろうか。だとしたら、マザコンと戦争は親和性があるのだろうか。そんなことを思っていると、以前紹介した戯曲のことが思い出された。フランスの作家、ボリス・ヴィアンの「将軍たちのおやつ」である。この荒唐無稽の作品の中で、ヴィアンはマザコンの将軍たちがママの手製のお菓子をほおばりながら、リビングルームで戦争の相手国を探すくだりを書いている。(2019/05/28)


欧州
レイラの4度目の挑戦〜欧州議会議員に当選〜   村上良太
先週末に欧州では欧州議会議員の選挙が加盟国で行われました。フランスでも74議席の割り当てをめぐって行われました。マリーヌ・ルペン党首が率いる国民連合とマクロン大統領が率いる共和国前進のグループがほぼ同率で並び、そのうしろに緑の党などの環境政党グループ、右翼政党の共和党のグループ、左翼政党の服従しないフランス、社会党のグループという結果となりました。これを見ても2017年まで与党だった社会党の凋落ぶりは著しいです。マクロン新党に票を奪われていることが如実に見えます。一方、緑の党と環境政党のグループが3位に浮上しています。前回から議席を7つ増やしているのです。これは以下のウィキペディアの英語版(5月28日現在)を参照したもの。(2019/05/28)


みる・よむ・きく
今年、追悼上映されたクロード・ランズマン監督の「ショアー」
クロード・ランズマン監督の代表作というよりライフワークと言った方がよいホロコーストの生存者たちの証言を記録したドキュメンタリー映画「ショアー」が日本で初公開されたのは1995年だった。その「ショアー」が今年2月、アンスティテュフランセでランズマン監督の追悼上映の形で、「ソビブル、1943年10月14日午後4時」とともに上映されたことは関心の高い人々はきっと知っているに違いない。(2019/05/27)


みる・よむ・きく
鵜飼哲・高橋哲哉編 「『ショアー』の衝撃」
ナチスのユダヤ人絶滅政策の歴史を証言で記録した「ショアー」(SHOAH)というドキュメンタリー映画があり、これは映画館で9時間30分もの大作として知られています。この半端じゃない長さのことや、近所のレンタルビデオ店に置いていなかったこともあって、長い間見る機会を持ちえなかったのですが、「ショアー」の映画の証言を書き起こした本が出版され、日本でも翻訳されていたことを最近知りました。読んでみると、映画で見なかったとしても、相当にインパクトがあり、恐ろしい歴史が刻まれていました。いや、そうした言葉自体が映画の中で語られた言葉にまったくついていけないものです。(2019/05/27)


国際
トランプ政権の報道の自由への攻撃  ニューヨークタイムズが報じた米検察によるアサンジ氏の起訴のケース スパイ罪の適用
 ニューヨークタイムズは5月25日と26日の週末号の社説に"An assault on press freedom "(報道の自由への攻撃)と題する社説を掲げた。ここで語られている内容は、極めて重い意味を持つ。ウィキリークスの創設者、ジュリアン・アサンジ氏がロンドンにあるエクアドル大使館から英国警察に引き渡されるシーンは映像で報じられたばかりだが、そのアサンジ氏に米検察が新たに先週、起訴を行った。そのとき検察は1917年のスパイ法なる法律を持ち出して、彼が国家秘密を違法に入手し、公開した件で起訴しているのである。(2019/05/27)


みる・よむ・きく
上西充子著 「呪いの言葉の解きかた」(晶文社)
上西充子氏と言えば、国会パブリックビューイング(国会PV)という、国会審議の録画を独自に編集して公衆の前で見せる運動を始めた法政大学の教授です。国会PVは、「国会を10倍面白く見る方法」と言い換えてもよく、現代の最も優れた市民運動の1つだと思っています。その理由は生まれてこの方、政治も国会もまったく面白くないと思い込まされてきた人々に、上西教授が国会の見方を提示したことにあります。野党議員による質問と首相をはじめとする閣僚たちや官僚たちの答弁を、細かく切り刻むような意図的な編集はせず(こうした手法は従来、プロパガンダと呼ばれる)、まるごと1ブロック数分間じっくり見せるのです。(2019/05/26)


コラム
国会議員の言論の自由
訪問中の国後島で戦争しないと島は取り返せない旨の発言をして問題視され、日本維新の会を除名された丸山穂高議員は「言論の自由」を守るために国会議員は辞職しないと言っているそうだ。言論の自由は大切だが、言論の自由の根拠は国会議員だからあるのではなく、日本国民が持つ根源的な自由に属する。国会議員に選ばれたから言論の自由が重んじられないといけない、ということでは全くない。だから、彼は国会議員を辞職しても言論の自由は奪われるわけではないから安心すべきだ。(2019/05/22)


みる・よむ・きく
英国のケン・ローチ監督の新作 "Sorry We Missed You" 労働者に労働者自身で搾取させるシステムを描く作品
英国のケン・ローチ監督と言えば社会派の映画を作ってきた人だが、カンヌ国際映画祭の最高賞も2回受賞している。そして、今、開催されているカンヌ国際映画祭で上映されている新作が"Sorry We Missed You"というタイトルで、これも話題を呼んでいるようだ。いったいどんな話題かと言えば、現代の新しい搾取のシステムをそれに追い込まれる労働者の一家に焦点を当てて描いたものらしい。(2019/05/22)


コラム
昭和の最後の日 
平成の時代が終わり令和の時代が始まろうとする頃、平成の歴史を振り返るテレビ番組がいくつも放送されていた。前の昭和の最後の日は1989年1月7日で、その日、天皇が亡くなった。僕はその日、ある事情で京都駅から新幹線で広島に向かおうとしていたのだが、新幹線に乗り込む直前に号外で知った。当時、毎日新聞大阪本社編集局で夜勤の学生アルバイトをしていた僕は1988年の秋ごろからXデーに備えた紙面づくりの準備をしていたのを覚えている。僕は整理部の号外担当者のために新聞社のライブラリーへ天皇の写真を何枚か取りに行ったのだ。(2019/05/20)


文化
日仏会館シンポジウム「イマージュと権力 〜あるいはメディアの織物〜」
 「イマージュ」という言葉、時々耳にするけれど、イマージュってなんだっけ? イメージとどこか違うの?・・・この言葉にはそんな戸惑いを感じてきた。それに対して初めて、「あ、違うんだ」と感じさせてくれたのは日仏会館で行われたシンポジウム「イマージュと権力 〜あるいはメディアの織物〜」における小林康夫氏(青山学院大学教授)の言葉だった。「イマージュと言う言葉が私の人生を変えた」と。小林康夫氏は美術評論家・宮川淳の著書「鏡・空間・イマージュ」に20歳の頃触れて大きな影響を受けたことを語った。(2019/05/19)


市民活動
国際シンポジウム 「イマージュと権力、あるいはメディアの織物 〜日仏の眼差し〜 」
今週17日の金曜日、午後5時半から8時半まで東京の日仏会館ホールで国際シンポジウムが開催されます。タイトルは「イマージュと権力、あるいはメディアの織物 〜日仏の眼差し〜」というもの。この日、筆者も討論に参加して、オルタナティブの映像メディアの可能性などについて話す予定です。ちなみにシンポジウムは金曜日と土曜日の2日間連続です。日仏の映像クリエイターや研究者、批評家などが登壇します。(2019/05/16)


みる・よむ・きく
是枝裕和監督「三度目の殺人」 平成の時代を象徴する1本
是枝裕和監督の「三度目の殺人」(2017)は平成の時代を象徴するシンボリックな作品に思える。真実とは何かを問いかけるこの映画は黒澤明監督の「羅生門」を想起させるが、違いは多様な人間のそれぞれの真実ということではなく、一人の被告が何度も犯罪事実の供述を変えることにある。脚本が工夫されているのは拘置所に出向いて被告と陪審員裁判のための打ち合わせをする「聞き手」である弁護士の設定である。福山雅治演じるこの弁護士はこれまで法廷戦術として、真実を多少改ざんしても被告の利益になる「物語」をこれまで重んじてきた男に設定されていることだ。(2019/05/11)


コラム
「オモイデはニッポンの人」
駅の構内でちょっと変わったポスターを目にしました。ニンテンドーのマリオに似た髭づらの外国人のおじさんが日本旅行中で、銭湯で裸のつきあいまでしています。ポスターのコピーには「オモイデはニッポンの人」とあるではありませんが。これは筆者が外国旅行するときに、肝に銘じていることと同じです。浮世絵とか、蕎麦とか、相撲といった旅行案内に記されたエキゾチックな日本だけに満足した時代は終わりで、これからは日本人自身が見られ、体験される時代なのだ、日本人自身が最大の旅の味わいなのだ、ということを示しています。(2019/05/07)


コラム
貧乏な時代にこそイタリア語を  村上良太
連休中に平成の歴史特集が各局で行われていたけれど、平成元年は未だバブル景気の真っただ中で、テレビ東京の特番では竹藪に巨額の金がバッグに詰められて捨てられていた事件を振り返っていた。バブル時代を象徴するものの1つがイタリアンではなかろうか。イタリアのオペラやイタリア料理(当時は「イタ飯」などと言っていた)が大流行していた。当時の空前のイタリアブームは日本の金余りと結びついた現象だったように思う。たとえば作家の村上龍はその頃、アルマーニを着こなして雑誌などに登場していた。(2019/05/06)


政治
国会パブリックビューイング (4月9日)で語られた「働き方改革」とフランスのマクロン改革
4月9日に新宿駅西口地下で行われた国会パブリックビューイングでは非常に重要な問題が語られています。この日のテーマは「働き方改革」は何を目指しているのか?「多様な働き方を選択できる社会」とは?というものです。これはこれまで行われた国会パブリックビューイングの中でもその原点と言ってもいいような必見の内容ですから、多くの方に見ていただきたいと思っています。というのも、この運動の代表をしている上西充子教授が労働の専門家であることにあります。(2019/05/05)


検証・メディア
ワセダクロニクルのシンポジウム「日本の『共犯者たち』は誰だ?  権力と『マスコミ』」〜ドキュメンタリー映画「共犯者たち」を見て〜
 5月3日、東京で調査報道に独自に取り組むNGOのワセダクロニクルが「世界プレスの自由デー」を記念してシンポジウムを開いた。前半は韓国の放送ジャーナリストたちが政権の圧力によっていかに職場を解体され、またいかに抵抗して闘ったかを描いたドキュメンタリー映画「共犯者たち」が上映された。この映画では保守政権の李明博政権時代にKBS(韓国放送公社)やMBC(文化放送)などの公共放送の調査報道番組班が次々と解体され、社長の首がすげ替えられる姿がリアルに記録されていて迫力に富む。(2019/05/03)


みる・よむ・きく
フィリップ・ポンス著 「裏社会の日本史」(ちくま学芸文庫)
フィリップ・ポンス著「裏社会の日本史」は長い間、読もうと思いながら、ようやく買って手にしたのは2〜3週間前のことだ。躊躇した理由はかなりなボリュームのある本であることと、日本社会の暗部を研究して描いた社会学的な本であることだ。そこには貧困者やホームレス、あるいはやくざやテキヤといった稼業の人々のことが描かれているらしいのである。「本書では『極道』と貧苦の領域に関する報告書を作成するにとどまらず、歴史学から現地探索に至るまで複数のアプローチを組み合わせ、固有の行動規範や道徳、歴史を有する陰の社会システム作成の過程を捉えること、要するに日本語の表現を借りれば『雑草の文化』とも呼びうるものの諸側面について検討することを試みた」と序章にある。(2019/04/30)


みる・よむ・きく
前川喜平著 「教育のなかのマイノリティを語る〜 高校中退・夜間中学・外国につながる子ども・LGBT・沖縄の歴史教育〜」
今月26日、東京・文京区で日刊ベリタ主催の前川喜平氏の講演会が開かれ、筆者も話を聞きに行った。演題は「21世紀の平和教育と日本国憲法」だ。前川氏は2年前の国会で加計学園の獣医学部設置認可に官邸の文科省への圧力があったのではないか、との疑惑が浮上していた時、前文科省事務次官として懸案の文書(「総理のご意向」などと記された文書と言われる)が存在したと発言して話題になった。文科省はその当時、文書の存在を認めていなかったのだ。(2019/04/30)


政治
「多様な働き方を選択できる社会」とは!?#国会パブリックビューイング 
4月9日に行われた国会パブリックビューイングの映像がyoutubeに上がっています。解説:上西充子(国会パブリックビューイング代表) (2019/04/26)


みる・よむ・きく
「バナナと日本人」と「エビと日本人」 市民と研究者が手を携えて生まれた名作
 テレビとか新聞は基本的に「現在」を扱ったメディアですから、10年前、20年前、30年前の日本人がどういう感覚で暮らしていたか、実際にどういう暮らしだったのか、そうしたデテールは忘却される傾向があります。テレビのドキュメンタリー番組でも時代時代でトレンドもナレーションも大きく変わっています。1980年代のバブル時代の表現と、今日の貧困化する日本における表現は大きく違っているはずですが、そうした対比を実感できる機会はほとんどなく、いつも「現在」しかないために「現在」がずっと昔からそうだったかのような錯覚を抱いてしまいがちです。鶴見良行著「バナナと日本人」が出版されたのは1982年、村井吉敬著「エビと日本人」が出版されたのは1988年です。いずれもロングセラーの名作です。(2019/04/22)


コラム
再びフランス革命を考える時    村上良太
昨年「立ち上がる夜 <フランス左翼>探検記」という本を社会評論社から出版しました。これはフランスで2016年3月31日に始まった市民運動「立ち上がる夜」(Nuit Debout)の参加者たちをルポしたものです。彼らの運動はいったんは終息しましたが、やがて形を変えて「黄色いベスト」に受け継がれていきました。この運動をパリや地方都市で取材していた時、何度となく、フランス人たちから「フランス革命」に関する考えを聞かされることになりました。実は僕はこの本を書くための取材をするまで「フランス革命」についてはほとんど無知でした。(2019/04/12)


国際
ロンドンのエクアドル大使館からジュリアン・アサンジ氏が逮捕連行される光景 Ruptly TVの映像
ロンドンのエクアドル大使館からジュリアン・アサンジ氏が逮捕連行される光景 Ruptly TVの映像(2019/04/12)


コラム
黄色いベストの背中のメッセージ集が出版されました "Plein le dos "( いっぱいの背中)
最近、パリに住んでいるフランス人の知人から届いたのが"Plein le dos "( いっぱいの背中)というタイトルの黄色い冊子です。gilets jaunes(黄色いベスト)という話題の反マクロン政治運動の参加者たちがめいめい思いを記したベストの背中のメッセージを集めたものなのです。日刊ベリタでも背中のメッセージについては何度か紹介しました。パリのルイーズ・ムーランさんによる写真などででです。実はこの"Plein le dos "( いっぱいの背中)もムーランさんが発案者です。運動の記録となりますし、どんな思いの人が参加していたかを知る手掛かりになりえます。(2019/04/08)


政治
国会パブリックビューイング 4月9日(火)18時30分〜 JR新宿西口地下広場にて <『多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革』とは?>
【街頭上映案内】4月9日(火)18:30より、JR新宿西口地下広場にて、この4月より施行の働き方関連法を国会パブリックビューイングで取り上げます。昨年の国会審議を振り返りつつ、政府が「働き方改革」の名で進めようとしているものを改めて考えます。 解説:上西充子/ゲスト解説:全労連・伊藤圭一  解説を行う国会パブリックビューイング代表の上西充子教授は今回のテーマについて、こう述べています。上西代表「今回は、『第1話 働き方改革―高プロ危険編−』https://www.youtube.com/watch?v=LQ71hlwBEVo&t=521s (2019/04/08)


検証・メディア
アルジェリアの放送局を揺さぶる民衆の力革命 政府の検閲に対する記者たちの闘い
アルジェリアでは20年間政権の座にあったブーテフリカ大統領の五期目を民衆のデモが阻止することになった。民衆の要求を受け入れる形で4月2日、病で執務が十分にできないブーテフリカ大統領は辞職した。国民に対して許しを乞うた。これをフィリピンの例に倣って民衆の力革命と言ってもいいだろう。(2019/04/07)


国際
歴史が変わる日  アルジェリア 
4月2日、アルジェリアのブーテフリカ大統領が辞任した日、首都アルジェの通りに多くの人々が繰り出した。以下はその映像。(2019/04/05)


検証・メディア
アルジェリアの大衆デモと報道の自由を求める記者たちのデモ 
アルジェリアでなぜ新聞やラジオ、テレビなどの報道に携わっている記者たちがデモをしているのか。しかも、彼らのデモは、大衆デモの原因となっていた5選を目指していたブーテフリカ大統領が辞任しても続けられている模様です。そこには検閲の問題が関係していることは昨日書きましたが、さらにニューヨークにあるCPJ(Committee to Protect Journalists、ジャーナリストを守る委員会)という組織の人が、アルジェリアの報道関係者のデモについてブログを発表していました。タイトルは、”Barred from covering unrest, Algerian journalists hold own protests”(デモを報じるのを禁止されたため、ジャーナリストたちは自らデモを行う)というものです。(2019/04/05)


検証・メディア
アルジェリアで報道の自由を求めるデモ  検閲はもうたくさんだ! 記者ら約100人が集結
アルジェリアでは「第二の革命」が進行中だと先日書きましたが、ブーテフリカ大統領の五選の可能性が消えて大統領が辞任しただけではおさまらず、首都アルジェでは報道の自由を求めるデモが続いています。(2019/04/05)


コラム
輸入される思想と日本  暮らしと切り離されて箪笥の底に眠っていないか
日本に入ってくるフランスの思想や哲学というと、デリダとか、ドゥルーズとか、フーコーなどがすぐに挙げられると思います。しかし、こうした思想はどれだけ日本の大衆に影響を与えたか、というとほとんど知られていない気もします。こうした哲学は時々で流行りすたりのあるファッションに似て、その時の主流に多くの人がついていこうとするのも無理からぬような気もします。(2019/04/04)


文化
「黄色いベスト」を扱ったフランソワ・リュファン監督(共同)"J' veux du soleil! " (太陽が欲しい)の公開が始まる
昨年11月に始まり、今も毎週週末になると黄色いベストを着用してあちこちでマクロン大統領への反対運動を繰り広げる「黄色いベスト」を描いたフランソワ・リュファン監督(共同)のドキュメンタリー映画"J' veux du soleil! " (太陽が欲しい)の一般公開が4月3日に始まった。今回はジル・ペレ(Gilles Perret)との共同監督である。リュファン監督によると、過去1か月半の間に、先行的な上映会を各地ですでに80回行ってきており、およそ2万5千人が見たとのこと。そして今日始まる一般公開では140以上の映画館でかけられる。(2019/04/03)


文化
突出した伝統のあるリベラシオン紙の映画記事 映画批評家のジュリアン・ジェステル氏が来日 
 昨日、フランスの日刊紙、リベラシオンの映画記者、ジュリアン・ジェステル氏が日仏会館で同紙の映画批評の歴史を話してくれました。これは今、日仏会館が取り組んでいる企画の1つで、コーディネートしているのは日本映画研究家で、日仏会館の研究者であるマチュー・カペル氏です。僕はこれまで確たる認識がなかったのですが、リベラシオンはルモンドやフィガロといったフランスの大手日刊紙の中でも突出した映画記事の伝統を持っている、ということでした。何しろ、文化部から独立した「映画部」まで抱えていて、たとえば映画雑誌のカイエ・デュ・シネマと共同でカンヌ映画祭特集号を出すこともあるそうです。実際にカイエ・デュ・シネマの記者がリベラシオンに移籍したり、またその逆もあるようで、そうした人材交流の面を見ても、日本の新聞とは異なる伝統を持っています。(2019/04/02)


コラム
桜とチェーホフと高橋源一郎著「ぼくらの民主主義なんだぜ」  村上良太
毎年、満開になった桜を見ると、思春期の頃に清新な感動を覚えたチェーホフの戯曲「桜の園」などの一連の戯曲が思い出されます。ロシアに桜があるのですね。チェーホフの4大戯曲の1つ、「桜の園」では零落する貴族の持っていた桜の園が新興の資本家によって買い取られ、そこに別荘地が建設されることになり、桜を切り倒す音で幕を閉じます。チェーホフの戯曲には「かもめ」でもそうですが、未来を憂える登場人物が多く出てきます。とくに自然環境が、森が産業開発によって侵されていくことを憂える医師などのインテリが目立ちます。これはチェーホフ自身の心配でもあったに違いありません。そして、チェーホフは当時ロシアで起きている問題をその時点では解決できなくても、未来の人類が解決してくれるだろう、という希望も持ち、戯曲の中でもそうした言及があります。(2019/04/01)


人権/反差別/司法
パリ郊外の事実無根の噂「ロマが子供をトラックで誘拐している」でロマ(ジプシー)のキャンプが襲われる  ロマの住民たちを襲う不安
 事件は3月25日(月)、パリの北東、セーヌ=サン=ドニ県にあるにボビニーで起きた。ロマ(ジプシー)がトラックでフランス人の子供を誘拐しているという事実無根の噂がソーシャルメディアで広まったため、怒りに駆られ興奮した地元の人々がロマたちのキャンプを襲撃したというのだ。このキャンプにはロマがおよそ150人暮らしている。AFPの報道では50人余りのフランス人がナイフや棒を手に襲撃に集まった。キャンプに置かれていたロマの車は彼らが投げたレンガなどで壊され、ロマの人々に向けて投石が行われた模様だ。(2019/04/01)


国際
アルジェリアの第二革命  歴史は終わらない   村上良太
 この春、アルジェリアで起きたブーテフリカ大統領の5選を目指す出馬に反対する民衆のデモについてアルジェリアのジャーナリストに率直に「どう見ているか」、と聞いてみた。日刊ベリタにもたびたび寄稿いただいたTV局、Canal Algerieの記者、アブデルマジド・ベンカシ(Abdelmadjid Benkaci)氏である。(2019/03/29)


政治
菅官房長官記者会見における質問制限・質問妨害問題 #国会パブリックビューイング
3月14日、JR新宿駅西口地下広場で行われた「国会パブリックビューイング」の解説入り映像がYoutubeにUPされました。テーマは菅官房長官記者会見における質問制限・質問妨害問題 です。中心になっているのはマスメディアのジャーナリストらの抗議声明ですが、その背景となる首相官邸の記者会見における質問妨害事件と官邸からの圧力文書の経緯なども盛り込まれています。(2019/03/28)


文化
”ソ連のスーザン・ソンタグ”と言われた批評家、マリア・トゥロフスカヤさんが死亡(94) ミハイル・ロンム監督「ありふれたファシズム 野獣たちのバラード」の脚本も担当
「ソ連のスーザン・ソンタグ」と言われていた批評家のマヤ・トゥロフスカヤさんが亡くなった。94歳だった。ニューヨークタイムズが報じたのだが、3月4日でドイツのミュンヘンの自宅でだった。この十数年はドイツに移住していたのだと言う。(2019/03/28)


コラム
The Japan Times に竹中平蔵氏が日本の経済成長に高齢者の労働の拡大が欠かせないと寄稿
 The Japan Timesと言えば最近、社主が変わり、編集方針が大きく変わったと報じられたばかりだが、その後、どうなっているのだろうかと新聞を手にしたら、今日、竹中平蔵氏が高齢者の労働の拡大を推進することが大切だ、という論考を寄稿していた。そこでは72歳のcaregiverが東京の養護老人ホームで働いている写真が付されていた。”Elderly workers: Expectations and challenges"がタイトルである。筆者は新自由主義には反対だが、だからといって竹中氏の言論の自由を奪えばいいとは思わない。ただ、The Japan Timesに竹中氏が寄稿したのだとすれば、その論旨を知りたく思ったのだ。(2019/03/27)


政治
3・14首相官邸前抗議集会でのアピール: 「知る権利」を奪う首相官邸の記者弾圧に抗議する
3月14日に首相官邸前で行われた「知る権利」を守るためのジャーナリストらを中心とした抗議集会ではアピール文が最後に出版労連委員長の酒井かをり氏によって読み上げられた。それが以下である。集会で「国境なき記者団」の日本事務局の瀬川牧子氏が語ったように日本では記者の虐殺や投獄こそ未だ起きていないが、それ以前の段階で原稿が没にされたり、記者が干されたりしているのではないか、ということである。国民の「知る権利」という見地に立てばどちらも同じ、ということなのだ。 アピール「『知る権利』を奪う首相官邸の記者弾圧に抗議する 」(2019/03/27)


政治
国会パブリックビューイングを見に行く 4 菅官房長官記者会見における質問制限・質問妨害問題
国会パブリックビューイング(国会PV)をまた見に行った。国会PVとは国会審議を公共の場で人々とともに見る、という昨年6月に始まった市民運動である。代表の上西充子法政大学教授によると、今回はいつもと異なり、メインディッシュは3月14日に首相官邸前で行われた新聞記者らが呼びかけた国民の「知る権利」を守るための首相官邸に対する抗議集会の映像だった。この3月14日の首相官邸前の集会には筆者も取材に行ったので話の中身はすでに知っていた。しかし、それでも今日、国会PVに出かけたのは多数の新聞記者らが発言したこの集会をどのように上西氏らが約80分に構成し、どのような解説をしてくれるのだろうか、という興味からだった。(2019/03/26)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その10  望月記者の同僚・東京新聞社会部、柏崎智子記者が登壇
3月14日の首相官邸前の「知る権利」を守る集会には、官邸記者会見の場で質問を妨害されてきた東京新聞の望月記者の同僚、社会部の柏崎智子記者も訪れてスピーチを寄せた。この日、様々な新聞の記者が集まり、望月記者に連帯の言葉を寄せた。だが、中でもっともインパクトがあったのは同じ職場の記者である柏崎さんの言葉だった。というのは、今日、マスメディアであるなしを越えて、様々な職場で労働者が互いにライバルにさせられ、連帯どころか商売敵か監視しあう敵であるかのような空気が強まっているからだ。背景には権力の問題だけでなく、市場が縮小する時代ということがある。こんな今日だからこそ、同じ職場の同僚が仲間を応援する言葉は新鮮だった。(2019/03/25)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その9  自由党・森裕子氏 
3月14日の首相官邸前の「知る権利」を守るための抗議集会で、何人かの国会議員が応援に駆けつけてきた。自由党の参議院議員の森裕子氏もその一人である。自由党の幹事長だった玉城デニー議員が沖縄県知事になったために、現在、森氏が幹事長職を引き継いでいる。森氏のスピーチで興味深かったのは自らが権力の側にいたときのことを振り返って語ったことだ。「権力を持っている人は権力の行使、権力の作法というものを知らなければなりません。私も文部科学副大臣をしているときに毎週2回記者会見がありました。(2019/03/22)


国際
CNNの番組でもサウジの弾圧チームの存在を伝える NYT記者が語る  昨年のサウジの改革の報道は何だったのか?
イスタンブールのサウジ総領事館で起きたジャマル・カショーギ記者の惨殺の背景をめぐり米国で新たな話題が沸騰している。この殺害は1ダースにものぼる一連の弾圧を行ってきた秘密チームによるものだ、とニューヨークタイムズの2人の記者によって報じられたのだ。これをめぐり、CNNはNYT記者へのインタビューを行っている。(2019/03/22)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その8 社民党・福島瑞穂氏が登壇
3月14日の夜に行われた首相官邸前の「知る権利」を守るための抗議集会。これは記者会見の際の東京新聞社会部の望月記者の質問に対する首相官邸の執拗な妨害行為に対する抗議集会だった。この時、ジャーナリストばかりでなく、野党政治家も駆けつけてきた。社民党の参議院議員である福島瑞穂氏もその一人だ。福島氏は自己の体験を語ってくれた。国会で福島氏が質問の際に話した言葉が与党側から繰り返し、議事録から削除するようにとの要求を受けているというのだ。たとえば「戦争法」という言葉。あるいは「鉄面皮」と言う言葉。あるいは「技能実習生は現代の奴隷制ではないか」という問いの言葉。(2019/03/22)


文化
シャルリ襲撃で殺された漫画家、ジョルジュ・ヴォランスキの漫画1000点以上が閲覧できるサイトが登場。エロスを描いて一番のフランスが誇る漫画家
2015年1月にフランスの風刺漫画シャルリエブドの編集室が襲撃され、漫画家たちが殺されたのだが、その中の一人がジョルジュ・ヴォランスキ(Georges Wolinski)だ。かつては月刊シャルリの編集長でもあった。フランスで70年代から80年代にかけてデビューした当時の若手作家たちにとってヴォランスキは父的な存在だった。そのヴォランスキだが、日本でシャルリ事件というとイスラム教徒に対するヘイトの漫画家が殺されたのは仕方がない、みたいな反応もあった。しかし、ここに出てくるヴォランスキの漫画を見れば、そうではなかったことがわかるだろう。(2019/03/21)


国際
サウジ皇太子が秘密のチームを率いていた可能性を報じたニューヨークタイムズ カショーギ記者殺害は組織的弾圧の中の1コマか
ニューヨークタイムズは3月20日の国際版の社説”Shedding illusion about the Saudis " (サウジへの幻想がこぼれ落ちる)で、サウジ皇太子のムハンマド・ビン・サルマンがサウジの国民を監視、誘拐、監禁、拷問などを秘密に行うチームを持っていたらしいことに触れている。カショーギ記者の殺害の1年以上前からだったとされる。皇太子は世界に向けては改革派のイメージを演出していたが、サウジの市民グループによると、サウジ国内では2600人以上の科学者、記者、弁護士、女性の人権活動家らが拘束されていたとされる。しかも、2015年1月の皇太子の父に当たるサルマン新国王の即位以後、弾圧は急激に増えた、という。カショーギ記者の殺害も単独の事件とみるよりも、一連の組織的な弾圧の一部だったのではないか、というのだ。(2019/03/20)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その7 東京新聞社会部の望月衣塑子記者が登壇
国民の知る権利を守るための3月14日の首相官邸前集会、スピーチを行う記者らの最後に東京新聞社会部の望月衣塑子記者が登壇した。望月記者はこの日、最初からずっと演壇のすぐ脇にいて、野党議員や弁護士、同業の記者らの話を聞いていた。今、問題になっているのが首相官邸が望月記者の質問を妨害していることである。権力側による恣意的な記者の排除をいったん認めればその先にジャーナリズム不在の恐ろしい時代が来ることは明らかだ。様々な記者が様々な立場から、この問題をどう見ているかを語り、記者の連帯を呼びかけた。では望月記者はこの日、いったい何を語るのか。一同、固唾をのんで登壇した彼女の話に耳を傾けた。(2019/03/18)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その6 「国境なき記者団」の瀬川牧子氏  
3月14日の「知る権利」を守るための官邸前集会では、東京新聞・望月記者への首相官邸側の質問妨害に関して抗議声明を出した「国境なき記者団」の瀬川牧子氏も登壇してスピーチを行った。瀬川氏「毎年各国のプレスランキングを発表させていただいておりますフランスのパリに本部を置く『国境なき記者団』の日本特派員の瀬川と申します。今回の望月さんへの質問妨害に関して『国境なき記者団』の方から声明文を出させていただきました。重要なところだけ読み上げさせてください・・・」(2019/03/17)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その5 広島から駆けつけた中国新聞の石川昌義氏
3月14日夜、首相官邸前に新聞・放送などのジャーナリストをはじめ多くの市民が、記者の取材に対する執拗な官邸側の妨害行為に対して抗議するために集まりました。広島から駆けつけたのが中国新聞の石川昌義氏です。中国新聞が加盟する新聞労連の中国地連もまた、独自に首相官邸に抗議声明を出したのだと言います。石川氏「私は記者の仕事をはじめて20年になるんですが霞が関、永田町などで仕事をしたことはありません。ほとんど人口数万人の小っちゃな町で仕事をしてきました。そんなかでもこういうマスコミに制限を加えたりという無作法なふるまいはすぐ広がっちゃうんです。」(2019/03/16)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その4 毎日新聞労組の吉永磨美氏。
3月14日の首相官邸前の「知る権利」を守る集会には多くのジャーナリストたちが馳せ参じた。主催したのは日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)。この中の「新聞労連」に属する毎日新聞労組の吉永磨美氏はジャーナリストの立場から、今問題になっている記者会見における東京新聞・望月記者に対する官房長官らの嫌がらせについて、こう語った。吉永氏「テレ朝の記者が勇気を出して財務次官を訴えたのが約1年前です。この官邸における記者排除の根底にはこのセクハラの問題とかなり共通性があると私は思っています。権力側である官公庁など取材先との関係性やネタ取りを重視するあまり長い間、女性記者はセクハラにあいながらも黙らされてきました。・・・」(2019/03/15)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その3 新崎盛吾氏(共同通信労組 元新聞労連委員長) 
3月14日、首相官邸前で行われた「私たちの知る権利を守る」集会には新聞労連の委員長を以前つとめた新崎盛吾氏も駆けつけてマイクを手にした。新崎氏は共同通信労組のジャーナリストで、新聞労連委員長に選出されたのは2014年7月25日の新聞労連第124回定期大会だ。この定期大会のメーンスローガンは「労働組合の原点に帰ろう」だったとされ、すでにその頃、表現の自由に冬が訪れているという認識が広がっていた。2013年の暮れに国会で可決された特定秘密保護法や2015年の安保法制などはそれらの象徴的なものだ。新崎氏が委員長をつとめたのは2016年までだから、まさにそうした緊迫した時代を新聞労連の委員長として過ごした人物である。(2019/03/15)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” その2 バナーの2色
 昨夜首相官邸前で行われた「知る権利」を守る集会で主催者を代表して南彰氏(日本マスコミ文化情報労組会議議長)はチラシに2色を用意したと言っていた。現場でそれを聞いていた筆者は、そこに何の意味があるのか、にわかにはわからなかった。写真を撮って自宅で見ると、確かに横断幕にも2色でキーワードがつづられている。「表現の自由」「報道の自由」「民主主義」これらを守ろう、と書かれているのだが、それが赤色と青色でそれぞれデザインされている。(2019/03/15)


政治
首相官邸前で行われたマスメディア・ジャーナリスト・市民の抗議集会 "FIGHT FOR TRUTH” 官房長官らの記者に対する不当な質問妨害に抗議 
3月14日夕方、首相官邸前で抗議集会が行われました。といっても今更抗議集会自体には誰も驚かないでしょうが、今回の主催者が新聞や放送、出版などのメディアが参加する日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)だと聞くと「へえ」と思う人もいるのではないでしょうか。「日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)」とは新聞労連・民放労連・出版労連・全印総連・映演労連・映演共闘・広告労協・音楽ユニオン・電算労で構成する組織です。MICが官邸前でこうした行動を起こしたのは初めてのことだと言います。筆者もこうしてメディア業界の人が官邸前に集結して抗議に立ち上がるのはこれまで一度も見たことがありません。今回の集会はMICの中でも新聞労連が中心となったということです。「知る権利」の擁護を掲げた集会ですが、焦点になっているのは菅官房長官に新聞記者が質問をしようとしても執拗に質問を妨害されている問題です。(2019/03/15)


コラム
フランスの口頭試問   村上良太
最近、フランスの口頭試問を描いたユニークな2分の短編映像を見た。口頭試問というのはあまり日本人にはなじみのない試験方式ではなかろうか。思い出す限りにおいて筆者が学生時代に受けた試験はすべて筆記試験なのだ。さて、その短編はエリートを輩出するパリ政治学院(Science Po )の入試という設定で、何やら古ぼけた屋敷で3人のいかめしい男女の試験官が一人の若者に口頭試問を行う。3人がそれぞれものものしい言葉で試験の意義を語ったあと、女性の試験官が「それでは恋愛について10分で語りなさい」と言って、砂時計をひっくり返す。若者は意外な課題に度肝を抜かれ、しばらく言葉も出ない。「この試験は地政学でしたよね・・・・」とひ弱に語るが、沈黙の中、刻々と時間が過ぎていく。(2019/03/14)


欧州
フランスの眼科医35人がマクロン大統領にフラッシュボールの使用一時停止を求める請願書を送る
france bleuの報道によると、フランスの眼科医35人がマクロン大統領に、「黄色いベスト」を鎮圧するためこれまで使用してきたゴム弾(「フラッシュボール」と呼ばれることが多い)の使用の一時停止を手紙で請願した。(2019/03/13)


欧州
市民権の制限に乗り出したマクロン大統領  先月可決したフランスの「反暴動法」  
マクロン大統領が率いる行政府と、国会で多数派を率いるこれまたマクロン大統領の率いる新党「共和国前進」の与党が、11月から続くマクロン政権に対する抗議運動「黄色いベスト」を封じるべく先月、「反暴動法」を制定した。法案の骨子は、現地の報道によると、自治体の首長か治安当局者が、ある運動参加者を公共の安全に対して危険な人物だと認めれば、その人物を強制的に運動から排除できるとする法律のようである。これに対してフランス国内からも外国メディアからも市民権の不当な制限ではないか、とする批判的な報道が出ている。(2019/03/11)


検証・メディア
国会パブリックビューイング運動の射程  村上良太
昨年始まった国会審議を公共の場で広くともに見る国会パブリックビューイング(国会PV)という運動についてその現場を訪れて、何回か記事を書きました。今後のことは未知数ですが、この運動が長く続いていくといいな、という思いを筆者は持ちました。国会審議はTVで中継されることもありますが、多くの国民や市民はそれを同時中継で見ることが実際にはできないですし、さらにTVや新聞でのちに報じられたものが、必ずしも実際の審議の場を的確に描写したり、編集したりしているかと言えばそうではないようです。そこには編集デスクやプロデューサーたちの主観も入りますし、政治的な忖度も混じることがあるでしょう。仮に政治的な忖度がなかったとしても、報じる人の主観的判断が作用しますから、様々な政治的見識や批判的精神を持つ人が社会に共存する以上、本質的にどんな報道であれ異論を持つ人が出てきてもおかしくないのです。(2019/03/09)


文化
日仏会館図書室図書室「日仏の翻訳者を囲んで」 第九回 コリーヌ・カンタン氏 ( 司会 丸山有美 )
さて、3月6日に行われた「日仏の翻訳者を囲んで」(通算で第九回)ではフランス著作権事務所のコリーヌ・カンタン代表取締役がトークを行いました。フランス著作権事務所はフランスの本の邦訳や、日本の本の仏訳など双方向で著作権交渉を行う企業です。なんと日本で翻訳されるフランス書籍の8割近くがこのフランス著作権事務所を介しているのだそうです。年間にすると150〜180冊に及ぶと言いますから、2日に1冊くらいのハイペースです。そういう意味ではフランス書籍の翻訳活動を考える人にとってコリーヌ・カンタン氏はいずれ必ずや出会うことになる人と言って過言ではありません。(2019/03/09)


欧州
「黄色いベスト」による革命の可能性 パトリス・マニグリエ(哲学者)  Le potentiel révolutionnaire des gilets jaunes Patrice Maniglier
●「黄色いベスト」による革命の可能性  以下に述べることはすでに十分に明らかだろう。「黄色いベスト」という運動はフランスにおいて〜1968年の五月革命以来、いやさらにアルジェリア独立戦争以来と言ってもいいのだが〜本物の革命の可能性を明確に示した、ということである。この革命という言葉については共通理解が必要である。革命とは権力に変化が起こることである(それが政治権力の中枢にいる人々が他の利益のために追い出される場合であれ、権力構造自体が変革される場合であれ)。そしてその権力の変化が統治される「マッス」(masse:大衆、塊、集団)による不服従によってもたらされる場合である。(2019/03/08)


検証・メディア
ハーバービジネスオンラインに寄稿した上西充子教授のテキスト「小川淳也議員による根本大臣不信任決議案趣旨弁明を悪意ある切り取り編集で貶めたNHK」
ハーバービジネスオンラインに寄稿した上西充子教授のテキスト「小川淳也議員による根本大臣不信任決議案趣旨弁明を悪意ある切り取り編集で貶めたNHK」が以下のリンクでインターネットで読むことができます。(2019/03/06)


政治
詳しくは明日のハーバービジネスオンラインで 国会を扱うニュースの印象操作について
国会審議を広く伝えて、同時に国会を監視する機能も果たしているのが昨年始まった「国会パブリックビューイング(国会PV)」という運動。公共の場で、識者の解説を交えつつ、ともに国会審議を見る運動だ。国会PVの代表をつとめる上西充子・法政大学教授は国会審議を扱うテレビのニュース番組も日々ウォッチしている。国会審議をマスメディアがゆがめて伝えたり、冷笑的に扱ったりしてはいないか。こうした観点から、上西教授は明日のハーバービジネスオンラインに寄稿して、この問題を指摘するのだと言う。以下はそのことに関する、本日の上西教授のツイッターから。衆院予算委での小川淳也議員の発言を切り取ったNHKのニュース番組への批判のようだ。(2019/03/05)


コラム
ハノイでの米朝会談に先立ち、NYTコラムニストの二コラ・クリストフが展望を開陳していた
ニューヨークタイムズの逸話にこんな話がある。米ソ間のキューバ危機の渦中、ケネディ政権はニューヨークタイムズのコラムニストを使って、観測気球を打ち上げ世論の反応を見た。トルコにある米軍のミサイル基地を撤去することでキューバからソ連の核ミサイルを撤去してもらうという交換条件の提案だった。実際、その提案は現実的になったがキューバ危機が終結してしばらく後のことだったと言う。ニューヨークタイムズのコラムニストの二コラ・クリストフがトランプ政権の意を汲んで書いたとは思わないものの、2月26日付のニューヨークタイムズに彼が書いた"The Kim and Trump Nobel Peace Prize"という一文は、今になって読むと、その直後に行われ、合意が見送りになった米朝交渉の先取りのような印象がある。(2019/03/04)


政治
「国会パブリックビューイング の機材まとめ」 国会PVの機材的側面は?
国会審議を公共の場所でともに見て、解説も合わせて聞く、という国会パブリックビューイング(国会PV)が次第に注目度を上げています。先日は国会PVの解説者が2人、上西充子・国会PV代表とゲスト解説者の明石順平弁護士が国会で公述人として話をしてきたばかりです。国会PVは国会の中と外を行ったり来たりする人々が、国会の中の実像を外の世界に知らせよう、という面を持っています。と同時に、国会の外の人々が中の人々の言動を監視できるという面も兼ね備えています。この国会PVの機材的側面をまとめたサイトも出ていました。以下のまとめです。(2019/03/01)


みる・よむ・きく
ユルゲン・ハーバーマス著 「人間の将来とバイオエシックス」 その3
ドイツの哲学者ユルゲン・ハーバーマスの著書「人間の将来とバイオエシックス」について書いているのだが、「その2」あたりから、筆者の妄想が先走ってしまっているように思う。ハーバーマスが抱いた悪い予感みたいなものが何だったか、それを筆者なりに想像してみたのである。理想的肉体や理想的頭脳を目的に遺伝子操作を受けて誕生した人間は、その事実を知った時、どのような心理的な影響があるかさだかにわからないが、その影響は大きいのではないか、確かそんなことをハーバーマスは書いていた。そして、この本で最もインパクトのある記載がそのことだった。ハーバーマスはドイツ人だから、当然、ナチスの優生思想や反ユダヤ主義が頭の中にあったのだと思う。つまり、新しい形のマスターレイス(優越人種)が遺伝子工学を契機に作り出される恐れはないか、ということだと思う。(2019/02/28)


みる・よむ・きく
ユルゲン・ハーバーマス著 「人間の将来とバイオエシックス」 その2
ドイツの哲学者ハーバーマスは「人間の将来とバイオエシックス」の中で21世紀に人類が2種に分裂する可能性を指摘していた。わかりやすくたとえれば、エリート種と在来種にである。もし1%の富裕で力を持った人間がその他の99%に対する優位を恒久化する方法は99%を「動物」に区分してしまうことだろう。そして、もし99%が動物に格下げされたなら、環境への負荷を減らすために地球上の人口を一気に減らすこともできるだろう。こうした道を開くのが遺伝子操作である。99%を遺伝子操作しなくても1%が遺伝子操作を子孫に施せば2種に分かれることは起きうる。新しい種とは過去の人類の欠陥を克服できるように、さらに未来に順応できるように遺伝子操作でデザインされた人類である。すでにデザインされた赤ちゃんは多数生み出されている。(2019/02/27)


社会
ネットを悪用した「ヘイト攻撃」を考える集会 【第3弾】〜SNSを使ってみよう〜
ネットを悪用した「ヘイト攻撃」を考える集会、という興味深い催しが行われています。 ヘイトスピーチや誹謗中傷にネットという新しいツールが使われていることから、これに対して有効な防衛策を具体的に講じる、ということが狙いの講習会です。昨日、東京の連合会館で行われたものは第三弾として、ヘイトスピーチをする人々がSNS(ソーシャルメディア)を活用するのなら、防衛する側もSNSを使ったらどうか、というもの。ところが、これまで労働組合のリーダーの人たちの中にはSNSをあまり活用できていなかった、という人がどうも少なくないようなのです。(2019/02/22)


政治
国会パブリックビューイングを見に行く 3  政府統計不正問題 緊急街頭上映(新宿駅西口地下) 2019年2月16日
2月16日土曜日、東京の新宿駅西口地下で国会パブリックビューイング(国会PV)の緊急街頭上映が行われた。国会PVとは国会審議を公共の場でともに見る、という昨年始まった市民運動である。この日のテーマも厚生労働省の毎月勤労統計のデータの不正問題だ。今回の国会審議は主に2月13日の衆院予算委員会での質疑である。いつもの上西充子法政大学教授(国会PV代表)とともに解説に加わったのは明石順平弁護士だ。明石弁護士は「アベノミクスによろしく」や「データが語る日本財政の未来」などの著作を通して現政権の経済政策の失敗を豊富なデータで検証してきた人である。明石氏は明快にアベノミクスと賃金の関係についてこう語った。(2019/02/19)


検証・メディア
【緊急街頭上映】政府統計不正問題 2019年2月16日(土)18:30〜新宿駅西口地下 解説:上西充子(#国会パブリックビューイング 代表) ゲスト解説:明石順平(弁護士)
 新しい試みとして話題になっている国会パブリックビューイング(国会PV)。国会審議を公共の場で一緒に見る、という運動。そしてVTRの間に詳しい人が適宜解説を挟みます。次回は今週の土曜日の夕方です。【緊急街頭上映】政府統計不正問題 2019年2月16日(土)18:30〜新宿駅西口地下 解説:上西充子(#国会パブリックビューイング 代表) ゲスト解説:明石順平(弁護士) 今週の予算委員会の質疑を取り上げます。(2019/02/14)


検証・メディア
ジェフ・キングストン氏が豹変したジャパンタイムズについて書いたコラム”Media ethics betrayed in Japan” ( Jeff Kingston ) 言論機関への政府介入事件の可能性も
最近、ロイターなどの記事で、日本の老舗の英字新聞、The Japan Timesが歴史修正主義にスタンスを変え、政府から広告をもらうようになったと知って唖然としたばかりだ。ニューヨークタイムズを新聞販売店で定期購読すると、The Japan Timesも一緒に否応なく購入されているため、なおさら、The Japan Timesのそのような変化は嘆かわしく思われていた。そんな中、The Japan Timesの元コラムニストのジェフ・キングストン氏が、この件について直接、コラムを別のメディアに書いていたのを読んだ。2月12日付のEast Asia Forumである。”Media ethics betrayed in Japan”(日本でメディアの倫理が裏切られた)という題である。(2019/02/12)


文化
オーストラリアのボサノバ歌手 アンナ・サーレイ(Anna Salleh )
オーストラリアのシドニー在住のボサノバ歌手、アンナ・サーレイ。子供のころ、父親からリオ・デ・ジャネイロを舞台にした「黒いオルフェ」(Orfeu Negro)を見せてもらったことがきっかけで、ブラジルの音楽に夢中になったと地元新聞で読んだ。だが、ボサノバやサンバも歌うが、ジャズ歌手という風に地元では知られているようだ。(2019/02/12)


政治
国会パブリックビューイングを見に行く  その2 〜国会を市民に『見せる』(可視化)から、市民が国会を『見る』(監視)に〜
前回、国会審議の記録映像を公衆の場で上映する「国会パブリックビューイング(国会PV)」についての記事を書いた。実際に国会PVが行われている現場を訪れて、国会審議の映像を見ながらその脇で解説してくださった法政大の上西充子教授や全労連の伊藤圭一氏の話を聞いて速攻で記事にまとめたところ、通常の4〜5倍のアクセスがあった。多くの人がこの運動に関心を寄せているのが感じられた。上西教授によると「国会PVは、国会を市民に『見せる』(可視化)から、市民が国会を『見る』(監視)に進化しつつあると思っています」ということだそうだ。(2019/02/11)


みる・よむ・きく
シモーヌ・ヴェイユ著「工場日記」(田辺保訳)
フランスの女性の哲学者、シモーヌ・ヴェイユ(1909-1943)による「工場日記」はどのように受け止められ、読まれてきたのだろう。戦時中、34歳の若さでロンドンで亡くなったヴェイユの哲学にこれまで親しんだことはなかった。本書を手にしたきっかけはフランスの知識人が自ら工場に飛び込んで体験したことを記したノートである、ということである。これはかなり稀有なことなのではなかろうか。 動機はもう一つある。個人的なことだが、私が大学時代に翻訳者の田辺保教授のフランス文学史の講義を受けていたことである。田辺氏の講義は非常に優しく、権威をかさに着ず、威張らない先生だった。フランスの伝統である人文主義というものを教えてくださった。田辺氏の専門はブレーズ・パスカル(1623 - 1662)だった。私も将来、年老いて労働をやめる日が来たなら、パスカルを人生最期の座右の書にしよう、と20歳のころ思っていた。パスカルとシモーヌ・ヴェイユ、かなり距離があるような気もするが、田辺保氏のライフワークの中で恐らくは深く結びついたのではなかろうか、という気がする。だが、そうだとしたら、それは何なのだろう。(2019/02/11)


コラム
すっかり大人の味わいに メキシコ人の歌手、ナタリア・ラフォルカデさん
10年近く前になろうか、スペイン語を勉強していた時、NHKのスペイン語講座のテキストで抜群に個性的な一人の歌手が紹介されていた。ナタリア・ラフォルカデ (Natalia Lafourcade)という名前のまだ若い女性で、20代になるかならないかだった気がする。彼女のミュージックビデオは非常に才気走ってとがっていた。あひるのぬいぐるみにくるまって歌った「アヒル」(Un pato)や夜の都会を仲間と何かを求めて (2019/02/09)


政治
国会パブリックビューイングを見に行く   村上良太
2月6日、最近、話題になっている国会パブリックビューイングを見に行った。国会パブリックビューイングは国会での質疑応答のビデオを公衆の場で人々と一緒に大きなモニターで見ながら、ところどころにそのイシューに詳しい人が解説をはさむ、という形で行われている。最近始まったこの運動についてインターネットでは知ってはいたが、やはり一度現場で見ようと思ったのだ。新宿駅西口地下、午後6時20分。訪ねてみると小田急線と京王線につながる地下通路の合流する地点にはスクリーンが設置され、小型のカメラやスピーカーなど、セッティングはほぼ終わっていた。司会は法政大学の上西充子教授と全国労働組合総連合の伊藤圭一氏(雇用・労働法制局長)だ。(2019/02/06)


文化
独仏共同出資の放送局ARTEのドキュメンタリー”Le piège des Kim ”(キムの策略) 核兵器をめぐる北朝鮮とアメリカの交渉の歴史を見つめる
ARTE(アルテ)と言えばドイツとフランスの共同出資でできた放送局で、欧州では高い評価を得ているようです。ARTEはその作品の中からいくつかをYoutubeに設けたチャンネルに放流しているため、フランス語を学ぶ学生やテーマになっている歴史や文化に関心のある人は一見の価値のあるプログラムのように思われます。前回紹介したのはヒトラーとスターリンの独ソ不可侵条約がどのように結ばれたかを振り返るもので、豊富な映像資料を駆使して歴史を語っていました。国境を超えることで相互に持っている映像を足し算ではなく、掛け算にできるということが感じられ、それまで活字でしか触れることのできなかった欧州史を映像で見ることができた、という希少な経験となりました。(2019/02/06)


コラム
アベノミクス提灯報道に関わってきた報道デスクたちにとって今発覚している統計不正とは?
多かれ少なかれ、すべてとは言わないまでも第二次安倍政権発足来、多くの新聞やテレビがアベノミクスを称える報道をしてきた。今頃、「実質賃金の重要性が認知されてきた」、などという驚くべき話が飛び交っているのも、この6年間、努めて経済の実相を報道しないようにしてきたからだろう。たとえば2015年6月初旬に大手新聞が4月の実質賃金が上昇した、と大きく報道したことがあった。しかし、6月の末に厚労省は前年比でマイナスだったと修正した。とはいえ、6月初旬の大々的な報道に比べて修正の周知は小さくつましいものだったように記憶している。(2019/02/03)


市民活動
国会パブリックビューイング  
労働を研究している学者、上西充子教授と言えば裁量労働制に関するおかしな統計を追及したことで記憶に新しいですが、その上西教授が今、行っている興味深い活動が「国会パブリックビューイング」です。1月29日にJR有楽町ガード下で行われたのが、毎月勤労統計不正調査問題 緊急街頭上映というものです。(2019/01/30)


政治
アベノミクスの正体  厚労省統計のかさ上げが暴露される
立憲民主党の蓮舫参院議員が明石順平弁護士作成の検証統計データを紹介し、アベノミクスの成果発表のおかしさをツイッターで指摘した。蓮舫議員 「アベノミクスの成果の根拠として去年6月に前年比3.3%としていた賃金上昇率の伸び率が実は1.4%だった。実質賃金の伸び率で比較すると2%が実は0.6%と推計されました。昨年1月から11月の平均は-0.5ではないかと推計もされます。 (2019/01/30)


欧州
黄色いベストの背中にこめたメッセージ    その2   村上良太
フランスで昨年11月に始まったマクロン大統領とその政権に対する反対運動「黄色いベスト」(gilets jaunes) は今も週末ごとに続いています。これは韓国で朴槿恵大統領を糾弾した時と同じような長い運動になりつつあります。参加者たちが着用する黄色いベストには、その背に様々な思いが書き込まれています。それを集めたウェブサイトも生まれました。創設したのは参加者の一人、ルイーズ・ムーラン(Loise Moulin)さんです。(2019/01/28)


コラム
誰かフランスの社会学者、モニク・パンソン=シャルロ(Monique Pinçon-Charlot)の本を訳してくださらぬか 〜フランスの大富豪が動かす政治の研究で著名〜 
 外国書籍の翻訳がわが国で低迷していると言われてすでに長いですが、フランス語圏の書籍の翻訳においてもその傾向は続いているように思われます。フランスを訪れて感じるのは興味深い本を書店で見かけても日本にはあまり届いていない現実です。それがフランス一国にしか通じない特殊事情となると、それも仕方がないか、と思われますが、筆者が書いているのは日本においても興味深く思って読む人は一定数いるのではなかろうか、と思える書籍です。まず、第一に挙げておきたいのがモニク・パンソン=シャルロ(Monique Pincon-Charlot)という名前の女性の社会学者です。新興財閥や大富豪の研究で著名です。ネットで検索すると確かに「パリの万華鏡 多彩な街の履歴書」というタイトルで翻訳書は出ていますが、これはむしろ大富豪といよりもむしろ都市社会学的な研究書らしく、寡聞にしてその他は知りません。(2019/01/27)


コラム
右傾化したジャパンタイムズとセット販売の、ニューヨークタイムズ
今日、インターネットではロイターやThe Asia-Pacific Journalのある報道が話題を呼んでいました。それはおよそ120年の伝統を持つ日本の英字新聞の老舗The Japan Timesの編集方針が右傾化したというものです。ロイターの記事の日本語版が以下です。「焦点:『慰安婦』など表記変更 ジャパンタイムズで何が起きたか」という見出しです。(2019/01/25)


文化
小林正樹監督のドキュメンタリー映画「東京裁判」がデジタルリマスター版として公開 〜トラック54台分のフィルムを4時間半に〜
小林正樹監督のドキュメンタリー映画「東京裁判」がデジタルリマスター版として公開される予定です。全編で4時間半にも上りますが、日本が巻き起こした戦争責任を考えるうえで最高の資料であるだけでなく、小林正樹という切れ味の鋭い知的な監督による傑作でもあります。東京裁判の終了後、25年が経過して記録フィルムが公開されたことが映画化のきっかけだったと言われています。実際に編集が始まったのは1978年のころのようです。編集を担当したのは様々な名作を手掛け、映画の編集で名前が知られていた浦岡敬一氏(1930 - 2008)でした。ドキュメンタリーということもあり、フィルムを切り出していく具体的な作業は浦岡氏が担当していたことになります。(2019/01/24)


欧州
独ソ不可侵条約への経緯を描く独仏の放送局ARTEのドキュメンタリー「ヒトラーとスターリンの条約」(1月13日から3月8日まで無料視聴可能)
独仏共同出資の放送局ARTE(アルテ)が1939年8月23日に結ばれた独ソ不可侵条約の経緯を描いたドキュメンタリー「ヒトラーとスターリンの条約」をインターネットで無料公開中だ。1月13日から3月8日まで視聴可能である。ただし、この番組の制作はフランスのようである。独ソ不可侵条約こそ第二次大戦の引き金となったナチとソ連との軍事不可侵条約であり、その結果、両国が東欧諸国を分割する結果となった。ドイツは1週間後の9月1日にポーランドに侵攻している。その背景には欧州の2大国だった英仏両国がヒトラーのドイツのチェコのズデーデン地方割譲を認めた1938年9月のミュンヘン協定があった。このいわゆる宥和政策を見て英仏両国の姿勢に疑問を持ち、スターリンは英仏と同盟を結ぶ道を捨て、ドイツとの接近を図ることになった。その過程にはこの番組の中でも描かれているソ連の外交を率いていた外務大臣のマクシム・リトヴィノフが1939年5月に解任され、モロトフに交代したことが挙げられる。(2019/01/22)


欧州
黄色いベストの背中にこめたメッセージ  
フランスで昨年11月17日に始まり、今も週末ごとに続いているマクロン政権への抵抗運動、いわゆる「黄色いベスト」は単なる乱暴狼藉の無頼漢の集合体というわけではありません。彼らの黄色いベストの背中には様々な思いが書き記されているのです。そこから何が読み解けるのでしょうか。パリで2016年3月31日に始まった運動の「立ち上がる夜」に参加したのち、「黄色いベスト」にも参加しているデザイナーのルイーズ・ムーランさんによる写真です。(2019/01/21)


国際
今中東でここが知りたい  シリアとイラクにおける「イランの影響力」の実像
今後のトランプ政権の中東政策を見通すうえで要となるのがシリアとイランにおける米軍とイラン軍あるいはイランの影響力のあるシーア派民兵の力関係です。新聞を読んでもなかなか現状がつかみにくいのがこの点です。実はイラク戦争終結間もないころから、イランの影響力についてはいろいろ書かれてきました。日刊ベリタでも平田伊都子氏が初期から触れています。しかしながら、中東の現場でイランの影響力が具体的にどのようなものなのかはなかなか知る機会がありません。(2019/01/21)


コラム
安倍政権でやはり進んだ日本のソ連化    
安倍政権が発足して1年目の2013年11月に筆者は「日本がソビエト化する日」という文章を書いた。あれから5年と2か月、悲しいかな日本のソ連化は予想通り進んでいる。では日本のソ連化とは何か。当時の拙稿の一部を採録したい。 <安倍政権が成立させようとしている特定秘密保護法案も究極的にはソビエト型官僚主義時代の始まりと言えるのではないか。秘密が何かわからないことは国民の真実探求への道を封じるものである。それはまさにソビエト化への道であろう。あの時代のソ連の代表的新聞は「プラウダ」(真実)という名前だった。だが「プラウダ(真実)」は真実よりもソ連共産党の見解を伝えるメディアだった。・・・(2019/01/19)


文化
フランソワ・リュファンが「黄色いベスト」に捧げる新作ドキュメンタリー映画を製作中
フランスで2016年に始まり大きな動きとなった政治変革運動の「立ち上がる夜」(Nuit debout)。その起爆剤となったのがドキュメンタリー映画「メルシー・パトロン!」だった。これはフランス北部のテキスタイル工場が工場の東欧移転によって閉鎖となり、労働者が疲弊していく状況と、それに対する闘いを描いた映画である。この映画が2016年3月31日にパリの共和国広場で無料上映されたことで多くの人々の心に火をつけたのだった。監督のフランソワ・リュファンは当時、北の地方都市アミアンでFAKIRという隔月の新聞を創刊編集していたが、そのジャーナリズムと闘争の延長線上で初監督した映画が「メルシー・パトロン!」である。数か月で50万人の観客を集め、翌年のセザール賞最優秀作品賞を得ている。(2019/01/18)


みる・よむ・きく
三浦信孝・福井憲彦編著「フランス革命と明治維新」(白水社) 〜ついに明治維新が世界十大革命入り〜
昨年12月に出版された三浦信孝・福井憲彦編著「フランス革命と明治維新」(白水社)は非常にエキサイティングな内容になっている。というのは本書は昨年、日仏会館で日仏の気鋭の歴史学者らが顔を合わせてフランス革命と明治維新に関して討論を闘わし、その結果、フランスの革命研究の第一人者でフランス革命史研究所所長のピエール・セルナ氏がとうとう明治維新を世界の十大革命の中に入れることになったからだ。本書はその時の討論会で交わされた基調講演がもとになっている。講演者は4人でフランスから来日したのがピエール・セルナ氏と日本史の研究者ピエール=フランソワ・スイリ氏(フランス国立東洋言語文化研究所教授)、日本側は明治維新の研究者、三谷博氏(東大名誉教授)と日本政治思想史の研究者、渡辺浩氏(東大名誉教授)である。(2019/01/18)


コラム
トランプ政権の危険性  イランとの戦争前夜  そしてマティス国防長官の辞任
米国のトランプ政権と蜜月を演出してきた安倍首相である。トランプ政権が未だ発足する前の2016年の選挙直後から非公式に選挙に勝利したトランプ氏に一国の首相が会いに行ったことは多くの日本人のプライドを傷つけた。そのトランプ氏は選挙戦では外国に出兵するのはアメリカファーストの原則から無駄だとしばしば言っていたことから、米国の軍事介入や米国がしかける戦争が減るのではないか、と期待した人も少なくなかった。ところが、ニューヨークタイムズの1月16日の記事によると、米国はイランとの戦争前夜にある。(2019/01/16)


コラム
カイロの猫たちの記録   モスクワの雪  Heather Hermit
エジプトで衰弱していたのを保護された子猫のラムセスは(すっかり大きくなって)現在、モスクワで暮らしています。ちょうどこの季節、彼は初めての寒い冬と本物の雪を経験しているのです。まず秋にラムセスは寒さで病気になり、薬を飲まなくてはなりませんでした。しかし、今では次第にロシアの猫となりつつあり、毛の色と同じく白い雪を楽しみ始めているのです。(2019/01/16)


人権/反差別/司法
NBAニューヨークニックスのバスケットボール選手 エネス・カンターの恐怖 
1月14日付のニューヨークタイムズの記事でNBA(ニューヨークニックス)のバスケットボール選手、エネス・カンター氏がロンドンでの試合出場を欠場しようとしていることが報じられた。エネス・カンター氏がロンドン行きを拒んでいるのは彼の母国であるトルコ政府の殺し屋に暗殺されることを恐れているからのようだ。(2019/01/15)


コラム
「日本から遠い」?  放送局による新鎖国
今、NHKでは他国で起きている社会事象、とくに経済をめぐって起きる社会的確執をなるだけ日本に紹介させまいとしています。そのためにそのような企画を却下する姿勢があります。しばしば使われる表現が「日本から遠い話題だから」。今は欧州でも10時間ほどで訪れることができる距離感です。「ふらんすに行きたしと思へどもふらんすはあまりに遠し」 と嘆いた萩原朔太郎の時代とは異なるのです。「この話は日本の視聴者には遠い」、つまり、日本の視聴者が他国で起きていることには関心がない、と言うのです。あるいは、「日本で起きていることと同様のことが起きているのなら、日本で取材すればいい」とも言います。(2019/01/14)


コラム
根強い偏見を表す英語 bigotry   
最近、ニューヨークタイムズの社説や寄稿などを読んでいてbigotryという単語に何度もお目にかかりました。辞書を引いてみると、頑固な偏見とか、頑迷とか、偏屈などと書いてあります。偏見と言うとすぐに浮かんでくるのはprejudiceですが、これには先入観という訳もあります。bigotryはprejudiceよりももっと偏見の度合が根強いのかもしれません。どこで出てきたかと言えばトランプ大統領批判の社説です。(2019/01/14)


社会
アメリカのユダヤ人とイスラエルのユダヤ人に大きな亀裂が生じていると指摘 「トランプ時代にアメリカのユダヤ人であること」の著者、ジョナサン・ワイズマンの分析記事
トランプ大統領のイスラエル寄りの外交政策は昨年5月にイスラエルにおける米大使館をエルサレムに移転したことでも明らかだが、さらにイランに強い圧力をかけてオバマ時代に発展させた核合意の転覆をはかっているように見えることにもつながる。トランプ大統領がなぜそれほどイスラエル寄りなのかについては様々な説がある。娘婿がユダヤ系アメリカ人であることとか、選挙でユダヤ系の寄付が欲しいとか・・・。それについて、9日付のニューヨークタイムズにジョナサン・ワイズマン氏の分析記事 ”American Jews and Israeli Jews break up" が出ていたが、今のアメリカのユダヤ系とイスラエルのユダヤ人との軋轢が書かれていて興味深い。(2019/01/09)


社会
フランスの作家ヤン・ムアクス(Yann Moix)が「50代以上の女は年寄り過ぎて恋愛の対象にならない」と発言 憤激を買う
 フランスの作家でTVの討論番組でも常連のヤン・ムワクス氏が「50代以上の女は年寄り過ぎて恋愛の対象にならない」とマリークレール誌(フランス版)で語った、ということでフランスの女性たちの怒りを買っています。というより、外国紙でも報じられたことから外国の女性からも憤激を買っているのです。(2019/01/08)


社会
オバマケア、また危うし    
オバマ大統領が2010年に可決させたアメリカの医療保険制度改革であるいわゆる「オバマケア」、正式にはAffordable Care Actが危機にさらされている。細かく見ると複雑になるので、ごく大まかに書くとアメリカには日本のような国家が運営している国民皆保険と言う制度がない。民間医療保険に加入するしかないが、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代に数千万人もの人々が医療保険に加入していないために病院制度の枠外に置かれている、という事態にさらされていた。これを何とかしようということで、医療保険加入に際して障壁になっていた過去の病歴とか、年齢などの条件で加入が難しくなったり、保険料が高くなったりしないような法律を制定した。その一方で医療保険に加入しない人には税金でペナルティを課す、ということにした。(2019/01/08)


コラム
ニューヨークタイムズの年末の寄稿から 「ヴォルテールを見よ」と言ったロバート・ダーントン氏(ハーバード大学名誉教授 18世紀フランス史)
ニューヨークタイムズはトランプ政権の誕生前からトランプ候補に厳しい批判を浴びせ続けてきました。12月29日と30日の合併号では社説で「トランプが地球を危険にさらす」という見出しを掲げました。しかし、むしろ、その脇の小さな寄稿が僕の注意を引いたのでした。ハーバード大学名誉教授のロバート・ダーントン(Robert Darnton)氏が書いた”To deal with Trump, look to Voltaire"(トランプと取り組むには、ヴォルテールに目を向けよう)という一文です。トランプ大統領との言論戦に、やれやれ、ついに18世紀フランス啓蒙主義のリーダーの一人まで呼び起こしたのか、と思ったからです。(2019/01/04)


コラム
黄色いベスト、立ち上がる夜、そして日本
今、フランスで起きている「黄色いベスト」という反政府の抗議デモはその戦闘的なシーン、機動隊との衝突などのセンセーショナルな部分ばかりが中心に報道されている傾向はないだろうか。一方、本質的には共通する根を持つ反政府の抗議運動だった「立ち上がる夜」の場合は徹底的な非暴力運動だったが、これについては日本のほとんどのメディアが報道しなかった。このことは日本のメディアのあり方を改めて考えさせる機会となった。(2019/01/01)


コラム
言論の自由とレイシズム
 2015年1月10日と11日にフランスでは風刺新聞シャルリエブド襲撃に対して多くの人々が怒り、"Je suis Charlie " (私はシャルリだ)というプラカードを掲げて広場に集まった。その数は全土で400万人に上ったと報じられた。これは何よりも言論の自由を守る戦いであり、たとえその風刺が好きかどうかは別として、言論をテロ行為で制圧しようと言う試みにフランス人が怒ったのだった。言論の自由という見地から僕は「私はシャルリだ」という運動に賛成の立場だった。しかし、日本国内ではシャルリはイスラム教への侮辱を行っているレイシズムの媒体だから、攻撃されるのもやむを得ない・・・みたいな意見も多く目にした。(2018/12/21)


文化
地元のサッカー選手たちにシェイクスピア劇の台詞を語ってもらったイリーナ・ブルック氏(演出家 Irina Brook)
シェイクスピア劇に関する短いビデオ映像がフランスで話題を呼んでいる。南仏ニースのサッカーチーム(OGC Nice )の選手たちが一人ひとりシェイクスピアの一節を語っているものだ。映像は2分20秒。登場する選手たちの多くは黒人や移民の子弟と思われる。彼ら一人一人がシェイクスピアの言葉を見事に自分の言葉にしている。その力強さが胸を打つ。まさにシェイクスピアの魅力が凝集されていることを感じさせられる。演出したのはフランスのニースで劇場のディレクターとして活躍してきた舞台演出家のイリーナ・ブルック(Irina Brook)氏だ。(2018/12/21)


欧州
「黄色いベスト」が要求した国民投票  そしてその未来
フランスで起きている「黄色いベスト」による運動について、「立ち上がる夜」の参加者、ルイーズ・ムーラン氏は彼らが市民主導の国民投票を要求したと言っていました。この国民投票というのは”Le référendum d’initiative citoyenne ”と言われているものです。頭文字をとってRICと書かれていることもよくあります。(2018/12/19)


検証・メディア
NHKと外郭会社と制作会社とフリーランサーは定期的に一堂に会して話し合いの機会を
今、放送局は外部プロダクションやその派遣社員、あるいはフリーの制作者の力なくてはノルマを果たしえません。しかし、そこには大きなヒエラルキーの問題があり、またコミュニケーションの問題があるように思われます。様々な事柄の伝達の方向性が一方向になりがちです。今はインターネット放送も視野に入れ、双方向性を視野に入れていると言われながらも、制作現場での指示体系が一方向なのは時代に逆行しているのです。(2018/12/18)


みる・よむ・きく
信友直子監督「ぼけますから、よろしくお願いします。」 アルツハイマーになった80代半ばの母と介護する95歳の父、そして一人娘の物語
10月からすでに話題になっていたドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」を見てきました。とても素晴らしい映画です。監督は信友直子さん。以前、日刊ベリタでもTVドキュメンタリーのディレクターとして紹介記事をUPしたことがありましたが、今回は映画です。もともとはフジテレビのTVドキュメンタリーとして作られたものがベースにあると言うことですが、そこに映画として+アルファして、独自の作品としてブラッシュアップしたのでしょう。(2018/12/18)


みる・よむ・きく
N.バンセル、P.ブランシャール、F.ヴェルジェス著「植民地共和国フランス」(岩波書店)  明治元年から150年の今こそ読みたい一冊
今年は明治元年(1868年)から満150年の年に当たるとして、政府は「明治の歩みをつなぐ、つたえる」と宣伝している。幕末の日本を振り返ると、産業革命を経て資本主義が新しい段階に発展した西欧列強がアジアに来航しており、1つ間違えれば日本も植民地にされる危険があった。しかし、歴史の幸運に守られ、日本はその運命を免れた。けれども、日本は逆に朝鮮半島や台湾その他の地域や国々を植民地にしていく。その歴史を考えると、「つなぐ、つたえる」と手放しで称賛だけしてよいものではあるまい、いかに当時の国際状況によって日本の針路が限られていたとしても。N.バンセル、P.ブランシャール、F.ヴェルジェスによる共著、「植民地共和国フランス」(岩波書店)は明治150年という言葉を考えるための1つの手がかりを与えてくれる1冊だ。(2018/12/16)


みる・よむ・きく
久松健一著 「フランス語 動詞宝典 466」
久松健一氏といえばフランス語学の参考書を何冊も書いてきた大学の先生ですが、最近、駿河台出版社から「フランス語 動詞宝典 466」を刊行しています。これは動詞だけにスポットを当てたもので、その数も466の動詞ですから、かつてない本になっていると思います。英語と違ってフランス語はイタリア語やスペイン語などとも同様に、動詞の活用が語学の中核と言っても過言ではないのですが、しかし、これまで動詞の解説をした参考書で扱われる動詞は数十くらいで、あとは同型として自分で勝手にやって・・・みたいな突き放し型の参考書が多かったのでした。(2018/12/16)


反戦・平和
トランプ大統領への請願 辺野古の基地建設の一時差し止めの要請 住民投票まで
沖縄の辺野古の米軍基地の建設の準備作業が始まったことから、反対する人々は今、アメリカのトランプ大統領に請願を集めて送る運動をしています。1月7日までに10万のサインが集まればホワイトハウスに送って検討してもらえることになるそうです。請願内容は辺野古基地の建設について、その賛否の住民投票を行うまで一時凍結してほしい、ということです。年明けの1月7日までにあと57000の署名が必要です。(2018/12/15)


欧州
マクロン大統領と金融界   マクロン大統領の政権の本質を理解するには本山美彦著「金融権力」が不可欠
燃料税の値上げへの反対運動から始まり、さらにマクロン大統領の辞任を求めているフランスの「黄色いベスト」ですが、シャンゼリゼの騒乱などばかりが映像として取り上げられる一方で、何が起きているのかその本質はあまり触れられていないのではないでしょうか。つまり、マクロン大統領の政治の本質は何か、ということだと思うのです。拙著「立ち上がる夜 <フランス左翼>探検記」(社会評論社)でも触れたのですが、マクロン大統領が生まれた背景はオランド大統領の社会党政権時代に遡ります。フランソワ・オランド大統領は2012年に左派の人々の熱狂的な支持を得て選出されました。前の大統領が新自由主義を進めたサルコジ大統領でしたから、オランド大統領は富裕層に優しく、貧困層に厳しい政治を改革してくれると庶民は思ったのです。しかし、その期待は裏切られました。その最大のカギとなったのは金融界への政策です。(2018/12/15)


欧州
「黄色いベスト」運動を私はこう見る ルイーズ・ムーラン氏 「立ち上がる夜」の参加者・デザイナー  Louise Moulin ,participant of "Nuit debout " (designer & activist )
フランスで今、黄色いベストを着用した人々の政府への反対運動「黄色いベスト」がメディアの注目を集めています。振り返ると2年前の2016年3月から8月ころまでフランスでは政府への異議申し立て運動が行われ、「立ち上がる夜」と呼ばれました。しかし、「立ち上がる夜」は日本ではほとんど報道されませんでした。一方、今回の「黄色いベスト」は日本でも報じられています。2016年の「立ち上がる夜」と今回の「黄色いベスト」はどういう違いがあるのか、どういう共通項があるのか。「立ち上がる夜」に参加したパリ在住のルイーズ・ムーランさん(デザイナー、活動家)に聞きました。 Q 「立ち上がる夜」と「黄色いベスト」の違いは何ですか?(2018/12/12)


欧州
「黄色いベスト」運動を私はこう見る  パリ在住の精神分析医・作家 サラ・シーシュ Interview : Sarah Chiche / Writer and psychoanalyst in Paris  
フランスで先月来、黄色いベストを羽織った人々が政府に対して反旗を翻しています。マクロン大統領とその政権が進めようとしていたディーゼル車の燃料への税金の値上げが引き金になったとされますが、パリだけにとどまらず各地に広がり、大きな広がりを見せています。これについて、パリ在住の精神分析医で作家のサラ・シーシュ(Sarah Chiche) さんに話を聞きました。 Q「黄色いベスト」の運動をどう見ますか?(2018/12/12)


コラム
吉田喜重監督のドキュメンタリー作品「夢のシネマ 東京の夢」 
映画監督の吉田喜重氏が1995年に東京MXテレビ向けに監督したドキュメンタリー作品「夢のシネマ 東京の夢」(52分)が東京の日仏会館で上映された。このドキュメンタリーは19世紀末、映画の草創期に来日して明治維新の日本をフィルムに動画として撮影したガブリエル・ベールという男にスポットを当てている。このガブリエル・ベールという男の人生がとても面白い。と同時に、とても悲しい。というのもベールはのちに映画を去っていくからだ。アルチュール・ランボーが詩を捨ててアフリカに渡ったように。そして吉田喜重氏自身も映画をある時期を境に撮るのをやめたという。つまり、このドキュメンタリーはガブリエル・ベールがなぜ映画を去ったのか、がテーマになっている。(2018/12/08)


文化
「今日文学になにができるのか?」 日仏会館のシンポジウム その3
10月16日に日仏会館で行われた「今日文学になにができるのか?」というシンポジウムでフランスからブランディーヌ・リンケル(Blandine RINKEL)という名前の若い作家が来日した。彼女は作家でもあるけれども カタストロフ(CATASTROPHE)という音楽グループに属して歌手としても活動中だという。以下がカタストロフの公演の映像の1つである。(2018/11/04)


文化
「今日文学になにができるのか?」 日仏会館のシンポジウム その2
10月26日に日仏会館で行われたシンポジウム「今日文学になにができるのか?」の時に聴衆として1つ思ったことがあった。それはここで問われている「文学」にフィクションとノンフィクション、さらに登壇者のマリエル・マセ氏が力を入れて研究し自らも実践しているらしいエッセイの3つのジャンルのことである。登壇者のうち、小野正嗣氏を含めて2人は小説家である。そしてマセ氏はエッセイストの顔を持っている。しかし、ノンフィクション作家はこの日は登壇しなかった。今年亡くなったアメリカの作家のトム・ウルフはニュージャーナリズムの旗手として一世を風靡したが、それはノンフィクションが今後は文学の中心となる、と宣言したことだった。(村上良太)(2018/11/02)


文化
「今日文学になにができるのか?」 日仏会館のシンポジウム 
10月26日に日仏会館で「今日文学になにができるのか?」と題するシンポジウムが行われた。いささか大上段のテーマに感じられないこともないが、逆に言えばそのくらい大きな意味を文学に持ってもらいたい。登壇者はフランスから来日したマリエル・マセ氏(フランス国立社会科学高等研究院)とブランディーヌ・リンケル氏(作家)、そして日本の側は小野正嗣(作家)氏と司会の根本美作子(明治大学)氏である。それぞれみな、興味深い活動をしている人々だが、今回のシンポジウムで中心的なテーマとして浮上したのが難民や移民の問題だった。作家の小野正嗣氏はパリに留学していた時代に難民の支援をしていたパリ大学の教授の家に出入りしていたそうで、小野氏にとっても難民問題はそういう形で身近に見聞した問題だということだが、特に僕が興味深く思ったのは国立社会科学高等研究院のマリエル・マセ氏の発言だった。(2018/11/01)


コラム
歴史家アンリ・ルッソ氏の来日講演 「過去との対峙」 〜歴史と記憶との違いを知る〜
パリから歴史家のアンリ・ルッソ(Henry Rousso)氏が来日して「過去との対峙」と題する講演を行った。今年10月23日、東京の日仏会館でのことだ。これは記念的な講演となったと言って間違いではないだろう。国家が歴史にどう向き合うか、ということへの大きなヒントを語ったからだ。英雄の伝説みたいなものではなく、集団が抱える「負の歴史」に関してである。アンリ・ルッソ氏が世に出るきっかけとなったのは「ヴィシー症候群」という言葉を用いて、フランス人の第二次大戦中の集団的記憶の問題を取り上げたことだった。(2018/10/24)


文化
日仏討論会「戦争の記憶を比較する:特攻隊神話とレジスタンス神話」 アンスティチュ・フランセ関西ー京都 稲畑ホール 10月25日(木)
今月25日にアンスティチュ・フランセ(関西ー京都)が日仏討論会「戦争の記憶を比較する:特攻隊神話とレジスタンス神話」(10月25日(木) 17:00 〜19:30)を企画しています。ウェブサイトには、次のように書かれていました。「第二次世界大戦期の記憶をめぐる国内の対立は、日仏いずれにおいても、神話をめぐって展開されている。英雄/犠牲者としての特攻隊神話、ヴィシー症候群を癒すためのレジスタンス神話。特攻の記憶を研究する福間良明氏とヴィシー症候群の名付け親であるアンリ・ルソー氏という日仏の二人の専門家をお迎えして、歴史認識問題にも連なる戦争の記憶の問題を考えてみたい。」(2018/10/22)


文化
プラハでミュシャ・トリオ(Mucha trio ) を立ち上げました!  ルドミラ・パヴロヴァー(Ludmila Pavlová バイオリニスト)   
東欧の音楽の盛んな街、プラハで活躍している若いバイオリニスト、ルドミラ・パヴロヴァー (Ludmila Pavlova)さんが新たな音楽トリオを結成したと連絡をくれました。メンバーには日刊ベリタでも以前紹介したクラリネット奏者のアンナ・パウロヴァ―さんが参加しています。パウロヴァ―さんはプラハの春国際コンクールで二位に輝いています。そして、もう一人、ピアニストにはヨハンナ・ハニコーヴァ(Johanna Hanikova)さんが参加しています。ハニコーヴァさんもまたスメタナ国際ピアノコンクールで入賞した経験がある人で、3人いずれも実力が認められた若い演奏家です。(2018/10/20)


みる・よむ・きく
重信メイ著 「『アラブの春』の正体 〜欧米とメディアに踊らされた民主化革命〜」 その3
 重信メイ氏による「『アラブの春』の正体 〜欧米とメディアに踊らされた民主化革命〜」の結末にはこう書かれている。「『アラブの春』の本質はメディア戦争だったと私は思います」 (2018/10/14)


労働問題
アベノミクスと外国人労働者  「ルイスの転換点」とグローバリズム  2019年夏にアベノミクスの総決算を
安倍政権がいわゆる単純労働分野での外国人の就労受け入れを目指して入管難民法を改正しようとしていると報じられている。「新制度では、一定の技能を持つ「特定技能1号」と熟練者対象の「特定技能2号」が創設される。2号では家族の帯同も認め、条件を満たせば日本で住み続けられるようになる」(東京新聞)。東京新聞によればサービス業や農業、建設業などがそうした外国人労働者を使いたがっているとされる。しかし、外国人の労働者が入国して働けるようになると、国内の労賃の引き上げが難しくなる可能性がある。アベノミクスが始まった翌年の2013年に日刊ベリタに書いたことだが、それは「ルイスの転換点」を覆すことにつながるからだ。(2018/10/14)


みる・よむ・きく
重信メイ著 「『アラブの春』の正体 〜欧米とメディアに踊らされた民主化革命〜」 その2
重信メイ著 「『アラブの春』の正体 〜欧米とメディアに踊らされた民主化革命〜」を読んでいると様々なことを考えさせられる。アラブに関する報道のあり方だけでなく、国際報道のあり方もだ。日刊ベリタの寄稿者、平田伊都子氏の著作にはカダフィやアラファトなどにインタビューした伝記が何点かあるが、平田氏は常々、日本の大手新聞の支局員がわずか数年で入れ替わるために現地に深く広く人脈を持つ記者が育たないことをしばしば嘆いていた。支局に数年いたあと、記者は別の支局に回されるか、日本に戻されるかとなる。だから、現地の事情に精通した人が比較的乏しい、というのだ。(2018/10/14)


みる・よむ・きく
重信メイ著 「『アラブの春』の正体 〜欧米とメディアに踊らされた民主化革命〜」 その1
重信メイ著「『アラブの春』の正体」(角川Oneテーマ21)は「アラブの春」が当初メディアで拡散されたようなものではなく、その背後には欧米やサウジアラビアやカタールなどが政治的に利用していたことが暴かれている。本書が世に出たのは2012年10月と巻末に記されている。「アラブの春」がチュニジアで始まったとされるが、それは2010年暮れのことであり、翌年はリビアにも飛び火し、夏場にかけて内戦が拡大し、最後はカダフィ大佐が殺される事態になった。(2018/10/14)


国際
中間選挙を控えたトランプ政権と軍需産業  アメリカのモノづくりと軍産複合体
11月6日投票のアメリカの中間選挙まであと1か月を切った。2016年にトランプ大統領が大統領候補者だった時、長年、米製造業の拠点だった北東部の「ラストベルト」地域が工場空洞化で今ではすっかり錆びつき、多くの白人がグローバル化によって生活が壊されたと主張していた。トランプ大統領は彼らに応えるべく自由貿易協定をやめると語り、アメリカファーストを語って多くの支持を得て当選した。今年に入って中国製品に関税をかけるプレッシャーを強めているトランプ大統領だが、さらに最近、興味深い記事を目にした。選挙戦からトランプ批判で歯に衣着せぬ報道を続けてきたニューヨークタイムズにトランプ大統領の側近が寄稿したのだ。寄稿文のタイトルは”America's military-industrial base is at risk " (アメリカの軍需産業の基盤が脅かされている)というもので、寄稿者はピーター・ナヴァロ(Peter Navarro)である。(2018/10/13)


文化
セシル・ヴァン・デ・ヴェルデ(カナダの社会学者)来日シンポジウム  現代の若者論は単なる若者論ではなく、未来社会がどうなっていくかを考えるものである 
日仏会館・フランス国立日本研究所がこの秋、企画している様々なシンポジウムに目が離せない。フランスの作家や研究者を招いて日本の作家・小野正嗣と語らせる「今日文学に何ができるか」(10月25日)もそうだし、歴史修正主義と闘ってきた歴史学者のアンリ・ルッソを招く「表現の自由はどこまで許されるのか?」(10月22日)やカナダの社会学者セシル・ヴァン・デ・ヴェルデを招く「グローバルな怒り?ネオリベラルの世界で大人になること」(10月12日)もそうだろう。これらのテーマが世界で共通する重要なテーマだからだ。(2018/10/11)


社会
10月12日(金)18:30〜 カナダの社会学者が来日講演 「グローバルな怒り?ネオリベラルの世界で大人になること」 ”怒れる”若者たちの深層を世界各地の現場で研究 そこからどんな未来が見えてくるのか
 15-M運動、ケベック学生運動、ウォール街占拠運動…これらの「怒り」は何を表しているのか。この10年間、とりわけ学生や高学歴者などの若い世代が先導した社会運動が多く目立った。本講演会では、近日出版される著書『 Coleres. Ce que la jeunesse nous dit de ce monde 』の中で扱われているモントリオールやサンティアゴ(チリ)、パリ、マドリッド、香港で行われた調査に注目する。この調査では、世界各地で若い世代の社会的・政治的感情が増大する怒りとして現れていることに着目した。この10年間の様々な社会的抗議運動に見られるような明白な怒りだけでなく、ライフコースにおいて現れる、より見えにくく、静かな怒りについても考察したい。【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所(2018/10/10)


社会
ニューヨークタイムズ東京支局長が書いた一文「大坂なおみ、新知事と私」
ニューヨークタイムズ東京支局長はリッチ素子という名前の女性記者だ。彼女が「大坂なおみ、(沖縄の)新知事と私〜日本は混血を受け入れる社会になりつつあるのか?〜」という一文を書いて、ツイッターにこう記している。”All my life, I've been the foreigner in Japan, and the Asian in the U.S. Covering Naomi Osaka and Denny Tamaki in Japan, I'm getting to know my own mixed-race identity in a new light ”(2018/10/08)


みる・よむ・きく
山口昌男著 「天皇制の文化人類学」(岩波現代文庫)
  21世紀に入ってめっきり存在感が小さくなった学問分野が文化人類学ではなかろうか。1970年代から80年代にかけての大流行とは真逆になり、90年代以降はグローバル時代とか、アメリカンスタンダードの時代などと言うように、市場民主主義を旗頭に、1つの価値観で人類「解放」が推し進められてきたと言って過言ではないように思う。そんな今日、 文化人類学者の山口昌男もかつての学会のスター的な存在感はなく、ほとんど忘れられているのではないか。(2018/10/06)


文化
バスター・キートンの「石器時代」  "The Stone Age " (1923) by Buster Keaton
サイレント映画時代の喜劇の王様と言えばチャップリン以外にもたくさんの才能が存在しましたが、その多くが今日、忘却されているのは大変残念なことです。バスター・キートンも抜群の喜劇俳優です。たくさんの喜劇を残していますが、いずれもサイレントです。たとえば「石器時代」という15分弱の映画は喜劇時代にいかに恋人をつかまえるか、という闘いを描いていますが、冒頭の登場シーンからばかばかしいナンセンスさにあふれていて、今見ても新鮮な魅力を保っています。1923年の映画です。(2018/10/06)


文化
ニューヨークタイムズで文芸評論を長年執筆したミチコ・カクタニ氏が自身の家族の物語を投稿 日系人の強制収容の記憶とトランプ時代
ミチコ・カクタニという名前はニューヨークタイムズの文芸評論を書く記者として長年、よく知られた存在でした。ピューリッツァ賞も受賞しています。日系人なのでミチコ・カクタニと書きましたが、日本の順序にすればカクタニ・ミチコです。ツイッターを見ると、彼女の最新刊に今年7月に出版された"The Death of Truth: Notes on Falsehood in the Age of Trump" (真実の死:トランプ時代の嘘に関するメモ)があります。(2018/10/03)


国際
フランス:買春客の処罰化 売春する人々が一層の暴力にさらされているという報道
今、パリではLGBTのTにあたるトランスジェンダーの人にまつわる事件が話題になっている。ペルーからパリに来て、売春をしていた36歳のヴァネッサさんが数人の盗賊グループに客とともに襲われ、射殺されたのだ。客の方は襲われたが命は無事だった。ヴァネッサさんの仕事場はパリの西部に広がるブーローニュの森だった。事件を伝えるニューヨークタイムズの記事によると、2016年に買春客を処罰する刑法改正が実効に移されて以来、売春する人々は警察に見つからないようにセックスの場所をより人目につかない場所に移すようになったのだと言う。この改正で客は警察に逮捕されると、罰金を最高で1500ユーロまで課される。すでに約2800人が罰金を支払うことになったとされる。(2018/10/03)


みる・よむ・きく
PARC新作DVD上映会&トーク 『甘いバナナの苦い現実』   鶴見良行氏の「バナナと日本人」から約40年、フィリピン・ミンダナオ島のバナナ農民たちは今? 
10月4日の夜、東京・神田駿河台の連合会館の会議室で、ビデオの上映会があります。「甘いバナナの苦い現実」(78分)というタイトルのドキュメンタリーです。日本で売られているバナナの圧倒的多数がフィリピンのミンダナオ島で作られています。そのミンダナオ島の農民たちを今から約40年前に鶴見良行という研究者がフィリピン人の研究者と共同で調査を行い、のちに一冊の本にまとめます。岩波新書から出ている「バナナと日本人」です。この本はロングセラーであるだけでなく、多くの若者の生き方を変えた名作です。(村上良太)(2018/10/01)


文化
「日仏の翻訳者を囲んで」第5回  ミリアン・ダルトア=赤穂さん(翻訳家) 聞き手:新行内美和(日仏会館図書室)
9月26日の夜、東京・恵比寿にある日仏会館図書室で日本語とフランス語の間で翻訳活動をしている第一線の人を招いて話を聞く「日仏の翻訳者を囲んで」の第5回目が行われた。この日のゲストはフランス人女性の翻訳家、ミリアン・ダルトア=赤穂さんで、彼女の日本での生活は23年に及ぶ。日仏会館図書室によると、ミリアン・ダルトア=赤穂さんがこれまでに翻訳したの作品群には小川糸著『食堂かたつむり』、『リボン』、『にじいろガーデン』、『ツバキ文具店』、中村文則著『銃』、『掏摸(スリ)』、『去年の冬、きみと別れ』、本谷有希子著『自分を好きになる方法』、『異類婚姻譚』、羽田圭介著『スクラップ・アンド・ビルド』、ドリアン助川著『あん』、『ピンザの島』などがある。(2018/09/27)


コラム
新潮45への抗議の波と休刊   書店はどうなっているのか?
この夏、新潮45に掲載された自民党議員の文章があまりにも人権を軽んじて酷いものだ、と大きな非難が飛んだ。ところが2か月後にそれらの批判を浴びたのに、なお開き直りで一層酷い文章を新潮45が掲載したということで、抗議の規模が大きくなり、とうとう新潮社は新潮45を休刊すると昨日、発表した。インターネットの世界でも様々な声が出ていた。新潮社の本を書店から全部撤去すると言う店も記事になり始めていた。筆者は新潮45は酷いとしても、新潮社の本を全部書店から撤去する、と決めた書店も出ていることが残念でもあった。世界の名作を多数擁する新潮文庫まで書店から消えてなくなるといよいよ廉価でいい本に人々が出会う機会がまた減ることになるからだ。(2018/09/26)


社会
シャルリ・エブドに風刺画を描かれて「メルシー!フェリックス、私たちを風刺してくれて・・・」 「50歳の女優のトンネル」委員会リーダーのマリーナ・トメさんの第一声
フランスで立ちあがった「50歳の女優のトンネル」という運動は50歳から65歳までの女優が不自然に映画や舞台から干されている、ということを社会的に訴えるもの。この委員会のリーダーで女優のマリーナ・トメさんは、私たちには特殊な技能があり、それは「透明人間になることだ」というジョークを語ってきた。それを逆手に取ったのだろう、風刺画新聞のシャルリ・エブドが「50歳の女優のトンネル」のマリーナ・トメさんら3人の女優をひどく醜く描き、こういうセリフを吐かせている。(2018/09/22)


コラム
「新潮45」への批判と新潮社の本の撤去運動  
 自民党の杉田水脈衆院議員が「『LGBT』への支援の度が過ぎる」という文章を「新潮45」(8月号)に寄稿した結果、それが性的少数者であるLGBTの人々だけでなく、普通の市民にもあまりにもひどいと大きな批判を読んだ。実際の文章を筆者は読んでいない。その後、「新潮45」はそれらの批判を受けて改めるか、と言えば逆に「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」というくくりで、開き直りのような記事を掲載している。これらが炎上商法だという批判記事も出ている。その後、今日ツイッターでいくつか見たのは、もう新潮社の製品は一切書店に置かないという書店を紹介した記事である。(2018/09/21)


コラム
カイロの猫たちの記録  ぐっすり眠る猫  Heather Hermit
 エジプトのカイロ在住のロシア人デザイナー、ヘザー・ハーミット(Heather Hermit)さんは二匹の猫を飼育しています。先日、拾ってきて病院で治療し、面倒を見ていた子猫のラムセスはモスクワで無事引き取られ、一時は緊張した同居猫たちも今では落ち着いたようです。猫について書いてほしい、と依頼すると、こういう言葉が返ってきました。(2018/09/19)


国際
「デモクラシー・ナウ!」の戦時下のイエメンの衝撃的映像
米報道番組「デモクラシー・ナウ!」が今年7月に内戦下のイエメンのルポを報じた。衝撃的な映像であり、周辺国や米国などの代理戦争の形になっている。アメリカの公共放送PBSの映像を用いているようだ。(2018/09/18)


アジア
南シナ海の衝突で日本が戦時に入る可能性  出光・帝石とベトナム国営石油会社の石油・ガス掘削と北京
安保法制が想定する存立危機事態に入る危険が高い地域が南沙諸島沖である。ここはフィリピンやベトナムなどのアジア諸国と領海「九段線」を主張する中国との緊張にさらされている。そんな中、ベトナム国営石油会社ペトロベトナムが海底石油・ガス田の掘削事業に日本企業の出光興産および国際石油開発帝石と契約を結んだと8月に発表された。採掘現場が中国の主張する領海に近いことから、中国政府が介入してくる可能性もある、と見る人もいるようだ。(2018/09/17)


検証・メディア
安保法制と日本 「存立危機事態」の場合、新聞やTVなどのメディアは国家にどこまで協力を要請されるか
2015年に安倍政権が安保法制を強行採決で可決させた当時、学生をはじめ多くの市民が反対のデモに参加したり、憲法学者を始め多くの人が憲法違反だとして反対を繰り広げたことは記憶に新しいことです。今、自民党総裁選の話題の中で、憲法改正ということが大きなテーマになっていますが、すでに3年前の安保法制の可決によって、憲法の平和主義と同時に、表現や思想の自由が少なからず失われることになりました。もちろん国民の知る権利も同様です。その法律が以下です。ここで「存立危機事態」の場合は放送局も政府の統制下に入り、放送内容が検閲を受ける可能性が十分にあることが示されています。(村上良太)(2018/09/17)


文化
東京演劇アンサンブル公演 「トゥランドット姫 あるいは嘘のウワヌリ大会議」
ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトにこだわってきた東京演劇アンサンブルが今回、上演しているのはブレヒト晩年の未完の作品「トゥランドット姫 あるいは嘘のウワヌリ大会議」と題する風刺的作品である。劇団の案内によると、ブレヒトは政治権力に負けず真理を追究する知識人を主役に据えた戯曲「ガリレイ」を書いたのち、この作品では知識人の黄昏を描こうとしたのだという。この劇は架空の中国の物語が下書きになっているが、その国には皇帝がいて、木綿を専売しているが、その年は木綿が豊作になったために大量に倉庫に隠して品薄にして値段を高騰させた。それによって民衆は木綿価格の高騰により、暴動も起きかねない不穏な気配にすらなっている。(2018/09/16)


コラム
翻訳書のタイトルはこれでいいの? 
時に翻訳書を読んでいて本の邦題が原題とかなり異なることがある。それは日本で本を売る時に、読者=消費者により訴求するようにと翻訳者や編集者が考えて決めるのだろう。しかし、時にそのタイトルが中身とずれている気がする場合があるのだ。一例をあげると、中公文庫から出ているフェルナン・ブローデル著「歴史入門」である。(2018/09/15)


コラム
アメリカのジャーナリズムはニュージャーナリズムの旗手、トム・ウルフの死をどう報じたか  村上良太
今年5月に亡くなったアメリカの作家トム・ウルフはニュージャーナリズムの旗手として1970年代から80年代にかけて一世を風靡し、日本のノンフィクション界にも大きな影響を与えたと思われる。日本でもっとも知られたのは宇宙飛行士を扱った「ザ・ライト・スタッフ」だろうが、他にも「クール・クール LSD交感テスト」や「現代美術コテンパン」、「バウハウスからマイホームまで」など、たくさんのノンフィクションの話題作を書いており、さらに晩年は「虚栄のかがり火」などフィクションにも挑戦している。(2018/09/12)


文化
ニューヨークタイムズは大坂なおみ氏の勝利をこう伝えた " Pushing Japan to redefine Japanese " (彼女の優勝は日本に日本人の再定義を促す) 
 テニスの全米オープンの女子シングルスで優勝を飾った大坂なおみ選手について、ニューヨークタイムズは「日本に日本人の再定義を促す」ことになると伝えている。大坂なおみ選手の母親は日本人で、父親はハイチ系アメリカ人だからだ。 (2018/09/11)


検証・メディア
サルトルと新聞  創刊したリベラシオン紙の試行錯誤   村上良太
僕は高校生の時になかばドロップアウトしてしまった人間だから、まさかフランスの知識人について語る日が来るなどとは30年来思ったことがなかった。フランスの評論誌に日本の事情を寄稿してみたら、掲載が決まっただけでなく、非常に興味をもって読まれたと編集委員の一人から後で聞いた。その評論誌Les Temps Modernes誌は直訳すれば「現代」となるが、創刊したのはサルトルとボーヴォワールである。(2018/09/11)


みる・よむ・きく
国谷裕子著 「キャスターという仕事」  次はぜひ日刊ベリタでインタビューを
NHKの「クローズアップ現代」のキャスターをつとめて優れたインタビュアーとして知られた国谷裕子氏が書き下ろした「キャスターという仕事」(岩波新書)を読んだ。23年間の放送経験から様々なエピソードを抽出して語っているため簡単に要約できない本だが、そこが魅力でもある。しかし、いずれにしてもキャスターという職域にフォーカスしており、スタジオでインタビューするということはどのようなことか、どんな人を尊敬して、どんな時に汗を書き、どんな失敗をしたか、といったことが書き記されている。(2018/09/09)


国際
「アフリカ最後の植民地」西サハラの映像 デモクラシー・ナウ!が取材 
日刊ベリタでもジャーナリストの平田伊都子氏がたびたび報じてきた「アフリカの最後の植民地」西サハラをアメリカの報道番組「デモクラシー・ナウ!」が映像取材を行った。(2018/09/05)


みる・よむ・きく
國分功一郎著「近代政治哲学 〜自然・主権・行政」  行政権力の独走をいかにチェックするか  
遅ればせながら國分功一郎著「近代政治哲学 〜自然・主権・行政」を読んだ。哲学者の國分氏がちくま新書から本書を世に問うたのは2015年4月のことで折しも自衛隊の海外での戦闘を可能にする安保法制が制定されようとした頃だった。本書が書かれたのは〜推測になるが〜この安倍政権によって多くの人が民主主義の危機を感じたことと切り離せないのではないか、と思われる。とくにその危機感は2013年秋に国会に提出された特定秘密保護法で先鋭なものになり、2015年の安保法制の強行採決までたくましいエンジンで丘の斜面を登っていくように次々と安倍首相のもとで戦後の政治を変える新たな政策が打ち出されていったのである。それら一連のプロセスを見れば国会での議論が不足している、という批判や、重要法案なのに強行採決が常態化していることがあり、そこから国会の軽視、ひいては行政権の肥大、ということがキーワードとして浮き上がってきた。(2018/09/05)


政治
川内博史衆院議員のつぶやき<不開示4連発。『それは、いくら何でも御容赦ください』は、こっちのセリフだ。> 森友学園問題の真相究明はいつ?
森友学園問題と言えば9億5600万円の土地評価額の国有地を1億3400万円に値下げして民間業者に売却した件である。国の土地がこんなにディスカウントされて民間に売却された例がほかにあるのだろうか。特に問題視されたのはこの異常な割引きの背景に安倍首相夫妻が関係しているのではないか、という疑惑からだった。その国有地にゴミが埋まっているとしてゴミ撤去費用8億2000万円が割り引かれたということだが、ほんとうにそんなにゴミが埋まっているかどうかもはっきりしない。国民の目線から見ると、疑問だらけの事案だ。(2018/09/04)


国際
トランプ大統領のイラン制裁の背景  イスラエルとイランの確執か  
トランプ政権のイランとの核合意からの一方的離脱と、さらに8月から発動されつつあるイランへの経済制裁の再開はアジアの私たちから見ると、よく理解できないところがある。オバマ政権が年にシリアのアサド政権軍やシリアと軍事同盟を結んでいるイランへの空爆も視野に入れた緊張高まるギリギリの交渉の瀬戸際で実現にこぎつけたのがイランとの国交正常化への道だったからだ。1979年のホメイニ革命以来初めて成し遂げた国交正常化への道をトランプ大統領は一気に反故にしようというのだから驚きだ。イランと米国の間に何が起きているのか?(2018/08/31)


コラム
二コラ・ユロ環境大臣辞職で描かれたリベラシオン紙のWillemによる1コマ漫画  背景に暗躍する産業ロビイストが・・・
  フランスの二コラ・ユロ環境大臣が辞職して波紋を呼んでいることはすでに書きました。なぜ今辞めるのかに関して、メディアでも様々な話が飛び交っていますし、ユロ氏自身のラジオインタビューも広まっています。そんな中、リベラシオン紙はベテランの転載風刺漫画家 Willem の 1 枚の風刺漫画を掲載しました。森の高台に立つ3人の猟師の男たちが猟銃を手に話をしています。足元には撃たれたウサギが横たわっています。(2018/08/31)


欧州
フランスの環境大臣の辞任が投げかけた波紋  新自由主義は環境保護と両立可能か 
 フランスの環境大臣だった二コラ・ユロ氏が突然辞任したことがフランスで波紋を呼んでいる。このことはプロ・ビジネス(ビジネス界寄り)のエマニュエル・マクロン大統領やエドゥワール・フィリップ首相と、抜本的な環境保護政策が両立するか、という原理的な問いかけを投げかけた、と受け取られているからだ。投機的な金融の規制など金融の規制強化を求めてきたAttacフランスは「ユロ氏の辞任は明快なメッセージを持つ。エコロジーはマクロニズム(マクロン主義)と両立しない、ということだ」と声明を出した。「エコロジーへの転換は小さな歩みに自足していては決して成し遂げられない」とも述べている。(2018/08/28)


欧州
フランスの環境大臣二コラ・ユロ氏がラジオインタビューで突然、辞任すると発言  
フランスの環境大臣の二コラ・ユロ氏がFrance Intelのラジオインタビューの中で辞任すると打ち明けた。ユロ氏はテレビ番組で環境問題を古くから扱ってきた製作者で、大衆に人気を持つ。それゆえ、エマニュエル・マクロン大統領とエドゥワール・フィリップ首相にとっても晴天の霹靂となった。というのも、ユロ氏はラジオ番組で話す前には大統領にも首相にも辞任の話はしておらず、自分自身で決めたと言っているからだ。「もう自分に嘘をつくことはできない。」環境保護活動家で知られる彼が大臣であることで環境問題に前向きであるというイメージを醸すのはやめたいとうことのようだ。(2018/08/28)


経済
トルコの経済危機の可能性を論じる米TV番組 もし起きたらギリシアよりはるかに大きい・・・・欧州経済への第二の打撃となるか?
トルコの経済が危険な水域に近づいているらしい。アメリカのCNBCではトルコの先行きや、それがどの程度欧州や米国に波及するかを論じている。(2018/08/28)


コラム
初心者がニューヨークタイムズで英語を学ぶ方法   村上良太
高校生や大学生、あるいは専門学校生や社会人になったものの余暇に英語をもう少し勉強したいと思っている人たちにお勧めがニューヨークタイムズ紙を使うことです。一生懸命やれば1年か2年もすれば辞書を片手に記事をある程度独力で読めるようになるでしょう。お金は新聞代だけです。時間も臨機応変に1日の中で空いている時間を30分とか1時間とか割くだけでできます。ただ、それにはコツがあるのです。(2018/08/27)


経済
米政策金利上昇の影響 トルコ、アルゼンチン、インド、ブラジルなど新興国の通貨が低下 
米国はリーマンショック後を自ら演出するかのように、恐慌後に取られた様々な措置を廃止したり、緩和したりしている。リーマンショックでバブル経済がはじけてしばらく続いた政策金利のゼロ金利政策も終止符を打ち、2016年から0.25%くらいの小幅の利上げを繰り返してきた。今年に入ってすでに2回政策金利の利上げを行い、現在は1.75%から2.00%の目標を取っている。以下のリンクはFRBのセントルイスが発信している情報。政策金利の変化を示す折れ線グラフが表示されている。(2018/08/27)


国際
米経済「リーマンショック後」は終わったのか? 米金融業界が規制緩和を通貨当局に要請  
この春の米新聞を読んでいると、トランプ大統領のもとで、金融業界が2008年のリーマンショック後に導入された金融規制を緩和するように要望していることがわかる。しかも、金融当局にも緩和に賛同する声すら出ているそうだ。当時の緊迫した日々を思い返せば嘘のようである。アメリカの前政権は民主党のオバマ大統領で、その出発点は2大恐慌以来最大の金融恐慌にあった。(2018/08/27)


国際
イラン制裁の裏にトランプ大統領の国家安全保障のアドバイザー、ジョン・ボルトン氏あり
今月、米国がイランとの核合意から一方的に撤退し、さらに今月から独自の経済制裁を発動しており、このことが北朝鮮との交渉の決裂の可能性を高めるという批判がニューヨークタイムズ社説で書かれた。イランに対する厳しい政策はトランプ大統領やその家族(娘婿のことだ)の傾向というだけでなく、国家安全保障のアドバイザーに新たに任命したタカ派のジョン・ボルトン氏の考え方にも沿ったものだ。(2018/08/27)


コラム
トム・ウルフの死 ニュージャーナリズムの終焉 その2  村上良太
アメリカのノンフィクション作家、トム・ウルフがこの春、88歳で亡くなった。トム・ウルフは日本でそれほど読まれたとは思えないが、それでもアメリカでは絶大な人気を誇り、日本のノンフィクション作家たちにも大きな影響を与えたであろうことは間違いない。というのも、ウルフこそは「ニュージャーナリズム」の旗手だったからだ。ニュージャーナリズムとは何か?それを詳しく語れるほど、ニュージャーナリズムに親しんだとは言えないかもしれない。だから、アメリカの追悼記事を参照したい。前に紹介したニューヨークタイムズよりも、CBCの追悼記事の方が短くても、的確な気がする。(2018/08/27)


国際
ニューヨークタイムズの社説(4月3日 国際版)は北朝鮮の核兵器保有数を20から60と記していた
今年の正月早々、ニューヨークタイムズが北朝鮮の核実験に関する報道を大々的に行い、米情報機関が近来最大の誤りをおかし、北朝鮮の核兵器開発のスピードを過小評価していた事が生々しく書かれていたのは記憶に新しい。その時の記事によると昨年秋の核実験で北朝鮮は水爆が完成したとされる。そして、米情報機関は北朝鮮がいったい何発の核兵器を保有しているかすらつかめていない、と報じていた。このことはトランプ政権が北朝鮮と交渉に入った最大の動機と推測される。(2018/08/27)


社会
アメリカでもっとも自殺率の高い職業が農民だという英紙の記事 自殺率が軍人OBの2倍に達する職業に
昨今、日本では日本式の経営や技術が世界で活躍しているという報道や番組をよく見かける。僕自身もそうした番組を作っていたものだ。だが、そういう番組を見る人はともすると、日本VS 外国という観点でものごとを見てしまう傾向はないだろうか。農業においても外国産の農産物の流入に対する危機感から、米農民が外敵とまでは言わなくても憎きライバルであるかのように見えてくることはないだろうか。広大な大地があり、近代的な装備で効率的に農業を行う米農民はメキシコなどの周辺国を脅かす脅威的存在であるかのようにも見える。しかし、英紙ガーディアンの報道によると米農民も幸福とは言えないようだ。というのは記事によると、農民の自殺率が高く、他の職業よりも自殺率の高い職業だという。(2018/08/26)


コラム
サルトルらが創刊したフランスの評論誌Les Temps Modernesに日本の政治について書きました その2 村上良太
 8月16日にフランスで発売となった評論誌"Les Temps Modernes" に日本政治について触れた拙稿が掲載されたことは前回少し書きました。こんなことを言えば、よく日本の人から言われるのが「フランス人は日本の政治に関心があるのですか?」という質問です。また、先月発売となった新刊本「立ち上がる夜 <フランス左翼>探検記」についてもフランス人から逆に「日本の人がフランスの政治運動に関心があるのですか?」と聞かれます。(2018/08/22)


検証・メディア
米新聞の「報道の自由の擁護キャンペーン」 ニューヨークタイムズの社説から
8月17日付のニューヨークタイムズ国際版に”A FREE PRESS NEEDS YOU”( フリープレスはあなたを必要としています)と題する社説が掲載された。これはトランプ政権が新聞ジャーナリストに対して「フェイクニュース」(捏造された記事)と言って非難していることに新聞業界を挙げて対抗するため多くの新聞社が同時に社説で報道の自由を擁護する社説を掲げたのである。報道によれば参加した米新聞社はローカル紙を入れて350紙以上とされる。呼びかけたのはボストングローブ紙だったそうだ。ニューヨークタイムズのこの日の社説を読んだ印象は、実をいうとさして強烈でもなかった。というか、ニューヨークタイムズはしょっちゅうトランプ大統領批判を辛辣に展開しているために、むしろ普段の具体的なイシューをめぐる大統領批判の社説の方がもっと辛辣で手厳しい気がした。(2018/08/20)


みる・よむ・きく
リュシアン・フェーヴル著 「フランス・ルネサンスの文明」
20世紀に花開いたフランスの新しい歴史学の一派であるアナール派の創始者のひとり、リュシアン・フェーヴルによる「フランス・ルネサンスの文明」をこの夏、読んでみた。本書の冒頭にある「はしがき」でフェーヴルは文明と名付けられた概念の定義を説明している。19世紀に「フランス語辞典」を作ったエミール・リトレの定義をまず引用し、「開花したものの状態、すなわち、技術・宗教・美術・学問の相互作用から生ずるところの、考え方や習俗の総体」だというのである。文明とは一定の期間に、一定の国(地域)において、人間の意識に働きかける物質的、精神的、知的、宗教的なもろもろの力が集まって生じた、1つの結果なのである」と。リュシアン・フェーヴルはこの定義に沿って、16世紀にフランス・ルネサンスを生んだフランス社会の「文明」を語る、というのだ。そして、当時のフランス人の日常生活とさらに知・美・信仰の4つの観点から、これを綴っていく。(村上良太)(2018/08/20)


コラム
映像業界の労働環境も  村上良太
ある業種のプロフェッショナルには、これまでの労働法の残業代の規則や休日などの義務が適用されなくなるということですから、労働者や市民を中心に強い抵抗があったのもうなづけます。しかし、今、たとえば映像業界でフリーランサーがしばしば契約としている仕事の内実には、批判されている「高度プロフェッショナル」と本質的には同様の残業代ゼロの仕事が多々あるように思われます。いや残業代ゼロとうよりも、月収半減制度とでも言った方が的確かもしれません。今僕がこれを書いているのはそうした契約を強いている個々の製作組織や放送局への恨み、というようなことではなく、ただそういうことが日常ありふれた現実になっているのではないか、という危惧からなのです。(2018/08/14)


コラム
フランスとフィリピン  私たちは財の消費者でしかないのか  村上良太
この3年ほどの間に僕はフランスとフィリピンというある意味で遠く離れた世界の取材を並行して行うことになり、ようやく今それぞれ作品として世に送り出すことができることになった。フランスに関しては「立ち上がる夜 <フランス左翼>探検記」というノンフィクション本として、フィリピンに関しては現在、最終仕上げ段階にあるのだけれど、ビデオ作品「甘いバナナの苦い現実」としてアジア太平洋資料センター(PARC)から売り出される予定だ(2018/08/13)


文化
サルトルらが創刊したフランスの評論誌Les Temps Modernesに日本の政治について書きました  村上良太
日刊ベリタに昨年、シリーズ企画として掲載した野党共闘などに関する政治についてのインタビューを含めた拙稿を再編集したものがフランスの評論誌Les Temps Modernes(レ・タン・モデルヌ)最新号(2018年7月〜9月号)に掲載されました。政治学者の中野晃一教授、国会議員の辻元清美氏、そして日本共産党広報部長の植木俊雄氏らへのインタビューが核になっています。冷戦終結以後、日本の政治システムがどう変化したか、そして小選挙区制にしながら、今日の自民の一強という状況がなぜ生まれたのか、そして野党と市民がどうこの状況を乗り越えようと試行錯誤をしてきたのか、ということを綴っています。(2018/08/11)


国際
フィリピンから二人の活動家が来日 ミンダナオ島のバナナ農民たちの置かれた状況を語る
鶴見良行が「バナナと日本人」(岩波新書)で、日本に届くバナナの大半を作っているフィリピンのミンダナオ島のバナナ農園労働者や契約栽培農家の窮乏と農薬汚染について書いたのは1982年のことだった。あれから40年近くの歳月が流れ、その間に民衆の力革命や農地改革が行われた。ところが、今も農民たちが置かれている状況は厳しいものだった。(2018/07/30)


みる・よむ・きく
フランスの現地ルポ 「立ち上がる夜 <フランス左翼>探検記」(社会評論社)  村上良太  
日刊ベリタでも何度か報じてきましたフランスの政治変革運動である「立ち上がる夜」について、このたび僕が書き下ろしたルポが出版の運びとなりました。2016年、パリの共和国広場に毎晩集まり、政治・経済・社会について老若男女が真剣に話し合い、新しい制度や時代を語り合ってきました。その運動が翌年のW選挙にどう結びついていったのか。(2018/07/20)


検証・メディア
オウム真理教がブームになった時代
オウム真理教がブームになったのは1980年代半ばだと思い返すのだが、当時の日本は歴史的に見ても比較する時代のない大変な好景気の中にあった。「バブル時代」という言葉で表現されるようになるのは1991年に好景気がはじけて不況に突入してからだったと記憶する。1990年代後半から明確に日本はデフレ時代に突入し、ますます国民が貧乏になり、庶民の可処分所得が少なくなっていく時代だったが、1980年代半ばはすべてが逆だったと言って過言ではないだろう。今ではあの頃を思い出すこと自体が難しい。それくらい、当時の空気は今と違っていた。サラリーマンやOLがボーナスの札束を喫茶店のテーブルに立てることができたという話をよく聞いたものだ。高校時代の友人夫婦は金の延べ棒を買っていた。(2018/07/09)


政治
日本の反動政治  総裁選で三選間近の安倍晋三と皇帝になったルイ・ナポレオン
 戦後70年以上続いた日本国憲法といわゆる戦後民主主義が揺らいでいる。それが顕著になったのは第二次安倍政権が発足してからだが、政治学者の中野晃一氏によると1980年代の中曽根政権から脈々と続く右傾化である。こうした政治の変化は戦後民主主義を大切にしてきた人々や左翼の人々にとっては極めて深刻な時代と感じられている。世界の歴史を振り返れば日本とフランスとで政治風土も歴史も異なるとはいえ、19世紀にカール・マルクスが書いた「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」が示唆に富むのではなかろうか。(2018/07/08)


文化
ロシアの注目のバンド "Otava Yo " ( Отава Ё , オタヴァ・ヨ )が初めての来日コンサート   
 1年前に日刊ベリタにロシアのバンドに関する記事を記したことがありました。ロシアの伝統音楽を蘇生させ独特のビデオを作っている注目のバンド "Otava Yo " (オタヴァ・ヨ)です。ちょうど、ニューヨークのインディフィルムフェスティヴァル( NYC Indie Film Awards)で最高賞のダイアモンド賞を受賞しましたので記事を書いたのですが、ユーモアあり、ペーソスあり、切れのいい音楽あり、で見た人はきっと魅了されてしまうでしょう。下のリンクの4分40秒のビデオもシュールな物語。(2018/06/29)


コラム
カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ")  子猫ラムセスがモスクワへ行く  Heather Hermit 
カイロの猫について、アップデートしよう。私は4月以後、ラムセスには会っていなかった。ラムセスは今ではまったく健康そのものだ。見栄えもとてもよくなった。毛は白く、きれいだ。ラムセスは華麗な白猫になった。なんという変化か!すべての治療は終わり、ワクチンも打ってもらった。それで私は一晩、ラムセスを自宅に連れ帰った。だが、ラムセスは動物病院を出たくないように見えた。というのもそこにはたくさんの猫の仲間がいるからだ。ラムセスはとても恐れているように見えた。そのうえ、2匹の私の飼い猫(ビーストとセクメトである)もまたストレスを感じているようだった。見知らぬ猫がやってきたからだ。3匹の猫は互いに敵意を抱いているようだ。(2018/06/10)


国際
トランプ政権による米朝首脳会談中止をどう見るか
トランプ大統領が予定されていた米朝首脳会談を中止したと報じられた。東アジアの平和を期待した人々にとっては嬉しくないニュースとなった。トランプ大統領がなぜ今になって中止を決めたのか、真相はわからない。以下は単なる見聞した情報である。ニューヨークタイムズのコラムニスト、二コラ・クリストフが米朝首脳会談決定直後に冷めたコラムを書いたことがあったのを思い出すのである(2018/05/26)


文化
日仏会館のシンポジウム 「ミシェル・フーコー: 21世紀の受容」 フランスから2人の気鋭の哲学者が来日し、フーコーについて語った
 5月21日、東京の日仏会館で20世紀の哲学者ミシェル・フーコー(1926- 1984)に今日改めて光を当てるシンポジウムが行われた。タイトルは「ミシェル・フーコー: 21世紀の受容」。この催しのためにフランスから2人の気鋭の哲学者が来日して、フーコーについて最新の思索やフランスにおける議論などについて語り、また会場の聴衆との質疑応答も行った。私はミシェル・フーコーについてはほとんど著作に触れたことがなかったためにどこまで二人の哲学者の話についていけるのだろうか、と多少不安でもあった。(村上良太)(2018/05/22)


みる・よむ・きく
「タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜」
「1980年5月。韓国現代史上、最大の悲劇となった光州事件―あの日、真実を追い求めたひとりのドイツ人記者と彼を乗せたタクシー運転手がいた。」(映画紹介サイトより)陸軍の保安司令官だった全斗煥が起こした1979年のクーデターと、それに続く金大中ら野党政治家らの逮捕に憤った学生や市民が1980年5月にソウルで抗議デモを行っていたが、デモは全国に拡大した。光州事件はこの時、全斗煥率いる軍部が戒厳令のもと光州市民を徹底弾圧した事件だ。学生たちは戒厳令を解除と民主化への改憲を求めていた。しかし、軍の部隊の投入で、数百人の死者・負傷者を出す惨劇となった。(2018/05/18)


人権/反差別/司法
「デモクラシー・ナウ!」 パレスチナ人がガザで殺される エルサレムの米大使館オープンに抗議 Palestinians Mark 70th Anniversary of Nakba After Israel Kills 61 & Wounds 2,700 Protesters in Gaza
アメリカの報道番組「デモクラシー・ナウ!」でガザでパレスチナ人が多数殺されている事件を現場から報じている。米大使館が月曜、エルサレムにオープンしたことがパレスチナ人の抗議を呼んでいる。(2018/05/16)


みる・よむ・きく
「探偵はBARにいる 3」
すでにこの映画が封切られて半年くらいたつので見た人には今さらだと思うけれど、「探偵はBARにいる 3」は飽きさせない映画だ。冒頭、「海鳥の舞う厳冬の漁港」とシナリオにもあるように寒々しい北国の冬から始まり、それが北海道であろうことは市場の食堂で登場人物の若い女と中高年の男がうにいくら丼を食べているところでわかる。(2018/05/16)


社会
50歳以上の女優にもっと出演の機会を!俳優たちが自ら立ち上がる 「50歳の女優のトンネル」 ルモンド紙でも報じられる  署名活動中
昨年、何度か日刊ベリタでも紹介したフランスの女優たちによる<50歳以上の女優にもっと出演の機会を!>という運動がこのたび、ルモンド紙でも取り上げられました。この運動は「50歳の女優のトンネル」と名づけられていて、女優だけでなく男優の中にも協力して声を上げている人がいます。50歳以上65歳未満のフランスの女優たちが干されている現実を実際に女優たち自身が立ち上がって調査を行い、改善して欲しいと署名を集めています。この運動は単に女優の失業対策というだけではないようです。俳優が社会に対して負っている意味合いを考えれば50歳から65歳の実社会では家庭や地域で大切な役割を果たしていることが映画の世界で忘却されてしまうことを意味します。(2018/05/13)


みる・よむ・きく
日本に出稼ぎにきた男女の恋愛を描くフィリピン映画 "KITA KITA " ( = 私はあなたを見る,  2017) 
日本経済がバブルに向かっていた1980年代、フィリピン人が日本に出稼ぎに来るようになり、興行の世界やパブで働く女性が多かったためか、「じゃぱゆきさん」などとその当時は呼ばれていた。また日本人男性と結婚するフィリピン人女性を筆者も取材したことがあるが、国際結婚も1980年代から90年代にかけて増えた。あれから30年以上の歳月が流れた。昨年公開されたフィリピン映画”Kita Kita”(私はあなたを見る)は舞台が札幌で、日本に出稼ぎに来た現代のフィリピン人男女の恋愛を描いている。女性はパブで働いており、男性は工場で働いていたのである。(2018/05/08)


反戦・平和
安倍首相と河野外相がノーベル平和賞を受賞する可能性は? 
河野太郎外相によると、今回の南北会談の最大の立役者は安倍外交だったらしい。北朝鮮に対する強いプレッシャーが北朝鮮を対話に引っ張り出したのだと河野外相は胸を張る。だとすればもし米朝間で朝鮮戦争を終結させ、平和条約が結ばれた場合はその立役者は誰よりも安倍首相だったことになる。(2018/04/28)


みる・よむ・きく
畑尾一知著「新聞社崩壊」 
 今、街の書店の店頭に平積みにして売り出し中の本が畑尾一知著「新聞社崩壊」(新潮新書)である。このような趣旨の本は何年も前から何冊か見た記憶はあるが、畑尾氏が自ら書いているように朝日新聞社の販売局という裏方の視点で新聞ビジネスを見たところが新しいところだ。畑尾氏は今、どんどん新聞業界の縮小が進んでいるため、今のペースを考えれば2025年の新聞読者は人口の23%くらいまで落ちるんではないか、と推測している。なんと4人に1人も新聞購読者がいなくなるのだ。(2018/04/28)


コラム
安部公房の予感  儀式とファシズムとドストエフスキー
安部公房の小説家としてのデビュー作は「終わりし道の標に」というタイトルで、作家のすべては処女作に書かれているという言葉があるが、まさにその通りだと思わされる。この小説は安部公房が満洲で過ごした少年時代の記憶をもとに描かれた帝国が崩壊する瞬間の世界だ。であるが故にどこか「太陽の帝国」を書いたJGバラードの作品群とも通底するように思われる。つまり、それまでの帝国の秩序と価値観が崩れ、国境線が消失する瞬間なのである。その経験は恐怖でありながらも、安部少年にとっては解放の時でもあった。(2018/04/26)


コラム
カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ")  猫の頭の中にあるもの  Heather Hermit 
動物病院での2か月で、ラムセス2世は快方に向かっていた。毛も生えてきたし、獣医もかなり健康になったと言ってくれた。食欲もあり、もはや半死の猫ではなかった。少しずつラムセスは美しい猫になろうとしている。(2018/04/26)


コラム
非TVの映像メディアの重要性がTV映像に逆転  この5年で映像メディアには過去最大の変化が起きた
安倍政権の過去5年の間にTVの報道が全般的に衰退し、重要性が弱まった。その理由は官邸との夕食会をはじめ、政府の統制下で批判的報道があまりできなかったことにある。と言ってもTVの影響力は依然大きくある。とくに新聞や海外メディアへのアクセスのない人々はTVから情報を得ているのである。そうではあるが、情報に感度の高い人々の間でTVの重要性は確実に下がってきているのだ。(2018/04/24)


国際
マクロン大統領の警察動員力  大学入学システムの改正に反対して立てこもったパリ大学(Tolbiac) の学生たちを強制排除
パリ大学は複数に渡って分校が存在するが、Tolbiac(トルビアック)と呼ばれているのは第一分校のパンテオン・ソルボンヌ校で法律などが中心の大学だ。そのトルビアックで3月26日から大学生たちが入学システムの法改正に反対して校舎に立てこもっていた。学生たちはマクロン大統領が彼が抜擢したエドゥアール・フィリップ首相のもとで大学入試により選抜システムを強化して、みんなが入学できるシステムを変えようとしている、と訴えてきた。しかし、4月20日早朝、警察が大学に突入し、学生たちを力づくで排除した。(2018/04/23)


国際
空港建設計画を撤回した後、フランス政府は抵抗した人々のコミュニティの解体に乗り出した  フランス西部、ノートル=ダム=デ=ランドの闘争
フランスでは今、エマニュエル・マクロン大統領が率いる政府がある農民コミュニティを潰しにかかっている。その農民コミュニティはフランス西部に位置するNotre-Dame-des-Landes(ノートル=ダム=デ=ランド)にある。世界史を振り返ると、カトリックとプロテスタントの信者を和解させたアンリ4世の「ナントの勅令」が発令されたナントがこの近くにある。実はここ、ノートル=ダム=デ=ランドで人々が今、政府と闘争しているのはそこが1960年代から空港建設予定地だったからだ。インターネットやニュースで知る限り、かなり大がかりな警察力が行使されている。現地を2度訪れ、事情に詳しい女性、ルイーズ・ムーラン氏に話を聞いた。ムーラン氏は空港建設に反対する農民たちを支援する一人だ。(2018/04/21)


政治
ポスト安倍時代を考える  自民党内リベラル派に未来はあるのか 岸田文雄政調会長と宏池会について中野晃一教授(政治学)に聞く
昨年10月の総選挙の際、リベラル派の集結が政界再編の大きなテーマになった時、自民党内のリベラル派である宏池会がどう動くかが注目された。現在の宏池会の会長が岸田文雄政調会長である。岸田氏は残念ながら動きを見せず、安倍政権を追認するのみに見えた。自民党の次期政権、あるいは政界の次代を考えた時に自民党内の「リベラル勢力」をどう見るか、ということは野党第一党の立憲民主党の行方ともども興味深い点だ。政治学者の中野晃一教授(上智大学)はポスト安倍時代をどう見ているのだろうか。自民党の宏池会に焦点を当ててお聞きした。(2018/04/18)


コラム
安倍晋三記念博物館の建設を  政治家の嘘を永久保存して未来の世代に
昨日の国会前緊急集会などを経て安倍首相の支持率が20%台に落ち込んだと報じられており、自民党の中でも安倍降ろしの動きが起きているとの話も伝わって来る。そんな中、安倍首相を記念する博物館を国会周辺に建てたらどうか、と思えるのだ。安倍首相が国会その他でついた嘘をナンバリングして、どのような時にどのような嘘をついたかをパネルにして展示するのである。もちろん、国会などの映像も見れるようにして。(2018/04/15)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画『種子―みんなのもの?それとも企業の所有物?』 ラテンアメリカの農民・先住民族による種子を守り、次世代に受け継ぐための取り組みを描く
NPO法人 PARC(アジア太平洋資料センター)が中南米のドキュメンタリー映画「種子」を日本に紹介するためにクラウドファンディングで翻訳資金を集め、DVDなどで一般公開を始めました。以下はPARCの告知から。「食の源である種子。農業も豊かな食文化も、すべては1粒の種子から始まりました。しかし『緑の革命』以降、工業化された大規模農業が推進される中で、種子は知的所有権の対象となり、グローバル大企業による支配が進められてきました。2010年以降、ラテンアメリカでは農民による種子の保存を禁じ、毎回企業から種子を買わなければならなくする通称『モンサント法案』が多くの国をかけめぐります。農民を先頭に、先住民族、女性、市民、さまざまな人たちが声をあげ、大規模な反対運動が起こりました。本作品はこれら人びとの種子を守り、地域の経済や文化、食料主権を守る闘いを描いたドキュメンタリー作品です。・・・」(2018/04/15)


検証・メディア
アベノミクスと放送局  2013年、株価上昇に放送局員も沸いた 
安倍政権が発足したのが2012年の暮れで翌2013年からアベノミクスが始まった。アベノミクスとはデフレ脱却を目指し2%のインフレ目標を達成するために大胆な金融政策を行い、さらに景気の底上げのためと称して、機動的な財政政策や民間投資を喚起する成長戦略を行うことだった。これを三本の矢と称していたが、結局、一番肝心の3本目の矢が不発のまま、巨額のマネーを市場に注ぎ込んだため、株価だけは上昇した。この株価上昇で沸き立ったのは投資を行う富裕層や株式を上場している大企業だったが、もちろん、民間の放送局の株価も上昇した。以下は2013年暮れのハフィントンポストの報道である。そこに始まったアベノミクスでいかに株価が上昇したかが書かれている。(2018/04/15)


国際
米英仏がシリアを攻撃   記者会見では本当にシリア軍が化学兵器を使った証拠があるのか?というのが記者たちが最も関心を持っている質問だった
4月13日、米国を中心に英仏が参加したシリア攻撃が始まった。以下はCBSの現地報道。安倍首相はこれを起死回生のチャンスと思うかもしれない。(2018/04/14)


検証・メディア
TV番組制作プロダクション群の沈黙の5年
第二次安倍政権が2012年暮れに発足してから、5年が過ぎ、その間にTV報道の劣化が進んだ。実際に報道の自由度で日本は世界の72位になり、大きく後退したことが数値で示されている。これについて、NHKでも民放でもそれぞれ批判される対象となるのはいつも放送局だが、事はもう少し複雑だ。放送局は民放もNHKもともに番組のかなりの割合が外部の番組制作プロダクションや、それらからの派遣労働者によって制作されている。つまり、現実の労働のかなりの割合が放送局員ではない人々の手になる。こうした力学を考えれば当然ながら大きな疑問に突き当たる。放送局に政府・官邸から圧力がかけられ、政府・与党に与するように放送内容を制限されたり、表現で指示を受けたり、あるいはもっと単純に恫喝されたりした場合にこれらの番組制作会社群が結束して抗議を行ったことが一度でもあったのだろうか、ということである。(2018/04/13)


コラム
アメリカに見切りをつけられた政治家、安倍晋三
 森友問題での佐川前理財局長の証人喚問で寒々しく空しい国会の映像を見せつけられ、以後、元気になったかのような安倍首相を見て再び、いや三たび唖然とした市民は多かったに違いない。だが、ここに来て朝日新聞やNHKが七転び八起きのような非常な頑張りを見せ、野党議員が共同で戦い、再び安倍首相をリングのコーナーに追い詰めようとしている。これらの人々の仕事は素晴らしいが、実際のところ、安倍首相を裏で追い詰めたのは米政権ではなかっただろうか。(2018/04/11)


政治
『イエス、会いました』 森ゆうこ議員のツイッターから
自由党の参議院議員・森ゆうこ氏はツイッターで国会でよく使われる特殊な日本語の言い回しにつき、一般市民に向けてレクチャーを行った。森ゆうこ議員 「『記憶の限り会ったことはない』 (2018/04/10)


政治
加計学園「首相案件」問題  野党合同ヒアリング  2018年4月10日
2015年4月2日、愛媛県今治市の職員と愛媛県の職員および加計学園幹部が官邸に出向いて加計学園獣医学部新設に関する話をした後に愛媛県職員がまとめたメモにあった「首相案件」なる言葉について。この言葉は柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の言葉と記されていた。(2018/04/10)


みる・よむ・きく
東京演劇アンサンブル 3月公演「ビーダーマンと放火犯たち」(マックス・フリッシュ作)
 3月の東京演劇アンサンブルの公演はスイスの劇作家、マックス・フリッシュ作「ビーダーマンと放火犯たち」だった。マックス・フリッシュと言うと随分懐かしい響きがある。世界の現代演劇全集などにはブレヒトと並んで掲載されるような劇作家だったからだ。今回、小森明子演出で再登場させた理由はどこにあったのだろうか。そう思いながら劇場に足を運んだ。物語はこうだ。小金を持っている中小企業の会社社長の家へ、浮浪者がある晩現れる。一晩泊めて欲しい、と言って。その頃、その街の周辺では放火犯が同じように家の二階に泊めてもらって放火する連続事件が起きていたため、会社社長もなんとか断りたい。だが、レスラーだったと言う屈強の男は許可もなく、ずかずか上がり込んでしまい、肉体で威圧する半面、言葉では社長は人間性の高貴な人で浮浪者を追い出すような人ではない、などと語り、社長は次第に断れなくなっていよいよ1晩に限り、家に泊めてやることになる。(2018/04/02)


検証・メディア
スピルバーグ監督「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」を見る
話題になっているスティーブン・スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』を見た。知人から「這ってでも見た方がよい」と言われ、風邪で体調が悪かったが、それでも映画館に足を運んで見た。この映画はベトナム戦争が勝てない戦争であるにも関わらず、名誉ある撤退のために戦争をずずるずる引き延ばしていた実態を暴く最高機密書類「ペンタゴン・ペーパーズ」が新聞社に持ち込まれたことに端を発する。ニクソン政権が新聞社に圧力をかけ、記事を発表したら告発すると脅す。そんな中、ワシントンポストの社主キャサリン・グラハムとベン・ブラッドリー編集長が圧力を跳ね飛ばして印刷を決断するドラマである。(2018/04/02)


検証・メディア
安易なリツイートに注意
ツイッターの情報を見ていると、信憑性の問われる情報が拡散されていた。たとえばNHK会長が日本会議、という情報に根拠があるのか? NHK経営委員長の石原進氏がかつて日本会議福岡の名誉顧問だったということは報道でも広く知られている。だが、上田良一NHK会長が日本会議という情報は今まで聞いたことがない。ところが、そのような情報が日刊ゲンダイの昨日のNHK内部告発の記事とともに拡散されている。このようなケースはたとえリツイートだとしても気を付けた方がよい。(2018/04/01)


政治
無能な外務大臣の言い訳  「北朝鮮がいよいよ対話を求めてきました。国際社会全体による経済制裁に耐えられなくなってきたのでしょう。」
日本の外務大臣、河野太郎は世界に向けて北朝鮮との国交断絶を呼びかけてきた。この動きは世界の国々とはまったく異なるベクトルで、外務省が宗主国であるかのように畏まる米国ですら、米朝首脳会談を行うと発表した。河野太郎と日本の外務省は世界に恥をさらしたが、そもそも河野の呼びかけ自体が外国の要人にとってはニュースバリューのない、つまらないエピソードでしかなかった。落ち目の日本は世界のニュースのトップバリューになりえないのはもちろんのこと、「米国の51番目の州」に独自外交など存在しないことは周知だからだ。(2018/03/31)


検証・メディア
速報 国会でNHKの森友問題の報道の姿勢が追及される  参院総務委員会で山下芳生議員がNHK会長に質問 NHK局員の内部告発か「森友問題はトップニュースで伝えるな」「3分半以内で」「昭恵夫人の映像は使うな」 
3月29日(木)、午前11:30-11:55まで国会の参議院総務委員会で山下芳生議員(共産党)が公共放送のあり方とNHK過労死問題についてNHKに質問を行った。質問には森友問題をめぐるNHKニュースの編集方針のことが含まれていた。内部告発が共産党に寄せられた。そしてNHKの上田良一会長が答弁に立たされた。(2018/03/29)


政治
丸川珠代議員(自民党)は安倍首相の弁護士なのか? 国会議員の仕事は首相の弁護なのか?  三権分立はどこへ?
27日に国会で行われた佐川宣寿(さがわ のぶひさ)前財務省理財局長への証人喚問で、自民党から質問に立った丸川珠代議員は「安倍総理からの指示はありませんでしたね?」というような問いかけを連発して、佐川氏は「ございませんでした」などと否定を繰り返す、というシーンが繰り広げられた。視聴者はこれを見て感じたのは、アメリカの法廷ドラマだろう。(2018/03/29)


検証・メディア
2016年 腐敗した大統領・朴槿恵の退陣を求めたソウル市民の闘い  ドキュメンタリー写真家、ロ・ヨンヒョン(Roh Yong Heon)さんの記録  その2 ロウソク集会から年明けて2017年
2016年、隣国の韓国では国家を私物化した朴槿恵大統領の退陣を求めて人々がロウソク集会と呼ばれる政治集会を毎晩続け、ついに退陣を勝ち取った。彼らは実際に政治を変えたのである。その模様は世界に発信されたが、日本のメディアはあまり積極的に報道しなかった。そこで韓国のドキュメンタリー写真家であるロ・ヨンヒョン(Roh Yong Heon)さんによる記録を紹介する。ロさんの撮影した映像は2016年10月末に始まったロウソク集会が年を越え、2017年に突入したところから始まっている。韓国の市民が勝利した最大の要因は最後まで諦めなかったことにあった。(2018/03/29)


検証・メディア
2016年 腐敗した大統領・朴槿恵の退陣を求めたソウル市民の闘い  ドキュメンタリー写真家、ロ・ヨンヒョン(Roh Yong Heon)さんの記録 
2016年、隣国の韓国では国家を私物化した朴槿恵大統領の退陣を求めて人々がロウソクデモと呼ばれる政治集会を毎晩続け、ついに退陣を勝ち取った。彼らは実際に政治を変えたのである。その模様は世界に発信されたが、日本のメディアはあまり積極的に報道しなかった。そこで韓国のドキュメンタリー写真家であるロ・ヨンヒョン(Roh Yong Heon)さんによる記録を紹介する。ロさんは毎日、デモの現場に立ち会い、ビデオやカメラで記録を取り続けた。(2018/03/27)


文化
シンポジウム 「世界文学から見たフランス語圏カリブ海  〜 ネグリチュードから群島的思考へ 〜」  
 3月25日(日)と26日(月)の2日間に渡って東京の日仏会館で「世界文学から見たフランス語圏カリブ海 〜 ネグリチュードから群島的思考へ 〜」と題するシンポジウムが行われた。ネグリチュードとは厳密に説明しようとすると多分、難しいのだろうが、カリブ海のマルチニック島などに住む黒人の血を持った人々が、かつて宗主国であったフランスなどの西欧近代社会に対するコンプレックスを克服するべく、黒人であることにむしろ誇りと尊厳を見いだす考え方だった。今回のシンポジウムは副題に「ネグリチュードから群島的思考へ」とあるように、もしかしたらネグリチュードをさらに乗り越えて「群島的思考」なるものを目指したシンポジウムだったのかもしれない。(2018/03/27)


検証・メディア
NHKが再生できるかどうかは、安倍政権下の重要事件を一から独自検証できるかにかかっている  「川内原発はいかに再稼働されたのか」の検証番組を 
九州の川内原発は日本全国に51基ある原発の中で全国で最も早く再稼働を行った。川内原発は熊本地震の際に稼働中止の要請がなされたように、活断層が周囲にある可能性が地質学者から指摘されている。一つ間違えると再び福島第一原発事故のような事態を招く可能性もある。ではこのように原発再稼働に対する地域住民の根強い不安と疑問がある中、なぜ川内原発が最初に再稼働されたのだろうか。少し基本事項を振り返ってみたい。(2018/03/26)


検証・メディア
NHKが再生できるかどうかは、安倍政権下の重要事件を一から独自検証できるかにかかっている  「邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会の検証報告書」(2015年5月)の調査を 
安倍政権下では国会に提出される公文書の改ざんされ、法案のためのデータも組織的にねつ造されていた。これは氷山の一角かもしれない。安倍政権下での行政は安倍首相に喜んでもらえるように官僚や政治家たちが忖度して事実でも平気で捻じ曲げることに特徴がある。これは内閣人事局の存在によって官僚たちが内閣の意向を忖度するようになったからだ。したがって重要な事件については独立した検証をやり直す必要がある。たとえばシリアで湯川遥菜氏と後藤健二氏がイスラム国に人質に取られ斬首された事件で日本政府が的確な対処をしていたか、という問題である。(2018/03/23)


コラム
カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ")  子猫ラムセスの不安  Heather Hermit 
エジプトのカイロで暮らしているロシア人のデザイナー、ヘザー・ハーミット(Heather Hermit)さんは路上で死にかけた猫を見つけました。その子猫にしばらくエサと薬を与えた後、動物病院に連れて行きました。ラムセスという高貴な名前をもらった子猫の動物病院での治療が始まりました。以下は、彼女の記録です。(2018/03/18)


コラム
「日仏の翻訳者を囲んで」第二回 翻訳家・原正人氏 ( 司会 丸山有美 )
東京・恵比寿にある日仏会館図書館が日仏間の翻訳に携わっている気鋭の翻訳家を毎回招いて話を聞くという催しを行っていて、二回目が今月14日に行われた。一回目はフランスの小説の翻訳をしている笠間直穂子氏だったが、今回はBD(バンドデシネ)と呼ばれるフランス漫画の翻訳家である原正人氏だ。前回同様、雑誌「ふらんす」前編集長でフリーライターの丸山有美氏が司会を務めた。原正人氏の最近の翻訳作品には「金正日の誕生日」や、「ヴァレリアン」、「星々の城」、「僕のママはアメリカにいるんだ」などがある。また、漫画だけでなく、ゴダール映画の主演女優だったアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説「彼女のひたむきな12カ月」などの翻訳なども行っている。(2018/03/17)


政治
総理官邸前で抗議の人垣  「民主主義を取りもどそう」
3月12日、「民主主義を取りもどそう」との呼びかけに総理官邸前に多くの人が集まり、財務省の決裁文書偽造を糾弾し、安倍内閣の総辞職を求めた。警察官が多数、動員され、人々が官邸前に向かわないように懸命に誘導を行っていた。(2018/03/13)


政治
昨年10月の総選挙のやり直しを   安倍首相が統括する行政府の組織的隠蔽によって国民は知るべき情報を得ることなく選挙で投票することになった
 安倍首相は常々「行政府のトップ」と自身を語ってきたが、その行政府が官僚を含め組織的に公文書を偽造して犯罪を隠蔽してきた。財務省の公文書偽造が行われたのは昨年の春である。安倍首相は野党4党が加計学園への獣医学部新設問題に関して臨時国会召集を求めても国会を3か月にわたって開かず、9月下旬にようやく開いたと思いきや、ただちに国会解散、総選挙を行った。(2018/03/12)


市民活動
3月11日 パリで原発を廃止しよう集会  菅直人元首相にも特別インタビュー
3月11日、福島原発事故でフランス市民は震撼した。その7周年目の今日、パリの共和国広場で今、市民が集まり、原発を永久に廃止しようと言う集会を開ている。左派政党の「服従しないフランス」は特別に菅直人元首相のインタビューをビデオで公開した。(2018/03/11)


政治
特定秘密保護法と米朝首脳会談
2013年の暮れに可決した特定秘密保護法は憲法で保障している思想や表現の自由を損なうものだとして第二次安倍政権が始まって最初の大がかりな抗議運動をもたらしたことで記憶に新しい。そのとき、日本政府が説明していたのはアメリカから安全保障に関する情報をもらうためには、日本国内で官僚が情報をリークしない法的仕組みが必要だということだった。この説明を見てもわかる通り、アメリカを向いて作られた法律であり、当時はオバマ政権だった。安倍首相はオバマ政権の下でいかに日本人がアメリカに尽くしたいかを米議会で切々と語ってきた。(2018/03/10)


コラム
安倍夫妻を見誤った古舘伊知郎氏 「安倍さん、首相になってくださいよ」
古館伊知郎氏と言えばテレビ朝日「報道ステーション」のアンカーだったが、2015年に安倍政権が安保法制の強行可決を行ったことなどに対して批判的な姿勢を強めていった。そして2016年3月に番組を降板している。しかし、その際、古館氏は政権の圧力ではないとも語ったという。とはいえ、視聴者には放送局に圧力がかかったか、あるいは放送局の幹部が安倍政権を忖度したのではないか、と思っている人が少なくない。テレビ朝日のトップは安倍首相と会食をするような人物だからだ。古館氏が「報道ステーション」に登板したのは2004年4月のことで、この年はイラク戦争終結間もない頃だった。(2018/03/10)


コラム
カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ")  動物病院  Heather Hermit 
エジプトのカイロで暮らしているロシア人のデザイナー、ヘザー・ハーミット(Heather Hermit)さんは路上で死にかけた猫を見つけました。その子猫にエサと薬を与えながら、その後、どうしたらよいのか、と彼女は考えていました。以下は、彼女の記録です。「私は傷ついた子猫に出会ってからおよそ1か月、毎日エサを与えた。子猫は前足をけがしており、皮膚病にもかかっていたので薬も与えていた。一か月がたち、子猫は多少元気になった。そこで私は子猫を通りから連れ去って、動物病院に連れていく決意をした。」(2018/03/04)


人権/反差別/司法
「人間を守ろう、 国境を守るのではなく」   ( Protégeons les humains pas les frontières / Let's protect people, not border )   厳寒のパリに生きる難民と支援する人々
エマニュエル・マクロンは昨年の大統領戦で、国民戦線のマリーヌ・ルペンに対抗してリベラル派のポーズを見せて大勝した。ところが今年に入ってマクロンは国境警備に携わる警備部隊を大いに讃え、難民のフランスへの迎え入れを大幅に制限する法案をぶち上げ、右翼ぶりを示し始めた。閣議で決定された新たな難民法案は難民認定の申請期間を半年に短縮し(今まで概ね1年以上あった)、難民と認められなかった場合に上訴して再審査ができる猶予期間をわずか15日間に縮めることになるらしい。この新たな難民法案は6月に国会で審議されることになるようだ。(2018/03/02)


コラム
「日仏の翻訳者を囲んで」 翻訳家・笠間直穂子氏 ( 司会 丸山有美)
以前、日本にはフランスの本の大半が入ってこなくなり、ほとんど鎖国状態だ、と嘆いたことがありましたが、その一方で、コツコツ優れた翻訳活動を地道に続けている人もいます。今回、日仏会館図書室が「日仏の翻訳者を囲んで」というシリーズ講演を始めると知り、第一回目の笠間直穂子氏のトークを聞きに出かけてみた。笠間直穂子氏の訳書の核の1つが、フランスの作家マリー・ンディアイ著「みんな友だち (Tous mes amis 2004)」や「心ふさがれて (Mon coeur a l'etroit 2007)」だと知った。(2018/03/01)


みる・よむ・きく
アンコール まいにちフランス語 (2013) NHKラジオテキスト  梅本洋一「映画の話をしよう!」(応用編)
今から5年前に買ったNHKラジオのフランス語講座のテキストが出てきた。書庫の整理をしていた時だ。「アンコール まいにちフランス語」と題するこの本は一度放送した中から、再編集して1冊にまとめたもので、この中に応用編として映画評論家である梅本洋一氏の「映画の話をしよう!」というパートがある。NHKラジオのフランス語講座には初級編と応用編があり、応用編は少し上達したリスナー向けの内容になっている。ここであえて梅本洋一氏の講座について触れたいと思ったのは、通常の「応用編」と比べて、シンプルに私たちが日常的に関心を持つフランス映画とリスナーを「フランス語」で結んでくれたということだった。(2018/02/28)


コラム
カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ")  死にかけていた子猫 Heather Hermit 
エジプトのカイロで暮らしているロシア人のデザイナー、ヘザー・ハーミット(Heather Hermit)さんは路上で死にかけた猫を見つけました。今回は家で飼っている二匹の猫の話ではありません。以下は、彼女が路上で観察した記録です。「子猫の手には傷があり、皮膚病にもかかっていました。子猫の家族はみな飢餓と厳しい生存環境のせいで滅びてしまったのです。・・・」(2018/02/26)


コラム
放送界の文化大革命  日本の紅衛兵たち
放送の世界も世代によって価値観が異なっている。バブル時代に青春期を送った世代が世界に飛び出して、世界の人々と交流しながら外国から学ぶことを大切にする傾向があったとしたら、その後の世代は真逆になっていくのである。思い出せば明らかだが、外国にさほど関心がない世代となるのだ。それからさらに世代を下れば、外国から学ぶのではなく外国に日本の素晴らしい技術や文化を教えることに中心を置く世代、となっていく。(2018/02/18)


コラム
外国の労働法の規制緩和と日本の労働法の規制緩和はつながっている  公共放送は国民の知る権利に応えるべきだ
今日、公共放送のテレビドキュメンタリーでは外国の労働問題を扱う番組企画案などはほとんど採用されなくなっています。海外を見て日本を振り返って考えてみる・・・・的な番組は採用されない時代が来てしまったのです。一昨年あたりから企画の採用基準が激変したのです。このことは何を意味しているか考えてみたいと思います。日本で今、安倍政権が導入しようとしている労働法の一段の規制緩和はさらなる超過労働を労働者に強いる可能性が強いのです。このことは日本一国だけで見ていては解決できないことなのです。(村上良太)(2018/02/15)


コラム
カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ")  美猫コンテスト Heather Hermit 
エジプトで猫を飼っているロシア人デザイナーのヘザー・ハーミットさんは自分が飼っている猫の写真記録をつけてきました。現在、2匹の雌猫と暮らしています。タイ産の猫、ビーストとカイロのシェルターでもらい受けた猫のセクメットです。セクメトは何を与えてもいつも満足することなくお腹を空かせています。ハーミットさんが二匹の個性的な猫と共同生活をしているうちに、頭に浮かんできた短編の童話が次の物語です。(2018/02/12)


検証・メディア
東京新聞の塩野七生さんへのインタビュー記事に対する疑問 「ギリシア人の物語」完結にちなんで  〜安易で誤った歴史の適用・類推は国家を危うくする〜
東京新聞と言えばあの総理官邸の記者会見でしつこく食い下がる望月衣塑子記者で最近、話題になって政府に対して批判的な人々から絶賛されている新聞だ。筆者自身も今年から試しに東京新聞の購読を始めたのだが、全体に情報量が朝日新聞などより少ない気がすることはともかくとして、記事の中身自体のつっこみも紙面すべてが望月記者のような鋭く執拗な食いつきがあるとは言えないのかもしれない。その例として挙げるのが妥当なのかどうかわからないが、1月13日の文化欄の「最後の長編『ギリシア人の物語』完結 塩野七生さん(作家)〜 書ききった2500年の歴史〜」と見出しをつけたインタビュー記事である。(2018/02/04)


みる・よむ・きく
トランプ大統領の一般教書演説  「アメリカを再び偉大にする」
トランプ大統領が就任して2年目に入る。トランプ大統領が政策を語る一般教書演説が以下。(2018/02/04)


みる・よむ・きく
近日刊行 中野晃一著「私物化される国家 支配と服従の日本政治」 (角川新書)   〜アンチ・リベラルはなぜ膨張したのか〜
立憲主義の大切さを訴えてきた気鋭の政治学者・中野晃一氏が今月、新刊書を角川新書から出します。タイトルは「私物化される国家 支配と服従の日本政治」。中野氏は出版に当たって次のように語りました。(2018/02/01)


みる・よむ・きく
リーダーズ・ダイジェスト誌の100単語でつづるノンフィクション物語のコンテスト
アメリカのリーダーズ・ダイジェスト誌が英語100単語以内で実話を募集してコンテストを行ったという。応募作品は7000もに及んだ。その中から選ばれた文章をウェブサイトで公表している。1位に選ばれた話と言うのはサウスカロライナ州のミシェルさんの思い出。(2018/01/25)


みる・よむ・きく
後藤正治著 「探訪 名ノンフィクション」 その2
後藤正治氏の「探訪 名ノンフィクション」を読んで啓発されることが大きかった。何にか、ということは昨日記したのだが、要はノンフィクションの面白さを今一度、感じさせてくれる本だった、ということである。そして、そのことは書店の記憶を呼び起こした。禁煙歴10年の人がふとタバコを味わっていた頃のことを思い出すとしたらその時の銘柄やライターが具体的に思い出されるように、ノンフィクションを陳列した街の書店の総合雑誌の棚や書棚が思い出された。しかし、それらは数年前に書店が町から消えてなくなった時に過ぎ去ってしまった。書店に行く動機の中の比較的大きなウエイトはノンフィクションを立ち読みしたり、買ったりすることにあったように感じられた。それらの本は社会の面白さとか、人生の味わいを教えてくれる文学だった。(2018/01/24)


みる・よむ・きく
後藤正治著 「探訪 名ノンフィクション」
巻末に沢木耕太郎氏と後藤氏との対談が掲載されており、そこでこの作品選をどう見るか、ということや、ノンフィクションとは何か、と言ったことが話し合われている。結論から言えば評者が変われば人選や作品選も変わりうるし、ノンフィクションの定義も狭義か広義で変化しうる、と言ったことが書かれている。本書が出版されたのは2013年のことで、巻末の対談でも触れられているが、ノンフィクションの書き手にとっては厳しい時代にあり、特に長編のノンフィクションを発表できる雑誌媒体が中々なくなってしまった、ということがあるようだ。(2018/01/23)


文化
作家アラン・マバンクゥ氏がマクロンに宛てた「大統領への公開書簡」 フランコフォニーに対する考え方が違っているのではないか? lettre ouverte à Emmanuel Macron par Alain Mabanckou
  アフリカ中西部のコンゴ共和国出身でフランスで法律学を学び、現在はカリフォルニア大学で文学を教えている作家のアラン・マバンクゥ氏。2016年には権威あるコレージュ・ド・フランスで黒人文学を講義したことでも現在、フランス語圏の作家の中で最も注目されるひとりである。そのマバンクゥ氏は祖国コンゴ共和国の不正選挙を嘆いて、かつてオランド大統領への公開書簡を発表したことがあった。今回はマクロン大統領への公開書簡である。フランス語を話す人々による想像の共同体であるフランコフォニーを国家プロジェクトにしようというマクロン大統領のフランコフォニーに対する考え方に植民地主義が根底に潜んでいることを指摘している。(2018/01/21)


みる・よむ・きく
第二次大戦後のインドネシア独立の裏話 ヨ―リス・イヴェンス監督「インドネシアは呼んでいる」(1946)  ”Indonesia calling”  Joris Ivens, 1946
第二次大戦が1945年に終結した後、アジアでは植民地だった国々が次々と独立を成し遂げた。オランダ出身のドキュメンタリー映画監督ヨ―リス・イヴェンスは1946年にインドネシアの独立の裏話を撮影している。それはオーストラリアの港湾労働者の組合が製作した映画で、”Indonesia calling”(インドネシアは呼んでいる)と名づけられている22分の短編ドキュメンタリー映画である。映画の冒頭にも記されているが、この映画はインドネシアの独立を願って製作された。それがオーストラリア映画だというところが「なぜだろう?」と思わせる。(2018/01/20)


文化
マクロン大統領の表現「フランスとフランコフォニーの諸国」に疑義を呈した作家アラン・マバンクゥ氏
コンゴ共和国出身でフランス語圏で活躍する作家であるだけでなく、カリフォルニアの大学で文学の教鞭を取っているアラン・マバンクゥ(Alain MABANCKOU)氏がフランスのエマニュエル・マクロン大統領のフランコフォンに関する発言に異議を呈した。マクロン大統領がドイツで「ドイツはフランスとフランコフォニーの諸国を迎えてきました・・・」と発言したことが1つのきっかけだったようだ。(2018/01/20)


みる・よむ・きく
大不況の最中に撮影された炭鉱労働者 ヨ―リス・イヴェンス監督(共同)「ボリナージュの悲惨」”Misère au Borinage” (Joris Ivens- Henri Storck 1933) 
オランダ出身のドキュメンタリー映画監督のヨ―リス・イヴェンスには初期の詩的なともいえる「雨」といった短編映画もあるが、大不況の最中に撮影された「ボリナージュの悲惨」のような社会派の映画もある。むしろ、イヴェンスの本領がこの方面であることがわかってくる。30分ほどの短編映画「ボリナージュの悲惨」(Misere au Borinage) はベルギー南西部の炭鉱街の労働者たちが不況の中で厳しい生活を強いられている光景を比較的シンプルに映し出す。(2018/01/19)


人権/反差別/司法
H&Mの人種差別広告に怒る南アの人々 "coolest monkey in the jungle" 「ジャングルで一番クールな(格好いい)猿」 
スウェーデンのカジュアル衣料ブランドH&Mの宣伝で黒人少年が"coolest monkey in the jungle" 「ジャングルで一番クールな(格好いい)猿」というメッセージをあしらったパーカーを着ていたことで、レイシスト(人種差別)の広告だという怒りが起き、南アフリカのH&Mの店舗にも怒った黒人の人々が押しかけた。(2018/01/19)


みる・よむ・きく
韓国の宮廷料理の研究家・黄慧性(ファン・ヘソン)さんと石毛直道氏の対談 「韓国の食」 
日刊ベリタで韓国の料理を紹介いただいているな すんじゃさんがソウルに留学して宮廷料理を学んだ時の校長先生が黄慧性(ファン・ヘソン)さんです。黄慧性さんが食の分野で幅広く取り組んだ文化人類学者の石毛直道氏と韓国料理とは何なのかを対談したものが「韓国の食」です。なぜ韓国ではたくさんの小さな器が並べられるのか、など様々な文化の違いが縦横無尽に語られ、韓国文化に詳しくない読者にとっても楽しく読める本になっています。(2018/01/19)


みる・よむ・きく
1929年に作られたドキュメンタリー映画、ヨ―リス・イヴェンス監督 「雨」(14分)   ”Regen” by Joris Ivens
1920年代から英国のドキュメンタリー映画運動が始まるが、その頃、大陸側のオランダでは映画監督のヨ―リス・イヴェンス (Joris Ivens)が詩的なドキュメンタリーを作っていた。その1つが1929年に作られた「雨」という14分の短編映画で、文字通り都市に雨が降り始めて止むまでを様々な場所の情景を1カット1カット積み重ねている。なかなか大気中の雨自体を撮影するのが困難だったためか、水たまりや川で雨滴の作る模様や人々のさす傘などを使って表現している。(2018/01/18)


みる・よむ・きく
英国ドキュメンタリー初期の作品「住宅問題」 ロンドンのスラム街の再開発を描いた約15分の短編 社会派ドキュメンタリー番組の原型
ドキュメンタリーの元祖英国では1930年代に中央郵便局映画班(GPO)でジョン・グリアスンの指揮のもとに試行錯誤が続けられ、初期の代表作を作ってきた。その頃、GPO以外でもドキュメンタリー映画が作られるようになった。「住宅問題」(Housing regeneration ,1935)と題する15分足らずの短編はその当時の傑作の1つにされている。(2018/01/17)


みる・よむ・きく
「もしそれがあなただったら?」 厳冬のパリのホームレスへの想像力を喚起する写真家マルク・メルキの個展 "Et si c'était vous ?" par Marc Melki 
パリの写真家、マルク・メルキ(Marc Melki) 氏がパリの北の郊外にある街、オーベルヴィリエで今月12日から来月7日にかけて写真展を行っている。「もしそれがあなただったら?」と題するこのシリーズはホームレスをテーマにしている。と言っても、路上で寝ているのは本物のホームレスではなく、各界の様々な人たちだ。(2018/01/17)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画の草創期の傑作  アイルランド漁民の生きる闘いを描いたロバート・フラハーティ監督の「アラン」
ドキュメンタリー映画の父であるロバート・J・フラハーティのデビュー作がカナダエスキモーを描いた「ナヌーク」(1922)だった。名声を得たものの、その後、今一つ作品が不調だったアメリカ人のフラハーティは1930年代に入ると、英国から招聘されるようになる。声をかけたのは中央郵便局映画班(G・P・O)のプロデューサー、ジョン・グリアスンだった。グリアスンは社会派のドキュメンタリーの制作を指揮していたが、大自然の中に生きる人間の詩的な姿にこだわるフラハーティとは結果的にうまくいかなかったのかもしれない。しかし、英国に渡ったフラハーティは英国の映画会社からアイルランド西端のアラン諸島を舞台にした映画の制作資金を得ることとなった。こうして作られたのが「アラン (Man on Aran )」(1934)だ。(2018/01/15)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画の草創期の傑作  カナダエスキモーの生活を撮影したロバート・フラハーティ監督の「ナヌーク」
ドキュメンタリー映画の草創期の傑作の1つがロバート・J・フラハーティ監督の「ナヌーク」(1922)という作品です。「ナヌーク」はカナダのエスキモーの一家の氷上での生活を描いています。フラハーティはアメリカ人でもともとはミシガン鉱山学校を卒業した探検家でした。カナダのエスキモーたちの暮らす厳寒地域を踏破するようになったのも鉄鉱資源探索の探検家としてでした。そんな中、最初は映画カメラのベルハウエルを趣味的に回していたところ、次第に本格的にエスキモーの生活を映画にすることを考えるようになっていきました。最初に探検したのが1910年でしたから映画が上映されるまでに12年かかっています。(2018/01/14)


コラム
エイゼンシュタイン監督の「戦艦ポチョムキン」と英国ドキュメンタリー映画運動
映画の著作権が70年という事で1930年代とそれ以前に上映された映画は著作権が切れたことになる。ソビエト映画の「戦艦ポチョムキン」(1925)は第一次ロシア革命(1905)を歌ったプロパガンダ映画として知られるが、この映画も著作権が切れている。共産主義ソ連のプロパガンダ映画と烙印を押されると、見る人も尻込みする人が多いかもしれないが、この映画の表現力や演出力はサイレント映画時代の1つの頂点とも言え、イデオロギーを超えて世界の映画人に大きな影響を及ぼした。(2018/01/14)


欧州
フランスのセクハラ論争  ”importuner”する自由
アメリカの大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが自分の製作する映画に出演した多数のハリウッド女優らにセクハラを行っていたことが大々的に報じられて以来、セクハラの告発が欧州にも引火し、各地で過去の出来事が告発されている。そんな中、フランスの女優、カトリーヌ・ドヌーブが"la liberte d'importuner" (男にはimportuner”する自由がある )と発言したことが新たな話題を呼んでいる。importunerというフランス語の単語には「迷惑をかける、うるさがらせる」という意味があり、異性を相手にする場合は特にしつこく言い寄ってうっとおしくさせる、という意味合いが含まれている。(2018/01/12)


米国
トランプ大統領にノーベル平和賞の可能性も  米朝国交正常化で3首脳のトリオ受賞の可能性が膨らむ
北朝鮮への攻撃カードをちらつかせている米国のトランプ大統領だが、早まった攻撃を仕掛ければ同盟国の韓国や日本、さらには米軍基地の米兵たちの命にかかわるために簡単に攻撃の指示を出すことはできないだろう。その一方で、米国は前政権時代から北朝鮮とは非公式ルートで交渉をしてきた経緯もあり、ぎりぎりの瀬戸際で米朝間の平和条約調印の可能性もある。(2018/01/11)


米国
NYTが米諜報の失敗を指摘 「近来の最大級の誤り」 北朝鮮のミサイル開発の速度を軽視 水爆の完成で新たな練り直し 核保有数もわからず
 ニューヨークタイムズがトップページから複数ページに渡って特集を組んだのは北朝鮮のミサイル開発の速度を米情報部が甘く見ていた、というものだ。トランプ政権が1年前に始まった時に、北の核ミサイルが米国の都市を直撃できるまでに米情報部は4年の交渉年月がまだ残されていると言っていたが、北朝鮮の核開発が急速に進み、まったくの誤りだったことを示している。(2018/01/10)


欧州
哲学者、エチエンヌ・タッサン(Etienne Tassin)氏が亡くなる ハンナ・アレントの研究家、難民・移民の問題も考察
 日本で言及されることは少ないが、哲学者のエチエンヌ・タッサン(Etienne Tassin)氏が事故がもとで亡くなった。62歳だった。事故が何かは具体的に伝えられていない。以下は哲学雑誌に掲載された訃報。今月の6日のことだった。タッサン氏は政治哲学者のハンナ・アレントの研究で知られるフランスの哲学者だった。パリ第七大学に拠点を置いていた。以下はタッサン氏のインタビューの映像だ。(2018/01/10)


コラム
15年目の日刊ベリタ インターネット新聞の過去、現在、未来
僕が日刊ベリタに関わるようになったのは2009年の夏のことで、その秋、民主党政権が誕生した。今から見ると、不吉な未来の種子はこの時すでに撒かれていたことになるが、その当時に立ち返ってみると、新しいジャーナリズムの潮流が生まれつつある時でもあった。それは民主党政権が記者クラブを廃して、フリージャーナリストにも記者会見の門戸を開こうとしていたことや、TVに代わるインターネットの映像メディアが息吹を上げていたことなどである。では本紙、日刊ベリタはどうだったかと言えば、独立メディアでは最初のインターネット新聞として2003年に生まれているが、創業時の執筆者のほとんどは現在、執筆していない。(2018/01/09)


科学
アルゴリズムを疑え  数学者でデータサイエンティストCathy O'NeilのTED講演 「専制君主のようなアルゴリズムに対して説明を求める必要があります」
インターネット時代、多くのことがコンピューターの「アルゴリズム」によって決められている。しかし、アルゴリズムが何かを正確に説明できる人は多くはないだろう。情報処理の手順だが、それがどのようにプログラムされて、何を基準に演算処理がなされ、情報が配られてくるのか全くブラックボックスの中にある。数学者でデータ科学者のキャシー・オニールがアルゴリズムを盲信していたらとんでもないことになりかねない、とTED講演で警告を発している。(2018/01/08)


人権/反差別/司法
浜田雅功のブラックフェイスはなぜ問題か? 人種差別問題に詳しいフランスの政治学者Françoise Verges さんに聞く
お笑いタレント「ダウンタウン」の浜田雅功が大晦日のお笑い特番で顔を黒塗りしたいわゆる「ブラックフェイス」でアメリカの黒人俳優エディ・マーフィのギャグを披露したことが批判を呼んでおり、海外紙でも報じられている。これに対して日本でも批判する声が上がっているが、同時に、顔を黒塗りすることがなぜ問題なのか、という疑問の声も上がっている。.屮薀奪フェイスを番組に使った日本人の意図や動機の問題と、△修譴鮃人がどう感じるか、あるいは黒人にとってどのような影響があるのか、という問題とこれら2つの観点を同時に考える必要がある、ということがこのテーマを論じる海外の人たちの考えの基礎にあることだ。(2018/01/08)


みる・よむ・きく
George Mikes "How to be an Alien " ( ジョージ・ミケシュ著「いかにしてガイジンになるか 」) 
米ソ間の冷戦が終結したあと、地域間の紛争の時代になったとよく言われた。旧ユーゴスラビアの分裂と虐殺はその象徴的な出来事だった。東アジアでも日本と中国や韓国との関係が急速に悪化していった。ナショナリストたちは近隣同士で汚い侮辱の言葉を浴びせあって時には戦争も辞さない、と威嚇しあった。そうした風潮は冷戦終結後の技術革新と言ってよいインターネットによってさらに拡大し、加速していった。こうした時代に紹介したい1冊はジョージ・ミケシュ著「いかにしてガイジンになるか 」(George Mikes "How to be an Alien " )というちょっと風変わりなタイトルの薄い本である。(2018/01/07)


みる・よむ・きく
Robot-Proof: Higher Education in the Age of Artificial Intelligence (MIT Press) 「ロボット時代を生き抜くための高等教育」
未読だが、こんな本が話題になっているという意味で紹介したい。ビジネスインサイダーというITとビジネス関係の情報のウェブサイトが、ハーバード大学の教授たちに大学生が必読の本を紹介してもらう特集をしており、その何冊かの推薦書の1冊。”Robot-Proof”(ロボット・プルーフ)とは聞きなれない言葉だが、”Water-Proof”(ウォーター・プルーフ=防水)の時計という言葉が人口に膾炙しているように、直訳すればロボットを防ぐ、という意味合いになる。テクノロジーの飛躍的進歩を前にして高等教育は変わらなくてはならない、というのが中心的テーマだ。(2018/01/06)


みる・よむ・きく
トランプ大統領のロシアゲート事件とは何なのか? ”Collusion: How Russia Helped Trump Win the White House”(共謀 いかにロシアはトランプが大統領になるのを手助けしたか)
そもそも今、トランプ大統領の側近やら息子やらトランプ大統領自身やらが嫌疑をかけられているロシア絡みの不正とは何だったのだろうか。今さら聞けない・・・類のようでもあるが、記事を拾ってみると、英国のガーディアン紙にいろいろ記事が出ていた。中でもルーク・ハーディング(Luke Harding)が記した本”Collusion: How Russia Helped Trump Win the White House”(共謀 いかにロシアはトランプが大統領になるのを手助けしたか)はその手がかりになるかもしれない。(2018/01/05)


検証・メディア
日本テレビの年越し番組の暴力シーンに視聴者の批判の声が上がる  ベッキーが受けた「禊のタイキック」
日刊スポーツによると、日本テレビの年越し番組、「ガキの使い!大晦日年越しSP絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!第1部」が関東地区で17%以上の視聴率を上げ、NHKの紅白歌合戦を除くと10%台の視聴率で8年連続で民放トップとなった。しかし、ツイッターなどのソーシャルメディアの世界では同番組の中でタレントのベッキーが「禊のタイキック」を受けるシーンに対する強い批判が起きている。(2018/01/05)


みる・よむ・きく
トランプ政権の内幕本 ”Fire and Fury: Inside the Trump White House” ( 炎と憤激 )が出版される 出版社に抗議する政権 解任されたバノン前首席戦略官の発言を多用 
年明け早々の今週、アメリカのトランプ政権の内幕を描いた本 ”Fire and Fury: Inside the Trump White House” ( 炎と憤激)が出版された。すでにツイッターなどでも国境を越えて話題になっている。その核は一昨年の大統領選で参謀として脇にいたスティーブ・バノン前首席戦略官へのインタビューが多用されていることにあるようだ。著者のマイケル・ウルフはアメリカの雑誌などで多数の記事を書いてきたベテランの記者だという。雑誌ニューヨーカーの紹介記事によると、バノンのインタビューがかなりの割合を占めているらしく、その中には2016年の予備選の最中にトランプが息子、義理の息子などとともにロシアの要人とトランプタワーで会っていたことも触れられており、折しも進行している捜査とも重なって来るのかもしれない。(2018/01/05)


みる・よむ・きく
ミャンマーの風刺画
ニューヨークタイムズにミャンマーのスーチー女史を風刺する漫画が掲載された。この手のロヒンギャ族への迫害疑惑に関するものはすでに何度か出ているが、27日付国際版はこれまでよりも不気味さが際立つ。(2017/12/28)


みる・よむ・きく
アリアナ・ハフィントン著「誰が中流を殺すのか 〜アメリカが第三世界に墜ちる日 〜」
ハフィントンポストを創刊したアリアナ・ハフィントンが「誰が中流を殺すのか 〜アメリカが第三世界に墜ちる日 〜」を出版したのは2010年のことで、オバマ政権が誕生した翌年のことになる。この本はジョージ・W・ブッシュ政権の8年間におけるアメリカの衰退を中心に、アメリカの経済を診断した本である。「アメリカン・ドリームを守るために闘っている数百万数千万の中流層にささげる」と最初に記されているように、アメリカン・ドリームがほとんど失われてしまったのはなぜか、と分析し、その中心課題として中流層の減少がなぜ起きて、どこまでに至っているのかを考察しているのである。この種の本はアメリカンバブルの崩壊を機に多数書かれたけれども、ハフィントンの本書が価値を持つのはケンブリッジ大学の経営学修士号を持つ彼女がアメリカ社会を広範に分析していることにある。(2017/12/28)


みる・よむ・きく
中野晃一著 「右傾化する日本政治」  新右派転換とは何か。
一番注意すべき点は安倍政権がアメリカに従順であることから右左を問わず多くの人の怒りを呼んでいますが、新右派転換のモデルによれば安倍政権の次に微弱な左への揺り戻しがあったとしても、その次にさらなる本格的な右翼政権が登場する可能性があるということです。今のまま新右派転換を続けたなら、安倍政権が日本国憲法を廃棄させ、様々な民主的な制度を廃棄し終わった時点で、民族派の極右政権が生まれる可能性があるということです。そしてこの新右派転換を促進したのが小選挙区制度でした。(2017/11/26)


アフリカ
ジンバブエを振り返る  トニー・ブレアによるランカスターハウス協定の反故と白人からの農地接収  村上良太
 ジンバブエで1980年代から事実上の独裁者として君臨してきたロバート・ムガベ大統領が軍のクーデターで拘束され、今月辞任を強いられたと報じられました。これが日本でどう報道されているかと大手新聞を見てみると、アラブの春と同様、腐敗した独裁政権が打倒されたというのが基本的なストーリーになっています。そして、その核心に来るものがムガベ大統領が農業技術もない黒人に白人から強制接収した農地を分配したことにある、という風になっているのでした。この描き方はジンバブエの宗主国であった英国とその同盟国である米国における主要メディアと基本的に同じです。日本と言う西欧の外部における独自の視点はどこにもありません。(2017/11/25)


政治
野党共闘を考える 共産党幹部・植木俊雄氏に聞く 共産党はどのように共闘を決め、どのように進めてきたのか その2
Q 野党共闘の合意ができて、一人区の候補者の選定は粛々とできたんですか? 植木俊雄・広報部長 「結構大変でしたよ。経過を言っておきますとね、まず私たち幹部会から9月19日に共産党・中央委員会で野党共闘の提案をして、それで決定したあと、ともに闘った市民団体の方々やともに闘った4党(民主、維新、自由、社民)の各党にその提案をお届けして検討をゆだねるという風にしたわけですね。で、市民から安保法反対で立ち上がってきた学者の会の方々、それから千人委員会の方々、ママの会、シールズをはじめとした人たち。・・・」(2017/11/18)


政治
野党共闘を考える 共産党幹部・植木俊雄氏に聞く 共産党はどのように共闘を決め、どのように進めてきたのか その1
共産党に対する市民の眼差しがここ1〜2年で大きく変わってきたようだ。振り返ると、2014年2月の東京都知事選。安倍政権打倒を求める野党勢力は共産党が推した宇都宮健児候補と民主党が推した細川護熙候補に割れた。その結果、自民党が推薦した舛添要一候補の圧勝となった。舛添候補の得票率は宇都宮候補と細川候補の得票率をほぼ足し合わせた数だった。同じ野党支持者であっても宇都宮候補を推す人々と、細川候補を推す人々の間に大きな溝が生まれ、野党候補者一本化の難しさが浮き彫りとなった。あれから3年以上がたつ。共産党はそれまでの孤高のイメージを脱ぎ捨て、野党共闘に積極的に取り組む政党になっていた。共産党はいつ、どのように野党共闘の方針を決め、これまでどのように取り組んできたのだろうか。東京・代々木の日本共産党中央委員会を訪ね、共産党幹部の植木俊雄広報部長に話を聞いた。(2017/11/18)


政治
政治を考える 辻元清美氏に聞く リベラルが政権を担う日  その2
Q 具体的に政治を動かしていくための仕切り直し、というような決意で民主党に移られたんですか? (辻元清美)民主党は小選挙区制度のもとで政権交代をして政権を担いました。私の場合、小選挙区で当選していますが、社民党を支持してくださる方たちだけでなく、民主党、国民新党を支持している方たちにも投票していただいたんですよ。それは、政権を担って新しい政治をつくれ、という声でした。政権を民主党、社民党、国民新党で担ったわけですけれども、8か月で社民党が政権離脱したんですよ。(2017/11/14)


政治
政治を考える 辻元清美氏に聞く リベラルが政権を担う日   その1
9月下旬から10月下旬にかけて、日本の政界は大きく揺れ動いた。衆院解散、民進党の希望の党への合流、そして一部議員の「排除」をめぐる騒動と立憲民主党の結成。この激動の1か月間をまさにその渦中で生きることになった政治家の一人が辻元清美氏(衆議院議員)だ。現在、辻元氏は野党第一党になった立憲民主党の国対委員長として与党と激しい交渉を続けている。そんな辻元議員に激動の1か月の経験を話してもらった。(2017/11/14)


コラム
生活を保障する資金を全国民に一律に支給する「ベイシックインカム」の提唱者たち
生活を保障する資金を全国民に一律に支給する制度を「ベイシックインカム制度」と言う。フランスの社会党から選出されて今年、大統領選に立候補したブノワ・アモンが提案し、注目を集めた。あまりにも現実から遊離しているという批判もあった。ベイシックインカムの制度を導入したら、みんな怠け者になってしまうのではないか、と見る人も少なくない。まるで遅れてきた共産主義だ、と見る人もいる。だが、その一方で、生活に必要な資金(食費、住宅費、教育費)を全員に与えるベイシックインカム制度の必要性はこれにより、人間の能力を向上させることができるからだ、と説く人々がいる。(2017/11/12)


コラム
国際ニュースを見ていて、ハンプティ・ダンプティを思い出した
最近、国際ニュースを見ていて、ハンプティ・ダンプティを思い出した。ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」に登場する巨大な玉子人間で、塀の上に座っている人物(というか玉子)である。「鏡の国のアリス」でハンプティ・ダンプティは塀から転がり落ちた。細かい筋書きは覚えていないのだが、塀の上で得意がっていた玉子が地面に落ちて尻もちをつく、というのが子供たちには楽しいのだ。だが、ハンプティ・ダンプティは「鏡の国のアリス」だけでなく、英国では「マザー・グース」などにも登場するらしい。(2017/11/11)


政治
野党共闘を考える 市民連合の中野晃一教授(上智大学)に聞く その2  
Q 2016年の参議院選挙の際、市民がイニシアチブを取って野党を共闘させた、というのは画期的なことに思えました。これについて、世界の政治史から見た場合はどのように位置づけられるのでしょうか? 中野  「ある意味、興味深いところがあると思うんです。2015年9月19日の安保法制の可決までに5つの団体が中心となって〜他にもいろいろありますが〜 総がかり、シールズ、ママの会、立憲デモクラシーの会、学者の会という5団体が中心となって抗議をやってきた、と。その過程で野党共闘を、ということを言ってきたわけですよね。ただ新しい市民運動の抗議行動ということに関して言えば、恐らくルーツとしては少なくとも2011年以後の脱原発運動に遡るところがあると思うんです。・・・」(2017/11/08)


政治
野党共闘を考える 市民連合の中野晃一教授(上智大学)に聞く その1 
最近、選挙のたびに野党共闘という言葉を耳にするようになった。自民党の安倍政権が「一強」と言われる中にあって野党がバラバラでは小選挙区制では勝てない、という危機感から生まれてきたものだ。野党共闘を進めたのが「市民連合」だが、いったいどのような団体で、これまでにどのような試行錯誤があったのだろうか。市民連合に参加した政治学者の中野晃一教授(上智大学国際教養学部)に話を聞いた。(2017/11/08)


コラム
リベラル保守とフランス革命
フランス革命というと平民が王や貴族の首を切り落とした革命、という印象ばかりが強い。だが、そもそも革命の始まりは国王、ルイ16世が始動したことはあまり語られていない。財政難になったルイ16世がそれまで免税されてきた貴族や僧侶の階級にも課税しようとしたことが始まりだった。この時、裁判所のアドバイスを受けて三部会を再開してそれぞれの階級の代表を集めて議論しよう、と提案をしたのはルイ16世だった。(2017/11/06)


コラム
リベラル保守とフランス革命と日本国憲法
人間の理性が万能であると考えるのは誤りで危ないから、保守主義で少しずつ改良していく考え方を取る・・・・一見、なるほどと思いそうな昨今の「リベラル保守」なる考え方だ。しかし、それなら1945年の敗戦と米軍による占領下で起草された日本国憲法は政治のシステムを一気に改めた、という意味で否定されるべきものとなるのではなかろうか。それとも例外はありなのか。例外があるのなら、すべての革命もまた例外という事もできる。フランス革命はダメだが、日本国憲法の採択と民主化はよいとする理由は何なのか。(2017/11/05)


検証・メディア
フランスのルモンド紙が詩織さんが襲われたと訴えてきた事件を報道  ”Le combat de Shiori Ito, agressée sexuellement dans un Japon indifférent” (伊藤詩織さんの闘い セクハラ被害者に冷淡な日本で)
フランスのルモンド紙が伊藤詩織さんが就職相談に行った時に酒をつき合わされてレイプされたと訴えてきた件を報道した。”Le combat de Shiori Ito, agressee sexuellement dans un Japon indifferent”(伊藤詩織さんの闘い セクハラ被害者に無関心な日本で)(2017/10/31)


文化
今度はマーラーをルンバ演奏  米ピアニスト、ヨアキム・ホースレイ氏  ピアノを打楽器として使う
ピアノを打楽器として使うという新しいコンセプトで独自にアレンジしたベートーヴェンの交響曲7番を披露して、世界に知られたアメリカのピアニスト、ヨアキム・ホースレイ(Joachim Horsley)氏。アレンジはキューバのルンバのリズムやテクニックを使ったものだ。第二弾はマーラーの編曲で、今回もルンバ風に編曲されている。クラシックの交響曲とルンバのアウフヘーベンを聞くことができるだろう。(2017/10/29)


政治
保守主義のバイブル 「フランス革命の省察」 下僕と王と貴族と  Reflections on " Reflections on the Revolution in France"
 最近の保守主義を崇める論客たちが推奨するのがエドマンド・バーク著「フランス革命の省察」である。この本を書いたエドマンド・バークは英国人の貴族であり、言うまでもなく身分制社会を肯定する立場である。そこから、自由・平等・博愛の理念を掲げたフランス革命を徹底批判したのが「フランス革命の省察」である。「下僕たる身分の本質とは、誰か他者の命令に服従し、その意のままに追う払われるところにあります。しかしイギリス王は誰にも服従しません。彼以外のすべての人間は、個人としても団体としても彼の下にあり、彼に対して法的服従義務を負っています。・・・」(2017/10/27)


政治
特別国会と臨時国会  政治用語の違いは?
まず11月1日に開催されるのが「特別国会」だとされ、一方で「臨時国会」が開かれないのはけしからん、と言われています。臨時国会は6月に野党が開催を与党に要求しながら3か月も先延ばしされたまま、9月に一瞬開かれ一切の質疑応答がなされないまま、衆院が解散され総選挙が行われたのです。そして、今、開かれないと言われているのが臨時国会です。一方、開かれるのが特別国会です。では特別国会と臨時国会の違いは何なのでしょうか?(2017/10/27)


コラム
保守と革新  言葉の定義に混乱がある 欧州には「プログレッシブ」(進歩主義)という言葉がある。
今、保守と言う言葉がカッコいい傾向があるらしく、自民党支持者でも立憲民主党支持者でも保守をアピールしている人が少なくない。そして、むしろ、リベラル派が自らを保守と位置付けて、安倍政権を革新だと言っているようである。安倍政権が革新だという根拠は戦後70年以上続いてきた日本国憲法を一新して新しい国に作り替えようとしているからのようだ。これはこれで筋が通っているようにも感じられる。しかし、すんなりと納得ができない。(2017/10/26)


文化
犬と地中海  イタリア北西部の町、スポトルノから
エリ・マルチ二さんの飼い犬の名前はギルダと言うそうです。マルティ二さんの住まいは地中海のすぐ近くです。イタリア北西部でフランスとの国境に近いスポトルノです。マルチ二さんがギルダと家の周りを散歩したら、ギルダが海岸前の柵のところで立ち止まって海を見つめていました。Ely "Gilda pensava a come scendere in spiaggia" 「ギルダはどうやったら海岸に降りていけるか考えていたのでしょう」(2017/10/25)


政治
共産党は「保守」政党なのか? 
今回の選挙で野党共闘のために尽力した共産党は当選者数を減らしたものの、多くのリベラル派から賞賛を得ているのも事実だ。そんなリベラル派支持者の中には価値観として「保守」を掲げる人々も少なくない。何をもって保守、とするかは難しく議論の余地があるところだ。たとえば日本国憲法を軸とした戦後民主主義を守る立場をもって「保守」とする考え方が最近、強まっていて、自分を保守と語ることが一種のトレンドになっているようだ。しかし、それでは江戸時代までの身分制社会をよし、とする人々は「保守」にはならないのか、という疑問がつきまとう。(2017/10/24)


文化
インターネットが美術を変える  海を隔てたコラボレーションの試み 東京・代田橋の画廊で展示中  A new challenge of artists in the time of Facebook ~ from an exhibition at an art gallery in Daitabashi,Tokyo ~
先日、日刊ベリタで「画家、ジャック・フレッシュミュラー氏、東京に現る  代田橋の画廊で共同展」という記事を書いた。フレッシュミュラー氏の展示会が東京で開かれたことを紹介したものだったが、展示会場の代田橋の画廊で出会った企画者の夫婦から、今回の展示会が少し新しいことに挑戦しているのだ、という話をうかがった。それが何かと言えば3人の画家の共同展なのだが、彼らは初顔合わせであり、それだけでなく、企画者たちとも初めての顔合わせなのだ、という。その経緯について、主催者たちから説明を受けた。それが以下の英文で、その下に付したのは拙訳である。(2017/10/22)


コラム
安倍首相 ありがとう そしてグッドバイ  〜特定秘密保護法強行採決からの4年間を振り返る〜
 4年前の11月末、国会(衆院)で特定秘密保護法の強行採決が行われた時に国会前にやってきてから、安倍首相の政治を今までにない緊張感を持って見てきた。そのおかげで日刊ベリタで時々に書いてきたが、民主主義について、政治について4年前とは比較にならないほど学ぶことができた。その意味で、安倍首相に「ありがとう」と言いたい。安倍首相がいなかったら、政治についても、民主主義についても、ジャーナリズムについても真剣に考えることがないまま人生を終えることになったかもしれないからだ。きっと僕のような人は少なくないに違いない。(村上良太)(2017/10/21)


文化
画家、ジャック・フレッシュミュラー氏、東京に現る  代田橋の画廊で共同展 Artist ,Jacques Flèchemuller visits Tokyo to hold an exhibition with two others from France
ジャック・フレッシュミュラー (Jacques Flechemuller)氏について本サイトで記事を出したのは丁度1年前の秋だった。フレッシュミュラー氏がパリのコリーヌ・ボネ画廊で個展を開いた時のことだ。その時はボネさんにインタビューをさせていただき、その原稿を訳して載せたのだが、今回はフレッシュミュラー氏ご自身が東京にやって来る、ということがあって、さっそく展示会場を訪ねた。(2017/10/21)


政治
立憲民主党の政策を読む
立憲民主党・枝野幸男代表の演説が多くの人を惹きつけており、演説会は「・・・大作戦」と銘打たれてインターネットなどで拡散されている。選挙戦も終盤に入り、枝野陣営が投票前日の夕方(17時15分〜)「東京大作戦」と称して演説場所に選んだのは新宿駅南口バスタ前だった。立憲民主党によると、演説には1000人規模の聴衆が集まるために党の候補者のいる地域で、通行者が歩行もでき、安全も確保され、多くの人に耳を傾けてもらえる場所を選ぶのに苦労しているそうだ。21日のこの会場も最初は品川を想定していたそうだが、イベントがあることがわかり、急遽変更して新宿駅南口にしたのだという。(村上良太)(2017/10/20)


検証・メディア
政界再編に伴う新聞界の再編の必要性  欲しいのは数十万部規模の独立新聞
民進党が分裂して立憲民主党が飛び出し、破竹の勢いを生んでいる。その勢いの原動力は枝野党首が基盤とする「下からの政治」ということにある。官僚と財界と永田町の上からの論理から独立し、民衆の願いを実現する政党を目指す、と言っているのである。このことは昨今、複数の大手新聞社が安倍政権の夕食会に招かれて、政権の広報機関になってきたことと響き合うと言っていいだろう。また、これらの新聞社はグローバリズムに恩恵を受ける大企業群を広告主としている。こうした媒体の上から目線の新聞では描けない現実が広がっており、民衆は潜在的にこれではいけないと十分に感じている。(2017/10/20)


国際
カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ")  Heather Hermit 
エジプトと言えば古代から猫を飼いならした土地で、そもそも猫を家畜化したのはエジプトと言われています。そんな猫の本場、エジプトで猫を飼っているロシア人デザイナーのヘザー・ハーミットさんは自分が飼っている猫の写真記録をつけてきました。現在、2匹の雌猫と暮らしています。(2017/10/17)


文化
車の代わりにラクダを一頭
21世紀の動力源としてラクダが浮上している。ラクダは車と比べると乗れる人数に限りがあるが、地球環境にやさしく、車にはない動物との生きた関係がある。戦争でもするのでなければ、時速80キロで急ぐ必要もない。(2017/10/16)


政治
戦後の北朝鮮にイスラム国が根付けば中国とロシアを液状化させることができる・・・米戦略に乗る前原党首と安倍総裁 副作用は日本も液状化
ソ連との冷戦を終えた米国務省が急ピッチで取り組んだのはイスラム原理主義運動の研究だった。ソ連が資本主義陣営に入っても軍産複合体がきちんと利益を出せる新しい敵が求められていたからだ。それがイスラム原理主義だった。だから、90年代に入るとアメリカの保守系シンクタンクでイスラム原理主義の研究が盛んにおこなわれた。その果実が9・11同時多発テロ以後の中東から北アフリカの液状化だった。イラク、アフガニスタン、シリア、リビア、エジプトなど世俗的な独裁者を頂いていたイスラム国家群が軒並み国家が溶融する中で、イスラム原理主義運動が定着し、今もシリアやリビア、イラク、アフガニスタンなどでは激しい内戦が続いている。その結果、米軍需産業は製造した高性能兵器を自国で使うだけでなく、湾岸諸国に輸出して潤っている。(2017/10/15)


国際
米国のユネスコ脱退宣言の裏にユネスコのパレスチナ国家承認があり 「ユネスコは反イスラエル」とイスラエルも批判 
米国がユネスコから脱退すると報道されているが、英国のガーディアンによると、正式な脱退は2018年の年末になるとされる。この報道によれば脱退の理由は米国のトランプ政権がユネスコをイスラエルに敵対していると見ているからとされ、イスラエルは米国の決断を歓迎しているそうだ。(2017/10/13)


政治
「未来のための公共」が立憲民主党に共産党との協力を促す それは立憲民主党候補にとってもプラスになる、と。
今年生まれたばかりの市民団体「未来のための公共」は10代から20代前半の若者や子育て世代の父母などが中心となっている。共謀罪や森友学園、残業時間などの具体的な問題を是正することを目指している。学生運動のシールズとは異なる民主主義を考え実現するための市民の集まりだ。この「未来のための公共」が今回の衆議院選挙をめぐり、ツイッターでメッセージを発信している。最近、出しているのが立憲民主党支持者にもっと共産党候補の支援に乗り出したらどうか、という呼びかけだ。(2017/10/13)


政治
民進党はどうなるのか? 民進党・参議院議員会長の小川敏夫氏に聞く
前原誠司・民進党代表の希望の党への合流をめぐる騒動で立憲民主党が生まれ、政界再編の動きも生まれてきた。それでは民進党は今後、消滅するのだろうか?それとも残存するのだろうか?様々な憶測が飛び交う中、民進党参議院議員会長の小川敏夫氏を訪ね、話を聞いた。 Q 単刀直入に、民進党はこれからどうなるのでしょうか?(2017/10/12)


コラム
レストランで注文と違った料理を出された時 
学生時代からとてもシャイだったために、人にあれをやって、これをやって、と頼むのが非常に苦手だった。それをするくらいなら、自分でやった方がよい、と思うことがしばしばだった。そんな僕が自分を変えるきっかけになった出来事があった。TVのドキュメンタリー番組の制作会社に入社し、助手として一人のディレクターについて毎日指導を受け、様々な用事をこなしていた頃のことだ。ある晩、地方ロケの撮影を終えて取材班でレストランに入ってそれぞれ料理を注文したら、一人だけ間違った料理が出てきた。(2017/10/11)


検証・メディア
ダヴの宣伝はその1つに過ぎない デジタルメディアのRankerがレイシズム広告の歴史を紹介
ボディウォッシュを製造販売する米ブランドのダヴ(Dove)が黒人を差別する広告をフェイスブックに投じて世界的な批判を浴びていることはすでに紹介した。アメリカのデジタルメディアのランカー(Ranker)はそうしたレイシズムの広告は今に始まったものではない、とレイシズム広告の歴史を披露している。(2017/10/10)


人権/反差別/司法
Dove (ダヴ)のレイシズム広告への抗議 黒人に汚れたイメージを与えた差別広告を回収せよ
ハトのマークで知られるボディウオッシュのメーカー、Dove(ダヴ)が黒人を著しく差別する広告を出したとして大きな抗議運動が起きている。その広告とは黒人の若い女性が着ている茶色のTシャツを脱ぐと真っ白のTシャツが現れ、彼女の顔も白人に変わっているというもの。これが黒人を汚れたものだと見ているとして批判にさらされており、ダヴも謝罪を出したそうだ。ダヴというブランドは米国発祥だが、今では世界各地で販売されており、英国発祥のユニリーバがそのブランドを保有しているとのこと。(2017/10/09)


政治
有田芳生氏(民進党参院議員)「(前原さんは)議員はもちろん党員、サポーター全員を『蚊帳の外』に置いて民進党解体を進めた」
民進党参院議員の有田芳生氏は前原党首の希望の党への合流の仕方が党員の合意を得ない一方的な方法によるものだったとツイッターで批判した。有田芳生 「前原さんは希望の党に合流して民進党の理念と政策を実現することを約束して『代表一任』をえました。しかし私たちにはこんな説明を一切していません。当時もいまも。『想定内』発言もメディアへの発信です。議員はもちろん党員、サポーター全員を『蚊帳の外』に置いて民進党解体を進めたのです」(2017/10/08)


欧州
「結婚しました」 イタリアからのメッセージ
イタリア北西部、ジェノバに近いスポトルノに住むカップルのエリ・マルチニ(Ely Martini)さんとアンドレア・ベルキアラ(Andrea Berchialla)さんはこれまで一緒に暮らしてきましたが、結婚はしていませんでした。シビルユニオンという結婚ではない形でのつながりに過ぎませんでした。ところが、先日、二人は結婚式を挙げたのです。(2017/10/06)


コラム
選挙とシナリオライター  野党にも練達のシナリオライターが必要な時代かもしれない
これはアメリカの政治コラムを読んで得た知識で、筆者が実際にこの目で確かめたわけではないのだが、アメリカではハリウッドのシナリオライターたちが政界のシナリオも書いている、というのである。政界のシナリオ、というのは選挙戦での逆転勝利とか、海外でのクーデターの脚本などだそうだ。僕が読んだコラムの場合は2009年のホンジュラスでのクーデターのケースだった。本当か嘘かわからないので、話半分で軽い気持ちで読んでいただけたら幸いである。(2017/09/30)


政治
小池百合子の踏み絵は人間を服従させるナチス的な儀式だ
「希望」から出馬するための儀式として改憲や安保法制に賛成であることを迫る小池百合子の踏み絵は人間の誇りをくじくファシズムの階段だ。こうして大衆の目の前で議員が信念を裏切り、膝をついて許しを請う姿を国民の前にさらすことが小池百合子の狙いである。それはナチスの行動原理とよく似ている。ナチスは1933年に権力を奪うや、数週間後のメーデーで行動した労働組合員たちを逮捕し、広場で絞首刑にして、見せしめにした。自分たちの価値観に盾つくものがどのような姿になるか、それを大衆に見せたのだ。小池の行動は政治的にはこれと同じ行為である。それを可能にしたのが民進党党首の前原である。(2017/09/29)


政治
マスコミの中には「自民VS希望」の構図を描く会社もあるが、今回の選挙はこのような対立軸ではない リベラル新党を作れば勝利できる
マスメディアの中には「自民VS希望」の対決を印象付けようとしている企業もあるが、どっちに転んでも改憲と戦争路線の極右VS極右の対決など、市民の多くは冷めた目で見ているだろう。リベラル新党が生まれ、民進党左派や山尾志桜里、山本太郎、鳩山由紀夫らを吸収すればリベラル志向の有権者は自民や希望には投票しなくなる。そしてこのリベラル新党に社民と共産が提携すれば、爆発的な票が集められるはずだ。(2017/09/29)


政治
宏池会と民進党左派でリベラル新党の結成を  政界再編への期待  勝ち目はある
政界が喜劇を上演している中で期待したいのは自民党内でリベラルな集団である宏池会が自民党を割って出て、希望の党との合流をよしとしない民進党左派と新党を結成することである。そこに山本太郎、共産党、社民党が提携して市民連合が後押しをすれば逆転勝利の可能性は開けるだろう。(2017/09/29)


政治
自民党と希望の二大政党時代で「日本会議の国」誕生へ 国難を理由とした与野党連立政権(安倍=小池=前原挙国一致内閣)もあり得、安倍首相夫妻もこれで安堵
民進党が日本会議のメンバーである小池百合子党首の「希望」と実質的に合流したことで、安倍首相の自民党とともに日本会議の要人がいずれも党首をつとめる二大政党時代の可能性が出てきた。日本会議から見れば安倍でも小池でも改憲によって、国民主権を返上し、天皇を中心とした君主制国家に移行することができる。安倍も小池もみな戦後民主主義を終わりにするための同志だ。これは長年、コツコツ右傾化に努力してきた日本会議の一人勝ちということになるだろう。(2017/09/28)


コラム
安倍首相に飽きた日本人 「安倍後」に沸くTV番組特需
日本人がなぜ安倍首相を5年も選挙で勝たせてきたかと言えば、野党がバラバラで小選挙区制を勝ち抜けなかったことも要因としてあるが、もう一つが安倍チームの奇抜な手口に翻弄されてきたことも大きい。2014年の突然の解散とその理由として挙げられた消費税引き上げをどうするか、などは野党も国民も意表を突かれ、安倍チームの思うとおりに進んだ。だが、今回の選挙でもそれが通用するか、と言えば、難しいのではないか。(2017/09/26)


文化
パリで演技と歌に打ち込むジージ・ルドロンさんに聞く Interview : Gigi Ledron ( actress )
今回、パリで映画や舞台で活躍中の女優、ジージ・ルドロン( Gigi Ledron )さんにインタビューさせていただきました。パリでは様々な人種が共生していて、芸術の分野でもそれぞれの特徴を生かしながら互いに火花を散らしながら、時には助け合いながら切磋琢磨しています。ルドロンさんは黒人の人生を表現してきました。それは都市に生きる人間の生と情熱でもあります。ルドロンさんが生まれたのはパリ郊外のサンドニという町です。ルドロンさんの女優としての半生や芝居にかける情熱についてお聞きしました。(2017/09/25)


国際
大統領選で国民戦線のマリーヌ・ルペンに投票したタイ出身のマダム    村上良太
フランスでは国民戦線のマリーヌ・ルペン党首と言えば反移民ということで知らない人はいません。ところが今年、僕がフランス大統領選挙に関してパリで聞き込みをする中で、マリーヌ・ルペンに大統領選で投票したと語ってくれた人はたった一人、意外にもそれはタイ出身のアジア料理店のマダムでした。パリと言えばフランスの中でもちょっと特殊で、国民戦線への支持率が圧倒的に低い場所です。その理由は教育水準の高さとか移民の割合が高い国際都市だから、とか様々な見方ができるでしょう。そんな中で自ら移民であるタイ出身のマダムが反移民の政党に投票したのだからちょっと驚いてしまったわけです。(2017/09/23)


コラム
国会解散を簡単に考える安倍首相  国会議員を選ぶのは国民であり、それを解散する理由は何なのか? 国会解散はガリガリ君を買うのとはわけが違う
安倍首相が臨時国会が始まって早々に衆院解散をする予定だと報じられ、その理由が税金とか教育とか、国民には今解散する必要があるかどうかまったく理解ができないものばかりである。そして、今回の解散は2014年の解散を思い出させる。あの時も解散の必要はまったくなかった。3年前に筆者が怒りを込めて書いた記事(2014年11月18日)を採録して、思い出してみたい。■安倍首相 「税は議会制民主主義の基礎である」 安倍首相は今夜のNHKの9時のニュース「ニュースウォッチ9」に生中継で出演し、衆院解散の理由について説明した。その中で最も耳についたのは「税は議会制民主主義の基礎である」という言葉だった。(2017/09/20)


コラム
「フランス大統領選挙 決戦投票」 マージョリー・マラマク  ”French presidential election " by Marjorie Marramaque
今年のフランスは大統領選挙に国会議員選挙と5年に1度の政治の変化の年です。新党「共和国前進」を立ち上げたエマニュエル・マクロン大統領が大統領の座も、国会議員の多数派もともに一気に奪い、過去の二大政党制を変えてしまいました。大統領選挙の決選投票があった5月7日にマージョリー・マラマクさんはこう記しました。(2017/09/20)


文化
アラブ文学の英訳者、デニス・ジョンソン・デイビーズが死去 Obituary of Denys Johnson-Davies
今頃になって知ったことだが、今年5月にアラブ文学の偉大な翻訳者だった英国人が亡くなっていた。享年94。名前はデニス・ジョンソン・デイビーズ(Denys Johnson-Davies )で、デイビーズ氏が翻訳活動を始めた頃はこんな風に言われていたと言う。「アラビアに文学などない。あるのは『コーラン』と『千夜一夜物語』だけさ」こうした中でデイビーズ氏が最初に「近代アラブ短編小説集」として翻訳紹介した作家にはYusuf Idris, Tayeb Salih, Zakaria Tamer, Naguib Mahfouzeら20人がいた。(2017/09/19)


みる・よむ・きく
作家ジャン=フィリップ・トゥーサンの最新作、「メード・イン・チャイナ」についてインタビューInterview : Jean -philippe Toussaint sur " Made in China "
今週、フランスで作家、ジャン=フィリップ・トゥーサン(Jean -philippe Toussaint) 氏の新刊が発売となりました。タイトルは「メード・イン・チャイナ」。それはいったい文学とどのような関係があるのだろうか、と思う人は多いのではないでしょうか。そこでトゥーサン氏にインタビューをしました。(2017/09/15)


コラム
ナチス礼賛発言と日本の政治家
麻生副首相がまたナチス賞賛発言をしたと報じられた。前回はナチスが改憲した方法をまねる必要があるという発言で、今回はヒトラーの動機は正しかった、という発言だと報じられた。ヒトラーの動機が何だったのかまでは詳しく報じられていないが、ヒトラーやナチスの政策の柱はユダヤ人排斥であり、人種差別主義だった。欧州に存在する悪をユダヤ人の責任に押し付けたのがナチスのイデオロギーの核心部分に他ならない。麻生氏の言うように、もしヒトラーの動機は正しかったが、結果が良くなかったのだとすれば、どうすれば結果的によかったと麻生副首相は考えたのだろうか。(2017/09/05)


みる・よむ・きく
公演『泥棒たち』(9月8日ー18日)   デーア・ローアー作 公家義徳演出  欧州で今、最も先鋭な劇作家が描くドイツの人間模様    
ドイツは「欧州で一人勝ちしている」とよく言われます。2003年に社会民主党のシュレーダー政権が始めた身を切る改革「アジェンダ2010」で生産性が高まり、失業率も半減したのです。そんな一見ハッピーなドイツですが、実態はどうなのか。数字ではなく、ドイツに生きる同時代人の姿をリアルに見つめようというのが今回、東京演劇アンサンブルが上演する「泥棒たち」という舞台です。戯曲を書いた デーア・ローアー(Dea Loher)はブレヒト賞も受賞し今、欧州で最も注目を集めている劇作家。1992年にデビューして以来、数々の話題作を放ってきたそうです。というわけで今回の「泥棒たち」もいったいどんな世界なのか、興味をそそられます。(2017/09/05)


欧州
イタリアのレストラン  ハッピーアワー
北イタリアのジェノバ近郊スポトルノに住むエリ・マルチニさんとアンドレア・ベルキアラさんのカップルです。ちなみに、エリさんは詩人、ベルキアラさんは病院勤務の看護師です。夕食前に簡単な食事時の1枚です。(2017/09/04)


みる・よむ・きく
山川出版社 「フランス史」(福井憲彦 編)  フランスの歴史に関心のある人には必読書
フランス史について一通り知りたければ山川出版社の「フランス史」(福井憲彦 編)を読むことは非常に役に立つに違いない。6人の研究者がそれぞれの時代を分担して、丁寧でわかりやすく綴っている。先史時代やローマに支配された時代から中世、そして革命に彩られた近代とミッテランが登場する現代までがつづられている。筆者が今、一番読みたかった部分は近代の革命史から19世紀なのだが、このあたりは編者のリーダーである福井憲彦氏と谷川稔氏が担当している。(2017/08/30)


コラム
安倍政権の知恵袋 田原総一朗氏  二つの顔を持つ新自由主義の導き手
 田原総一朗氏が支持率激減で悩む安倍首相になにやら提案をしたことが話題を呼んだ。中身が不明だったため、冒険的な内容らしいとか、北朝鮮への電撃訪問か、といった憶測が飛び交った。田原総一朗氏と言えば1987年に始まった「朝まで生テレビ!」の司会者としての顔が最も代表的と言ってよいだろう。この番組では左派から右派まで様々な論客を集め、1時間とか2時間と言った昼間の時間帯の番組編成の常識を破り、夜通し討論をする、というスタイルで人気を集めてきた。(2017/08/29)


人権/反差別/司法
日本の男女の賃金格差  平均で女性の賃金は男性より27%低い  イタリアは約5% 
日経新聞の今年の記事によると、フルタイムで働く日本の男女の賃金格差は27%、つまり仮に男性が30万円の収入だとすると女性は約22万円ということになる。この差は大きい。これは憲法に保障された男女の平等に反していないのだろうか。(2017/08/28)


コラム
自民党の政治家たちの危機感の”ずれ”
 今では東京新聞と並んで、この国で政府批判ができる数少ない新聞が日刊ゲンダイである。その日刊ゲンダイに自民党内で反安倍を標榜する議員が集結したという記事が出た。記事によると彼らは「日本の明日を創る会」という30人の勢力で、未だ大臣になれていない中堅議員たちだと言う。記事にはこう書かれていた。(2017/08/27)


コラム
ネットで議論することは必要か?  必要なし
インターネットではネトウヨとか(最近ではネトサヨとか?)、人を敵味方に区分して、敵と見れば徹底的にけなし、味方と見ればその意見を拡散する・・・言論活動という意味では後退的な現象が目につく、としばしば批判されています。異なる政治意識や思想を持った人間同士が平和にかつ冷静に有意義な議論を交わしてそこから、さらに考えを高め、より優れた解決策を導き出す言論活動はネットでできないのか、と。(2017/08/21)


コラム
極右か、新自由主義か
  今年のフランスの大統領選挙は決選投票がエマニュエル・マクロン候補VSマリーヌ・ルペン候補となり、フランス人にとっては新自由主義VS極右の二者択一になってしまった。この二つの政治に反対する左派の人々にとっては、一種の悪夢的な状況が出現したのだった。純粋に経済政策だけを見ればマリーヌ・ルペン候補の方が左派に近く、一方で反レイシズムという視点から見ればマクロン候補の方が左派に近かった。マリーヌ・ルペン氏がレイシストと言えるかどうかは議論の余地があるが、少なくともイスラム教徒への言動や政策を考慮するとウルトラナショナリストとは言えるだろう(2017/08/19)


コラム
フランス革命と鹿児島の高射砲部隊
この夏、必要があってフランス革命の歴史書を紐解いていた。そこにはジャコバン派のロべスピエールや、ダントン、マラーらの顔があった。そしてまた、ルイ16世やマリー・アントワネットらの顔があった。だが、フランス革命の歴史を読んでいると、ふと思い出されるのが、1945年の鹿児島県の高射砲部隊で米爆撃機を撃っている一人の青年なのである。フランス革命と鹿児島の高射砲部隊、多くの人には何の関係もないことだが、僕の中でそれらはつながっているのである。(2017/08/17)


コラム
議員の外国視察旅行について
各地の議員たちが議会のない期間に外国などに視察旅行を行うことがあり、以前からよく挙げられている批判は視察とは名ばかりの税金を使った単なる海外旅行ではないか、というものだ。最近、その実態を示す映像記録が民放で放送されて、強い批判を浴びた。そして、議員の外国視察旅行は廃止せよ、という視聴者の声が上がっている。(2017/08/16)


コラム
731部隊と帝銀事件 吉永春子氏の取材から
毎年、この季節になるとNHKは原爆や戦争を扱ったドキュメンタリー番組を放送するのだが、かつて満洲国で行われていた日本の731部隊による人体実験の記録と証言が改めて注目を集めたようだ。731部隊の存在を日本で最初にスクープしたのはTBSのディレクターだった吉永春子氏で、その番組「魔の731部隊」は1975年に放送され、大きな反響を呼ぶことになった。というのも、当時はまったくそのような行為がなされていたとは知られていなかったからに他ならない。吉永氏はいったい、どのようにしてその存在を知りえたのか。(2017/08/16)


農と食
今年も庭でトマトができた  地中海の町、スポトルノの人々
  地中海に臨むイタリア北西部リグーリア州の風光明媚な町、スポトルノに住むエリさんとアンドレアさんのカップル。エリさんは詩人、アンドレアさんは病院勤務の看護師です。イタリア料理と言えばトマトが欠かせません。スポトルノで太陽の光を一面に浴びるこのイタリア人のカップルの庭でも毎年、トマトが作られています。(2017/08/15)


国際
マクロン大統領 対 フランス労働組合  過去40年で最大の変化がフランス社会に迫る  村上良太
フランスのエマニュエル・マクロン大統領が今、最大の課題として取り組んでいるのが労働法の解体だ。今までにも日刊べりタで折に触れ綴ってきたが、週35時間労働制や解雇に対する厳しい歯止めなどの労働規制がいよいよ本格的に削除されそうになっている。世界でも最も労働者の権利を手厚く守り、家族の暮らしを大切にしてきたと言われるフランスの労働法がついにほとんど消滅しかけているのだから、世界の労働者にとって注目されておかしくないだろう。変なたとえかもしれないが、フランスの労働法はもうユキヒョウとか、クロサイくらいの絶滅危惧種的な状態と言ってよい。(2017/08/08)


国際
マクロン大統領夫人、ブリジット・マクロンさんの「ファースト・レディ」職と巨額手当に対する波紋 ついにマダムも風刺漫画の対象 すでに支持率は36%に
  フランスでも日本やアメリカとよく似たことが話題になっている。それは首相や大統領が奥さんや娘など、選挙で選ばれたわけでもない家族に公務を割り振っていいのか、という議論である。フランスで今起きている騒ぎはマクロン大統領夫人のブリジットさんに「ファースト・レディ」職として特別にオフィスと手当てをつけるという動きにフランス市民が怒って反対の署名を行っていることである。(2017/08/08)


教育
人づくり革命で大学を民間企業の新人研修施設に「革命」か
安倍首相の「人づくり革命」とはなんぞや?とみんな不安に思う最中、その目標が大学の乗っ取りだったことがわかってきた。日経新聞によると、人づくり革命の基本方針とは「大学改革と幼児教育や大学にかかる教育費の「無償化」を両輪で進めるのが柱だ。大学経営陣に企業の社外取締役にあたる民間人の起用を義務付けるほか、大学卒業後の「出世払い」制度を検討する。」ということになる。大学の学費無料化という飴で何を狙っているかと言えば、大学を企業の研修施設や企業の研究室に活用することではないか。税金で民間企業の利益となる人材確保と研究を進めることができれば、企業にとってはなんとも素敵な大学となるだろう。だが、それはすでに大学ではない。(2017/08/07)


政治
都民ファーストの都議会議員  知事と対峙する気概無し 
今年、小池百合子都知事が率いて、都議会議員選挙で大勝した都民ファーストの議員たちは、メディアの取材を拒否してきたと報じられてきた。今回、改憲に関する都議会議員の考えを聞くアンケートでは大半の議員が党の方針で回答しなかったと言う。理由は都政に専念するから、と報じられているが、都民ファーストは国民ファースト的な国政政党に将来転じる可能性も匂わせられているだけに「都政に専念」という回答は逃げとしか映らない。さらに言えば、都政も憲法と結びついていることは言うまでもない。(2017/08/07)


国際
マクロン大統領が妻にオフィスを与えようとしたら市民が猛反対  支持率は低下中
ブリジット・マクロンと言えば今年、フランス大統領に選ばれたフランス大統領のマダムである。今、マクロン大統領が妻にファーストレディとしての「職務」を果たすためのオフィスを設けようとしたところ、フランス市民が大反対に出ていると言う。ガーディアン紙が報じている。(2017/08/07)


コラム
デモとナンパと民主主義   〜なぜ政治行動なのにデモは報道されないか〜  60〜70年代「デモで彼女と一発やれて最高だった」的な人々が
  私はデモに参加したことは今まで一度もありません。デモに対するアレルギーがあるのです。しかし、デモの現場を取材したことは日本でも海外でも何度かあります。中でも印象深かったのは、東京湾の有明・十六万坪が埋め立てられようとしたときのデモでした。貴重な生態系を守れ、と漁業従事者や屋形船の業者らが100隻近く船を連ねて水上デモを行ったのですが、驚いたことに翌朝、ある政府寄りの新聞がデモ隊が一人もいない、夕日が輝いている静謐な東京湾の写真を載せていたのです。つまり、何一つ、そこでは起きなかった、ということを写真と簡単なキャプションで語っていたのです。この写真は嘘か、と言えばそんなことはありません。(2017/08/06)


みる・よむ・きく
山口定著 「ヒトラーの抬頭 〜ワイマール・デモクラシーの悲劇〜」 出版は1991年だが今読む方が圧倒的に面白い
今春、安倍政権が憲法改正案を近日まとめる、という話を聞いてから山口定著「ヒトラーの抬頭 〜ワイマール・デモクラシーの悲劇〜」(朝日文庫)を読み直してみた。山口氏はドイツ・ファシズムや戦後のネオナチ、あるいは欧州の右翼運動を研究してきた政治学者でベルリン自由大学でも教鞭を執っていた。本書は1991年に出版されたもので、いわば山口教授のナチズム研究の総決算とも言うべき本となっている。(2017/08/05)


みる・よむ・きく
真性ファシズムまであっと言う間だった  ディディエ・デナンクス著「パパ、どうしてヒトラーに投票したの?」 緊急事態条項で民主国家は5週間で独裁国家に改造できた
80年代まで翻訳大国だった日本は、現在、鎖国に近いくらいに翻訳貧国に転落しています。フランスでどんどん出版されている本の大半が翻訳されないままになってもう何十年にもなります。翻訳書が全然売れないから出版社も翻訳を出すことを嫌っているからです。いい本ならくらでも翻訳されるのか、と思っていたら、むしろ出版を断るのにどんな理由でもあるくらい、翻訳書を出したくないようです。ですから、外国語ができなければ外国の情報は95%以上知ることができない時代に日本は突入しています。(2017/08/04)


政治
林芳正・新文科大臣とマンスフィールド研修  日本をアメリカ的に構造改革させた政治家と「美しい国」
自民党の林芳正氏が安倍改造内閣の文科大臣に就任することになった、と報じられている。安倍政権は日本会議の後押しを受け、アメリカが敷いた戦後レジームを終わらせることを目的にしてきた。安倍首相にとって教育は最も重要な政策であり、長年、安倍首相は日本の軍国主義を批判的に教えてきた日教組を嗤い、批判してきた。しかし、皮肉にも今回、新たに安倍首相が文科大臣に抜擢した林芳正氏は非常にアメリカンな政治家と言ってよい。(2017/08/02)


人権/反差別/司法
「個々の政治家以前に『構造的ラシスム(人種差別主義)』を解体しなくてはならないのです」 パリの討論会から
 5月7日、フランスの大統領選挙の決選投票の夜、パリ北駅に近いバー「植民地」で、ラシスム(人種差別主義)を語る討論会が行われた。この夜、極右「国民戦線」の大統領候補マリーヌ・ルペン候補が敗れ、新自由主義のマクロン大統領が誕生した。討論会に集まった人々はマグレブ地方出身者もいれば、コンゴの出身者もおり、マルチニックなどのカリブ海諸国からの移民の子孫もいた。こうした様々な人の中に、ミレイユ・ファノン氏がいた。(2017/07/29)


コラム
岡山県人と加計学園と教育 岡山県人は悲しんでいる
今、沸騰している岡山の加計学園と内閣との癒着疑惑は岡山県人にとっては残念な話題に他ならない。筆者も岡山出身である。今回の疑惑が教育をめぐる話題であることがより一層岡山県人にとっては残念である。というのは岡山県は昔から教育に熱心な県であり、それも無償の私塾という形態での教育が少なからず盛んだったと筆者は聞いているからだ。かくいう筆者の祖父も学校の教育者であったのだが、空いた時間に私塾を開いて無償で子供たちに教えてもいた。そのことはささやかな誇りだったのだ。(2017/07/25)


政治
閉会中審査 安倍首相・加計学園が特区で獣医学部の新設の申請をしていると初めて知ったのは今年の1月20日・・・・
国会閉会中の審査(衆院・予算委)で加計学園への便宜供与疑惑を追及する質疑が行われた。「加計学園の国家戦略特区への獣医学部新設の申請を首相が知ったのはいつだったのか」との民進党・大串博志議員の質問に対し、安倍首相は<初めて知ったのは今年の1月20日の特区諮問会議、すなわち加計学園に決定した後だった>という意味のことを語った。安倍首相は国家戦略特区を決める諮問会議の議長である。安倍首相のこの答弁に大きなどよめきが起きた。(2017/07/24)


みる・よむ・きく
ブレヒト作 「三文オペラ」 死刑を待つ盗賊が警視総監と友達だったため恩赦を受け年金まで
ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトの代表作の一つ「三文オペラ」(1928)は今日でも十分にリアルで楽しめそうだ。それは日本と言う国の荒廃ぶりがドイツの第一次大戦後の様相に似てきた、ということかもしれない。というのも物語が破天荒だからだ。(2017/07/23)


政治
残業代ゼロ法案容認の「連合」本部前に抗議のデモ 「私の残業を勝手に売るな」
今日、夜7時から、東京都千代田区神田駿河台の労働組合の拠点である「連合会館」前に労働者が集まり、残業代ゼロ法案を容認した連合に対して「私の残業を勝手に売るな」「組合費を返せ」「連合は勝手に労働者を代表するな」などと抗議を行った。(2017/07/19)


コラム
グローバルロボット資本主義の黎明
60年代から70年代に繁栄した先進諸国が今、低成長の中で労働組合や労働規制を解体しようという動きを見せており、その最終段階が近づいているようです。労働基準法を緩和あるいは解体しようという動きです。その一方で、産業ロボットの研究開発が着実に進んでおり、工場のロボットだけでなく、ロボット兵士、セックス用ロボット、危険作業用ロボット、配達ロボット、介護ロボットなど多様化してきています。今、アメリカのトップの富裕層何人かが世界の下層の半分の富を独占するなどと言われていますが、この産業資本家たちが産業ロボットを大幅に導入して退職金も裁判費用も不要なロボット労働者を大量に「雇用」すれば一部の管理者を残して、労働者の多くは不要になっていくでしょう。(2017/07/19)


コラム
国際化の時代に「都民ファースト」
今年の都議会選挙を制覇した「都民ファーストの会」というネーミングはフランス語に訳せば確実に極右政党「国民戦線」の系譜に属することになるだろう。この言葉が東京都民にアピールしたのはなぜだろうか。都民ファーストは何に対して都民を優先するかと言えば日本では既得権を持つ支配層に対して有権者である都民の利益を優先する、という意味合いだと思う。しかし、一つ間違えると、都民=日本人ファーストという意味に受け取られる可能性もある。日本の国の首都だから都民ファーストで何が悪いのか、と思う人は少なくないだろう。(2017/07/17)


コラム
パリの観光スポット バルべスのドゥドゥ―ビル街(Rue Doudeuville) 移民文化の活力とエキスがある
パリの18区、バルべス(Barbes) という地域を少し歩くとドゥドゥ―ビル通り(Rue Doudeauville)があります。そこではサブサハラ出身の黒人の人たちがかなり高い密度で暮らしています。日本の観光客はたいてい中心部のセーヌ河の近くを観光するのだけれど、バルべス界隈も面白いんですよ。まずバルべスロシュショア(Barbes Rochechouart)というメトロ駅を降りて、地上に出るとその時点でパリの中心街とは異質の空間が現れます。アラブ系、アフリカ系の人々が多いエリアです。(2017/07/16)


みる・よむ・きく
ブノワ・アモン著 「来るべき世代のために」" Pour la génération qui vient " par Benoît Hamon
今年のフランス大統領選は本当に面白かった。従来にない闘いが展開され、思わぬ結末を迎えたからだ。この中で一番、貧乏くじを引いたのは社会党候補のブノワ・アモン氏だったのではないだろうか。フランソワ・オランド大統領が空前の不人気のため、再挑戦せず、社会党で新たな公認候補を擁立した。その時、ブノワ・アモン候補が選出されたのだが、彼は社会党の中ではフロンド派と言われるオランド大統領への批判勢力であり、社会党左派だった。そのアモン氏だが大統領選では社会党史上でも最低に近いわずか6.4%の得票率で一回目の投票で敗退してしまったのである。さらにアモン氏の受難は続き、翌月の国会議員選挙でも落選の憂き目となった。オランド政権では教育大臣まで担当した人物である。(2017/07/16)


国際
トルコ 緊急事態宣言から丸1年 共謀容疑で、さらに警察官・公務員ら 7563人が解雇される
1年前の今日、7月15日、トルコで軍のクーデター未遂があり、鎮圧後、緊急事態宣言のもとでおびただしい市民が共謀容疑で拘束された。そして、緊急事態宣言は今なお続き、新たに7000人以上の警察官や公務員を解雇して今後も厳しく反政府運動を取り締まる意思を示した。(2017/07/15)


みる・よむ・きく
エマニュエル・マクロン著 「革命:これは僕たちのフランスのための闘争だ」(Révolution)
フランスの新大統領になったエマニュエル・マクロン氏は選挙運動中に己の考えと政策をまとめた「革命:これは僕たちのフランスのための闘争だ」(Revolution : C'est notre combat pour la France )という本を出版した。この本は自分の思想がどのように生まれたのか、学生時代に読んだフランスの古典の類などの回想から始まり、やがて本丸へ。仕事は不安定で収入も少ない「プレカリテ」の象徴であるCDDと呼ばれる短期雇用(有期雇用)からCDIと呼ばれる無期雇用へと労働者をどう転換していけばよいのか。今、始めようとしている労働法改革の基本的思考や今後のフランスが取るべき環境政策や外交政策などを章ごとにまとめている。(2017/07/14)


検証・メディア
この期に及んでも首相と晩餐会  マスメディア各社解説委員・編集委員ら  今回は和食 田崎史郎氏も
朝日新聞の7月13日の首相動静によると、マスメディア各社はこの日、安倍首相と会食を行った。加計学園や森友学園など様々な疑惑の渦中にあり、国会での追及が行われようとしているまさに、そのような時にまた会食である。今回は何かと言えば和食だった。安倍首相の腹心の政治解説者・田崎史郎氏も参加した。「6時49分、東京・紀尾井町のホテル『ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町』。レストラン『WASHOKU 蒼天』で曽我豪・朝日新聞編集委員、山田孝男・毎日新聞特別編集委員、小田尚・読売新聞グループ本社論説主幹・・・(2017/07/14)


コラム
「アベ政治」の源流は小泉政治  2005年が自民党の曲がり角
今、安倍内閣の支持率が30%を切りそうな状態になり、与党自民党内でも安倍首相の政策に反対する声がぽつりぽつりと上がり始めた。これまで党内で異論がほとんど皆無だったから、国民から見れば本当に久々な感じを受ける。あったとしても声を出せなかった、ということだろう。安倍首相の政治、いわゆる「アベ政治」は野党や国民だけでなく、同じ党内においてもものが言いにくい空気を作り出してしまった。この「アベ政治」の弊害が波状的に国民に見え始めた今、安倍総理個人だけでなく、そのような異論なき政治を容認してきた自民党にも国民の疑問の目が移りだそうとしている。(2017/07/13)


コラム
蓮舫党首の戸籍騒動  〜再び「二重国籍騒動 と 米大統領選」から〜 問題は利益相反の場合
二重国籍で国会議員になったり、党の要職についたりりすることは外国ではしばしばあることです。これは事実としてそうなっていて、外国の中にはアメリカなどの先進諸国が含まれます。ですから、少なくとも世界を参照するなら二重国籍であること自体が政治家になるための疎外要件になるということではないようです。ただ、1つだけ問題視されていることは二重国籍であることが、あるテーマあるいはある分野の政策を作るにあたって「利益相反」の関係になる可能性がありえることです。利益相反というのは今の加計学園への便宜供与問題にも出てきますが、その政策を行う政治家自身が採択された政策で便宜を受ける組織、あるいは国家などとつながりを持っているようなケースを指します。(2017/07/12)


政治
フランス社会党 ブノワ・アモン前大統領候補者が脱党宣言 新左翼運動「7月1日」を語る
揺れるフランス政界で甚だしいのは社会党の後退だ。オランド大統領とバルス首相の不人気の影響で2017年の選挙は悲惨になるとあらかじめ織り込み済みだったが、想像以上に崩壊現象が進んでいる。(2017/07/11)


政治
安倍首相、国民と和解する絶好の機会を逃す  加計問題の閉会中審査に出席せず
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」という失言のダメージ冷めやらぬ安倍首相だが、今日再び手痛い失点を重ねてしまった。加計学園への便宜供与疑惑問題の国会閉会中審査に、肝心の首相が出なかったことだ。この問題は加計学園理事長と安倍首相が腹心の友であったことがすべての発端となっている。安倍首相率いる内閣が国家戦略特区での加計学園への便宜供与をしたかどうか。この点につき、首相や大臣たちの国会答弁がいい加減極まりなかったことが支持率の激減の発端となっていて、加計学園問題が解決しない限り、この支持率減退を止めることはできないだろう。今後もさらに落ちていく可能性がある。(2017/07/10)


政治
都民ファースト と マスメディアの報道  改憲運動に協力してきたメディア
フジテレビの報道番組で小池知事に近い若狭勝衆院議員が地域政党として出発した「都民ファースト」が年内にも国政に進出する可能性が高いことを話し、さらに小池知事が安倍首相と憲法改正で同じ方向性を持っていることを述べたそうだ。政治に関心のある人々にとっては小池知事が自民党・安倍首相と同じ改憲運動の旗手になるであろうことは常識と言ってもいいことだ。というのも小池氏は戦後レジームからの脱却と日本国憲法の改正を悲願としてきた日本会議所属の国会議員だったからだ。(2017/07/09)


文化
ハン・ヨンスの写真3 Photographs of Han Youngsoo 3 〜 漢江の光景 scenery of Han river ~
韓国の写真家、ハン・ヨンス(Han Youngsoo 1933 - 1999 )の娘さんからヨンスの最新の写真集が送られてきた。タイトルは「時は河を流れゆく」 "Time Flows in River " 。収録されたハンガリーの写真研究家のKincses Karolyの解説によると、今回の写真集で3冊目になるそうだ。今回は漢江という河に焦点が当てられて編集されていて、河をめぐる庶民の生活風景や憩いが見えてくる。撮影されたのは1956年から1963年の間で夏もあれば冬もあり、春夏秋冬の味わいがある。(2017/07/07)


文化
ほのぼのとした味わいの漫画家、パスカル・ブロンド―さんにインタビュー Interview : Pascal Blondeaux ( illustrator , cartoonist )
漫画家のパスカル・ブロンド―(Pascal Blondeaux)さんにお会いしたのはパリのエコミュゼというギャラリーでの共同展示会の時でした。医療用麻薬の使用を政府は認めよ、というキャンペーンで、20人以上の漫画家、イラストレーター、画家、写真家らが作品を持ちよりました。その一人、パスカル・ブロンド―さんの作品はほのぼのとしたもので、北アフリカの上空をハシッシュの翼を持った鳥が飛んでいる、というものでした。そのタッチがあまりにもほのぼのとしていて、日本の漫画家の園山俊二を思い出してしまったのです。(2017/07/06)


コラム
集会もデモも公共の場所でできなくなる緊急事態条項が間近に 改憲の最大の狙いが緊急事態条項だ
先日、秋葉原の都議会議員選挙の演説で根強い反対の声に出会った安倍首相だが、目下最大の悲願は言うまでもなく、憲法改正で緊急事態条項を通すことに他ならない。憲法9条が目玉のように未だにマスメディアは報じているが、安倍政権や日本会議にとって最大の狙いが合法的に独裁化を確立できる緊急事態条項だろう。緊急事態条項があれば9条の改正などしなくても憲法が実質的に停止できるからだ。(2017/07/05)


政治
「都民ファースト」は情報公開の党か? 都議選・インターネット映像メディアIWJの取材申し込みに答えず 
7月2日投開票の都知事選。小池百合子東京都知事が率いる「都民ファーストの会」のモットーの1つが東京都政に関する情報公開の推進だったはずだ。ところが、選挙戦の報道に関して言えば、都民ファーストが情報を十分に公開していたとは言い難い。そのことを最も痛切に報道の立場から実感していた人こそ、独立インターネットメディアIWJの岩上安身氏に他ならない。なぜなら、IWJは様々な政党の取材をしてきたが、都民ファーストだけは投開票中の中継を申請してもIWJは一切受け付けてもらえなかったというからだ。(2017/07/05)


医療/健康
「日本の薬が必要です!」 チュニジア出身の医師ラディ・ベルカイア(Radhi BELKAHIA)氏の緊急寄稿 日本の武田薬品が開発した悪性リンパ腫への製剤ADCETRISを求めています 
日刊ベリタに以前、寄稿していただいたフランス在住のチュニジア出身の医師ラディ・ベルカイア(Radhi BELKAHIA)氏から、緊急の寄稿があります。これはベルカイア医師と同郷のビゼルト出身の若い音楽家が悪性リンパ腫に侵され、その治療薬が日本の製薬メーカーによるものだということです。(2017/07/04)


コラム
安倍総裁の歴史的失言 「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」
東京都議選最終日の7月1日の午後、東京・秋葉原の駅前に安倍首相が現れた時、異様な光景が出現していた。自民党候補者のために設けられた演説の場の近くに、安倍首相に批判的な人々も押し寄せ、「帰れ!帰れ!」あるいは「安倍辞めろ!安倍辞めろ!」というシュプレヒコールがこだましていたからだ。安倍首相はこれに腹を立て、叫んでいる人たちを指さしながら、「こんな人たちに負けるわけにはいない!」と叫んだ。この言葉はこのシーンを現地であれ、ビデオ中継であれ、見た国民の心に衝撃をもって刻まれたに違いない。安倍首相は「憎悪からは何も生まれない」と非難していたのだが、当の安倍首相自身が敵意と憎しみを見せてしまったのだった。(2017/07/03)


コラム
空気を醸成するメディアの選挙報道  フランスと日本
今年、フランスの大統領選挙や国会議員(国民議会=下院)選挙を観戦して感じたのはフランスのマスメディアでも選挙運動期間におびただしい当落の予測が出され、選挙の結果が多少なりとも影響されているのではないか、という印象を受けたことだった。その象徴がエマニュエル・マクロン候補の大統領当選のケースだ。投票日の前から、万歳をしているマクロン氏の写真が掲載された雑誌のポスターが新聞スタンドの壁に貼られていた。さらに6月の国会議員選挙の時も、投票日の何週間も前から早々とマクロン新党のRepublique En Marche ( REM )の圧勝を予測する記事がたくさんメディアを飾り、今はこれがブームだというブーム感を醸成していたように思う。(2017/07/02)


コラム
シィエス著 「第三身分とは何か」  特権階級とその他の市民「第三身分」で国会の比率はどう配分されるべきかを論じた書
フランス革命の政治思想家の一人にエマニュエル=ジョゼフ・シィエスという人物がいる。シィエスは「第三身分とは何か」という著書で今日も知られている。第三身分とはフランス革命前夜において、カトリックの司祭や貴族に対抗する第三の政治勢力であり、言うまでもなく、新しく台頭してきた人々だった。この「第三身分とは何か」は1879年1月にパリで出版されたが、革命が起きたのはその半年後の7月14日である。7月14日にパリのバスティーユの監獄を市民の集団が攻撃したことで革命が始まったため、この日は今も「7月14日(キャトルズジュイエ)」として祝日になっている。(2017/07/01)


文化
家族の肖像 フランス その6 「私の仕事」(レジャーヌ・ボワイエ) Family portrait in France #6  Réjane Boyer ” My work "
フランスの古城のある小さな町、エクアンに住むレジャーヌ・ボワイエさんとその家族の歴史を何度かに分けて、取材してきました。レジャーヌさんの家族は祖父の代から政治に強い関心を持ってきたそうです。夫のマルセルさんは社会党の支持者でエクアンでは「コンセイエ」と呼ばれる、選挙で住民から選ばれる有識者委員の業務を行ってきました。仕事の合間を縫ってボランティアで自分の知識や経験を活用して行政支援を行う制度だそうです。(2017/07/01)


農と食
フランスの動物愛護団体L214が悪質な養豚業者をビデオで告発
フランスの動物愛護団体L214は食肉や鶏卵のために飼育されている動物の飼育管理状況をウォッチしている。最近では悪質な養鶏場ル・ガエク・デュ・ペラ(Le Geac du Perrat)の状況を数年に渡り監視し、農業大臣に告発ビデオを送り付け、操業停止に追い込んだという実績がある。そのL214が新たな告発映像を公開した。そのキャンペーンビデオの1つが下のリンクだ。(2017/06/29)


みる・よむ・きく
ロシアの伝統音楽を蘇生させ独特のビデオを作っている注目のバンド "Otava Yo " ( Отава Ё )  ニューヨークの映画祭で最高賞を受賞
ロシアの伝統音楽を活かした音楽づくりをしている"Otava Yo" という6人組のバンドがあります。このバンドは国際的にも注目され始めていますが、そのきっかけは独特の音楽ビデオにありました。"Otava Yo" のミュージックビデオはyoutubeにもたくさん公開されていて見ることができます。こうしたビデオの1つ”Oh, Dusya, my Marusya”という短編作品が今年、ニューヨークのインディフィルムフェスティヴァル( NYC Indie Film Awards)で最高賞のダイアモンド賞を受賞しました。ミュージックビデオ部門です。その作品が次の5分40秒の映像です。(2017/06/29)


みる・よむ・きく
内閣への権力の集中が日本の統治機構上の問題であると論じたビデオニュース・ドットコムの討論
 前川喜平前文科省事務次官の記者会見を受けて、ビデオニュース・ドットコムの神保 哲生氏が同番組の宮台真司氏との対談の中で一連の問題提起を行った。前川氏が日本の統治機構上、権力の分立が確立されていないことに問題があると発言したことを受けて、内閣人事局の問題を論じたところが最も興味深い。(2017/06/27)


政治
東京都議選 定数127人 6月23日告示 7月2日投票 マスメディアは改憲のため<自民党VS小池百合子都知事が率いる都民ファーストの会>の枠組みに有権者の囲い込みを図っているのではないか
東京都議会議員選挙の情報は以下の東京都選挙管理委員会のウェブサイトで読めます。全体で259人が127議席をめぐる闘い。(2017/06/25)


政治
前川喜平・前文部科学省事務次官の記者会見のビデオをノーカットで毎日新聞が公開
前川喜平・前文部科学省事務次官の記者会見(毎日新聞提供)(2017/06/25)


検証・メディア
NHK、和泉洋人総理補佐官、読売新聞 そして前川喜平前文科省事務次官  日本報道史に残るであろう闇
昨日の前川喜平文科省事務次官による記者クラブでの記者会見を通してクローズアップされたのが、安倍内閣の和泉洋人(いずみ ひろと)総理補佐官の動きだった。そもそもこの問題は今年1月、天下り問題の責任を取る形で文科省を辞職することになった事務次官の前川氏が、加計学園をめぐる内閣の便宜供与疑惑問題でそれまで閉ざされていた口を開いたことがきっかけだ。(2017/06/24)


検証・メディア
独立インターネットメディアIWJ もし安倍昭恵夫人が真実を訴えたいと望むならノーカットでインタビューを配信する意向
朝日新聞の報道によると、森友学園の問題や加計学園の問題など、「口利き」疑惑報道に関して安倍昭恵氏が「批判はして頂いて結構だが、こちら側の思い、きちんと伝えてほしい」と講演で訴えていると言う。その意向に対して、独立インターネットメディアのIWJを率いる岩上安身氏が「ぜひお待ちしております。IWJへどうぞ」とインタビューの場をIWJが提供するとツイッターに記した。(2017/06/24)


政治
フランス国会議員選挙 極右政党FN(国民戦線)が国会議員を4倍に増やす  マリーヌ・ルペン党首自身も初の国会議員に
フランスの国会議員選挙で予想外にマクロン新党、REM(共和国前進)が350議席を獲得する事態となり、2〜3年前は風が吹くと見られていた極右政党の国民戦線(FN)が得たのは全577議席中の8議席だった。だから、これを失敗と見る人も少なくない。しかしながら、2012年の国会議員選挙で得た議席が2議席だったことを考えると、見方によって4倍に急増したとも言える。(2017/06/22)


みる・よむ・きく
ノルシュテイン&ヤールブソワ作 「きつねとうさぎ」(ロシア民話)  言葉を操る者が支配者になる寓話
ノルシュテインとヤールブソワのロシア人のカップルは「霧につつまれたはりねずみ」など世界的に名高いアニメーションを作ってきました。夫のノルシュテインが作品の構成を作り、奥さんのヤールブソワが絵を描く、という割り振りのようです。今回紹介する「きつねとうさぎ」もそうした作品の1つで、アニメーションになっていますが、日本では絵本としても福音館書店から翻訳出版されています。(2017/06/22)


政治
小池晃書記局長「日本国憲法53条に基づいて、臨時国会の開会を要求します。」 インチキ記者会見での幕引きは許されない
共産党書記局長の小池晃氏がツイッターで臨時国会の開会を求める意向を伝えている。安倍政権が加担した加計学園への便宜供与疑惑などの一層の真相解明を進める意向だ。自民党が国会閉会中の審査を拒否したことによる。「明日21日16時半から立憲野党4党(民進、共産、自由、社民)の書記局長・幹事長会談が行われます。加計、森友疑惑解明に背を向けて共謀罪を強行した自民・公明が、閉会中審査の開催も拒否したため、日本国憲法53条に基づいて、臨時国会の開会を要求します。」(2017/06/21)


政治
改憲報道  真に注視すべきは緊急事態条項
マスメディアの報道で安倍首相が改憲論議を加速しようとしていると報じられ、その議論がいかにも9条が最大の論点であるかのように書かれている。しかし、日本の民主主義や人権にとってもっと危険な条項になりかねない緊急事態条項がどうなっているのか、これに注目すべきであろう。(2017/06/21)


欧州
フランス国会議員選挙 「服従しないフランス」 レイラ・シャイビさんはマクロン新党の候補者に敗れる
社会党から離脱して左翼党を立ち上げ、左派の再編を目指すジャン=リュク・メランション議員のグループは「服従しないフランス」(France Insoumise)と呼ばれ、大統領選の1回目の投票では19%の支持を得た。今回の国会議員選挙ではグループから27議席を輩出したが、当初期待されたほどには伸びなかった。前回、日刊ベリタで報じたパリの第10選挙区で「服従しないフランス」から立候補したレイラ・シャイビ(Leila Chaibi)さんは第一回の投票では2位で、決戦投票に進んだが、惜しくも敗れた。(2017/06/20)


政治
首相記者会見  空疎な上っ面の言葉に終始  何一つ具体的な言葉が語られず  会見直後、岩田明子NHK政治部記者が「会見のポイント」を解説
現在、安倍首相の記者会見が行われているが、森友学園、加計学園や共謀罪など、肝心の問題に対して何一つ具体的な言葉がないまま、安倍首相が訴えたいことだけを語って終わるのではないか。(2017/06/19)


コラム
首相の午後6時からの記者会見  今度はどんな妄言で目くらましか?
安倍首相が今夕、18時(午後6時)から記者会見するという。「共謀罪」の強行採決や今後の見通しなどを説明するとみられるが、市民からはメディアの前で一方的に説明するのでなく、きちんと国会で野党の前に立って質問に答えるべきだったという声が出ている。今回の首相の説明は日本国民からすると、「デジャビュの感覚」(既視感)を伴う。なんでも3か月すると忘れてしまう忘れやすい人はすでに記憶にないかもしれないが、覚えている人は2014年11月のNHKでの記者会見を思い出せばよい。(2017/06/19)


欧州
フランス国会議員選挙  フランソワ・リュファン候補が当選  映画「メルシー・パトロン!」で市民運動に火をつけたジャーナリスト
今回のフランスの国会議員選挙で最も注目された選挙区がパリの北にあるアミアンだった。なぜなら、この選挙区はマクロン大統領の故郷であり、空洞化が進むフランス工業都市の象徴でもあったからだ。そして、この選挙区でマクロン大統領の新党グループや極右の国民戦線の候補者らの間で激しい選挙戦が繰り広げられたが、左派グループの「服従しないフランス」の支持を得たフランソワ・リュファン氏が決選投票で逆転勝利を飾り当選した。(2017/06/19)


欧州
フランス国会議員選挙 マクロン大統領の新党が過半数を握る しかし400議席には届かず 国民戦線・「服従しないフランス」が議席を伸ばす  
フランスの国会議員選挙の決選投票が18日に行われた。マクロン大統領の新党のグループが予想通り全577議席の過半数を占める見込みだが、当初予想された400〜450議席には届かなかった。(2017/06/19)


欧州
フランスでも政変に伴うキャスターの解任? 人気ベテランキャスターや辛辣コラムニストらが契約を打ち切られる
フランスでは今が放送局の契約更新の時期だ。今年はベテランのTVキャスター、ダビド・プジャーダス(DAVID PUJADAS)氏や権力に辛辣な言葉を浴びせることで著名なコメンテーターのナターシャ・ポロニー(Natacha Polony)さんらが続けて解雇されることになった。(2017/06/18)


アフリカ
カダフィ大佐の息子Saif al-Islam Gaddafi氏が約6年ぶりに釈放される
カダフィ大佐の息子Saif al-Islam Gaddafiが釈放された。(2017/06/17)


コラム
共謀罪とIT産業  IT産業はソーシャルメディアの自由な言論を支援する声明を出すべきではないか
ソーシャルメディアでの言論も対象になると国会で語られた共謀罪が可決し、来月から効力を得ることになりました。そのことで今後、ソーシャルメディアはどう変わるのでしょうか?もし、「危険な」人間関係から自分を切り離そうと思って、様々なグループから参加者が離脱したとすると、だんだんソーシャルメディア自体が中身の乏しい、刺激の乏しいツールになっていく恐れがあります。(2017/06/17)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画”HIZAM” (ベルト)を監督したアルジェリア人のハミド・べナムラ監督にインタビュー  Interview : HAMID BENAMRA ,director of documentary film “ HIZAM “
アルジェリアとフランスを往来しながらドキュメンタリー映画を撮影している監督のハミド・べナムラ(Hamid Benamra)氏。仕事場はパリにあります。昨年制作した新作映画"Hizam" の上映運動で欧州以外に北アフリカ各地を回っています。この新作映画はやはりアルジェリア出身の舞踊家グェムラ・アッシア(Guemra Assia)氏の活動を撮影したものです。アッシア氏はモダンダンスに加えてアラブのダンスも創作しており、パリの稽古場では習いにやって来る弟子たちに囲まれています。今回、べナムラ監督に新作映画などについてお聞きしました。(2017/06/15)


コラム
「共謀罪」で日本のソビエト化を加速する安倍首相  読売新聞は日本版「プラウダ」か 
インターネットの世界では今夜にも「共謀罪」が参院を通過しそうだ、という情報が流れている。実際にはテロの取締とはほとんど無縁の「共謀罪」は日本国内の政府に反対する市民の弾圧に使用するために制定されている。そして、これは特定秘密保護法が制定されようとしていた4年前の拙稿「ロシアから見る特定秘密保護法案  〜日本がソビエト化する日〜」で書いたことだが、安倍政権は日本をソ連に近い国に改造しつつあり、今回の共謀罪で一段と加速することになるだろう。(村上良太)(2017/06/14)


欧州
フランス国会議員選挙(第一回目投票)で高い棄権率 有権者の約50%が投票せず  第五共和制が始まって以来の低迷
今回のフランス国会議員選挙(第一回目投票)ではマクロン大統領の新しい政治組織 "Republiue En Marche "の躍進ぶりが大々的に語られがちだが、有権者の半数、約50%が棄権していたことが複数の世論調査会社の調べで浮き上がっている。この数字は2012年の国会議員選挙第一回目の投票のときの棄権率約42%に比べても一段と高まっている。前回も棄権する人の多さが報じられたが、今回はさらに棄権率が高い数字となっており政治不信の深まりが見て取れる。ラジオフランスアンテルナショナルによると、1958年の第五共和制発足以来の最低の投票率=最高の棄権率となったそうだ。マクロン氏のグループの大躍進は棄権率の高さと関係がある。(2017/06/14)


欧州
フランス国会議員選挙(第一回目の投票)  第一位は棄権  行政権力と立法権力の不分離が民主主義の危機を生む
フランスは議院内閣制の日本と異なり、大統領選挙と国家議員選挙(下院)が別々に行われる。期間は5年に一度だ。もともと大統領の任期は7年だったが、国会議員と同じ5年となり、今は同じ年に選挙が行われているため、大統領選で勢いのあった政党が国会議員選挙でも多数派を形成することが多い。これはフランス人がそういう風に大統領の権力を維持することをデザインした結果である。そして今、マクロン大統領は一気に577議席のうち400議席以上を得て行政府と立法府を自分の政治グループでがっちり占めようとしている。(2017/06/13)


欧州
フランス エドゥアール・フィリップ首相が「非常事態」を永続化するための法案を作成  「非常事態」解除後も令状なき家宅捜索・召喚・パソコンや携帯の押収などが可能に
マクロン新大統領が抜擢した元共和党のエドゥアール・フィリップ首相が「非常事態」を永続化できる法案を作成したことが市民の恐怖を呼んでいる。「非常事態」は先日の英国のテロ事件を受けて延長されたばかりだが、今、提出される法案は「非常事態」を解除した後も常時、テロとの戦いのために「非常事態」と同様のことを可能にするものだという。ルモンドが最初に報じ、それが様々なメディアに波及している。(2017/06/13)


欧州
「フランス大統領選挙 第一回目の投票  棄権か、メランションへの投票か?」 マージョリー・マラマク  "1er TOUR: ABSTENTION ou MELENCHON? " par Marjorie Marramaque
今年のフランスは大統領選挙に国会議員選挙と5年に1度の政治の変化の年です。報道でマクロン大統領の陣営の躍進ぶりが伝えられていますが、そういった報道とは違った角度から今回の選挙を見つめてみたいと思います。昨年、パリの共和国広場で「立ち上がる夜」(ニュイドゥブ)という市民が集まって討論する運動が起こりました。これは労働法の規制緩和に対する反対がきっかけでしたが、やがてそれにとどまらず社会党と共和党と言う左右の既存政党に対する批判につながっていきました。その時、広場に集まった人々はラディカルに新しい政治の在り方を論じ、模索していました。(2017/06/12)


政治
フランス国会議員選挙(下院) 第一回目投票 マクロン大統領のEn Marche! が首位  社会党は解党の危機か
フランスでは大統領選に続いて国会議員選挙の第一回目の投票が日曜日に行われた。テレビでも、開票速報が始まったが、TVチャンネル、BFMTVの出口調査から、マクロン大統領が率いる"En Marche! "の中道グループが 30%を超える得票率で首位に立っている。2位が共和党グループ、3位が国民戦線、4位が「服従しないフランス」、そして社会党グループは9%と5位になっている。社会党は解党の危機と見てもよいだろう。(2017/06/12)


コラム
「『政教分離』原則の憂鬱」の欺瞞 フランスの政教分離原則をムスリムいじめの文脈で常に描くことの愚  
朝日新聞6月4日付の「日曜に想う」というコラムに「『政教分離』原則の憂鬱」という一文が掲載された。編集委員の大野博人氏によるもので、主旨はパリの大モスクが「フランスにおけるイスラム宣言」を発表し、「すべてのイスラム教徒はフランス共和国の法と価値観を尊重しなければならない」などの宣言を行ったことである。イスラム系移民を問題視する右翼政党・国民戦線などの影響力を考え、やむを得ず発表したもので、そのため各地のイスラム教の信徒は憂鬱な日々を送っているという内容である。(2017/06/11)


コラム
分裂する日本 神のための政治と人間のための政治  〜宗教原理主義政権と世俗派デモクラシー勢力の政治闘争〜 
森友学園や加計学園の便宜供与疑惑やレイプのもみ消し疑惑など、安倍政権の言動がすでに限界を超えたと見る人が増えているようだ。何の限界かと言えば民主主義の限界であり、日本国憲法のもとの法秩序や倫理ということになるだろう。ところが、安倍首相も菅官房長官も萩生田内閣官房副長官も責任を取って辞職するような構えはない。だから、一層、安倍政権に反対する人々は不条理劇を見ているような感覚に襲われているのだと思う。この状況をどう見たらよいのだろうか。(2017/06/10)


みる・よむ・きく
フランソワ・デュルペール(台本)&ファリド・ブーデジェラル(作画)「マリーヌ・ルペン大統領」  " LA PRÉSIDENTE " ( François Durpaire & Farid Boudejellal )
フランスで話題になった漫画に「ラ・プレジダント」(マリーヌ・ルペン大統領)がある。今年の大統領選で国民戦線のマリーヌ・ルペン候補が勝った場合を想定した未来世界である。作者はフランソワ・デュルペール(台本)&ファリド・ブーデジェラル(作画)のコンビだ。そして、最近、続編も出た。国民戦線という極右政党がついにフランスの大統領を生んだら、どのような世界が出現するのか。それをシミュレーションしたのがこの物語であり、台本作家のフランソワ・デュルペールの意欲がこの作品を世に出したと言って過言ではない。(2017/06/10)


みる・よむ・きく
リヤド・サットゥーフ作 「アラブの未来」  ”L ' ARABE DU FUTUR " de Riad Sattouf
 フランス漫画の世界で最近、人気を呼んでいる漫画家の一人にリヤド・サットーフ(Riad Sattouf)という人がいる。名前から推察いただけるように、アラブ系の人である。と言っても母親はブルターニュ半島出身のフランス人で、父親がシリアからパリに留学に訪れた留学生だったのだ。リヤド・サットゥーフの代表作である「アラブの未来」(L ' ARABE DU FUTUR )は二人の出会いから話を起こしており、その後、教授になった父親の仕事の関係で、まずはリビアに家族で滞在し、その後、父の郷里であるシリアに滞在した頃の話である。父親は息子にアラブの未来を背負って欲しい、と思っていた。それが「アラブの未来」(未来のアラブ)といういささか大上段なタイトルになっているのである。(2017/06/09)


安倍政権を検証する
憲法改正議論 政府は「加憲」であると言っているが、検討4項目に緊急事態条項が含まれている  改憲の本丸は緊急事態条項 = 「壊憲」である
安倍首相が年内をめどに自民党の憲法改正案をまとめると報じられた件で、これまで報道では9条に自衛隊の地位を書き「加える」意味で、「加憲」であると伝えられている。しかし、自民党の方針では検討項目の4つの中に、緊急事態条項が含まれており、これは真正の独裁政治に道を開くものである。(2017/06/09)


安倍政権を検証する
国家戦略特区・養父市の問題を杉尾秀哉議員(民進党)が追及  「多額の使途不明金」と「社長兼副市長の辞職」
今、獣医学部を愛媛県の国家戦略特区で設立しようとしていた加計学園の件が国会で大問題に発展している。加計学園理事長の加計孝太郎氏が安倍首相の「腹心の友」であり、国家戦略特区諮問会議議長をつとめる安倍首相が友人に便宜を図ったのではないかという疑惑である。この第二次安倍政権が鳴り物入りで企画した国家戦略特区だが、現場で問題も出ているようだ。国会で民進党の杉尾秀哉議員が追及したのは兵庫県養父市のケースである。養父市のケースは「中山間の農業改革」がテーマである。(2017/06/08)


欧州
ロンドンでのテロを受け、テリーザ・メイ英首相がインターネット監視の国際協力を提唱 その驚くべき内容とは・・・・
オーウェルが「1984」で描いた恐るべき全体主義社会へとまた一歩近づいたと思われるのが、ロンドンでのテロ事件の後にテリーザ・メイ英首相が提唱したネット監視の国際協力である。メイ首相はその記者会見の場でインターネットの世界が過激思想の揺籃となっていることをあげ、監視を強化し国境を越えてテロ対策で協力することが大切だと述べた。こう言われると、一見もっともらしく、否定しがたい。しかし、英国の新聞インデペンデント紙が報じている内容によれば、英国では去年メイ首相が提唱した”the Investigatory Powers Act 2016 ”という法律があるそうだ。(2017/06/07)


コラム
パリのドゴール空港で遭遇した「テロとの闘い」の1コマ
6月1日の夕方5時過ぎ、飛行機に乗るためにパリ郊外のドゴール空港に列車で到着した。ところが、列車のターミナルから空港施設への改札口のドアが閉鎖されていたのだ。その向こうに空港職員5〜6人がこちらに背を向けて並んで立っている。私とともに到着した乗客たちは行き場を失い、その場に立ちどまって何が起きているかを知ることもできないまま、途方に暮れることになった。そして後から人がさらに列車で到着してとうとうすし詰めになってしまった。ところが、空港職員たちからの説明がないのだ。ドアのすぐ前にいる人が職員に質問していたが、後ろの人にはまったく聞き取ることもできない。(2017/06/06)


欧州
マクロン大統領の行政立法案  フランスの労働法の解体へさらなる弾みか  鍵は11日と18日の国会議員選挙
 フランスでマクロン大統領が就任していよいよその政策が始まろうとしている。まず、フランスの新聞で今、大々的に報じられているのが労働法改正案だ。労働法改正は昨年、国会で紛糾し、労働組合や多くの市民の抗議運動を巻き起こしながらバルス首相らが強硬手段で制定したのだったが、1年後の今、さらなる規制緩和が行われようとしている。(2017/06/06)


安倍政権を検証する
今も加計学園の(名誉)客員教授を続けていた萩生田光一内閣官房副長官  森ゆう子議員「バリバリの利害関係者じゃないですか」
森ゆう子議員(自由党)の参議院農林水産委員会での質問で、萩生田光一内閣官房副長官が過去に加計学園グループが営む千葉科学大学の客員教授だっただけでなく、現在も引き続き「名誉客員教授」という身分を継続していることがわかった。今、まさに大きな問題になっているのが加計学園が愛媛県今治市の国家戦略特区で獣医学部を52年ぶりに新設するために、「腹心の友」である安倍総理が文部科学省に圧力をかけたのではないか、という疑惑である。(2017/06/05)


国際
仏大統領選を振り返る  マクロン候補に2時間半質問を浴びせたメディアパール  
フランス大統領選は終わった。マクロン候補を筆者は支持していたわけではない。だが、日本の首相が国会や自分に批判的なメディアに対して予防線を張り、逃げ回り、質問に答えずはぐらかせるのが日常なことに対して、フランスではそうは問屋が卸さない。(2017/06/05)


国際
パリ  難民排斥的な記事を書いたパリジャン紙に対する抗議集会  ラシャぺル広場 
 パリ市の北東部に位置する19区、地下鉄のスターリングラード駅やジョレス駅周辺には昨年、難民キャンプが作られた地域だ。ソマリア、アフガニスタン、南スーダン、シリアなどからやってきた難民たちがここにテントを張って暮らしていた。昨年11月にパリ市当局から撤去を求められ、キャンプは解体された。しかし、今もこの周辺に難民が100人以上滞在しているようだ。行政当局は各地の難民収容施設に彼らを分散したのだったが、そうなってしまったら、なかなか難民認定の手続きにも苦労するし、フランス語のレッスンを受ける機会も得られないから、ということで再びこの地域に戻ってきた一部の人々がいるようである。(2017/06/05)


コラム
改憲項目「教育無償化」と安倍首相の地方大学改革論 〜税金を使って 学校を企業の研究・研修施設に改変か〜
安倍首相が憲法改正項目の1つに教育無償化を盛り込んだのは改憲のために国民にしゃぶらせる飴玉なのだろうが、その飴もどのような飴なのか、中身が気になる方も多いのではなかろうか。昨今報道された森友学園のような教育をされるのなら、むしろタダでも受けたくない人は少なくないだろう。(2017/06/04)


政治
フランス政治の新しい力  ” La France insoumise ” ( 服従しないフランス) その2
今月、投票が行われる国民議会の議員選挙にパリ市内(第10選挙区=パリ市南部の13区と14区にまたがる選挙区)から立候補しているレイラ・シャイビ(Leila Chaibi )さんのことを前回、簡単に書きました。シャイビさんが最も取り組むと言っている問題がパリや大都市部での住宅事情の悪化です。先日もパリ市内のマンション価格(中古住宅)が最高値を更新した記事が大々的に新聞をにぎわせたばかりです。不動産投機のため不動産価格が年々上昇している事態に歯止めをかけるということです。また、雇用の不安定化もシャイビさんが改善に取り組みたい大きなテーマです。雇用と家賃・住宅価格は人間が暮らす基盤で、大きなテーマです。これが脅かされているというのです。(2017/06/03)


政治
フランス政治の新しい力  ” La France insoumise ” ( 服従しないフランス) 
フランスではマクロン新大統領が誕生して、これまでの社会党と共和党の二大政党を中心にしたシステムが一夜にして崩壊してしまいました。マクロン大統領にとっては政策を実現する上で、6月に行われる国民議会(下院)選挙でも自ら立ち上げた政党" En Marche ! "からできるだけ多くの議員を出すことが重要になってきます。驚いたことに昨日のフィガロ紙では世論調査の結果、577人の全下院議員のうち、なんと320から350議席をマクロン氏のEn Marche ! が獲得して国会でも安定多数を占める、と書かれていました。とはいえ、これはマクロン氏を勝たせるための記事だ、という批判も何人かから聞きました。(2017/06/01)


国際
マクロン氏がLGBT情報誌の表紙に
今日、先進国ではLGBTと記されるゲイやトランスセクシュアルなどの性的なマイノリティの人々の政治力が増していて米大統領選でもゲイコミュニティのネットワークの力が無視できなくなっていると言われています。大統領選挙が行われたパリでも当選したマクロン氏はLGBT情報誌の表紙に取り上げられていました。(2017/05/24)


文化
プラシド展 〜 デフォルメの真実 〜コリーヌ・ボネ画廊 Exposition of Placid at Galerie Corinne Bonnet
イラストレーターや漫画家で同時に絵画も描く人がいるが、パリの14区にあるコリーヌ・ボネ画廊はそうした画家をよく扱っている。今、展示を行っている画家のプラシド(Placid) もそうした画家の1人で漫画集もたくさん出版してきた人である。プラシドの絵画を見ると、そこでは強烈なデフォルメが行われている反面、非常にリアルでもある。何がリアルなのか、と言えば表情である。(2017/05/21)


欧州
マニュエル・バルス前首相の造反  社会党からマクロン新大統領のEn Marche! へ     ところがマクロン新大統領が拒否
「左でもなく、右でもなく」をキャンペーンPRで打ち出して見事大統領の座を射止めた新党”En Marche!”(始動!)のエマニュエル・マクロン氏。フランス政界へのインパクトは大きい。筆者には日本の1990年代半ばにおける社会党から民主党への左派議員の移行を思い出させる。日本では中道政党・民主党が生まれ、旧・社会党議員が多数そこに移動した結果、かつて野党第一党だった社会党は今では非常に小さな政党になってしまった。その結果、日本の政界は大きく右に移行し、憲法改正を阻止してきた「3分の1以上を野党が占める」という体制がついに崩壊することになった。(2017/05/11)


欧州
フランスの政治を変えたい ジャーナリスト・映画監督のフランソワ・リュファン氏が国会議員選挙に初立候補  マクロン大統領の故郷アミアンで始まる熾烈な選挙戦  
新大統領も決まってほっと一息、と言う間もなく、フランスでは6月の国会議員選挙に向けた準備が始まっている。まずテレビのニュース番組ではマクロン氏が立ち上げた新しい政治グループ「En Marche !」(始動!)が国会議員候補をどう擁立するか、そしてまた大統領と同じ行政府の首相や閣僚には誰を選ぶか、こういった話題が報じられている。報道によると来月の国会議員選挙に「En Marche !」(始動!)から立候補するのは無名の新人が少なからずいるようだ。(2017/05/10)


欧州
マクロン勝利宣言の裏で 2  パリ市内4か所で13人に出口調査をしたら全員マクロン支持だった  村上良太
パリの大統領選挙決選投票。結果はマクロン候補が約66%、ルペン候補が約34%という結果でマクロン氏の圧勝となった。予測されていた通りの結果となった。フランスの大統領選挙の投票所は地域の小学校や市庁舎などが使われ、三々五々人々が投票にやって来る。市内4か所で筆者は今回の大統領選に対する投票者たちの考えを聞いてみた。驚いたことは13人、全員がマクロン候補に投票したと答えたことだ。(2017/05/08)


欧州
マクロン勝利宣言の裏で  反ラシスム(反人種差別主義)集会が開かれる  年々勢いを増す人種差別主義にどう立ち向かうか
パリ北駅から徒歩2分のラファイエット通りにあるバー「植民地」(la Colonie)。ここに5月7日、大統領選挙の夜、人だかりができていた。集まっていたのは北アフリカのマグレブ地方の移民やその二世、三世が多い印象だが、中東から来た人たちもいたかもしれない。集会は「反ラシスム(反人種主義)」の討論会だった。(2017/05/08)


欧州
大統領選挙前日に当選確実? エクスプレス誌の速さ
大統領選挙、決選投票を明日の日曜に控えるパリの街角、キオスクの壁には早くもマクロン勝利を思わせるポスターが。さすがはエクスプレス(急行列車)という名前だけのことはあります。とはいえ、選挙はまだまだ何があるかはわからない。(2017/05/07)


コラム
フランス大統領選  マクロン候補の故郷アミアンで「マクロン人形」を見た  
フランスでは大統領選の決選投票を日曜日に控えています。今日金曜のFigaro紙では5月3日のテレビ討論でマリーヌ・ルペン候補が決定的に劣勢になったと書かれていました。細かいことは不明ではありますが、Figaroの政治コラムニスト、ギョーム・タバール(Guillaum Tabard )氏によると、討論での敗因にはいくつか原因があります。1つは15000人規模の政治集会と1500万人の視聴者を前にした時(1500万人が視聴したようだ)の違いをマリーヌ・ルペン候補が理解していなかったこと、また第一回投票の前の討論会と第二回投票前の討論との性格の違いをマリーヌ・ルペン候補が理解していなかったこと。(2017/05/06)


文化
探偵ドラマから恋愛ドラマまで  インタビュー エリザベート・ブールジーヌ(女優)Interview : Elizabeth Bourgine ( actress )
 アメリカの文学界が生み出した代表的な私立探偵がフィリップ・マーロウだとしたら、フランスでは誰か。様々な意見があるでしょうが、候補の一人は作家のレオ・マレが生み出したネストール・ビュルマでしょう。ハードボイルドでありながら、ユーモアも込められており、フランスではファンが多く、映画化も繰り返し行われ、漫画にもなっています。俳優や漫画家を変えて代々受け継がれています。その1つ、映画「ネストール・ビュルマ ショックの探偵」に出演した女優のエリザベート・ブールジーヌさんです。(2017/05/03)


国際
トランプ大統領「適切な状況が整った場合に金正恩氏と会えれば私は光栄だ」
4月に空母カールビンソンが北上して一触即発か、という報道がなされ、東京では地下鉄が止まる騒ぎも起きた。とはいえ、トランプ大統領はTVインタビューで、適切な状況が整えば北朝鮮の金正恩氏と会見することは光栄である」と語った。これは突然の事態の急変だろうか。実際のところは前回日刊ベリタで報じたように、アメリカの朝鮮問題のエキスパートがすでにニューヨークタイムズで北朝鮮と交渉するならトランプ政権発足100日の期間が極めて大切で、それを逃すと格段に難しくなる、と予測していた。それを考えればカールビンソン北上情報(これはあとで嘘だったことが判明した)は交渉前のブラッフ(脅し)だったと言える。しかし、ブラッフが機能するためには万一の場合、発動する可能性を残しておくものだ。(2017/05/03)


政治
労働争議と共謀罪  フランス二月革命(1848年)以後の労働運動を振り返る  共謀罪は労働争議の防止が目的だった
今、政府が導入しようとしている「共謀罪」が本当に必要な法律なのか、多くの識者から疑問が投げかけられています。そもそも施行されればテロ対策とは無縁の相当たくさんの犯罪に共謀罪が適用されることになり、これまでの刑法を一夜にして変質させ、政府・警察の恣意的な運用を招く恐れが存在することにあります。共謀罪のような法律がなぜ今、制定されようとしているのか、時代的背景には外国人による「テロ」ではなく、むしろ国民の反政府運動の封じ込めにあるのではないか、と見ることもできると思います。(2017/04/30)


政治
社会党バルス前首相の「裏切り」 社会党のアモン候補に見切りをつけマクロン候補に投票 
フランスの大統領選は5月7日の決選投票に向けて動いている。とはいえ、報道はエマニュエル・マクロン大統領誕生の秒読みモードに入っていると言えよう。そして、話題はその先に向かっている。まずは第一回投票でブノワ・アモン候補の得票率が6%台と第五位に低迷した社会党である。ルモンドではアモン候補も、1月の予備選でアモン氏に敗れたマニュエル・バルス前首相(大統領選立候補控え、昨年12月にカズヌーブ氏に交代した)も、いずれにしても今後、社会党で生きていくにはなかなか厳しいものがあると報じた。(2017/04/30)


みる・よむ・きく
畑山敏夫著 「現代フランスの新しい右翼 ルペンの見果てぬ夢」(法律文化社)
フランスの大統領選で決選投票に進んだマリーヌ・ルペン国民戦線党首。2002年に父親のジャン=マリ・ルペン先代党首が決選投票に進んで以来の躍進となった。アンケート調査ではエマニュエル・マクロン候補が優勢と見られているが、それでもまだ最後までわからない。畑山敏夫著「現代フランスの新しい右翼 ルペンの見果てぬ夢」(法律文化社)はフランスの極右政党である国民戦線がいかに成長してきたか、その歴史をたどった貴重な一冊である。(2017/04/28)


コラム
今村復興大臣の失言の裏に潜むもの 〜福島、東北、沖縄 そして自民党改憲案〜
今村雅弘復興大臣がたび重なる失言で辞職することになった。その決め手となったのが東日本大震災を評した次のような言葉だったとされる。今村「これは、まだ東北で、あっちの方だったからよかった。もっと首都圏に近かったりすると、莫大な甚大な被害があったと思う。」この言葉は今村大臣の個人の思想を表している、というだけだろうか。(2017/04/28)


国際
トルコと共謀罪 国民投票で憲法改正が決定となったトルコ さらに約1000人が逮捕される 国民投票の不正疑惑封じ込めか
4月16日の国民投票で憲法改正派がきわどい勝利を得た。ところが、すぐに投票不正の疑惑が報じられた。それから10日とたなない昨日、1000人以上のトルコ人が逮捕されたと外国メディアで報じられている。容疑はアメリカに滞在しているギュレン師に連なっているからだとされる。ギュレン師は証拠も明示されないまま、昨年7月のクーデター未遂事件の首謀者と政府から指弾されている。また、ギュレン師に連なるという咎で9100人の警察職員が業務停止処分となった。ニューヨークタイムズによれば昨年夏のクーデター未遂以後、すでにおよそ45000人が拘束されている。(2017/04/27)


国際
フランス大統領選決戦へ 世論調査ではマクロン候補64% マリーヌ・ルペン候補36%
フランス大統領選は5月7日の2回目の決選投票に向かっている。フランスでの報道をウォッチしていると、世論調査が極めて正確に現実になっており、逆に言えばその見通しに対して波乱を起こすことができていないことでもある。左派にとっては社会党のブノワ・アモン候補が撤退せず、左翼党のメランション候補と票が割れて共倒れしてしまったことは、最初から予測できたこととはいえ、苦い思いを与える結果となった。19.5+6.3=25.8。これはネットで出回っているものだが、左派の2候補の得票率を合計した数字で、これだけあれば悠々トップで決戦に進めたのである。リベラシオン紙に公開書簡の形でアモン候補にメランション候補で1本化して欲しい、と訴えた哲学者のパトリス・マニグリエ氏の期待は実現されることがついになかった。(2017/04/27)


国際
サウジアラビアが国連の女性の権利向上委員会のメンバーに選ばれる  「ご冗談を」という声が世界で続く  実は日本も選ばれていた・・・
女性の権利を世界で最も抑圧している国の1つ、サウジアラビアがよりによって国連の女性の権利を向上させる委員会のメンバー国に選ばれたという。国連の監視グループが発したこのニュースがインターネットで流れると、あまりにも不可解かつ不条理だったため、「冗談か?」「本当のニュースなのか?」などと疑問視する声が相次いでいる。(2017/04/26)


コラム
貴族制社会への移行  身分の固定化と一定額以上の納税をした国民だけに選挙権が与えられる国に戻る可能性
国民には今後は選挙権はいらないでしょう、と若者が言ったのを聞いて衝撃を受けたことがありました。選挙権を持っていても政治家を選ぶ見識がない人々が圧倒的に増えてくると、衆愚政治の危機に陥るため、一定の見識を持つ人だけを選抜して、その人々による間接選挙にするべきだ、というのです。実際、今の日本では投票率も低く、また与党議員に見られるように憲法すら理解していないと思われる国会議員も少なくありません。このような国家になったのは国民が政治家を選ぶ力がないから、というのが彼の意見でした。そして、アメリカでもそのような考え方が少しずつ増えているのだそうです。去年の米大統領選を思い返せば、その発言にもリアリティがあります。(2017/04/25)


国際
フランス大統領選  投票傾向を「東西」で分けて考えるべきなのか  鍵はムスリム移民の経路
フランス大統領選の1回目投票で国民戦線のマリーヌ・ルペン候補を支持したのが大雑把に分ければフランスの東部、エマニュエル・マクロン候補を支持したのがフランスの西部という風に東西で分けて分析している人が何人もいるようだ。これはフランスメディアが配信する色分け地図をもとにしたものだが、東西で分けることに大きな意味があるのかどうか。中にはフランスの革命前後の革命勢力の地盤と保守勢力の地盤がこの東西に現れている、という学者の見立てもあった。ここで思い出されるのは2015年12月のフランス地方選挙である。地方選こそ如実に地域の支持基盤が見えるからだ。そして、「東部」と彼らが指摘している地域は正確に言えば地中海沿岸の地域圏、東部の国境に沿った地域圏なのである。つまり、ここは海から、そして鉄道で移民が大量に流入してくる窓口となっている地域なのだ。(2017/04/24)


コラム
フランス大統領選  ぶっ壊された社会党
昨日23日、フランスで大統領選挙の第一回投票が行われた。メディアですでに報じられている通り、今回の選挙では社会党と共和党という二大政党の候補が敗北を喫して撤退し、極右政党の国民戦線と選挙直前に生まれた新しい政治組織「始動!」の候補者による決選投票となった。マリーヌ・ルペン候補(国民戦線)とエマニュエル・マクロン候補(始動!)である。エマニュエル・マクロン候補はマニュエル・バルス首相が率いる社会党政権の経済大臣だった人物であり、一見左派に位置していたが、今回の成功のもとは社会党から出馬しなかったことだ。もう一つの意外なことは当初、社会党のトップ候補と目されていたバルス氏が社会党候補とならなかったことである。(2017/04/24)


国際
フランス大統領選 最新の出口調査ではエマニュエル・マクロン候補が首位、マリーヌ・ルペン候補が2位 
フランスの大統領選挙・第一回目の投票が行われた。フランスメディアRTBFの出口調査によると、首位はエマニュエル・マクロン候補で24%、2位がマリーヌ・ルペン候補で22%となっている。最新の出口調査の結果は以下の通り。(2017/04/24)


コラム
英紙ガーディアンは社説でエマニュエル・マクロン候補をフランス大統領に推した
欧米の新聞は日本の大新聞のような見せかけの中立主義に毒されていない。ニューヨークタイムズは昨年の大統領選で予備選の始まりの時点からすでに明白に民主党のヒラリー・クリントン候補を推薦すると社説で書き、繰り返し支持を表明してきた。一方、英国のジャーナリズムを代表するガーディアン紙は海峡を挟んだ向かいのフランス大統領選に関して、エマニュエル・マクロン候補を大統領に推す、と社説に記した。(2017/04/23)


国際
フランス大統領選  左派総崩れの可能性  社会党ブノワ・アモン候補に撤退してメランション候補(左翼党)で大同団結することを勧めた哲学者
フランス大統領選挙の第一回目の投票日は今度の日曜日、4月23日です。4月16日と17日に行われた最新のアンケート調査(11600人が対象)の結果ではエマニュエル・マクロン候補がトップを走っている。以下はトップ5候補の状況。マクロン 23% / マリーヌ・ルペン  22.5% / フィヨン 19.5% / メランション 19% / ブノワ・アモン   8%(2017/04/22)


コラム
新聞社の編集姿勢はまずは見出しに現れる  魂なき虚ろな見出しの群れ
朝日新聞のたしか「わたしの紙面批評」という欄だったように思うのだが、作家の中島京子氏が以前、こんなことを意見していた。新聞の見出しがとても大切だ、と。だから、人権が侵され得るような政治の問題は一面に大々的な見出しをドーンと掲げるべきじゃないのだろうか、と。そんな意味合いの言葉で、なるほど、その通りだと思った。(2017/04/21)


コラム
郵便局での会話
 先日、町の郵便局に用事があって、据え付けの机で住所などを書き込んでいると、後ろから会話が聞こえてきた。高齢の女性と受付窓口の女性の話で、別段他人の用事に関心を持つこともないのだが、そこで聞こえてきた話はどうしても耳についてきたのだった。窓口「今日、引き出されてお持ち帰りになる100万円のことで少しお聞きしたいんですよ。」(2017/04/20)


文化
ベルリンにたどりついた亡命俳優たちの劇団  "The Exil Ensemble ” ニューヨークタイムズ文化欄から 
ベルリンに中東からの難民によって構成された亡命劇団"The Exil Ensemble ”というのがあるそうだ。ニューヨークタイムズの文化欄の4月17日の記事”Refugees find home is a Berlin theater"(難民が見つけた住まいはベルリンの劇場だった)で読んだのだが、写真入りでかなり大きく取り上げられていた。ドイツ語だとどういう単語かわからないが、英語で言えば亡命劇団、とてもわかりやすい。俳優は男女7人で、出身はシリア、パレスチナ、アフガニスタンである。いずれも過酷に弾圧されたり、戦乱の最中だったりする地域だ。そして、今、上演しているのが「冬の旅」(Winterreise = Winter Journeyと題されたドキュメンタリー的なドラマだと言う。そこにはユーモアや笑いも盛り込んでいるようだ。(2017/04/19)


みる・よむ・きく
野村豊弘著「民事法入門」 (有斐閣アルマ)
有斐閣から出版された野村豊弘著「民事法入門」はちょっと感動ものだった。新書よりは少し幅が広いが全体に小ぶりな本の中に、民事法の基本が大変優しく解説されているからだ。民事法は民法や商法、そして民事訴訟法などのそれらの手続き法から構成されるのだが、筆者が法学部に在籍していた頃は民法も商法もそれぞれバラバラに学ぶだけで、全体を「民事法」という風に一望する勉強をしたことがなかった。卒業後に後悔しても仕方がないのだが、全貌をできるだけ初期につかむ、ということはその後の勉強にとってとても大切だ、と思う。(2017/04/17)


国際
トルコで憲法改正国民投票 エルドアン大統領の権力を絶大にする憲法改正派が優勢か "第一次大戦後レジーム”からの脱却を100年ぶりに狙う
4月16日、トルコでは憲法改正の国民投票が行われている。今回の改正はBBCなどの報道によればおよそ100年前のケマル・アタチュルクによる世俗主義と立憲主義への憲法改正を大きく変える国家大改造になる。そして一部の開票速報によると、改正派が54%と優勢になっている。(2017/04/17)


国際
ユナイテッド航空「引きずりおろし事件」に腕を競う世界の風刺作家たち
アメリカのユナイテッド航空でオーバーブッキングが発生してしまったために降りるのを拒否した乗客を無理やり引きずり出した事件は世界中に報じられた。とくに保安要員に無理強いされた男性が顔から幾筋も血を流していたことも衝撃を与えた。これに義憤を感じ、職業魂を刺激されたのが風刺漫画家や風刺ライターたちだ。さらにはプロだけでなく、様々な人々がこれを風刺しているのである。最初にこれに関して筆者が見たのは「ユナイテッド航空・訓練ビデオ」というテロップがつけられた映像だった。(2017/04/16)


みる・よむ・きく
安部直文著「全図解 日本のしくみ 政治・経済・司法編」(講談社インターナショナル)
講談社インターナショナルから出版された対訳形式のバイリンガルブックスシリーズは書店で目にされたことがある方も少なくないだろう。 「英語で読む日本国憲法」という対訳本もこのシリーズで出版されており、憲法と英語を同時に学べる貴重な本だった。だが、ウィキペディアによると、講談社のこの子会社は1963年に設立され、2011年4月末で解散となっている。残念だ。思えば筆者が対訳という出版形式に初めて触れたのは30年前の学生時代にカナダを旅してケベックの古書店でジャック・プレヴェールの詩集「パロール」を手にした時だった。(2017/04/16)


コラム
テロを表明する作家
排外主義で知られる作家の名前のアカウント名を持つ人物がツイッターで、もし北朝鮮のミサイルが日本に着弾して家族が殺されたら、テロ組織を作って日本国内の敵を潰していくといった内容を拡散している。この人には17万人のフォロワーがいるので、作家本人がそれを実行しようとしまいと、このメッセージに影響される人も出てくるかもしれない。(2017/04/15)


国際
第二次朝鮮戦争の可能性 平和条約交渉か、戦争か
 トランプ大統領が原子力空母カール・ビンソンを中心とする米海軍・第1空母打撃群をシンガポールから北朝鮮に向けて北上させていると報じられた。これを巡って、いよいよ金正恩氏が率いる北朝鮮政府を転覆させる作戦か、という見方も出ている。その場合、自衛隊が安保法制適用の最初の事例として米軍の後方支援を行う可能性も出てくるだろう。またその場合は日本の関連自治体も戦時体制に突入し、報道も統制されることになる。(2017/04/10)


政治
なぜ政府を監視するか  
日刊ベリタで筆者は政権批判をしていますが、特定の政党を筆者が支持しているわけではありません。まして特定の政党の党員でもありません。もし将来、民進党が政権を握ったら民進党をウォッチして問題があれば批判しますし、同じことが共産党でも社民党でも公明党でも維新でも言えます。それに批判している今の政権を別にすれば、自民党が特段、他の政党に増して嫌いと言うわけでもありません。(2017/04/10)


政治
イスラム原理主義と同根 自民党改憲案の政教分離原則の廃止(憲法20条改正案)
教会勢力が政治的権力を握って宗教迫害を行ったり、宗教戦争を行ったりしていたのは中世に留まらない。日本でも1945年まで国民は国家神道という宗教を強要され、神のために従軍させられ戦うことを強いられていた。中東のシリアやイラクで行われている戦争もイスラム教の宗派間の確執をもとにする宗教戦争である。このように政教分離原則を旨とする憲法のない国々では宗教戦争が起きうるし、宗教的迫害や宗教上の長老たちが政治を左右することがしばしば起きる。そして多くの場合、女性の地位は男性より圧倒的に低い。自民党の改憲案では近代を画したこの政教分離原則が取り払われることになる。日本が前近代社会に戻っていく、というのはそのことである。(2017/04/09)


国際
フランス大統領選 先頭に出た男エマニュエル・マクロン氏(元経済相・元金融マン) その経済政策は?
フランス大統領選で現在、BVAのアンケート調査でマリーヌ・ルペン候補と並び先頭に出ているのがエマニュエル・マクロン候補だ。オランド政権のマニュエル・バルス内閣で経済大臣を以前勤めていた人物で、もともとは金融界の出身である。社会党からの出馬を避け、自ら「En Marche! (始動!)」という政治グループを立ち上げた。ウェブサイトによれば支持者はすでに20万人に上るともいう。マクロン氏の経済政策はと言えば、もともと社会党ながら右派のバルス内閣が目指していたネオ・リベラル的な方向と基本的には同じのようだ。(2017/04/09)


国際
トランプ政権のシリアへのトマホーク攻撃  化学兵器は本当に空軍基地にあったのか? アサド政権の化学兵器使用は確かなのか? 
 新聞報道によると、シリアのアサド政権が今月4日、ホムス郊外のハーン・シェイフンで反政府派に化学兵器を使用したとして、地中海に停留する米艦がシュアイラ―ト空軍基地に向けてトマホークを59発打ち込んだ。米政府によると、この空軍基地に化学兵器が隠されている、ということである。だが、化学兵器を使用したのがアサド政権だったのか、またシュアイラート空軍基地に化学兵器が積まれていたのか、その証拠は示されていない。(2017/04/09)


国際
フランス大統領選 最新アンケート結果 マクロン元経済大臣と国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が23%で同率首位、その後ろに共和党のフィヨン候補と左翼党のメランション党首が19%と差を詰めて肉薄中 社会党のアモン候補は8%台に沈む
4月23日に行われる仏大統領選の一回目投票。フランス大統領選で誰に投票するかというBVAのアンケート調査の最新報告。あくまで抽出された少数によるアンケート調査結果に過ぎないが、1ポイント以下の端数を切り捨てれば、エマニュエル・マクロン候補とマリーヌ・ルペン候補が23%で同率首位。その後ろをフランソワ・フィヨン候補とジャン=リュク・メランション候補が19%につけて差を縮めていることに注目が集まっている。社会党のブノワ・アモン候補は8.5%と最下位に落ちその差も広がりつつあるようだ。(2017/04/09)


政治
義家弘介文部科学副大臣の教育勅語容認発言は森友学園に何らかの形で関係した総理と防衛大臣の責任問題への煙幕ではないか
  義家弘介文部科学副大臣が7日、衆院で幼稚園など教育現場で子どもたちが教育勅語を朗読することにつき「教育基本法に反しない限りは問題のない行為」と語った。これは今月冒頭に「憲法に反しない形でなら教材として使用してよい」とする答弁書を閣議決定したことと連動していると思われる。(2017/04/08)


文化
仏映画「河で眠る人」俳優パスカル・トゥルモさんにインタビュー  Interview : Pascal Turmo / acteur " Dormeuse Duval "
今、フランスで公開中のマニュエル・サンチェス監督の新作「河で眠る人」 " Dormeuse Duval "に出演した俳優のパスカル・トゥルモさんにインタビューしました。この映画はフランス東部国境地域アルデンヌ地方を舞台にしています。繰り広げられるのは初老にさしかかった夫婦のもとに若く美しい女性がパリから訪れ、波紋を投げかけます。一方、夫婦の妻を演じるマリーナ・トメ(Marina Tome)氏のロマンスの相手役を夫の友達でもあるパスカル・トゥルモ氏がつとめています。トゥルモ氏は映画よりも舞台を主に活動の場にしてきた俳優で、マリヴォー、シェイクスピア、モリエール、ホルヴァート、A・ミラーなどの芝居に出演しています。(2017/04/07)


コラム
「山田さんへの手紙」   劇作家ブレヒトはTVドキュメンタリーの先駆者だった 
山田さんはドイツの劇作家、ベルトルト・ブレヒトの作品にどれくらい親しんだでしょうか。ブレヒトというと左翼演劇とか理屈っぽい、と思う人が少なくないと思います。そして今日は知っている人も少なくなっています。実はTVドキュメンタリーを先取りしていたのはブレヒトではないか、と思っています。ブレヒトは演劇の中に「報告」というスタイルを持ち込み、叙事的演劇という概念を確立したのです。叙事的演劇とは、こんな出来事があったよ、と報告者が観客に語りかけ、するとそれを再現的に演劇にしたドラマが始まって、次にまた、報告者がその後どうなったかを報告し、そしてまたドラマが続いて・・・・当時はまだTVがなかった時代で、演劇は今日のTVの役割を担っていたのです。(2017/04/06)


みる・よむ・きく
シェイクスピア作「ジュリアス・シーザー」 〜独裁政権の誕生前夜を描いた激動の傑作〜
今、世界では近代の市民社会が壊れかけ、各地で独裁者が再び生まれ始めています。こんな時、英国人は何百年もの間、ある芝居を見てどう自分が振る舞うべきか、考えてきました。それがこの劇、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」です。英国では政治家や外交官を目指す若者は学生時代にシェイクスピアを暗唱できるくらい読むのが伝統でした。わが国でも筆者が学生の頃は政治演説の見本として中学の国語の教科書に掲載されていたものです。「ジュリアス・シーザー」は古代ローマ史に材を取っています。(2017/04/03)


みる・よむ・きく
岡沢憲芙編「演習ノート 政治学」(法学書院)
法学書院が出版した岡沢憲芙編「演習ノート 政治学」は大学生向けのテキストのようだが、一般の人にとっても使いやすい政治学の一問一答形式の入門書である。政治と言えば曖昧模糊としてつかみどころがない印象を持つ人が多いだろうが、政治学という学問があるように科学の対象である。アメリカでは「ポリティカル・サイエンス」というようにサイエンスという言葉が科目についているのだ。初版は1982年である。(2017/04/02)


コラム
内閣答弁書<教材に教育勅語を否定せず>は森友学園に何らかの形で関係した総理と防衛大臣の責任問題への煙幕ではないか
昨日の朝刊で、安倍内閣が教育勅語でも憲法に反しない形でなら教材として使用してよい、という旨の答弁書を閣議決定したことが大々的に報じられました。多くのメディアでは戦前の憲法観に基づく道徳である教育勅語を教育に用いることの問題が論じられており、それはもっともなことだと思います。しかし、なぜ今、教材に教育勅語を否定しない閣議決定が出てきたのか。今この答弁書を安倍内閣が提出した動機こそ、大切ではないでしょうか。これは安倍総理や稲田防衛大臣らが昭恵夫人なども絡めて何らかの形で、教育勅語を児童に暗唱させていた塚本幼稚園を営む森友学園に関係していたことが背景にあると思われます。(2017/04/02)


政治
共謀罪(テロ等準備罪)を知りたければ昨年トルコで起きた”クーデター未遂”後の政府による野党、ジャーナリスト、教職員、裁判所判事らの一斉逮捕・粛清を参照しよう 
今、国会に内閣から提出され、いずれは強行採決の可能性もある共謀罪(テロ等準備罪)法案は戦前・戦中の軍国主義を後ろから支えた治安維持法と本質的には同じで、市民活動に対する危険性を帯びた法律案である。こうした事例を考える際に最も身近な事例の1つがトルコで昨年夏に起きたエルドアン政権に対するクーデター未遂事件の後に、事件を引き起こした軍人だけでなく、野党よりの新聞社・放送局、政治家、教職員、判事などが一網打尽に逮捕されたケースだと思う。(2017/04/01)


欧州
迫るフランス大統領選  国民戦線が初大統領を生むか、それとも?  テレビ討論会が始まる
 フランスの大統領選が1か月後に迫ってきた。フランス大使館によると4月23日に第一回投票。2週間後の5月7日に上位2名で決選投票が行われる。選挙運動期間はおよそ1か月間。これはアメリカの大統領選に比べると圧倒的に短い。しかし、任期は5年間とアメリカより1年長い。最終的に候補が確定するのは第1回投票に先立つ遅くとも3週間前の金曜日だという。「選挙運動は第1回投票に先立つ2週前の月曜日に開始し、投票日前日午前0時に終了します。」(フランス大使館のサイトより)現在の主な候補者。ブノワ・アモン (社会党連合)フランソワ・フィヨン(共和党連合)エマニュエル・マクロン(前進) マリーヌ・ルペン(国民戦線)ジャン=リュク・メランション(左翼戦線=左翼党・共産党)(2017/03/28)


みる・よむ・きく
大下英治著 「安倍官邸『権力』の正体」   安倍政権の4年間を振り返る
大下英治著「安倍官邸『権力』の正体」(角川新書)は安倍首相を含めて安倍政権をべた褒めした本である。しかし、同時にそこには第二次安倍政権を支えた人間が誰で、それぞれがどういう風にチームワークを築いていたかがよく書かれていて大変興味深い。特に第二次安倍政権の知られざる特徴である「内閣人事局」を作って高官をわしづかみにできた経緯を書いていることも本書の功績だろう。(2017/03/26)


政治
国会と内閣  与党議員に三権分立の意識はあるのだろうか?
日本は三権分立を基本原理としていると学生時代に習ったが、目を疑ったのが23日の森友学園・籠池理事長の証人喚問だった。この時、質問に立った自民党の西田昌司議員や葉梨康弘議員、公明党の竹谷とし子議員、日本維新の会の下地幹郎議員らは籠池氏の信憑性を問う質問に全力投球しているように国会中継で見えた。彼らが連立与党の議員であることや与党よりの政党の議員であることを考えれば安倍首相夫妻に弓を放つかのような籠池氏の言動を叩いて政府を守ろうとする動機があることは想像でできる。しかし、たとえ彼らがどの政党に所属していようと、彼らの身分は第一義的には立法府の国会議員であり、行政府に位置する内閣の一員ではないはずだ。(2017/03/26)


政治
辻元清美議員の視点  証人喚問から見えてきた「公務」 
安倍昭恵氏が森友学園の土地取得に関わっていたかについては、国会で議論を呼んでいる。23日に行われた森友学園の籠池理事長の証人喚問ののち、民進党の辻元清美議員は「改めて、昨日の証人喚問から引き出された問題点を整理する」と題して、ブログに書き記しているが、興味深い記載の1つが以下のくだりである。 辻元 「塚本幼稚園の講演やスキーに職員が同行したこと、これまで1名・非常駐だった『総理夫人付き』が、第二次安倍政権になって突然5人(うち2人は常駐)になったことについて私は追及してきました。私が出した質問主意書に対する答弁などで、政府は以下のように答えています。・・・(2017/03/25)


政治
内閣が提出の ”共謀罪” 法案  衆議院のページでは23日現在で未だ本文が未掲載  「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」
衆議院や参議院、そして内閣が提出して国会で審議される法案は国会のホームページで読むことが可能です。共謀罪は内閣が提出した法案。そこで内閣の欄を見ると、上の方から順番に提出法案が並んでいます。共謀罪は3月21日に受け付けられたようです。名称は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」のようです。(2017/03/23)


みる・よむ・きく
黒沢久子氏のシナリオ 「お父さんと伊藤さん」  現代の名作
月刊誌シナリオ(2016年11月号)に掲載された黒沢久子氏の脚本「お父さんと伊藤さん」は身近な話ながら、骨太の骨格を持つ傑作だ。シナリオ誌の表紙には年齢は少し異なるもののいずれも中高年の二人の男にはさまれた若い女性の写真が掲載されている。男はリリー・フランキーと藤竜也で、女は上野樹里である。(2017/03/22)


政治
共謀罪(テロ等準備罪)とスパイ奨励 &司法取引
  ネットで赤旗を読んで知ったのだが、今、準備されている共謀罪(テロ等準備罪)にスパイ奨励条文が盛り込まれたという。戦前の治安維持法で多用された思想弾圧の切り札だというのだ。これは看過できないと思えるので、以下に少し引用したい。「明らかになった共謀罪法案では「実行に着手する前に自首した者は、その刑を軽減し、又は免除する」という自首減免規定があります。戦前の弾圧法規である治安維持法も第6条に「罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減軽又ハ免除ス」としていました。この規定を利用して、多くのスパイが日本共産党に潜入し、スパイの密告と手引きで多くの活動家が逮捕されました。」(赤旗 3月19日)(2017/03/20)


政治
ヨーロッパ人と安倍首相  日欧に共通することは政治の私物化に対する市民の憤り
安倍首相が19日、ヨーロッパに向けて旅立った。訪問先はドイツ、フランス、ベルギー、イタリアの4か国。今、欧州連合は経済だけでなく、統治の面でも危機に直面している。この危機が顕在化したのは昨年、英国が欧州連合離脱を決めた時だった。この時、マスメディアの報道では概ねイスラム系移民の流入に対する危機感から、英国が欧州連合離脱を決めた、という論調が伝えられた。さらに、フランスなど大陸諸国でも反ムスリム移民という観点から極右政党の伸長が報じられてきた。欧州各地の極右政党はナショナリズムを掲げるという点で安倍首相に近い。だから一見、安倍首相は欧州の現在のトレンドと同調しているように見る人もいるかもしれない。しかし、それは一面の見方ではないか、と私は思う。(2017/03/20)


みる・よむ・きく
詩人ランボーに魅せられた個性派映画監督の新作 “La DorMeuse Duval” (河で眠る人) マニュエル・サンチェス監督にインタビュー Interview : Manuel Sanchez (réalisateur )
フランスというとパリやマルセイユ、リヨンあたりがすぐに頭に浮かぶと思いますが、ベルギーとの国境地域に広がるアルデンヌ地方も素晴らしいところです。自然が残り、白鳥や鴨が浮かぶ美しいムーズ河が流れています。詩人ランボーの故郷もこの地域です。アルデンヌ地方に長年住み着いて活動しているフランス人の映画監督の夫婦がいます。マニュエル・サンチェス(Manuel Sanchez)監督とシナリオライターのミュリエル・サンチェス(Muriel Sanchez)さんです。二人はランボーの詩に着想を得た新作映画“La DorMeuse Duval”(河で眠る人)を作ったばかりです。いったい、どんな映画なのでしょうか?(2017/03/19)


政治
国家戦略特区と安倍首相のブレーンたち 新浪剛史氏と竹中平蔵氏、そしてオリックス 
今治市が国家戦略特区に指定され、52年ぶりに獣医学部が新設されることになった。公募に応じたのが安倍首相の「腹心の友」加計孝太郎氏の営む加計学園だけだったことがわかった。国家戦略特区を決める「国家戦略特別区域諮問会議」の議長は安倍晋三首相その人である。「新潟市 革新的農業実践特区」には安倍首相の率いる「産業競争力会議」の民間委員だったローソンの新浪剛史 CEO(当時)に関わりのあるローソンが参入している。安倍首相に近い人が関係する企業が国家戦略特区に参入しているケースはさらにまだある。国家戦略特区に指定された兵庫県養父市である。(2017/03/18)


政治
今治市の獣医学部新設で話題になっている「国家戦略特区」とは?  中核は農業の規制撤廃か
話題になっている今治市での新たな獣医学部新設は「国家戦略特区」に指定されたことよって52年ぶりに実現した。では国家戦略特区とはいったい何だったのか。改めて振り返ってみると、その目的は官邸によれば「産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成を図るため、国家戦略特区を突破口に、あらゆる岩盤規制を打ち抜いていきます」とされる。つまり、特定の地域を規制緩和、あるいは規制撤廃のモデルにする、ということである。(2017/03/17)


政治
萩生田光一内閣官房副長官と加計学園と安倍首相夫妻 そして二人の文科省官僚OB
萩生田光一衆議院議員(自民党)はホームページにも記載していることだが(3月17日現在)その経歴に「千葉科学大学客員教授」とある。千葉科学大学と言えば岡山県に本部を持つ加計学園グループが営む大学である。理事長の加計孝太郎氏は安倍首相の親友である。安倍氏は「腹心の友」と加計氏との間を表現してきた。(2017/03/17)


政治
総理大臣には憲法尊重義務がある  国民は「臣民」ではない
 安倍首相は憲法改正運動の中心に位置する政治家の一人である。日本国憲法ではダメだ、というのが安倍首相の考え方であり、日本国憲法が基盤となった「戦後レジーム」からの脱却を政治の目標としてきた。しかし、いかに政治家としての信念があろうと、日本国憲法のもとで首相になっていることに変わりはない。日本国憲法は法律よりも上に位置する最高法規である。そして憲法99条はこう述べている。(2017/03/17)


米国
4月に米副大統領マイク・ペンス氏来日 オバマ後のアジア政策のゆくへ  U.S. Vice President Mike Pence will come to Japan next month
来月、米副大統領のマイク・ペンス氏が来日する予定だ。アジアへの旅の一環でインドネシアにも赴くという。米紙の報道では欧州からアジアに重心を移したオバマ大統領時代から、トランプ政権になってどう変わるのかがうかがえる機会になりそうだ、という。(2017/03/15)


コラム
ワイマール憲法とナチス党の憲法観を両論併記するか?
近年、新聞や放送局では両論併記というものが盛んになっています。これは「中立性」を意識したものではないか、と考えられます。しかし、中立性とはいったい何でしょうか。たとえてみたいと思います。唐突ながら1932年のドイツだったとここでは仮定します。(2017/03/15)


政治
文科省官僚が退官後、加計学園の理事になっていた。一人は第二次安倍内閣の内閣官房参与となる
3月8日の国会答弁。衆院・文部科学委員会 。民進党の福島伸享氏の質問で文科省の官僚2人が退官後、加計学園の理事になっていたことがわかった。(2017/03/15)


みる・よむ・きく
ギュンター・グラス作 「ブリキの太鼓」
大阪の塚本幼稚園の児童が軍艦マーチを奏でている映像を見た。若い女性の先生が溌剌と指揮していた。ドラムを叩いている子供が前の方に立っていた。それを見ていると「ブリキの太鼓」という小説が思い出された。作者はドイツ人のギュンター・グラスだ。第二次大戦前夜のポーランドの港町ダンツィヒがナチズムに染まっていく時代をブリキの太鼓を叩く超能力使いの少年を主人公に描いた物語である。「ブリキの太鼓」は1959年に世に出た。同年、日本人として最初にグラスと対談し、記事を日本の文芸誌に寄稿した岩淵達治氏によると、この小説はドイツで戦後「最初の」小説、という風に受け取られたと言う。(2017/03/14)


政治
連戦連勝を支えた首相のメディア対策チーム  この危機を乗り切ったら現代史に名を残すだろう 
安倍首相のメディア対策チームは世界的に見ても最も成功したエキスパート集団かもしれない。2012年12月に安倍政権が発足して以来、アベノミクスを大々的に打ち上げ、好景気を演出し、アメリカのノーベル賞経済学者らの支持も取り付けて大々的にメディアでアピールした。2011年の東日本大震災と福島原発事故の痛手でしゅんとしていた日本人にとっては久々に打ちあがった花火のように見えた。(2017/03/11)


社会
仏「50歳の女優のトンネル」(l’AAFA-Tunnel de la comédienne de 50 ans)が家族・児童・女性の権利担当大臣主催の男女平等推進コンテストに参加 インターネット投票部門で最高賞
50歳以上の女優にもっと出演の機会を!とパリの俳優たちが自ら立ち上がった社会運動「50歳の女優のトンネル」(l’AAFA-Tunnel de la comédienne de 50 ans)について以前、リーダーである映画女優、マリーナ・トメ(Marina Tomé )さんのインタビューを掲載しました。50歳から65歳までの女優が仕事を干され、あるいは仕事にありついたとしても簡単な型にはまった仕事が中心、ということを是正するために女優たちが自ら立ち上がったのです。その時、トメさんは家族・児童・女性の権利担当大臣に活動を知ってもらうことで、この問題をより多くの人に知ってもらい、是正するための動きを加速したいと言っていました。(2017/03/10)


コラム
「生きる」と偽善 
 昨年11月にTBSのドキュメンタリー番組の草分けだった吉永春子氏が亡くなった。85歳だった。私は30代のほぼ10年間を吉永氏にテレビ番組のプロデュースをしていただいたので、葬式に出かけることになった。生前は厳しい人であったので、亡くなったと知っていてもお棺の中からむくっと起きだして何か怒り始められるのではないか・・・と電車で向かいながら少し怖かった。吉永さんは毎日、夕方5時頃になると会社で企画会議を始めるのだが、そのためには毎日何か新しい企画を提出するか、前に提案したものの進展状況を説明しなくてはならなかった。企画を通すのは難しかった。(2017/03/10)


みる・よむ・きく
河合弘之監督 「日本と再生 光と風のギガワット作戦」
原子力産業の構造的な問題をドキュメンタリー映画「日本と原発」で描いた弁護士の河合弘之氏が再びメガホンを取った。その新作が現在、上映中の「日本と再生 光と風のギガワット作戦」だ。今回は風力や太陽光、地熱など自然のエネルギーを活用した新しいエネルギーに切り替えている自治体をドイツ、デンマーク、米国、中国、中東、日本など様々な場所に河合氏自ら足を運んで見つめていく。そして、環境エネルギーに詳しい飯田哲也氏が河合氏に同行している。テンポは非常によい。(2017/03/08)


コラム
フランス文学界を風刺するミステリ「良い作家とは死んだ作家だ」(ギョーム・シェレル作) "UN BON ÉCRIVAIN EST UN ÉCRIVAIN MORT" Guillaume Chérel
「良い作家とは死んだ作家だ」これは今、フランス文学界でちょっとした話題になっている小説である。原題は”UN BON ECRIVAIN EST UN ECRIVAIN MORT”で作家はギョーム・シェレル(Guillaume Cherel )。昨年売り出して、すでに1万5千部を売ったというのだから、フランスではヒット作と言ってよいだろう。作品はジャンルとしてはミステリだけど、向こうでは”パスティーシュ”とも言っているようだ。この作品が話題になっているのはフランスの流行作家たち10人をモデルにしたパロディ作品になっていて、彼らがある僧院で行われる文学討論(「文学と近代性」とか・・・まぁ、立派なテーマである)のために召集をかけられて、殺されていく物語であるからのようだ。(2017/03/07)


コラム
新聞社は識者を集めた紙面審議会などより、自社の記者同志で首相との会食や記者クラブ報道の是非を論じるべきではないか
ニュースポストセブンの記事「安倍首相と記者クラブ 『赤坂飯店の夜』全真相」によると、やはりあの晩、安倍首相から森友学園の問題に関する話があった。2月27日の夜、安倍首相が赤坂飯店に内閣記者会に所属するマスメディアの記者たち(キャップら)を集めて、中華料理の懇親会を開いていた件である。記事によると、大手新聞政治部の記者はこう説明したそうだ。「キャップの話では、最初はもっぱら森友学園問題の釈明。総理は疲れた様子で『カネのやり取りとかやましいことは全くない』と内容は国会答弁の繰り返し。・・・」(2017/03/07)


政治
連戦連勝の自民党にとって難しい時期 安倍政権続投のリスク
連日、森友学園を巡る疑惑で国会での質問が首相に集中し、求心力が低下している安倍政権。安倍総裁を抱える自民党にとっても2012年以来の正念場だろう。疑惑が晴れ、次期選挙でも安倍総裁で連戦連勝を続けることに賭けるか、あるいは再悪の場合、2009年の再来が起き、野党に大敗して少数政党に再び甘んじるか。腰を据えて安倍首相と運命を共にするか、どうか。(2017/03/01)


文化
音楽にかける青春  富士山の麓でのコンサート   ルドミラ・パヴロヴァー(バイオリン奏者) Ludmila Pavlová ,violinist
2年前にインタビューしたチェコの若いバイオリニスト、ルドミラ・パヴロヴァーさんは来日公演を希望していましたが、このたび、願いがかなってとうとう実現しました。静岡県で10回のコンサートを行うためです。前回のインタビューでも少し触れましたが、コンビを組んでいるピアニストのスタニスラフ・ガーリン氏、そしてチェロ奏者のペトゥル・マリスク氏と3人でトリオを組んでの来日公演でした。オールビス三重奏団(Orbis Trio)という名前です。(2017/02/28)


コラム
マスメディアは自社の幹部が中華料理屋で首相と何をやっていたのか、まずそれを書くことから
昨日、IWJやその他多くの市井の人々の情報発信によって首相が赤坂にある中華レストランでマスメディアの幹部たちと夕食会を行ったことが分かっています。今、首相は国会でその疑惑が追及されている通り、大阪の森友学園が開校する予定の国粋主義思想を基礎に教える小学校に、安倍首相が何らかの関与をしたのではないか、と疑いがもたれています。その真実は国会の場での国会議員による追求だけでなく、ジャーナリズムによって明らかにされていくべき性質のものでもあります。ところが当該、「第四の権力」とも言われるジャーナリズム企業の幹部の人たちがこの時期、首相と夕食をともにする、というのはどのような理由なのでしょうか。(2017/02/28)


みる・よむ・きく
加藤周一著 「日本文学史序説」
加藤周一について筆者が初めて知ったのは高校時代に国語の教師から加藤の代表作の1つである評論「雑種文化」について聞いたことでした。「雑種文化」の骨子は〜高校時代に読んだ時の記憶によりますが〜日本文化にはその起源より様々な多様な要素が詰め込まれているということでした。もともと無文字社会だった日本人が中国の文字を導入して書くことを始めた、という歴史の中に日本文学が日本語と中国語との間で長い歴史の中でその関係の中で物語を紡いできたことに他なりません。このことは事実であり、現在の中国共産党政権の良しあしとは無縁のことです。現在、英語が学校により初期から組み込まれようとしていますが、これが何をもたらすのか、そのヒントも日本の歴史の中にあるのではないでしょうか。(2017/02/26)


文化
大富豪に対する失業家族の闘いを描いた「メルシー・パトロン!」がセザール賞(最優秀ドキュメンタリー映画賞)を受賞 フランソワ・リュファン監督
フランスでセザール賞の発表があり、最優秀ドキュメンタリー賞にフランソワ・リュファン監督の「メルシー・パトロン!」が選ばれた。この映画は報道によれば50万人の観客を動員した異例のヒット作となった。だが、それだけでなく、大富豪と闘う失業した労働者の家族のために監督自ら出演して知恵を貸し、ともに闘う映画として、フランス人に勇気を与えた。立ち上がれば政治は変えられる、という思いを抱かせ、2016年は1968年以来の政治の熱い季節となった。(2017/02/25)


文化
「闇の国々」はこうして生まれた ブノワ・ペータース(漫画脚本家) Sur « Les Cités obscures » et la bande dessinée franco-belge Benoît Peeters
谷口ジローと親交が厚かったフランスの漫画脚本家・作家のブノワ・ペータースさん。ペータースさんが作画家のフランソワ・スクイテンさんとのコラボレーションで生み出したバンドデシネ(BD、漫画)「闇の国々」は1982年以来、13冊が出版され、谷口ジローも一目置いていたという作品です。欧州のバンドデシネ(漫画)の歴史はこの作品なしにしては語れないほど大きな影響を与え、今日に至っても国境を越えて漫画家たちにインスピレーションを与え続けています。今回、ブノワ・ペータースさんに「闇の国々」が生まれた経緯や作品が生まれた背景にあるベルギーの漫画文化についてお聞きしました。(2017/02/25)


文化
「谷口ジローの思い出」ブノワ・ペータース  "Souvenir de Jirô Taniguchi " Benoît Peeters
先日亡くなった漫画家の谷口ジロー氏を悼む人は日本だけでなく世界にたくさんいます。日本でも翻訳出版されているフランス=ベルギー漫画の傑作「闇の国々」シリーズの脚本を書いているブノワ・ペータース(Benoit Peeters)さんもその一人です。フランスで出ている谷口ジローの追悼記事の多くにペータースさんの話が出ています。実はペータースさんは谷口ジローと、ともに漫画の世界の作家として、長年、非常に深い交友を重ねてきた人でした。そんなペータースさんに谷口さんとの思い出をおうかがいしました。(2017/02/24)


コラム
書店が町から消えて  
 私の住む町から書店が一軒もなくなって何年になるだろう。気がつくと隣の駅前からも書店が消え去った。新刊書店だけじゃなくて、古書店も、レコード店も、レンタルビデオ屋もなくなった。今あるのはチェーンの食べ物屋とスーパーマーケット、理髪店、酒屋、スポーツジム、歯科医などである。文化的なソフトを扱う店がなくなった、ということはそうしたものに庶民がお金をかけられなくなっていることを意味するのだろう。そのことと、インターネットの興隆やスマートフォンの普及は符合すると思う。一人一人が使う通信費代がもしなかったとしたら、本やレコードを買っていた金額にほぼなるのではなかろうか。その一方、書店や古書店やレンタルビデオ店などは急行が止まる鉄道の分岐点の駅に逆に集中している。(2017/02/24)


欧州
政治家の腐敗に反対するパリの市民集会  金融企業のロビイ活動に便宜を図っていた政治家  利益相反の問題へ  ソフィー・ティシエ 放送ジャーナリスト (Sophie Tissier , Journalist )
フランスで政治腐敗を追求する動きが急速に活発化しています。韓国と同じく、フランス各地でも政治に絶望していた市民が、政治家たちの腐敗を許すまじ、と集結して政治文化の刷新を求めています。その運動に参加している放送ジャーナリストのソフィー・ティシエさんにお聞きしました。「これは政治の腐敗に反対する市民の運動です。今、次の集会に向けて動いているんですよ。これは大きな1ページとなりました。というのもこの間の日曜日の反政治腐敗の集会はフランス全国40か所で行われたのです。パリでは3000人が共和国広場に集まりました。次の終末、日曜日も続ける予定です。」(2017/02/23)


政治
報道機関もテロ等準備罪(共謀罪)の対象となりえる 報道を萎縮させる拷問と自白のセット = 改憲案では「拷問の絶対禁止」が欠落
国会答弁で法務大臣がテロ等準備罪(共謀罪)に関して一般市民も対象となりうると説明したことは記憶に新しいところです。市民組織であってもいつでもテロを行いうるから、テロ組織になりえるから、という判断でした。ということは、つまりは労働組合や政治活動をしている市民組織だけでなく、報道機関も対象になりえます。戦前・戦時中に政府に抵抗する者を一網打尽にした治安維持法は今回のテロ等準備罪がモデルにしている法律と言えると思います。その実例は戦前の治安維持法の歴史の1つ、横浜事件のケースを見れば明らかです。(2017/02/23)


欧州
政治家の腐敗に反対するパリの市民集会 新しい政治文化への道  ”Rassemblement contre la corruption des élus” 
2月19日にパリの共和国広場で行われた政治腐敗に対する集会集会は多くの市民が集まり、立錐の余地もないほどだったようです。この共和国広場は四方に大きな道路が通っていて交通の要所です。そのため、市内のデモ行進のあとに、ここに集まって集会を開くことがあります。公共の広場は市民の言論の自由や集会の自由にとって大きな意味を持った場所です。この日、シンガーソングライターのオリビエ・エベール(Olivier Hebert )さんも参加しました。オリビエ・エベール「僕が思うに、この集会は始まりということだ。人々が政治を倫理的なものに改めるために、政治家の行動や規則を確立しようとしているんだ」(2017/02/22)


政治
森友学園・籠池泰典理事長の参考人招致を要求 共産・宮本岳志議員 
今、疑惑で話題になっている大阪市内の森友学園への国有地払い下げ問題で、共産党の宮本岳志議員が衆院財務金融委員会で財務省の理財局長に質問を行い、事の経緯をただしています。< 宮本氏は、「国民の財産である国有地を、ただただ値引きして売ってやったということだ」と批判し、事実の解明のため籠池理事長を参考人として招致することを要求。御法川信英委員長は「理事会で協議する」と答えました。>(赤旗)(2017/02/22)


文化
エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロと大阪、そして春 パトリス・マニグリエ(哲学者)”Eduardo Viveiros de Castro, Osaka and Sakura ”Patrice Maniglier
パリ大学ナンテール校で哲学の教鞭をとる哲学者、パトリス・マニグリエ准教授が来日します。大阪でエドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ(Eduardo Batalha Viveiros de Castro)の人類学に関するシンポジウムが行われるのです。「クロード・レヴィ=ストロースは『人類学は人類全体規模における人間主義である』と言った。あるいは、こうも言い替えられよう、『地球規模における』と。哲学も世界中に広がっている。そういうわけで、エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロによって提唱された(新しい)人類学により、地球上の様々な場所で人類学の新しい方向づけが試されるのだ、と言っても決して言い過ぎではないであろう。」(2017/02/21)


欧州
政治家の腐敗に反対するパリの市民集会「腐敗政治家を黙認する有権者は共犯だ」”Rassemblement contre la corruption des élus”  
昨日19日、パリの共和国広場で政治家の腐敗に反対する市民集会が開かれました。参加したシンガーソングライターのオリビエ・エベールさんの写真です。政治家は市民が腐敗を黙認する限り、支持されていると勘違いするのではないでしょうか。エベールさんが広場で撮影した写真の中に、ファシズムを風刺した英国の作家ジョージ・オーウェルの言葉が書かれたものがありました。(2017/02/20)


コラム
画家とグローバリゼーション
グローバル資本主義のもと、先進工業国の様々なメーカーは工場を労賃の安い新興国や発展途上国に移してきた。日本でもフランスでもアメリカでも工場はメキシコや中国や東欧やアフリカ諸国に移転されていくという大きな流れが出来てきた。では、この流れは絵画という「商品」を描いている画家の世界ではどうなんだろうか。少なくとも自動車産業や家電産業や服飾産業などに比べると、そのような大きな流れはないように見える。(2017/02/20)


文化
ネット時代の現代に氾濫する不安と絵画 インタビュー: ブラン・ルノー(画家) Brann Renaud ( peintre)
パリで活躍している画家のブラン・ルノー氏は一見、何気ない肖像画や風景画に見えて、実はその中に彼の独特の想像を加えて、絵画的光景を再構築しています。その不可解な変化に見る人は注目することになりますが、簡単に答えは出てきません。むしろ、答えを拒み続けるようでもあります。インターネット時代には検索すれば簡単に答えの言葉が10も100も出てきますが、彼の絵画はそうした情報の回路とは異なる回路へ私たちを誘っているかのようです。そんな画家のルノーさんにインタビューしました。(2017/02/20)


社会
無料で日本の法律や憲法を検索する方法 「総務省法令データ提供システム」 様々な特別法もこれでOK
「六法全書」は民間でも出版されていますが、法学部の学生や専門家以外の人には価格的にハードルが高い値段です。紙の全書にはその値段に見合った値打ちがありますが、家庭に持っていない場合は総務省のデータベースが無料で利用できます。1ヶ月前までに施行された法律は法改正された条文の修正を加えた上で、アップデートされて入力されています。憲法も法律もその他の様々な法令もデータベースにあります。以下のリンクがそうです。(2017/02/20)


米国
アメリカの警察による殺人  ジェローム・カラベル(カリフォルニア大学バークレイ校 名誉教授) “Police Killings Surpass the Worst Years of Lynching, Capital Punishment, and a Movement Responds ” By Jerome Karabel  
 2008年の大統領選で黒人系のオバマ大統領の勝利が告げられた時、アメリカの黒人社会には感動と涙、そして一種の陶酔(ユーフォリア)が広がっていくのを見ました。しかし、それから7年後の2015年、アメリカでは黒人が警察に殺される事件が続き、怒った黒人たちと警察隊の激しい衝突が起きたのは記憶に新しいことです。以下の論考はカリフォルニア大学バークレイ校のジェローム・カラベル名誉教授(社会学)によるもので、2015年に発表されました。アメリカの警察によって殺された人々の分析です。(2017/02/19)


みる・よむ・きく
本山美彦著 「売られ続ける日本、買い漁るアメリカ」  
本山美彦著 「売られ続ける日本、買い漁るアメリカ」を初めて手にしたのは2007年の頃で、本書が出版されてまだ間がない頃だった。副題は「米国の対日改造プログラムと消える未来」。タイトルはセンセーショナルなものだ。岩波でも、成文堂でもなく、ビジネス社という出版社から出ている。バブル経済が崩壊した1990年代以後、長銀が消滅して外資に売却されたり、巨額の負債を負った日本企業がハゲタカファンドに買収されたり、規制緩和されたり、郵政が民営化されたりと様々な変化が起きた。その後、非正規雇用が当たり前になり、全労働者の40%にまで広がっている。(2017/02/19)


欧州
政治家の腐敗に反対する市民集会  法令順守を求めるパリ市民  ”Rassemblement contre la corruption des élus”
2月19日(日)、今日、パリの共和国広場では市民集会が開かれます。”Rassemblement contre la corruption des elus”(選挙で選ばれた人々の腐敗に反対する市民集会)です。午後3時から7時までの予定です。これについて教えてくださった歌手のオリビエ・エベールさんに尋ねました。(2017/02/19)


米国
「大いなる幻影:流動性、不平等とアメリカンドリームについて」ジェローム・カラベル(カリフォルニア大学バークレイ校 名誉教授)”Grand Illusion: Mobility, Inequality, and the American Dream” By Jerome Karabel
カリフォルニア大学バークレイ校で社会学の教鞭をとってきたジェローム・カラべル名誉教授はハフィントンポストなど多くのメディアに論考を書いてきました。最近、とくに注目されるのがビル・クリントン大統領時代以後の民主党の変質です。民主党がかつての労働者の政党から富裕層にフレンドリーな政党に変質してしまったというのです。今回、ここにカラべル教授の許可を得て訳出した一文はアメリカの二大政党に対する歯に衣着せぬ批判で2012年の大統領選の時に書かれたものです。しかし、今日もまったく内容は古びていないと思われます。(村上良太)(2017/02/18)


米国
フリン補佐官を辞職させたローガン法 昨年11月の安倍ートランプ会談の場合は? Logan Act and Abe -Trump meeting in Nov. 2016
トランプ政権の船出の最初の大きなつまづきとなったマイケル・フリン安全補保障補佐官の辞任問題。アメリカなどのメディアで問題となった理由はローガン法違反とみなされるからだと解説されています。このローガン法というのは条文を読むと、私人が政府の許可なく外国政府やその代理人などと外交交渉的なことをしてはいけないとする趣旨の法律です。(2017/02/17)


コラム
マスメディアは自社の幹部が寿司屋で首相と何をやっているのか、まずそれを書くことから
主要な大新聞には政治部や経済部以外に社会部があり、社会で起きている様々な事象を追いかけている。メディアの戦後史を取材しているチームもある。メディアの取材班に限らず、社会部と名の付くチームが仮にもあるならば、読者に伝えるべきは自社の幹部が寿司屋や高級レストランで首相と何を話し合ってきたのか、ということではなかろうか。それとも寿司屋の会食では極秘の外交情報や防衛機密が話し合われるから、特定秘密保護法に抵触するとでも言うのだろうか。(2017/02/17)


欧州
「欧州議会がカナダとの自由貿易協定 CETAを締結 〜問題の1つが内分泌攪乱化学物質の規制緩和〜」CETA will deregulate endocrine disrupting chemicals in EU ニーナ・ホラント  Nina Holland ( CEO)
欧州連合本部の政策決定機関にどのように産業界のロビイストが浸透して密かに大きな影響力を行使しているかをウォッチしているNGO「Corporate Europe Observatory」についてこれまで3回に渡って紹介してきました。今回は農業関連ビジネスと食品関連産業のロビイ活動をウォッチしているニーナ・ホラントさん(Nina Holland)さんにカナダとの自由貿易協定CETAが批准され発効した場合のリスクなどについてお聞きしました。(2017/02/17)


社会
Appleを騙るメールに注意 あなたの個人情報やクレジットカード情報を奪う「フィッシング」犯罪の可能性があります Alert ! Never fill out the form of Phishing site which pretends to be Apple
ますます生活がインターネットに依存する割合が多くなっている昨今、金銭や個人情報を騙して奪うインターネット犯罪も増えています。フィッシングと呼ばれる犯罪はその代表的な手口です。巧妙に個人や企業になりすまし、それらしいサイトを作って偽メールで人をそこに誘導し、個人情報やクレジットカード情報、様々な暗証番号を記入させる手口です。最近報告されているのがAppleを騙る偽メールです。以下はフィッシング対策協議会が最近、発信した警告です。(村上良太)(2017/02/16)


欧州
欧州議会がカナダとの自由貿易協定 CETAを承認 しかしこれから欧州連合加盟国・地域の承認が必要 CETA was approved in EU parliament
トランプ大統領が就任早々、離脱を表明したのが環太平洋12か国の自由貿易協定(TPP)だったが、一方、欧州議会は15日、カナダとの自由貿易協定CETAの採決を行い408−254で協定を承認することになった。しかし、この協定には国が企業に訴えられる可能性など、様々な難点が指摘されており、これらを加盟国が批准するにはまだ何年かかかるという。BBCなどを参照した。投票はフランスのストラスブールで行われたが、外には反対の市民が多数集まったようだ。(2017/02/15)


欧州
欧州連合でのモンサントのロビイ活動についてCEOのニーナ・ホラント氏にインタビュー interview : Nina Holland "Activities of lobbyists for Monsanto in EU"
すでに2回に渡ってCorporate Europe Observatory(CEO = EUの政策の民主化を求め、企業ロビーを監視するのブリュッセルの研究・キャンペーンNGO) の金融担当者に欧州連合本部での金融ロビイ活動の実態についてインタビューを行いました。CEOは金融産業に限らず、欧州連合の政策に多大な影響を与えている幅広い分野の産業ロビイ活動をウォッチしています。今回はアグリビジネスに関してウォッチをしているニーナ・ホラント(Nina Holland)さんにお聞きします。近年、欧州連合での遺伝子組み換え作物の承認・非承認を巡るニュースが頻繁に伝えられています。その背後にも産業界のロビイ活動があるのでしょうか、ホラントさんにお聞きしました。(2017/02/15)


コラム
ニューヨークタイムズを10倍楽しく読む方法  その2 
ニューヨークタイムズを楽しむためにはそこで出てくる単語を理解しなくてはならないですが、そうした英単語の中には学生時代に出会うことがなかった単語もあると思います。そうした単語を毎回、辞書で引くのもよいのですが、学生のように時間のある人は一定の時間に集中的なトレーニングを積むこともできると思います。(村上良太)(2017/02/14)


文化
たくましく、笑える主人公ピュ―ティアの生みの親 エルサ・ブランツさん(漫画家) Interview : Elsa Brants (dessinatrice ”Save me Pythie” )     
日本とフランスをつなぐものに、かつては浮世絵がありました。印象画の画家たちに霊感を与えたのは北斎や写楽、広重などの浮世絵でした。そして今日、日本の漫画がフランスの漫画家に新たな霊感を与えています。またフランスの優れたBD(漫画)も日本に紹介されるようになりました。今日紹介するフランスの人気漫画家、エルサ・ブランツさんも日本のアニメ―ションを見て育ったそうです。「 セイブ・ミー・ピュ―ティア(Save me Pythie) 」という漫画シリーズがヒットしており、日本でも一部紹介されました。ブランツさんにフランスの漫画事情やデビューまでの経緯などをお聞きしました。(2017/02/14)


文化
漫画家、谷口ジローの死を惜しむフランス  フランスの漫画家・イラストレーターからのメッセージ Message from France showing gratitude to cartoonist, Jiro taniguchi who passed away last week
漫画家、谷口ジローの逝去は日本だけでなく、それ以上にフランスで大きな悲しみを呼んでいます。昨日、その一端を記事で紹介しました。今日はフランスの漫画家から追悼のメッセージが寄せられましたので紹介したいと思います。寄せてくださったのはイラストレーターのフランソワ・ラヴァール(Francois Ravard)さんです。(2017/02/13)


コラム
福嶌教隆著 「気持ちが伝わるスペイン語 リアルフレーズBOOK」  スペイン語ができればアメリカのニュースも読める
研究者から出ている福嶌教隆著 「気持ちが伝わるスペイン語 リアルフレーズBOOK」(研究社)はスペイン語文法の入門編を終えた人には手にしやすい一冊です。コミュニケーションで実際にそのまま使えるフレーズが420も詰め込まれています。たとえば次のようなフレーズです。" Es un secreto a voces " (公然の秘密だよ)(2017/02/12)


文化
漫画家、谷口ジローの死を惜しむフランス でもその代表作は「遥かな町へ」と認識されていた Le dessinateur ,Jiro Taniguchi est décédé à l'âge de 69 ans. 
フランスでも今、漫画家、谷口ジローの死を悼む報道が一斉にメディアに出回っている。しかし、日本で代表作として挙げられている「孤独のグルメ」や「『坊ちゃん』の時代」とは違って、代表的作品としては”Quartier Lointain"が一斉に報じられていた。これは「遥かな町へ」という作品になる。そして、谷口ジローは当地フランスほどには日本で偉大な作家の扱いを受けていない、と指摘している報道もある。(2017/02/12)


文化
家族の肖像 フランス その5 夫はこう考えた・・・  Family portrait in France #5  Marcel Boyer "I think the best is ecologic socialism"
パリ郊外、エクアン在住のレジャーヌ・ボワイエ(Rejane Boyer) さんの家族の話を4回に分けて聞いてきました。レジャーヌさんの祖父は社会主義、父は共産主義で、レジャーヌさん自身は共産主義から社会主義に移行して今日に至っています。では同じく社会党支持者だという夫のマルセル(Marcel)さんはどのような家族の出身なのでしょうか?そして、今日、フランス社会党の凋落をどう見ているのでしょうか?(2017/02/11)


コラム
テロ等準備罪(共謀罪)の可能性
いわゆる共謀罪の本質は何といっても組織を取り締まることが本質であることだ。組織で犯罪行為が話し合われた、というだけであとは何らかの予備行為があれば犯罪の構成要件を満たすものである。この予備行為がどこまで犯罪と密接した行為を要件とするのか未だ明確ではないらしい。しかし、考えられることは仮に100人の組織があったとして、そこで共謀があったとすれば、その中の1人が予備行為をしたら、100人全員が逮捕可能になるのではないか、ということである。そして、その予備行為なるものがコンビニのATMで預金を引き出しただけでも予備になるとすれば恐ろしいことである。(村上良太)(2017/02/11)


国際
日本再建イニシアティブの船橋洋一理事長が安倍・トランプ会談を前にNYTに寄稿  安倍政権の安定ぶりを印象付ける評論
 ニューヨークタイムズ国際版の2月9日版に船橋洋一氏の意見が掲載されていました。通常はオピニオンのページにある内容ですが、今回は異例の一面トップとオピニオンのページにまたがっています。見出しは" In Japan, no angry populism "(日本には怒りに満ちたポピュリズムはない)というものです。論旨は何か、というと、Brexitの英国やトランプ大統領を生んだアメリカのような怒れる日本人の大衆は不在だ、と言っているのです。その証拠に安倍政権は常に50%の支持率を続けており、安倍首相を脅かすライバル政治家も不在だ、と。(2017/02/11)


みる・よむ・きく
里中哲彦著 「英文法の魅力〜日本人の知っておきたい105のコツ」
里中哲彦著 「英文法の魅力〜日本人の知っておきたい105のコツ」は中公新書から出ている一冊です。里中氏は著者の紹介欄を読むと、河合塾の講師や翻訳の仕事などをしてきた人です。で、この105のコツを1つ1つ読んでいくと、とても面白い。どう考えてよいのか、もやもやする表現というのが常にあるものですが、それを文法的にどう考えればよいのかを1つ1つ説明しているのです。(2017/02/11)


みる・よむ・きく
ほとんど本邦初公開の現代戯曲7作に7人の演出家と俳優たちが挑む 「海外戯曲リーディング」(調布市せんがわ劇場) 
戯曲を舞台で上演する形式とは違って戯曲を俳優たちが観客を前にして読むのがドラマリーディングです。リーディングと言っても単なる朗読と違って第一線の演出家と俳優たちが舞台を作るだけに演劇の醍醐味はたっぷり味わえます。そしてこれは少ない予算で世界の優れた戯曲を紹介するには最も優れた方法でもあるのです。今回調布市せんがわ劇場で上演される今回の「海外戯曲リーディング」は世界7か国からほとんどが本邦未公開の作品7本をセレクトしたものです。それらに取り組む演出家と俳優たちも個性に富む実力派ぞろいです。上演は2月9日(木)から19日(日)まで。(2017/02/10)


欧州
英Brexit国民投票の裏に英政府=シティ金融勢力の欧州連合「改革」の野望があった  Corporate Europe Observatory  Kenneth Haar (ケネス・ハー) #2
将来、欧州連合は崩壊するのか。危機のはずみとなったのが昨年英国で行われたBrexit(英国の欧州連合離脱)国民投票でした。欧州連合本部に食い込む英国シティの金融ロビイストの活動を8年以上に渡ってウォッチしてきたCorporate Europe ObservatoryのKenneth Haar(ケネス・ハー)氏は驚くべき示唆を私たちに与えてくれました。キャメロン前首相が言い出した国民投票は欧州連合を改革するための交渉材料だったのではないか、という可能性です。キャメロン首相は英国の希望通りに欧州連合を改革しないと、英国は欧州連合から離脱する可能性があると言って、欧州連合から大きな政治的譲歩を引き出していたということなのです。(村上良太)(2017/02/09)


文化
パレスチナの占領下を生きるための演劇 俳優、ムハンマド・ティティ さんに聞く Mohammed Titi (actor , "Yes Theatre " in Hebron)  "Theater changed a lot of my personality, I became more optimistic." 
パレスチナのヨルダン川西岸地区の最大の都市、ヘブロン。人口21万人のこの町に2008年、1つの劇団が生まれました。名前は「Yes Theatre」(イエスシアター)。劇場は手作りで、住民の大半は演劇体験がなかったそうです。ヘブロンにはユダヤ教徒が今も入植しており、その警備のためイスラエル軍の兵士が銃を手に住民の監視と検問を行っています。こうした緊張とストレスにさらされた状況に生きる少年少女に自己表現の道を拓き、演劇を通して状況を客観的に見つめ、自己の生き方を深く考えさせる演劇活動を地道に行ってきたのがイエスシアターです。その舞台は海外の演劇祭で賞を受けるなど、クオリティの高さも評価されています。(村上良太)(2017/02/08)


教育
地域の子供に無料の作文教育を 子供の教育を変えたサンフランシスコの ”826 Valencia” , One-on-one tutoring can help students make great leaps in their writing skills and confidence.
アメリカのサンフランシスコに"826 Valencia"という名前の寺子屋があります。変わった名前と思われるかもしれませんが、これは住所を名前に採用したわけです。住所がわかりやすいですね。ここではボランティアの教え手が6歳から18歳までの子供たちに放課後、無料で教育をしています。教えているのは作文だけ。子供たちにモノを書くコツを教えて、書く喜びを知ってもらおうというのです。教え子たちが書いた本も販売されています。2002年にこの826 Valenciaが設立された当初はボランティアの方が子供より多かったそうです。しかし、その後どんどん子供が集まり、今ではなんと年間の生徒数が6000人を越え、ボランティアも1700人に上るそうです。(村上良太)(2017/02/08)


欧州
ナショナリズムの台頭の真の原因は欧州連合本部にある ロビイ活動を監視するCorporate Europe Observatoryの ケネス・ハー氏 Kenneth Haar
 欧州でナショナリストが勢力を伸ばし、難民排斥の声が叫ばれている昨今、欧州の真の問題はそこにはないと説く人がいます。Corporate Europe ObservatoryというNGOのKenneth Haar(ケネス・ハー)氏です。ハー氏が所属するこの組織の拠点はブリュッセルにあります。Corporate Europe Observatoryというのは聞きなれない名前ですが、市民の利益のために活動しているNGOです。欧州連合本部が企業のロビイ活動に侵食されて、市民の利益よりも大企業の利益のためにルール作りがなされている、というのです。(村上良太)(2017/02/07)


みる・よむ・きく
池上嘉彦著 「<英文法>を考える」 
最近、英文法づいています。夏に高校生向けの英文法の参考書を10冊ぐらい、ブックオフで買い込んでざっと読んでみまして、10冊も読んでいたら意外と項目は限られているな〜と思ったんです。だんだんまたか・・・という感じですね、ネタが尽きてくるんです。でも、最近偶然手にした池上嘉彦著「<英文法>を考える」は既存の英文法の型を疑っている本で、「そうだそうだ・・」と今まで五文型などでひっかかってきた疑問点を実に鋭く追及しているではありませんか。(2017/02/05)


文化
アルザス地方の歴史ロマンシリーズの漫画作家 アンヌ・トイフさんに聞く Interview : Anne Teuf (dessinatrice , auteur de " Finnele" )
欧州でもフランスやベルギーを中心にした漫画文化圏があります。そこでは日本の漫画も広く読まれています。と同時に欧州の歴史や文化、美術を反映した物語が実にたくさん作り出されていて、日本に紹介されているのはほんの大海の一滴に過ぎません。まだまだ日本では未知の優れた作品があり、未知の作家もたくさん存在します。それらの作品群の中には日本では未だあまり知られていない欧州各地の人々のリアルな歴史や意識が刻印されたものもあります。今回、インタビューしたアンヌ・トイフ氏は長年、イラストレーターとして生きてきた女性漫画家ですが、最近、アルザス地方を舞台にした歴史ロマン「Finnele」を連作しています。(2017/02/05)


国際
トランプ大統領の「入国禁止令」を米メディアはどう伝えたか  
トランプ大統領が1月27日に出したムスリムが大勢を占める7か国に対する入国を一時禁止する大統領令、これをアメリカメディアがどう報じたか。MSNBCのキャスター,レイチェル・マドー(Rachel Maddow)はまず指定された7か国が過去に米国に対してテロ活動をした国なのか?という基本的な認識から、検証を行った。マドウはあの9・11同時多発テロのテロリスト19人の出身国をフリップで示した。(2017/02/05)


国際
米国、ビザ保持者は入国可能に 西海岸、ワシントン州の連邦裁判所判事が大統領令を覆す 国務省がそれに続く
トランプ大統領のムスリムが多数を占める7か国の市民に対する一時入国禁止令に対して2月3日金曜、国務省は入国ビザを保有している人々は入国可能である、というメッセージを出した。最初の大統領令から1週間後に当たり、その間、対象となって足止めを食った人は推定で最大6万人に上ると国務省担当官は発表したという。(2017/02/05)


国際
トランプ政権とウォール街  大統領令でオバマ時代の金融規制法ドッド・フランク法(2010年)の見直しを指示  政権の経済アドバイザーはゴールドマンサックスの元重役
ドナルド・トランプ氏は去年の大統領選の候補者時代にヒラリー・クリントン候補を金融業界から多額の資金を提供されていると批判していた。そうした批判がエリートにうんざりしていた庶民の喝采を浴びた。トランプ候補は自分は自分の金で選挙戦を戦っているがゆえに、ヒラリー・クリントン候補のように既存の業界に縛られていないと言っていたものだった。しかし、大統領になってムスリム入国禁止令に続いて出された大統領令がドッド・フランク法の見直し命令だった。(2017/02/04)


コラム
ニューヨークタイムズを10倍楽しく読む方法  毎日の小さな”投資” 村上良太
 「ニューヨークタイムズを10倍楽しく読む方法」。なんという大仰なタイトルだろう。それはともかく、ニューヨークタイムズは腐っても鯛、西側世界の新聞の中心的な位置を戦後一貫して担ってきた媒体であることは間違いない。しかし、その新聞を日本人が十分に活用できていないと思えるのが残念だ。ソーシャルメディアで時々、ニューヨークタイムズでこんな記事がある・・という情報がチラホラ出回っているけれど、僕の見るところ多くの人は直接英文の記事を読んでいない。誰かが要約したものを拡散しているだけだ。自分で記事をセレクトしたり、記事を自分で直に読んだ時のダイレクトなインパクトはそこにはないのだから(2017/02/04)


みる・よむ・きく
ラティノ 対 トランプ  ものものしい雰囲気だが軽くもある短編戦闘映画
メキシカンとトランプ大統領の「戦争」を風刺した短編映画。描かれるメキシカンたちの怒りはとてもビジュアルだ。(2017/02/03)


みる・よむ・きく
手塚治虫著 「マンガの描き方  〜似顔絵から長編まで〜 」
マンガの巨匠である手塚治虫が書き下ろした「マンガの描き方」という本を筆者が初めて手にしたのは小学校の5〜6年生の頃だった。この本には一冊の中に漫画を描く道具や起承転結を基本としたストーリーの作り方、絵を描くコツ、遠近法の基礎などの基本情報がつまっていた。そして、本書ならではの特徴は漫画家を目指す人だけでなく、親や教師などの生活者も漫画を描くことでコミュニケーションに役立てることができる、と訴えていたことだった。(2017/02/03)


国際
南シナ海での中米戦争は起こるか?
ニューヨークタイムズは通常の2倍の長さの社説「バノンが大統領か?」(President Bannon?) でトランプ政権のチーフストラテジスト(首席戦略官)のスティーブン・バノンが国家安全保障会議(NSC)の "principals' committee "(直訳すれば最も重要な委員会)のメンバーに抜擢されたことを批判した。その意味はホワイトハウスという大統領直属の人間、つまり政治の側の人間が、国家安全保障会議という政治から離れて中立の立場で安全保障を管轄するべき組織の中枢に据えられたことで、そこに否応なしに政治色が加わってしまうのではないか、という危惧である。(2017/02/03)


国際
トランプ大統領の大統領令とは?  アメリカでの報道から 「テロ対策」なら 指定国になぜ9・11の首謀者オサマ・ビン・ラディンを生んだサウジアラビアは含まれていないのか? 
 トランプ大統領令で入国を一時的に厳しく制限されている国は7か国で、イスラム教徒が多数を占める国であることから「ムスリム禁止令」とも揶揄されています。ただ、大統領令はイスラム教徒の入国禁止令ではなく、テロリストの入国を認めないための命令であり、軸は危険性であるとしています。入国を一時的に制限されている国はイラク、シリア、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメンですが、この中になぜサウジアラビアがないのか、と思う人もいるのではないでしょうか。(2017/02/01)


国際
トランプ大統領のムスリム入国禁止令に市民団体ACLUらが訴訟  <大統領令は米憲法・修正第五条と移民法に抵触している>
 アメリカの市民権擁護団体ACLU(American Civil Liverties Union)はそのホームページで他の組織とともに、7か国を対象としたいわゆるムスリム入国禁止令を大統領令として出したトランプ大統領に大使て訴訟を行ったことを発表した。原告の一人がHameed Darweesh氏でイラク人。妻と3人の子供を持つ。イラクで米軍の仕事を行っていたことで命が危なくなっているため渡米しようとしていた。もう一人の原告も米国との関係によって地元で危険が生じているとされる。(2017/02/01)


国際
トランプ大統領令 ある留学生のNY空港での体験 「デモクラシー・ナウ!」が留学生にインタビュー   Donald Trump’s executive order
イスラム教徒が多数を占める7つの国からの入国を一時止めるトランプ大統領の大統領令。これでNYの空港で不快な体験をしたスーダンからの留学生が「デモクラシー・ナウ!」で語っている。番組によると、彼女はスタンフォード大学で人類学の博士課程に在籍。大統領令の発令前はスーダンにおり、大統領令について知って大統領令が実行される前に米国に入国しようとしたものの飛行機の接続がうまくいかず、入国した時はすでに発令後だった。(2017/02/01)


コラム
フランス人の辞書  日本人も使える、よい仏仏辞書についてフランス人に問う
文法書をのぞくと、語学の習得に一番欠かせないものは何語であれ、よい辞書に他なりません。そして、辞書はただ単に必要ができた時にひく、という使い方だけでなく、小説やエッセイを普段娯楽的に読むのと同様に、辞書も読んで未知の言葉を覚える、あるいは知っていた言葉について別の意外な意味を発見する、新しい使い方を覚える・・・というそれ自体が一種の娯楽にもなりうるものであると思います。言葉について学ぶ、ということ自体が娯楽になりうるからです。辞書にはその言葉を話す人々の歴史や文化、伝統、思想、エスプリが詰まっています。(村上良太)(2017/01/31)


みる・よむ・きく
リチャード・フロリダ著 「グレート・リセット」  アメリカの都市再生論 大不況の時代の中でこそ次代への飛躍が行われてきた・・・ ”The Great Reset " written by Richard Florida
アメリカの刺激的な都市再生論である。2008年のリーマンショックで大不況に陥ったアメリカだが、過去の1930年代の大不況の時代でも、1870年代の大不況の時代でも、実はこういう時にこそ、社会を変える大きな変革が行われ、次代を作ってきた、というのだ。つまり、大不況になると人々は何とかしようともがき、ある人たちは都市を移動することによって産業の重心も変わり、都市も変わっていく・・・今回のリセットは30年代の大恐慌の時よりはるかに大きな変化となる可能性があるという。本書は7年前の2010年に書かれたから、その後、本書で萌芽を描いていた社会現象はどうなったのだろうか。(村上良太)(2017/01/30)


コラム
情報の統制と価格の統制  社会主義経済と”戦時下”の経済  そして <資本主義の危機  国家を財布代わりに利用する企業>
  1991年にソ連が崩壊し、社会主義国家群の経済運営が資本主義国家群に比べて生産性の点で大きく劣っていることがそれ以後は常識となりました。しかし、いったいどこがまずかったのでしょうか?グローバル経済の推進者である経済学者の伊藤元重氏は「入門 経済学」の中で、社会主義国家群の経済運営が資本主義国家群の経済運営に劣っていた大きな理由として価格統制を指摘しています。 1、価格という情報 伊藤教授によると、市場経済においてはモノの価格は社会の実態を反映した「情報」です。そこには需要と供給が如実に反映されていて、その均衡する点で価格が決定されるからです。だから、津々浦々各地でどれだけのモノが必要とされているか、という実態がモノの価格に反映されます。イカが不足していればイカの価格が高騰します。(村上良太)(2017/01/29)


社会
昨年フランスを揺さぶった異議申し立て運動「立ち上がる夜」と難民支援運動についてアリーヌ・パイエさんに聞く Interview : Aline Pailler "sur Nuitdebout " 
今、厳寒のパリで難民支援活動「紅茶と珈琲を難民へ」を行っている放送ジャーナリストのアリーヌ・パイエさんは、昨年、共和国広場から始まり全国に広がった「立ち上がる夜」(Nuitdebout ニュイ・ドゥブ)という、広場で行われる市民討論に毎日足を運んでいました。「立ち上がる夜」は社会階層や学歴、職業などに関せず、参加者は自由かつ公平に自分の意見を述べることができる場でした。このような広場が生まれた背景にはテレビや新聞・雑誌などに自分の声が反映されていない、社会のリアルな姿や問題がきちんと伝えられていないといった思いを多くの市民が共有していたからでした。そしてまたインターネットでも単純に賛否両論で別れるだけで、討論の機会もない・・・そんな閉塞感があったと言われます。(2017/01/28)


経済
ジャネット・イエレンFRB議長の政策金利の見通し演説  1月18日 於サンフランシスコ Janet L. Yellen ”The Goals of Monetary Policy and How We Pursue Them”
アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長が今後の政策金利の見通しについて1月18日にサンフランシスコで声明を出しました。いわゆるFF金利と呼ばれているものです。2008年のリーマンショックの前あたりは政策金利は5%前後でしたが、2008年の金融バブル崩壊以後は景気回復を目指して、0.25%という超低金利に据え置かれていました。しかし、いつまでも超低金利を続けていくこともできず、2015年12月に0.5%に上げ、以後はそのまま継続しています。昨年の秋ごろ、さらなる利上げの観測もありましたが、結果的にイエレン議長はまだ景気回復に多少の不安があるとみて、利上げを見送ったのが記憶に新しいと思います。(村上良太)(2017/01/27)


みる・よむ・きく
ノーラ・エフロン著 「首のたるみが気になるの」 (阿川佐和子訳) Nora Ephron's " I feel bad about my neck and other thoughts about being a woman " (2006)
アメリカの人気映画監督だったノーラ・エフロンが晩年に書いた「首のたるみが気になるの」が日本で翻訳されて世に出たのは2013年のことだった。エフロン氏は脚本家として「恋人たちの予感」、映画監督として「ユーガット・メール」などのラブコメと呼ばれる一連のヒット作を世に出し、アメリカの女性の映画監督の先駆けの一人となった。本書「首のたるみがきになるの」は老いについて、女性が自分の身辺のリアルな実情をため息まじりに書き綴ったもので、そこには彼女の回想も混じっている。基本姿勢としては諦観であり、老いに対して逆らうことができない、ということを認め、そうした自分をあえて隠さず書いている。(2017/01/26)


文化
家族の肖像 フランス その4  社会主義者の娘シャルロット Family portrait in France #4  Daughter of socialists, Charlotte
 パリ近郊の町に住むレジャーヌ・ボワイエ(Rejane Boyer)さんの半生とその祖父と父の人生模様の一端をこれまで見てきました。ボワイエさんの祖父は社会主義者、父は共産主義者、そしてボワイエさんは最初は父の影響で共産主義者でしたが、のちに社会主義者に転じています。今回はボワイエさんの娘、シャルロットさんについてです。現在、30代半ばのシャルロットさんはやはり社会主義者なのでしょうか?また、どのような仕事について、どのように現代生活を送っているのでしょうか?(村上良太)(2017/01/25)


みる・よむ・きく
黒田龍之助著 「ロシア語の余白」(現代書館)
この30年ほどの間に日本におけるロシア語の学習者はかなり減ったのではないでしょうか。統計を調べたわけではありませんが、冷戦終結前はロシア(ソ連)はアメリカと世界を二分するくらいの影響力を持っており、その言語を学ぶことは鉄のカーテンの向こう側の人々にとっては出世のためでもあり、無視できない言語であっただけではなく、日本でも多くの人がロシア語を勉強していました。(2017/01/24)


文化
ホームレスの人々に焦点を合わせる写真家 マルク・メルキ氏に聞く Interview : Marc Melki ,who is focusing on "SDF "
パリにはホームレスが近年増えています。フランスではSDFと略称されていますが、これは”sans domicile fixe”=「定まった住居を持たない」という言葉から来ています。こうした困難な状況の人々に焦点を当てている写真家がマルク・メルキ氏です。メルキ氏は様々なトピックを扱う写真家で、フランスのマスメディアに作品を提供しているプロの写真家です・2012年にはフランソワ・オランド政権の誕生の瞬間を撮影した一連の写真もあります。メルキさんが今のフランス社会や政治をどのように見ているのか、インタビューしました。(村上良太)(2017/01/24)


みる・よむ・きく
イマニュエル・ウォーラーステイン著 「史的システムとしての資本主義」(川北稔訳)  〜半労働者と大富豪〜
世界システム論というのは学生だった80年代に講義を多少受けた記憶があり、テキストはカール・ポランニーの「大転換」という本でした。それはそれで面白かったのですが、不勉強もあって世界システム論の全貌はよくわからないまま卒業してしまって今日に至っています。偶然、最近用事が会って吉祥寺を訪ねた時に駅前の古書店の棚にこの本「史的システムとしての資本主義」がありました。手に取って見たら、どうしても読みたくなって買ってしまいました。世界システム論の大家がウォーラーステインです。なんとなく今までもやもやしていたものがはっきりするのでしょうか。(2017/01/22)


文化
ベートーヴェンの交響曲第七番をルンバで演奏したピアニスト、ヨアキム・ホースレイ氏にインタビュー 「ハバナのベートーヴェン」はどうやって生まれたのか? Interview : Joachim Horsley ,who plays "Beethoven in Havana "
ベートーヴェンの交響曲第七番をキューバのルンバ形式で演奏しているピアニストがいます。今、世界で注目され始めているヨアキム・ホースレイ(Joachim Horsley)氏です。この演奏の驚異的なところはピアノの使い方が革命的であり、ピアノをピアノとしてだけでなく、打楽器としてピアノの鍵盤以外の胴体の部分を含めてフル活用していることにあります。いったいそのような演奏スタイルをどうやって作り出したのでしょうか?ヨアキム・ホースレイ氏の人となりは?そのあたりをお聞きしました。(2017/01/21)


文化
「イラストレーター、ルル・ピカソ (Loulou Picasso) との出会い」 日比野克彦 ( 現代美術家、東京芸術大学教授)氏に聞く Katsuhiko HIBINO " My memory of joint exhibition with Loulou Picasso in Tokyo and Paris "
 パリの鬼才として知られるイラストレーターのルル・ピカソ(Loulou Picasso) 氏に日刊ベリタで2か月前にインタビューを行いました。ルル・ピカソ氏は1970年代半ばにパリの芸術大学に入学後、すぐにイラストレーターとして世に出ることになります。それまでの画学生とは違って、画廊での発表ではなく、新聞や雑誌といったマスメディアを自らのカンバスとして確信犯的にメディアをハイジャックしたと言っています。ルル・ピカソ氏の特色はモノクロームの色彩を自在に使いこなすことにありました。この2か月前のインタビューでルル・ピカソ氏が東京で日本の個性的な芸術家である日比野克彦氏と共同で1991年に展覧会を開いたことがわかり、日比野克彦氏に個展の経緯などを今回独自にインタビューしました。(2017/01/20)


文化
批判精神に富むフランスのニューウェーブ歌手、オリビエ・エベール氏に聞く Interview : Olivier Hebert
フランスの歌手、オリビエ・エベール(Olivier Hebert)氏は前回、ベリタでも紹介しましたが、風刺漫画家のジャン=フィリップ・ミュゾー(Jean-philippe Muzo )とサルコジ大統領を風刺する歌のビデオクリップを作ったアーチストです。歌手のエベール氏は1970年代末の高校生の時にトゥールーズで「レ・フィスドジョワ」(Les Fils de Joie)というバンドを結成して見事、メジャーデビューを果たしています。フランスのニューウェーブとして注目されました。その後も音楽活動を続けていますが、風刺ソングにも象徴されるように強いメッセージを持ち、歌であると同時に小説のような反抗精神に富む物語性を持っています。こうしたエベールさんの音楽がどのように作られてきたのかお聞きしました。(村上良太)(2017/01/20)


コラム
映画における男女の非対称性  after 50
長年、フランスと言えば日本の少女礼賛趣味と異なり、成熟した大人の女性を尊重する文化だと思ってきました。僕が勝手にそう思い込んだわけではなくて、先人たちが雑誌や本などで時に応じてそのようなことを書いてきたのを読んでいたのです。たとえば、フランスではワインと同じように熟成した女性を好む、とか。実際に、映画の世界ではカトリーヌ・ドヌーブや、ナタリー・バイ、イザベル・ユペールと言った年配の女性たちが今日も主役をはり、恋や冒険の人生をスクリーンに披露しています。ところが、フランスでは50歳から65歳までの女優が映画でもテレビでも出演する機会が非常に少ない、と俳優の組合AAFAから抗議の声が上がっています。(村上良太)(2017/01/19)


人権/反差別/司法
50歳以上の女優にもっと出演の機会を!俳優たちが自ら立ち上がる 「50歳の女優のトンネル」委員会リーダーのマリーナ・トメ氏に聞く Intreview : Marina Tomé  (l’AAFA-Tunnel de la comédienne de 50 ans)
1月6日にパリで「50歳以上の女性たちの奇妙で不思議な運命」と題するシンポジウムが開かれました。フランスで50歳以上の女性が映画やTVなどに登場する機会が不自然に少ないことに抗議の声を上げるものでした。そして、その原因や対策を俳優だけでなく、社会学者など多彩な識者とともに議論したのです。シンポジウムを主催したのはAAFA(フランスの俳優組合)の「50歳の女優のトンネル」委員会です。グループのリーダーは女優のマリーナ・トメさん。セドリック・クラピッシュ監督の作品に多数出演しているほか、今年2月にフランスで封切られる予定のマニュエル・サンチェス監督の”La Dormeuse Duval”では俳優のドミニク・ピニョン氏と共演しています。(2017/01/19)


人権/反差別/司法
共謀罪法案の核心は逮捕の要件を危険性の有無(現実の危険性)から動機の有無(主観)の方に刑法の重心を移すことではなかろうか
 今年の通常国会に政府がまた共謀罪法案を提出する見込みだと報じられています。昨日の海渡雄一弁護士の寄稿にもありましたが、共謀罪法案の大きな問題点は逮捕の要件がこれまでよりも大幅に現実の危険性の有無から、犯罪を行おうとする主観の有無へと重心を移していくことだと私は考えます。これは刑法の大きな転換点になりえる危険性を孕んでいると思います。海渡弁護士「『新法案』では、冒頭で述べたように、準備行為を処罰条件とした。しかし、預金を下ろしたり、メールを送っても準備と言われかねない。十分に限定されたと見ることはできない。・・・」(村上良太)(2017/01/18)


文化
「僕はどうやってバカになったか」(2001) の著者、マルタン・パージュ氏に「その後」を聞く  Interview : Martin Page ( romancier "Comment je suis devenu stupide " )
大学で何にでも知的好奇心を寄せるがゆえに出世コースにも乗れず、非常勤講師をしながら孤独で不安定な生活をしていた25歳の若者が、ある日、こうした生活にけりをつけ、変身しようと決意する。そして飛び込んだのがヘッジファンドの世界だった・・・対照的な2つの世界を渡った若者の心情と冒険を描いた小説「僕はどうやってバカになったか」は2001年に出版されるや、フランスを始め、世界各地でヒットしました。(村上良太)(2017/01/17)


人権/反差別/司法
パリで難民支援運動「紅茶と珈琲を難民に」を立ち上げた女性に聞く アリーヌ・パイエ氏、放送ジャーナリスト・元欧州議会議員 〜私はなぜ今年は投票しないか〜 Interview : Aline Pailler #2  
 パリで今、難民支援運動を行っているアリーヌ・パイエ(Aline Pailler) さんに前回はその運動を始めた経緯や理由などをお聞きしました。その時のインタビューで1つだけ、ひっかかったことが私にはありました。それは今年の選挙(大統領選と下院議員選挙が予定されている)ではもう投票しない、とパイエさんが答えたことでした。難民に対する政策は政党や候補者によって違いがあると思いますが、なぜ投票するのをやめたと語ったのでしょうか?そうした場合に極右政党の国民戦線が勝つ可能性はないのでしょうか?そのあたり、元欧州議会議員でもある放送ジャーナリストのアリーヌ・パイエさんにさらにお聞きしました。(2017/01/16)


人権/反差別/司法
パリで難民支援運動「紅茶と珈琲を難民に」を立ち上げた女性に聞く アリーヌ・パイエ氏、放送ジャーナリスト・元欧州議会議員 Interview : Aline Pailler ( Journaliste , ex- députée européenne)
パリ市内北東部にあるスターリングラード駅前で毎週木曜日に難民たちに暖かい飲み物や食料、生活用品を支援している人々がいます。その難民支援運動「紅茶と珈琲を難民に」を立ち上げたアリーヌ・パイエ(Aline Pailler)さんにインタビューしました。パイエさんはフランスで著名な放送ジャーナリストで、欧州議会議員として活躍していた時期もあります。今、なぜこの運動を起こしたのかその理由や今のフランスの政治などについてお聞きしました。(2017/01/16)


みる・よむ・きく
マルタン・パージュ作 「僕はどうやってバカになったか」 Martin Page "Comment je suis devenu stupide " フランス版バブル時代の青春の書
フランスの作家、マルタン・パージュの出世作が「僕はどうやってバカになったか」という人を食ったタイトルの小説だ。これは大学で非常勤講師をしている知的好奇心に囚われた25歳の若者が生活を変えようとして試行錯誤を始める小説である。何ゆえに生活スタイルを変えようと決意したかと言えば、まずは生活が困窮している上に、通俗的な社会生活からはみ出してしまう、ということにあった。「アントワーヌには、あまり友達がいなかった。ひじょうに寛容で物わかりがよすぎたことから社会に適応できず、辛い思いをしていたのである。彼の趣味は何物も排除せず、雑多だったので、嫌いなものを共有するということで成り立つ派閥から締め出されていた。・・・」(2017/01/15)


米国
大学と読書  カリフォルニアの光
日本に比べると信じられないくらい広々としたキャンパスです。カリフォルニアの夏の日差しがまぶしいくらいに注いでいました。夏休みなのでキャンパスにあまり学生の姿は多くはありませんでした。土産にとキャンパスのショップでTシャツを買いました。そのTシャツは30年後の今でも着ることができるものですが、特色のある絵が描かれていまして、本が真ん中に描かれています。その下に”LET THERE BE LIGHT"という言葉が記されています。「レット・ゼア・ビー・ライト」=そこに光をあらしめよ。(村上良太)(2017/01/14)


人権/反差別/司法
パリの難民支援の輪  「紅茶と珈琲を難民に」(Thé et Café pour les réfugiés ) その2  衛生用品、パン、生きるための諸情報
パリのメトロ駅「スターリングラード」前で毎週木曜日の夕方に行われている難民支援活動「紅茶と珈琲を難民に」。パリからレジャーヌ・ボワイエ(Rejane Boyer)さんによる二回目のレポートです。「・・ボランティアは自治体のシャワーの場所、法的支援が得られる組織、フランス語の勉強ができる講座、医療施設などが書き込まれた資料を難民に配っています。・・」(2017/01/13)


人権/反差別/司法
パリで難民に食料を支援する市民の運動 「紅茶と珈琲を難民に」 Thé et Café pour les réfugiés
今、ドイツを始め、欧州連合各地でムスリムの難民に対する警戒心が強まり、排外主義勢力も力を増しています。しかし、その一方で市民による難民支援運動も続けられています。ここで紹介するのはパリで今、行われている1つの支援運動です。以下のレポートはフランス人のレジャーヌ・ボワイエ(Rejane Boyer)さんによるものです。レジャーヌさんによると、パリのメトロのジョレス駅近く(パリ市内北東部)で「紅茶と珈琲を難民に」(The et Cafe pour les refugies)と称する運動が起きているそうです。(村上良太 Rejane Boyer)(2017/01/13)


コラム
学歴社会の大切さ   村上良太
学歴社会がなぜ大切か、というと、学歴社会であればいわゆる一流企業とか一流大学などの組織は一流大学出の無傷な若者ばかりを採用します。それがなぜよいのか、というと中小零細企業の視点に立てば学歴はイマイチでも真に素質のある若者を獲得できるチャンスなのです。中小零細企業主たちにとって本当に怖いのは大企業が学歴などにこだわらず真に力のある若者を採用し始めることです。(2017/01/12)


文化
新作小説「私はダンスをしていた」(”Je dansais”) 〜女性を閉じ込める男性の眼差しについて〜 作家キャロル・ザルバーグ Carole Zalberg on her latest novel.
フランスで活躍中の作家キャロル・ザルバーグ(Carole Zalberg)氏の新作小説が発売されました。タイトルは「私はダンスをしていた」(Je dansais )で出版社はグラセット(grasset)です。今回の小説はザルバーグさんにとって1つのチャレンジだったようです。どういう小説なのか、またどういった点でこの小説がチャレンジだったのかザルバーグさんにお聞きしました。(村上良太)(2017/01/12)


米国
英語の料理教室 ニューオリンズのクレオール料理を得意とするシェフ、エメリル・ラガス(Emeril Lagasse)
どうせ外国料理の勉強をするなら、語学も合わせてできると理想的ですね。料理文化の数だけ料理番組のインターネット映像サイトも増えていて、もちろん英語のネット番組も百花繚乱です。ただ英語圏というと、一般に料理はまずい、という常識があります。しかし、今回ここで紹介するアメリカのシェフ、エメリル・ラガスが得意としている料理は南部の都市、ニューオリンズの伝統料理をベースにしたものです。(2017/01/09)


文化
シャルリエブド襲撃事件から2年 風刺画に詳しいイタリア人の映画監督が事務所を訪ねてインタビュー   フランチェスコ・マッツァ( Francesco Mazza , regista, Italian film director )
世界を震撼させたパリの風刺メディア、シャルリエブドがイスラム聖戦主義者の2人組に襲撃されてから今年の1月7日でまる2年になります。イタリア人の映画監督、フランチェスコ・マッツァ氏は風刺番組に長年携わった経験から、風刺文化を理解することの大切さを訴えてきました。風刺画はジャーナリズムの機能を持っており、その読み方を正しく理解する必要があると言うのです。今回、マッツア氏は襲撃から2周年を前に、シャルリエブドの新しい事務所をパリに訪ねて、人事担当者と風刺画家の一人にインタビューをしました。(2017/01/05)


コラム
バブルとデフレ 時代の激流の中を翻弄される日本の家族
90年代はバブル崩壊後にデフレが進行した時代でしたが、当初は僕も面白おかしなタッチで牛丼(安売り)戦争などの番組を作っていました。1998年のことです。前年の1997年は山一証券が倒産した年で、不況がただならぬ本物であることが明らかになった年でもあります。そんな最中に気楽と言えばよいのか、僕も「牛丼戦争」などを作っていたんです。すき家と吉野家の一杯250円の戦争を軸に神戸らんぷ亭も参戦して。以前は400円くらいだった牛丼です。昔は牛丼は贅沢な食べ物に思われたけれども(僕が子供の頃は牛肉は貴重だった)、250円になって貧者の食べ物の印象が強まりました。1本目で視聴率がよくて二本目を作ったのは夏ごろでしたが、さすがに2本目を作っていると冷や汗を感じるようになりました。このまま安売り戦争を続けていったらとんでもないことになる・・・と感じたんです。(村上良太)(2017/01/05)


文化
フランスらしい洗練されたイラストを描くフランソワ・ラヴァールにインタビュー  Interview : François Ravard  
イラストレーター/漫画家のフランソワ・ラヴァ―ル( Francois Ravard )はフランスらしい洗練された作品を描いています。そのタッチには文芸誌ニューヨーカーの漫画家にも通じるものがあると思いますし、また同時にほのぼのとした世界を描く漫画家、サンペにも影響を受けたと本人も語っています。しかし、ラヴァ―ル氏らしい味わいが絵にたっぷり加味されているので決して模倣の域には留まっていません。彼のイラストを見ていると、1枚の絵の中に光線の加減で生まれる濃淡が描かれていることがわかります。雲でも、海の表面でも、室内のキッチンでも、あるいは海水浴場でも実に絵にトーンがきめ細かく描き込まれていて、言葉では表現できない感覚を伝えてくれます。(村上良太)(2017/01/04)


コラム
2017は良いナンバー   村上良太 (2017 is a good number)
昔の子供にはスマホもゲーム類もなかった。電車でやっていた遊びは切符に押されている4ケタの数字を足したり引いたりして10にすることだった。たとえば2017だったとすると、これは極めてシンプル。2017=2+0+1+7=10 でOK。当時僕が乗っていたのは大阪・京都・神戸間を走る阪急電車だったけれど、これは電車に乗った時の子供たちの遊びだった。(2017/01/03)


文化
読書家の新年の挨拶  〜 本の価値を守り、次代へ受け継いでいく 〜 書評家・ジャーナリスト、ジャン・ビヤンボーム(Jean Birnbaum)
フランスのルモンド紙で書評を扱う「本の世界」を担当しているジャーナリストのジャン・ビヤンボーム(Jean Birnbaum)氏の新年に臨んだ挨拶です。(2017/01/02)


欧州
アンナと7匹の猫  〜プラハの猫たち〜  クラリネット奏者、アンナ・パウロヴァ―( Anna Paulová )
チェコの首都プラハ在住の新進クラリネット奏者、アンナ・パウロヴァ―さんの家にはいつも猫がいっぱいいます。いったい何匹いるのでしょうか?猫の存在が才能豊かな音楽家にどのような影響や色彩を与えているのだろう・・・そんな疑問から、今回は猫との生活についてお聞きしました。(2016/12/31)


人権/反差別/司法
50歳という名のトンネルを壊そう  フランスの女優たちが立ち上がる  成人女性の2人に1人が50歳以上なのに登場の割合が10%未満なのは納得できない・・
フランスにはAAFAという名の1年前に生まれたばかりの新しい俳優協会があります。発足時の会員は325人です。筆者の知り合いの女優も参加しています。この俳優協会で今、熱心に取り組んでいるテーマの1つが「50歳のトンネル」という問題です。50歳のトンネルというと、日本のテレビ産業でもディレクターは50歳を越えたら仕事がなくなる、と言われています。変化の激しい世界で50歳を越えたらもう「アウト」という常識があるのです。実は40代になるとすでにディレクターはプロデューサーに転じていき、次第に現場に出なくなっていきます。もちろん、人によっては70代まで現役で活躍している人も中には存在しています。とはいえ、現場で取材をしているディレクターの大半が40歳未満ということは日本のテレビ界の1つの特徴と言えるでしょう。(村上良太)(2016/12/30)


教育
子供の無料学習支援の場を訪ねてみた 〜 池袋の“クローバー” 〜 法律事務所の有志が結成 現在は多彩な教育支援ボランティアを擁し、豊島区の他の団体とも連携しながら発展中
クリスマスも迫った12月21日の夜、池袋にある子供の無料学習支援の場「クローバー」を訪ねました。場所は豊島区内の公共施設です。普段の勉強とは違ってこの日は、クリスマス会というわけで畳の大部屋では小中高の10数人の子供を前にして特別講義が行われていました。大学生がコイルや磁石などの科学実験セットを持参して、電気の実験やマイクとスピーカーの仕組みなど、具体的にモノをいじりながら子供たちに説明しているのです。実を言えば筆者もこんな授業を子供の頃受けたかったな〜と思いました。この日、出張して教えにきたのは科学実験教室を行なっているNPO法人 サイエンスリンクの赤羽陽祐さん(大学2年)です。(村上良太)(2016/12/24)


文化
なぜ闘士たちの姿をコラージュで作るのか 美術家ムスタファ・ブータジン氏に聞く Interview : Mustapha Boutadjine
ムスタファ・ブータジンという美術家の存在を知ったのはパリのコリーヌ・ボネ画廊との関わりからでした。「抵抗のコラージュ」という個展が開かれたからです。名前から想像がつく通り、ムスタファ・ブータジン氏はアルジェリア生まれで現在、パリで活躍しています。その作品はすべてコラージュで、描かれるのは闘士ばかりです。たとえばアルジェリアの独立のために戦ったジャミーラ・ブーパシャ(Djamila Boupacha)です。彼女はアルジェリア独立闘争のさなか、1959年にアルジェで起きた爆弾テロ未遂事件の容疑者として逮捕されました。アルジェリア民族解放戦線 (FLN) のメンバーだったのです。(村上良太)(2016/12/21)


文化
フランス人の風刺歌 「7月14日(パリ祭)」   "14 JUILLET" par OLIVIER HEBERT / DESSINS MUZO
フランス人の権力批判は風刺漫画だけではなく、歌や詩の分野でも盛んです。フランス人にとってフランス革命こそは近代史上最大の出来事と言えるものですが、その革命を祝う国民的行事、7月14日のパリ祭をモチーフに作られた風刺歌があります。シンガーソングライターのオリビエ・エベール(Olivier Hebert)氏が作った「7月14日(パリ祭)」です。(2016/12/20)


文化
中年になって絵の道に転じる ベロニク・ショーバンさん 冬眠から目覚めて Interview : Véronique Chauvin
人生も半ばすぎて芸術家に転じる人は比較的少ないのではないかと思います。日本で考えれば転職する場合は蕎麦作りの修業をしたり、運転免許を取得したり、経理の勉強をしたり、調理師免許を取得したりなどなど手堅い実務的な分野に進む人が多い印象があります。ところが今回、インタビューをさせていただいたベロニク・ショーバンさんは教師の仕事を辞めて美術の分野に転じた人です。というよりも現在、画家に転じつつあるその進行形と言ってもよいでしょう。ショーバンさんは10年越しに少しずつ変化してきたと言います。いったい、なせ彼女の人生は転機を迎えたのでしょうか。そして美術の分野で第二の人生を始められるのはフランスならではの事情があるのでしょうか?そのあたりをお聞きしました。(2016/12/20)


コラム
現代人が筆をとるとき 〜なぜ書くことを人に勧めるのか〜
日刊ベリタに書くようになっておよそ8年が過ぎました。最初は公の世界に自分の拙い文章を投じることに不安を感じていた筆者は、今では編集者の1人として他人に書くことをお願いする日々を送っています。その中には本職の作家もいれば、書くことは本業ではなく他に仕事を持っている人もいます。そして、日本ばかりでなく、海外の人にも、様々な大陸の住民にもベリタに書いて欲しい、とお願いをしています。僕は本業の物書きではありませんし、作文指導をする教師でもありません。ならば人に勧める資格があるんだろうか・・・いったいなぜそんな自分が人に書くことを勧めるのだろう、と考えてみました。(村上良太)(2016/12/19)


国際
欧州連合と東アジア共同体構想  鳩山政権がつぶされた理由を今一度考える
欧州連合危機はアジアにおいては東アジア共同体構想がその構想段階で米国の介入でつぶされてしまったことを思い出させるものです。東アジア共同体構想もその発想の起源には東アジアで戦争を二度と起こさない仕組みの探求だったはずです。そしてユーロと同様、東アジアでも共通通貨を探る試みもありました。こうした経済的、政治的なアメリカとは別個の枠組みはともにアメリカが国策的に許容できないものでもあります。鳩山政権が東アジア共同体構想を掲げて2009年に選挙で勝って首相に就任した時、激しい巻き返しが行われ、結果的に辞職を余儀なくされました。このことは欧州連合危機と無縁と見てよいのでしょうか。(村上良太)(2016/12/17)


文化
日本のアニメで育った第一世代のフランス人漫画家アレクサンドル・アキラクマさん Interview : Alexandre Akirakuma   日仏に共通する騎士道物語への郷愁
フランスと言えば日本のアニメオタクがたくさんいる国として知られていますが、日本のアニメに浸って育った第一世代に属する漫画家の一人がアレクサンドル・アキラクマ(Alexandre Akirakuma) さんです。アキラクマとは見かけない名前ですが、これはペンネームで本名はアレクサンドル・ラングロワさんです。ペンネームのアキラクマはラングロワさんが影響を受けた日本の漫画「AKIRA」と家族のトーテムである熊(これも日本語)を足し合わせたものだそうです( トーテムって・・・いったい、どこの出身なんだ??)これからわかるように、日本文化から影響を受けたのだと言います。その漫画作品の中にも平安時代の京都を描いたものがあり、アニメだけではなく、日本の古い文化にも魅せられているのだそうです。そんなアレクサンドル・アキラクマさんにインタビューをしました。(村上良太)(2016/12/16)


社会
日刊ベリタの読者へ (一足早い)クリスマスプレゼント  イタリアのボローニャから   Davide Bonazzi  
あと10日もすればクリスマス。今年はいったいどんなプレゼントが届けられるのでしょうか? そんな今、イタリアから素敵なプレゼントが日刊ベリタに届きました。古都ボローニャでイラストの仕事をしているダヴィデ・ボナッツィ(Davide Bonazzi )さんからです。ボナッツィさんは今、どんな仕事をしているのでしょうか?(2016/12/16)


検証・メディア
ニュースの三角測量 その2  
「ニュースの三角測量」という一文を書いて掲載したのは今から3年半前になります。ニュースを1国の新聞だけでなく、2か国の新聞だけでもなく、もう1つ加えて最低3か国の新聞で読むことのメリットを書いたものでした。「ニュースの三角測量」という言葉は文化人類学の川田順造博士による「文化の三角測量」という概念を借用したものですが、3つの異なる文化圏のニュースに接することで、より客観的かつ立体的にニュースが理解できるようになるというものです。(村上良太)(2016/12/15)


みる・よむ・きく
刑務所を描いたアメリカ映画 「ロンゲストヤード」  多様性がアメリカの力の源泉であることを描いた傑作
先日、「刑務所法律ニュース」のアレックス・フリードマン氏のインタビュー記事を掲載したところ、予想以上に多くの方に読んでいただくことができました。フリードマン氏はかつて自身が囚人だったジャーナリストですが、いくら犯罪者だと言っても、今の刑務所のシステムは腐敗した差別と暴力の世界になっていてひどい人権侵害がまかり通っていると訴えていました。そんなことが作用してか、偶然書庫からアメリカの刑務所を舞台にした映画を見つけました。「ロンゲストヤード」というタイトルの映画で1974年に公開されています。刑務所の犯罪者たちがアメフトチームを結成して、暴力看守たちのチームをぶちのめす、という物語です。(2016/12/13)


みる・よむ・きく
ジェームズ・M・バーダマン著 「あいうえお順引き この言いまわし 英語でなんていう?」 (How do you say that in English ?)
こんな場合は英語でなんという?・・・こういう類の英語の参考書は日本でたくさん出版されてきまして、それぞれ特徴がありますが、その中で頭一つ抜けて優れているなぁと感じさせられたのが中経出版から出ているジェームズ・M・バーダマン著 「あいうえお順引き この言いまわし 英語でなんていう?」でした。・気のせいだよ  It's ( just ) your imagination ・しつこいよ   Stop pestering me ! ・すぐわかりますよ You can't miss it . ・決まり!   That settles it!  ・恐縮です   I feel obligated to you. など、ちょっとした言い回しが2100ほど掲載されています。(2016/12/13)


医療/健康
世界の水道事業民営化に逆風 <料金の高騰><不透明な経営><質の低下>などの問題から再公営化する自治体が増えている 今、なぜ日本で・・・
食が日々の健康に大きな影響を与えるとしたら、水道の水は命にかかわっています。その水道事業を財務負担の解消を歌って世界各地でこの四半世紀に次々と民営化してきましたが、実はここに来て民営化を打ち切る動きが起きており、調査によるとわかっているだけで過去に民営化した世界各地の自治体の4分のおよそ1が契約を打ち切り、再び公営に戻していることが明らかになっています。その象徴とも言えるのが水道事業の民営化の先鞭をつけたと言えるフランスです。1984年に花の都パリでも市が水道事業を25年契約でヴェオリア社とスエズ社に委託して民営化していました。ところが2010年にパリ市は再契約を結ばず、再度公営化に戻したのです。(2016/12/12)


検証・メディア
ハフィントンポストの時代  ハフィントンポストを退くと告げた創刊者のアリアナ・ハフィントン氏
アメリカでもっとも「成功した」インターネットニュースはハフィントンポストに違いないと思います。創刊されたのは2005年の第二次ジョージ・W・ブッシュ政権の時代でした。当時イラク戦争とアフガン戦争に邁進して巨額の軍事予算を計上していた政府に対して批判的なスタンスで立ち上がったメディアがハフィントンポストです。その頃、アメリカのマスメディアでは政府の統制が進んで、記事にもイラク戦争を推進するための嘘が混じるようになっていました。そこで新聞統制に立ち向かうため、アリアナ・ハフィントン氏はネットで新聞を立ち上げ、最初は無料で寄稿してくれるブロガーを500人集めたなどと言われていました。どんどん注目を集め、寄稿者も読者も増えていきました。そしてついに2008年の大統領選でオバマ政権を生み出すのにも大きく貢献しました。アメリカの「チェンジ」を夢見た人たちがオバマ氏を支持し、そしてまたハフィントンポストに各地から選挙戦の記事を手弁当で寄稿していたのです。今年で終了する8年間のオバマ時代とは何だったのかということを考える時、ハフィントンポストと重ねてみる人は少なくないのではないでしょうか。(2016/12/11)


コラム
近くて遠い国  日本の野党はあと50年は勝てないという仮説
隣の韓国では大統領が国家機密を友人に漏洩して政府外の人間から私的にアドバイスを受けていたことが暴露され、反政府デモが2か月近くにわたって続き、ソウルだけでなく地方都市も含めて100万人以上が政府打倒の集会に参加しました。その動きは検察もマスメディアも動かし、ついに大統領の辞職声明を勝ち取るに至りました。このことを見て、政府が理不尽な行動を行った場合は隣国ではあのような運動が盛り上がって政府を倒すことができるが、なぜ日本ではそうしたことが起こらないのか、という意見を見聞します。(村上良太)(2016/12/10)


みる・よむ・きく
イタロ・カルヴィーノ作 「まっぷたつの子爵」 On Italo Calvino's " Il Visconte Dimezzato" ( The Cloven Viscount )
  イタリアの作家イタロ・カルヴィーノと言えば空想力のたくましい寓話作家としてのイメージが強い。そればかりではないのだけれど、やはりカルヴィーノの寓話は面白いな、と今更ながら感じさせられたのが晶文社から出された「まっぷたつの子爵」という小説だ。イタリアの寒村からトルコとの戦場に馳せ参じた若い跡継ぎの領主が重傷を負う。かろうじて一命をとりとめて郷里の村に帰ってきたのは半身だった。すっぽり頭から足先まで縦に真っ二つになっているのだ。この半身になった子爵は戦争で心がねじれてしまったせいか、周りの生き物も人間も植物も片腕で真っ二つに剣で切り裂くようになり、領民たちは恐れおののく。(2016/12/09)


人権/反差別/司法
私はなぜ刑務所の民営化と闘ってきたか  元受刑囚で「刑務所法律ニュース」のジャーナリストに聞く  Interview : Alex Friedmann , Managing Editor of "Prison Legal News."
アメリカでは1980年代にレーガン政権のもとで財政難の解消を目指して公的施設の民営化が進められました。州が運営する刑務所も民営化の対象となり、民間企業が州から委託されて経営に乗り出したのです。ところが、およそ30年が経過した今年8月、米司法省は刑務所の民営化を廃止する方針を発表しました。刑務所の民営化がむしろ様々な問題を生んでいることがわかってきたからでした。実はアメリカには刑務所民営化の失敗を検証してきたジャーナリズムがあります。(村上良太)(2016/12/08)


欧州
イタリアの国民投票と風刺画 
イタリア人の知人がこんな風刺画を紹介してくれました。飛行機の客室にいるのはイタリアのレンツィ首相。小窓のすぐ外にはプラカードを掲げて空を浮遊している二人の男が・・・。二人のプラカードにはそれぞれ次の言葉が書かれています。 男1「こんにちは。僕はあなた(レンツィ首相)のパイロットです。改憲に関しては反対の投票です」 男2「僕も同じです・・・。僕は副操縦士です。」(2016/12/06)


農と食
イタリア人も米を食う  チコリーとゴルゴンゾーラのリゾット
地中海に臨むイタリア北西部リグーリア州の風光明媚な町、スポトルノに住むエリさんとアンドレアさんのカップル。エリさんは詩人、アンドレアさんは病院勤務の看護師です。この週末はリゾットを作りました。リゾットの中でも、チコリ―とゴルゴンゾーラチーズのリゾットと名前が付けられているようです。チコリーはキク科の野菜とされていますが、ここで使われているイタリアのチコリーはラディッキオ(Radicchio)と呼ばれ、とくに赤みのあるものはラディッキオ・ロッソと呼ばれているようです。(2016/12/04)


欧州
フランス共和党フランソワ・フィヨン氏のインパクト 2   フィヨン対ルペンの場合、勝つのはどちらか? (そして左派は・・・?)
前回、フランス共和党の大統領選の予備選で右派のフランソワ・フィヨン氏が選出されたことを受けて、その経済政策などについて紹介しました。国際メディアでもそうですが、フィヨン氏の当選に関して最大の関心事項は国民戦線のマリーヌ・ルペン候補と一騎打ちになった場合、勝てるかどうか、という点です。(2016/12/04)


文化
家族の肖像 フランス その3  Family portrait in France #3   結婚と町での暮らし
「家族の肖像 フランス編」で第1回目はパリの北の郊外に住むレジャーヌ・ボワイエ( Rejane Boyer )さんに祖父の時代から家族の歴史を回顧していただきました。2回目は父親の時代を振り返りました。レジャーヌさんの家族は共産党員だった父親と社会党員だった祖父とでしばしば議論になってしまったという左派の一家でした。そして、レジャーヌさん自身も左派の思想を受け継いで育ちました。その後、レジャーヌさんはどのように結婚して、家庭を築いていったのでしょうか?3回目の今回はレジャーヌさんの結婚と町での生活を語っていただきます。(2016/12/03)


欧州
フランス共和党フランソワ・フィヨン氏のインパクト  フィヨン大統領の場合の経済政策とは? 危機が続く欧州経済と緊縮策
フランスの共和党の大統領候補になったフランソワ・フィヨン氏に対する反応は様々です。歓迎する人もいれば、危惧を感じる人も少なくないようです。フィヨン氏のカトリック信仰の強さがイスラム教徒との新たな確執を生むのではないか、と思う人もいるようです。一方でユマニテ紙は左派の立場から、共和党右派のフィヨン政権が誕生した場合に生活が脅かされるであろう5つのポイントを発表しています。(2016/11/29)


欧州
本場イタリアの家庭のピザ  Pizza italiana
最近、日本の出版社が特集した豊富な写真入りの日本のピザの特集を読みました。モッツァレラチーズやハム、トマト、エビ、アンチョビなど様々な食材を贅沢にトッピングした色とりどりのピザが紹介されていてとても美味しそうです。30年以上前に日本で初めてピザと称するものを食べたときは、ピザと言うよりパイに近い感覚がありました。そこでイタリアに住んでいる知人に普段、家庭ではピザをどのように食べているのか、聞いてみました。北イタリアのジェノバ近郊スポトルノに住むエリさんとアンドレアさんのカップルです。(2016/11/28)


欧州
フランス大統領選挙・共和党予備選 フランソワ・フィヨン氏がジュペ候補を破って勝利  
昨日、決選投票が行われたフランス大統領選挙・共和党予備選でフランソワ・フィヨン候補が60%以上の票を獲得し、アラン・ジュペ候補に圧勝した。前週の投票で3位になり決選に出場できなかったサルコジ大統領の陣営がフィヨン候補に票を振り向けたのではないか、と見られている。というのはフィヨン候補はサルコジ大統領(2007−2012)の首相だったからだ。(2016/11/28)


国際
ソウル 朴大統領の退陣を求める大規模抗議デモ  80年代以来最大の怒り
ソウルでは毎週土曜日に市民が集まって朴槿恵大統領退陣を求めるデモを続けてきた。今回で5回目となる。今回で5回目となる。昨日26日は過去最多の150万人(主催者発表)が集まったという。また、ソウル以外の各地でも抗議デモが行われた。この抗議デモに参加した人の話。「毎週毎週いつまで続くかという状態ですが、デモに参加しない市井の人々もこの状態を見守り、乗ったタクシーの運転手さんの言葉は「政府にとってこの暴力のないデモが一番の脅威になると」。本当に整然と、しかし力強いシュプレヒコールです。・・・」(2016/11/27)


国際
フィデル・カストロ前議長、死亡 90歳
キューバのフィデル・カストロ前議長が亡くなった。90歳だった。以下はBBCのニュース。(2016/11/26)


国際
英国=米国 (=フランス? =日本?) 労働組合と社会民主主義(ニューレイバー)の関係  自らの足を食いつくしてしまった大蛸
成文堂から出ている「現代イギリス政治」(第二版)はその中で英国のブレア労働党政権で何が起きたのかを分析していました。ニュー・レイバーを標榜し、過去の労働党から脱却を図って長期政権を築いたブレア政権の時代に労働党は党内における労働組合の影響力を相当に削いだ、とされています(「ニュー・レイバーとその功罪 1993〜2010)。「労働組合の影響力の削減は、党首を中心とする党指導部の自立性の強化を狙うものであり、ブレア党首以降、この方向性はさらに明確なものとなった」(2016/11/26)


コラム
トランプ・ステッカーへの復讐
アメリカに住んでいるアメリカ人の私の知り合いが少し旅行をして帰ってみると、共同住宅の共同車庫に駐車していた車がやられていた。といっても窓を割られたり、盗難があったのではなかった。車に張り付けたステッカーに危害が加えられていた、というのだ。そのステッカーとは米大統領選のトランプ候補支持のステッカーだった。ステッカーを買って車に張り付けることで、トランプ候補の資金を支援する、という草の根キャンペーンが行われていたのだ。(2016/11/24)


文化
イラストレーター・画家  ルル・ピカソ氏のインタビュー パリのグラフィックデザイナー集団 「バズーカ」 とその後 Interview : Loulou Picasso ( dessinateur )
1970年代と言えばすでに40数年の歳月が流れた遠い時代に思われます。しかし、その時代は欧米も日本も先進社会では中流層が拡大し、繁栄を謳歌した時代でもありました。中流層のボリュームが増えたということは新聞ジャーナリズムにおいても、かつての限られた少数のエリート層だけではない幅広い層に訴求できる刺激的な紙面が求められるようになることを意味します。その鍵の1つがグラフィックデザインでした。フランスでは1970年代半ばに若手のグラフィックデザイナーたちが大手新聞に進出し、新しい感覚で次々とイラストを描いたのです。その先駆けが1974年にパリの高等美術学校の5人の学生によって結成されたBazooka(バズーカ)というグループでした。(2016/11/22)


政治
フランス大統領選 風刺短編映画 活劇「スーパー・オランド、ボリウッド風」
インターネットとソーシャルメディアの発達は新たな短編映画文化を築きつつあります。その一端が意外にも、政治風刺で発揮されていて、先日は米大統領選の風刺短編映画を紹介しましたが、今回はフランス大統領選に関する短編を皆様に紹介します。1分40秒弱の短編映画のタイトルは”Super Hollande Singham a Bollywood”で訳せば「スーパー・オランド、ボリウッド風」とでもいったところでしょう。”Singham”はインド製=ボリウッド映画のアクション映画のタイトルです。フランス社会党の予備選の候補者選びの水面下のどろどろした人間模様を活劇にして描いて見せたものです。(2016/11/21)


国際
フランス共和党予備選 サルコジ元大統領が落選 フランソワ・フィヨン元首相とアラン・ジュペ元首相で来週決選投票
 欧州連合の未来がかかったと言って過言ではない、20日に投票が行われたフランス共和党と中道右派政党で合同で行われた大統領選挙予備選。AFPによると、投票したのはおよそ380万人。投票の参加費は1人2ユーロ(約230円)だ。その結果が出た。(2016/11/21)


コラム
安倍首相とトランプ次期米大統領の話し合いをめぐって
安倍首相が米時間で今月17日、ニューヨークでドナルド・トランプ次期米大統領と会談した件を巡って、安倍首相を非難する批判記事をたくさん目にしました。批判の理由としては未だ、オバマ氏が大統領でありオバマ氏に失礼であるという外交儀礼的なものもあれば、日本のアメリカへの従属ぶりを批判するものもあり、ドイツのメルケル首相のトランプ氏への客観的な対応と比較して恥ずかしいといったもの、さらには今回の会見の中身はなかった、というものもありました。そういった批判はしかしながら何よりも安倍首相憎し、という思いが前に出すぎてしまってトランプ氏と安倍首相が会った意味合いを矮小化し過ぎているのではないか、という印象を持ちました。(2016/11/20)


人権/反差別/司法
トランプ眼鏡    
最近の短編映画ブームは映画館にもTVにも拘束されないインターネットという場を得て、作品も百花繚乱となっていますが、大統領選挙にまつわる風刺作品も量産されているようです。米大統領選挙に関して作られた短編の1つが「トランプ眼鏡」と題する50秒ほどの短い作品です。移民やイスラム教徒への差別発言で悪名高いトランプ氏を風刺したもの。青年が町で「トランプ眼鏡」なるものを拾ってかけてみると、周りにいる一見普通の人々が違って見えてくるのです。(2016/11/20)


文化
読書について フランスの作家、キャロル・ザルバーグさんに聞く  Interview : Carole Zalberg
これまでの政治家の枠を破るドナルド・トランプ大統領が生まれ、大きく変貌しつつあるアメリカ。そのアメリカに強い関心を持ち、アメリカと欧州を舞台にした小説を書いてきたフランスで活躍中の作家がキャロル・ザルバーグさんです。ザルバーグさんの代表作にはL'invention du desir’(欲望の発明), ’A defaut d'Amerique’(アメリカの欠陥), ’Feu pour feu’(火には火を)などがあります。これらはフランスのメディアでも大きく取り上げられた作品です。ザルバーグさんが米文学に対してどのような興味があったのか、それと同時にザルバーグさんがどんな読書を若いころしていたのかお聞きしました。(2016/11/20)


国際
フランス大統領選予備選  フランス大統領選とアメリカ大統領選の違いは決選投票があること  明日は注目の共和党予備選の投票日
米大統領選の騒動が収束して今はトランプ氏の組閣に関心が移る中、フランスでは来年の大統領選に向けた候補者選びが始まっています。フランス人にとって来年の大統領選の最大の関心事はここ数年急速に台頭してきた右翼政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン大統領が誕生するかどうかでしょう。2002年に父親のジャン=マリ・ルペン候補がシラク候補(現職)と決選投票となった時、極右の台頭に危機感を抱いたフランス国民は2回目の決選投票でシラク候補を圧勝させ、その後1か月ほどは民主主義の勝利を祝う余韻がパリに立ち込めていたものです。(2016/11/19)


国際
トランプ政権とTPPの行方  右派のペンス副大統領は自由貿易協定の擁護者
 自由貿易協定を否定するトランプ氏が米大統領に選出されたことを受けて、TPPは終わったと見る人が多い。しかし米国のTPP離脱は未だ確定したわけではない。その理由の1つとして、前にも日刊ベリタで触れたのだが、自由貿易を推進する共和党の大富豪、コーク兄弟のネットワークが終盤でトランプ候補とどのような関係にあったのか、トランプ氏の毒舌ばかりが報じられて水面下のことがわからないということがある。そう思っている中、2年前に創刊されたアメリカの調査報道メディア、The Interceptに興味深い記事が出ていた。スクープ報道で知られ、本も複数世に問うているジャーナリストで創刊者のJeremy Scahill氏が自ら書いたトランプ政権の副大統領であるマイク・ペンス氏にまつわる記事である。(2016/11/17)


文化
家族の肖像 フランス その2  Family portrait in France #2   民衆の歴史を振り返る
「家族の肖像 フランス編」で第1回目はパリの北の郊外に住むレジャーヌ・ボワイエ( Rejane Boyer )さんに祖父の時代から家族の歴史を回顧していただきました。今回はその2回目、父親の時代を振り返ります。フランスはいわゆる「西側」陣営に含まれ、ソ連や東欧などの共産諸国とは鉄のカーテンで隔てられていたはずです。しかし、フランスには強い社会主義政党が存在しており、現在も与党の座を維持しています。ボワイエさんの家族もまた左翼でした。しかし、左翼同士の間でも一枚岩になるのが難しい事情が潜んでいたようです。(2016/11/16)


コラム
とほほ 対訳戦記・・・
対訳というものに挑戦しています。日刊ベリタで過去に対訳した言語は英語とフランス語ですが、対訳を載せる、ということはつまり、翻訳の間違いをしたら丸わかりになってしまいますから、最初はちょっと勇気がいりました。でも、それを押し切って対訳を始めた理由は寄稿してくれたり、インタビューに答えてくださったりした外国人の方にとって基本的には対訳の方がよいのではなかろうか、ということでした。せっかく時間と労力を費やして文章を書いたり、質問に答えたりしても日本一国にしか読者がいないとしたら、きっとインセンティブは制約されるんじゃないか、という気がします。(2016/11/13)


米国
警官らに発砲されるオバマ(元)大統領  Charlie Hebdoの風刺画
汗だくになって走って逃げているオバマ氏。後ろで2人の警察官が銃撃している。フランスの風刺メディア、Charlie Hebdo誌の最新号だ。見出しには 'Obama de nouveau citoyen comme les autres'とあり、訳せば「その他大勢と同じ市民になったオバマ」となる。近年、アメリカ各地で白人警官に黒人が銃撃され、抗議の嵐が起き、ほとんど暴動に近い状態が頻発していた。(2016/11/11)


環境
ヨーロッパエコロジー=緑の党(EELV)地方支部長に聞く 〜その3〜 来年のフランス大統領選とBrexit (英国のEU離脱 )について Interview : Nadine Reux, Secrétaire régionale EELV Rhône-Alpes  
フランスの環境政党であり、来年は大統領候補も擁立するヨーロッパエコロジー=緑の党(EELV)のローヌ=アルプ地域圏支部のナディーヌ・ルー(Nadine Reux)支部長にインタビューを行っています。3回目の今回は来年のフランス大統領選挙について環境政党はどう考えているか、そして今年の大きな話題となっているBrexit (英国のEU離脱)についてもお聞きします。こうした現実政治にエコロジストと呼ばれる環境政党がどう関わっているのか、興味深いところです。そして、欧州の場合はそこに地域、国家の上に、さらに欧州連合という統治構造の階層が存在し、そのあたりがおそらく日本と事情が違っているはずです。(2016/11/11)


環境
ヨーロッパエコロジー=緑の党(EELV)地方支部長に聞く 〜その2〜 自由貿易協定とミツバチについて Interview : Nadine Reux, Secrétaire régionale EELV Rhône-Alpes  
フランスの環境政党であり、来年は大統領候補も擁立するヨーロッパエコロジー=緑の党のローヌ=アルプ地域圏支部のナディーヌ・ルー(Nadine Reux)支部長にインタビューを行っています。前回は日仏の原子力発電についてお聞きしました。2回目の今回は自由貿易協定の行方と、今、大きな問題となっているミツバチの絶滅危機についてお聞きします。(2016/11/10)


国際
アメリカ大統領選 2016   ローラン・ロルメド氏の風刺作品 Laurent Lolmède 
ドナルド・トランプ大統領が誕生した。多くの女性たちは怒っている。左翼の人々も「核のボタンを渡すな」と怒号を浴びせている。それでもアメリカ人はトランプ大統領を選んだ。それは退屈よりも、怖いもの見たさだったのだろうか。トランプは見かけよりも賢明だという人もいる。アメリカ人の選択が正しかったのかどうかは、これからはっきりするだろう。(2016/11/10)


文化
作家ジャン=フィリップ・トゥーサン氏にインタビュー  〜衝撃的デビュー作「浴室」はどのようにして生まれたのか?〜 Interview : Jean-Philippe Toussaint How the masterpiece, " La salle de bain " was created ? "
1985年、パリで1冊の風変わりな小説が出版されると大ヒットし、瞬く間に世界各地で翻訳され、その頃の文学界の話題をさらいました。「浴室」と題するその小説は主人公の若者が浴槽に閉じこもって出てこなくなる、という風変わりなシチュエーションと同時に、その文章もパスカルの箴言集のように短いパラグラフに分かれ、その1つ1つにナンバーがつけられているという珍しいものでした。 「(1)午後を浴室で過ごすようになった時、そこに居を据えることになろうとは思ってもみなかった。浴槽の中で思いをめぐらせながら、快適な数時間を過ごしていたにすぎない。・・・」(2016/11/10)


環境
ヨーロッパエコロジー=緑の党(EELV)地方支部長に聞く 〜その1〜 現在のフランスの原発問題と福島原発事故について Interview : Nadine Reux, Secrétaire régionale EELV Rhône-Alpes  
原発大国フランスで目下、電力の危機が起きています。日本の原発部品業者がフランスに納品した部品の強度が基準値以下であることが摘発されて現在、18基の原発が稼働停止となっているのです。今、フランスの原子力政策の見通しはどうなっているのでしょうか。今回、フランスの環境政党であり、来年は大統領候補も擁立するヨーロッパエコロジー=緑の党のローヌ=アルプ地域圏支部のナディーヌ・ルー(Nadine Reux)代表にインタビューを行いました。ローヌ=アルプ地域圏はアルプス山脈を擁し、フランス第二の都市リヨンを含んでいます。地理的にはフランス中東部に位置し、スイスやイタリアと国境を接していますが、行政区的には今年からオーベルニュ地域圏と合併し、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏となりました。(2016/11/10)


国際
トランプ大統領誕生  終盤、大富豪のコーク兄弟はどう動いたのか   気になるTPP とTTIPの行方
ニューヨークタイムズの選挙速報によればトランプ大統領が誕生した。現在トランプ候補が獲得した選挙人は279人、クリントン候補は218人。270人を獲得すれば大統領に当選となる。(2016/11/09)


文化
イタリアの第一線のイラストレーター Davide Bonazzi (ダヴィデ・ボナッツィ) 氏のインタビュー 錯綜する世界をシンプルに表現して訴える
 今、世界が抱えている様々な問題や事象を1枚の絵にする、これがイタリアのイラストレーター、Davide Bonazzi (ダヴィデ・ボナッツィ) さんの仕事です。ただし、それはクライアントの依頼を受けたプロとしての仕事です。私がボナッツィさんのイラストと出会ったのは最近のことですが、シンプルで美しいイラストだと思いました。現実の世界は錯綜して、その中に1本の線を見つけるのは簡単じゃないと思うのです。ボナッツィさんはどのようにしてイラストを描いているのでしょうか、インタビューを行いました。(2016/11/09)


国際
米大統領選の泡沫候補たち  メディアに無視され続けた緑の党のジル・スタイン候補とリバタリアン党のゲイリー・ジョンソン候補
11月8日、いよいよ米大統領選の投票日。ニューヨークタイムズの常連漫画家 Chapatteが米大統領選を風刺する漫画を出したばかりです。夜の選挙特番で居間のテレビの前に幼い子供が一人。テレビ画面は2016年大統領選の結果。ソファの裏で両親が耳をふさぎ目を覆っています。どちらが勝っても悪夢なのでしょう。(2016/11/09)


コラム
TVとネット  〜ネットの未来はバラ色か テレビの未来は灰色か〜  村上良太
最近、マスコミ界で著名な方がテレビはもう終わったコンテンツである=「オワコン」だとツイッターで発言していました。その方の友達も誰もテレビを見ていないし、ネットではいろんな情報があるのだから完全に地上波のテレビは無視してよい、という意見です。こうした意見は新しいものではありません。10年近く前からネトウヨの人々を中心に「マスゴミ」キャンペーンが張られ、マスコミは腐っているから、新聞は取らなくてもいいし、テレビも見る必要はない、必要なものはネットで無料で得られる、と散々言ってきたのです。今回の著名な方の発言も、根底は同じです。(2016/11/06)


コラム
日本のテレビ放送人の草分け 「報道のお春」 吉永春子さんが亡くなる 享年85
TBSテレビで「魔の731部隊」「天皇と未復員」など数々の話題作を作った吉永春子ディレクターが高齢のため都内の自宅で亡くなりました。享年85.吉永さんは「報道のお春」と呼ばれ、「民放の雄」「報道のTBS」と呼ばれた時代を築いたテレビ放送人の草分けの一人でした。 (2016/11/05)


文化
フランスBD(漫画)界の名匠、ジャン=マルク・ロシェット氏  その3 Jean-marc Rochette ( dessinateur )  山への思いを漫画に    
悪夢的な近未来世界と戦う若者たちを描いた漫画「脱走者」(Le Transperceneige)などで知られるフランスBD界の名匠、ジャン=マルク・ロシェット(Jean-marc Rochette) さんが今、取り組んでいるのが青年時代に憧れた山岳への思いを漫画に描くことだ。なぜ山なのか。その答えは前回のインタビューに込められていた。(2016/11/05)


文化
ロシア構成主義の建築物の場所を示したモスクワ地図 「なぜ私たちはこの地図を今、作ったか?」 デザイナーの一人にインタビュー 'Save the Constructivist buildings in Moscow.'
 最近、とても興味深い1枚の地図を目にしました。円形の中に建物や模様や言葉がびっしり密に描き込まれていて、西洋版の曼陀羅図みたいな印象です。聞くとそれはモスクワの地図でした。いったい何のためにこの地図が今、作られたのか。そこに何を読み込めるのか。地図を作製したデザイナーの集団, Baklazanasの一人、ロシア人のイリーナ・ゴリャチョーバ(Irina Goryacheva) さんにインタビューしました。I interviewed a Russian designer Irina Goryacheva ,who created The New Moscow map showing the existing Constructivist buildings with her colleagues in 'Baklazanas', a designers' group in the Republic of Lithuania.(2016/11/03)


国際
バーニー・サンダースら上院議員12人がTPP再交渉をオバマ大統領に促す<<再交渉で致命的欠陥を是正するまで議会で批准の議論をすべきではない>>  上院議員たちが危機感を感じる複数の欠陥条項とは?
日本の国会では今、与野党間のTPP批准をめぐる議論がほとんど盛り上がることもなく、11月4日にも可決する見通しと報じられたばかり。ではTPPの原動力となってきたアメリカはどうなっているのでしょうか。今年9月29日、アメリカの上院議員12人がオバマ大統領にTPPの再交渉を促す書簡を送り、その内容を公開しました。12人の上院議員の中にはバーニー・サンダース元大統領候補も含まれます。TPPの内容を批判し、再交渉を促すオバマ大統領に宛てた書簡は以下です。Dear President Obama: We write to underscore the fundamental flaws of the Trans-Pacific Partnership (TPP) agreement.(2016/11/02)


国際
トルコの野党寄りの新聞 Cumhuriyet の記者らが家宅捜索を受け、編集長は逮捕 テロ事件に関連した容疑で 
ルモンドが報じたところによると、10月31日未明、トルコの野党系の新聞Cumhuriyetの記者らが一斉に家宅捜索を受けたほか、編集長のMurat Sabuncu氏は逮捕されたという。報道によれば捜査令状は13件に上るが大別すれば2通りだという。(2016/11/01)


文化
「写真家の日誌」  報道写真家、アラン・ケレール(Alain Keler)  政治家が国民を捨てても何とも思わぬ国の姿
世界の一線で活躍してきたパリの写真通信社MYOPに所属する報道写真家アラン・ケレール氏(Alain Keler)。彼は今、フォトジャーナリズムについての思いを「写真家の日誌」(Journal d'un photographe)として書き記しています。今回も前回に続いてハイチの取材写真から。Journal d'un photographe / Leur histoire vient de basculer / Haiti / 02-1986. Lundi 10 fevrier 1986. (2016/10/31)


みる・よむ・きく
大山礼子著 「フランスの政治制度」(東信堂)   49−3とは何か
 今年のフランスの政治の動きをウォッチしている人々にとっては49-3という数字の意味するものが何かを知ることが絶対に不可欠でした。これを知らなくては春から夏にかけてのフランス議会の緊迫した動きが理解できなかったのです。そして、49−3を巡って議会の外でも、つまりフランス各地で抗議のデモが繰り返されました。49-3について、ご存じでしょうか?実は筆者も知りませんでした。(2016/10/31)


文化
シチリア島発の音楽レーベルDiesisを女性二人で立ち上げて アッシア・ナニア Interview : Assia Nania
前回、シチリア島を拠点にテクノとクラシックを融合した新しい音楽活動を行っているGioli のジョルジア・リパリ  (Giorgia Lipari)さんにインタビューを行いました。クラブを中心に世界を旅しながら演奏活動を始動したばかりですが、今年5月には初のアルバム「メカニカル・ハート」もリリースしたばかり。そのリパリさんのマネージャーをつとめ、写真や映像を撮影してウェブサイトを作っているのが、同じくシチリア島出身のアッシア・ナニア (Assia Nania) さんです。音楽家のGioliは二人が作り上げたものと言えますが、今月、さらに新しい活動を始めたのだと言います。今回はマネージャーで写真家・デザイナーのアッシア・ナニア(Assia Nania)さんにインタビューします。(2016/10/31)


文化
家族の肖像 フランス    
パリに飛行機で飛んでいた時、偶然、隣に座った人が〜夫婦でパリに団体旅行に出かけるそうですが〜スチュワーデスと僕とのやり取りを見て僕が旅慣れている人と思ったらしく次のように尋ねました。男 「私は妻と今回初めてパリに行くのですが、どこか見ておくべきものとか、お勧めとかありますか?」 僕 「パリには3日もいると目ぼしい観光スポットは大体回れるものです。ルーブル美術館とか、凱旋門とか。そういう観光を軽んじる必要はないと思うのですが、できれば土地の人と誰か一人でも友達になるといいのではないでしょうか」(2016/10/30)


検証・メディア
「写真家の日誌」  報道写真家、アラン・ケレール(Alain Keler) パリの写真通信社,MYOPに所属
世界の一線で活躍してきたパリの写真通信社MYOPに所属する報道写真家アラン・ケレール氏(Alain Keler)。彼は今、フォトジャーナリズムについての思いを「写真家の日誌」(Journal d'un photographe) として書き記しています。今回はハイチの取材写真から。ケレール氏は1986年、暴動が多発するハイチに飛びました。父親に次いで独裁者となり15年間統治した大統領のジャン=クロード・デュヴァリエが市民の怒りによる暴動から、ついにパリへ亡命して去っていった時のハイチを撮影しています。飢えた市民による略奪、軍のパトロール、死者などです。以下はケレール氏のエッセイです。報道においては「現場で」画像・映像を撮影するジャーナリストと、それを受けて編集に組み入れるマスメディアの編集者との間で「意味付け」をめぐって葛藤が起きうることを示しています。(2016/10/29)


みる・よむ・きく
東谷 穎人 著 「はじめてのスペイン語」  (講談社現代新書)
電車に乗っていると時々、若者たちがスペイン語をやろうと思っているんだ、という会話をしているのを耳にします。大学の第二外国語の選択の相談でしょう。昔だったら、ロシア語、フランス語、中国語、ドイツ語の4か国が第二外国語の主だったものでしたが、統計を取ったわけではないので正確な数字はわかりませんが筆者の印象では最近はスペイン語が台頭しているようです。その理由はスペイン語がスペインだけでなく、中南米や米国でも幅広く使える言語であることと、さらにはロシア語やフランス語に注力した先行世代との差別化ができることも理由の1つかもしれません。同じところで競争するより、これから伸びていきそうな新しい領域で勝負する方がよい、ということでもあると思います。(2016/10/28)


欧州
サルトルの葬儀  ノーベル賞を拒否した男   Funeral of Jean-Paul Sartre
 フランスの哲学者、ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)が亡くなったのは1980年4月15日。サルトルの哲学は実存主義と呼ばれ、戦後の1つの時代を主導し、日本でも多くの人がサルトルを語っていた時代がありました。人間存在の核心には虚無があり、だからこそ人間は自由なのだ、その自由に自己を賭けていくことで人間は自己を実現し、歴史を進歩させることができる、というのがサルトルの考え方でした。しかし、構造主義という哲学がフランスで始まると、サルトルの哲学は批判され、死後にはほとんど言及されることもなくなりました。その分水嶺が1980年のサルトルの死でしょう。(2016/10/27)


文化
パリのアニメ監督が浮世絵に挑戦 幕末維新を舞台に「怪盗物語」を出版 カミーユ・ムーラン=デュプレ氏  Interview : Camille Moulin-Dupré ( dessinateur ) 
今年、パリのアニメーションの監督が浮世絵の世界に挑戦しました。カミーユ・ムーラン=デュプレ氏です。浮世絵と言っても、漫画本の体裁を取っています。幕末から維新にかけての日本を舞台にした物語でタイトルは「版画・怪盗物語」です。白黒と灰色のみの世界ですが、そこに無限の色調を生み出しています。(2016/10/26)


コラム
' Je suis WALLON'  欧州人が「私はワロンだ」と言っている  欧州連合とカナダの自由貿易協定の行方
 去年の風刺新聞社、シャルリ・エブド襲撃事件の後、’Je suis Charlie' (私はシャルリだ)とプラカードを掲げて抗議をするフランス市民が話題を呼びましたが、今、「私はWALLLONだ」というのが最新版になっています。このワロンって何か?と思ってたら、ベルギーのニュースが入ってきました。欧州連合とカナダが交渉してきた包括的な自由貿易協定であるCETAが「ワロン」のために頓挫しかけているのだ、と。(2016/10/25)


みる・よむ・きく
鯉登潤著 「人物デッサンの基本」 (ナツメ社)  内部の骨格から把握する人物の作画法
最近、漫画の描き方の入門書を10数冊手にしてみました。漫画の入門書にはストーリー展開を軸にした台本の作り方の部類と、作画方法をメインにした部類と大別されるのですが、印象深かったのは後者の出版物がたくさん出ている印象であり、漫画と言っても相当に正確な描写力が今日求められているのだな、と思ったことです。子供の頃、手塚治虫の「漫画の描き方」を手にした頃と比べると、作画に関しては雲泥の差です。(2016/10/23)


検証・メディア
イタリアの報道の自由と政治の圧力について、未来について、独裁について  Francesco Mazza(イタリアの映画監督)  
在仏ブロガーのRyoka氏が紹介してくれましたイタリア人の映画監督Francesco Mazza(フランチェスコ・マッツァ)さんの風刺画に対する説明があまりにも興味深かったために、Francesco Mazzaさんにもう少し話を聞きたいと思いました。特に、先述の文章に書かれていたイタリアの風刺番組のこととか、イタリアのメディアの事情〜特に政治との関わりでたとえば圧力とかはないのか?などなど、そのあたりのイタリア事情をFrancesco Mazzaさんに話していただきました。(2016/10/22)


検証・メディア
「デモクラシー・ナウ!」のジャーナリスト・司会者、エイミー・グッドマン氏の取材活動に対し、ノースダコタ州検察官が騒乱罪で求刑 しかし、裁判官が却下 「正当な報道活動であることが認められた」 
アメリカの報道番組「デモクラシー・ナウ!」の司会者でジャーナリストのエイミー・グッドマン氏がノースダコタ州での取材活動で州検察当局から起訴されていた。その容疑は当初は不法侵入だったが、のちに騒乱罪へと変わっていた。問題となった取材活動とは報道によると、米中西部のノースダコタ州からサウスダコタ州、そしてイリノイ州にまたがる1825キロの石油パイプライン敷設計画に対して地元のネイティブインディアンや市民が反対運動を起こしていた様子を同番組で取材したことだった。(2016/10/18)


文化
音楽にかける青春 岩宙平さん(28) その2  チェコで若者たちに音楽を教える
東京からプラハ音楽院に留学後、チェコに留まりプロの指揮者として活躍中の岩宙平(ちゅうへい 28)さんについては前回、この欄で紹介しました。バイオリニストのコースから指揮へ方向を変え、ドヴォルジャークやショスタコーヴィッチの曲を振ってデビューしたのです。作曲家としても活動しており、その将来には大きな期待がかけられています。その傍ら、岩崎さんはチェコの少年少女への音楽教育も精力的に行っています。その活動はどのようなものなのか、お聞きしました。(2016/10/17)


文化
政治闘争の勝敗を最初に決めるのは言語をめぐる闘い   ガエル・ノアン (Gaëlle Nohant 作家)  
今日、日本では言葉の使い方が変わってきています。たとえば「保守」という言葉も過去とは異なる意味で使う政治学者が現れています。実は、同じ現象がフランスにもあるのだ、と言います。フランスの作家のガエル・ノアン(Gaelle Nohant)氏です。以下はノアンさんからのメッセージです。「今、私が読んでいる有益な本がこれです。非常に熱心に読んでいます。ビクトル・クレンペラー著「第三帝国の言語」です。この本を読みながら、私は自分の考えが固まっていくのを感じています。それはつまり、あらゆる戦争も、そしてあらゆる政治闘争もまずは言語の領域から勝ち取られていくものだ、ということです」(2016/10/16)


文化
パリのジャン=フィリップ・ミュゾー(Jean-Philippe Muzo)氏  芸大1年で個展を開いて中退 好きなイラストを描いて50年 
パリのモンパルナスに近いコリーヌ・ボネ画廊で昨夕、ベルニサージュ(個展開幕の集まり)を迎えたのがイラストレーター・漫画家のジャン=フィリップ・ミュゾー(Jean-Philippe Muzo)氏の個展です。ミュゾー氏は新聞や雑誌に多数、イラストを描いてきた風刺漫画家で、かつまた、本も多数作ってきた人です。穏やかなタッチの中に批評がピリッと込められています。(2016/10/14)


コラム
中身のない言葉が蔓延する今、再読したい戯曲はヴァーツラフ・ハヴェル作 「ガーデンパーティ」かと
日本はソ連に近づいている、と言ってよいのではないでしょうか。経済は好調であるとか、男女の平等は進んでいるとか、自衛隊が活動する所が「非戦闘地域」とか、戦闘ではなく衝突だ、とか。どこにこれらの言葉の真実があるのか、もはや国民にはわからなくなりつつあります。そうした今、ふと思い出されるのが、ソ連に威圧されていた東欧の小国、チェコスロバキアの天才劇作家ヴァーツラフ・ハヴェルが書いた「ガーデンパーティ」という戯曲です。(2016/10/13)


TPP/脱グローバリゼーション
ハリケーンに襲われたハイチ  グローバリズムで主要穀物のコメの農業が打撃を受けていた  「マイアミライス」の大量流入とビル・クリントン元大統領の謝罪
今月、ハリケーン「マシュー」に襲われ、救援活動が行われているハイチ。そのハイチでは1980年代から加速したグローバル化によって主要穀物のコメの農業が打撃を受けており、今日に至っても未だにその影響があると「ハイチ移民を支えるハイチ女性の会」事務局長のNINAJ RAOULさんが「デモクラシー・ナウ!」で話しています。自然災害の被害だけでなく、ハイチの貧困の足元には脆弱になった農業事情と食の構造がある、と告発しているのです。(2016/10/12)


文化
漫画家ローラン・ロルメド氏の風刺作品群 Laurent Lolmède 
パリで活躍している漫画家のローラン・ロルメド氏(Laurent Lolmede)はアンダーグラウンド的な独特のタッチで、個性的な世界を作り出しています。タンタンの登場人物のパロディ作品群があるかと思えばフランスの巨大なスーパーマーケットであるオーシャンをモチーフにした漫画もあります。その1つに、ミレーの「晩鐘」の祈りを捧げる夫婦を絡めたものがあり、グルーバル競争の中でフランスの農民たちが置かれた状況への風刺になっているように思われました。ロルメド氏にインタビューをしました。(2016/10/12)


国際
米大統領選 緑の党のジル・スタイン候補の発言  「Democracy now !」が独自編集して組み込んだ拡大討論会
 米大統領選の二大政党候補の二回目のTV討論会が行われましたが、米大統領候補は緑の党や、リバタリアン党にもいて、これらの小政党の候補は恒例のTV討論会から排除されています。そこで、米報道番組の「Democracy Now!」が同じ質問を緑の党のジル・スタイン候補にあて、その発言を挿入した拡大討論会を発表しています。(2016/10/11)


コラム
日本の幻想の二大政党制  政策論争のない選挙と見せかけの国会論戦と
  アメリカの大統領選挙をインターネットを通して昨年来、観察してきましたが、日本とアメリカの政治システムの違いはあるものの、それを越えて最も痛切に感じられることは日本では政策論争が選挙の前に何もない、ということでした。アメリカの大統領選挙に比べれば、選挙の公示から投票まで期間がごくわずかしかないのに、そのわずかな期間ですら、与党は争点をずらし、争点を見せまい、として重要なイシューを隠しています。たとえば「消費税引き上げを延期してよいかどうか国民に真意を問う」として衆院が解散された2014年の衆院選では衆院解散から投票日まで24日間、公示から投票まではわずか13日しかありませんでした。アメリカの大統領選が1年以上かけて候補者をふるいにかけていくのとはまったく質量ともに比較になりません。二大政党制になれば本格的な議論が行われる、というのは幻想にすぎなかったのです。(2016/10/11)


国際
ドナルド・トランプ候補の反撃  ヒラリー・クリントン候補の弱点を攻める  2回目のTV討論会
昨日、米日時の9日、アメリカ大統領選の2回目のテレビ討論会が行われた。今回も90分で、場所はアメリカ中西部に位置するミズーリ州・セントルイスにあるワシントン大学だった。今回の討論では序盤、トランプ候補は過去の女性蔑視発言や差別的発言一般がヒラリー・クリントン候補から攻められ、一時は劣勢に立たされた。特に2回目の討論直前に昔のトランプ氏の猥談が録音されたテープが公開され、ダメージになりそうだった。しかし、トランプ候補は中盤からじわじわ、挽回していった。トランプ候補はクリントン候補の弱点を攻めはじめ、次第にその言葉が耳に残るようになった印象を筆者は持った。(2016/10/10)


農と食
シリーズ 「私は人間だ」 女優・演出家 コルネリー・スタティウス・ミュラー( Cornelie Statius Muller )
「私は人間だ」というタイトルのシリーズ作品で、私は人間以外の生物種の価値を問うてみたいと思っています。これは鶏です。近いうちに鶏に敬意を示さなくてはいけない、と思っています!この絵のモデルは私が飼っているロザでもオランプでもありません。動物愛護団体であるL214の機関誌の表紙に掲載されていた鶏です。(2016/10/09)


みる・よむ・きく
数江譲治著 「フランス語のABC」(白水社) 〜初心者にわかりやすい定番の入門書 長年フランス語を勉強してきた人にとっても基本の復習に最適な一冊〜 
白水社と言えばフランス語の学習書やフランス文学書で知られている出版社ですが、それだけに優れた定番の文法の入門書があります。数江譲治著 「フランス語のABC」(白水社)です。筆者の持っているこの本の説明によると、1981年に初版が出て、のちにCDの吹き込みをつけたバージョン(CD付・新装版)が2002年に出ています。今でも書店の語学書コーナーに並んでいますから、1981年からなんと35年も販売され続けているロングセラーなのです。売れ続ける秘密は次の2点だと思います。(2016/10/08)


文化
フランスBD(漫画)界の名匠、ジャン=マルク・ロシェット氏 その2  Jean-marc Rochette ( dessinateur )  世界の破滅と究極の美
Q 前回のインタビューの最後の回答ですが、「なぜ、世界は破滅に向かっている」とお考えになるんでしょうか? A 世界は終焉に向かっていると思うのは資源が限られているからです。一方、人類の欲望は限りがありません。ですから人類がこのように長期的に生存できるとは思えないのです。そして人類は狂気のリズムでガンを転移させています。人類はそれ自体この地球にとって致死的に危険な存在となってしまいました。(2016/10/08)


文化
作家キャロル・ザルバーグと猫  猫は不眠の長い夜の優しい仲間  Carole Zalberg et un chat
「作家と猫」というタイトルの写真入りの本を日本で見かけますが、海外でも猫はヘミングウェイをはじめ、多くの作家のバディ(仲間)のようです。パリで旺盛な執筆活動を続けている作家のキャロル・ザルバーグ(Carole Zalberg)さんの場合もそうでした。ザルバーグさんの代表作にはL'invention du desir’(欲望の発明), ’A defaut d'Amerique’(アメリカの欠陥), ’Feu pour feu’(火には火を)などがあります。(2016/10/07)


コラム
親を出しぬく若者になろう  格差社会では子供自身の情報収集力が夢の実現の鍵を握る  村上良太
新聞に「おやじの背中」みたいなシリーズが組まれて、いかに父親が偉大だったか、いかに父親の背中を見て育ったか、いかに父親が自分を愛し、思ってくれたか。そんな涙と愛の美談がてんこ盛りになっています。たしかにそんな父親もいるでしょう。しかし、親というものはいろんな親がいて、素晴らしい親もいればそうではない親もいるのです。親が子供のことを理解しているか、と言えばそんな親もいると思います。でも、そうでない親もいるのです。子供が何に悩んでいるか理解不能であるばかりか、そういう想像力もない親も存在するのです。(2016/10/05)


文化
「脱走者」などの名作で知られる、フランスBD(漫画)界の名匠、ジャン=マルク・ロシェット氏 Jean-marc Rochette ( dessinateur ) 
近未来の破滅的な世界から逃れようとする男を描く漫画シリーズ「脱走者」など数々の名作で知られる、フランスBD(漫画)界の名匠、ジャン=マルク・ロシェットさんに話を聞きました。「脱走者」の原題は’Le Transperceneige’(雪を貫くもの)。気候変動などで生存が危機に瀕した最後の生き残りの人類が、巨大な列車に乗り込み、その列車は永遠に雪の中を走り続ける。列車は階級社会となっており、先頭の客車には富裕な貴族が乗り込み、最後尾には貧民たちが詰め込まれている。そんな巨大列車の中で貧民車両の主人公が客車を前進しながら冒険をする物語。発表から間もない1985年に漫画界のカンヌとも言われるアングレーム国際漫画祭でPrix Temoignage Chretienという賞に輝きました。そして、2013年には韓国の名匠、ポン・ジュノ監督がこの漫画を原作にした実写の映画「スノーピアサー」を発表しています。(2016/10/03)


文化
イスタンブールの「悪い娘たち」  トルコ出身の風刺漫画家、ラミズ・エレール(Ramize Erer) のおオシャレで奔放な世界
最近、痛快な風刺漫画を見た。若い女性がカミソリでせっせと体中、脱毛している漫画で、最後に毛を剃り終わってベッドに入ると、毛むくじゃらな大男が現れて愛撫する、というものだった。なんとも皮肉な漫画だが、スカッとしていて後味は悪くない。作者はラミズ・エレール( Ramiz Erer 1963- )という女性で、トルコのイスタンブールからパリに移住した風刺漫画家だと知った。 彼女は「悪い娘たち」という一連の漫画で知られており、悪い娘たちというのはつまり、快楽主義的にふるまうということだ。トルコのようなイスラム社会においてそのような自由奔放な娘たちの行状を新聞に描くことは勇気ある挑戦だっただろう。(2016/10/03)


みる・よむ・きく
小林敏彦著 「ニュース英語 パワーボキャビル4000語」(語研)
英単語の学習本を手にしたのは学生時代の「試験に出る英単語」=通称「シケ単」以来になりますが、小林敏彦著 「ニュース英語 パワーボキャビル4000語」(語研)でまとめられているテーマ別の単語集はニュースを読んだり、また日本から英語で発信するときにとても役に立ちそうな一冊です。(2016/10/02)


国際
米朝関係の霧  続けられる元米政府外交官たちと北朝鮮政府高官との非公式折衝
 アメリカの元外交官・情報部員そして学者たちの一行と、北朝鮮政府高官が米朝関係や半島の非核化などを巡る非公式折衝を続けている、とワシントンポストにティム・サリバン(Tim Sullivan)氏の一文が掲載されていた。非公式折衝はシンガポール、ベルリン、北京など各地で行われてきたそうである。もし、現実に半島の非核化や米朝関係改善の現実性が出てきた場合は、非公式折衝から公式折衝に移行し、米政府が正式に報道発表する性質のもので、現段階では両者の話し合いは霧の中に包まれたままだという。(2016/10/02)


人権/反差別/司法
米議会で問われたサウジアラビアとの関係  9・11のテロ被害者がテロを防止しなかったサウジアラビアに対して個人的に訴訟を起こせる法案が可決
 米議会でサウジアラビアと米国の関係が問い返されている。2001年の9・11同時多発テロの発生に関してサウジアラビア政府関係者が関与していたことが米政府の報告に上がっており、たとえばロサンゼルスのサウジアラビア領事が2000年にサウジアラビアから入国したテロリストに便宜を個人的に与えていたとされる。こうした場合に、テロの被害者や家族が個人としてサウジアラビア政府や要人に対して、訴訟を起こすことを可能にする法案がアメリカ議会で可決した。もちろん、相手はサウジアラビアに限定されない。テロに関してはたとえ米本土で起きたとしても、テロリストの出身国や要人などに責任を問えることになる。この意味を報道番組の「デモクラシー・ナウ!」が報じている。(2016/10/01)


文化
フランスBD界の巨匠 テッド・ブノワ氏、亡くなる  「ブレイクとモーティマーの冒険」シリーズなどエルジェの影響を受け明快なタッチの漫画をフランスで描く
フランスの著名な漫画家・台本作家のテッド・ブノワ氏(Ted Benoit 本名ティエリー・ブノワ)が亡くなった。69歳だった。ブノワ氏はフランス人だが、「タンタン」の作者で知られるベルギーの漫画家エルジェの影響を受け、明快なタッチの漫画を描いた。その代表作には「ブレイクとモーティマーの冒険」(les aventures de Blake et Mortimer)シリーズや、伊達なサングラスがトレードマークの「レイバナナ」(Ray Banana)などがある。(2016/10/01)


農と食
引き取った二羽の鶏との生活   女優・演出家 コルネリー・スタティウス・ミュラー( Cornelie Statius Muller )
フランスのある劣悪な養鶏施設が摘発され、今年、施設の衛生状態改善の命令を受けた時、施設で飼育されていた鶏が全て殺されることになりました。そこで鶏の命を救うため、フランス全土から人々が施設に集まり、飼育できるだけの鶏を買い取って持ち帰っていきました。命を取り留めた鶏の数は1万五千羽にのぼるそうです。リヨンの劇場で演出や美術監督の仕事をしているコルネリー・スタティウス・ミュラーさんもその一人です。二羽の鶏を引き取り、アトリエで飼育しています。そして、鶏が産んだ卵(無精卵)を食べているのです。ミュラーさんに飼育の話を聞きました。(2016/09/30)


人権/反差別/司法
元・フランス国民戦線の候補者に罰金3000ユーロの求刑  司法大臣(当時)クリスチャーヌ・トビラ氏を猿にたとえた風刺画をFacebookに掲載した罪で
2014年春に国民戦線が爆発的な勢いで地方議員を増やしたことは記憶に新しいはず。その前年の秋、同党から地方議員選挙に立候補していたフランス人の女性がFacebookのページに当時の司法大臣を猿にたとえた風刺画を掲載した罪で、今週、パリで罰金3000ユーロが検察から求刑された(ただし執行猶予付き)。さらに執行猶予2か月の求刑。ちょっとした風刺画じゃないか、と思う人もいるだろうが、司法当局に人種差別主義に該当すると判断されたためだ。報道によれば猿の絵の隣に司法大臣の写真が貼られていて、猿に「生後18か月」、司法大臣に「現在」と説明をつけていたという。(2016/09/29)


コラム
言葉とその中身  「左翼リベラル」とは何なのか?
インターネットの世界におけるソーシャルメディアが盛んになって、毎日、各界の著名人のほか、一般の市民もあふれるほど多くの言説〜自己の発言であれ、他人の発言の反復であれ〜を行っています。特に、ツイッターやフェイスブックのように、書き込めるスペースが小さなメディアの場合は言説が基本的に単純化された短いテキストが中心になっています。そうした環境では言葉や概念がそれぞれ何を意味しているのか、その定義を確認し、共通認識を持つことが難しくなっています。(2016/09/29)


コラム
ヒラリー・クリントン 対 ドナルド・トランプ 第一回目の討論会(9月26日)  ヒラリーの余裕 
アメリカ共和党と民主党の大統領候補の3回のTV討論の1回目が9月26日に行われた。ヒラリー・クリントン候補(民主党) 対 ドナルド・トランプ候補(共和党)である。討論は90分で、6つのトピックをそれぞれ15分間論じていく。アメリカの税制(企業減税か、富裕層への課税か)、自由貿易協定の是非、核兵器などの対外軍事政策、警察と銃器の問題など、予備選でもさんざん論じられてきたテーマでもある。討論を見た人の印象だが、いくつかの外国紙の報道ではクリントン氏の方が優勢だった、と観る人が多かったようだ。トランプ氏が特に失敗した、という印象はなく、これまでの共和党予備選と同様にマイペースで話をしていくのだが、今回、1つの変化が見られた。それは討論相手のヒラリー・クリントン氏のスマイルである。(2016/09/28)


国際
イラン外相がNYTで警告  サウジアラビアのワッハーブ主義がイスラム教をゆがめている
イラン外相のモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ氏がニューヨークタイムズに'Rid the world of Wahhabism'(ワッハーブ主義を世界から一掃せよ)と題する一文を寄稿した(9月15日付 国際版)。かなり力強い文体で、今、世界で問題になっている紛争は「シーア派対スンニ派」という古典的な対立ではない、それはイスラム教主流派対ワッハーブ主義の闘いだ、と訴えている。つまり、スンニ派の大多数もワッハーブ主義の暴力の対象となっていると言っているのである。(2016/09/27)


反戦・平和
杉山千佐子さん、亡くなる 享年101 民間の戦災傷害者として無念の思いを糧に国に問いかけ続けた女性
名古屋大空襲で被災し、片眼を失ったのち、戦後、全国戦災傷害者連絡会を立ち上げ、民間人の戦争被害者にも国は補償をせよ、と戦時災害援護法の制定を訴え続けた杉山千佐子さんが9月18日、亡くなった。101歳だった。国は杉山さんの訴えを却下し続けてきた。(2016/09/24)


国際
欠陥票読み取りマシンが大問題に 紙のバックアップがないと選挙が危ない・・・ ロイター通信ワシントン発
ロイター通信のワシントン発の記事。アメリカの選挙の票読み取りマシンの欠陥問題。タッチスクリーン方式で、紙に残らないものはデータ上の不安が大きいと指摘。アメリカの有権者の4人に1人がこのタイプの機械で投票しているという。(2016/09/24)


国際
北朝鮮の核兵器開発問題 「米新大統領の最初の100日間が北朝鮮との交渉の要になる」 米専門家の提言
 北朝鮮が今年に入ってすでに2回核実験を行い、その他、ミサイルテストは17回行ったと書き起こして、この問題をどう考えるべきかニューヨークタイムズ(国際版9月14日付)で提言しているのが、ジョエルS. ウィット(Joel S.Wit)氏〜ジョンズホプキンス大学にあるU.S.コリア研究所のシニアフェロー〜です。興味深い分析と論旨と思われるので、以下、ウィット氏のNYT寄稿テキスト'How to stop North Korea'の論点を記します。(2016/09/23)


国際
アメリカのシリア軍「誤爆」と米国防総省  NYT社説(9月16日付)に潜む暗示
中東に詳しい平田伊都子氏が触れたように9月17日、アメリカ軍が停戦違反とも受け取れるシリア軍への爆撃を行いました。この概要については平田氏の記事を参照していただくとして、振り返ると、9月16日付のニューヨークタイムズ国際版の社説がシリア停戦の見通しが不透明であることを匂わせていたことに注目せざるを得ません。その社説は’America's Mr. Diplomacy'(アメリカのミスター外交)と題するもので、通常は2つの社説が入るスペースをこれ1本で埋めた力の入ったものでした。(2016/09/23)


国際
北フランス・カレーの港で渡英を目指す難民阻止の「壁」建設工事が始まる
英国が欧州連合から離脱することを決めた6月の国民投票から丁度3か月、フランス北部の港湾都市カレーに難民が英国に不法流入するのを阻止するための壁の建設工事が今週始まった。現在、地面にコンクリを流し込んで基盤を作っている模様。(2016/09/23)


文化
米劇作家エドワード・オールビー氏、死す  「動物園物語」 「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」ほか
アメリカの劇作家エドワード・オールビーが逝った。享年88.代表作の1つ、 「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」が新聞の追悼記事で最も触れられている。この劇は映画化もされているが、アメリカの地方大学の教授夫婦の日常を赤裸々に描いた喜劇的な作品だった。しかし、かつてオールビー氏は「不条理演劇」というラベルで紹介されていた。デビュー作の「動物園物語」が普通のドラマとは相当に異なる物語だったからだ。(2016/09/20)


文化
僕の好きな映画  フィリップ・ラゴートリエール Philippe Lagautrière
僕が最初に映画館で見た映画はたぶん、アルベール・ラモリスの「赤い風船」(1956)だった気がする。それから、ジャック・タチの「僕のおじさん」。それから、ロベール・デリの”Les Branquignols"。もっと後になると次のようになります。(2016/09/20)


みる・よむ・きく
りんひろこ著「NYスタイルのジャーサラダレシピ」(世界文化社」)
サラダと言えばレタスとトマトに既存のドレッシング、という定番以外のサラダがなかなか頭に浮かばない・・・そんな人に目から鱗が落ちるがりんひろこ著「NYスタイルのジャーサラダレシピ」でしょう。タイトルにあるように本書は縦長のガラスの瓶(ジャー)に何層にも分けてドレッシングと様々な野菜を詰め込むスタイルを取っています。ジャーに入れる理由は職場などに持ち込むためです。(2016/09/19)


文化
僕の好きな本  フィリップ・ラゴートリエール Philippe Lagautrière
子供の頃、僕の両親は夜に読書するのを禁止していたんだ。だから、僕は本をシーツの下に隠して、小さなランプを使ってこっそり読んでいた。たくさんの本をむさぼるように読んだんだ。親の禁止に立ち向かうこと、これは読書の世界への最良の入り方だったと思う。最良の本を10冊ほどに絞るのはとても難しい。いい本はたくさんあるからね。だから、今、頭に思い浮かぶものを列記してみよう。(2016/09/19)


文化
ジャック・フレッシュミュラー展 < Je vous aime beaucoup (私はあなたを熱愛します)>Jacques Flèchemuller  コリーヌ・ボネ(パリの画廊主)
  パリのコリーヌ・ボネ画廊では今月から、ジャック・フレッシュミュラー展が開催されています。定点観測の場所をコリーヌ・ボネ画廊にしている理由は何より筆者が独断と偏見において面白い画廊だと感じるからに他なりません。そこでは70年代から80年代にかけて若者だった当時の売れっ子の前衛アーチストたちが、フランス経済が下降し、国が困難を極めている現在、どのように生きているかが見えるからでもあります。そして、彼らは今日も意気軒高であり、自由の空気を持っています。今回、展示が始まったジャック・フレッシュミュラー氏もそうしたアーチストの一人なのです。画廊主のコリーヌ・ボネさんに聞きました。(2016/09/17)


コラム
民進党新体制と安保政策
 民進党代表戦で右派の野田派に属する蓮舫参院議員が選ばれ、その幹事長に野田佳彦元首相が就任しました。野田氏は蓮根のように蓮の花(蓮舫)を支える、と記者団に語りました。このような人選に「驚いた」という人もいますが、野田派の蓮舫議員が野田元首相の影響力の下にあることは言うまでもありません。折しも沖縄のヘリパッド建設を巡り、政府の強硬姿勢に対して住民の闘争が激化している最中のことです。この蓮舫=野田ラインの野党第一党の新体制は今後の政局にどう影響するのでしょうか。そこで日刊ベリタの2004年の記事を振り返ってみたいと思います。2004年の志村宏忠記者の記事によると、蓮舫議員は参院議員に初当選して、父親の郷里である台湾を訪ねています。この時の政権は民進党(正式には民主進歩党ですが、略せば日本の民進党と同じ名前です)の陳水扁政権で、中国からの独立を旗印に当選を果たしていました。蓮舫議員は日本の参院議員として、陳水扁総統と会見したほか、呂秀蓮副総統らの討論会にも参加しています。(2016/09/17)


検証・メディア
アルジェリアのパロディ新聞  <放射能を浴びた福島の野菜全部をサウジアラビアが買い取ると言明。その背後にワッハーブ派イスラム教を広める思惑がある>
先ほどアルジェリアのパロディ新聞の記事に騙されそうになった経緯を書きましたが、そのパロディ新聞エル・マンシャール(EL MANCHAR ) (2016/09/16)


国際
あ、騙された・・・  アルジェリアのパロディ新聞エル・マンシャール(EL MANCHAR )
インターネット空間には真偽不明かつ玉石混交の情報が日々飛び交っています。昨日、筆者も思わず騙されそうになりました。その情報とはTVを中心に露出度が高い、フランスの著名な右翼論客、エリック・ゼムール氏が自殺を試みようとしたという記事です。記事によると、ゼムール氏が自殺を試みようとした背景には意外な事実をゼムール氏が知ってしまったからで、それは排外主義的言動を行ってきたエリック・ゼムール氏自身の先祖がアルジェリア人だった、というもの。記事には両親が、それを打ち明けると息子の精神に影響すると思い、隠してきたと取材文体で書かれています。(2016/09/16)


みる・よむ・きく
寺田直子著 「ホテルブランド物語 〜人材を育てる一流の仕事とは?〜」(カラー版)
角川oneテーマ21という新書から出ている寺田直子著 「ホテルブランド物語 〜人材を育てる一流の仕事とは?〜」は2006年の出版と10年前のものですが、今読んでも興味深く読める本です。この本が書かれたのはその頃、外資系の高級ホテルが日本に進出していたからかと推察しますが、その時事性に限定されず、もっと一般的なホテル論として読むことができるからです。(2016/09/15)


国際
二重国籍騒動 と 米大統領選  
蓮舫議員の民進党代表選挙出馬に伴って浮上した台湾との二重国籍問題が今、話題になっています。TVだけでなく、インターネットでも批判する人もいれば、二重国籍で何が悪い、という人もいます。この問題は外国ではどうなのか、ということで外国では二重国籍の政治家も少なくない、という実情がまずあるようです。アメリカの政治の中心、ワシントンDCで発行されている政治ジャーナルのThe Hill誌に、L. Michael Hagerという名前の論者が二重国籍と政治家のことで論考を出しています。タイトルは’When dual citizenship becomes conflict of interest’(二重国籍が利益の相克を生むとき)です。この人はInternational Development Law Organizationの創設者のひとりとして紹介されています。アマゾンの出版物の紹介欄によれば元弁護士・外交官で世界各地で活動してきたようです。(2016/09/14)


教育
クリス・ロンズデール氏のTED講演 「外国語を半年で習得する方法」  TEDtalksから
各界で先進的な業績をあげた人々が講演を行うTEDのシリーズのyoutube映像版で「How to learn any language in six months (外国語を半年で習得する方法)」という興味深い講演があります。講師は クリス・ロンズデール(Chris Lonsdale)氏、ニュージーランド出身で、80年代初頭に中国に留学して中国語を習得した人のようですが、心理学を応用した独自の語学習得法を生み出したようです。その映像が以下。場所は香港の嶺南大学です。この映像には日本語字幕もあり、必要なら選択できる設定になっています。(2016/09/13)


みる・よむ・きく
マーティン・ファクラー著 「『本当のこと』を伝えない日本の新聞」  地方紙の可能性と沈下する全国紙
ニューヨークタイムズ東京支局長(当時)のマーティン・ファクラー氏が書き下ろした日本メディア論「『本当のこと』を伝えない日本の新聞」は2012年7月に出版されました。2012年7月と言えば民主党の野田政権の時代で、東日本大震災から1年ほど経過した頃です。出版された当時は記者クラブのこととか、大手メディアの給料のことなどに目が行きましたが、今、再び手にしてみると、興味のポイントが変わっているのを感じました。(2016/09/12)


みる・よむ・きく
吉田正俊著 「理解しやすい英文法」(文英堂)  大学受験だけでなく、英語をもう一度おさらいしたい時に便利な参考書
何十年ぶりかで英語の文法のおさらいをしようと思い、新刊書店や大手の古書店で大学受験生向けの英文法書を10冊くらい買って、夏休みに読み比べてみました。それぞれ良さや個性がありますが、自分が読んでみて一押しと思ったのが、吉田正俊著 「理解しやすい英文法」(文英堂)です。シグマベストというシリーズから出ています。「理解しやすい英文法」は、非常によく整理されていて、英文を分解したら、どのようになり、それらの単語がどのように結合していくのか、基本的に1トピックが1ページで、わかりやすくまとめられています。この見せ方は編集者の力でもあるのでしょうが、基本的には吉田氏の教育方法が優れていたんじゃないか、と思いました。(2016/09/11)


コラム
パレスチナの演劇人と共同制作の舞台 「ミラー」  2016年の現実を映し出した鏡のような舞台  そして国境を越えるユーモア
先週、東京で幕をこれから上げようとする「ミラー」という舞台について紹介する記事を書きました。パレスチナから2人の演劇人〜演出家と俳優〜を招いて、東京演劇アンサンブルが彼らと共同で舞台を作ったのです。その幕が昨日上がりました。限られた夏の時間枠の中で当初は脚本もなく、文化も状況も言語も異なる他者と舞台を作り上げて予定通りに幕を上げるのは相当に難しかったに違いありません。しかし、舞台は想像以上に面白い。パレスチナの演劇人の観察力とユーモアに日本の劇団員たちも(そして観客も)触発され、2016年の世界が映し出されていたと感じました。「ミラー」=鏡、というタイトルの通り、それはまさに今の私たち自身の自画像でもあります。(2016/09/10)


TPP/脱グローバリゼーション
あの大富豪兄弟が自由貿易推進のため新たな草の根運動を展開  コーク兄弟VSトランプ候補
  今日のニューヨークタイムズ国際版には興味深い記事が出ていました。今、揺れている大統領選挙との絡みで、アメリカの大富豪コーク兄弟が新たな政治運動を展開しているというものです。今年の大統領選は波乱に富んでおり、たとえば共和党ではTPPも含めて一切の自由貿易を批判するドナルド・トランプ候補が指名されました。これは自由貿易を推進してきた共和党では異例の事態です。そうした文脈の中で、危機感を抱いた大富豪のコーク兄弟(共和党支持者)はトランプ以後を視野に入れた長期的な自由貿易推進のための草の根運動を始めたというのです。(2016/09/08)


文化
パリのイラストレーター・画家のルル・ラーセン(Lulu Larsen)氏が亡くなる  「バズーカ」(Bazooka)という若手グループに参加、リベラシオン紙などのメディアで活躍
パリのイラストレーターで画家のルル・ラーセン氏が8月末に亡くなった。享年62.ルル・ラーセン氏(本名 フィリップ・ルノー)は1974年にバズーカ(Bazooka)という若者のイラスト制作集団に参加し、リベラシオン紙などのメディアへ進出、奔放で自由なタッチで仲間とともに新しい時代を築いた。次の映像はバズーカを取材したRomain Slocombe氏がルル・ラーセン氏にインタビューした時のもの。彼のイラストが多数インサートされていて、未見の人にとっては貴重な映像資料である。(2016/09/08)


コラム
育毛剤の広告  いかに自己嫌悪を起こさせるかにしのぎを削り、努力しろ、闘えと説く  だがその効果は?
  電車には多くの薄毛の男性が乗っていて、彼らが目を留めるのが車内に吊られた雑誌広告。そこには薄毛がもてはやされる時代が来た、というようなことが書かれています。これは最近インターネットで見た育毛剤の動画広告の冒頭です。今まで不幸だった薄毛の人たちがついに解放される時代が来たか、と言えばその宣伝ではすぐに、そんな時代は永遠に来ない、と冷や水をかけるのです。だから、闘え、育毛剤を買って薄毛対策をせよ、という趣旨です。しかし、この宣伝を見てハッピーになった薄毛の人はいないでしょう。むしろ、嘲笑われている、と思うのではないでしょうか。もちろん、その育毛剤を購入して本当に薄毛がすっかり解消できたらよいのです。(2016/09/07)


文化
フランスの前衛的作家ミシェル・ビュトール氏が死去   
フランスの前衛的作家として知られるミシェル・ビュトール氏が亡くなった。89歳だった。もっとも著名な作品は1957年に発表された「心変わり」という小説であり、原題はLa Modification。これは主人公の男がパリからローマに向けて移動していく際の心境をつづった旅の物語だが、主人公の人称を「 vous = あなた」として書いた新しい文体として話題になったという。(2016/09/07)


コラム
日本メディアの神話  沖縄、南沙諸島、朝鮮戦争をつなぐもの
 この稿を起こすにあたって最初に述べておきたいのですが、僕自身は中国の政権や北朝鮮の政権が好きではありません。とはいえ、これらの国々の軍事力に対して日本の国内新聞が書く記事は世界の基準からすると、非常におかしなものになっているように思えます。中国が空母の建設に取りかかったり、軍事費を増大させたりすることは脅威ですし、北朝鮮のミサイル開発もまた由々しき事態であることは間違いありません。だから、それらの国々の指導者を批判する記事が日本でたくさん書かれています。東アジアで日本が平和を愛するのに対して、これらの国々が一方的に誤った指導者に率いられて軍事力を底上げしているから日本が脅威にさらされている、という文脈です。(2016/09/05)


みる・よむ・きく
パレスチナの演劇人と共同制作の舞台 「ミラー」 9月9日から上演
パレスチナで演劇活動を続けてきた演出家と俳優が来日して、日本の劇団とともにいま、公演の準備を行っています。演出家のイハーブ・ザーハダ(Ihab Zahdeh)さんと俳優のムハンマド・ティティ(Mohammad Titi)さんです。ともに1977年生まれ。パレスチナの一線で活躍している国際的な演劇人です。二人が2008年にヘブロンに立ち上げた劇団がイエスシアターです。占領下で傷ついた青少年や女性たちに向けて演劇を通した教育活動を行ってきたそうです。彼らはブラジルの演出家、アウグスト・ボアール(Augusto Boal,1931−2009)が構築した「被抑圧者の演劇」という理論など世界とパレスチナの双方の文化をベースにしており、演劇を通して状況を理解し、それを乗り越える契機をつかむことを狙っているのです。(2016/09/03)


コラム
インドネシアのドッキリテレビ 
 何年か前、インドネシアを旅しました。島と島を結ぶインドネシアの国内航空機に乗りこんで座席につくや、前の座席の後ろについている小さなスクリーンで一斉にインドネシアの国内番組らしい映像が音声付きで映し出されるではありませんか。それは日本で1970年代に流行した「どっきりカメラ」のインドネシア版であるとわかるまでに何秒も要しませんでした。スタッフが人をだまして、その狼狽ぶりを隠し撮りして笑う、というスタイルの番組です。(2016/09/03)


コラム
2040年の歴史の授業
2040年の歴史の授業はどんなものだろう。たとえばこんな風景だろうか。中学の歴史の授業。先生が生徒におさらいで問いかける。先生 「第二次世界大戦後、日本経済を立て直した政治家は誰かな?山田」 生徒1 「安倍首相です」  先生「その通り。アベノミクスの三本の矢はもうしっかり頭に入ったよね。これは絶対に試験に出るからね。アベノミクスのおかげで、生産が拡大し、労働者の給料は大きく増え、消費が大きく増えたんだったね。それでは、日本の国防を立て直し、世界で再び戦える国にした政治家は誰かな、田中」 生徒2「安倍首相です」(2016/08/30)


人権/反差別/司法
共謀罪と捜査の端緒   現実の危険性の有無から、主観重視へ刑法の大きな転換点に
治安維持法に詳しかった刑法学者の故・中山研一教授(京大名誉教授)が晩年、非常に心配していたのが共謀罪の法制化で、何度となく、これに関して発言をしていました。教授の生きている間にはついに法制化されませんでしたが、しかし、今回、オリンピックのテロ対策という理由で、今までより一段とソフトになって法案が再登場してきました。しかも、与党が両院で過半数を握っている状況です。(2016/08/28)


みる・よむ・きく
米原万里著 「必笑小咄のテクニック」   読み手をミスリードする情報の海の中で
ゴルバチョフ大統領の通訳で知られ、ロシア語の通訳者でエッセイストでもあった米原万里氏が亡くなる少し前に書き下ろした本が集英社新書の「必笑小咄のテクニック」で2005年に出版されています。本書の中で米原さんは小咄(ジョーク)の核心は「詐欺の手口にソックリ」と言っています。つまり、落ちに至るまでに、聞き手をミスリードする(誤った方向に誘導する)ことがジョークの核心である、ということになるそうです。(2016/08/24)


みる・よむ・きく
細部の記憶を掘り起こすための努力   クロード・ランズマン監督のドキュメンタリー「生者が通る」(Un vivant qui passe ) 
クロード・ランズマン監督のドキュメンタリー「生者が通る」(Un vivant qui passe )は医師とインタビュアーのランズマン監督の二人の質疑応答が作品の核になっていて文字通り、インタビューが作品そのものになっています。ランズマン氏がインタビューしたスイス人の医師は第二次大戦末期の1944年にチェコのテレジエンシュタット強制収容所を赤十字国際委員会の視察団団長として訪れました。また、その前の年は飛び込みで独力でポーランドのアウシュビッツ強制収容所を訪ねています。このインタビューが撮影されたのは1979年ですから、35〜36年の歳月を隔てています。(2016/08/23)


国際
トルコの通信社Anadolu Agency   イラクの自爆用ベストをまとった少年を地元警察が逮捕した映像を公開
イラクの都市キルクーク周辺のモスクを爆破しようと、自爆用のベストをまとった10代の少年を地元警察官が逮捕した。その映像をトルコの通信社 Anadolu Agency がウェブでアップしている。8月21日の未遂事件。(2016/08/22)


みる・よむ・きく
アルベール・カミュ作 「客」  (短編集「追放と王国」から) アルジェリア戦争とフランス人入植者
去年、アルベール・カミュの原作の映画「涙するまで、生きる」が公開されました。舞台はフランスからの独立戦争が始まったばかりの1954年のアルジェリア。この映画が今、作られた理由はイスラム世界と西欧がどう関係を築いていくか動揺している時代だからだと思われます。しかし、映画は現在ではなく、60年近い前の時代に題材をとりました。なぜ今の時代を描くのに、アルジェリア独立戦争を題材にするのでしょうか。(2016/08/22)


農と食
英語と料理の勉強が同時にできるyoutubeチャンネル シェフ・ジョンのFood Wishes シリーズ
インターネットの世界には数多くの料理法を教えるビデオ映像があり、それぞれ特徴や個性がありますが、人気を博している1つがシェフ・ジョンことジョン・ミッツェウィッチという名前のシェフが企画している「Food Wishes」というシリーズです。これはyoutubeで見ることができます。通常3分から5分くらいで1つのレシピを紹介しています。ステーキもあればパスタもあり、ポテト料理もあればカレー、シチューやスウィートなどもあります。(2016/08/21)


国際
トルコの「合意があれば子供とのセックスは解禁」は西欧の誤解という報道  端緒はスウェーデンとトルコとの確執から  来年1月までに新たな罰則を制定か
昨日、本サイトで「非常事態宣言後のトルコ  憲法裁判所が12歳から15歳までの年齢の子供とのセックスは子供の合意があれば解禁することに決定」という見出しの紹介記事を書いた。すると知人から、別のソースの記事が送られてきた。そこには欧州で広まっている記事にはトルコの憲法裁判所の決定をめぐる経緯や、誤解されている部分などがあるとされていた。昨日書いた紹介記事の冒頭は以下。(2016/08/20)


国際
トルコのLGBTの象徴的運動家だったHande Kaderさん(22歳 男性から女性に性転換)が焼き殺される
今月8日、トルコでLGBT(同性愛者・トランスジェンダー・バイセクシャル)の運動家だったHande Kaderさん(22歳)が全身を焼かれた状態で発見された。そして亡くなった。Kaderさんは男性から女性に性転換し、イスタンブールのセックス産業で働いていたという。去年、LGBTのデモがエルドアン政権によって禁じられたが、デモを敢行し、性的マイノリティと呼ばれるLGBTの象徴的存在となっていた。(2016/08/19)


国際
非常事態宣言後のトルコ  憲法裁判所が12歳から15歳までの年齢の子供とのセックスは子供の合意があれば解禁することに決定  (→ この記事については翌日、補足と修正の記事あり)
先月のクーデター未遂で憲法裁判所などを含む多数の司法関係者が解任されたトルコで憲法裁判所によって新たな司法の決定が下された。12歳から15歳までの少年少女とセックスしても、子供の側の合意があれば「性的虐待」とはみなさない、とする解禁措置である。これまでは合意があろうとなかろうと、相手が子供であるという理由で、無差別に「性的虐待」として犯罪行為とされていたのだが、その法律を覆したのだ。トルコ大手の Anadolu Agencyが発信したとされ、様々な独立メディアや英国のインディペンデント紙などが報道している。人権団体などが抗議の声を挙げているようだ。(2016/08/19)


みる・よむ・きく
「重要な任務 」としての虐殺   「生者が通る」(Un vivant qui passe ) クロード・ランズマンのインタビューから
排外主義は1930年代からドイツを中心として欧州に蔓延し、それはペストのように一部の極端な政治家だけでなく、多くの市民も巻き込んでいきました。自分たちは欧州の盟主であり、欧州を守るためにはユダヤ人を始末しなくてはならない、という風にナチスは提唱し、それがドイツの標準となってしまったことは恐るべき歴史です。フランスのドキュメンタリー作家クロード・ランズマンはホロコーストを記録した映画「ショアー」で知られていますが、その映画を製作していた時にスイスの医師にインタビューしていました。このインタビューは独立したドキュメンタリー作品として公開され、さらには活字として書店にも並ぶことになりました。「生者が通る」(Un vivant qui passe )というタイトルです。ランズマン氏がインタビューしたスイス人の医師は第二次大戦末期の1944年にチェコのテレジエンシュタット強制収容所を赤十字国際委員会の視察団団長として訪れました。実は、この医師(モーリス・ロスル氏)はその前年に一人でアウシュビッツ強制収容所も訪問していました。(2016/08/18)


みる・よむ・きく
ナチスの徹底した偽装工作に医師はだまされた  「生者が通る」(Un vivant qui passe ) クロード・ランズマンのインタビューから
排外主義の特徴の1つがある特定の民族をゲットーなどに押し込めてしまうことです。これは南アフリカでもアパルトヘイト政策として行われていました。その隔離された施設でいったい何が起きていたのか。1944年、チェコスロバキア(当時)にあったナチスのテレージエンシュタット強制収容所に赤十字国際委員会の視察団が訪れます。ところが、彼らはナチスの偽装工作に騙されてしまったのでした。(2016/08/18)


みる・よむ・きく
強制収容所の眼差し 「生者が通る」(Un vivant qui passe ) クロード・ランズマンのインタビューから
フランスのドキュメンタリー作家クロード・ランズマンはホロコーストを記録した映画「ショアー」で知られていますが、その映画を製作していた時にスイスの医師にインタビューしていました。このインタビューは独立したドキュメンタリー作品として公開され、さらには活字として書店にも並ぶことになりました。「生者が通る」(Un vivant qui passe )というタイトルです。ランズマン氏がインタビューしたスイス人の医師は第二次大戦末期にチェコのテレジエンシュタット強制収容所を赤十字国際委員会の視察団団長として訪れました。このドキュメンタリーは様々な問いかけを含んでいますが、忘れられないやりとりの1つに収容されていたユダヤ人の眼差しの強さがあります。(2016/08/17)


国際
ヒラリー・クリントンとその外交  2009年のホンジュラスのクーデターを振り返る
中南米に詳しいマーク・ウェイスブロット氏(Mark Weisbrot)がヒラリー・クリントン国務長官(当時)の中南米外交の問題点をアルジャジーラで指摘している。<Hard choices: Hillary Clinton admits role in Honduran coup aftermath>というテキストである。2年前、ヒラリー・クリントン氏は長官時代を振り返った「ハードチョイス(困難な選択)」という自伝を出版した。これは2015年に大統領選(予備選)に出馬するためのステップだとアメリカでは受け取られた。本書の中でヒラリー・クリントン氏はリビア外交の失敗なども触れており、それが「困難な選択」というタイトルの由縁である。その中の中南米の部分で、ウェイスブロット氏はヒラリー・クリントン氏がホンジュラスで2009年6月に起きたクーデターについて都合よく弁明していることに腹を立てている。ウェイスブロット氏はアルジャジーラで次のように指摘している。(2016/08/16)


国際
イエメンで誘拐された赤十字国際委員会(ICRC)職員の身代金の期限が迫る? 外国人らの誘拐が相次ぐ
赤十字国際委員会(ICRC)職員としてイエメンの首都サナアで働いていた女性、Nourane Houasさんが誘拐されたのは昨年12月だったが、先週金曜日、誘拐犯から、身代金を払わなければ72時間以内に処刑するというビデオ映像が公開されたという。情報源はイエメンのローカルメディアBuyemen だとされる。以下がその媒体のようだ。(2016/08/15)


みる・よむ・きく
ガブリエル・ズックマン著「失われた国家の富 〜タックス・ヘイブンの経済学〜」 トマ・ピケティ教授の協力者・弟子が書き下ろしたタックス・ヘイブンの分析と対策
ガブリエル・ズックマン著「失われた国家の富 〜タックス・ヘイブンの経済学〜」が日本で翻訳されたのは去年の3月。それからおそよ1年後の今春、「パナマ文書」が暴露された。課税を逃れるためにいわゆるタックス・ヘイブンという課税がゼロだったり課税率が低かったりする場所に法人を設立したり、そこへ資産を移していたりした企業や個人の名前が公開され、世界をゆすぶったことは記憶に新しい。本書の著者ガブリエル・ズックマン氏は「21世紀の資本」で著名なフランスの経済学者トマ・ピケティ氏の弟子であり、同時にピケティ教授が資料を集める時に欠かせない若手研究者である。(2016/08/14)


欧州
カンヌ市長が海水浴場での’ burkini=ブルキニ’ 着用を禁止 8月末まで
南仏カンヌの市長が7月28日に市内の海水浴場や遊泳上での「ブルキニ」(burkini) 着用を禁じる政令を出しました。 ブルキニとはイスラム教徒の女性が着用する全身を覆う衣装のブルカに似た、公衆の場で女性が肌の露出を避ける水着のことです。ベールと違って、全身がすっぽり入るブルカの様式なので、女性が普通の水着を着用している中で、目立ってしまいます。ブルキニにも、デザインは国や地域で様々あり、黒いいかにも厳格な信者を想像させるブルキニもあれば、色もカラフルなものもあるようです。(2016/08/13)


みる・よむ・きく
ド二・ディドロ著 「絵画について」   マニエールという悪習
フランス近代啓蒙主義のリーダーの一人、ド二・ディドロ(Denis Diderot ,1713 - 1784)は百科全書以外にも、数々の対話体の作品を書いていますが、芸術にも造詣が深く、「絵画について」という絵画論も著しています。ディドロが活躍したのはフランス革命の少し前にあたる18世紀後半です。翻訳の佐々木健一氏の解説によると、1648年にフランスの威信をかけた絵画彫刻アカデミーが結成され、その会員たちによる作品の展覧会が始まったのは1660年代からでした。そして、ディドロが筆をふるった18世紀半ばにはルーブル宮の一間を使ったサロン展が定期的に行われ、多くの人々が詰めかけ、人気を博していた頃だそうです。そして、その模様を伝えるジャーナリズムもまた盛んになった時代でした。(2016/08/10)


農と食
屠殺場と大量飼育の養鶏場の地獄から救われた鶏たちの話 女優・演出家 コルネリー・スタティウス・ミュラー( Cornelie Statius Muller )
 ル・ガエク・デュ・ペラ(Le Geac du Perrat)は28万羽の養鶏場で、アン県(Ain、フランス東部の国境周辺の地方、ブレス鶏で知られる)にありました。L214という動物愛護団体が3年前にその養鶏施設のビデオを作成して、不衛生な環境や劣悪な鶏の取り扱いを告発していました。そのため養鶏場は改善を求められ、改良しなくてはならなくなったのです。ところが3年後になっても未だに劣悪な状態が続いていたため、L214は短いバージョンのビデオを公開して農業大臣に養鶏施設を操業停止させたのです。それから1か月以上の間に鶏を保護しようと個人や組織など様々な人々が鶏に手を差し伸べました。(2016/08/09)


農と食
私が菜食主義者になった理由  女優・演出家 コルネリー・スタティウス・ミュラー( Cornelie Statius Muller )
私は家の中のものでも、農園のものでも、野生のものでも常に動物を愛してきました。しかし、ほとんどの人は肉を食べるのが普通です。その肉がそれぞれなんの動物であるか知っていながらです。私は肉を食べる場合を限定しようとしてきました。それは肉となる動物が生き物にふさわしい環境で育てられたと考えられる場合であり、産業的な大量生産システムではない場合です。しかし、私は食肉産業によって大量生産された肉を買うことも過去にはありました。なぜならその方が簡単であり、みんながそうしているからです。しかし、読書によって知識を得た私は、動物に悲惨な生活を強いることは許容できないと考えるに至りました。そこで肉を買って食べるのをやめるのと同時に、肉そのものを食べることをやめる決意をしたのです。(2016/08/09)


みる・よむ・きく
赤狩り時代を生き抜いたハリウッドの名脚本家の闘いを描く 「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」
アメリカの赤狩り時代に立ち向かった一人の映画脚本家の闘いを描く「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」が公開されています。赤狩り時代に本名で脚本を発表できなかったために他人の名前で作品を発表するしかなく、アカデミー賞の授賞式にも立ち会えなかった伝説の人物として知られていました。多数の傑作を残していますが、この映画では「ローマの休日」を執筆した時のエピソードなどが盛り込まれています。(2016/08/08)


みる・よむ・きく
王様の風格  復刻してほしいオットー・ソグロー作「とっても優雅なリトルキング」(Oh! Such free-born LITTLE KING!)
上に立つ人が気が短かったり、神経過敏だったり、思いやりの薄い人だったりして、部下が鬱病になったり、退職したりといったケースが増えているようです。そういう意味で、今、もう一度見直してもいいのでは、と思うのがアメリカの漫画家、オットー・ソグローによる「とっても優雅なリトルキング」(Oh! Such free-born LITTLE KING!)シリーズです。原題を見ると、free-bornと書かれていますが、辞書を引くと「自由民」とか「自由の身の上に生まれた」と書かれています。言い換えると、奴隷ではない、ということのようです。(2016/08/07)


みる・よむ・きく
ジャン=フィリップ・トゥーサン著 「衝動と我慢」 (L' URGENCE ET LA PATIENCE) その2 
ベルギー生まれの作家ジャン=フィリップ・トゥーサン氏が自己の文学の歩みをそのデビュー当時から振り返ってつづったのが本書,’L' URGENCE ET LA PATIENCE’というタイトルの本で、ミニュイ社から出版されています。デビューしたのもこの出版社で、その経緯も書かれています。まだ日本語訳が出ていないと思われるため、前回、仮に「衝動と我慢」という風にタイトルを訳してみましたが、urgenceを衝動と訳してよいのか、本書の中でurgenceについて語った節を読むと我ながら、考えさせられてしまいます。ここでトゥーサン氏が説いているのは作家にとって必要なurgenceとは、いわゆるインスピレーションのことではない、と言っているからです。(2016/08/07)


人権/反差別/司法
フランスと死刑  死刑廃止の原動力となったクリスチャン・ラニュッチ事件  そして今、死刑復活を唱える政治家も
1976年7月28日にフランスで一人の青年が死刑にされました。クリスチャン・ラニュッチという名前で、少女を誘拐して殺した容疑でした。ところが、この事件には冤罪説が色濃く残されており、最後まで無罪を訴え続けた22歳の若者がギロチンで死刑にされたこの事件よって自分は死刑廃止論者になったという人が多いようです。作家のジル・ペロー(Gilles Perrault)が冤罪を訴える本「赤いセーター」を書きましたが、フランスでは著名な本のです。(2016/08/06)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画 「メルシー、パトロン!」(ありがとう、経営者さま) 「ファッション界の法王」に迫る、今年フランスで大ヒット中の反貧困映画
 今年、フランスで大ヒットしたドキュメンタリー映画が「メルシー、パトロン!」(ありがとう、経営者さま)です。映画館は爆笑の渦です。監督は左翼新聞「Fakir」の創刊者で編集長のフランソワ・リュファン氏、40歳くらいの精力的なジャーナリストで、映画を作ったのは今回が初めて。活字の世界の人がなぜ映画を作ったかと言えば、アメリカのドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーアに大いに刺激されたからだと言います。「メルシー、パトロン!」はフランスのある服飾関連の工場が労賃の安い東欧に移転したため、労働者たちは失業して町も疲弊している、そんな地方の町を舞台にしています。(2016/08/03)


みる・よむ・きく
中野好夫著 「シェイクスピアの面白さ」  シェイクスピア没後400周年  近代演劇とは何だったのか  
 今年は英国の劇作家ウイリアム・シェイクスピアが亡くなって400年目。1616年に亡くなっているから、日本の歴史で見ると江戸時代が始まったばかりの頃になる。そんな古い作家でありながら、今日でもシェイクスピアは世界各地の劇場で上演され、観客を魅了している。しかし、日本のシェイクスピア劇についてみると、最近は今一つ低調になっている気がする。そこで日本のシェイクピアの研究者の1人として知られる中野好夫氏の「シェイクスピアの面白さ」を手にしてみた。(2016/07/31)


国際
アメリカの留学生の3分の1が中国人  中国人30万人超に対して日本人は2万人弱  年々強まる米中間のコミュニケーション
 アメリカのフォーリンポリシー誌によると、中国からアメリカに留学する学生は30万人を超えた。現在、アメリカの留学生総数が約97万人で、およそ3人に1人が中国人となっている。その一方、日本人はというと1万9000人ほどに過ぎない。中国人の15分の1ほどの割合となる。そして、中国からの留学生は増え続けている。記事によれば2004年あたりから、激増しているようだ。この頃はリーマンショック前で米国人が借金して安い中国製品を貿易赤字を気にせずどんどん輸入していた時代である。そして、この頃、中国人が買った米国債は日本人の保有する額を抜き、アメリカの急所は中国人が握ったことになる。中国人が米国債を一気に放出しないようにアメリカは願っているから、やすやすと中国と戦争などはできないし、米政治家が対中国のタカ派的な発言をしているとしても、リップサービスの可能性が高い。(2016/07/29)


コラム
飛ばし読みの勧め  夏休みだからこそ普段読めないものに挑戦できます 
プルーストの長大な作品「失われた時を求めて」は日本語訳された文庫で14冊〜15冊くらいあったと思います。これを全部読むのはなかなか大変です。でも、僕が懇意にしていただいていたフランスの書店主は「本と言うものは読むのがしんどいところは読み飛ばすものですよ」とよく言っていたものです。読むのが大変になって苦痛になって、ページが停まってしまったまま、永遠にそこでストップするよりも、そこは一気に飛ばして、次の面白くなるところから再び読み続けて最後まで行く方が実りがあるということだと思います。そして、あとで余裕が出たら、読み飛ばしたところを読み足せばよいのです。このことを書店主はsauter(飛ぶ)という単語を使って教えてくれました。これはバッタが地面から飛び立つイメージです。日本語でも「飛ばし読み」と「飛」の字を使うところは同じですね。(2016/07/29)


国際
トルコのエルドアン政権の言論弾圧が進行中 「非常事態宣言」で新聞45紙、TV16チャンネル、15の雑誌、出版社29社、23のラジオ局、報道会社3社が停止措置、89人の記者らメディア職員も拘束される
7月28日付のフランスメディアの記事によると、クーデター未遂の後にトルコでエルドアン大統領が行っている弾圧は教育や司法、軍部から、さらにメディアに波及した。新聞45紙、TV16チャンネル、15の雑誌、出版社29社、23のラジオ局、報道会社3社が停止措置を命じられたという。(2016/07/29)


国際
日曜 イスタンブールのタクシム広場で野党が呼びかけた「反大統領独裁 反軍事クーデター トルコに民主主義を」のデモ 政教分離を目指しながらも軍事独裁にも反対
トルコの民主化運動のシンボルとなっているタクシム広場で日曜日に大がかりなデモが行われた。呼びかけたのは野党第一党の共和人民党(CHP)。共和人民党は1923年にケマルアタテュルクによって設立された中道左派であり、政教分離を目指し、与党の公正発展党とは一線を画している。また、クルド人の声を代弁するクルド系左翼政党「人民民主主義党(HDP)」の支持者も土曜日にイスタンブールの郊外でデモを行った。(2016/07/27)


国際
フランス北部のルーアン近郊の町でイスラム国戦士を名乗る2人組がカトリック教会に侵入 司祭の喉を切り殺害 
今日、北部のルーアン近郊の町でイスラム国戦士を名乗る2人組がカトリック教会に侵入し、司祭ののどをナイフで切って殺害した。教会でテロ行為が行われたことが衝撃を与えている。(2016/07/26)


検証・メディア
NYT社説「ドナルド・トランプ大統領か、ヒラリー・クリントン大統領か」 〜トランプ政権の場合、在日米軍撤収及び日本の国内政治に不干渉の可能性も〜 モラリストであることをやめるというトランプ候補
ニューヨークタイムズ紙はジャーナリズムの原則は尊重するとしながらも、政治的中立はうたっていない。ニューヨークタイムズはヒラリー・クリントン氏を大統領に推薦すると以前、公表していた。そのニューヨークタイムズが「TRUMPWORLD VS CLINTONWORLD 」と題する社説を発表した(7月26日)。直訳すれば「トランプの世界 VS クリントンの世界」となる。二人の政治姿勢がまったく異なることを言っているのだ。(2016/07/26)


国際
ニースの殺傷事件後、地元党員が増加していると発表した国民戦線  警備を監督した内務大臣に辞職を要求 
フランスのメトロニュース(フリーペーパー)やEurope1などの報道によれば、チュニジアからの移民の男が7月14日にニースで引き起こしたトラックによる無差別殺傷事件のあと、極右政党・国民戦線の地元支部におよそ100人が急遽、入党した。100人がどれほどの多さかはともかく、国民戦線はフランス・メディアにそのことを積極的に発表しているようだ。今回の事件を来年、大統領選に出馬予定のマリーヌ・ルペン党首の追い風にしたい模様である。これまで国民戦線が言ってきた通りの結果になっていると言っているそうだ。報道によれば国民戦線は全国の警備を監督する役目の社会党の内務大臣ベルナール・カズヌーブ氏の辞任を要求している。ニースの事件に関してはテレビ番組の対談で警察職員がカズヌーブ内務大臣の行動に対して内部告発を行ったことがきっかけとなっている。(2016/07/26)


コラム
非常事態宣言と行政府による司法権の徹底的解体  トルコのケースから
  自民党による憲法改正案の中で、多くの人が指摘しているように、非常事態条項がもっとも独裁につながる危険が大きいことがわかります。いったん非常事態になれば内閣が議会を通さず、法律を制定できる、という意味でただちに立法権の掌握になりますが、それと同時に、注目すべきことは司法権も侵される可能性が高いことです。今回、トルコのクーデター未遂のあとの非常事態宣言下の状況を見る際、トルコの司法界を克明に観察する必要があります。なぜならエルドアン大統領はまず自分に批判的と思われる司法関係者を一網打尽にしたからです。(2016/07/25)


国際
トルコをめぐる報道  英紙ガーディアン「非常事態宣言下の大統領令で1043の私立学校閉鎖 資金は財務省が没収」 
 エルドアン大統領は3か月の非常事態宣言発令後、初の大統領令として1043の私立学校の閉鎖を命じた。これらの学校はクーデターの発案者と非難されている米亡命中の宗教指導者ギュレン師の影響下にあるという理由だという。英紙ガーディアンが報じている。さらに1229の施設や組織、35の医療施設、19の労働組合が閉鎖を命じられ、それらの資金は財務省が没収することになという。(2016/07/24)


みる・よむ・きく
オルハン・パムクの文学  西欧近代主義とイスラム主義の狭間で
クーデター未遂の後、トルコではイスラム主義政党「公正発展党(AKP)」を率いるエルドアン大統領が世俗派に対する弾圧を強めており、時々刻々とその報道が入って来る日々です。トルコはもともとイスラム国家の盟主だったオスマン帝国が第一次大戦で敗れ、領土が縮小し、国も政教分離を原則として近代化に邁進してきましたが、時々にイスラム主義への揺り戻しがあり、時計の振り子のようにオスマン帝国への復古主義と、政教分離の近代主義に揺れてきたとされ、今はエルドアン大統領のもとで激しく再び復古の側に動きつつあります。こうしたトルコの政治を背景に、ノーベル文学賞を受賞した作家のオルハン・パムクはその受賞記念講演に際して「父のスーツケース」という文章を発表しました。(2016/07/24)


国際
クーデター未遂のあと トルコの教師21000人が資格を剥奪される  非常事態宣言で実現
ロイターによると、私立学校の教職員21000人が資格を剥奪されたという。さらに、大学の学部長1577人が辞職を命じられたという。教師や学部長らが職を奪われている理由はクーデターに関与したという理由だそうだ。(2016/07/24)


みる・よむ・きく
ド二・ディドロ作 「ラモーの甥」  格差社会に生きる太鼓持ちの哲学を辛辣に描く戯曲
 フランスの啓蒙思想家で、作家でもあったディドロの代表作が「ラモーの甥」です。主人公は18世紀の著名な音楽家ラモーを叔父に持つ、「ラモーの甥」という中年男です。ラモーの甥は物まねやお世辞、貴族の子弟のための恋の助っ人などが得意で、そういう太鼓持ちの才能をいかんなく発揮して貴族に飯を食わせてもらってきた男。寄食している関係で、食にありつけるのが不定期なのか、食べられるときにはガツガツ食べることに専心するようです。そのため、時々で肥満したり、痩せていたりと体形が変化すると書かれています。(2016/07/24)


国際
ニースの殺傷事件の傷あと  ムスリムの母親も犠牲となった
ニースでの暴走トラックによる84人の殺人事件のあと、フランスメディアではこの波紋が未だに続いている。ある記事では犯人はバイセクシャルだったために、イスラム国は無関係であることを決め込んだ、という内容だった。また、ある記事では北のノルマンディの海岸で、スカーフをかぶったムスリムの女性たちとその家族の一団に向かって、市長らが「遠くに行ってくれ」と言ったとする記事が出ていた。これはムスリム系のウェブサイトだったが、こうしたことは毎年起きているけど、ほとんどメディアは取り上げない、と嘆いている。一方、市長は人種差別ではなく、彼らのパラソルが警備活動の妨げになるからだ、と抗弁したという。(2016/07/24)


文化
詩人たちは逝った  エリ・ヴィーゼル著 「夜」  セブリーヌ・ダンフルー(著述家) Severine Danflous 
  詩人たち、証言者たちが息を引きとっていく。そして、再び夜がすべてを覆い隠す。だからこそ、私たちは世界に光を輝かせ、この世界で詩を失わずに生きていくために、力(超人の勇気)が必要だ。「ある日、私たちが労働から帰ってくると、法廷の前に3つの絞首台が設置されていた。3本の黒い縄がついている。親衛隊員たちが私たちの前で、機関銃を向けていた。いつもの儀式だ。3人が罪人として鎖に繋がれていた。まだ子供もそこにいる。悲しい目をした天使だった。・・・」(2016/07/21)


文化
どうして事実に縛られるの? インゲボルク・バッハマン著「マリーナ」について  セブリーヌ・ダンフルー(著述家) Severine Danflous 
 実話に基づいた作品というのが、映画でも、文学でも流行していてまるで「実話」がすべてを覆いつくしているみたいですね。そこで今回、私が取り上げたいのはオーストリアの女性作家・詩人であるインゲボルク・バッハマンの小説「マリーナ」です。バッハマンは「マリーナ」の中でこんな風に綴っているんですよ。「いつか女性が真紅の黄金の目を持つ日が来るでしょう。髪も真紅の黄金となるのです。また、女性という性も詩として再創造されるのです」(2016/07/19)


国際
ロシア唯一の空母が10月からイスラム国攻撃に参加か  ロシアの通信社RTが報じる
ロシアの報道機関RTは非公式発表と断った上でロシアの空母アドミラル・クズネツォフが10月からシリアのイスラム国兵士の討伐に参加する予定であることを報じた。軍事作戦は10月から来年1月までの4か月のようである。(2016/07/18)


国際
トルコのエルドアン大統領に対する軍事クーデターの失敗   英語圏の新聞での報じられ方
トルコで先週末に起きたエルドアン大統領に対する軍のクーデターは200人以上の死者を出してほぼ鎮圧された模様です。このクーデターが何を意味するのか、英米の新聞を見ると、いくつかの解釈を伝えていました。参照したのはニューヨークタイムズとイギリスのミラー紙です。(2016/07/17)


コラム
ペンギン・ジョーク    
「ニューヨークのタクシー運転手のジョーク集」というのを買うと、エッチなジョークもあれば政治を笑うものもあり、ここまでは各国共通ですが、中にペンギン・ジョークと言う独特の分野があることに気づきます。ペンギン・ジョークとはペンギンがバーに入ってきてカウンターに上がったり歩き回ったりする。そんなペンギンのふるまい対してバーテンが何かを言うというお決まりのパターンです。ペンギンがバーにやって来る、というシュールな状況に対して、バーテンは極めて日常的なノーマルな反応をする、という落差が笑いの源になっています。(2016/07/17)


コラム
ニースの暴走トラック事件   テロなのか、絶望ゆえの単独犯行か  村上良太
ニースで昨日のパリ祭(フランス共和国の革命記念日)の花火大会にトラックが突っ込んで80人以上をひき殺した事件、フランスではチュニジア生まれの男性が引き起こした事件であると報じられています。フランス人からすれば、またイスラム国関係か?と思った人も少なくなく、チュニジア出身ということでその連想をする人もいるようです。チュニジアと言えばイスラム国に最も多数の兵士を送り込んだ国だからです。しかし、未だ、イスラム国などは関与を声明しておらず、それとは違った可能性もあります。パリ在住のアラビア系の名前を持つ知人のメへディ(Mehdi)さん(無神論者)にこの事件についてどう思っているか、聞いてみました。 Q どう感じましたか? A あまりにも悲しい出来事です。(2016/07/16)


国際
テロとフランスの軍事介入 ルモンドディプロマティークが近年のフランスの軍事介入を報じる
ルモンドディプロマティーク誌はフランスが2001年の同時多発テロ以後、どれくらい頻繁に海外で軍事介入してきたかを昨年暮れに発表しています。これは昨年来、頻発するフランス国内のテロを意識した報道だと思います。ちょうど昨日はニースでテロ事件と思われる殺傷事件が起きたばかりです。フランスの人たちは互いに安否を確認しあっている状況です。そもそもフランスでなぜこれほどテロが頻発しているのか。風刺漫画のためなのか?そうではなく、フランスは近年、頻繁に海外で軍事作戦を展開しています。ルモンドディプロマティークのまとめによると次のようになります。(2016/07/15)


アフリカ
宇佐美圭司著 「20世紀美術」   「還元的情熱」とその未来
いったい現代美術はどのようになっているのだろう。昔は印象派とか、キュビズムといった流派があったけれど今の時代にも何か潮流があるんだろうか。そもそも、この時代に芸術家は何をしているのだろう。現代美術の展覧会に出かけたけれど、いったいこの芸術家はどのような位置に立っているのだろうか・・・。そうした疑問を持つ人がいたとしたら、1つの視点を与えてくれるのが画家の宇佐美圭司氏が書き下ろした「20世紀美術」である。この本で宇佐美氏は前衛美術の20世紀を振り返り、そこに大きな物語を見せてくれる。「20世紀美術」では欧州で始まった印象派、そして、シュールレアリスムなどの芸術革命から20世紀の美術が発展していったことがまず描かれている。そのキーワードは宇佐美氏によれば「還元的情熱」ということになる。(2016/07/15)


コラム
父親の教え
一家の父親、山田太郎が子供たちを茶の間に集めて、これからのことについて諭した。太郎「いいか、私の言うことをよく聞くんだ。お前たちが学校でどんな教えを受けてきたかは、だいたいわかっている。『言論の自由』とか、『個人の尊厳』とか、意味のない絵に描いた餅ばかりだろう。だが、もうそんな時代じゃなくなったんだ。いいか、自分が話したいことを話すことに特別な意味はないんだ。個人の意見などに意味はないんだ。よく覚えておきなさい。よいか、一郎、みんなが夏休みに海に行きたい、と言っているときに、山に行きたいとか、そんなくだらないことを言うもんじゃないんだ。・・・」(2016/07/13)


アフリカ
フランスの大統領への手紙(Monsieur le President)  フランスは不正選挙で生まれたコンゴ共和国の政権にノンを突きつけてほしい  コンゴ出身の作家 アラン・マバンクゥ ( Alain Mabanckou )
フランスの大統領へ、外国在住のコンゴ人もコンゴ共和国内で世も昼も闘争している人々もあなたが長い間、不正なコンゴの大統領選挙の結果について沈黙を保っていることを知っています。この選挙は今年3月にコンゴ-ブラザビルで行われ、ド二・サス・ンゲソを不正にも権力の座にまた座らせることになりました。ンゲソはその一族とともに30年以上も権力の座を独占し続けています。選挙の不正は透明性のなさの上に繰り返し行われており、ンゲソは世界の人々の前であなたが大統領をつとめているフランスと同様の民主国家を偽装しているのです。(2016/07/11)


みる・よむ・きく
戦災傷害者の無念を描く  ドキュメンタリー映画「おみすてになるのですか〜傷痕の民〜」  村上良太
  林雅行監督のドキュメンタリー映画「おみすてになるのですか 傷痕の民」について書いたのは今から6年前になります。この映画は戦争で被災した民間人の戦後の苦しみを描いた傑作です。戦争法制ともいわれる「安保法制」が国会で可決した去年は戦後70年を飾る年でした。戦後70年に、戦争を容認する法律が強行採決されたことの意味を考えていると、そのことは戦争を直接に体験した人々の多くが死に絶えてしまったことなのだな、という事実につきあたります。そこでもう一度、この映画の紹介文を掲載したいと思います。(2016/07/11)


文化
コンゴの政情について僕はフランスの外務大臣と話した  アラン・マバンクゥ(作家 Alain Mabanckou )
アラン・マバンクゥ(作家)「僕は7月8日、オルセー河岸(フランス外務省)に赴き、外務大臣のジャン=マルク・エロー氏にコンゴの政情について訴えることができました。フランスは僕が以前フランソワ・オランド大統領に提言した方向で動いています。コンゴで行われた昨年の憲法改正と今年3月の大統領選挙が引き起こしている政情危機を脱するために、コンゴ共和国政府とフランス政府の対話がいかに必要で、緊急を要しているか、ということです」(2016/07/11)


政治
選挙の投票に行った人にはサービス  「選挙割」  
今年の参院選では「選挙割」が話題になっています。「選挙割」とは選挙で投票した人にはお店で割引サービスなどをすることを指します。ラーメンの一風堂でも今回の参院選では国内全店で「選挙割」を導入するという。7月7日の一風堂のプレスリリースによると、「投票済証明書」を持参すれば替玉か、玉子が無料になるという。有効期間は7月10日の選挙当日から31日の月末までのようだ。(2016/07/09)


みる・よむ・きく
林健太郎著「ワイマル共和国 ヒトラーを出現させたもの」(中公新書)   ヒトラーを頂点に押し上げた大工業資本家たち
 今度の日曜日の参議院選挙は自民・公明が日本国憲法を改正できるかどうか、参院で改憲を発議するための3分の2の議席を狙う、戦後最も注目される選挙になっています。安倍政権の幹部である麻生太郎氏は以前、憲法改正はナチスに倣って国民が気が付かないように静かにやるべきである、という意味の発言をして国際社会から批判を浴びたことがありました。安倍政権を支える日本会議のイデオローグである憲法学者・百地章氏も、あるインタビュー記事でワイマール共和国を研究したと語っています。そこで、世界一民主的と言われたワイマル共和国をナチスが解体していくプロセスを検証した林健太郎著「ワイマル共和国 ヒトラーを出現させたもの」を読みました。(2016/07/08)


みる・よむ・きく
マーティン・ファクラー著 「安倍政権にひれ伏す日本のメディア」  ニューヨークタイムズ前東京支局長が「日本の世論調査は誘導尋問のような『世論操作』だ」
ニューヨークタイムズ前東京支局長のマーティン・ファクラー氏が書き下ろした「安倍政権にひれ伏す日本のメディア」は今年2月に出版された本です。今の日本の新聞やテレビメディアに対する厳しい評価が下されています。特に第二次安倍政権になってから、官邸のメディア対策が第一次安倍政権時代から格段に進化して高校野球からプロ野球になり、メジャーリーグを目指しているのに対して、日本のメディアは未だに高校野球レベルを出ていない、としています。(2016/07/06)


安倍政権を検証する
「積極的平和主義」の影響が明瞭に ダッカの人質事件と海外での「自衛隊」の初戦闘の可能性 
  今回のバングラディッシュの首都ダッカで起きたイスラム国系戦闘員による日本人も含めた人質事件。立てこもりがもっと長く続いていた場合、日本初の戦争になった可能性もあります。昨年9月に安保法制が国会で可決され、自衛隊は日本人が海外で拉致されたり、人質にされたりした場合に救援活動の中で軍事的に応戦することが可能となっています。自衛隊は事件が起きた当該国の政府の承認があった場合は邦人の輸送だけでなく、必要な場合は武力の行使を含めた邦人の身柄の安全確保ができる、ということになったからです。(2016/07/04)


文化
音楽にかける青春 岩宙平さん(28) プラハで指揮者デビュー  Chuhei Iwasaki
今、もっとも生き生きとした日本の指揮者の一人がプラハで活躍中の岩宙平氏(28)です。プラハ音楽院に留学後、ドヴォルジャークやショスタコーヴィッチの曲を振って指揮者デビュー。作曲家としても活動しており、自作のシンフォニーも指揮しています。将来、大きな期待がかけられる人でしょう。今回、その岩崎さんに、プラハでの音楽生活についてお聞きしました。(2016/07/03)


文化
ロシアへの旅  アンナ・パウロヴァー ( チェコのクラリネット奏者 ) Anna Paulová
音楽の街、プラハのクラリネット奏者、アンナ・パウロヴァーさんが今回、演奏旅行にやってきたのはロシア。チェコとロシアと言えば、過去の歴史には苦い記憶もありました。1968年、ソ連の戦車がやってきて人間の顔をした社会主義を目指した「プラハの春」を押しつぶしてしまったことです。しかし、1993年生まれの未だ22歳のアンナさんにとっては、ソ連時代も直接知らない過去の歴史です。(2016/07/02)


欧州
ペットへの虐待は絶対に許せない  社会学者ミシェル・フィズ(Michel Fize)
人権という言葉があっても、犬や猫の権利という言葉は生まれていない。ペットの愛好家がいる反面で、ペットを捨てたり、虐待したり、殺したりするケースも多数告発されており、それは国境を越えてフランスでも同様のようである。「ペットへの虐待は絶対に許せない」そう憤慨したコラムをハフィントンポストのフランス語版に寄稿したのはパリ在住の社会学者ミシェル・フィズ氏(Michel Fize)だ。(2016/07/02)


コラム
「アベノミクスの弱点」  3年後   グローバル時代の「ルイスの転換点」
アベノミクスがマスメディアの絶賛を浴びて登場して半年後に筆者は日刊ベリタに「アベノミクスの弱点」(2013年6月)と題する文章を書きました。テーマはいくら日銀が金融緩和しても自由貿易の流れと工場や生産施設の海外移転が止まらない限り、実質賃金が上がらないから、アベノミクスは成功しないだろう、ということでした。この原稿を書いたのはアベノミクスが始まっても工場の国内回帰の流れがほとんどないどころか、さらに空洞化が進んでいることが明らかになってきたのを新聞で読んでからでした。デフレ対策は重要と思っていましたから、金融緩和で何か変わるかも・・・という期待は当初持ちましたが、結局、日本企業の世界戦略は変わらなかったのです。むしろM&Aを通して外国企業を買収して海外で稼ごうという戦略が明瞭になっています。あれから丸々3年経ちましたが、日本国内の実質賃金はアベノミクスが始まって3年連続して低下し続けています。(2016/07/01)


みる・よむ・きく
アジアの女性の実像を探る意欲的な試み 「Rethinking Representations of Asian Women」(アジアの女性の表象を再考する) 10人の社会学者・文化人類学者が研究を持ち寄り編纂
 今年出版された意欲的な本の1つが「Rethinking Representations of Asian Women」(アジアの女性の表象を再考する) です。アジアの女性の実像を探る意欲的な試みで、10人のアジアの社会学者・文化人類学者がそれぞれの研究を持ち寄り、伊地知紀子氏、加藤敦典氏、櫻田涼子氏の3人の日本の研究者が最終的に1冊の本にまとめ上げました。特筆されることはこの本が英文で外国の出版社から出版されたことです。そのことによって、日本人だけでなく、英語を理解するアジアの人々、あるいは世界の人々がこれらの研究にアクセスできるようになりました。具体的なテキストはバリエーションに富んでいます。■台湾の女性の水子供養を研究したもの、■食肉関連の仕事を割り振られてきたネパールの社会の下層カーストに位置する女性たちの生活向上のための互助的な取り組み、・・・(2016/06/30)


みる・よむ・きく
子安宣邦著 「『大正』を読み直す」(藤原書店) 戦後70年の原型としての大正時代 
近世日本思想史が専門の子安宣邦教授の話題の最新刊が「『大正』を読み直す」(藤原書店)です。話題の、と書いたのは様々な新聞で書評が書かれ、注目を集めているからに他なりません。なぜ今、「大正」時代に注目するのかと言えば、大正時代が明治と昭和の狭間の15年ばかりの短い時代(1912−1926)だったにも関わらず、日本で戦前の軍国主義・全体主義が揺籃された決定的な時代だったからであり、これが子安氏が本書を書いた動機にもなっています。(2016/06/29)


みる・よむ・きく
ジャン・ビヤンボーム著 「宗教に対する沈黙 〜ジハーディズムに直面した左翼〜」
フランスのパリでは昨年1月に風刺新聞のシャーリー・エブドに対するテロが起き、風刺漫画家ら12人以上が殺されました。フランスでは「私はシャーリーだ」というプラカードを掲げて市民が多数抗議に参加しましたが、この時、日本では<異国の宗教を風刺する漫画を描くのはけしからん><シャーリー・エブドはヘイト団体だ>と言ったようにむしろ、殺された風刺漫画家たちへの非難の渦が起きました。さらに<イスラム国とイスラム教は関係ない>というメッセージも国境を越えて飛び交いました。11月に今度はパリのカフェテラスにいた普通の人々や劇場でコンサートを楽しんでいた人々がテロに会い100人以上が殺されました。(2016/06/28)


コラム
改憲後の新聞  「プラウダにイズベスチヤ(ニュース)なし、イズベスチヤにプラウダ(真実)なし」
憲法がもし改正された後、新聞業界はどう変わるのだろうか? 「公益」という言葉のもとで表現の自由が規制される上に、特定秘密保護法もあり、面白い記事が今以上に出てこれなくなることが予想されるのである。新聞ファンには耐えられないことだろう。 (2016/06/27)


文化
パリの画家/漫画家のオリビア・クラベルさんにインタビュー2 Interview Olivia Clavel ブリジット・フォンテーヌの奇想天外な歌 「ヌガー」のビデオクリップづくり
フランスのポップ歌手、ブリジット・フォンテーヌ( Brigitte Fontaine )が1988年に出したアルバム「フランスの心臓」に収録された「ヌガー」( Le Nougat )。ヌガーとはキャンデーにナッツが練り込まれた甘い菓子です。その歌詞はこんな風に始まります。「朝、元気いっぱいで目が覚めた私はコーヒー沸かしのスイッチを入れた。それから私は浴室に飛び込んだ。すると、そのとき、私の体は凍りついた!シャワーの下に1頭の象がいたからよ。象は私をやさしく見つめた。私は赤くなって口ごもりながら尋ねた。(2016/06/26)


欧州
Brexit 最初の作業は大陸とのトンネル封鎖  英国内務大臣が発表
英国の欧州連合からの離脱をBrexitと(Britain とexitとからなる造語か)と呼んでいますが、国民投票で離脱を決めて間髪入れず、フランスとの間にかかるトンネルを封鎖する作業に入る、と内務大臣のテレーザ・メイ(Theresa May)が発表した。このトンネルから多くの違法な移民が英国に流入しており、離脱が決まると駆け込みで入ってくるのを危惧してのことだろうか。(2016/06/25)


欧州
英・国民投票  欧州連合離脱派が勝利  キャメロン首相は辞意表明との報道
昨日行われた英国の国民投票で、欧州連合からの離脱を望む票が多数を占め、英国の欧州連合離脱が確定した。デビッド・キャメロン首相は辞意を表明したと報じられている。また、投票では若い世代ほど、欧州連合に留まりたい意向を示していたようだ。(2016/06/24)


文化
「レ・タン・モデルヌ誌」(Les Temps Modernes) サルトル、ボ―ヴォワール、メルロー・ポンティらが創刊 今も時代のテーマを取り上げる パトリス・マニグリエ(Patrice Maniglier パリ大学准教授・哲学者)
 「レ・タン・モデルヌ誌」を知っていますか?サルトル、ボ―ヴォワール、メルロー・ポンティ、モーリス・ナドーらが1945年に創刊した評論誌です。きっと皆さんはご存じないでしょうね。僕の友達や知人、そして運動の仲間たちの大半は「レ・タン・モデルヌ」に関して偏見を抱いています。「レ・タン・モデルヌ」は自由な評論に特徴があるんです。形式の自由ではなくて、内容の自由ですよ。また、そのボリュームに限定されたアカデミックな評論誌というわけではありません。(もちろん、わずか50ページしかない評論誌というのは類がないでしょうが)。しかし、「レ・タン・モデルヌ」は極度に辛辣な評論ですら掲載可能な媒体なのです。(2016/06/24)


欧州
スコットランド民族党、二コラ・スタージョン党首「もし英国が欧州連合離脱を決め、スコットランドが欧州連合残留を望んだ場合、スコットランドで英国からの独立を求める住民投票を求める声が非常に強まるでしょう」
  23日、英国では欧州連合を離脱するかどうか、国民投票が行われた。現在、未だ結果は出ていない。英国の行方を握る大きなファクターがスコットランド民族党である。昨年の総選挙で一気に50人台に議員を乗せ、独立に向けて大きく躍進した。そのカリスマ的リーダーが二コラ・スタージョン党首であり、スコットランド民族党は英国からの分離独立を目指す一方、欧州連合には留まりたいと考えている。そのため、もし英国が欧州連合離脱を決めた場合は、一層両者の違いが顕著となる。(2016/06/24)


欧州
英国のEU離脱国民投票  英国経済の明暗は?  キャメロン首相の胸の内
6月23日、今日、英国では欧州連合に留まるか、離脱するかの国民投票が行われる。不思議なことだが、首相のデビッド・キャメロン氏は離脱反対を唱えていると報道されている。しかし、そもそも、この国民投票を行うと国民に提示したのはキャメロン首相に他ならない。この国民投票でもし、離脱派が過半数を占めて離脱することに決定した場合、英国経済は苦境に陥る、という報道が複数出ている。その代表的なものが英紙ガーディアンで報じられた投機家のジョージ・ソロス氏の言葉である。ソロス氏はもし離脱派が勝利した場合のポンド・スターリングの下落幅は1992年9月に起きた15%以上になるだろう、と語っている。さらに、当時は金利を大幅に下げる余地があったが、今はすでに0.5%の超低金利であるから、これ以上金利を下げて景気対策をすることもできない、と警告している。(2016/06/23)


人権/反差別/司法
パリ警視総監がデモ禁止令  約半世紀ぶり  
フランスのメディア各社によると、6月23日(木)にパリで労働組合などが予定していた労働法改正反対のデモがパリ警視総監の命令で許可が下りなかった。デモが禁止されたのは半世紀ぶりとされる。(2016/06/22)


文化
作家ピーエル・パシェの「眠る力」について  セブリーヌ・ダンフルー(著述家) Severine Danflous 
作家でエッセイストのピエール・パシェが亡くなった。パシェが亡くなったので私は再び彼の作品を手に取ってみた。「眠る力」というタイトルの素晴らしいエッセイだ。このエッセイの中で、パシェは作家のフランツ・カフカと夜について言及している。(2016/06/22)


欧州
サッカー欧州大会 「EURO2016」 ニュースの生放送中に「労働法改正はレッドカード(退場)です」
 パリでは5月から議会で審議入りしている労働法改正問題で今も紛糾しています。フランス全土で労働組合や学生がデモを行い、パリでも街路は機動隊と市民の間で激しいもみ合いが続いています。そんな最中、折しも欧州サッカー大会「EURO2016]も今月から来月10日にかけてパリで開幕されます。そこでこんなハプニングがありました。あるサッカー関連番組のTV収録中に一人の女性がサッカーファンとしてインタビューを受けていましたが、話の最後に「1つだけ言わせて」と。彼女が取り出したのは「労働法改正はレッドカードです(退場です)」と訴える赤いチラシ。(2016/06/21)


コラム
保守と革新  何が革新で何が保守なのか?
 最近、日本では保守とか革新という言葉の使われ方が曖昧になっているところはないでしょうか。マスメディアで今、注目を集める論客、中島岳志氏(東京工業大学教授)が自身の立場を「リベラル保守」という言葉で掲げています。「リベラル保守宣言」という著書も出されています。この言葉の「保守」とはどういう意味なのでしょうか?筆者は未読なので、詳しいことは不明ですが、最近行われた朝日新聞のインタビューには以下のようなくだりがありました。中島氏の保守と革新という言葉についての考え方が記されていますので引用したいと思います。 Q 「保守的」とされる自民党の改憲草案は、憲法を一気に書き換えようとするものですよね。中島「あの改憲草案は、非常に『革新』的です。・・・」(2016/06/20)


安倍政権を検証する
民進党の蓮舫議員  菅原一秀議員(自民党)「(蓮舫氏が)日本人に帰化をしたことが悔しくて悲しくて泣いた」への反論
自民党の菅原一秀衆院議員(東京9区)が東京都知事選をめぐって民進党の蓮舫議員につき「五輪に反対で、『日本人に帰化をしたことが悔しくて悲しくて泣いた』と自らのブログに書いている。そのような方を選ぶ都民はいない」と発言したと報じられた。そのような事実があったのかどうかも含めて、社会的な問題となっている件に関して、民進党の蓮舫議員はツイッターで次のように書いた。(2016/06/19)


国際
マスメディアによる世論調査の検証の必要性  サンプリングが適切かどうか  世論調査が誤っていた去年の英国の選挙の場合 統計上の誤差を考えると細かい増減で一喜一憂するのは愚か
昨年の英国の総選挙で、世論調査の支持率と投票後の結果が大きく異なっていたことがあり、英国ではなぜそのようなことになったのか、検証が行われました。本紙でも数学に詳しい谷克彦氏による問題提起がなされています。英国の場合、事前の世論調査では労働党と保守党が拮抗しているとされましたが、蓋を開けてみたら、保守党の圧勝だった問題です。英国で調査委員会が組織され、検証した結果、世論調査で意見聴取が行われたサンプル集団に偏りがあり、サンプルに含まれる労働党支持者の割合が実際の社会の割合よりもかなり多かったことが明らかになりました。(2016/06/19)


コラム
選挙と投票率  なぜ若い世代になるほど投票率が下がるのか  この分析に野党躍進のヒントがある
投票率を年齢別に分析してみると、基本的な傾向として年齢が低くなるほど投票率が低下しており、2014年の衆院選を振り返れば60代が68.28%とトップ、50代は60.07%、70代以上が59.46%、40代が49.98%、30代が42.09%、20代が32.58%となっています。20代に至っては投票したのは3人に1人となっています。この傾向は長期的なものですから、その意味では若い世代の投票率を上げることが野党には必要になるでしょう。以下は総務省の年代別の投票率のデータです。いったいなぜ、年齢が高いほど投票率が高く、年齢が低いほど投票率が低いのでしょうか。(2016/06/18)


みる・よむ・きく
福島第一原発事故から緊迫の5日間を描く映画「太陽の蓋」  7月16日から劇場公開
この夏、7月16日から映画館で公開が行われる映画「太陽の蓋」。2011年3月11日、東日本大震災による福島第一原発事故の発生から緊迫の5日間を、新聞記者を主人公に設定し、事故の対応に追われた菅直人首相や枝野幸男内閣官房長官、さらにその周辺で活動していた実際の担当者たちを実名で登場させ、あの時、何が起きていたのかを追体験できるように作られた映画のようです。(2016/06/17)


みる・よむ・きく
「誤報じゃないのになぜ取り消したの?〜原発『吉田調書』報道をめぐる朝日新聞の矛盾〜」(彩流社ブックレット)
昨今、新聞は政治や経済、社会の動きを本気で伝えているのだろうか?それとも、噂の通り、首相との会食に象徴されるような政権との関係に縛られて、書きたいことも書けなくなっているのだろうか・・・。4月に出版されたばかりのブックレット「誤報じゃないのになぜ取り消したの?〜原発『吉田調書』報道をめぐる朝日新聞の矛盾〜」(彩流社)はそんな疑問を感じる読者に1つの手がかりを提供しています。朝日新聞と言えば東京新聞や毎日新聞などとともに、政府批判を比較的行ってきた新聞ですが、その朝日新聞に激震が走ったのがこのブックレットのテーマになっている「吉田調書」問題でした。(2016/06/17)


安倍政権を検証する
日本の司法は独立を保てるか? 最高裁判事が全員、安倍首相の応援団になる日 自民党改憲案の真の怖さ
ここからは可能性の話だが、もし、最高裁判所長官をはじめ、安倍政権の方針に批判的な最高裁判事らが全員、緊急事態宣言の下で「国家の非常時に個人の人権に配慮しすぎで判事として適任ではない」として国会で弾劾され多数決で解任された場合(現在、自民・公明が多数派を占めている)、空いたポストを指名するのは内閣であり、安倍首相ということになる。そもそも裁判所判事を弾劾する際の法律として裁判官弾劾法があるが、自民党の新憲法で非常事態宣言が発令されれば、裁判官を弾劾できる理由や方法なども非常事態を念頭に法的に変更される恐れはないだろうか。(2016/06/16)


人権/反差別/司法
イスラム原理主義指導者 と ゲイ( 同性愛者 )  テロ事件と死刑
 今回、オーランド市で起きたゲイ(同性愛者)大量テロの少し前の3月にイスラム原理主義指導者が同市を訪れて、ゲイは死刑である、と語っていたことは前回報じた。その指導者であるFarrokh Sekaleshfar師はオーランド市を去って、オーストラリアのシドニーに説教に赴き、その後、オーストラリアでは「ヘイトスピーチにオーストラリアはゼロトレランス(100%認めない)」と批判されて、英国に帰国の途についたらしい。そのFarrokh Sekaleshfar師はオーランド市でテロを起こしたオマル・マティーン(29)との関連を問われて、次のように語ったとされる。(2016/06/15)


米国
オーランド市で説教したイスラム原理主義の指導者 「ゲイを殺すのはゲイへの思いやり」
 アメリカ・フロリダ州で12日、ゲイ(同性愛者)が集うクラブに銃などをもって乱射に及んだ事件が世界を揺るがしている。報道では死者50人、負傷者53人と報じられ、単独犯としては全米テロ史上最大の事件とされている。犯人のオマル・マティーン(29)はその背景などは不明な点が多く、今後の調査が待たれるが、犯行に及ぶ直前に市当局にイスラム国への忠誠を誓って行動を起こす旨の連絡を入れていたという。今、欧米メディアでこれに関連して報じられているのがオーランド市に3月頃、説教に訪れた英国のイスラム原理主義の指導者、Farrokh Sekaleshfar師である。(2016/06/14)


TPP/脱グローバリゼーション
アメリカ議会のTPP批准か否決かを決める投票はいつ?  市民団体が危惧する米大統領選直後の「特別な時期」 (レイムダック)の議員たちの投票を検討するTPP賛成派
  TPP(環太平洋パートナーシップ協定、あるいは環太平洋経済連携協定)の明暗の鍵を握るのがアメリカ議会での批准の投票です。すでに協定に署名こそしているものの、議会の承認がなければ発効しえないのです。そもそもTPPを今のような巨大なものにスケールアップした推進力は米国であり、その意味では米議会での批准投票はTPPの明暗を握っていると言えます。さて、昨年10月にアメリカのアトランタで大筋合意に至ったTPPですが、以外にも共和党の大統領候補のドラルド・トランプ氏も、民主党候補のヒラリー・クリントン候補もTPPに反対の表明を掲げたことでTPPを進めてきた日本の関係者を驚かせたことは記憶に新しいところです。新しい大統領にどちらがなったとしてもTPPに反対の立場であり、TPPから米国が撤退するか、あるいは協議をやり直すか、いずれにしても新大統領が口を出してくると大きな波乱があることは間違いありません。(2016/06/14)


安倍政権を検証する
自民党憲法改正案  表現の自由を制限する21条2項
 参院選後に予定されている自民党による憲法改正の試みですが、その憲法改正案は憲法の意味をまったく変えてしまう性質のものです。個別に1つ1つの条文を見てみると、個人の尊重の削除をはじめとして様々な問題があります。たとえば表現の自由を規定した憲法21条です。自民党の改正案では従来の条文の後ろに但し書きがつけてあるのです。 (2016/06/14)


コラム
今回の自民党の憲法改正案と、その後に続くであろう憲法改正 実質は改正ではなく憲法の廃棄
今回、自民党の憲法改正案はそれだけでも激変ですが、憲法改正を容易にする、という将来のことも含まれていて、安倍首相は決して憲法改正の試みをこれだけで止めようとは思っていないであろうと思われます。特に、天皇の地位と政教分離の条文、9条、男女の平等、思想・表現の自由などは継続して改変していく可能性はないでしょうか。兵役の義務とか、共同体への奉仕の義務、また宗教上の義務なども将来は書き込まれるかもしれません。大学の役割とか、文化の方針、歴史観などが記載され、さらに新しい行政制度も作られるかもしれません。出生率を上げるための夫婦の目標なども書かれるかもしれません。今回の改憲で、改憲を発議するには衆参両議会の議員総数のそれぞれ過半数の賛成があればよいことになり(自民党改正案 100条)、これまでの3分の2に比べるとはるかに容易に改憲ができる時代になります。(2016/06/12)


国際
フランス デモと民主主義 バルス首相「デモは民主主義ではない。民主主義は投票にある」
フランスでは今年に入ってから大規模なデモや集会が起きている。その原因となっているのが社会党のバルス政権が試みている労働法改正である。労働者の解雇が簡単になり、残業代も激減し、これまでに比べて長時間労働も強制しやすくなるといった企業寄りの改革だとして労働者や市民、学生がデモを行ってきた。最近では製油所や原子力発電所でストライキを行ったり、航空会社の労組がストライキを行なったりするなど、フランス経済にも影響が出つつある。そんな中、フランスの報道によれば労働法改正を進めているマニュエル・バルス首相が放った言葉が「デモは民主主義ではない。民主主義は投票にある」というもの。直訳すると、「民主主義は街頭にはない。民主主義は投票にある」となる。(2016/06/11)


国際
アメリカ大統領予備選 「アメリカ緑の党」の討論会 二大政党以外の政党は?
 アメリカの大統領選挙と言えば民主党VS共和党という文脈でしか語られていなかったが、アメリカ緑の党とか、リバタリアン党といった小政党も存在し、それぞれの候補者選抜のプロセスがあります。これらの小党はサードパーティ(第三の政党)と呼ばれています。「アメリカ緑の党」はこのところ、ジル・スタイン候補がバーニー・サンダース民主党候補に、ヒラリー・クリントン候補に民主党予備選で敗れても「アメリカ緑の党」から立候補する手もあると誘っていることが報じられています。(2016/06/11)


国際
「アメリカ緑の党」大統領候補者がバーニー・サンダース候補(民主党)に「アメリカ緑の党」からの立候補を促す 「政治革命の継続を」「二大政党制は崩れている」
先日、ヒラリー・クリントン候補が民主党の大統領選の予備選で勝利宣言をしたばかりのアメリカ。「アメリカ緑の党」の候補者が敗れたバーニー・サンダース候補の政治革命を称え、「アメリカ緑の党」の大統領候補にならないかと闘いの継続を促しているようだ。(2016/06/10)


コラム
ネット記事の無料配信時代の終焉 今後は二分化か
外国新聞によって初めて拓けてきた視界ですが、今、1つの変化が出てきました。それはこれまでネット無料で読めた記事に有料化の波が押し寄せてきていることです。ニューヨークタイムズ、ルモンド、ヌーベルオプセルバトゥール・・・こうした媒体はサンプルとして1か月15本とか、お試しに7記事までとか、無料購読に今、大きな制約をつけています。今後はお金を払わないと読めない新聞になるのです。(2016/06/10)


国際
ヒラリーの前に大統領選に立候補した女性がいた。1872年「(男女)平等党」が指名した候補者、ビクトリア・ウッドハル 女性の投票権がなかったため自身にも投票できなかったが
   バーニー・サンダース候補を何とかふり落としたと安堵気味のヒラリー・クリントン民主党大統領候補。米国で女性が最初に大統領選に出る、と自賛している。ヒラリー候補は、ここで実際には「主要政党から」と前置きしていた。それもそのはずで米政治史を振り返ると、ヒラリーさんの前に大統領選に立候補した女性がいた。1872年、小さな政党の「(男女)平等党」(Equal Rights Party)が指名した候補者、ビクトリア・ウッドハル(Victoria Woodhull)。女性の投票権がなかったため自身にも投票できなかったが・・・(2016/06/09)


国際
討論会の人びとを極左暴力集団に見せようとするマスメディア パリ
「立ち上がる夜」のある参加者によると、TV局の取材陣は討論会などがとっくに終わった深夜の時間帯にやってきて、午前2時ころまで近くのカフェで待機しているのだそうです。なぜかと言うと、深夜になると、「立ち上がる夜」の討論会とは関係のない酔っぱらいが広場にやってきて警察と悶着を起こすので、その映像を狙っていると言うのです。広場に来るのは討論会に参加する人だけではないからです。そうした運動と無縁の酔っぱらった人が警察隊と戦っている映像を撮影して、これが「立ち上がる夜」の真実だ、という風に報道しているらしく、それをTVで見た各地の市民は「とんでもない暴力集団だ」という風に印象が刷り込まれるのです。(2016/06/09)


国際
バーニー・サンダース候補の声明 「政治革命に参加してくれてありがとう」「私はアメリカの未来に心配していない なぜなら若者が私の考え方を理解してくれたから」
アメリカ大統領選挙の予備選で波乱を巻き起こしたのが民主党のバーニー・サンダース候補だった。ヒラリー・クリントン候補が勝利宣言をする中、6月7日にカリフォルニアのサンタ・モニカでサンダース候補はまだ戦う意志を示し、「アメリカの未来に心配はない。なぜならアメリカを作るのは若者だから。そして若者の支持を私が最も得ることができたから」と伝えた。その上で社会正義、経済の正義、人種の正義、環境の正義などを守ることの大切さを呼びかけた。(2016/06/09)


国際
パリの貧困問題 安定した住居なき人々 「決まった住まいがない人々の4分の1は定期的な仕事を持っている」
フランスのEurope1の2014年の報道によると、こうした決まった住まいがない人々の4分の1は定期的な仕事を持っており、そのうち40%はCDIさとされています。このCDIは’Contract Duration Indeterminee’=期限が定められていない雇用契約の人びとを差します。その反対がCDDでこちらは’Contract Duration Determinee’=期限が設定された雇用契約の人びと(有期雇用)です。そういうわけでEurope1は次のように指摘しています。決まった住まいのない人々は本当はもっと働いて、普通の暮らしを望んでいるけれども、定住所がないことがネックになって、雇用にありつけないのだ、と。そして、こうした定住所のない労働者の4分の3は900ユーロ以下の月収であるという統計が出ているようです。(2016/06/08)


みる・よむ・きく
ジュンパ・ラヒリ著「べつの言葉で」 インド系アメリカ人の作家がイタリア語で本を書き始めた理由
 アメリカで活躍しているインド系の女性作家ジュンパ・ラヒリ氏が、このたび、英語を捨ててイタリア語であえて書いたのがエッセイ集「べつの言葉で」(新潮社)である。ラヒリさんのこの本を読み、彼女が生まれたのはロンドンで、その後、インド系の両親とともに渡米していたのを知った。そのアメリカで育った彼女はO・ヘンリ賞やピュリッツァー賞などを総なめにするような活躍をした。ところが、なぜかイタリアに渡って、イタリア語で本を一から書き始めたのである。本書で彼女はなぜ自分がイタリア語で本を書くのか、それがどんな意味を自分に与えるかを執拗に掘り下げる努力をしている。英語に比べたら、イタリア語の読者は圧倒的に少ない。大海の1滴にも等しい。それでも彼女はイタリア語に挑戦したのだ。(2016/06/06)


コラム
ペルーの旅2 「リマの悪い女の子」を慕って フリオ・アダムス Julio Adams(Mexican Photographer)
恋の終わりの苦しさを忘れるためにメキシコからペルーにやってきてバイクでアンデス山脈を縦断している写真家のフリオ・アダムス氏。最新の連絡はペルーの首都リマを目指す、という言葉だった。ペルーのリマにはどのような思いがあるのだろうか。「僕はリマに行きたかったんだ。というのはこの町はマリオ・バルガス・リョサの小説に出てくる「悪い女の子」が悪戯を始めた町だから。リョサのこの小説「悪い娘の悪戯」は最高の恋愛小説だよ。・・・」(2016/06/05)


TPP/脱グローバリゼーション
TAFTA(大西洋自由貿易圏)およびTTIP=(欧州版TPP)を論じるパリの市民TV局 市民の機材持ち寄りとボランティアで公共の広場に設立 今論じるべきことを情報操作なく論じる
パリの共和国広場で続いている夜の市民の討論運動Nuitdebout( (2016/06/04)


国際
フランスの労働法改正問題 日本人から「甘えている」と責められるフランス人労働者
 フランス議会で論じられている労働法改正問題について。労働時間の「フレキシブル化」とか解雇要件の緩和など、世界の熾烈な競争の中でフランスの国際競争力を維持するためには理想ばかり言っていられない・・・週35時間制など現行の労働法制定の中核になった社会党自身がそんな提案をしています。週46時間くらいの労働が普通にできる状況へと政府は舵を切って行こうとしており、労働者や学生の反発を呼んでいます。(2016/06/03)


国際
パリの洪水 ルーブル美術館でも美術品の避難措置 ロワール川周辺の古城は浸水 コラ・ソレーヌ
 パリが滅多にない洪水に見舞われている。折しも労働法改正問題で労働者や学生と警察隊、政府がもみ合っている最中の出来事だ。ルーブル美術館やオルセー美術館の美術品も避難措置が取られているという事態。セーヌ川の水嵩は限界間際。コラ・ソレーヌ「洪水はまだ続いています。明日はルーブル美術館が閉まります。1910年の洪水より低いのですが少し心配なので全ての作品を安全な場所まで運ばらないと。全ての写真は今日自分で撮ったやつです。」(2016/06/03)


コラム
ペルーの旅 恋の破局の地獄を経て フリオ・アダムス Julio Adams(Mexican Photographer)
 メキシコの写真家、フリオ・アダムス氏が今、旅をしているのはペルーのアンデスの山々。そこはかつて革命家のチェ・ゲバラがバイクで踏破したコースとも重なるだろう。今回、アダムス氏が旅をしている理由はなんだろうか。(2016/06/03)


米国
トランプ旋風の理由 米国人の「権威主義的性格」化 Politico誌の分析 アメリカ人の地殻変動
 アメリカの政治専門誌Politicoがドナルド・トランプ旋風の理由を共和党支持者の間に「権威主義的性格」の持ち主が増えていることにあると分析している。寄稿者は政治アナリストのMATTHEW MACWILLIAMS 氏。権威主義的性格とは1930年代のドイツでナチを支持した市民の性格類型として社会学で知られているタイプである。これまでドイツ人はまじめで上意下達で、アメリカ人とは異なる性格類型だと思われてきたが、現代のアメリカ社会にこうしたタイプが増えていることを、アンケート調査を繰り返した結果、つきとめたという。(2016/06/02)


安倍政権を検証する
伊勢神宮とG7 日本が「神の国」であることを象徴的に示そうとした安倍首相
 伊勢神宮の鳥居の前でG7の首脳たちが記念写真を撮影した。そして伊勢神宮に彼らは記帳し、それぞれの言葉で敬意を述べた。日本国内の報道では政府は政教分離に抵触しないように「参拝」という言葉を避け、「訪問」という言葉で表現したと言う。しかし、たとえそうであっても英国のガーディアンのように政教分離原則に抵触していることを示唆する報道が外国メディアでは行われた。’G7 in Japan: concern over world leaders' tour of nationalistic shrine’(日本でのG7:世界のリーダーがナショナリズムの神社に出かけることに対する懸念)と言うタイトルの記事がそうだ。(2016/06/01)


コラム
2016年の「自由からの逃走」 なぜ独裁者が選挙で生まれるのか
 ドイツの社会心理学者、エーリッヒ・フロム(1900−1980)が書いた「自由からの逃走」という本はナチズムがなぜドイツで熱狂的に受け入れられたか。ヒトラーがなぜ独裁政権を打ち立て、やりたい放題の政治ができたのかを分析した本である。本のタイトルは変わっている。「自由からの逃走」。一度目にしたら忘れられないタイトルだ。人は本来自由を好みそうなのに、自由から逃走する、というのはどういうことか?そして、ナチス・ドイツが台頭したドイツの1930年代から敗戦にかけてがまさに、ドイツ人が自由を捨ててしまった時代だと言う。(2016/05/31)


文化
パリの「立ち上がる夜」 フランス現代哲学と政治の関係を参加しているパリ大学の哲学者に聞く Patrice Maniglier
  パリの共和国広場で3月31日に始まり、現在も続いている「立ち上がる夜」(Nuitdebout)と呼ばれる討論会。その議論に運動が始まった当初から参加しているパリ大学在籍の哲学者がいます。パトリス・マニグリエ氏(ナンテール校)です。マニグリエ氏はいったいどんな哲学を大学で研究していて、哲学と運動との関係はどのようなものなのでしょうか?マニグリエ氏に聞きました。(2016/05/29)


国際
パリの「立ち上がる夜」 市民が自前で広場に設置したテレビ局「立ち上がるTV」の人気インタビュアー Marjorie Marramaque
 パリの共和国広場では夜ごとに市民が集まって様々な議論を繰り広げています。民主主義について。今、国会で議論されている労働法改正問題について。格差社会やパナマ文書について。男女間の差別や住宅問題について、難民問題について。そのほか様々。ここに小さな放送局が生まれ、毎日議論の模様をyoutubeで紹介しています。有志が民生用機材を持参してつなげた最小限のスタジオ。(2016/05/29)


安倍政権を検証する
G7首脳の伊勢神宮訪問は憲法の政教分離原則に抵触しないのか?
今年のG7サミットの開催地である伊勢志摩には天皇家の先祖・天照大神を祭るとされる伊勢神宮がある。安倍首相の鶴の一声で数ある候補地の中からこの開催地に決まったのだが、そのため宗教の政治利用であり、政教分離を原則とする憲法に対する違反なのではないかと疑われる。新聞ではほとんど触れられていないが、安倍首相がサミットのリーダーを連れて伊勢神宮を訪問したことを英国のガーディアン紙は政教分離に抵触しているとして批判的に取り上げている。そして安倍首相が神道政治連盟に属し、戦後レジームを否定する政治観と、今回のG7の伊勢神宮参拝が根っこで結びついていることを述べている。さらにこう述べている。(2016/05/28)


安倍政権を検証する
安倍首相「アベノミクス3本の矢をまさに今度は世界で展開していきたい」
 伊勢志摩で行われたG7のサミットで、安倍首相が記者に語った言葉に驚いた人は少なくないだろう。「アベノミクス3本の矢をまさに今度は世界で展開していきたい」安倍首相の牽引してきたアベノミクスは日本国内で昨今、それが失敗だったことがすでに誰の目にも明らかになったからだ。いかに市場に円を大量に注いでも消費は低迷し、産業空洞化の傾向を変えることもできず、財政赤字は広がる一途である。デフレ1つ解消できなかったのだ。首相の盟友である産経新聞ですら「アベノミクス、いつになったら効果出る? 消費者物価2カ月連続下落 4月、マイナス0・3%」という見出しの記事を出したばかりである。(2016/05/28)


安倍政権を検証する
税と議会制民主主義と安倍首相
安倍首相は2014年9月以後、内閣のスキャンダルに次々と見舞われ政権の支持率が低下してきたのを受けて、突如として衆院を解散して総選挙を行うと宣言しました。その理由として掲げたのは消費税の増税を2015年10月に10%に引き上げることが法律で決まっているが、それを先延ばしして2017年にする。だから、2017年には何があっても必ず上げることでよいかどうか、民意を問うとしたのでした。(2016/05/27)


国際
フランスのレピュブリック広場で続く人々の大討論会 'Nuitdebout'(立ち上がる夜)
  パリの中心近くにあるレピュブリック広場に夜ごと、人々が集まって様々な議論が行われています。きっかけは社会党政府が提案しようとしている労働法改正案でした。フランスは週35時間労働に代表されるように、労働者の権利は手厚く保護されてきましたが、その権利を緩和して労働市場を流動化させようとしているのです。政府は労働法を改正することで、10%を超える失業率を減らすことができるようになるとしています。(2016/05/26)


コラム
アルジェにできた「プラスティックの町」 アブデルマジド・ベンカシ(アルジェリア人のジャーナリスト)Abdelmadjid BenKaci
これはトラックに積まれるのを待つ商品ではまったくありません。アルジェリアに働きにやってきた中国人のテントなのです。この光景はアルジェのマルチール通りの路上で、ちょうど中国大使館の裏手にあたります。ここはまたアルジェリアのテレビ局やラジオ放送局の近くでもあります。(2016/04/21)


文化
英劇作家のアーノルド・ウェスカー氏が亡くなる
戦後英国現代演劇の1つの頂点を作ったと言える劇作家、アーノルド・ウェスカー氏が12日、亡くなった。83歳だった。第二次大戦後の英国演劇界では多彩な才能が花開いた。「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」で一躍著名人となったトム・ストッパード、「花咲くチェリー」や「すべての季節の男」などで知られるロバート・ボルト、「料理昇降機」などブラックユーモアと警句で知られ、ノーベル賞を受賞したハロルド・ピンターなどがそびえているが、アーノルド・ウェスカー氏もそれらの山脈の1つの頂をなした。(2016/04/17)


欧州
シャパットの風刺漫画 英国首相キャメロンの疲れ パナマ文書が政治家を直撃
 英国首相のデビッド・キャメロンが大きなスプーンをくわえて「銀のさじ」を申告するのを忘れていた」とつぶやいている。これはニューヨークタイムズに掲載されたパトリック・シャパットの1コマ漫画。最近、ある会計会社の顧客リストが暴露され、タックスヘイブンに富を移転して課税を逃れていた世界中の人々がそこに記載されていた。英国首相デビッド・キャメロンの父親の名前もそこにあり、キャメロン自身の名前はなかったが、彼の父親の会社に投資して利益を得ていたことが報じられ、英国民から「辞任しろ」という声が上がっている。(2016/04/16)


人権/反差別/司法
フランス・労働法改悪阻止闘争 歌う若者たち
これ以上、不安定で低賃金の生活に甘んじたくない、と労働法改悪に抗議をしているフランス市民。夜通しの戦いを繰り広げているパリの市民はギターで歌を歌っています。(2016/04/15)


欧州
労働法の破壊に立ち上がるフランス市民の声 レジャーヌ・ボワイエ Réjane Boyer
  フランスでは今、騒然とした空気が各地で漂っており、インターネットなどでも民衆が集まって座り込んだり、マイクをもって市民が入れ替わり立ち代わり一人ずつ群衆の前に立って話しかけている姿をたくさん目にします。社会党政権でいったい何が起きているのか。パリ郊外在住の市民、レジャーヌ・ボワイエさんからの現地の緊急レポート第二弾です。(2016/04/14)


みる・よむ・きく
子安宣邦著「帝国か民主か 〜中国と東アジア問題〜」
 近世日本思想史を専門とする学者の子安宣邦氏による「帝国か民主か 〜中国と東アジア問題〜」が出版されたのは去年の今時分のこと。去年の今頃から秋にかけてといえば安保法制の問題が大きく浮上し、憲法解釈の問題とともに今年に至るまで政局の中心的課題となった起点とも言える頃でした。「帝国か民主か〜中国と東アジア問題〜」が投げかけている中心的テーマは中国を東アジアの中でどうとらえ、どう関わっていくかというもの。古来から中国を中心として発展した儒教文化圏というものがあり、それは華夷秩序とも言われ、中国を本家とする一元的な価値体系を強いていたものであると子安氏は見ています。それに対して子安氏が理想とするのは日中韓あるいは台湾や沖縄、香港なども含めて多元的な儒教解釈を容認する、旧来の華夷秩序の同心円的なヒエラルキーから解放された東アジア世界です。(2016/04/12)


欧州
フランスのデモ 苦しい生活・公約を守らない政府・そしてパナマ文書 レジャーヌ・ボワイエ Rejane Boyer
  今、パリでは大きなデモが起きています。今度のデモはテロとは関係がありません。市民の生活が関わっているデモです。以下はパリ近郊に住む女性、レジャーヌ・ボワイエさんからの報告です。 (2016/04/11)


コラム
イスタンブール ボスポラス海峡の真珠 アブデルマジド・ベンカシ(アルジェリア人のジャーナリスト)Abdelmadjid BenKaci
   イスタンブールはまったくもって香しい夢幻的な町です。東洋と西洋の味わいと色彩が混じり合っています。その混交は素晴らしく私たちを包み込み、目を驚かせ、魅了するのです。その迷路のような街並みを歩き回っていると旅人はまるで絵画か何かの美術作品の上にいるような気持ちに襲われます。6世紀以上の歴史があるグランドバザールには18もの入り口があります。そこにある4000もの店は何千年も経た文化の無数の側面を私たちに披露してくれます。(2016/04/10)


コラム
新聞と病気 本当は早期治療ができる
 病気は少しずつ進行していくことが多く、ガンもまた1つの細胞の異常から始まり次第にそれが大きくなって1つの臓器を侵しはじめやがては転移して全身に蔓延していく。そのガンをチェックする予防診断技術は年々精度が上がってきている。これは医学の分野。(2016/04/10)


国際
米大統領予備選 ヒラリー・クリントン候補 VS バーニー・サンダース候補の獲得代議員数データ
 サウスカロライナ州での予備選で黒人票でヒラリー・クリントン候補(民主党)に差をつけられ、勢いに陰りが見えていたバーニー・サンダース候補(民主党)がここに来て連勝を続け、勢いを取り戻してきています。現在、民主党予備選での獲得代議員数はブルームバーグのデータによると以下の通り。(2016/04/08)


みる・よむ・きく
川口由彦著「日本近代法制史」 戦前の法制度を明治維新まで遡って一望する
 この夏の参院選で自民党が勝利した場合に憲法改正の試みが行われる予定ですが、自民党の改憲案では個人の尊重という戦後憲法の核がそがれ、「人として尊重される」という風に個が欠落していくことが象徴的です。一方で天皇は国の元首となります。一見、戦後憲法の体裁をある程度残している改憲案ですが、核となるところどころはしっかりと自民党の思想でおさえられているのが特徴です。改憲を悲願としてきた安倍首相は戦後レジームからの脱却を政治家としての目標に掲げてきました。つまりは戦前に国を戻すために、憲法をはじめ、法体系を抜本的に変えていく復古運動が今、日本で展開されています。そうした昨今、戦前までの法体系とはどうだったのか。そのことを明治維新に遡って記載した本が川口由彦著「日本近代法制史」(新世社)です。(2016/04/07)


社会
大学とファシズム 滝川事件の波紋 「戦前の学問弾圧プロセスの原型」
昭和8年に起きた滝川事件は戦前戦中の学問弾圧の象徴的事件として知られています。京都大学法学部の滝川幸辰(ゆきとき)教授のテキスト「刑法講義」と「刑法読本」が反国家主義的と言うことで発禁処分とされ、さらに当時の文部大臣だった鳩山一郎氏は滝川教授の罷免を京都大学に要求しました。しかし、京都大学の教授会が反対し、結局滝川教授は休職処分に落ち着きます。このとき、京大法学部の全教授が国に抗議して辞表を提出、さらに助教授、講師、助手もならい、39人が辞表を提出しました。しかし、中公文庫「ファシズムへの道」(大内力著)によると、最終的に辞職が受理されたのは先鋭的な国家と対峙していた教授ら数名で、その他の教授らは大学にとどまることになりました。(2016/04/06)


みる・よむ・きく
呉善花著「韓国併合への道 完全版」
 日本の植民地政策を書いた本を何冊か続けて読む中で、呉善花著「韓国併合への道 完全版」を手にすることになりました。この本にはそれまでに読んだ歴史観とは違ったテイストがありました。趙景達氏の「近代朝鮮と日本」の場合は全編、一貫した厳しい日本の植民地政策に対する批判的な視点に貫かれていますが、呉善花氏の本書の場合は日本批判だけではなく、結果的に植民地支配を招いてしまった朝鮮の為政者の問題点を描くことと、日本の植民地政策が結果的に残した成果を描いていること、この2点にあります。(2016/04/06)


文化
音楽にかける青春 シチリアの音楽家、ジオリ(Gioli) クラブミュージックとクラシックの融合を目指す19歳 最初のアルバム‘Mechanical Heart’の発売は来月
  イタリアのシチリア島の都市パレルモ。ここでクラブのテクノミュージックとクラシックを融合して新しい音楽を作っている19歳の女性がいます。バンドの名前はジオリ(Gioli)。19歳のジョルジア・リパリ(Giorgia Lipari)さんとマネージャー&アート・ディレクターのアッシア・ナニア(Assia Nania)さんで作り上げたグループです。リパリさんはシンセサイザーを駆使しながら、大胆不敵に新しい挑戦を続け、クラブでの演奏は盛況の人気音楽家です。初アルバムの発売も目前で、アルバム販売に合わせた世界ツアーにこれから船出します。そんな前途洋々のジョルジア・リパリさんにインタビューを行いました。(2016/04/04)


みる・よむ・きく
趙景達著「近代朝鮮と日本」
趙景達著「近代朝鮮と日本」では韓国併合まで、日本軍が朝鮮半島とどう関わってきたかが検証されています。江戸から明治に代わり、日本は近代化を急ピッチで行いました。欧米列強に強いられた不平等条約を改正することを目指していた半面、隣国・朝鮮に対しては逆に武力をつきつけて不平等条約を締結します。日本が欧米列強からこうされたくないと思っていたことを逆に隣国の朝鮮に対して行って行くのです。本書を読むと、そのプロセスがよく理解できます。1910年に突然、日本が韓国を併合したわけではもちろんなく、明治以後、こつこつこつこつと隣国支配のために関与を深めていきます。本書によれば、大まかな流れの要素として以下のようなものがあります。(2016/04/03)


コラム
乙武氏の報道に思う 新憲法で「姦通罪」復活の可能性<美しい日本の美しい家庭を守る国民運動として>
 乙武氏の不倫騒ぎは自民党批判の見地から行われている印象がありますが、僕はある危惧を感じています。1つはこの間のベッキーに対するバッシングもそうでしたが、不倫という極めて私生活の領域が公の場で取り沙汰されて、個人のモラルが批判にさらされていることです。今年憲法がもし自民党案で改正されると、家族の絆を重視することが憲法で義務づけられます。家庭を家族でお互い助け合って維持していくことが国民に課せられる義務となります。そこでは不倫など許されるはずがありません。(2016/04/01)


人権/反差別/司法
施行された安保法制と戦前の「治安維持法」 戦前、処罰対象は「行為」から「思想」そのものに
 今、施行されたばかりの一連の安保法制は集団的自衛権を前提に、日本が攻撃されていなくても日本国内が戦時体制になりうることを可能にする一連の法制であり、それは2013年12月に可決した特定秘密保護法とセットになっています。今年の夏、参院選が予定されていますが、自民党と公明党は3分の2を参院でも確保することを目指し、改憲の手続きを実現しようとしているのです。そういう意味で今、憲法改正が国民の関心事項となっています。しかし、戦時体制への法制度の改造は憲法だけではなく、具体的な刑法上の法律改正や新法の制定が今後さらに加速する可能性があります。特に注意すべきなのは戦前に存在した治安維持法ではないでしょうか。(2016/03/31)


文化
コレージュ・ド・フランスのアラン・マバンクゥ氏(作家) 2回目の講座でネグリチュード運動を語る 盟友ラフェリエール氏も’登場’
 パリで市民に開かれた最高の教育の場コレージュ・ド・フランスでコンゴ出身の作家アラン・マバンクゥさんが3月から講義を始めました。昨日、二回目の講義を終えて、次のようなメッセージが送られて来ました。(2016/03/30)


みる・よむ・きく
ダニー・ラフェリエール著「帰還の謎」(小倉和子訳)
ダニー・ラフェリエールの「帰還の謎」を読んでいる。この本はハイチの黒人作家ダニー・ラフェリエールがジャーナリストだった青年時代に自国の政治的迫害を恐れてカナダに移住した後、作家として国際的な名声をあげ、のちに故郷に帰省する物語である。ハイチという国の人びとの生がわかると同時に、面白いのは人が行き来することによって、ハイチだけでなく、カナダとハイチとの違いが見えてくることだ。人は2つの世界を旅することで1国にいるだけでは見えない関係性に気がつく。(2016/03/24)


みる・よむ・きく
本邦初演 エデン・フォン・ホルヴァート作「最後の審判の日」 東京演劇アンサンブルによる公演
 エデン・フォン・ホルヴァート作「最後の審判の日」を東京演劇アンサンブルが上演していた。本邦初演だそうだ。ホルヴァートという劇作家について、一般の人にはなじみがない名前かもしれない。しかし、この戯曲が1936年に書かれた、ということから推察されるようにファシズムの時代のドイツの人間模様を浮き彫りにしていて、非常に面白い。いったいなぜ今まで上演されてこなかったのだろうか。この舞台には男女間の情念と犯罪が描かれており、まずサスペンス劇として面白く見れる舞台だからだ。(2016/03/22)


米国
オバマ大統領がキューバを訪れる 米大統領で88年ぶり
日曜、オバマ大統領がキューバを訪れた。米大統領がキューバを訪ねたのは88年ぶりとなる。会見でオバマ大統領は、前回は1928年にクーリッジ大統領が戦艦に乗ってやってきたことを語った。「クーリッジのときは来るまで3日かかりましたが、私の場合はエアフォース1で3時間です。しかし、この訪問は歴史的なものであります。そして両国の間で通商条約などを締結することになります」(2016/03/21)


文化
パリの画家/漫画家のオリビア・クラベルさんにインタビュー Interview Olivia Clavel
 パリで70年代にバズーカという若い漫画家・イラストレーターの集団が生まれ、リベラシオン紙などで新しい感覚のイラストを切りひらいていきました。バズーカの中心メンバーの一人が画家・漫画家のオリビア・クラベルさんです。現在も漫画や美術の分野で活躍中です。今回、クラベルさんにインタビューさせていただきました。(2016/03/15)


文化
パリの画家イザベル・コシェローさん グラフィックデザイナーから画家への転身 Isabelle Cochereau
 パリのモンパルナスに近い14区のコリーヌ・ボネ画廊で行われた共同展示会の場で画家イザベル・コシェロー (Isabelle Cochereau )さんの絵に出会いました。人物画を描いていますが、顔にモザイクのようなものがあり、それは女性の顔にポルノグラフィックなイメージがかけられたものだと気づきました。今まで見たことがない独特の人物画であり、画家のどのような探究のプロセスからこうした世界が生まれるのか、知りたく思いました。(2016/03/13)


米国
米 Atlantic 誌でオバマ大統領が懺悔 リビア軍事介入は失敗だった やる気はなかったが、ヒラリーやスーザン・ライス(米国連大使・当時)らが強硬に軍事介入を主張したんだ・・・
 二期8年にわたるオバマ大統領の時代も終わりが近づいてきた。今、フランスのメジャーなメディアが一斉に反応しているのが、Atlantic誌に載ったオバマ大統領のインタビュー記事だ。オバマ大統領が2011年のリビアへの軍事介入を後悔しており、フランスのサルコジ大統領らに誘われて失敗した〜と言っているらしい。しかし、それよりも、むしろ、興味深い下りはオバマ大統領がヒラリー・クリントン国務長官(当時)やスーザン・ライス米国連大使(当時)ら強硬派によってリビア軍事介入路線に引き込まれて行ったと語っている下りである。(2016/03/12)


国際
ヒラリー・クリントンとホンジュラスのクーデター 米外交を批判していた環境活動家が暗殺される
米民主党大統領候補のヒラリー・クリントンがオバマ政権の国務長官だった2009年にホンジュラスでクーデターが起きている。ヒラリー・クリントン氏がこれに関与していたと批判してきたホンジュラスの環境活動家が先日、暗殺された。米報道番組「デモクラシー・ナウ!」がこの件を報じた。(2016/03/12)


コラム
石油低価格騒動の背景は? 1つの仮説 原油がただになる日
今世界で起きている原油価格の大暴落。サウジアラビアとイランの宗教対立と勢力争い、あるいはアメリカとロシアの覇権争い、サウジアラビアと米国石油産業の闘争など、様々な解説が出ています。またその背景には中国の不況によって石油消費が減少していることも加えて語られています。つまり、世界を見ると、今非常にとげとげした時代になっていることを背景にあると語られています。いずれももっともなのですが、1つ欠落しているものがあるように感じられます。(2016/03/11)


アフリカ
「国連事務総長が西サハラ難民キャンプにやってきた!」 Le secrétaire général de l'Onu, Ban ki Moon est arrivé ! アブデルマジド・ベンカシ(Abdelmadjid Benkaci)
バン・ギムン国連事務総長の西サハラ難民キャンプの訪問は彼の任期終了間際のことだったが、虚弱なモロッコ王国への一種の平手打ちだった。それは同時にモロッコとそれを支持する国々がこれまで行ってきた植民地政策に対する否認でもある。国連の最高責任者がアルジェリアのチンドゥーフにある西サハラ難民キャンプを訪ねたことは、そして同時に西サハラ解放区のBir Lahlouをも視察したことは、サハラ・アラブ民主共和国が承認を受けたと考えてもよいのではないか。(2016/03/10)


アフリカ
モロッコが西サハラ難民キャンプを訪れた潘基文・国連事務総長とアルジェリアを激しく非難
   潘基文・国連事務総長がアルジェリアの西部にある西サハラから来た人々の難民キャンプを訪れ、40年にわたる過酷な生活に思いをはせ、声明を出しました。このことは本紙の平田伊都子氏の記事の通り、これまでになかった画期的な出来事でした。ところが、これに対して、西サハラを軍事占領し、実効支配してきたモハマド6世をいただくモロッコが激しく非難していると伝えられています。これはアルジェリアの新聞です。(2016/03/10)


コラム
「筋骨たくましい女性の体について」 ナタリー・ガッセル(ベルギーの女性の作家) 'Sur le corps féminin athlétique' Nathalie Gassel
  筋骨たくましい女性の体。それは女性が平等に持っている1つの自由。それはぞくぞくするほど楽しく、力が増していく感覚。日常マメに努力して続けているスポーツと鍛錬によって、私は自分の肉体を作り変えている。太ももや、お尻、背中の筋肉、胸の筋肉、とりわけ二の腕の筋肉ね。なぜなら、これらの部分が最初に人の目につくところだから。(2016/03/10)


みる・よむ・きく
文京洙著「韓国現代史」
 立命館大学教授の文京洙氏が書いた「韓国現代史」(岩波新書)を通読。最近の朝鮮半島の情勢がメディアで大々的に報じられている今、「現在」という1つの点でなく、長い歴史を通してパースペクティブを持ちたいと思ったのです。本書は近代以後、特に第二次大戦後の韓国の歴史の大きな流れが一通り述べられていて、座右に置いておきたい一冊です。本書が書かれたのは約10年前、第二次大戦終結から60周年の年でした。そして最近、文京洙氏は本書を「新・韓国現代史」にリニューアルしました。(2016/03/09)


みる・よむ・きく
ダグラス・ラミス著「最後のタヌキ 英語で考え、日本語で考える」
アメリカ人の政治学者、ダグラス・ラミス氏が書き下ろした英語と日本語の対訳になっているテキスト集。翻訳は中村直子氏によるもの。1988年に刊行されたこの本の売りは300語の平易な英単語だけで1つのテキストが書かれている、ということでした。それまで英文を書くことは限りなく不可能に近い、と思っていた日本の人々にそうではないことを実証的に見せようとする試みです。しかもそれらのテキストは平和の構築について考えるものでもありました。(2016/03/07)


米国
検証されるヒラリー・クリントン元国務長官のリビア攻撃策 オバマ政権のタカ派元国務長官
5年前の今月、米国のリビア軍事介入が始まったとして、ニューヨークタイムズや「デモクラシー・ナウ!」などでヒラリー・クリントン氏の責任問題の検証が行われている。(2016/03/05)


みる・よむ・きく
ドミニク・コルビ著「フランス料理13章〜日本で究めるモダン・クラシック」 Dominique Corby 'Les 13 chapitres - La cuisine française au japon'
1965年にパリで生まれ、「ラ・トゥールダルジャン」などの著名な店を経て、来日したフランス料理シェフ、ドミニク・コルビ氏が書き下ろしたフランス料理のレシピの本が「フランス料理13章〜日本で究めるモダン・クラシック」(柴田書店)です。フランス料理の本は多数出版されており、またフランス語を解説したフランス料理関連本も多数出ていますが、この本はレシピが日仏対訳になっているところがその他の多くの本との大きな違いです。(2016/03/04)


国際
米大統領予備選 ヒラリー・クリントン候補(民主党)が南部各州で優勢
  スーパーチューズデイの民主党の開票速報ではヒラリー・クリントン候補の優勢が開票開始後、すぐに伝えられたが、次第に細かい報道が続きはじめ、ウォールストリートジャーナルによると、ヒラリー・クリントン候補が今わかっている時点でテキサス、アーカンソー、アラバマ、テネシー、ジョージア、バージニアの6州で勝利、バーニー・サンダース候補は地元バーモントとオクラホマで勝利した。(2016/03/02)


米国
米大統領選と「メキシコ人」 ディカプリオにオスカーを取らせたメキシコ人
 昨日は1日、レオナルド・ディカプリオのオスカー受賞の記事が世界中を飛び回ったが、こんなメッセージまで出てきた。「レオナルド・ディカプリオはついにオスカーを手にした。それを助けたのがアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督だ。」(2016/03/01)


文化
ディカプリオがアカデミー賞・主演男優賞を受賞 受賞のスピーチで地球環境問題に触れる
長年、米アカデミー賞の候補に何度も上りながら受賞を逃してきた俳優のレオナルド・ディカプリオ氏が今回、主演男優賞を受賞した。出演した映画「レヴェナント 蘇えりし者」は19世紀のアメリカの荒野を舞台にしたサバイバルと復讐の劇で、監督はメキシコ出身の才人、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。(2016/03/01)


国際
3月1日(火曜)=スーパーチューズデイ 米大統領予備選、南部で伸び悩むバーニー・サンダース候補はどう進むのか
明日、3月1日火曜日は米国ではスーパーチューズデイと呼ばれ、多くの州で一斉に大統領予備選の投票が民主党、共和党ともに行われる。共和党は11州、民主党も11州(米領サモアを入れると12州)で予備選が予定されている。そのため、実質的な決戦の日と言っても過言ではない。それぐらい重要な日である。(2016/02/29)


国際
サウスカロライナ州の米民主党予備選 ヒラリー・クリントン候補の勝利か ダブルスコア以上で圧勝の見込み
昨日、米南部のサウスカロライナ州で行われた民主党予備選では出口調査や開票当初の状況から、ヒラリー・クリントン候補がバーニー・サンダース候補を破った模様。ワシントンポストなど複数のメディアが一斉に報じている。決め手になったのは黒人票がヒラリー・クリントン候補にとどまったことだった。(2016/02/28)


米国
米国の最低賃金と失業率 オバマ大統領の時代と次の米政権
今、怒涛の勢いで若者を中心に大統領予備選で民主党候補として台頭しているバーニー・サンダース候補の公約の柱の1つが全米の最低賃金を15ドル(時給)にせよ、というものです。現在、全米の最低賃金は7.25ドルです。つまり、およそ2倍にせよ、というのですから、劇的な数字とも言えます。この最低賃金の底上げはサンダース候補に限らず、そもそもオバマ政権が目指した目標ですが、米国で経済学者を中心に異論もあり、議論を呼んできた争点でした。(2016/02/27)


国際
スパイク・リー監督がラジオでバーニー・サンダース支持を訴える 「サウスカロライナよ、目を覚ませ!」
映画監督のスパイク・リー氏がラジオでバーニー・サンダース候補の支持を訴えた。次の民主党の大統領予備選は南部のサウスカロライナ州で行われるが、ここは民主党有権者の55%くらいが黒人だとされる。これまでヒラリー・クリントン候補が黒人票をおさえていた。予想でもヒラリー・クリントン候補支持が60%台で、サンダース支持が20%台と大きく開いていた。サンダース支持が広がりつつあるとはいえ、まだ壁がある。そうした中で、黒人に影響力がある映画監督のスパイク・リー監督が登壇した。(2016/02/24)


文化
画廊主コリーヌ・ボネ氏 Corinne Bonnet(la galerie Corinne Bonnet) 芸術家と今の世界 Artists and the world
 コリーヌ・ボネ画廊の創設者であるコリーヌ・ボネさんは今、フランスでテロによって高まってきているものものしく警戒的な空気に抵抗するための展示会を開催しています。「世界の源を見つめる16人の眼差し」という共同展示会です。画廊はパリのモンパルナスの近くにあり、現代文化の中で強い光を放っています。コリーヌさんは「芸術家こそ表現の自由の最後の砦であり、開かれた心の最後の砦であり、繊細な知性の最後の砦である」と語っています。(2016/02/23)


北朝鮮
米朝平和条約交渉の行方 ワシントンD.C.と平壌
1月初旬に北朝鮮が水爆実験を行ったと公表し、そのニュースが世界に広がった。一方でオバマ政権は昨年末、北朝鮮の求めに応じて米朝平和条約の交渉を行う方針だったとの記事がウォールストリートジャーナルや、朝鮮日報などで報じられている。(2016/02/22)


国際
ネバダ州でヒラリー・クリントン候補が僅差で勝利 民主党予備選で鍵を握る黒人票
週末の土曜日にラスベガスのある西部、ネバダ州で行われた米大統領予備選で、ヒラリー・クリントン候補が接戦ながら僅差でバーニー・サンダース候補に勝ちました。ニューヨークタイムズによると、黒人票の大半がヒラリー候補に投じられたことが効いているようです。ネバダ州では黒人の比率は人口の8%前後のようですが、民主党に限ると黒人・ヒスパニックをあわせて有権者の30%前後になるようであり、接戦となるとその票の行方が勝敗を左右します。(2016/02/22)


みる・よむ・きく
「資本論」を読む試み 21世紀の恐慌と資本主義
  2008年に顕在化したアメリカ発の金融恐慌。不健全なアメリカの不動産市場に端を発し、物理学者や数学者を動員して構築した複雑な金融テクノロジーを通して、恐慌はアメリカばかりか、欧州に飛び火し、欧州連合の危機と右翼政党の台頭を各国で生み、さらにその火は新興国をも襲い始めています。こうした世界最新の金融恐慌について世界でもっとも引用されているという米国の経済地理学者のデビッド・ハーヴェイ教授は「資本の「謎」〜世界金融恐慌と21世紀資本主義〜」の中で分析しています。この恐慌の問題はカール・マルクスがその著書「資本」(日本では論という言葉をつけて「資本論」と訳されている)の中で分析している資本主義に内在する問題であり、ハーヴェイ教授はニューヨークで「資本」の読み直しを行っています。(2016/02/21)


アフリカ
燃え上がるリビア 「アラブの春」の果てに
 リビアが日増しにシリア化、イラク化、つまりはイスラム国化しているようです。リビアのシルトがリビアにおけるイスラム国の拠点になり、イスラム国戦士が続々集結している事態は中東、アフリカ諸国に詳しい平田伊都子氏の記事に出ています。2月19日つまり昨日になりますが、米軍がリビアのSabrathaという町の近郊を空爆しました。この町は地中海岸にあり、首都トリポリの70キロほど西に位置し、チュニジアとの国境とトリポリとの中間あたりに位置します。米軍によると、この日の空爆の狙いはSabratha近郊にあるテロリストの訓練キャンプとのことで、ここでチュニジア人のNourredine Chouchane容疑者が活動していたとされています。(2016/02/20)


文化
サンジェルマンデプレで行われた人類学者ルネ・ジラールへの追悼の集い ジャン・ビヤンボーム(Jean Birnbaum)
 昨年11月、「模倣される欲望」の理論で知られる人類学者のルネ・ジラール氏がカリフォルニアの自宅で亡くなりました。享年91.生まれはフランスのアヴィニヨン。その後、渡米してスタンフォード大学などを中心に活躍しました。それから3ヶ月後の2月16日、パリで追悼の式典が行われ、ル・モンドの書評も含め多彩な執筆活動を行っているジャーナリストのジャン・ビヤンボーム氏も参加し、そのときの思いを記しています。「今夜、人類学者ルネ・ジラールの追悼の式典が行われた。僕も出席して、その素晴らしさにとても感動したんだ。ハイドンの音楽が流れ、聖書のヨブ記とルカの福音書が朗読された。ミサが行われたのはサンジェルマンデプレにある教会で、ここは生前、ジラールがパリに居たとき通っていた場所なんだ。」(2016/02/19)


みる・よむ・きく
パトリック・モディアノ著「ドラ・ブリュデール」(邦訳タイトル「1941年。パリの尋ね人」)
1年で一番寒い2月半ば、フランスの作家パトリック・モディアノの「ドラ・ブリュデール」(邦訳タイトル「1941年。パリの尋ね人」)を読んだ。この小説、というよりノンフィクションの重要な事件がちょうどこの厳しい季節に起きるのだ。1942年1月から2月のパリは極寒だったことが記録されているらしい。パトリック・モディアノは死んでいった人々を哀悼し、過去に想像力の糸を下ろしていく作家であることで知られていて、ノーベル文学賞の受賞理由もそうだった。「ドラ・ブリュデール」の場合はたまさか目にした第二次大戦中の古い新聞〜過去の史実をライブラリーでひもといていたのだろうか〜で、ドラ・ブリュデールという名前の15歳の少女の行方を探す尋ね人の広告をモディアノが目に留めたことに端を発する。広告を出したのは少女の両親である。それは1941年12月31日のパリ・ソワール紙の欄だった。(2016/02/18)


国際
ニューハンプシャー州予備選でトランプ旋風健在 南ア出身の風刺漫談家トレバー・ノアのトランプギャグ
 ニューハンプシャー州で行われた共和党予備選、アイオワでの屈辱を晴らし、ドナルド・トランプ候補がテッド・クルーズ候補やマルコ・ルビオ候補らをおさえて首位に立った。トランプ氏は勝利宣言の場で「中国や日本やメキシコは貿易でぶちのめす」と語った。これらの国々はアメリカの富を奪っていったというのがトランプ氏の持論だ。さまざまな暴言が報じられて、共和党からも批判が出ているトランプ氏だが、そうしたさまを南アフリカ出身の漫談家トレバー・ノアが番組「Daily Show」で「アフリカ的だ」と茶化している。(2016/02/11)


アフリカ
アルジェリアの憲法改正 大統領職を2期までに制限 ベルベル語を第二公用語に アブデルマジド・ベンカシ(Abdelmadjid Benkaci)
アルジェリアの国会の2院で憲法改正の投票が行われました。独立以来、7回目の改正であり、1999年に大統領に就任したブーテフリカ政権になって以来では3度目になります。ブーテフリカ政権は通算17年に渡る記録的長期政権になっています。国会議員606人のうち、517人の議員が改憲に関して投票しました。賛成票が499、反対票が2、16人は白票を投じました。残りの議員たちは投票をボイコットしたのです。(2016/02/10)


欧州
フランス国会(下院) テロ関連罪で訴追された人物が二重国籍者の場合はフランス国籍を剥奪 テロ対策で憲法を一部改正 議員の4分の3が棄権
昨年末から激しい議論を呼び起こしてきたフランスのテロ対策のための憲法改正案が月曜、フランスの国会下院を通過した。テロの場合の緊急事態に対する措置として、憲法を一部(第一条など)改正することにしたのだ。これに対して、緑の党や左翼党などが人権尊重の見地から反対してきた。とくに議論を呼んだのはテロ関連罪で訴追された人物が二重国籍者の場合、フランス国籍を剥奪するというもの。オランド政権のクリスチャーヌ・トビラ司法大臣までが憲法改正案に反対を表明して辞職することになった。(2016/02/10)


文化
パリの芸術家 パタフィジシャンの画家、ゴルゴ・パタゲイ氏に聞く
フランスには前衛芸術の流れが19世紀から脈々と流れており、その思想的源流の一つがアルフレッド・ジャリの文学世界に霊感を得て世界を違った視点から眺める「コレージュドパタフィジック」という流派です。この流派には作家のボリス・ヴィアンやレイモン・クノー、ジョルジュ・ペレック、詩人のジャック・プレヴェール、映画監督のルネ・クレールなどが参加しており、文学のみならず美術や映画など多くのジャンルに影響を及ぼしてきました。彼らはパタフィジシャンと呼ばれています。今回、パタフィジシャンの画家であるゴルゴ・パタゲイ(オウム、パタフィジシャン)氏に話を聞きました。(2016/02/09)


国際
米大統領予備選は大陸横断ウルトラクイズに似ていた 未だ候補者乱立の共和党
今年はアメリカの大統領選挙の年。民主党、共和党それぞれの党の大統領候補選出のための予備選挙はアイオワ州から始まった。アイオワ州はいつも最初の予備選が行われる場所になっており、民主党はヒラリー・クリントン候補とバーニー・サンダース候補がほぼ引き分け、共和党では右派のティーパーティの支援を受けるテッド・クルーズ候補が勝利した。そして、次のニューハンプシャー州でふたたび討論会を行っている。大統領選挙の予備選の討論会は米国の一部とはいえ主要な政治家の姿がある程度うかがえて非常に興味深い。米国で何が国政上の主要なテーマになっているのかも感じられる。(2016/02/09)


文化
音楽にかける青春 ミラン・ルジェハークさん 留学先のストックホルムからの手紙 Milan Řehák ’Letter from Stockholm’
 プラハでアコーディオン奏者を目指して修行に勤しんできた音楽学生のミラン・ルジェハークさんが、昨年秋、スウェーデンに留学しました。ルジェハークさんは期待の新星で、この数年、パルドゥビツェ(チェコ)やプーラ(クロアチア)やサンクトペテルブルク(ロシア)などで開かれた国際コンクールで優勝を何度も経験しています。そして新しい冒険の地、ストックホルムから手紙が届きました。「 スウェーデンでの今の生活はこの地に留学したかった思いの結果によるものです。その思いは満たされています!ストックホルム王立音楽学校でAnita Agnas先生の指導を受けているんです」(2016/02/08)


国際
「米国を作ったのはキリスト教的価値観」 アイオワ州の共和党のテッド・クルーズ候補の勝利宣言 
   2月1日、米アイオワ州で民主党候補のヒラリー・クリントン氏が勝利宣言を行い、民主党候補のバーニー・サンダース氏が引き分け宣言を行った頃、共和党の勝者となったテッド・クルーズ候補は「アイオワは夜明けが来つつあることを告げている」と勝利宣言を行った。(2016/02/07)


みる・よむ・きく
堀江敏幸著「子午線を求めて」
 仏文学者で作家の堀江敏幸氏によるフランス文学界のコラム集「子午線を求めて」が出版されたのは2000年のことでした。その頃、筆者はフランス語の勉強を再開した頃で、よき読書ガイドと思いハードカバーで買って読んだことを記憶しています。堀江氏はサルトルとか、ジッドとか、モーリアックのような文豪ではなく、ロマンノワールなどのフランス文学史にどこまで残るか未知数の作家群に惹かれるとして、本書の中でもそうした作家が中心的に紹介されています。とくに郊外に焦点が絞られているため、移民だったり、貧困層だったりといった庶民の暮らしがそこで書き込まれているのです。(2016/02/07)


国際
ヒラリー・クリントン候補がバーニー・サンダース候補に「もったいぶった誹謗はやめてよ」
 昨秋、自民党から総裁選に立候補しようとして支持者が集まらず立候補を取り下げた野田聖子議員は先日、安倍首相と仲直りのハグ(抱擁)をしたと伝えられる。そんな昨今、アメリカでは激しい選挙戦が行われている。(2016/02/06)


みる・よむ・きく
フィリップ・ラゴートリエールの世界 どこか懐かしい漫画的なキャラクター満載 Philippe Lagautrière
どこか懐かしい漫画的なキャラクターが無数に絵の中に存在して、あちこちでいろいろな事件が起きている。解釈の仕方はさまざま。ただ言えるのは理屈や物語の解読はさておき、純粋に色と形の集まり、つまり絵画として非常に目を楽しませてくれる、そんな作品群に出会いました。作者はフィリップ・ラゴートリエールさん。現在、パリ14区のコリーヌ・ボネ画廊でラゴートリエールさんが企画の中心となった共同展示会「世界の源を見る16人の眼差し」を開催中です。期間は2月27日まで。パリで活躍している美術家フィリップ・ラゴートリエールさんに話をうかがいました。(2016/02/05)


国際
「アイオワ・サンキュー!」開票後、バーニー・サンダース候補の第一声 米報道「30歳未満のアイオワ州民主党有権者の84%がサンダース支持」
「アイオワ・サンキュー!」2月1日のアイオワ州での開票後、わずかの僅差でヒラリー・クリントン候補に負けたものの、実質的には49%台でほぼ引き分けだった民主党大統領候補のバーニー・サンダース氏は開口一番、アイオワ州民の支持者に感謝を表明した。(2016/02/03)


国際
アイオワ州の民主党予備選 ヒラリー・クリントン候補がバーニー・サンダース候補にごく僅差で勝利宣言
アイオワ州で昨日行われた民主党予備選で大統領候補のヒラリー・クリントン候補が勝利宣言を行った。USAトゥデイによると、開票終了間際の数字では両候補ともに49%台の非常な接戦だったようだ。(2016/02/02)


TPP/脱グローバリゼーション
米大統領選とTPP ヒラリー・クリントン候補のTPP反対表明の波紋 TPP再交渉の可能性も
 紆余曲折を経て、昨年10月に大筋合意を取り付けたTPP(環太平洋経済連携協定)だが、今、三度、逆風が吹いている。日本側では担当大臣だった甘利明経済再生担当大臣がスキャンダルの責任をとって辞職したばかり。一方、舵を握る米国でも、オバマ政権の後継となる可能性を持つヒラリー・クリントン候補や、ヒラリー候補を追うバーニー・サンダース候補らがTPPに反対していることである。(2016/02/02)


みる・よむ・きく
池内恵著「イスラーム国の衝撃」
 文春新書から1年前の2015年1月に出版された池内恵氏の「イスラーム国の衝撃」は情報が満載された好著である。アラブ世界の思想を研究してきた池内氏が本書を書きあげた動機はイスラーム国の存在がクローズアップされた2014年6月のイラクへの勢力拡大を経て、2015年1月の日本人2人の人質殺害まで、日本国内におけるイスラム国への関心が急速に拡大していたことだった。本書で池内氏が探求したことは2つの事柄からなる。(2016/02/01)


国際
「アメリカを探して」 バーニー・サンダース陣営の選挙広告にサイモン&ガーファンクルの歌を使用
当初はヒラリー・クリントンの支持率が60%近くあって圧勝と見られていた民主党予備選だが、バーニー・サンダースが猛追して面白くなってきた。サンダース氏は格差社会の是正を掲げている。選挙キャンペーン広告ではサイモン&ガーファンクルの歌を使って、真のアメリカを探し求めるというメッセージを伝えている。(2016/01/31)


国際
明日2月1日、アイオワ州で民主党の最初の予備選の投票 ヒラリー・クリントン氏とバーニー・サンダース氏の激しい戦いに
  明日2月1日、米大統領予備選はアイオワ州で民主党の最初の投票が行われる。ヒラリー・クリントン候補にバーニー・サンダースが猛追している。以下は1月17日に行われた民主党候補のテレビ討論。(2016/01/31)


みる・よむ・きく
丹羽宇一郎著「中国の大問題」 〜民間出身の中国大使として各地を足で回って中国をどう分析したか 2012年の尖閣をめぐる確執で何が政府に起きたのか〜
 伊藤忠商事会長だった丹羽宇一郎氏は2010年に民間人として中国大使に就任した。アメリカやフランスでは珍しくないことだが、日本においては民間人が大使に就任することは非常に希な事態だった。財界人として中国とのパイプを持っていることから、民主党の菅直人政権によって任命された。だが2012年に起きた尖閣諸島をめぐる日中間の確執がもとで、更迭される。時の首相は野田佳彦氏だった。本書は丹羽氏が2014年に書き下ろした新書であり、本書の中には中国大使時代の経験が色濃く反映している。とくに注意深いのは言うまでもなく、尖閣諸島をめぐる2012年のトラブルの際の日本政府の行動だろう。(2016/01/31)


国際
米大統領選 あのトランプ氏が「リベラル」と批判されていた・・・ ネガティブキャンペーンで批判集中「我々はトランプという人物をどの程度知っているのか?」
 米大統領選ではネガティブキャンペーンが大々的に行われる。イスラム教徒の入国を禁じる、などの暴言で話題になっている共和党候補のドナルド・トランプ候補に、ライバル共和党候補陣営から「隠れリベラル」との批判が集中している。ネガティブキャンペーンの映像や記事を読むと、トランプ氏が過去に拳銃所持に反対したこと、中絶支持であったこと、国民皆保険を支持したこと、イランとの核交渉で民主党のヒラリー・クリントン候補を支持していたといったことなどが、発言映像などを交えて伝えられている模様。ネガキャンを行っているのはトランプ候補を追う二位のテッド・クルーズ陣営だと報じられている。(2016/01/30)


国際
米大統領選 アラスカのサラ・ペイリン氏が再登場 共和党右派から実は<隠れリベラル>と疑われているトランプ氏の‘保証人’に
   米大統領選は民主党では伏兵、格差社会の是正を掲げるバーニー・サンダース氏がヒラリー候補に迫る勢いになっており、一方の共和党はトランプ候補が独走している状況のようです。移民やイスラム教徒などへの暴言で知られるトランプ候補に、サラ・ペイリン氏が副大統領候補としてタッグを組む気配。これを風刺した漫画が常連のパトリック・シャパット氏のものです。(2016/01/30)


欧州
クリスチャーヌ・トビラ仏司法大臣辞職の波紋 テロ関連で有罪となった移民の二重国籍者からフランス国籍を剥奪する憲法改正に反対 同性婚の立役者
昨年からイスラム原理主義勢力のテロで揺れるフランスで今月、また激震が起きた。といっても今回はテロ事件ではない。テロ対策を巡ってフランスの司法大臣がオランド大統領や首相に対立して辞職したのだ。1月27日のことだ。辞職したのはクリスチャーヌ・トビラ司法大臣(Christiane Taubira、63)。(2016/01/29)


アフリカ
わがカビリー地方の山々 アブデルマジド・ベンカシ(Abdelmadjid Benkaci)
  この写真はアルジェリアのカビリー地方です。ジュルジュラ( Djurdjura)が山の名前です。首都のアルジェからは東に170キロほど離れています。カビリー地方の住人は山岳地帯に住んでいます。カビリー地方の行政の中心はティジ・ウズー(Tizi ouzou)という町です。(2016/01/28)


みる・よむ・きく
独断と偏見の読書ガイド 10日間・国民投票までに読みたい7冊
 今からちょうど2年前の1月、日刊ベリタに以下の読書ガイドを書きました。普段は1週間限定の読書ガイドにしていたのを、3日間増やして10日間にしたのは恒例の独断と偏見によって必要だと考えた本を読み切るには1週間では足らない、と考えたからでした。(2016/01/28)


安倍政権を検証する
参院選と改憲 戦後の自由を保証した個人主義の終焉の年となるか
 安倍首相はこの夏の参院選で勝利した後、国民投票で過半数を得て憲法改正を行う目算です。しかし、日本国内では憲法が大きく変わる、つまり、日本国家のあり方が大きく変わることに対する緊張感が弛緩している印象があります。たとえば自民党の改憲案には個人の尊重が欠落していますけれども、このことは思想や表現の自由に対する大きな妨げになるでしょう。(2016/01/27)


米国
米国 銃メーカーのウハウハ模様 株価は高騰 「オバマ大統領は地球で最良のセールスマン」
 沸騰する銃メーカーの株価。乱射事件 ⇒ 売上激増。 (2016/01/26)


コラム
さそりとカエル
さそりとカエルが登場する古典的なジョークがあります。そのジョークは作家・開高健によるアンソロジーで知ったのですが、開高によるとベトナム戦争に即して、語られていたそうです。川を前にして、さそりが近くにいたカエルに提案する。「あんたが対岸に渡るんだったら、よかったら、あんたの背中に私を乗せて行ってもらえないか。」(2016/01/26)


安倍政権を検証する
TPPの震源地 アメリカでの甘利経済再生担当大臣の賄賂報道
  今、事務所が賄賂を受けた疑いで週刊文春をはじめ、国内メディアで報じられている渦中の甘利明経済再生担当大臣と言えば10月に大筋合意したTPPの立役者として株を上げた矢先のこと。TPPの震源地米国のニューヨーク・タイムズ国際版では’Key Abe ally in Japan is accused of selling favors '(安倍首相の重要な腹心が賄賂で告発される)という見出しで報じられた。(2016/01/25)


コラム
テニスシューズ
  こういうジョークを見聞した。素っ裸の女性がテニスコートの入口に立っている。身につけているものはテニスシューズだけだ。スカートもブラジャーもない。彼女が立ちどまっている入口の脇にはこんな注意書きが掛けられている。(2016/01/24)


中東
サダム・フセイン政権とイスラム国 その関係をめぐる新たな分析が英語メディアに現れる
イスラム国を支えているのは旧サダム・フセイン政権時代の軍人や官僚たちだという説はすでに常識になっている。しかし、イスラム国自体が、その源流をたどればサダム・フセイン政権時代に培われていた、という考え方は未だに新しい説である。こういう説が12月24日〜25日付のインターナショナルニューヨーク・タイムズに出ていた。タイトルは’ISIS' debt to Saddam Hussein '(イスラム国がサダム・フセインに負うもの) 寄稿者はカイル・オートン氏(Kyle Orton)、中東のアナリストという肩書きである。(2016/01/24)


欧州
フランス 地方選で思わぬ敗北を喫した国民戦線の軟化? 党内でEUR離脱をめぐる意見の相違も報じられる
昨年、12月のフランス地方選。一回目の投票で一位についた国民戦線だが、2回目の投票で国民戦線を勝たせない作戦に出た社会党などの連携によって、大敗を喫することになった。あれから1ヶ月。国民戦線の変化を告げるかのような記事がL'EXPRESSに出ている。(2016/01/23)


みる・よむ・きく
若林正丈著「台湾の政治 〜中華民国台湾化の戦後史〜」(東京大学出版会)
1月16日に台湾で行われた選挙で、野党・民進党から出馬した蔡英文候補が大統領にあたる総統に選出された。同時に行われた立法院議員選挙でも民進党が過半数の68議席(全113議席中)を獲得して、行政・議会ともに舵を取ることになった。台湾の政治の変化を考えるためには台湾の歴史の流れを無視することは不可能である。若林正丈著「台湾の政治」はそれを考えるときに参照できる貴重な資料だと思う。この本には「中華民国台湾化の戦後史」と副題が添えられている。このことを400ページもの記述で考察したのが本書である。(2016/01/21)


文化
ブルキナ・ファソのテロ事件で写真家/ビデアストのレイラ・アラウィ(LEILA ALAOUI)氏も死亡 〜マグレブ地方の人々や欧州へ越境した人々の息吹を伝える写真家・ビデオ芸術家だったようだ〜
  写真家でビデオ・アーチストでもあるレイラ・アラウィ氏がアフリカのブルキナファソの首都、ワガドゥグーで1月15日に起きたテロ事件で重傷を負い、3日後の18日に亡くなった。ビデアスト(ビデオアーチスト)、写真家として、ルーツの地であるモロッコなどを旅して、多様な文化の足跡や、フランスに移民したマグレブ地方の労働者らの声を伝えてきた。(2016/01/19)


アフリカ
「ホシン・アイット・アメッド 」 〜アルジェリア民主化の闘士、死す 享年89〜 アブデルマジド・ベンカシ(Abdelmadjid Benkaci)
 ホシン・アイット・アメッド(Hocine Ait Ahmed)は1926年8月20日、アルジェリアの山岳地帯として知られるカビル地方の小さな村で生まれた。アイット・アメッドはその村の名前であるのだ。彼はアルジェリア・ナショナリズムの先頭に位置した人物であり、1954年11月1日に革命を起こした9人の中の一人なのだ。ホシン・アイット・アメッドが自由や人間の尊厳といった価値を学び取ったのはアルジェリア人民党においてだった。この政党はアルジェリアのナショナリズムにとっては欠かすことができない人物であるメッサリ・ハッジ(Messali Hadj)によって設立された。ホシン・アイット・アメッド終生、その道から外れることはなかったのだ。そして、彼はその道をアルジェリアに築いた。しかし、アルジェリア人民党にホシン・アイット・アメッドが入党したのはわずか17歳だったのだ。(2015/12/30)


アフリカ
アルジェリア独立のリーダーの一人、Hocine Ait Ahmed 氏が亡くなる
 アルジェリア独立のリーダーの一人、Hocine Ait Ahmed氏がスイスのローザンヌの病院で亡くなった。89歳だった。Hocine Ait Ahmed氏は1954年11月1日にフランスに対して、独立戦争を起こしたアルジェリア民族解放戦線(FLN)のリーダーの一人だった。(2015/12/25)


文化
ホーネッカー・ジョーク
  密告や監視が日常的に行われる世界を好む人々はいるのでしょうか。独裁国家は言論の自由が奪われた世界です。独裁国家では人々は抑圧されるために、政治指導者を風刺するジョークがたくさん作られるます。ベルリンの壁が崩壊する前の東ドイツにもホーネッカー・ジョークと呼ばれるものがありました。(2015/12/25)


アジア
シーシュポスと沖縄の基地
 沖縄の基地問題は敗戦から70年間、ずっと続いている。沖縄が米国から返還された後も、未だに基地問題は解決していない。そればかりか、新たな基地の建設も始まろうとしており、ますます難しい政治的問題になっている。いや、もはや政治を超えて不条理な事態になっている。沖縄の人々はシーシュポスの神話のように、未来永劫その軛から逃れることができない運命なのだろうか。沖縄について、こんな小話を聞いた。(2015/12/21)


みる・よむ・きく
田邊貞之助著「ふらんすの故事と諺」
  仏文学者、田邊貞之助著「ふらんすの故事と諺」は1959年(昭和34年)の出版である。今から56年も昔の諺の本が今日、どのような価値を持っているのだろうか?一読して感じたことは少なからず、今日ではあまりインパクトがなくなってきていることだ。「Argent comptant porte medecine = 現金は薬をもたらす」という諺もその1つで、「金の威力をたたえた諺」と解説されている。けれども、今日、そんなことは言わずもがな、と思える。逆に昭和34年、つまり1960年の安保闘争の1年前は金の威力の諺に「なるほどな〜そうかもな〜」と思う日本人がまだたくさんいた、ということなのだろうか。金の力は今よりも一般通念になっていなかったということだろうか。(2015/12/20)


国際
南沙諸島の戦争
 最近、何かときな臭い印象を受けるのが東アジア周辺の海域。こんな小話を聞いた。南沙諸島周辺で漁船同士の衝突が起こり、駆けつけたフィリピン海軍と中国海軍が互いに砲撃を始めた。やがて戦争は周辺国を巻き込んで本格化し始めた。 (2015/12/18)


文化
コンゴ出身の作家アラン・マバンクウ氏がコレージュ・ド・フランス教授に 3つの大陸で黒人の生と文学を見つめる 3月17日に就任記念講義
 コンゴ出身の黒人作家アラン・マバンクウ氏がフランスの高等文化教育機関コレージュ・ド・フランスの教授に選出されました。来年3月17日に就任記念講義を行う予定です。講義のテーマは「アフリカの黒人に焦点を当てた、植民地における文学について」。コレージュ・ド・フランスの教授には哲学者のアンリ・ベルクソンやミシェル・フーコー、歴史学者のフェルナン・ブローデル、人類学者のクロード・レヴィ=ストロース、社会学者のピエール・ブルデューなど、フランスを代表する知識人が就任しています。しかし、一般の大学と異なり、講義が市民に開かれているのが特徴です。(2015/12/18)


欧州
エリック・ゼムール氏がイスラム教徒への憎悪をかき立てる発言をしたとして罰金3000ユーロ(約40万円)
 フランスのジャーナリスト・コメンテイターのエリック・ゼムール氏がフランス在住のイスラム教徒全体に対する憎悪をかき立てる発言をイタリアの新聞Corriere Della Seraに対して昨年10月に行ったことで軽犯罪裁判所で罰金3000ユーロを課されることになった。(2015/12/18)


みる・よむ・きく
アート・バックウォルド傑作選1 「だれがコロンブスを発見したか」
現代日本においては政治が迷走し、多くの有権者は政治に対して、既存の政党に対して絶望を深めつつある、ということである。絶望を深めつつも、どうすることもできない無力感に襲われる人は少なくないだろう。そのような事態を招いているものは、人間存在そのものなのであり、つまるところ、そうした人間存在を笑う、ということは一種の健康さでもある。でなけれやりきれないからでもある。(2015/12/15)


欧州
フランス地方選「最大の敗者はサルコジ共和党党首だった」
フランス地方選、1回目で最大得票率を得た極右政党の国民戦線が蓋を開けてみると、2回目では大敗し、1つの地域圏でも勝つことができませんでした。一番勝ったのはサルコジ党首が率いる右派の共和党(旧・国民運動連合)のグループでした。ところが、フランスメディアでは今回の選挙での一番の敗者はマリーヌ・ルペン国民戦線党首ではなく、当のサルコジ共和党党首であるとする報道が出ています。いったいなぜ、最大多数を勝ち得た共和党を率いたサルコジ氏に対して、そのような批判的な記事が出ているのでしょうか?(2015/12/15)


欧州
フランス地方選 決選投票 国民戦線、大敗か 投票率の増加が勝敗の鍵を握った模様 2002年大統領選の再来
  昨日、12月13日(日曜)、フランスで行われた地方議員選挙の2回目の決選投票で1回目の投票では大勝した国民戦線が今度は大敗を喫した模様。1地域圏も取れない可能性もあると、報じられている。全13地域圏のうち、躍進したのは右派の共和党(旧・国民運動連合)で7地域圏を確保、社会党も5地域圏を確保して面目を保った形になりそうだ。(2015/12/14)


検証・メディア
スペインのエル・パイス紙が報じた日本の表現の自由度
スペインのエル・パイス紙が世界の表現の自由度を色分けして世界地図で示している。表現の自由が高いほど点数が上がり最高点が8とすると、日本は3.27とランキングはとても低い。ちなみにロシアは3.34、インドは3.68、ナイジェリアは3.51、韓国は3.83、フィリピンは4.60である。(2015/12/14)


米国
米国防長官がドイツにイスラム国討伐へのさらなる兵員派遣を要求か
戦後70年を経て、ドイツが一歩また一歩と戦争に足を踏み込み始めている。ドイツはイスラム国征伐に1200人の部隊の派遣を決定し、兵員はトルコの軍事基地に到着したばかり。ドイツのシュピーゲルによると、米国防長官のアシュトン・カーター氏がドイツ軍のさらなる貢献を求めたとされる。(2015/12/13)


米国
「違法な移民」と先住民
 最近、よく聞く小話が次のようなものです。排外主義の共和党候補、ドナルド・トランプ氏が熱弁しています。 (2015/12/13)


みる・よむ・きく
ナギブ・マフフーズ作「泥棒と犬」
エジプトの作家の本を初めて読んだ。作家はノーベル賞作家のナギブ・マフフーズで、タイトルは「泥棒と犬」。代表作とは言えないけれども、「中期の佳作」であると本の帯に書かれている。一読して驚いたのはマフフーズが最初の1ページから、ページをくり続けさせるエンターテイナーだということだ。日本ならこの小説は純文学というジャンルに位置するのかもしれないが、映画を見ているようなスピード感と同時に心の闇を深く描き出している。(2015/12/12)


米国
「イスラム教徒は入国させない」トランプ候補の発言と米憲法 米移民法学者のNYTへの寄稿
  ドナルド・トランプ米大統領候補が言った「イスラム教徒は米国に入国させない」という発言について、それが合法かどうか、米憲法と照らしてどうか、法学者がニューヨーク・タイムズに寄稿しています。テンプル大学で移民法を専門にするピーター・スピロ教授です。(2015/12/11)


米国
米大統領予備選 共和党トップを排外主義のトランプ候補が独走
  12月上旬に行われたCBSの世論調査によると、2016年の米大統領選予備選の予測で共和党ではドナルド・トランプ候補が35%とトップに立っていることがわかった。2位はテッド・クルーズ氏(16%)、3位はベン・カーソン氏(13%)と続いている。(2015/12/11)


みる・よむ・きく
柯隆著「中国が普通の大国になる日」
 富士通総研の主席研究員である柯隆氏が書いた「中国が普通の大国になる日」は興味深い中国分析である。本書の骨子は中国が抱える課題を指摘していることである。2013年、最高指導者が習近平国家主席に代わって以後、中国はいろんな形で改革を行っていると報じられている。しかし、柯氏によると、本来、改革に着手すべきだったのは前任者の胡錦涛国家主席と温家宝首相の時代だった。なぜなら、この10年間こそ中国にとって経済成長が加速した時期であり、政治改革は景気が良い時ほど、やりやすいというのが柯氏の骨子となっている。(2015/12/10)


コラム
フランス地方選 二回目の決選投票のゆくえ アブデルマジド・ベンカシ(アルジェリアのジャーナリスト)Abdelmadjid Benkaci
 フランスの地方選、第一回目の投票で極右政党の国民戦線が非常に高い得票率を得ることとなった。右派政党の共和党にとっても、社会党にとっても番狂わせとなった。1月に起きたCharlie Hebdo襲撃事件も、11月のパリの同時多発テロも国民戦線の大躍進に有利に作用した。しかし、極右政党が政権を握るのを阻止することはまだ可能だと私には思える。まだ二回目の決選投票があるからだ。しかし、逆転は可能だろうか?右派政党と左派政党が国民戦線の躍進を阻止するために選挙で協力することは可能なのだろうか?(2015/12/09)


地域
パネットーネ イタリアのクリスマスの焼き菓子
  クリスマスの祝いと言えば12月24日と25日・・・これしか日本では一般的には知られていませんが、イタリアではクリスマスのおよそ4週間前からクリスマスまで、イエス・キリストの生誕を待つ期間として待降節という時期が設けられています。このとき、家庭で焼かれていたお菓子がパネットーネだそうです。(イタリア語の場合、複数形になるとパネットーニになります)(2015/12/09)


欧州
フランス地域圏議員選挙 一回目の投票で国民戦線が大勝 次の日曜に決選投票
  12月6日の日曜に行われたフランス地方選で極右政党の国民戦線が30%の得票率を得て、第一位に浮上しています。昨年の欧州議員選挙に続いて、トップの位置に国民戦線が浮上しており、2010年の選挙で得た得票率11.4%に比べると、わずか5年で約3倍に伸びたことになります。ちなみに社会党は23%、右派中道連合は27%の得票率です。(2015/12/08)


みる・よむ・きく
ジャン=フィリップ・トゥーサン著 「衝動と我慢」(L' URGENCE ET LA PATIENCE)
  紀伊国屋書店でジャン=フィリップ・トゥーサンのエッセイ集「衝動と我慢」(L' URGENCE ET LA PATIENCE) を買いました。これはミニュイ社から出ている新書版です。ですから、タイトルをこう訳すべきなのか、もっと別のよい訳語があるのか、確信が持てずにとりあえず、僕の理解のままにこう訳しておいたものです。もしかすると、「衝動と忍耐」とする方が、あるいは「急迫と辛抱」とか、「切迫と辛抱」とかにする方がよいのかもしれません。いずれにしてもトゥーサン氏の持ち味である軽さを維持していながら、同時に誠実かつ率直に自分の創作について語っている本です。その意味で読み始めると、面白くページが次々とめくれていく体験をしました。(2015/12/07)


環境
有機栽培を勧めている団体が連名で来年、米企業モンサントをハーグの国際法廷で人道に反する罪で告訴すると声明
 有機栽培を促進している組織などが、遺伝子組み換え作物を世界に広めようとしている米企業モンサントを人道に反する罪で来年、ハーグの国際法廷に提訴すると発表した。また人道だけでなく、環境に対する犯罪でもあるとしている。(2015/12/05)


国際
ロシアがずっと以前にイスラム国の台頭を警告していた・・・ 元イスラエル国家安全局長官のコラム
   イスラエルの元国家安全局長官だったGiora Eiland氏がロシアがずっと以前にイスラム国の台頭を警告していたと12月3日付のコラムに書いている。Giora Eiland氏によると、彼が長官だった頃、ロシアのある機関の研究者がイスラエルにやってきた。今からおよそ11年前のイラク戦争当時のようである。(2015/12/05)


コラム
'Turkey Pardon' 米大統領とターキィ
  日本で感謝祭というと、商店街やデパートのバーゲンセールだが、外国では違う。11月の第四木曜日、今年の11月26日は米国とカナダでは恒例の感謝祭(Thanksgiving)。七面鳥をしめてみんなで食べる習慣がある。そこでこんな小話を聞いた。感謝祭の前、オバマ大統領とプーチン大統領が会談した。(2015/12/05)


コラム
(再掲載)フランスからの手紙13 トルコは向きを変えるのか? La Turquie va-t-elle changer de cap ? パスカル・バレジカ
  (以下は2010年に日刊ベリタに掲載した記事の再掲載です。トルコが変化していく道を示しており、転機をうかがわせるものです)ケマル=アタチュルクは第一次大戦後、大変動に直面したトルコを近代国家に作り上げた。オスマン帝国の残骸の上にだ。この共和国は第二次大戦では賢明にも中立を守ったのだが、宗教的には政教分離の国家となった。これは世界でも珍しいことであった。1950年代以降は明確に欧米寄りの路線を選択した。1952年にはNATOに加わり、1963年には欧州連合の前身である欧州経済共同体への加盟を申請した。 (2015/12/05)


中東
ロシアがトルコの Daesh(イスラム国)からの石油密輸入を告発 ルートは3つと糾弾 Daesh への国際包囲が強まる
トルコは否定している。しかし、ロシアがトルコの石油密輸入を衛星写真をつけて告発している。トルコがDaesh(イスラム国)から石油を買っているルートは3つあるという。(2015/12/04)


みる・よむ・きく
末廣昭著 「タイ 開発と民主主義」
  末廣昭著「タイ 開発と民主主義」(岩波新書)は「タイ 中進国の模索」(岩波新書)と並んで、1000円未満の廉価でクオリティの高いまとまった情報が入手できる書籍です。近年、新書と言っても中身の薄い、あるいはボリューム自体が少ない本が増えていますが、末廣氏の書き下ろしたこの2冊は中身が詰まっています。タイではしばしば軍事クーデターが起きており、昨年も起きて現在も軍事政権の統制下にあります。タイではなぜこれほど軍事クーデターが常態化しているのか?その謎を解き明かそうと思うと、タイの近代史、あるいは現代史をひもとかなくてはなりません。(2015/12/04)


欧州
フランス治安当局がすでに4つのモスクを閉鎖へ イスラム過激主義が理由とされる 環境活動家も取締り
 外国の新聞によると、フランス治安当局がイスラム過激主義の取締のため、すでに3つのモスクを閉鎖し、さらに4つ目も閉鎖する予定であるとされる。根拠は11月13日の同時多発テロの直後に発動された緊急事態法に基づくものとされる。(2015/12/03)


欧州
パリの同時多発テロあとの最初の選挙 国民戦線への支持が上昇中と報じられる 2017年大統領選への橋頭堡を目指すマリーヌ・ルペン党首
  フランスで地方選挙が行われる。11月13日のパリ同時多発テロがフランス人の政治意識にどう影響したのかが最初に明確になるのがこの選挙と言われており、12月6日と決選投票の必要があった場合は13日の2週に渡って行われる。ただし、地方選にも、地域圏(州)・県・市町村レベルの3段階があり、今回は地域圏レベルの選挙である。これまで22の地域圏だったが、この選挙から13地域圏に統合されて行われることになる。もっとも注目されているのが右翼政党の国民戦線がどこまで勝つか。(2015/12/03)


環境
パリで始まったCOP21 「21世紀の資本」のトマ・ピケティ教授も参加 21世紀に入ってますます広がる格差と環境汚染を同時に修正する必要がある
 パリで11月30日にCOP21=国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議が始まりました。同時多発テロ事件のすぐあと、ということで新聞漫画では会議に参加した人々の最大の関心がテロにあって、その合間に環境問題を話し合っているかの印象があります。しかし、デモ隊が登場したり、機動隊がそれを鎮圧したり・・・とテロとは別に、一種の熱が生まれているようです。(2015/12/01)


コラム
ミシェル夫人の夫
  こんな小話を耳にした。オバマ大統領とミシェル夫人がたまにはくつろいで、普段とは違う庶民的な料理店に出かけることにした。レストランに入ってしばらくすると、店のオーナーが顔を出した。特別にお願いがあるのだという。(2015/12/01)


みる・よむ・きく
「トマ・ピケティの新・資本論」(村井章子訳 日経BP社) 斬新な切り口の新・欧州論
「21世紀の資本」で今春、日本のメディアでひっぱりだこになった経済学者のトマ・ピケティ教授による新聞コラムを集めたものが本書、「トマ・ピケティの新・資本論」(村井章子訳 日経BP社)である。数年に渡り、ピケティ教授が連載していた新聞はリベラシオン紙である。本書の中で大きく2つの論点があり、1つは広がりを見せる格差問題と税金について、1つは欧州経済危機への対応策について。もともと原書のタイトルは’Peut-on sauver L'Europe ?'(われわれは欧州を救えるか?)なのである。つまり本書は最新の型破りな欧州論とも言えよう。(2015/11/29)


文化
ティパサの1日 アブデルマジド・ベンカシ(アルジェリアのジャーナリスト)Abdelmadjid Benkaci
 今日のティパサの写真です。晴れやかな1日で、多くのアルジェリア人の訪問者がいましたが、外国人の姿も見かけました。お目当ては古代ローマ時代の遺跡です。ティパサに来ると、古代ローマの歴史の一端に触れることができるのです。でも、それだけでなく、ティパサには太陽と海と森があります。監視人をたくさん雇う予算がないので、みんなでこれらの遺跡を守る必要があります。そのためには健全な公共精神が欠かせません。(2015/11/29)


社会
「放送法遵守を求める視聴者の会」の記者会見と放送法
 11月26日、東京・丸の内で「放送法遵守を求める視聴者の会」の会見が行われた。この会は産経新聞(11月14日)や読売新聞(11月15日)などで「私達は、違法な報道を見逃しません」としてTBSの「NEWS23」のメインキャスターである岸井成格氏を名指しで批判したことで注目を集めたばかり。ゲンダイなどによればこの意見広告では岸井氏が安保法に反対の意見を自ら開陳したことを「政治的に公平であることなどを定める放送法に反する」と批判した。(2015/11/28)


国際
パリの同時多発テロは「イスラム国の終わりの始まり?」 アラブのジャーナリストが分析 イスラム国の中で国際派と一国派の亀裂の可能性
  パリの同時多発テロでイスラム国は勢いづいているのか、と思ったら、逆にこれが「終わりの始まり」かもしれない、と分析するアラブのジャーナリストがいました。Faisal Al Yafaiという名前のジャーナリストです。この分析を寄稿したのはアラブ首長国連邦の媒体、The Nationalです。ただし、彼は英国のガーディアンなどにも寄稿している国際的なジャーナリストです。(2015/11/26)


文化
テロと報復戦争の時代に ベルギー出身の作家ジャン=フィリップ・トゥーサン氏は・・・
 かつてフランスの哲学者・作家・批評家のサルトルは「飢えた子供の前で文学に何が可能か」と問いかけたことがあった。今、身近に進行しているテロや戦争といった危険な空気の中で、ベルギー出身でフランスで出版活動を続けてきた作家のジャン=フィリップ・トゥーサン氏は新作「フットボール」(サッカー)の中から、次の引用をして、自分の思いを伝えている。(2015/11/25)


コラム
違憲の疑いが濃い安保法に基づく、日本の「テロとの戦い」 機能不全の三権分立の立て直しが急務
9月に国会で可決した安保法制は3月末まで施行される見通しと報じられました。折しも、欧米諸国は「テロとの戦い」を旗印に世界大戦をも辞さない事態に突入しています。昨日はロシア戦闘機がシリアとトルコとの国境付近でトルコ軍に撃墜され、ロシアとトルコの間で緊張が高まっています。そのロシアはシリアをめぐって、米仏と連携してイスラム国を粉砕する方針です。一方、スンニ派のイスラム国をスンニ派のトルコやサウジアラビアが裏で支援してきたと報じられています。シーア派とスンニ派というイスラム教の中での宗派の争いに西欧諸国が利害関係をもって絡み合い、第一次世界大戦の時のような危険な状況が生まれています。(2015/11/25)


国際
欧州各地で農民の自殺が増加 農産物価格の低迷に絶望 需給の変動が直撃 グローバリズムが農民を断崖に追い詰める
 ユーロニュースによると、欧州各地で農産物価格の低迷に由来して、農民の自殺が増加している。フランスではリーマンショック以後に、フランスの金融がおかしくなり、農業への貸し渋り、貸し剥がしが増えて、つなぎ融資の得られなくなった農民の自殺が増えていた。とくに酪農分野の自殺が大きく報じられてきたところである。しかし、ことはフランスに限定されず、欧州全域で同様の窮地に農民が追い詰められているようだ。(2015/11/24)


国際
右傾化するフランス 死刑復活に賛成する人が過去数年で上昇し、50%に 国民戦線創設者のジャン=マリー・ルペン氏「テロリストは斬首せよ」
  ハフィントンポスト(フランス版)によると、ミッテラン政権時代に死刑が廃止されたフランスで、死刑制度復活を求める声がここ数年で急増しており、ある世論調査によると2009年にわずか32%に過ぎなかった死刑復活支持者が今年2月には50%まで上昇している。(2015/11/23)


コラム
国際テロと「存立危機事態」 戦争体制への移行も 70年ぶりの戦争の可能性が高まる 
  今回、テロで襲われたのはパリでしたが、集団的自衛権を認める安倍政権のもとでイスラム国(Daesh)がもし外国在住の日本人ないしは日本国内を狙ったテロを起こした場合、我が国も70年ぶりに戦時体制に突入することが可能性としてありえます。その場合に、米露仏などと集団的自衛権を行使するということになるかもしれません。(2015/11/23)


コラム
「テロの嵐」 アブデルマジド・ベンカシ(アルジェリアのジャーナリスト)Abdelmadjid Benkaci
テロがまたフランスを襲った。今年の1月以来である。フランスの首都は国際的なテロの標的となり、150人近い死者と400人以上の負傷者を生む結果となった。まさに悲劇というほかない。フランスでこのような惨事はこれまでなかった。この事件はシナイ半島でロシアの航空機が襲われ、224人という重大な死者を生んだテロ事件からわずか2週間ほどあとの出来事である。ロシア機の墜落は10月31日のことである。テロリストの名前は様々だ。アンサル・シャリア、ボコ・ハラム、アル・カイダ、ダエシュ(イスラム国)と様々あるが、いずれもイスラム原理主義によるテロ活動である。そのいずれ西欧諸国やその同盟国の利益を狙ったもので、テロの方法もまた同じである。彼らは西欧諸国の価値観こそ世界の悪の根源であり、人間の惨めさの原因であると考えており、西欧諸国とその同盟者を不信心者であるとみなしている。(2015/11/22)


米国
戦争を一変させた Drone の実像を描くドキュメンタリー映画「Drone」
 アメリカで「ドローン(Drone)」というドキュメンタリー映画が公開されている。ドローンとは無人飛行機で、遠隔操作で暗殺を行うマシンである。ドローンの実像を描くテレビドキュメンタリーは放送されているが、これは映画版で監督はTonje Hessen Schei.(2015/11/22)


国際
サウジアラビアが外国メディアに資金援助 サウジアラビア寄りの報道を促す
ジャカルタポストによると、サウジアラビアが外国メディアに資金を投じて、自国に有利な報道をするように促しているという。情報源はウィキリークス。記事では経営難に陥ったレバノンのテレビ局がサウジアラビアから、サウジアラビアよりの報道をすることを約束に、200万ドル(2億円以上)の資金援助を受けたとされる。(2015/11/21)


国際
フランスのバルス首相、憲法評議会での審議に躊躇 <憲法論議をしているとテロ対策に遅れが出る> 憲法軽視のフランス政府
 テロとの戦いを始めたフランスのバルス首相は「緊急事態」の期間を長期化するために国会で現行憲法では違憲に当たる新法案制定の手続きをしているところであり、下院(国民議会)では可決され、現在、上院(元老院 あるいはSenat)で議論中だとされる。そこでバルス首相は改憲項目について憲法評議会へ審議を付託することはテロ対策に遅滞を生じさせ、さらにはすでに実行した家宅捜索や事情聴取なども遡って否定されることにほかならず、「リスクである」と語ったと報じられている。(2015/11/21)


コラム
TPPはここで止まらない 今回の関税撤廃率・低関税輸入枠は将来変更されうる
環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意が10月5日にアメリカのアトランタで得られることになった。現在、参加した12カ国は批准のための作業を行っており、それは情報公開やダメージを受ける産業への手当などである。(2015/11/21)


国際
ロシア機墜落の報復を誓うプーチン大統領 Daesh へ寄付している40カ国の人物の情報を公表
10月31日にエジプトのシャルムエルシェイクからサンクトペテルブルクへ向かったロシア機が墜落して224人が死亡した事件をロシア政府はテロによるものと断定し、プーチン大統領はDaeshへの報復を語った。そして、またDaeshに資金供与している40カ国の人物の情報を各国の捜査担当者に公開し、テロ資金の封鎖を求めている。その40カ国の中にはG20に参加している20カ国の中の国々も含まれる。(2015/11/20)


国際
ベルギーの「武器市場」 チョコとワッフルとタンタンだけじゃなかった 歴史的に武器となじみが深い国 バルカン・コネクションでソ連崩壊以後、武器が積み上がる
  今回のパリの同時多発テロの実行犯・教唆犯が潜伏していたのがベルギーでした。以下はとても実態と呼べるものではありませんが、ベルギーの団体が国内の武器密輸事件の記録を公開していました。この団体はflemish peace instituteというベルギー政府の外郭団体です。公開された情報が正しいのであればベルギー国内の実情は以下の数字です。(2015/11/20)


国際
フランス 非常事態に突入 警察官は勤務時間外でも銃の携帯が可能に
 フランスでは先週のテロ事件を受け、警察長官が全国の警察官に非常事態においては勤務外でも、本人が希望すれば銃の携帯が可能となることを通知した(france intelによる)。(2015/11/19)


国際
サウジアラビアが国連人権理事会議長国に ウィキリークスが英国との裏取引を暴露
女性の抑圧ばかりでなく、今年に入っても100件以上の公開斬首を行ってきたサウジアラビアが国連人権委員会の議長国に選出されたことで、世界で驚きと批判の声が上がっている。ウィキリークスが暴露したという情報によると、サウジアラビアは2年前の2013年に国連人権理事会入りする際に英国と秘密の取引を行ったそうである。それは互いに助け合って両国が2013年の選挙で選出されるべく、提携したということのようだ。英国のガーディアンなどが一斉に報じた。(2015/11/19)


コラム
フランスの「戦争」 リビア軍事介入の責任はいつ誰がとるのか
  このたびのテロ事件を受けて「戦争」をしかけられたとテレビで宣言したフランソワ・オランド大統領はフランスメディアのMediapartによると、’Le president place la France en etat d'urgence permanent’(大統領はフランスの非常事態を恒久化する)。憲法を改正して非常事態により対処できる戦争条項のようなものを盛り込もうとしているのだという。(2015/11/18)


国際
「私はカフェのテラスにいる」(Je suis en terrasse) 観光都市に対するテロ攻撃
1月に風刺漫画誌のCharlie Hebdoが襲撃され、漫画家らが殺されたとき、「私はシャーリーだ」(Je suis Charlie )というプラカードやメッセージがフランス全土で掲げられました。このメッセージは言論の自由を奪うことはできない、というものでした。そして今回パリが再び襲撃を受けた後、目にしたメッセージは「私はテラスにいる」(Je suis en terrasse)というもの。(2015/11/17)


国際
オランド大統領「 Daech はつぶさなくてはならない」 米露と連合し、国連決議も求める方針
  月曜、パリ近郊のベルサイユの国会でオランド大統領がテロ組織であるDaechに対して、断固たる方針を取る覚悟を語った。現在、アサド政権をめぐって米露が立場を異にしているが、Daesh掃討という目的で、両国と会談し、今後の方針を決めることになる。さらにDaechに対する国連安保理の決議も求めていく方針のようだ。(2015/11/17)


国際
ドビルパン元首相も発言 Daech を相手に「戦争」をするのは敵の思惑にはまることだ その結果、フランスが内戦に突入する
 13日に起きたパリの同時多発テロ事件を受けて、フランスではテレビ討論が盛んに行われている模様。最近、あまり見かけなくなったドミニク・ドビルパン元首相も放送局の舞台に登壇した。ドビルパン氏と言えば2003年のイラク戦争開戦をめぐる国際議論の際、開戦を迫るアメリカやイギリスに対して毅然と反旗を翻したことで歴史と記憶に残る政治家である。そのドビルパン氏はこの状況をどう見ているのだろうか。(2015/11/16)


国際
テロは今後も続く・・・ テロ専門のフランス人判事がテレビで発言
 フランスのテレビチャンネル2に精悍な風貌の男が招かれて、今回の事件に関連して話していました。いったい誰なんだろう・・・Express誌にこの発言内容を記した記事が出ていました。彼の名前はマルク・トレビディック氏、テロを専門に扱う判事として10年間活動してきた人とされます。この番組で語っていたのはフランス国内でテロはいずれ再発する、ということでした。(2015/11/16)


国際
パリで再発したテロ事件 フランスの報道から フランスが空軍機10機でラッカを空爆 オランド大統領「これは戦争である」
 13日、金曜にパリで実行されたDaech(イスラム国やISとも呼ばれる)によるテロによっておよそ130人の死者が出たと報じられています。ちょうど、この日の朝、ルモンド紙のウェブ版に警察を統括するフランス内務省の内務大臣、ベルナール・カズヌーブ氏がフランス国内への銃の密輸取締強化を今後行う旨を発表した記事が掲載されていました。このことはテロ対策と連動していることは間違いありません。(2015/11/16)


国際
パリで再発したテロ事件
 パリで同時多発テロが起きたという知らせを聞いたのは仕事場でした。「今朝(日本時間で)、パリで大事件が起きたんだ。」驚きを隠せませんでした。パリには知人が少なくないから、彼らの中に怪我をしたり、巻き込まれたりした人はいなかったのかな・・・最初にそう思いました。と、同時に、ニューヨークで2001年9月11日に起きたときのような、悪い時代へと欧州全域が突入していくのではないか、という予感も走りました。(2015/11/16)


コラム
家族の肖像 あえて単純モデルを考えてみる
 夏に全国で安保法案に対する抗議運動が広がったとき、メディアで中心的に取り上げられたのが大学生たちによる運動だった。若者たちの運動について年金世代の人々が熱い眼差しを送り、未来への希望ととらえていたことも記憶に新しい。その一方で若者への温かい眼差しとは裏腹に、中年世代、あるいは企業や公務における現役世代、中堅世代に対してはむしろ現実肯定、政治変革への意志不足といった風な眼差しがあったと思う。経済学ではしばしば錯綜する複雑な現実をモデル化して考えるが、この日本の政府批判の運動についても経済学に習って単純化してモデルを考えてみよう。その場合に、選挙権を持った人々について3つのカテゴリーを考えてみる。(2015/10/21)


コラム
われらが隣人・チュニジア人にノーベル賞 輝かしい成果 アブデルマジド・ベンカシ(アルジェリアのジャーナリスト)Abdelmadjid Benkaci
 私たちの東の隣人であるチュニジア人に今年のノーベル平和賞が授与されたことはとても喜ばしい。まずはアラブの若い民主主義国にとっての誇らしい出来事である。しかし、それだけでなく、アラブ全体にとっても同じく喜ばしいことなのだ。それはチュニジアに君臨した独裁者ベンアリを倒したジャスミン革命の成功である。チュニジアは一連の政変のあとにそれらアラブ諸国を襲ったテロの嵐から免れた唯一の国なのだ。(2015/10/12)


みる・よむ・きく
大治朋子著「アメリカ・メディア・ウォーズ 〜ジャーナリズムの現在地〜」
  毎日新聞記者の大治朋子氏が書き下ろした「アメリカ・メディア・ウォーズ〜ジャーナリズムの現在地〜」(講談社現代新書)は経営的に苦境に立たされ、四苦八苦ししているジャーナリズムの試行錯誤をルポしながらも、希望をも感じさせてくれた一冊。(2015/09/30)


新宿・地下に大黒猫
東京・新宿の地下構内に大きな黒猫の姿が・・・。(2015/09/29)


文化
音楽にかける青春 フランク・ルッソ(Franck Russo 29歳)「プラハの春」に入賞 クラシックに限らず幅広い音楽に挑戦中のパリの新進演奏家 J'ai toujours aimé les projets originaux et m'exprimer de toutes les manières possibles. (Franck Russo)
   クラリネット演奏家のフランク・ルッソさん(Franck Russo, 29)は今、パリで活躍中の新進音楽家です。今年の5月には「プラハの春」クラリネット国際コンクールで3位に輝きました。クラシック音楽だけでなく、実に幅広い挑戦を続けているルッソさんに、これまでの音楽修行や今後の活動などについてお聞きしました。Q 今、どこに住んでいますか A  僕はパリ国立高等音楽院に進学して以来、パリに住んでいます。パリは信じられないような都会で、とくに芸術家にとっては発展を遂げるにはなくてはならない場所だと思います。この街で多くの大切な人に出会い、彼らのおかげで今日の自分があるのだと思っています。音楽の教授たち、友人、そして共演仲間たち。演奏仲間たちとは本当に親友になって、いくつものプロジェクトを実現できました。(2015/09/27)


みる・よむ・きく
「西洋政治思想史」(佐々木毅、鷲見誠一、杉田敦 共著) 知の蛸壺から出て、政治学の歴史を一望できる好著
  北樹出版から出ている「西洋政治思想史」は東大を中心とする主流派の政治学者が書き下ろした政治学史です。通説の政治学の概略が本書を一読すると得られます。著者は佐々木毅、鷲見誠一、杉田敦の3人の政治学者。著者が前書きに書いているとおり、本書はプラトンやアリストテレスなどの古代ギリシアの政治思想から、中世、近代を経て、さらにハバーマスやアドルノ、ホルクハイマー、アレントなど現代の政治哲学者や社会学者まで、広く対象にして俯瞰しており、その説明も簡潔ながら、非常にわかりやすく、読者が噛めば噛むほど含蓄がある本です。(2015/09/26)


コラム
メッカの惨事について(Journée tragique en Terre Sainte / La Mecque) アブデルマジド・ベンカシ(アルジェリアのジャーナリスト) Abdelmadjid Benkaci
  メッカへの巡礼でこのような大量の死者が出たことはイスラム教世界にとっても、世界全体にとっても悲劇的な1日となった。700人以上が死亡し、800人以上が負傷。さらに数字は拡大する可能性もある。生贄の祭りの最中でもあり、苦しみは大きい。宗教的義務を遂行するため、巡礼者が殺到したためにこの悲劇的事件は起きた。しばしば、巡礼者の多くが巡礼の際に死にたいとはよく言われることである・・・つまり、彼らの多くが神に願いを叶えて欲しいと思っているのである。だが、死者の中には15歳以下の子供が男女ともに含まれていた。もし、世界でも希なこの行事において、もっと行き届いた管理と制御が行われていたら、こうした死は避けられたのではないだろうか。(2015/09/26)


みる・よむ・きく
世界的作家ヤスミナ・カドラの新作小説はカダフィの最期の日を描く
 ヤスミナ・カドラと言えばアルジェリアの作家で、世界的に読まれているベストセラー作家である。日本でも何冊か翻訳がある。アルジェリア軍の元指揮官で、妻の名前で変名で小説を書いていたことでも著名だ。そのカドラの新作小説は’La derniere nuit du Rais’(ライスの最期の夜)という小説で、カダフィの最期の日を描いたものらしい。(2015/09/23)


みる・よむ・きく
吉田秀和著 「ヨーロッパの響、ヨーロッパの姿」
  音楽評論で著名な吉田秀和氏が1967年から1968年の欧州旅行の際の見聞をまとめたのが本書、「ヨーロッパの響、ヨーロッパの姿」(中公文庫)である。吉田氏はクラシック音楽がメインだったが、セザンヌなどフランス近代美術などの評論もあり、広い視野をもつ人物だった。そして、この頃、欧州でもっとも大きな話題となっていたのがチェコで起きた「プラハの春」とその夏の終わりに起きた、旧ソ連によるチェコ侵攻だった。(2015/09/22)


コラム
「プチ・ロワイヤル和仏辞典」 使い勝手の良い、仏語で書くための辞典
  旺文社から出ている「プチ・ロワイヤル和仏辞典」はフランス語で作文する時になくてはならない必須のアイテムに(僕の場合は)なっています。良い仏和辞典はたくさんありますが、良い和仏辞典は意外と少ないのが実情です。良い和仏辞典の条件は書きたい表現を仏語にした例文とか、関連表現が豊富に掲載されていることです。(2015/09/21)


コラム
プーチン大統領の謎
  ロシアのプーチン大統領にはマッチョな政治家、というイメージがある。柔道の達人と言われていて、柔道着姿もよく報じられる。それだけでなく、猟に出かけたり、川を泳いだり、裸で馬に乗っていたりするところをメディアに披露している。こういう政治家は日本にはあまりいない。安倍首相も、野田佳彦元首相も、そういうマッチョな印象はない。たくましい裸身をさらすことに政治家としてどのようなメリットがあるのか、日本にいるとわかりにくい。(2015/09/20)


コラム
自民党憲法改正案「第十三条 全て国民は、個人として尊重される」(現行) ⇒「第十三条 全て国民は、人として尊重される」(改正案) 個人と人の違いとは? 
 平成24年に自民党が発表した憲法改正案では憲法9条だけでなく、さまざまな条文が改正されることになっている。その中で「?」と一瞬立ち止まってしまう表現の1つが憲法13条の改正案だ。現行憲法「すべて国民は、個人として尊重される。・・」 → 改正案「すべて国民は、人として尊重される。・・」いったい個人として尊重されるのと、人として尊重されるのと、その違いはどこにあるのだろうか。(2015/09/17)


コラム
西サハラの難民たちはいつ故郷の地に還れるのか 悲劇の40年 アブデルマジド・ベンカシ(アルジェリア人ジャーナリスト)Abdelmadjid BenKaci
  西サハラはアフリカにおける最後の植民地です。国連によると、西サハラは1975以来、「non autonome」という地位にあります。これはどういういうことかと言うと、モロッコに占領支配され続けているわけです。1975年に結ばれたマドリッド条約がもとになっています。もともと西サハラはスペインが1884年から(独裁者フランコが亡くなる)1975年まで植民地にしていました。この時代の西サハラはスペイン領サハラと呼ばれています。(2015/09/16)


欧州
移民受け入れへのドイツ政府の期待 経済絶好調 2005年をピークに失業率が年々低下
  欧州でもっとも経済力があり、フランスを凌駕して欧州連合のついにはリーダーになったと多少の揶揄も込めて報じられているのがドイツです。シリアからの難民が目指している国の筆頭もドイツらしく、テレビの報道でも「ドイツ政府が受け入れてくれる」とまずはトルコから欧州連合の入口であるギリシアに入って開口一番夢を語る家族が映し出されていました。ドイツには経済混迷のギリシアからも多数の出稼ぎ労働者が流入しています。(2015/09/14)


文化
アルジェリアからの手紙 生贄の祭りが今年も近づいてきた・・・ アブデルマジド・ベンカシ(アルジェリア人ジャーナリスト Abdelmadjid Benkaci)
   イスラム教徒の生贄の祭りは何世紀にも渡って行われてきた宗教儀式です。歴史によればAid El Kebirないしは生贄の祭りとはアブラハム(イブラヒム)の逸話にちなんだものです。アブラハムは神から息子のイシュマエルを生贄にするように命じられ、神に服従の姿勢を示すために実際にイシュマエルを殺そうとしました。その時、神はアブラハムに一頭の羊を送り、その羊を息子の身代わりとして生贄にささげよ、と命じたのです。(2015/09/13)


コラム
私もフランスで生きてきた 〜学生時代にチュニジアからフランスに渡り医師として生きてきた人の思い出〜
   私は1961年にチュニジアのビゼルトという町で生まれました。チュニジアは1956年に独立を果たしていましたが、1963年まで未だフランスの保護国という地位にありました。 (2015/09/11)


政治
ナチスの指導者原理 最初は党内の掌握から 党の姿を見れば次の社会が見える 山口定著「ファシズム」を読む
ナチズム研究者の山口定教授はその主著の1つである「ファシズム」(岩波現代文庫)の中で、ナチスの指導者原理について触れていいます。ファシズムと言えば独裁者のリーダーシップということになりますが、最初はまず自らのよって立つ組織の原理として立ち上がってきて、それが後に権力掌握後は国家全体の指導原理となっていったとしています。ヒトラーはひとたび党首の座に着くや、党内の合議制の機関を一切なくし、党内のすべての役職も下からの選挙を廃止して、ヒトラーが任命する形にしました。こうすることでヒトラーを頂点とする権力ピラミッドが党内に生まれたのです。(2015/09/09)


みる・よむ・きく
小阪修平著「イラスト西洋哲学史」(挿画:ひさうちみちお) 西洋哲学の流れがよくわかってひける入門書 立憲主義や民主主義を生んだ欧州哲学をやさしく解説
  宝島社から文庫版で2冊組で出ている「イラスト西洋哲学史」(小阪修平著)は普通の哲学の学術書とは違ったスタイルの本ですが、中身は本格的です。この本の特徴は古代ギリシアから、現代に至る西洋哲学の流れを骨太に枝葉を切り落として、肝要と著者が考える哲学者に重点配分している点です。(2015/09/09)


欧州
フランスで難民を排斥するな、というデモが起きる 避難所を提供する運動も
  フランスでは今、難民を受け入れるかどうかをめぐって議論が起きています。そして難民を受け入れよ、というデモも行われたばかりです。チュニジア出身でパリ在住の人から送られたその現場の写真です。(2015/09/07)


政治
労働組合と安保関連法制 ドイツ労働戦線(DAF)と産業報国会 ドイツでは労組がまず解散させられた
  戦時に突入した場合、労働組合はどうなるのだろうか?そのヒントを歴史に見よう。ファシズムとは戦争に勝利することを最大の目的とし、リーダーが国会に縛られることなく自己の裁量で、国のあらゆるリソースを動員できる国家総動員体制である。選挙で首相になったヒトラーが独裁者になったのは全権委任法を可決させて、ドイツをファシズム国家に変更した時だった。全権委任法の5条は以下。(2015/09/06)



初めての海 クラリネット奏者アンナ・パウロヴァー Anna Paulová、海のないチェコからの音楽の旅
 ヨーロッパの中央に位置する森の中の国、チェコスロバキア。この国は四方を国に囲まれていて、海がありません。四方を海に囲まれた島国の日本から見ると、不思議な経験のように思われます。確かに津波のような災害はないのでしょうが・・・。こうした国に生まれ育った時、海とはいつどにようにしてめぐり合うのでしょうか。チェコの若いクラリネット奏者、アンナ・パウロヴァーさんに聞きました。(2015/09/02)


政治
大衆運動と政治的な出口
  昨日、8月30日、国会前に安保関連法案に抗議するために集まった人々に話を聞きながら、国民の中に様々な怒りや不満が渦巻いていることを感じました。 (2015/08/31)


政治
8月30日 国会前・安保関連法案反対集会 人々の声2 ハンガーストライキ
  国会前10万人集会と銘打たれた8月30日。国会正門近くの一角で若者たちがハンガーストライキを続けていました。始めたのは8月27日ですから、今日で4日目だそうです。ハンガーストライキを行っているのは4人の大学生です。そのひとり、大学一年生の木本将太郎さんに聞きました。木本「安保法案を阻止するためにやっています。そして安倍内閣の退陣も要求しています。」Q「ハンガーストライキという手段を選んだのはなぜですか?」木本「戦争に反対していますが、身体的に意見を表明できないかと思ったんです。肉体のレベルでです」(2015/08/30)


政治
8月30日 国会前・安保関連法案反対集会 人々の声1
 今日、8月30日、午後1時から国会前で安保関連法案反対の10万人の集会があると聞いて取材に出かけました。曇り空の下、国会前に多くの市民が集まっていましたが、やがて、小雨となり、傘をさす人も増えていきました。国会前の集会の中心は国会正門前で、その裏手の参議院議員会館前や衆議院議員会館前などでも別のグループがマイクを持って抗議の声明をしていました。警備に警察官が多数動員され、国会周辺の交差点で交通整理をしていましたが、基本的には集会から立ち去る人はどんどん通し、集会の中心である正門前に向かおうとする市民にはもうキャパシティがいっぱいなので、今、通すことができないなどと説明していました。(2015/08/30)


世界経済
中国経済 不安定さの原因は米ドルとの為替レートの調整にある? バブル崩壊か、調整局面か
 中国の株式市場が急落したり、また反発して高騰したりしてこのところ、変動しており、日本の新聞でも中国バブル崩壊による世界恐慌に再突入か、といったセンセーショナルな見出しも目に付きます。これに関して、アメリカのエコノミストの中からドルと人民元の間の為替の調整局面である、というマクロ的な見方が提出されています。ジョンズ・ホプキンズ大学教授のスティーブ・ハンケ教授はこう指摘しています。(2015/08/29)


安倍政権を検証する
戦後70年の安倍談話と米・外交問題評議会
 安倍首相の戦後70年談話は英国など海外の新聞やインターネット空間で様々に批判されているが、同時にマスメディアの支持率調査によると、これによって安倍首相の支持率が少し回復したとされる。共同通信の世論調査では安倍内閣の支持率が7月の37.7%から43.2%に反転上昇した結果となった。参議院の安保関連法案特別委員会では質問に立った自民党の森まさこ議員がそのことで安倍首相を絶賛していたのも記憶に新しいところだ。森議員は安倍首相が談話に「反省、お詫び、侵略、植民地」という4つのキーワードをすべて盛り込んだことを称えた。当初は「お詫び」はしない、と見られていた安倍首相だったが、最終局面でそれらを加えて、その結果、支持率が一定程度回復した。そればかりではなかった。韓国やその他のアジアの国からも一定の評価を与える声明が出たのだった。(2015/08/28)


反戦・平和
インド軍兵士 南スーダンPKOの悲劇 PKO大国インドの苦悩 2度の攻撃で8人以上が死亡との報道 政府・防衛省は駆けつけ警護を検討中
  実は南スーダンのPKOではすでに他国のPKO派遣隊員の悲劇が起きていた。南スーダンに駐留しているインド軍のケースだ。インド軍は少なくとも過去に二回、戦闘に巻き込まれて士官や兵士が死亡している。インドは8000人以上のPKO人員を世界各地に派遣しているPKO大国だが、戦後のインドPKOの歴史においても最大級の悲劇の舞台となったのが南スーダンだ。(2015/08/27)


沖縄/日米安保
米軍特殊部隊と自衛隊「特殊作戦群」の共同訓練 沖縄・8月12日の米軍ヘリ墜落事故の波紋
昨日25日の参院・安保関連特別委員会で共産党の井上哲士議員による問題提起は波紋を呼んだ。今月12日、沖縄で起きた米軍ヘリ墜落事故の深層である。沖縄タイムズによれば12日の午後1時45分頃、米陸軍所属のH-60型ヘリコプターがうるま市伊計島の南東約14キロの沖合で、米海軍の輸送艦レッド・クラウドへの着艦に失敗し、墜落した。この事故で乗員17人のうち、6人が怪我をしたが、そのうち2人は日米共同訓練に参加していた自衛隊員だった。これらの自衛隊員は国際平和協力活動やテロ対策などの専門部隊「中央即応集団」に所属する33歳と40歳の隊員だったとされる(13日付 沖縄タイムズ)(2015/08/26)


政治
参議院「安保関連法案」特別委員会を傍聴して 村上良太
  国会で傍聴するのは今日が初めてだ。今まで何度となく、国会周辺は仕事で往来したものの、日本の政治を専門にしていなかったので国会審議の報道はテレビではよく見るけど、宝塚歌劇団のような遠い別世界だった。今日の参院の「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」は午前9時スタート。参院の入口から傍聴券に名前を記入して入ると、空港のような手荷物検査場があり、そこをくぐると傍聴者用の赤いリボンを受け取る。傍聴席に持ち込めるものはメモや筆記用具くらいで、鞄や電子機器などはロッカーに入れておく。(2015/08/25)


政治
長島昭久著『「活米」という流儀 〜外交・安全保障のリアリズム〜』 民主党・長島議員の外交・防衛政策と安倍政権の外交・防衛政策は極めて近い
  これらを見ると、長島氏の外交防衛政策は安保関連法案の立法化を今進めている安倍政権の考え方に極めて近い。というより、ほとんど違いを見るのが難しいくらいと言わざるを得ない。実際、長島氏は本書の中で麻生太郎氏の「自由と繁栄の弧」と、安倍首相の「安全保障のダイアモンド」構想を示してこう書いている。「麻生、安倍ふたりの首相が描いた日本の外交・安全保障戦略。地政戦略的には私の考え方とほぼ一致しています」(2015/08/24)


政治
飯坂良明・井出嘉憲・中村菊男著「現代の政治学」(学陽書房) 小選挙区制が有効に作用するには条件があった、だがそれは導入した日本にはなかったものだった
  当時の大学の政治学のテキストを見てみよう。たとえば飯坂良明・井出嘉憲・中村菊男著「現代の政治学」(学陽書房)の1994年版を見ると、次のような記載がある。「イギリスやアメリカだけでなく、主としてアングロ・サクソン系統の国においては、二大政党対立の政治が行われている。たとえば、アメリカには共和党と民主党の対立があり、イギリスにおいては労働党と保守党の対立が見られる。そして第三政党としての少数正統派、存在するけれども政権をとりうるほどの力はない。 (2015/08/24)


文化
人生初のライブまであと一週間 勝浦出身の女性シンガー、川村絵理さんに聞く
  この8月末に人生で初めてステージで歌う女性がいます。川村絵理さん(42才)。東京・小岩のミュージックパブがその舞台。川村さんが生まれ育ったのは千葉県勝浦市、国内有数のカツオが水揚げされる港町です。歌が好きだった川村さんは高校を卒業して上京した後、身体障害者の施設で働きながら、その間もカラオケなどで歌い続けてきました。今、思いがかなって初めてのステージ。一週間後にライブを控え、準備に追われる川村さんに話を聞きしました。(2015/08/23)


みる・よむ・きく
ヒューム著「人性論」 ‘A treatise on Human Nature’ ヒュームは面白いが本気でやると難しい。でもヒュームを読んでおくとカントが楽になる
  イギリス経験論の哲学者、デビッド・ヒュームは「人性論」(「人間本性論」というタイトルの邦題もある)の冒頭で、人間の知覚には印象と観念しかない、と言う。そして、人間は様々な印象を外界から受け、その結果、観念を抱くようになるとしている。最初に観念があって、その結果、印象が生まれるのではないと言いたいのである。(2015/08/23)


政治
参院論戦9 国民的関心の安保関連法案、この先の見通しは? 参院議員関係者に聞く 早ければ9月8日に採決も?
  国民的な関心が注がれている安保関連法案、審議が参院に移って今日で総審議時間は丁度50時間11分。この先、この審議はどういう展開を見せるのか。採決があるとするといつごろになりそうなのか、昨日とは別の参院議員関係者に見通しについて聞いてみた。(2015/08/21)


政治
参院論戦8 安保関連法案 参院ではどんな風に審議日程が組まれていくのか? 「来週あたりそろそろ・・・」
  7月27日に参院で審議が始まった安保関連法案。あれから土日などの休日も含めると、今日の8月20日で25日目。しかし、衆院から参院に法案が移ったのが7月16日だから、この日を含めると36日目になる。そして、参院での審議を衆院が強制的に打ち切ることができる憲法59条の4、いわゆる60日ルールは次だ。「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる」ここで言っている「休会」は土日などの休日のことではない。この先、安保関連法案の審議の行方はどうなるのだろうか。早期に採決があるのか、それとも60日ルールを使って衆院で再議決となるのか。テレビの夜のニュースで国会の審議のハイライトが紹介されるが、毎日、どのように審議の日程が組まれているのだろう。参院の関係者に質問してみた。(2015/08/20)


文化
音楽にかける青春 バイオリン奏者 ルドミラ・パヴロヴァー Ludmila Pavlová 人は演奏している音楽とともに生きていかなくてはならないことを知りました
  音楽の街、プラハ。この秋、プラハでの音楽の勉強を一段落して、ウィーンに旅立とうとする若いバイオリニストがいます。ルドミラ・パヴロヴァーさん、21歳。現在、プラハ芸術アカデミー音楽学部の生徒です。昨年の夏、著名なバイオリニスト、ヴァーツラフ・フデチェク氏の夏期講習で一番優秀なバイオリニストの学生に選ばれた彼女は演奏旅行にも同行して経験を積むことができました。ソロイストとして、これから大きな未来があるルドミラ・パヴロヴァーさんに音楽修行についてお聞きしました。 (2015/08/20)


地域
イタリアの庭のトマト 取れすぎたのでトマトソースをつくるアンドレア・ベルキアラさん salsa di pomodoro
 ここはイタリア北部のスポトルノ。イタリアを長靴にたとえると上の左の方に位置します。地中海に面したリグーリア州に属し、州都はジェノバになります。ニースにも近く、風光明媚で地中海の美しい風景を楽しめるため、国際的な観光地として知られています。太陽の光を一面に浴びるアン・ヌド(An Nudo)さんの庭ではトマトが作られています。ヌドさんは看護師で、近くの病院に勤務しているそうです。(村上良太)(2015/08/18)


みる・よむ・きく
堀江湛・岡沢憲芙編 「現代政治学」(法学書院) 早稲田・慶応出身の学者が集結 二党制の神話にメスを入れる
  最近の大学生はどんな政治学のテキストで勉強しているのだろう。そう思って手にした一冊、法学書院から出ている堀江湛・岡沢憲芙 編「現代政治学」。著者を見ると、早稲田出身と慶應出身がまるで東京六大学の野球で早慶戦を繰り広げるかのように並んでいた。その取りまとめ役が年長でもある堀江湛、岡沢憲芙の両教授のようだ。政治の危機が深まっている今、どの章を読んでも興味深い。しかし、一番知りたかったことは第四章の「政党システム」というタイトルの説明だ。今のような時代はどのようにして生み出されていったのか。執筆者は早大出身の岡沢憲芙教授で、二大政党制が批判的に書かれているのが目を引く。(2015/08/17)


国際
「アジアのチトー」とホー・チ・ミン 戦後70周年と戦後40周年 ハンス・モーゲンソーのリアリズム政治学 村上良太
   エリザベス・ヤング=ブルーエルによるたいへん分厚い評伝「ハンナ・アーレント伝」の中にベトナム戦争に触れた一節があります。1965年に政治学者ハンス・モーゲンソーがベトナム戦争に関する米国務省の外交政策を改めよ、と迫る論文を発表したのですが、政治哲学者のハンナ・アーレントがモーゲンソーの見方を支持したというのです。モーゲンソーが唱えたのは北ベトナムを敵視するのはやめ、その指導者であるホー・チ・ミンを「アジアのチトー」にするべきだというのです。北ベトナムのハノイ政府が南ベトナムを侵略している、という米政府の解釈は誤りであり、そもそもベトナムは1つの国なのである、と。(2015/08/16)


地域
なぜマダガスカル原産の木が沖縄に? 4 マダカスカルからインドへの道も
  美しいホウオウボクが沖縄に来た由来を調べていて、出発点がキューバだったために、それに呪縛されて、マダガスカル原産の木がアフリカを経てキューバから日本に持ち込まれた。それは沖縄のキューバ移民によるものだったのだろう・・・そんな風に連想しているさなかに、ロシア人の生物学の研究者から参考文献が寄せられました。スペイン語で‘Flamboyant、英語で'Royal Ponciana'そして日本語でホウオウボクという名前のこの木にはまた、Delonix regiaという学術名があり、さらにインドではGulmoharと呼ばれている事実が記されていました。(2015/08/15)


地域
なぜマダガスカル原産の木が沖縄に? 3 沖縄県人の移民の歴史 サトウキビとホウオウボク
  キューバに生えている美しい木、スペイン語で‘Flamboyant、英語で'Royal Ponciana'そして日本語でホウオウボクという名前の木。このマダガスカル原産の木が太平洋をどうして渡って沖縄や台湾に生えることになったのだろう。ではいったい誰が?琉球大学理学部の教授はその史実については情報を持っていないとの回答。むしろ、それは歴史とか、移民史、あるいは外交史といった分野になるのだろう。(2015/08/15)


米国
オバマの負の遺産となるか 米国防省が戦争報道に強い統制へ 同盟国にも影響する可能性 NYT、RT、ガーディアンなど国際紙が一斉に批判
  8月11日にニューヨーク・タイムズ国際版の社説が警告を発したのは米国防省が戦争に関する米国の法律の運用と解釈をめぐって1176ページにもわたるマニュアルを出したからだ。ニューヨーク・タイムズだけでなく、英国のガーディアンやロシアのRT、グローバル・リサーチなど、様々なメディアが今、猛烈にこの国防相によるマニュアル<Law of War Manual>を警戒していて、ただならぬ気配が漂っている。それらによると、戦争報道に関してジャーナリストは基本的に軍当局への事前許可を必要とする、としているらしいことだ。(2015/08/15)


コラム
横長の木‘Flamboyant’2 マダガスカル原産の木がなぜ沖縄に?
  キューバに生えている横長の大きな木、そして夏には赤い花をつける華麗な木。スペイン語で‘Flamboyant、英語で'Royal Ponciana'そして日本語でホウオウボクという名前の木。この木の原産がマダガスカルでそこからアフリカを経由して、昔の奴隷にされた人々によって西アフリカからキューバ、そしてフロリダなどに伝播されたことは前回、お伝えしました。この木がその後、なぜ沖縄や台湾にも生えているのか。その謎を探りたいと思い、沖縄の植物の研究者に問い合せました。(2015/08/14)


環境
ダーチャマニア  村上良太
ロシアの首都モスクワ。住人の多くは都心の自宅から30分から1時間で足をは運べる郊外にダーチャと呼ばれる別荘を持っています。ダーチャを市民が持っていることにはロシアの歴史的な由来があり、週末や夏冬などの休暇中に別荘として楽しむと当時に、食料を自給するための貴重な菜園としても活用されてきました。(2015/08/14)


文化
女性映画監督ソルヴェイグ・アンスパック(Solveig Anspach)氏の早すぎる死
 女性映画監督のソルヴェイグ・アンスパック(Solveig Anspach)氏をご存知でしょうか。恥ずかしながら、筆者は知り得ませんでした。しかし、今月7日にまだ54歳の若さで癌で亡くなったと報じられており、特にフランス人の女性たちが非常に悲しんでいるようです。(2015/08/11)


米国
米大統領選 共和党候補ドナルド・トランプに風が吹くか?
  来年の米大統領選を控えて、米メディアでヒラリー・クリントン(民主)、ジェブ・ブッシュ(共和)に続いて、注目を最近集めているのがドナルド・トランプ候補(共和)です。トランプと言えば不動産王で知られた実業家です。80年代のバブル時代とその後のバブル沈静化などの荒波に乗って上ったり、下がったり浮き沈みを繰り返しながらもタフに乗り切ってきた人物です。(2015/08/09)


文化
音楽にかける青春 アコーディオン奏者、ミラン・ルジェハークさん(21) 「アコーディオンは大きな可能性を秘めた未開拓の楽器」 'Accordion is an instrument with a great potential and with possibilities' (Milan Řehák)
  まだ21歳ながらこの数年、パルドゥビツェ(チェコ)やプーラ(クロアチア)やサンクトペテルブルク(ロシア)などで開かれた国際コンクールで優勝を何度も経験しているアコーディオン奏者がミラン・ルジェハーク(MILAN REHAK)さんです。アコーディオンと言えばパリのミュゼットやアルゼンチンのタンゴなどがすぐに思い浮かびますが、チェコではどんな風にアコーディオンが演奏されているのでしょうか。アコーディオン奏者の新星、ミラン・ルジェハークさんにお聞きしました。Recently MILAN REHAK got first prize on several international accordion contests such as Pardubice(Czech), Pula (Croatia) or Saint Petersburg(Russia).He is still 20 years old. When we hear a word 'accordion',we associate musette of Paris or tango of Argentina.But what music is played in Czech with accordion? Then I interviewed a young accordion master of Czech, MILAN REHAK.(2015/08/09)


政治
60日ルールと憲法59条の2 衆院の優位性とは? 60日ルールを使わなくとも法案は可決できる
  ところでネットでよく見るのが60日ルールを使って、参院での議論を打ち切って、9月半ばの国会会期の間に衆院で再可決するのではないか、とする見方です。確かにそういう可能性があるのですが、しかし、憲法をよく読むと、自民党が何が何でも数にものを言わせて法案を可決する、というのであれば60日ルールを使う必要は全然ないのです。(2015/08/09)


みる・よむ・きく
ハン・ヨンスの写真2 Photographs of Han Youngsoo 2 〜懐かしさの理由 Why do I feel nostalgia? 〜
  ハン・ヨンス(Han Youngsoo)の写真を見て、懐かしさを感じたのはなぜなのでしょうか。日本人が韓国人と外見的に似ているからなのでしょうか。あるいは東アジアという自然や風土の類似でしょうか。いや、そういうことより、もっと本質的なもののような気がします。 Why I felt nostalgia when I saw photographs taken by Han Youngsoo? Is this because of the physical similarity between Japanese and Korean ? Or the similarity of natural environment ? But I think these answers are superficial.(2015/08/07)


TPP/脱グローバリゼーション
TPP報道の謎2 ジェネリック医薬品とバイオ後続薬(バイオシミラー)
  アメリカの場合で調べてみると、一般的な化学薬品の場合と、有機物で作るバイオ医薬品(ワクチンや血液製剤、体細胞を使う薬品など)の場合とで特許期間の切れた後続役に対する呼び名が違っており、一般的な化学薬品の後続の場合をジェネリック医薬品、バイオ医薬品の場合はバイオシミラー(bio similar)と呼ぶそうです。2010年に発効したアメリカの連邦法、Patient Protection and Affordable Care Act (PPAC Act)ではFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可から12年間、バイオ医薬品のデータは保護されるとされています。ウィキペディアには次のように書かれています。(2015/08/05)


TPP/脱グローバリゼーション
TPP報道の謎
 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉がニュージーランドがふっかけた議論のために大筋合意が見送られたと新聞で今月報道された。記事では様々な分野の交渉状況が触れられていたのだが、疑問を抱いたのは新薬データの保護期間というくだりである。朝日新聞の記事では米国は12年、日本は8年、ニュージーランド、オーストラリア、マレーシアは5年を主張していると書かれていた。これは新薬メーカーを抱える国ほど国内産業の圧力で、保護期間を長引かせたいことを意味している。ところで、この朝日新聞の記事では「米国はバイオ医薬品については12年」という風に、<バイオ医薬品については>という限定の表現をとっているのである。これはどういうことなのだろうか。(2015/08/05)


政治
SEALDsに刺激され、OLDsも結成される
 安保関連法に反対する学生のSEALDsの活動が盛んになっているが、高齢者による組織オールズ(OLDs)も生まれた。オールズの説明にはこう書かれている。「OLDsは、アベ内閣が成立を図っている戦争法案に反対し、老人パワーを最大限発揮してその成立を阻止することを目的とするグループです」今日、OLDsのメンバーになった元・音楽教師の立野秀夫さん(78歳、埼玉在住)はその思いをこう綴っている。(2015/08/04)


文化
音楽にかける青春 プラハの春・国際クラリネットコンクールで優勝した韓国の Sang Yoon Kim 氏
  今年の五月、プラハの春・国際クラリネットコンクールで見事、第一位に輝いたのが韓国出身の青年、Sang Yoon Kim氏(27)でした。彼はいったいどのように音楽を磨いてきたのでしょうか?Sang Yoon Kimさんにインタビューを行ってみると、国境を越えてひたむきに音楽への夢を追いかけているひとりの青年の姿が見えてきました。Mr.Sang Yoon Kim, from South Korea, got the first prize on the international clarinet contest in Praha in May.He was 27 years old. I wonder how he developed his music so I interviewed him.(2015/08/04)


政治
参院論戦7 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」 改正される法律を数えてみたら少なくとも19あった…混乱を防ぐために
  今、参院で議論されている安保関連法案(=我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案)はいったいいくつの法律がいっぺんに改正されているのでしょうか。新聞等では10か11あたりの数字を見た気がしますが、参院のウェブサイトで条文を読んで抜き出してみると、以下の法律が改正されようとしています。(2015/08/01)


文化
音楽にかける青春 アンナ・パウロヴァー(クラリネット奏者) ’Now I cannot imagine my life without clarinet’ Anna Paulová
  音楽の都プラハ。この街でチェコ人の若い女性クラリネット奏者アンナ・パウロヴァーさんは暮らしています。この春、プラハで行われたプラハの春・国際クラリネットコンクールでは二位に輝きました。まだ21歳の音楽学生ですが、素晴らしい演奏をしています。将来の期待できる新人です。今回、パウロヴァーさんにインタビューを行いました。Anna Paulova lives in Praha, the city of music. She got second prize in an international clarinet contest at Praha this May. She has big talent and has a bright future as a soloist. Then I interviewed her about her life with music and clarinet.(2015/08/01)


政治
参院論戦6 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 国連決議がなくても自衛隊の派遣が可能に
  イラク特措法の場合は自衛隊の活動場所は非戦闘地域に限る、とされていたことが記憶にあるかと思います。当時の小泉首相が「自衛隊がいるところが非戦闘地域」という問題答弁をしたことも印象に残ります。イラク特措法ではそもそも自衛隊の任務は非戦闘地域での復興支援や地域の安全確保に限られていました。ところが今回の「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」の改正では先述の通り、国連総会や国連安保理の決議がなくとも、「国際連合憲章第七条1に規定する国際連合の主要機関のいずれかの支持を受けた」場合は一国の要請だけで自衛隊の派遣が可能となります。(2015/07/31)


政治
参院論戦5 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 自衛隊PKOの変化 〜南スーダンで自衛隊の戦闘開始の可能性
  毎日新聞の報道によると駆けつけ警護とは「離れた場所にいる他国軍部隊や非政府組織(NGO)職員などの要請に応じて行う救援活動」とされ、「実際の活動では、現地のNGOの要請を受け、武装勢力に拘束された職員を救出するケースなどが考えられる」と書かれています。今のこの法律「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(PKO法)では禁じられている行動ですが、安保関連法案が改正されれば可能となります。PKOですでに参加している自衛隊が南スーダンで戦後初の戦闘に入る可能性があります。(2015/07/30)


政治
アメリカの国会を見る 遺伝子組み換え食品のラベリングを義務付ける州法を無効にする連邦法が下院で可決
  7月23日、ワシントンD.C.の米議会(下院)である法案が可決した。法案のコードネームは「H.R.1599」。なんだか秘密作戦の暗号のようだが、この法案は食品メーカーに対して、遺伝子組み換え作物が含有された食品でもそれをパッケージに表記しなくてもよい、とする法案。ニューヨーク・タイムズではInside Congressという欄にこの「H.R.1599」が下院で多数決された時の賛成議員と反対議員、そして棄権した議員を全員明記している。賛成票275、反対票150、棄権9.しっかり共和党は赤、民主党は青に色分けまでされているから一目瞭然だ。(2015/07/29)


政治
選挙について 〜自民党と公明党が3分の2議席を得た昨年12月の総選挙を振り返る〜 「議会制民主主義」と60日ルール
 衆院で与党の自民党と公明党が3分の2の議席数を確保したのが、昨年12月の衆院選挙でした。この時の選挙を思い出してみると、昨年11月に筆者は日刊ベリタでこう書いています。「年内に解散総選挙が行われる見通しになったと報道されている。安倍首相は消費税を10%に引き上げる時期の是非を国民に問う、ということで消費税が争点のようにメディアは報じている。」(2015/07/29)


政治
参院論戦4 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 〜存立危機事態〜 国家総動員体制と人権が制限される可能性
  今、参院で論戦している安保関連法案 =「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」は昨日触れましたが、「自衛隊法等」と「等」の字があるように、自衛隊法だけでなく、その他の関連する特別法も集団的自衛権の行使を前提として書き直されています。安保関連法案にはたとえば次のような表現があります。<(武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律の一部改正)>そこで改正されようとするこの法律はそもそもどんな法律かと総務省のデータベースで検索してみると、「武力攻撃事態等における」を冠する特別法がたくさん出てきました。(2015/07/28)


政治
参院論戦3 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 〜周辺事態と重要影響事態〜
 今、参院で議論されている「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」ですが、よく読むと改正されるのは<自衛隊法等の一部>という風に「等」という言葉が入っています。改正の対象は自衛隊法だけではなかったのです。たとえばこれです。「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年五月二十八日法律第六十号)最終改正年月日:平成一九年六月八日法律第八〇号」(2015/07/27)


政治
参院論戦2 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 〜在外邦人の「保護措置」について〜
 参院で今日から質疑応答が始まる安保関連法案、正式名称「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」です。これを無手勝流ですが、読んでみたいと思います。(2015/07/27)


地域
横長の木 ‘Flamboyant’
  この木はキューバに生えている木です。知人が写真を見せてくれました。枝が横に大きく広がっています。まるで太陽の光を全身に浴びようとしているかのようです。日本の木がどちらかというと縦型なのに比べて、独特の印象を与えます。いったい、なんという名前の木なのでしょうか。アフリカでもこのようなタイプの横に広がった木を見た記憶がありました。米国在住のキューバ系の知り合いに問い合せてみるとメールで返答がありました。(2015/07/27)


政治
参院論戦1 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」 それは自衛隊法の改正である
 いよいよ来週から参議院で安保関法案の審議が始まります。この法案の正式名称は次のとおり。「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」文言の通り、新しい法案を作るわけではなく、既存の自衛隊法を集団的自衛権のもとに、再構成しようとするものです。その法案は次の参議院のウェブサイトに全文が書かれています。(2015/07/26)


政治
無料で日本の法律や憲法を検索する方法 「総務省法令データ提供システム」 様々な特別法もこれでOK
 「六法全書」は民間でも出版されていますが、法学部の学生や専門家以外の人には価格的にハードルが高い値段です。紙の全書にはその値段に見合った値打ちがありますが、家庭に持っていない場合は総務省のデータベースが無料で利用できます。1ヶ月前までに施行された法律は法改正された条文の修正を加えた上で、アップデートされて入力されています。憲法も法律もその他の様々な法令もデータベースにあります。(2015/07/26)


政治
参議院の傍聴をする方法 本会議は開会30分前に傍聴券を配布・先着順 委員会は議員を通して委員長の許可が必要 27日(月)本会議は13:00〜、安保特別委は14:30〜
  参議院本会議の傍聴は誰にでも可能です。(児童は制限されます)傍聴受付窓口が参議院別館にあり、そこで「傍聴券」をもらってください。ただし、先着順です。開会30分前から傍聴券の交付が始まります。一方、参院・安保特別委員会の傍聴は参議院議員の紹介と委員長である鴻池祥肇議員(自民党)の許可を要します。まずは参議院議員に要請することから。(2015/07/26)


政治
27日月曜から参議院で安全保障関連法案の審議開始 <我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会>
  7月27日月曜から、安全保障関連法案の審議が参議院で始まります。まず参院本会議で趣旨説明と安倍首相への質疑応答が行われ、そのあと、参院に設置された安保特別委員会で詳しい質疑応答が始まる予定です。(2015/07/26)


コラム
学生デモと「コクミン」 村上良太
 在日コリアンの人が国会前の学生のラップのノリの安保法制反対デモのyoutubeの映像を見て、かなり不快感を表していました。最初はちょっと、過激なくらいの怒りに戸惑いました。その人は学生のそのノリ自体が借り物であると批判していました。その書き込みには反響があり、いろいろな人の声を集めて、次第にラップの中に出てくる「国民なめるな」という決まり言葉に不快さの核があるらしいことが僕にもわかってきました。在日コリアンは国民ではなく、そのデモの輪から排除された印象を受けるのではないでしょうか。(2015/07/25)


文化
ハン・ヨンスの写真 Photographs of Han Youngsoo 村上良太
  韓国人の写真家、ハン・ヨンスの作品に最初に触れたのは今年の春だった。白黒の風景の中に市井の生活があり、子供たちの生き生きとした日々が写し出されていた。未知の人だけれど、第一線の写真家に違いないと思った。 (2015/07/24)


欧州
二大政党制の元祖英国の選挙 保守党331議席(36.9%) 労働党232議席(30.4%) スコットランド民族党56議席(4.7%) 労働党の敗因分析がどう報じられているか
  英国で5月7日に行われた総選挙の結果は英政界に2つの波紋を投じた。1つはエド・ミリバンド党首に率いられた労働党が保守党に完敗したことであり、もう1つはスコットランド民族党がスコットランド地域の59議席のうち56議席を取り、第三の政党として台頭したことである。ここから、英国の二大政党制に揺らぎが出たのではないか、という見方もある。つまり、労働党が凋落する可能性も指摘されており、労働党自身の中からも今回の選挙結果を冷静に分析して敗因を乗り越えなければ党勢の建て直しは厳しいという見方が出ているのだ。(2015/07/22)


コラム
ネッシーの最期
  スコットランドのネス湖で首の長い謎の生物の写真が撮影されたのは1934年のことで、有名なその白黒写真には湖のさざなみの中をいく首長竜のような魔物が写っている。ネッシーについては子供の頃、テレビ番組で何度も見たのでよく覚えている。茶の間の関心を呼ぶ出し物の定番の1つだった。このネッシーと呼ばれる正体不明の怪物を実際に探検隊を派遣して調べたのが石原慎太郎元東京都知事である。その頃新聞のコラムで石原氏のふるまいが無粋と叩かれたことを記憶している。ネス湖周辺の人々にとっては謎を謎にしておくほうがよいのではないか、というのがコラムニストの意見だった。(2015/07/20)


欧州
ギリシアと欧州連合の妥協について ドイツの政治哲学者ハーバーマスはこう見た…
 ギリシアの債務問題で一度はギリシア国内の国民投票で欧州連合がつきつけたギリシア財政改革案に対する「ノー」の声が勝利したものの、その後の交渉でチプラス首相は欧州連合の案をほとんど受け入れる形となりました。この事態の推移に関して、欧州連合内では様々な声が出ています。中でも目立つのが経済力を背景としたドイツの発言力と支配力が増していることへの危機感です。こうした声はフランスからも出ていますが、当のドイツ国内からも出ています。ドイツの政治哲学者のユルゲン・ハーバーマスはガーディアン紙でこう述べています。(2015/07/17)


文化
レイナルド・アレナス著 「めくるめく世界」
  野心的な名作を手掛けてきた国書刊行会によるレイナルド・アレナスの小説「めくるめく世界」。アレナスはキューバの東部の町、オルギンの出身です。東部と言えばキューバでは貧農が多く、革命の揺籃となったのも東部の農村地帯でした。本書(原題は'El Mundo Alucinante')は国の独立と宗教の自由化を目指して教会と国家権力に追われ続けるメキシコ人のカトリック修道士の波乱万丈の物語です。この小説が世界で高く評価されている理由はアレナスが用いたリアリズムを越えた不思議な空想の世界が、苛酷な宗教弾圧のリアルな歴史に溶け込んで、独特の文学空間を創りだしているからに他なりません。(2015/07/14)


教育
「そもそも教養って何でしょう?」 経営コンサルタントが説く<教養>の定義
経営コンサルタントの冨山氏はさらにこう言っています。「そもそも教養って何でしょう。教養、つまりリベラルアーツの本来の定義はプラトンの時代から、人間がよりよく生きていくための「知の技法」でしょう。それが現代では、たとえば簿記会計になるんです。実社会を生きていく上で確実に役に立ちますから」ここで冨山氏のあげているリベラル・アーツは現代の簿記会計なのか、というのが筆者がひっかかった点でした。(2015/07/09)


欧州
「21世紀の資本」のトマ・ピケティ氏が欧州メディアで引っ張りだこ <欧州諸国の借金問題を話し合う欧州大会議を開くべきだ>
  5日の日曜にギリシアが国民投票で放った欧州連合の緊縮案への「NO」の意志表示が欧州を揺さぶっています。国民投票が行われる前から、欧州では様々な人がこの問題をメディアで論じていますが、あの「21世紀の資本」で貧富の格差が広がるメカニズムを実証したフランスのトマ・ピケティ氏もその一人。ピケティ氏はいくつものラジオ局やテレビ局をはしごしてこの問題を論じていますが、彼の視点は<歴史から学べ>ということです。(2015/07/08)


欧州
ギリシアの国民投票 緊縮案に「NO」が61% 多数がチプラス首相の方針を支持 なぜ財務大臣が辞任?
  国民投票での「NO」を国民に呼びかけてきたチプラス首相らはほっと胸をなでおろしたはずです。欧州の報道によると、ギリシア国内のテレビやラジオでは<もし国民投票でNOが多数となったら欧州連合から追放されることになる・・・追い込まれたチプラスがクーデターを起こす>などといった悪夢のシナリオもばらまかれていた模様。チプラス政権の鍵を握る財務大臣のヤニス・バルファキス(Yanis Varoufakis)氏は、NOが多数を占め、政治的成功をおさめたにもかかわらず、財務大臣を辞職しました。なぜ?と思う人も少なくありません。(2015/07/06)


文化
夏目漱石著 「吾輩ハ猫デアル」の復刻に挑戦 2
Q この本の技術上の特色は? A 明治期に西洋式造本を取り入れた際、書物の工芸的性格を払拭してこれを導入。その後、日本独自の装飾的装丁が施されて今日までの和式洋本装丁文化を創り上げてきたわけです。その善し悪しは別として、これは天麩羅、トンカツを始め、欧州ではお目にかかれない洋品小間物等と同列上にある現象で、「書物」とてこれらと同列であることを再認識したいという気持ちはありますね。それがどうした、と言われても困りますが…。(2015/07/05)


文化
夏目漱石著 「吾輩ハ猫デアル」の復刻に挑戦 1
 この春、夏名漱石著「吾輩ハ猫デアル」が旧字体にルビをふって復刻されました。復刻にトライしたのは古い印刷技術である活版印刷機械を代々、所有する小さな独立印刷工房です。挿画も古い時代のものが掲載され、当時の読書の形が再現されました。復刻にトライした東京の九ポ堂の二代目の主、酒井道夫さんに話を聞きました。Q 九ポ堂の二代目の主、酒井さんはなぜ猫を復刻しようとそもそも思われたのか。(2015/07/05)


文化
抽象絵画の世界 目に見える世界と見えない世界 トリスタン・バスティ(Tristan Bastit)氏
  抽象画家のトリスタン・バスティ氏に初めてお会いしたのは2002年の夏のこと。パリの書店で行われた文学の夕べでした。その時、バスティさんは毅然とした印象で少し怖い印象がありましたが、後にお会いしてみると、その時の印象とは裏腹に非常に温和で親切な人であることを知りました。現在、74歳のトリスタン・バスティさんはパリだけでなく、スペインやベルギーでも個展を続けています。妥協しない個性的な作風に人気が集まっているのです。(2015/07/03)


欧州
欧州は青春か黄昏か ギリシア問題に揺れる人々
  ギリシアが欧州連合を去ることもやむなし、と見る人々がいる一方で、ギリシアへの連帯を表明する人々も少なくありません。たとえばインターネット新聞のMediapartには第三世界の債務問題に取り組んでいる論客Patrick Saurin氏が登壇して、「ギリシアの人々は自分たちの責任ではない債務を返済する必要なし」(Les Grecs n'ont pas a payer une dette qui n'est pas la leur)と書きました。(2015/07/02)


コラム
パリの散歩道 フランス地方都市の女性ブロンズ職人のたくましさ Sofi Bourcier, craftswoman of bronze 〜映像と文章〜
 パリの人たちは今時分、バカンスのことで頭がいっぱい。でも外国や遠方に行かなくてもパリから1時間も列車で移動するだけで、緑豊かな素晴らしい風景が広がっています。私たちはパリのリヨン駅から南行きの列車に乗りました。この日、彫刻家のバンサン・ベルゴン氏が出かけたのは少し南のポルトンヴィル。美しい川が流れ、水車があり、森もあります。この町にブロンズ職人、ソフィ・ブルシエさんの窯もあります。(2015/07/01)


欧州
ナチスの文化政策を描く一冊 「スピノザの問題」
  第二次大戦中、ファシズムのナチスは独自の文化政策を行っていました。中心に位置するのは本を焼くこと、焚書でした。排外主義の対象となったユダヤ系の作家やユダヤ系知識人のものばかりでなく、トーマス・マンのような国民的作家の本も、まとめて焼かれていました。さらにナチスはユダヤ系の人々の文化遺産を没収の対象とました。本書「スピノザの問題」もその経緯を描いたものです。(2015/06/30)


欧州
映画の原型「幻灯機」で作ったバンサンの映画 ビクトリア朝時代の幻灯機で手作りの味わい Vincent and his magic lantern  映像と文章で
   映画を生んだ源となったのが幻灯機。それを見せてくれたのはパリの芸術家、バンサン・ベルゴン(Vincent Vergone)氏でした。バンサンは彫刻家ですが、造形物に光を当てる創作も手掛けてきました。彼が使っているパリの北の郊外・オーベルヴィリエにある共同アトリエには古い幻灯機がいくつかあります。以下はその様子を短い映像にまとめたものです。(2015/06/30)


文化
作家のジャン=フィリップ・トゥーサン氏が生まれ故郷ブリュッセルの美術館で初個展 写真シリーズ「読書を愛する」と新作小説「風景の消失」
  この夏、トゥーサン氏は初めてベルギーで展覧会に参加し、写真や新作小説などを披露します。もともとトゥーサン氏はベルギーのブリュッセルで生まれたものの、13歳の時にパリに移り住んで、パリの大学で学びました。出版活動もパリがベースに。そんなトゥーサン氏にとって、今回のベルギーにおける展示は自らの故郷に帰ってきたような非常に大切な機会のようです。(2015/06/28)


欧州
フランス左翼党 創設者の一人フランソワ・ドゥラピエール氏が死去 盟友メランション氏が追悼演説
  フランスでは現在、社会党が大統領をいただく与党になっていますが、社会党以外にも少数派の左翼政党が複数存在しています。Parti de gauche = 左翼党もその1つで、2008年11月に社会党に所属していたメンバー数人が袂を分かって独立して結党したものです。社会党に対する批判的な視点を持つ彼らはその他の左翼少数派政党と選挙協力をしてきました。(2015/06/26)


経済
厚労省が修正 実質賃金は4月も増えていなかった 6月初旬の大々的報道は何だったのか? 実際は24か月連続マイナスだった…
  6月初旬、大手新聞は厚生労働省の毎月勤労統計調査の発表を受けて、4月に物価の変動を差し引いた実質賃金が初めて+に転じた、と大々的に報じた。プラス幅は昨年同月比でわずか0.1%だったが、それまで連続マイナスだったために、いよいよアベノミクスの成果が出始めたというリードの記事だった。ところが、ここに来て、厚労省が統計結果を修正したことがわかり、4月の実質賃金もマイナスで、結局実質賃金は24か月連続でマイナスだったことが明らかになった。この2年間、物価上昇を計算に入れたら労働者の給料は下がっていたのだ。(2015/06/26)


中東
ウィキリークスの暴露 サウジアラビア政府が西側メディアとアラブメディアに資金を提供してイメージ改善のための懐柔をしていたと報じられる
  最近ウィキリークスがサウジアラビアの公電を暴露しましたが、そのことが大きな話題になっています。中でも、潤沢なオイルマネーを投じてカナダやオーストラリアなどの西側メディアとともに、アラブ諸国のメディアにも懐柔を試みていたとされることです。(2015/06/24)


TPP/脱グローバリゼーション
TPPとジェネリック医薬品 TPPが国民皆保険の脅威となる可能性も
現在のジェネリック医薬品の日本での数量のシェアは46.9%(2013年9月現在)で、国はこれを2020年度末までに80%に高める目標を持っています。最初は2017年3月末までに60%を目標としていましたが、その目標期日を1年前倒しにした上に、さらに80%という目標数値を掲げたわけです。これを見ても国民皆保険を維持するために、厚生労働省がジェネリック医薬品の普及を死活の急務と考えていることがうかがえます。しかし、ここに来て、大きな問題が浮上しています。アメリカが動かしている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の条項の中に、ジェネリック医薬品の制度改定があるというものです。(2015/06/23)


コラム
なぜ主要100社だけ?
  朝日新聞で景気を判断するのに主要100社にアンケート調査をしていました。そこから導き出されたのは景気大回復という印象です。しかし、ここで登場する主要100社というのはその他多くの中小零細企業と比べると、比較にならないほど利益を得ている企業ですし、その内部留保も積みあがっているはずです。(2015/06/22)


欧州
女性政治家同士の論戦 ナタリー・コシュースコ=モリゼ(国民運動連合=UMP)vs.セゴレヌ・ロワイヤル(社会党=PS)
  今年12月にパリで開催される国連気候変動パリ会議(COP21)。フランスの環境大臣、セゴレヌ・ロワイヤル氏は様々なメッセージを出している所です。代替エネルギーの開発の必要性もその1つ。機を同じくしてローマ教皇が先進国は「脱成長」(デクロワッサンス)を掲げて南の途上国と連携して環境対策に取り組む必要があると声明を出したばかりです。COP21では2025年あるいは2030年までのCO2排出量の目標基準値を定めることになります。そんな中、環境問題を巡って、フランスのテレビの女性政治家同士の一騎打ちの論戦を見ました。(2015/06/22)


反戦・平和
イラク戦争 反戦ポスターから
  2003年3月20日。イラク戦争が始まったこの春、多くの日本人がイラク戦争反戦を訴えてデモを行いました。それまでデモとは無縁だった人まで、予想以上に多くの人々が参加し、厳重な警備の中、アメリカ大使館前は緊張すらはらんだ空気となっていました。(2015/06/21)


経済
実質賃金プラス報道の謎
  国民の給料は実質増えているのか減っているのか。朝日新聞の6月3日付の記事では実質賃金指数が前年より0.1%増え、2年ぶりにプラスに転じたとしている。実質賃金は賃金から物価の変動を差し引いたもの。(2015/06/19)


経済
戦争と買い物 〜GDPの実質成長率が増加したと報じているが物価上昇を差し引いた実質報酬は去年に比べて低下 しかし、新聞はなぜかこの点に触れず… すでに大本営発表?〜
   内閣府によると今年の1月〜3月の四半期のGDPの実質成長率(物価の変動を除いた数値)は前期(昨年暮れの四半期)から1.0%の伸び、年率に換算すると3.9%増加したとされます。伸びていたんですね、実質のGDPは。しかも、昨年暮れの四半期(10月〜12月)の実質成長率の伸びに続いて二期連続伸びたことから、安倍政権は追い風になったとしたいところでしょう。ただし、朝日新聞によるとGDPの6割を占める個人消費は4半期の比較で0.4%の伸び。GDPの実質成長率が4半期の比較で1.0%と伸びているのに、個人消費があまり伸びていないのはなぜでしょうか。(2015/06/18)


コラム
安保法制と選挙 とんでもない!
  安保法制が合憲か違憲か選挙で決めたらいい、という声をネットなどで目にしますがとんでもないことです。憲法問題は総選挙とは位相を異にするものです。(2015/06/16)


中東
アジズ元イラク副首相の死と騒動 フランスの報道から
  サダム・フセイン政権でNO2の地位にあったタリク・アジズ元副首相が心臓発作で今月亡くなったことは前に触れましたが、その棺をめぐってひと騒動あった模様です。遺族が暮らしているのは隣国のヨルダンです。2003年のイラク戦争以後、息子らは亡命生活を余儀なくされています。(2015/06/14)


みる・よむ・きく
「英語類義語活用辞典」 インターネット時代に活用できる参考書
Japan Timesで映画評を担当していた記者の最所フミ氏が編纂し、書き記した「英語類義語活用辞典」はインターネットで日本からも情報発信できる時代になった今、ますます貴重さを増している一冊です。(2015/06/13)


中東
イラクのNo2だったタリク・アジズ氏、死亡
  イラクのサダム・フセイン大統領の側近だったタリク・アジズ氏が6月5日に亡くなった。79歳だった。2003年の米軍侵攻で逮捕され、以来ずっと獄中生活を余儀なくされていたが、健康状態が悪く、苦しんでいた。(2015/06/13)


TPP/脱グローバリゼーション
暴露されたTPPの条項に怒る米市民 市民の健康への危惧が高まる 特に発展途上国の市民にとっては致命的な条項が…
  TPPの極秘内容が露見して、怒り始めた米市民ら。米報道番組「デモクラシー・ナウ!」で報じられているのが健康問題です。特に諸国民の健康を犠牲にして多国籍企業の目線で作られた条項に注目。たとえば特許期限の切れた薬品を後発メーカーが特許料を払う必要なく作れてきたジェネリック医薬品も、開発した製薬企業がちょっとだけ変化を加えることで特許期限を無限に引き延ばせるようになります。(2015/06/12)


中東
6月12日は「ファラフェル」の日
  中東にはファラフェルという名前の料理があります。ボール状の揚げ物でコロッケに似ていますが、中身はジャガイモや肉ではありません。ファラフェルの外側を見ると狐色ですが、中身はソラマメやヒヨコ豆を砕いたもの。そう、中身はマメなのです。ですから、植物性タンパク質が豊富です。(2015/06/12)


欧州
国民戦線、元地方幹部が自動車複数台に放火した容疑で逮捕される 街の不安を強調し、党勢拡大を画策か
  昨年の地方選で躍進して一躍、2017年の大統領選へと駒を進めてきた右翼政党、国民戦線。ところが、国民戦線の元地方幹部がとんでもない犯罪容疑で逮捕された。場所はパリ近郊のセーヌ=エ=マルヌ県。報道によると、この地域の元国民戦線幹部(No2)が4月8日から9日にかけて数人の仲間とともに、Mitry-Moryなどで、13台の車に火をつけたとされる。(2015/06/12)


農と食
オックスファム(NGO)がフランスの4つの金融機関を報告書の中で告発
  オックスファム(NGO)がフランスの4つの金融機関を<飢餓を投資材料にして一儲けしようとした>として報告書の中で告発。クレディ・アグリコル、BNPパリバ、BPCEそしてソシエテ・ジェネラル。このうちクレディ・アグリコルは撤退したそうです。(2015/06/11)


みる・よむ・きく
ボードリヤール著「消費社会の神話と構造」 出版から45年
   ジャン・ボードリヤールの「消費社会の神話と構造」(直訳は「消費社会」)が日本で翻訳出版されたのは1979年のことで、フランスで本書が刊行されてから10年のタイムラグがあります。精神分析に詳しいフランスの作家、ジル・アゾパルディさんにボードリヤールの「消費社会」について簡単に見立てをお願いしました。日本では80年代から90年代にかけて一世を風靡した社会学の本です。(2015/06/11)


米国
イラクへの米軍派遣 オバマ政権は400〜500人を検討中 イスラム国対策で長期戦の可能性 元国防長官が地上軍派遣の必要性をメディアで盛んに表明
  オバマ政権がイラクに400〜500人規模の米軍を再び派遣することを検討していると報じられている。報道番組「デモクラシー・ナウ!」では長期的なコミットになる可能性も指摘している。(2015/06/11)


みる・よむ・きく
カミュ原作の映画「涙するまで、生きる」 〜アルジェリアとフランス、日本とコリア〜
  渋谷のイメージフォーラムにて「涙するまで、生きる」を見た。原作はアルベール・カミュの短編集「追放と王国」収録の短編「客」。舞台はアルジェリア独立闘争が始まった1954年のアルジェリアの山村。独立軍とフランス軍のはざまに立たされたフランス系(もともとはスペイン系だが)の男とアラブ系の男の旅。二人は国と国の確執を越えることができるか。なるほど、今の時代に生かせる物語。上映後、上智大学イスラーム研究センター所長の私市正年教授と研究者の中村遥さんがステージで解説してくれた。アルジェリアは1830年から1962年まで約132年間、フランスの植民地だった。日本が朝鮮を植民した期間が1910年から1945年だから、その4倍の期間に渡る。(2015/06/01)


沖縄/日米安保
元国防長官ロバート・ゲイツ氏、イラクへの地上部隊の再投入を訴える
  米紙ワシントンタイムズに元国防長官のロバート・ゲイツ氏がオバマ政権のイラク戦争のこれまでの戦略を批判している。ゲイツ氏が何よりも訴えているのは地上部隊の再投入である。(2015/05/30)


沖縄/日米安保
2013年秋にペンタゴンの高官が韓国の記者に対して、日本の解釈改憲を支援する旨、伝えていた
  2013年11月21日付けで韓国の経済誌「ビジネス・コリア」(Business Korea)に、ペンタゴンの高官が韓国の記者に対して、日本の解釈改憲を支援する旨、同年11月18日に伝えていたという記事が出ていた。「米政府は日本が北東アジアにおいて本来の役割を取り戻し、平和と安全を維持することに貢献することをよし、とする」とその高官は話した。「日本がこれまでの遅滞を解釈改憲で乗り越えられるだろうと考えている。その過程において日本政府がいかなる決断をしようとも、日本を主権国家として米国は尊重する」(2015/05/30)


欧州
国民戦線党首マリーヌ・ルペンがなぜ今、エジプトへ?
  国民戦線党首マリーヌ・ルペンがエジプトを訪問したことがフランスメディアの話題となっている。「ジューヌ・アフリク」(若いアフリカ)誌の記事によると、マリーヌの狙いはスンニ派のアラブ世界で影響力が大きなエジプトの宗教指導者Al-Azhar師 〜 国民戦線(Front National)を反イスラムであると批判している 〜に会って、その見方を修正してもらうことにあったようだ。国民戦線は反イスラムではなく、反テロリズムであるというのがマリーヌの言い分だったらしい。これは2013年にマリーヌが「国民戦線を極右と呼んだら訴える」と声明を出したことと通底する一連の行動であり、間違いなく2017年の大統領選を視野に入れている。(2015/05/30)


コラム
象になんの問題が・・・
象になんの問題が・・・。まるで象がゴミのポイ捨ての犯人であるかのようなポスター。(2015/05/22)


コラム
市民運動と「楽しさ」 ベトナム戦争終結から40周年
 今年は2015年、あの1975年のサイゴン陥落から40周年。つまりベトナム戦争終結から40周年ということで、そうしたドキュメンタリー番組が何本か作られています。40周年と聞くと、そうか・・・とため息が出ます。もうベトナム戦争を同時代に経験した人は40歳以上ということになるからです。第二次大戦となると、70歳以上というわけです。戦争は遠くなりにけり、です。(2015/05/16)


コラム
パリ国際大学都市日本館館長のパソコンが盗まれ、怪しい仏語メールが館長名で送信される
   先日、パリ国際大学都市日本館から館長名で私のところに変なフランス語のメールが届きました。フランス語で以下の文章。Bonjour,J'aimerais te parler serieusement es tu disponible par mail.Je te demande de garder surtout la confidentialite de mon courriel n'en parler personne je t'en prie.Merci d'avance.パリ国際大学都市日本館に、このようなメールが来ましたが、確認願います、とメールで問い合わせました。するとたった今、責任者からお詫びと説明のメールが届きました。(2015/05/16)


反戦・平和
戦災傷害者の無念を描くドキュメンタリー映画「おみすてになるのですか 〜傷痕の民〜」 (短縮して再掲載)
「先生、腕を切らないで。親がいないし独身だから働かなくてはならないのです」戦災傷害者はみな「あの日」さえなければ・・・心の中でそう思っています。1944年11月24日B29来襲。以後東京は110回を超える空襲で焼け野原になりました。1945年3月10日未明の空襲では推定10万人が焼死、40万人が負傷しています。 (2015/05/15)


反戦・平和
テレビ東京のドキュメンタリー人間劇場「みすてられてなるものか 〜ハイカラおばぁちゃんの熱い日々〜」(1999年、山本洋子演出)
  米国はイラクやベトナムで戦争をしても自国に弾が飛んでくることがありませんでした。そのことが米国が戦争を続けてこられた大きな理由です。しかし、日本の場合、アジアで戦争が起きたら日本は射程に入ります。国内に弾が飛んできます。その場合、民間人にも死傷者が出ますが、前の戦争で民間人の被災者はどのように保護されたかというと、ノータッチです。以下はこれをテーマにした番組です。テレビ東京のドキュメンタリー人間劇場「みすてられてなるものか〜ハイカラおばぁちゃんの熱い日々〜」(1999年、山本洋子演出)(2015/05/15)


文化
パリの芸術家、トリニ―・プラダ氏 〜今年もヴェネツィアのビエンナーレ国際美術展に臨む〜
  イタリアのベニス(ヴェネツィア)では2年に一度、国際美術展が開催されています。2年に一度ということで、ビエンナーレと呼ばれています。今年は5月9日から11月22日まで、ということで開幕寸前です。多くの芸術家が参加しますが、パリから参加するトリニ―・プラダ(Triny Prada) さんもその一人。トリニ―さんは南米のコロンビア出身で、パリに留学して美術を学び、その後パリにアトリエを構えています。(2015/05/02)


文化
歴史に翻弄される人間の生 画家ダイアン・ババヤン
  アインシュタインとキュリー夫人が並んで立っている。背後には赤い空が広がっていて、足元には起伏のある大地が続いている。二人が拓いたのは「核の時代」であり、それは広島や長崎の惨禍を招いてしまった。そのためか、科学者の肖像でありながら、不安な印象が胸に迫ってくる。イラン出身の女性の画家、ダイアン・ババヤン(Diane Babayan)氏の一枚である。名字の・・・「ヤン」は作家のウイリアム・サロ―ヤンや、映画監督のアトム・エゴヤンと同じで、アルメニア系の名前だ。ババヤン氏の両親もイラン在住のアルメニア系だった。(2015/04/24)


人権/反差別/司法
フランスで盗聴法案審議中 通信の秘密はどうなるの?
 日曜日に24歳のアルジェリアからの留学生による教会への襲撃未遂があったと報じられた最中、今フランス議会ではインターネット監視法が議論され、投票されようとしているそうです。(2015/04/23)


市民活動
フランスで遺伝子組み換え反対の「反モンサント」デモ
 4月23日の今日、フランスでは「反モンサント」のデモ行進が予定されています。モンサントとはご存じ、遺伝子組み換え農作物を世界で推進している米企業の名前です。今、欧州では遺伝子組み換え農作物を断じて入れさせるな、と強い反対が起きています。(2015/04/23)


国際
2015年 アルメニア人虐殺から100年
   今年2015年はアルメニア人がオスマン帝国で虐殺されてから100周年という年である。今月24日にイスタンブールのタクシム広場で記念式典が執り行われる予定だ。アルメニアの知識人などリーダーたちがイスタンブールで逮捕監禁された日だそうだ。赤い日曜日とも呼ばれている。一連で殺された推定人数は150万人に及ぶとの推定もある。これは虐殺が起きた第一次大戦前のアルメニア人口と大戦後の人口との引き算による推定値である。(2015/04/19)


核・原子力
フラマンヴィルの原発建設に何が・・・・新たな問題が指摘される
フランスのフラマンヴィル原子力発電所建設サイトでさらに問題が指摘されています。検査機関から核燃料を格納する銅製容器の耐久力の不足が指摘された、とラジオフランスアンテルナショナルが報じています。(2015/04/17)


国際
米ドルを使用する日 3
  自国通貨を排して、米ドルを通貨にする現象をドラライゼーションと呼んでいる。ジンバブエやエクアドルの場合がそうだ。通貨が不安定になった場合、通貨価値が多少なりとも一定しているドルを導入することでハイパーインフレを防ぐものである。しかし、そのため、自国の通貨量をコントロールすることが当局に出来なくなってしまう。つまり、米国財務省の政策の影響下に置かれてしまう。(2015/04/16)


国際
米ドルを使用する日 2
  ジンバブエの首都ハラレの少し郊外を訪れると、無数の人々が道路沿いで露店を営んでいる。道端にシートを1枚敷いて、服やCDや細々したものを並べたものだ。その近くには築100年近いと思われる老朽化した団地が並んでいる。ある人の話では20ドルあれば商売を始められるという。(2015/04/16)


国際
米ドルを使用する日
  アフリカ南部の国、ジンバブエに行くとわかるのだが、そこで使われているドル紙幣は湿っている。色もどす黒い。潔癖症の人は抵抗を感じるかもしれない。その理由はジンバブエが通貨発行権を失っているため、古くなった紙幣を新札に変更できないからである。(2015/04/15)


国際
ガレアーノの死
  ジャーナリストで作家のエドゥアルド・ガレアーノが亡くなりました。ラテンアメリカや欧米では大きくその死が追悼されています。しかし、自分も含めて、日本の人はガレアーノについてはあまり、というよりほとんど知らないのではないでしょうか。日本人の知らない世界がそこに垣間見える気がします。日本の書店でガレアーノを置いている店はきっと1%もないでしょう。(2015/04/14)


コラム
イスラム教世界と小説 どんな政治体制であれ文学は人間性を扱う
  イスラム世界の文学はまだあまり読まれていないように思う。自分自身を顧みてもそうだ。これまでイスラム圏の作家で読んだのはパレスチナのガッサン・カナファーニ―、トルコのオルハン・パムク、そしてアルジェリアのヤスミナ・カドラくらいだ。あとエジプトの未読の作家ナギブ・マフフーズが書棚に一冊積まれているに過ぎない。キリスト教圏や仏教圏に比べると圧倒的に少ない。(2015/03/15)


みる・よむ・きく
ブレヒト作「第三帝国の恐怖と貧困」 東京演劇アンサンブル60周年記念公演
  今、東京演劇アンサンブルという老舗の劇団がベルトルト・ブレヒト作「第三帝国の恐怖と貧困」を上演している。1954年に結成された同劇団は昨年、創立60周年を迎えた。今回の舞台も記念公演シリーズの一環だ。創設メンバーでカリスマ的リーダーだった広渡常敏氏が亡くなった今、新たに中堅世代の演出家3人が一連の記念公演を担当している。ブレヒト劇団が今後、いったいどのような方向に向かうのか、興味深い。さて、昨日幕を上げたばかりの「第三世界の恐怖と貧困」はそのタイトルにあるように、1933年のナチス・ドイツの誕生から第二次大戦前夜までのファシズムが進行するドイツを描いている。劇はオムニバス形式で、年代記的に様々な場所で出来事が進行し、それらが全体のテーマを構成する。演出の松下重人は14の場を構成して演出しているのだが、劇全体を見て感じたことはドキュメンタリー番組を見るような、アクチュアルな印象だった。(2015/03/14)


コラム
タイの雨
  いつも外国に出かけるたびに、その国の気候条件がわからず、滑稽なほどに狼狽してしまう。タイには雨季と乾季が存在するが、たまたま雨季に訪ねた場合、どんな雨に打たれるのか。日本の梅雨の様にじとじと1日中、雨がぱらついたりするのだろうか。タイの場合はそうではなかった。1日に一度、天候がどーっと悪くなって土砂降りになる。しかし、たいていの場合、1時間もすると雨が上がるのだ。(2015/03/11)


国際
NYTが社説でネタニヤフ首相が米議会で行ったスピーチを批判 〜イスラエル、イラン、米国、サウジアラビア〜 核にこだわる面々
  イスラエルのネタニヤフ首相が3月3日、米下院を訪れ、スピーチを行った。ニューヨークタイムズ社説はその模様を次のように記している。「ネタニヤフ首相が火曜日、下院に入場した時、激しい拍手が沸き起こった。彼は腕を上げてあたかも凱旋した英雄のようだった。」しかし、ニューヨークタイムズは米議会のそのような歓迎ムードとは逆に、激しい批判を加えている。(2015/03/07)


コラム
パリの本屋 思想や社会科学など古典が半数以上
  写真はパリの小さな書店の店内だが、小規模の書店はたいがいこんな感じだ。天井まで本が並べられており、客ははしごを登る。これらの本の中で新刊小説は比較的少なく、むしろ思想・社会科学などの古典が半数以上を占めている。(2015/03/06)


農と食
カップ麺とインスタントラーメン トムヤムクン味
  日清食品がカップヌードル・トムヤムクン味を2月下旬全国での販売を再開した。日清食品のウェブサイトによると、去年の4月に売り出したところ、好評で供給がいつかなくなったため、一部地域を除いて供給をストップしていた、とウェブサイトに書かれている。(2015/03/06)


コラム
Charlie Hebdo 誌 練達の漫画家4人を失った損失
  漫画新聞の価値はどこにあるのか?言うまでもなく、漫画家にある。Charlie Hebdoはイスラム原理主義者の襲撃によって一瞬にして最高レベルの4人の人気漫画家を失うことになった。もし、仮にも経営というもの知っている人間であればその損失の大きさが理解できよう。(2015/03/01)


アフリカ
「イラク」と化したリビア 米誌アトランティックが「完全なる失敗の淵」と酷評 無責任な軍事侵攻の惨状 イスラム国の北アフリカの拠点に 誰一人責任を負わない米英仏首脳
  アメリカのアトランティック誌が「完全なる失敗の淵」として、米国などのリビア軍事介入後の惨状をレポートしている。アトランティックは悲鳴を上げる女たちの写真をつけているのだが、それはエジプト人のコプト派(キリスト教徒)21人がリビアで斬首されたからだ。イスラム国ではなく、リビアにおいてイスラム国と同調する行動が取られていることを示している。(2015/02/22)


コラム
新聞・メディアと大学人 いつも同じ面々なのはなぜ?
   先のコラムで筆者はフランスの襲撃事件に対するメディアでの歴史的な説明が不十分ではないか、と指摘した。仏文の研究者は無数にいるはずだが、彼らの見識はほとんど何一つ世に出てこなかった印象だ。この傾向はCharlie Hebdo襲撃事件だけではなく、近年広く一般化している現象ではないかと感じている。イスラム世界の研究者はわが国に何人いるのだろう。だが、メディアで声明を出したり、説明をしたりする大学人はいつも一握りの決まった顔ぶれになっている。この現象には2つの側からの事情があると思う。(2015/02/22)


コラム
ユグノー戦争の記憶 Charlie Hebdo 襲撃事件とフランス
  1月7日に発生したCharlie Hebdo襲撃事件に対するわが国の新聞などの論壇を見ていると、フランスの歴史と風刺と宗教に関する説明ではせいぜい1789年のフランス革命まで遡って言及されたくらいだったのが意外だった。思うにフランス人がこの問題を見る時に重ねているのはもっと古い時代ではないか。つまり、フランス革命より2世紀古いユグノー戦争(1562年 - 1598年)に対する国民的記憶ではないかと思えるのだ。(2015/02/22)


みる・よむ・きく
エドワード・サイード著 「オリエンタリズム」
  私は今、日刊ベリタで「アラブの眼」というペンネームを持った日本の方の寄稿した「Charlie Hebdo」に関する文章の中の事実関係について、自分なりにリサーチした文章をいくつか書いてきた。その動機は自分がフランスに関心を持っており、日刊ベリタにもフランスのことをしばしば書いてきたということによる。その作業をしていて思い出されてきた本がある。20代の半ばに読んだエドワード・サイード著「オリエンタリズム」である。(2015/02/16)


コラム
クアシ兄弟の身元が割れた身分証はどこで?
  Charlie Hebdo襲撃犯のクアシ兄弟の身元がいつどういう形で警察につきとめられたのか?フランス・テレビの情報によると、兄弟が襲撃の後に逃走して19区に逃げ込んで止めた車の中に兄サイード氏の身分証が残されていた、と警察は発表している。「アラブの眼」はCharlie Hebdoの事務所に兄弟の身分証が残されていたことを持って、2001年9月11日の同時多発テロとの関連性を指摘しているのだが、その前にまず事実を正確に伝えるべきではないか。(2015/02/16)


コラム
風刺漫画のチャーリー誌(Charlie Hebdo)を大富豪のロスチャイルドが買ったという情報の真偽について
 本紙2月10日付で、大富豪ロスチャイルド家が襲撃された風刺漫画誌を襲撃の1か月前に購入していたとする情報をペンネーム「アラブの眼」が、オランダ誌から米国のワタンを経由した情報として伝えている。<ロスチャイルドがシャルリ・エブド社を購入か?>と題する記事である。ロスチャイルドはユダヤ系資本家である。そこにはユダヤ人がイスラム教を侮辱させた、という含みすら感じられる。さて、その真偽はどうなのか?フランスインフォはその情報はデマであると伝えている。そればかりか反ユダヤ主義の漫談家デュードネ氏が支援するウェブサイトがその嘘を発信したと報じている。(2015/02/16)


コラム
「アラブの春」とフランスの大手メディア
  本紙でパリ政治学院のファブリス・イペルボワン教授が<フランスではアラブの春が起きた時、ほとんどのメディアが黙殺していた>という意味合いのことを話している記事があるがそれはどういう意味だろうか。「最後の最後になるまで、ほとんどの大手メディアが話題にしなかった」とあるのはどのようなことなのか。「アラブの春」が始まったのはチュニジアであり、それは2010年12月17日に若者が焼身自殺をしたことが引き金になったものだった。実を言えば当初は「アラブの春」という言葉ではなく、「ジャスミン革命」と呼ばれていた。(2015/02/14)


コラム
アメリカのアラビア語サイト「ワタン」 本紙に掲載されたクルド軍による「イスラム国」捕虜焼殺情報の真偽は?
   しかし、クルド軍がイスラム国の捕虜を焼殺したという情報は様々な西欧語の新聞などのネット媒体では未だに見ていない。アラビア語でのみ露出した情報なのだろうか。しかも、個人の書き込みノートに過ぎないfacebookに20歳前の若い女性が書きこんだものをもって「発表」としてよいのだろうか。(2015/02/06)


中東
サウジアラビアが9・11同時多発テロ事件に資金援助していたという証言 王子三人の名前もあがる サウジは否定
   サウジアラビアでは国王が亡くなって世代交代したことや、石油価格の下落を仕掛けているのがサウジアラビアであることなど、最近、今までと違った形で注目されることが増えている。そして、今、米国からサウジアラビアへ1つの疑惑が突きつけられている。2001年の9・11同時多発テロの主要な資金源がサウジアラビア国家だったのではないか、とする疑惑である。(2015/02/06)


みる・よむ・きく
アラン・マバンクウ著 「ジミーへの手紙」 〜黒人作家の生〜
  コンゴ出身でパリでの生活を経て、現在、カリフォルニア大学で教鞭をとる作家のアラン・マバンクウ(Alain Mabanckou)氏の「ジミーへの手紙」。これは米黒人作家、ジェームズ・ボールドウィンに宛てた長い手紙を本にしたものだという。とはいえ、ボールドウィンはすでにこの世の人ではない。マバンクウ氏の独自性はアフリカ大陸、欧州大陸、そして米大陸と動きながら、黒人の生を考えているところにある。ジェームズ・ボールドウィンもアメリカの作家だが、のちにパリに渡って作家活動を行ったことでも知られる。ゲイでもあった。(2015/02/05)


中東
ヨルダンがリシャウイ死刑囚ら2名の死刑を実施 〜イスラム国がヨルダン人パイロットの処刑ビデオを公開した後〜
ロシアのRTによると、ヨルダン政府は人質交換の対象となっていたリシャウイ死刑囚ら2名の死刑を実施した。(2015/02/04)


みる・よむ・きく
女性自爆テロリストを妻に持った男の旅路 ヤスミナ・カドラの小説「テロル」
   テロリズムはイラクであれ、アフガニスタンであれ、パキスタンであれ、毎日のように起きている。かつて19世紀のロシアでもテロが頻発したが、作家のドストエフスキーは「悪霊」という小説でテロリストの人間像を描こうとした。今日でもテロリストの内面に迫ろうとする小説に真摯に取り組んでいるイスラム教世界の作家がいる。アルジェリアのヤスミナ・カドラもその一人だ。カドラには3部作と呼ばれる小説群がある。(2015/02/03)


コラム
リシャウイ死刑囚の死刑免除の嘆願
  後藤氏や湯川氏の人質事件がなかったら、その名前を聞くこともなかったかもしれない女性のリシャウイ死刑囚。彼女の命は後藤さんと引き換えになるはずだった。様々な思惑が入り乱れて、真相は霧の中にある。日本では後藤さんの助命嘆願の動きがあちこちで起きた。日本人の人質は殺され、この事件も次の局面へ、日本人の関心は移りつつある。しかし、人質交換の相手とされたヨルダンの刑務所にいるリシャウイ死刑囚は未だ死を待つ身で獄中にいる。(2015/02/02)


コラム
フランスとイスラムと右翼 鍵となるアルジェリア独立戦争
   フランス国内が愛国主義で染まった、という報道もあるが、そこには単純化もある。Charlie Hebdoを追悼し、デモに並んだ人の中には愛国主義者も少なくなかったと思われる。370万人のデモはフランス史上最大規模だった。しかし、フランス人の非ムスリムの中にはイスラム教徒との平和な共生を望み、中東での戦争に加担するのを批判している人も多い。(2015/02/02)


国際
「これ以上負債を減額できないわよ」 浮かれるギリシアにメルケル首相がくぎを刺す
  欧州連合のリーダー、ドイツのメルケル首相はこれ以上ギリシアが欧米諸機関に返済する負債額の減額は認められない考えを示した。すでにこれまでにも金融機関や投資家個人は相当額の負債を帳消しにしてきたからだ。BBCによると、今も残るギリシアの負債額は3150億ユーロで1年の国内総生産の2倍近い175%に上る。(2015/02/01)


国際
イスラエルがパレスチナ自治区領内のウエストバンク(ヨルダン川西岸地区)に新たな住宅450軒を建設する計画 欧州連合や国連が懸念を示す
  ロシアのRTによると、イスラエルはパレスチナ自治区領内のウエストバンク(ヨルダン川西岸地区)に新たな住宅450軒を建設する計画だという。それに対して、国連や欧州連合が懸念を示している。(2015/01/31)


コラム
特定秘密保護法と情報の非対称性
  アメリカの経済学者スティグリッツやアカロフらがノーベル経済学賞を授与された理由が「情報の非対称性」の研究だった。情報の非対称性とは売り手と買い手の二者の間に著しい情報の格差が存在することを指す。たとえば中古車について言えば売り手は中古車がどの程度、痛んでいるかを理解しているが、買い手は中身の機構の状態まで中古車店で知ることができない。情報の非対称性が経済にどのような意味を持つか、これを研究したのがスティグリッツ教授たちだった。このような情報の非対称性があると資源を最適に配分することができず非効率な経済になる。結果的に市場につまらない商品ばかりがあふれることになるそうだ。では政治とジャーナリズムに関してはどうか。(2015/01/30)


国際
後藤健二さんの新たな声をCBSが報じる 後藤氏生存の模様 新たなメッセージとは・・
  後藤健二さんの新たな声をCBSが報じる。CBSが2時間前に報道。29日モスル時間で日没までに後藤氏とリシャウイ死刑囚の身柄交換の準備ができていなけれがヨルダン人パイロットを殺す、と後藤氏がヴォイス・メッセージ。(2015/01/29)


国際
ヨルダンでリシャウィ死刑囚の釈放決定が報じられる 人質と交換か? ヨルダン政府は公式発表していない模様 錯綜する情報
ヨルダンでリシャウィ死刑囚の釈放決定が報じられる  人質と交換か?(2015/01/28)


インドの大物漫画家 RK Laxman 氏死去
 インドの大物人気漫画家RK Laxman氏が94歳で亡くなった。インドのタイムズ紙で50年間活躍した。(2015/01/28)


コラム
特定秘密保護法撤廃の日 〜真相検証番組の特需が・・今から企画を練る人も
  安倍政権が終焉し、特定秘密保護法が撤廃される日、まず特定秘密の解除と、秘密にする必要がない情報の情報公開が緊急課題になるだろう。そこには今、日本で進行している外交・軍事情報の範疇に入るものが少なくないはずである。(2015/01/27)


国際
パキスタンの電力施設へのテロ攻撃で2時間停電 原発もオフラインに
  ロシアのRTによると、パキスタンの電力施設を狙ったテロ事件で140分停電し、原発施設も2時間オフラインになった模様。(2015/01/26)


欧州
ギリシア総選挙 左翼政党 Syriza が勝利か?
 ギリシアで行われた総選挙で左翼政党のSyrizaが勝利した模様。(2015/01/26)


中東
2015年3月のイスラエル総選挙 ネタニヤフ首相下ろしを狙う「シオニスト」連合 〜労働党と新党の中道連合が「シオニスト」を名乗る〜 安倍首相は今時分なぜイスラエルへ? 謎多き日本外交
  人質が処刑される直前に安倍首相はイスラエルの超タカ派ネタニヤフ首相と会談したことは記憶に新しいが、イスラエルでは3月の総選挙でネタニヤフ首相を下ろすための連合勢力が誕生している。(2015/01/25)


国際
RTによると、後藤氏は以下のメッセージを伝えた模様
  RTによると、後藤氏は以下のメッセージを伝えた模様。’In his message, Goto reportedly blames Japan’s prime minister for Yukawa’s death and says that the Islamic State now wants the release of Sajida al-Rishawi, an alleged attempted suicide bomber, who is believed to be connected to the attack on a hotel in Jordan in 2005.’(2015/01/25)


国際
ロシアの報道 湯川氏、斬首か? 後藤氏は未だ生存の模様。後藤氏が人質交換を訴えた模様
  ロシアのRTがブレーキングニュースと報道。 (2015/01/25)


欧州
中村哲さんの道 軍事力とは違った処方箋
 日本では襲撃されたCharie Hebdoをヘイトスピーチを行う在特会になぞらえ、襲撃されたのには理由があり、表現の自由の制限もやむなし、という人が少なくない。しかし、今度は週刊新聞カナール・アンシェネに脅迫状が送られ、首を斧で切ると予告されたと言う。(2015/01/19)


アジア
現代韓国戯曲は面白い ドラマリーディングを見る
  東京の三軒茶屋駅前のシアター・トラムで1月15日から「韓国現代戯曲ドラマリーディング」が行われている。韓国の優れた現代劇作家の作品をいくつか選んで、日本の舞台で「ドラマリーディング」を行うもの。戯曲を舞台で朗読するだけならいささか退屈なんじゃないか、と思って出かけたらかなり面白く、スリリングな体験だった。18日まで行われる。(2015/01/17)


文化
今、演劇に何ができるか? 襲撃事件の後に
  パリの劇場を根城に活躍してきた演出家、ピーター・ブルック氏の娘であるイリーナ・ブルック氏(女優、演出家)がパリの襲撃事件に関してフランスメディア le Nice-Matin (1月14日)のインタンビューを受けている。彼女は1年に一度に限定せず、もっと劇場に足を運んでほしいという。(2015/01/16)


コラム
パリ襲撃事件と記者
   パリの風刺週刊誌襲撃事件で多くの記事をフランス媒体の情報をもとに日刊ベリタに書いてきましたが、以下のタイトルの記事は筆者(村上)が書いた記事ではありません。<犯人はイスラム国かモサドか? 仏紙襲撃事件で相反する報道><パリ襲撃事件の犯人の逃亡車両をパトカーが逃がす?><「西欧の宗教対応は均衡を欠く」アルジャジーラの読者アンケート>(2015/01/15)


欧州
週刊新聞カナール・アンシェネに脅迫状 「次の標的」
  パリジャン紙によると、週刊新聞のカナール・アンシェネはCharie Hebdo襲撃の翌日、「次の標的」として脅迫状を受け取っていた。カナール・アンシェネはフランス政治家の腐敗を最も先鋭に報じてきた新聞。(2015/01/14)


核・原子力
イランとの核交渉 来週ジュネーブで
  米国とイランの雪解けムードが2年前から始まっていたが、ここに来て雲行きが不透明になっているとニューヨークタイムズが社説で警告を出している。 オバマ大統領とイランのローハ二大統領との関係は壊れていない。変わったのは米議会。障壁は昨年の中間選挙で上院も下院も共和党が多数を占めるようになったことにある。(2015/01/12)


コラム
パリの漫画家批判で浮き彫りとなった日本人の古層
  パリで襲撃された漫画家たちを非難する声が日本で次々とのろしのように上がっている。表現の自由の行き過ぎだ、というのがその理由のようだ。そこでフランスの風刺文学を俯瞰してみたい。(2015/01/11)


コラム
「平和の訴え」、ユマニズム、漫画家
  日本人がテロリストではなく、殺された漫画家を「表現の自由の行き過ぎ」と批判しているのを知って僕はただただ驚いている。宗派に寄らず、宗教組織は絶大な権力と富を保有しているし、宗教が世界各地で起きている戦争の原因となっているとパリの漫画家たちは考えていた。このことはエラスムスが1517年に書いた「平和の訴え」で(宗教)戦争を誘発するとしてキリスト教世界の指導者を批判していた行為と基本的に同じである。(2015/01/10)


欧州
チャーリー襲撃犯と推定される兄弟は射殺される
  AFPによると、チャーリー襲撃の犯人と推定される兄弟は射殺。人質は解放された。(2015/01/10)


欧州
襲撃犯の兄 イエメンで軍事訓練を受けたとの情報 L'express 誌
  チャーリー襲撃事件で襲撃犯の兄弟の兄、サイード・クアシ容疑者は2011年にアルカイダのイエメン支部で、軍事訓練を受け爆弾製造技術も持っているという。L'express 誌による。(2015/01/09)


コラム
シャルリーとチャーリー
  7日にパリで襲撃された風刺週刊誌の名前がCharlie Hebdoである。これを日本の新聞ではシャルリー・エブドと表記している。しかし、日刊ベリタで事件を要約して伝える時、僕はチャーリーと表記している。(2015/01/09)


欧州
2017年大統領選への風 国民戦線党首マリーヌ・ルペンの声明 「フランスは1つ」
  今回のチャーリー誌襲撃事件。この人が2017年にフランス大統領になる風が吹いている。演説の中でマリーヌは「フランスは1つ」と繰り返したたみかける。(2015/01/08)


欧州
容疑者は3人 漫画週刊誌チャーリー襲撃犯の行方 警察発表では容疑者の一人はイエメンで軍事経験
  ルモンドによると漫画週刊誌チャーリー襲撃事件の容疑者は3人で、一番若い18歳の男がベルギーとの国境に近いシャルルビル・メジエールで逮捕された。(2015/01/08)


欧州
フランスを代表する風刺漫画家 Cabu 氏も襲撃で死亡
  風刺新聞のカナール・アンシェネで中心的な漫画家として活躍したカビュ(Cabu)氏が7日、パリで起きた風刺週刊誌チャーリー銃撃事件で死亡した。カビュ氏はチャーリーにも漫画を寄稿していた。(2015/01/07)


欧州
フランスの風刺週刊誌 Charlie Hebdo の事務所がテロリストに襲撃される 死者12名以上か
  パリの風刺雑誌として知られる週刊チャーリー(Charlie Hebdo)が覆面の二人組に襲われ、銃撃を受けた。警官2名を含む12人が殺された模様。犯人は逃走した。(2015/01/07)


コラム
1月7日 ロシア正教では今日がクリスマス
  年末から年始にかけて、国と文化圏、宗教圏によって祝いの日や意味合いが違っているのが興味深いものです。ロシア人の友人は今日、1月7日がクリスマスになっているらしく、お祝いのカードを送りあっているようです。(2015/01/07)


国際
ロシア通貨危機と対処法 スティーブ・ハンケ教授(ジョンズ・ホプキンス大)
  ハイパーインフレが専門のスティーブ・ハンケ教授(Steve Hanke:経済学)はロシア通貨危機に関して、11月にロシア政府が通貨バスケット制を廃して変動相場制に移行したことを失敗と指摘。このままでは原油価格の変動が通貨変動とリンクして、ロシア経済の不安定化が進行すると言う。(2014/12/21)


みる・よむ・きく
メドヴェジェフ著「チェルノブイリの遺産」(みすず書房)
  チェルノブイリ原発事故を調査検証したメドヴェジェフ著「チェルノブイリの遺産」は1990年に出版された古い本だが、今読むと身近な話に思えてくる。当時はチェルノブイリ原発事故は遠い他人事に思えていたのだったが。チェルノブイリ原発事故では炉心溶融の後、爆発し、放射性降下物がウクライナ、白ロシア、ロシアなどを汚染した。(2014/12/20)


コラム
選挙とハリウッドとシナリオライター
  オバマ政権が誕生する以前に、アメリカで人気のドラマ「24」シリーズなどで格好いい黒人大統領が登場する場面を何度も目にしました。民主党の期待の新人・オバマ氏が大統領になってもいいように民主党支持の映画プロデューサーたちが数年前から米国人大衆にイメージを刷りこんでいたのではないか、と推測しています。(2014/12/18)


文化
中国人の作家が習近平・国家主席の文学談話をニューヨークタイムズで批判 習国家主席の文芸活動座談会の影響力について警告
  中国人の作家、慕容雪村(ムーロン・シュエツン)氏がニューヨークタイムズ紙上で習近平・国家主席の文学に対する見解を批判した。このコラムは習近平・国家主席が北京で招集した「文芸活動座談会」における談話に対する批判である。シュエツン氏によれば習近平・国家主席は市場主義経済のもとで出版されている俗悪な文学を批判し、社会主義に奉仕する文学が求められていると語ったとされる。(2014/11/24)


コラム
アベノミクスとレーガノミクスと保守革命 〜アベノミクスの正体〜
 ・・・こうしてみると、アベノミクスは1980年代に推進されたレーガン政権によるレーガノミクスに本質的に近いことがわかる。レーガン政権の場合はデフレではなく、インフレとの戦いだったが、意外にも両者の経済政策は似ている。それは新自由主義という点においてである。(2014/11/22)


コラム
ソ連と自民党
  時は1987年。ソ連崩壊の4年前のこと。筆者の所属する大学の刑法ゼミにソ連から訪れた検事が参加したことがあった。40代くらいの中堅の男で、ゼミの教授が刑法以外にソ連・ポーランド法の専門家でもあったからである。(2014/11/21)


みる・よむ・きく
フランス人が福島を歌う 「福島 わが愛」
  フランス人のギタリスト、クリーフ・エルベ氏が原発事故に苛まれる福島の人々への思いを1つの歌にした。題は「福島 わが愛」。(2014/11/20)


みる・よむ・きく
本谷有希子作 「生きてるだけで、愛。」  巧みな語りを通して露わになる現代日本
   本谷有希子氏の小説「生きてるだけで、愛。」を読んだ。あまりに面白かったために外国の友人にも教えたいと思い、タイトルを英語にしようとして、立ち止まってしまった。「生きてるだけで、愛」。これをどう訳したものだろう。愛して欲しい、ということか。人によって解釈は違うかもしれない。本谷氏のこの小説の面白さは若い女性の主人公のキャラクターにあると言っても過言ではない。(2014/11/20)


安倍政権を検証する
安倍首相 「税は議会制民主主義の基礎である」
  安倍首相は今夜のNHKの9時のニュース「ニュースウォッチ9」に生中継で出演し、衆院解散の理由について説明した。その中で最も耳についたのは「税は議会制民主主義の基礎である」という言葉だった。(2014/11/18)


安倍政権を検証する
9時のNHKニュース 安倍首相の弁明に貢献 安倍首相の話したいことだけを語らせる
  国会解散。NHKの9時のニュースは安倍首相の中継に多くの時間を与え、安倍首相が語りたいことだけを十分に語りつくさせている。緊張感はゼロ。(2014/11/18)


安倍政権を検証する
経済学者・伊藤元重教授(東大大学院)がアベノミクスに80点
  東京大学大学院の伊藤元重教授(経済学)がテレビ東京のニュース番組、ワールドビジネスサテライトに出演し、アベノミクスを評して100点満点の80点をつけた。80点と言えばかなりな成功と言えよう。(2014/11/18)


政治
沖縄県知事選 翁長雄志候補が当選 普天間基地の辺野古移設に反対
  沖縄県知事選で、普天間基地の辺野古移設に反対する翁長雄志候補が当選した。(2014/11/16)


みる・よむ・きく
ミハイール・バフチーン著「フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化」
  現代では季節の祝祭は衰退の一途をたどっている。しかし、ミハイール・バフチーンは「フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化」の中で、祝祭の持っていた意味についてラブレーの作品をもとに触れている。(2014/11/16)


みる・よむ・きく
映画「日本国憲法」(ジャン・ユンカーマン監督)
  (昨年)6月15日、代々木の婦選会館で「憲法を考える映画の会」という集まりがあり、そこでジャン・ユンカーマン(John Junkerman)監督によるドキュメンタリー映画「日本国憲法」が上映された。ユンカーマン監督は憲法第9条に焦点を当てながら、戦後にこの憲法を作った人々がいかなる考えで作ったのか、またこの憲法が後にアジアや世界の人々にどう受け止められたのかを丹念に各地を訪問して取材している。証言者は歴史学者のジョン・ダワー、社会学者の日高六郎、政治学者のダグラス・ラミス、憲法を作成した一人のベアテ・シロタ・ゴードン、そして中国の班忠義と韓国のシン・ヘス、ハン・ホング、ベイルートのジョゼーフ・サマーハなど実に多岐にわたる。(2014/11/14)


コラム
総選挙 争点は特定秘密保護法、憲法第九条  きわめて重要な選挙
  年内に解散総選挙が行われる見通しになったと報道されている。安倍首相は消費税を10%に引き上げる時期の是非を国民に問う、ということで消費税が争点のようにメディアは報じている。しかし、忘れてはならないのは前回2013年夏の参議院選である。(2014/11/14)


みる・よむ・きく
クロード・ランズマン著 「Un vivant qui passe(生者が通る)」 記憶を掘り起こすファシズムとの戦い
  ナチスがユダヤ人を絶滅させようとしたホロコーストの証言を厖大に集め、9時間を超えるドキュメンタリー映画「ショア」を監督したクロード・ランズマンにはそれと対照的なほどの小品「Un vivant qui passe (生者が通る)」と題された作品がある。これもホロコーストに関係したドキュメンタリー映画のインタビューを本に起こしたものだ。日本ではほとんど知られていないが、一読すると非常に興味深いノンフィクション作品なのである。ではどのような作品なのか。(2014/11/13)


文化
'Ton jihad et le mien'(お前の道と私の道) 中東に帰りたい欧州在住のムスリム青年の心の葛藤と家族を描いたフロレンス・カーの新作小説
  今、フランスで発売されたばかりの新刊書「Ton jihad et le mien(お前の道と私の道)」はフロレンス・カーによる小説だ。現在ニース在住の女性作家、カーはレバノン生まれ。以前はジャーナリストで専門は中東だった。この小説は今、話題を独占しているイスラム国などのジハード(聖戦)が底流にある。(2014/11/12)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画「日本と原発」
  監督が河合弘之、構成が海渡雄一という二人の弁護士がメガホンを取って作ったドキュメンタリー映画「日本と原発」が公開されました。さっそく六本木の映画館「シネマート六本木」に見に行きました。いったいどんな映画だろう、と。仕上がりは非常に面白く、理詰めでありながらも原発をめぐる今の状況が的確に押さえられていくため、1500円の価値は十分にあったな、というのが本音でした。(2014/11/09)


みる・よむ・きく
雨宮処凛著 「ロスジェネはこう生きてきた」
  最近、雨宮処凛著「ロスジェネはこう生きてきた」(平凡社新書)を読んだ。雨宮氏はこのいわゆるロスジェネ世代ではメディアに最も頻繁に登場する人の一人だろう。だからだろうか雨宮氏の対談や著書をこれまで読んだことがなかった。自分が年代的にはいわゆる「バブル世代」に位置するということが関係しているかもしれない。バブル世代はロスジェネ世代から責められる立場にあるのではないか・・・そんな気がしていたのである。しかし、今、日本がどんな国になっているのか、もう一度考えようと思い、自分と異なる世代の人々がどんな暮らしをしてきたのか、上の世代も、下の世代も、双方含めてじっくり話を聞いてみようと思い始めた。(2014/11/09)


コラム
鳥と女
  ある調査によると、男性はもしもう一度生まれ変われるなら鳥になりたいという人が多く、一方の女性はもう一度女性に生まれて来たいそうです。(2014/11/07)


コラム
陰なる主役、教育テレビ
  NHKの教育テレビは最近はEテレなどと呼ばれている。EテレのEがエデュケーションのEであるとどのくらいの日本国民が知っているだろうか。長年、教育テレビは地味だと思われて来たし、テレビの主流と思われたことはなかったに違いない。しかし、最近、僕は椎名誠の紀行「パタゴニア〜あるいは風とタンポポの物語」を読んでいてはっと目を見張る記述に出会った。それは教育テレビ賛歌だった。(2014/11/03)


コラム
パリの散歩道 逸話満載 パスカル・バレジカ著 「エッフェル塔の奇想天外な物語」
  日刊ベリタに寄稿していただいているパスカル・バレジカ氏の新刊がパリで出た。パリの都市史を専門とするバレジカさんの新著のタイトルは「La fabuleuse histoire de la tour Eiffel (エッフェル塔の奇想天外な物語)」。興味深い逸話が逸話満載のようだ。さっそくパリジャン紙で紹介されている。(2014/10/31)


国際
トルコの苦しみ
  インターナショナルニューヨークタイムズに掲載されたChapatteの1コマ漫画。トルコのエルドアン大統領がスカートを履いてくるくる回りながら舞台の中央で踊っている。その下手の奥にはISIS(イスラム国)の兵士とカリフがおり、上手奥にはオバマ大統領と有志連合の戦闘機のパイロットがいる。(2014/10/23)


コラム
パトリック・モディアノ
  今年もノーベル文学賞は村上春樹氏に授与されず、フランスの作家、パトリック・モディアノ氏に決まった。モディアノは著名だが、実際に自分が何か読んだことがあったのか、となると記憶が定かではない。見たことがある映画の原作者として知っているだけだったのかもしれない。ノーベル賞のサイトによると、授与された理由は "for the art of memory with which he has evoked the most ungraspable human destinies and uncovered the life-world of the occupation"である。要約すると、記憶の技法あるいは記憶の芸術あるいは単に記憶術となるかもしれないが、フランスがナチスに占領された時代に起きた市民の埋もれた知られざる運命の悲劇を掘り起こした業績、となるだろう。(2014/10/17)


国際
メキシコ南部の大学生43人の失踪事件 世界的話題に進展 地元の人は「これは戦争だ」
  観光地アカプルコから車で1時間、メキシコ南部イグアラの町で大学生43人が失踪した事件が欧州でも米国でも大きなメディアに取り上げられ始め、世界的な事件としてクローズアップされつつある。(2014/10/16)


国際
メキシコの暴力 43人の大学生が行方不明 市長と麻薬マフィアの関係が取りざたされる
 メキシコ南部の町、イグアラで大学生43人が消息を絶った。そして、その界隈でマスグレーブ=集団で地面に埋められた遺体が数十体発掘され、学生が殺されたのではないか、と調べられている。(2014/10/14)


コラム
「一度人を殺してみたかった」
  先日、シリアに入って銃を手に反政府軍で戦ったという日本人の若者がテレビのインタビューで話していた。イスラム教とか、反政府側の政治要求自体には興味がないのだという。ただ、戦ってみたかったそうだ。(2014/10/13)


みる・よむ・きく
対談集 「佐藤可士和×トップランナー31人」
   集英社から出された対談集「佐藤可士和×トップランナー31人」は一流のデザイナーである佐藤氏がインタビュアーとしても非常に素晴らしい資質の人であることがわかる好著だ。何年か前に出版された本だが、中身は今読んでも決して遜色ないだろう。佐藤氏は自分のデザインは芸術家が個を押し付けるようなものではなく、クライアントの話にじっくり耳を傾けることから始まると語っている。そうした普段のデザインの基本作業がインタビューで十分に生かされたようであり、また佐藤氏が普段からよい聞き手であるだろうことをうかがわせる。(2014/10/11)


コラム
3万円の旅
  若い男女のカップルが喫茶店で旅の計画を立てている。連休の3日間だろう。1冊の旅行案内書をもとに、バスなどのスケジュールを立てている。訪問先は京都らしい。スマートフォンを駆使して、経路を設定し、バス代まで細かく見積もりを立てている。(2014/10/10)


文化
今年のノーベル文学賞はパトリック・モディアノ氏に 〜フランスの作家〜
  今年のノーベル文学賞はパトリック・モディアノ氏に。(2014/10/09)


国際
ノーベル文学賞
  あと10分後にノーベル文学賞の発表がある。村上春樹氏も有力候補に入っているが、果たして?ノーベル賞のサイトは以下。(2014/10/09)


コラム
選挙について 死に票をうまないために
  小選挙区制度になって以来、自民党や民主党以外の政党を支持する人々は自分の支持する政党に投票したくとも死に票になる恐れがあり、結局、政策に異論はあってもより近い政党に投票する、というケースが少なくありません。しかし、その場合でもいったいどの政党に入れればいいのか、候補が多数いるとそこでも結局票がわれる、ということがあり得ます。(2014/10/07)


農と食
カリフォルニア米のインパクト
  近くのスーパーのコメのコーナーには5kg入りのパックや3キロ入りの小ぶりなパックなどいくつか規格があります。中でも最もインパクトがあったのはデフレの今の時代、カリフォルニア米の5kg=999円の値札でした。なんと1000円を切っているんです。(2014/10/03)


コラム
静かに広まる兵器 民間旅客機は大丈夫か?
  ウクライナでマレーシア機が撃墜されたが未だに犯人は特定されていない。ロシアを非難するメディアもあるが、ウクライナ側が不審な動きをしていたという情報もある。(2014/09/29)


欧州
2017年フランス大統領選 サルコジ前大統領の前線復帰を嗤う国民戦線名誉党首
  イスラム国との確執に悩まされるフランス。フランス国内からも数百人のイスラム教徒の若者が渡航し、イスラム国の戦士になっているとされる。そんな中、勢力を伸ばしているのが右翼政党の国民戦線(FN)である。国民戦線の二代目党首マリーヌ・ルペン氏は2017年に大統領になるために全仏で党勢拡大をはかっている。フランソワ・オランド大統領の支持率が歴史的低迷の中、次第にその可能性も生まれつつある。(2014/09/29)


国際
フランス人の渡航危険40か国 〜リベラシオン誌〜 グローバル時代の第二章
  フランソワ・オランド大統領のもと、フランスはマリやイラクなどに軍事介入を行ってきた。その結果、海外渡航中のフランス国民がイスラム国とイスラム聖戦主義者グループから報復を受ける危険が高まっているとして、渡航危険国家40か国がこの度、フランス外務省によって指定された。モーリタニアからパキスタンにかけて、ところどころ、赤くないところもあるが、かなり赤くなっている。(2014/09/27)


コラム
空爆の記憶
  最近、空爆と言えば米軍によるイラクやリビアなど、遠い地域の他人事のような響きがある。しかし、筆者の子供時代、それはベトナム戦争よりももっと身近な話であり、それは日本が第二次大戦中、米空軍に空爆されたことだった。筆者の母親は岡山で少女時代を過ごしたのだが、岡山大空襲の際、田んぼを祖母に手を引かれて夜中に逃げ回ったと聞いた。(2014/09/27)


みる・よむ・きく
ネット時代の使える英語参考書 「英語類義語 活用辞典」(最所フミ編著)
  インターネット時代となり、またソーシャルメディアが発達したため、簡単に世界中の人と知り合い、交流できるようになった。そこでコミュニケーションに使われる言語も様々だが、英語はやはり大きな位置を占めている。しかし、英語で発信しようとして、単語につまってインターネットで英単語を検索する。すると、同じ日本語でもいくつも英単語が出てくる。どの英単語を使うべきか・・・。英語を日常的に使う方はこんな経験をすることがあるのではなかろうか。(2014/09/25)


国際
フランス人がアルジェリアで斬首される
  今度はフランス人がイスラム聖戦主義者のグループに首を切り落とされた。場所はアルジェリアである。イラクではない。誘拐されたフランス人旅行者のエルベ・グールデル(Herve Gourdel)氏は日曜日に誘拐されたばかりのようだ。(2014/09/25)


米国
オバマ大統領と核兵器
  オバマ大統領といえば大統領就任早々、ノーベル平和賞を受賞したことで世界を驚かせた。そのオバマ氏の核政策を批判する社説がニューヨークタイムズに掲載されている。オバマ大統領が初期の核軍縮の試みを反転して、核兵器の性能進化に向け大幅に予算をUPしようとしていることについてだ。(2014/09/24)


コラム
特定秘密保護法とメディア
  特定秘密保護法について朝日新聞が映画監督でテレビのドキュメンタリー番組のディレクターでもある是枝裕和氏にインタビューしたことがあった。是枝氏はカンヌ映画祭やヴェネチア映画祭などでの受賞作でも知られ、海外の映画人とも交流がある著名な日本のクリエイターである。(2014/09/24)


みる・よむ・きく
菅原一剛著 「写真がもっと好きになる」
  写真家の菅原一剛氏が書いた「写真がもっと好きになる。」は本当に写真が好きになる本だ。表紙がオレンジで、上質な紙を使い、文章の中にはたくさんの菅原氏による写真が掲載されている。このリアルな紙の本の質感がたまらなくよい。このことは菅原氏が本書の中で説いている写真を紙焼きしてみることが大切だ、という言葉と通底している気がする。(2014/09/17)


中東
アサド政権、自由シリア軍、ISIS・・・ 米軍、豪軍、英軍?・・・ ペイリン氏・・・
  月曜のニューヨークタイムズ社説' A risky bet on Syrian rebels'(シリア反政府軍へのリスクのある賭け)を読んでも、寄稿'To stop ISIS in Syria,support Aleppo'(イスラム国を阻止するためにアレッポ(の反政府勢力)を支援せよ)を読んでも米国の前に霧が濃く立ち込めている印象だ。(2014/09/16)


みる・よむ・きく
赤狩り経験者が集結して作った映画「フロント」
  1950年代初頭、冷戦勃発を期に、アメリカでは共産党員ばかりでなく、そのシンパをも摘発する「赤狩り」というものが始まっていた。この時代を描いたハリウッド関係者や劇作家による作品は少なくない。リリアン・ヘルマンの回想録「眠れない時代」や、魔女狩りを描いたアーサー・ミラーの戯曲「るつぼ」(The Crucible)などである。多くの作家や劇作家がこの苦渋に満ちたテーマを作品化しようと取り組んだ。映画でも様々な作品が作られたが、特筆に値するのは「フロント」という映画だろう。邦題は主演俳優の名前を冠して「ウディ・アレンのザ・フロント」というタイトルである。監督は社会派のマーチン・リットであり、脚本家は自ら赤狩りを体験したウォルター・バーンスタイン。俳優にもゼロ・モステルなどの体験者を起用して鬼気迫る作品となっている。(2014/09/14)


中東
9月13日 アラファト議長とラビン首相が握手した日 オスロ合意から21年
  イタリアのジャーナリスト、ヴィットリオ・ズッコーニ(Vittorio Zucconi)氏が、ツイッターでPLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長とイスラエルのラビン首相がワシントンDCで手を握ったのが今日、(1993年の)9月13日だったと回想している。その前月、1993年8月20日、ノルウェーのオスロでイスラエルとパレスチナの交渉が締結されたため、「オスロ合意」と呼ばれている。(2014/09/13)


市民活動
『ありふれたファシズム ─野獣たちのメロディー』 〜第14回「憲法を考える映画の会」〜
 第14回憲法を考える映画の会のご案内。『ありふれたファシズム ─野獣たちのメロディー 』ファッシズムって何ですか?ナチスって何ですか?軍国主義って何ですか?(2014/09/13)


コラム
ネット言論統制への道
  インターネット空間のブログやツイッター、フェースブックなどを通した自由な言論が盛んになったのはこの10年ほどの間である。かつて記者クラブ制度を通して、世間に出してよい情報と出してはいけない情報を官庁は統制していたのが、今ではそれができなくなってきた。新聞の記者クラブ制度は続いているとしても、その記事に対する批判あるいは付加情報として、記事の背景などやそれについて知っている関係者の声がインターネットを通して世に出るようになっただけでなく、ツイッターを通して瞬時に「拡散」されるようになってきた。(2014/09/09)


コラム
女性の上司に男は何を期待するか
  安倍政権が女性の活用をアピールするため、安倍首相は内閣改造を機に女性を5人大臣に据えた。新聞では女性の管理職や女性の政治家の割合が日本では圧倒的に低いという記事が続いている。女性が上司になったら男にとってそれは何を意味するのか?(2014/09/07)


中東
イスラム国 「国」としての可能性
  イスラム国について最初に知ったのは今年6月の頭頃だった。そのとき、初めてアルカイダとは異なる勢力が派生して無法状態になっているシリアの東部からイラクへ侵入を繰り返していることを知った。しかし、まだこの時はイスラム国と言う名前ではなく、略称ISISというシリアとイラクをかぶせた名前だった。(2014/09/02)


中東
アラブの春 第三次世界大戦 ヒラリー・クリントン大統領 安倍政権の長期化
  第三次世界大戦が始まった。欧州在住のジャーナリストが今年に入ってそう語った。それは「アラブの春」に端を発したものだと言えよう。湾岸諸国や北アフリカだけでなく、超大国も巻き込まれている。「アラブの春」でのリビア軍事介入をめぐるロシアと米国との対立、さらにシリア空爆をめぐるロシアと米国との対立。賭け金は積みあがってきていた。(2014/08/28)


中東
イスラム国を狙う米ミサイル拠点
  イスラム国がバグダッドに迫りつつあるイラクだが、米国が今後、イラク領内にミサイル攻撃をしかける時の基地がワシントンポストに掲載されている。(2014/08/27)


みる・よむ・きく
アリストパネス作 「女の平和」
  今年の1月ころ、日本で女性の集団が都知事選に立候補したある候補者に投票した男とはセックスをしない、という運動を繰り広げていた。結果として、その候補者が圧勝となってしまったのだが、いったい女性たちによるセックスストライキは効果があったのだろうか。(2014/08/26)


アフリカ
リビア 民兵組織の解体を目指す議会
  3年前の8月、「アラブの春」の波及から、リビアのカダフィ政権が崩壊した。そしてニューヨークタイムズによれば今年6月暫定議会議員選挙があった。その後、議会は様々な民兵組織が解体するよう議決を行った。そして、国連にはリビア市民の人権擁護を訴えたとされるが、リビア国軍は未だに編成の過程にあり、民兵を抑えることができず、この1カ月はトリポリで内戦状態になっている。(2014/08/25)


みる・よむ・きく
内田樹著 「寝ながら学べる構造主義」
  内田樹氏によるフランス構造主義の解説書「寝ながら学べる構造主義」が文春新書から出たのは2002年のことで、はや12年がたつ。この本は画期的な本だったのだが、その理由はそれまでの哲学の入門書と非常に異なっていたからだ。内田氏はタイトルにあるように「寝ながら学べる」ような平易な表現によって、奥の深い構造主義の哲学へ読者をいざなってくれたのである。その姿勢は本書のまえがきにもきちんと宣言されている。(2014/08/21)


アフリカ
西サハラへの道のり 西サハラ軍がコンボイ
  2011年の12月、西サハラではモロッコに迫害された亡命政権がアルジェリアの難民キャンプから、あえて西サハラ領内に帰還して国会を開いた。4年に一度の国会と大統領選挙の機会であり、海外から多くの報道記者も同行することになった。折しもイスラム原理主義勢力が出没して、スペイン人などのNGO関係者を誘拐する事件が起きており、取材陣も危険を覚悟する必要があった。(2014/08/21)


反戦・平和
斬首した英国出身の聖戦主義者 英国紙で身元調査が始まる
 イラクでフリージャーナリスト、ジェームズ・フォーレイ氏がISIS(ISIL)の聖戦主義者に首を切られて殺され、youtubeでその映像とメッセージが公開されてから、聖戦主義者の出身地とされる英国で大きな反響が広まっている。(2014/08/21)


アフリカ
アフリカを旅して ジンバブエのハラレから
  最近、アフリカ南部にあるジンバブエの首都ハラレを訪ねた。ジンバブエで2006年に起きたハイパーインフレーションとその後を検証するためだった。旅の中でハラレに住むごくごく一般庶民の住まいが見たい、と案内人にお願いしたところ、ハラレ郊外の団地に案内された。その団地はかつて英国領だった時代に建てられたもので、今は黒人家族が入居して暮らしていた。驚いたのはその内部の暗さである。(2014/08/20)


欧州
ウィキリークス創設者アサンジ氏がエクアドル大使館を去る予定
  市民に打撃を与える政府の機密情報を暴露するサイト、ウィキリークスの創設者、ジュリアン・アサンジ氏がこれまで2年に渡って身を寄せてきたロンドンのエクアドル大使館を出るという。(2014/08/20)


文化
哲学者 木田元さん亡くなる
  木田元さんが亡くなった。木田さんと言えばハイデッガーやメルロー・ポンティなどの研究者であっただけでなく、中央大学で教鞭をとりながら大衆向けにわかりやすい哲学入門を多数執筆したことでも知られる。(2014/08/18)


安倍政権を検証する
「武器開発 英仏を念頭」
  7月14日の朝刊で朝日新聞は安倍政権の中国包囲網と同時に日本の武器開発について触れていた。「武器輸出三原則の撤廃で、他国との武器の共同開発が可能になった。自衛隊の関係者は「今後の兵器は国際開発が主流。英仏との協力は欠かせない」と話す。仏は中国やロシアへの武器輸出に意欲を示してきた。日仏の関係の強化は中ロへの牽制にもなると、政府は計算している」こう書かれている。短くシンプルで、さらっと耳を通り過ぎてしまうそうなのは官僚の発表を右から左に伝えているからではなかろうか。(2014/08/18)


政治
特定秘密保護法施行は12月の予定 秘密の適正さについて調査権限の乏しいチェック機関 危機に瀕する言論
  安倍政権は国民の多数が反対したほか、世界からもその危険性を批判する声が相次いだ特定秘密保護法案を今年12月施行する方針で作業を進めている。その方向性は運用指針を論じる「情報保全諮問会議」は座長に政府の広報紙と巷で呼ばれている読売新聞グループ会長の渡辺恒雄氏を据えていることに象徴される。(2014/08/17)


反戦・平和
安倍政権の武器輸出解禁 兵器産業のグローバル化へ
  あれから1年半が過ぎ、安倍政権はついに武器輸出三原則をつぶして、「防衛装備移転三原則」というわかりにくい言葉をかぶせた新原則に改めた。再び朝日新聞(7月18日)によると、以下の3つ。 (2014/08/17)


コラム
外食チェーン店とアルバイト
 最近、なにかと牛丼チェーンの「すき家」の従業員に対する過大な業務が問題化され、繰り返し報じられている。その中心はいわゆる「ワンオペ」と言われる問題で、たった一人で店を守らなくてはならない状態を指す。深夜の一人勤務の時に強盗に襲われた事件も年間数十件起きており、心身の疲労度は苛酷のようだ。そしてついに従業員不足から一時的に閉店を余儀なくされる店も出ている。(2014/08/17)


みる・よむ・きく
タラ・ハント著 「ツイッターノミクス」
  タラ・ハント著「ツイッターノミクス」はツイッターの特徴を解説した本だ。著者はカナダ生まれで、ウェブを使ったマーケティングの第一人者だそうだ。彼女によると、ツイッターの特徴は究極のところ、「ウッフィー」なるものを増やすことにあると言う。(2014/08/16)


反戦・平和
集団的自衛権 なぜ必要? 納得できる説明を
  集団的自衛権という考え方は侵略国家の軍事力があまりに大きいため、一国で自国を防衛できない場合に数か国で軍事力を合わせて防衛するという考え方だろう。国連のもとでは侵略は認められないが、他国から侵略を受けた場合の自衛としての戦争は認められるし、そのためには集団的自衛権もまた認められるのである。(2014/08/14)


米国
風刺漫画と米軍のイラク空爆 2
 イラク空爆のニュースは米国人に複雑な思いをかきたてたようだ。もうイラクはたくさんだ、という何分身勝手ではあるが、正直な思い。一方でイスラム武装勢力ISISがイラクに侵攻して異教徒を殺害するのを看過しえない、という戦争を始めてしまった者としての思い。そんな中、ニューヨークタイムズでも再びイラク問題が浮上してきた。(2014/08/13)


アジア
2016年夏の参院選と冬の衆院選
  昨年暮れに起きた特定秘密保護法案への反対運動、そして安倍政権が推したNHK経営委員や会長への批判。それらに対する危機感が奇妙にも、1月の東京都知事選での野党候補の敗北を境に、無風状態に陥っているかの印象だ。しかし、その間にも、安倍政権は憲法第九条の解釈改憲や沖縄の辺野古への米軍基地移設、そのほか、着々と軍国路線を敷き詰めている。さらにこうしている今も特定秘密保護法の施行に向けて準備が進んでいるはずだ。(2014/08/13)


反戦・平和
第13回憲法を考える映画の会 「ファルージャ イラク戦争日本人人質事件そして…」
  第13回憲法を考える映画の会のご案内。7月1日にも「集団的自衛権の行使容認」が閣議決定されるといわれています。安倍内閣は、これを解釈改憲の第1歩として憲法を変えなくても憲法第9条の「戦争の放棄」と日本国憲法の基本原則である平和主義を実質的に亡きものにして「戦争をする国」への道を進もうとしています。私たちは、昨年4月から憲法に関わる映画を見ることを通して、憲法について考え、こうした憲法をゆがめていく動きをろめたいと思い「憲法を考える映画の会」を続けてきました。(2014/07/01)


中東
イスラム聖戦主義武装集団ISISがカリフ制復活を宣言か 
  NDTVによると、シリアからイラクに攻撃をしかけているISISがオスマン帝国崩壊以後、断絶していたイスラム宗教世界の指導者カリフ制度復活を宣言したと言う。(2014/06/30)

みる・よむ・きく
松本晃一著「アマゾンの秘密」 アマゾン日本進出の記録 〜出版・流通業界の退廃をついたアマゾン〜 日本の書店はアマゾンから学べる
  フランスでインターネット通販「アマゾン」の本の無料配送を禁止する法案が可決された。ユーザーの視点からすると、「なんてことするんだ」と思うかもしれないが、パリに行ってみると、地域に密着している小さな書店主たちは口をそろえてアマゾンを非難する。その理由はアマゾンが無料配送や様々なサービスによって実質的な本の値引きをしていることだ。しかも、家賃を払わない巨大なオンラインビジネス企業と小さな書店が戦うのは相当厳しいことであり、実際にパリの書店はどんどん減っている。(2014/06/28)


みる・よむ・きく
アントニオ・タブッキ著「供述によるとぺレイラは・・・」
   2年前に亡くなったイタリアの作家アントニオ・タブッキはポルトガル文学者でもあり、「インド夜想曲」のような旅愁・郷愁に満ちた幻想的かつ寓話的な小説を書き続けた。そのタブッキの最高作とも言われているのが「供述によるとぺレイラは・・・」である。この小説の舞台はファシズムの影が日増しに濃くなる1938年のリスボンである。(2014/06/27)


アジア
世界で最も爆撃を受けた国、ラオス 「デモクラシー・ナウ!」が米極秘作戦から50周年の特集
  世界で最も爆撃を受けた国、ラオス。第二次大戦中の日本やドイツよりもはるかに上回る量の爆薬が落とされたと言う。「デモクラシー・ナウ!」が米極秘作戦から50周年として特集している。このラオス攻撃は1964年に始まり、米軍がベトナムから撤退する1973年まで続いたが、この間にラオスは月の表面になるほど空爆されている。そして、その不発弾が今日も地元の人々の大きな恐怖として残されている。(2014/06/26)


憲法
集団的自衛権と「武力行使の三要件」 これは9条ではない
   公明党が憲法第九条の解釈改憲を受け入れる条件とした武力行使の新三要件が新聞で報じられた。以下は朝日新聞の25日付で紹介された文言である。(2014/06/26)


コラム
2001年9月11日 
  2001年9月11日と言うとあの日だが、私の知り合いのカメラマンはその日、マイアミにいた。何をしていたかというと、鰐の捕獲名人のドキュメンタリーの撮影を早朝からしていたのだった。フロリダ半島には鰐が生息しており、その鰐を素手でロープで縛る名人がいるのである。その日、名人が鰐を捕まえていた時、急に名人の携帯電話が鳴った。(2014/06/24)


欧州
パリジェンヌの日記 「パリの国鉄闘争」 ヴィルジニー・ブリエン
  今パリでは社会的な闘争が起きています。SNCF、つまり国鉄のデモです。その結果、電車が正常に運行していません。それが私の生活にも影響しているんですよ。(2014/06/20)


中東
イラクに出稼ぎのインド人労働者40人が誘拐される 戦場の町モスル 巻き込まれていく外国人
  インディア・トゥデイによると、イラクのモスルで建設作業に従事していたインド人の出稼ぎ労働者40人が誘拐された。発足間もないインド政府にとって、頭の痛い問題となって浮上しているようだ。(2014/06/20)


米国
ネオコン魂は百まで 「米軍をイラクに派兵すべし」 ケーガン氏とクリストフ氏
  2003年のイラク戦争を進めたいわゆるネオコンのウイリアム・クリストフ氏と、ロバート・ケーガン氏の弟にあたるフレデリック・ケーガン氏がウィークリースタンダード紙に’What to Do in Iraq’と題するブログを書いた。「イラクで何をすべきか」(2014/06/17)


コラム
「第三次世界大戦が勃発しているのに世界の人々は・・・・」
  海外の知人からこんなメールを今朝いただいた。「今、ほとんど第三次世界大戦が勃発しているのに世界の人々はサッカーのワールドカップに夢中になって気がついていない」第三次世界大戦、なぜ今?(2014/06/15)


中東
溶解するイラク イスラム原理主義勢力が南下 バグダッドから北に150kmのチクリットを攻撃中〜 モスルでは大量の避難民〜 イラクに集団的自衛権は適用されるか?
   いったいイラク戦争とはなんだったのか。BBCによると、イラクでイスラム原理主義勢力が北方の町、モスル(Mosul)を制圧後、南下してサダム・フセインの郷里チクリット(Tikrit)に達した。バグダッドから北に150キロ。(2014/06/11)


欧州
父ルペンのレイシスト発言を娘マリーヌがたしなめる 国民戦線幹部からは「引退せよ」  〜国民戦線名誉会長の行方は?〜
  かつて極右政党と呼ばれ、周辺の小政党でしかなかった国民戦線は二代目党首マリーヌ・ルペンの悪魔的イメージからの脱出を図るソフト化路線が功を奏し、このところ三大政党の一角に浮上することができた。そんな今、マリーヌの父親のジャン=マリー・ルペン(85)が再び反ユダヤ主義の発言を日曜に行い、その映像がフランス全土に流れ、大きな怒りと反響を呼び起こした。(2014/06/09)


社会
研究者とノート なぜ不正が起きるのか?
  小保方晴子氏が実験のノートをきちんと残していなかったと報じられている。研究不正を予防するために、ノートの記録を重視するとノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授は国会で発言した。山中氏は不正防止のために研究者にノートを提出させてチェックしていると言う。(村上良太)(2014/06/07)


米国
オバマ大統領の功績 バブル崩壊で10%に達した米失業率が今月6.3%に
  米労働省によると、今月公表されたアメリカの平均失業率は6.3%となった。人によってさまざまな見方があるだろうが、朗報だろう。米労働省が公表している失業率の推移がすべてをものがたっている。(2014/06/06)


国際
シリアの戦闘に参加する欧州イスラム教徒 欧州のジレンマ
  フランスの国籍で、シリアの反政府勢力に参加して戦闘をしているイスラム教徒は700人を超えるとフランス政府は発表している。ニューヨークタイムズによると、フランス政府官憲はそうしたフランス国内の聖戦主義者でシリアへ行こうとする者をフランス国内にいる間に、未遂として逮捕している。今年1月には若い世代のイスラム教徒3人が捕まったとされる。フランス政府は中東やアフリカで「聖戦」に参加して欧州に帰国したイスラム教徒が欧州内部でテロ活動を始めることを強く警戒している。実際に、そうしたケースも何例か起きている。(2014/06/04)


コラム
パリの散歩道 出版社「六面体」から漫画集「パリのクロコビス」を出版
  パリの出版社「六面体」(l'Hexaedre)から本を出しました。「パリのクロコビス」と題する漫画集です。ほんの少しフランス語の文章がついています。(村上良太)(2014/06/03)


みる・よむ・きく
岩淵達治著「ブレヒトと戦後演劇〜私の60年〜」 この30年で忘却されたもの
  戦後日本が世界から吸収してきた文化の中で今日最も忘却甚だしいものがドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトが提唱した叙事的演劇という方法論だと思う。叙事的演劇は演劇の中にカタルシス(感動)を求めるのではなく、むしろ舞台で起きていることを一歩引いて観客が批判的に考えることができるものを目指していた。カタルシスを求める方法というのは古典以来演劇の常道となっているが、主人公に感情移入させ、主人公が涙するとともに涙するようなタイプのドラマである。(2014/06/01)


欧州
日本のメディアが見落としているフランスで右翼政党が台頭する理由2 左翼と右翼のねじれ
  前回の記事で、急成長を遂げる右翼政党・国民戦線が伸びる理由を書いたが、書きそびれていることがある。それは左翼政党と右翼政党のねじれが起きていることである。そのねじれは今のフランソワ・オランド社会党政権にも起きているのだが、その前のサルコジ大統領の時代から起きていた。そのねじれが国民戦線に対するフランス国民の見方を変える1つのきっかけになったのではないか、と思われるのだ。(2014/05/31)


みる・よむ・きく
レオポルト・マウラーの漫画「ミラーさんとピンチョンさん」 〜下降時代の‘地球の歩き方’〜
  オーストリア人の漫画家レオポルト・マウラーによる「ミラーさんとピンチョンさん」はその日本語訳のタイトル自体がどこか間が抜けた脱力感に溢れている。オーストリア人も漫画を描くのか、と最初は思ったが、その仕上がりは抜群にユニークで、とぼけた味わいに富んでいる。(2014/05/30)


欧州
マルセイユで起きたことから 日本のメディアが見落としているフランスで右翼政党が台頭する理由
  今、台頭しつつあるフランスの右翼政党・国民戦線。それは今春行われた地方選と、欧州議会議員選挙でいずれも躍進したことにある。特に5月の欧州議会議員選挙では得票率約25%と政党の首位に躍り出た。しかし、フランスでは昨年秋にすでにメディアでは織り込み済みの事態だった。右翼の台頭をとどめる方策を左翼政党も、国民運動連合(UMP)も持っていなかったのである。このことは既存の大政党がグローバリズムが国民に与えている影響をきちんと受け止めていないか、あるいは受け止めていたとしても単に無能無策であるのか、そのどちらかなのである。そして、そのことを最も真摯に受け止めていると見られているのが右翼政党、あるいは数年前なら極右政党と言われていた国民戦線である。(2014/05/30)


国際
新疆ウイグル、アルカイダ、中国と日本
  ハフィントンポストは中国西部の新疆ウイグルにイスラム原理主義のアルカイダ・グループとのつながりができつつあると記している。「ウイグル独立運動とアルカイダの連携を懸念 中国がパキスタンとの対テロ連携も」と見出しを付けられた記事である。記事にはこう書かれている。「実際、中国の新疆ウイグル自治区の反政府活動家がパキスタンやアフガニスタンで訓練を受けるというケースは増加している。」そこで中国は対テロのために、パキスタン政府と連携しているという。(2014/05/29)


欧州
「フランスの第一の政党」 国民戦線党首マリーヌ・ルペンが勝利宣言
  勢力を急速に伸ばしているフランスの右翼政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が勝利宣言を行った。得票率は25%、結党以来初めて・・・などと誇らしげに数字を読み上げていく。(2014/05/29)


欧州
欧州議会議員選挙 右翼政党・国民戦線が躍進 フランスの政党トップの座に
  5年に1度行われる欧州議会議員選挙、フランスで25日に行われた投票の開票結果が出た。マリーヌ・ルペン党首が率いる右翼政党・国民戦線が改選前の3議席からなんと24議席へと躍進し、結党以来、2大政党を抜いて政党のトップの座に着いた。(2014/05/27)


アジア
中国軍機が自衛隊機に急接近 中ロ合同軍事演習 一つ間違えると9条のまま戦争に突入
  朝日新聞によると24日、東シナ海の公海上を飛行していた自衛隊機2機に対し、中国軍機が数十メートルの距離まで急接近したと防衛省が発表した。場所は中国側が昨年主張した防空識別圏と日本の防空識別圏とが重複しているエリアだという。(2014/05/25)


みる・よむ・きく
ギュンター・グラス作「ブリキの太鼓」 〜戦争に向かうドイツの田舎町を描いた奇想天外な名作〜
  最初の本格的なドイツ戦後文学と言われたのがギュンター・グラスの小説「ブリキの太鼓」である。出版されたのは1959年。敗戦から14年も後のことだ。「ブリキの太鼓」以前にも小説はいくつも出版されていた。それなのに「ブリキの太鼓」をして初めてのドイツの戦後小説が出たと人々に言わしめたものは何だったのだろうか。(2014/05/25)


経済
日本の大手3銀行がそろって最高利益を出す 〜アベノミクスと銀行〜
  5月になって日本のメガバンク3行がそろって最高利益を出したという記事が出た。今の日本はそれくらい景気がよいのだろうか?多くの庶民はさっぱりわからないだろう。なんといっても「最高利益」である。日本経済新聞によると、最高益を3メガバンクがあげた要因は次のようになる。(2014/05/25)


国際
欧州議員選挙 反欧州連合のFN(国民戦線)のツイッター
  今月末には欧州議員選挙が行われる。フランスでは5月25日だ。今年3月の地方選で躍進したFN(国民戦線)はこの選挙でも躍進すると見込まれている。ウクライナ問題でも改めて浮きぼりとなっているが、欧州連合やユーロに対する加盟国の中の右派からの不満や批判が募っている。このことは欧州連合本部が進めているグローバル化に対する欧州人の不満を中道政党よりは国民戦線などの各国の右派(と左派)が吸い上げていることがうかがえる。(2014/05/22)


文化
映画撮影者ゴードン・ウイリスさん、死去(82) 「マンハッタン」「アニー・ホール」「ゴッドファーザー」「大統領の陰謀」
  映画撮影者のゴードン・ウイリスさんが亡くなった。享年82。ウイリスさんがカメラマンとして手がけた作品にはウディ・アレン監督の「アニー・ホール」や「マンハッタン」「カメレオンマン」などがあり、そのほかフランシス・コッポラ監督とは「ゴッドファーザー」がある。アラン・J・パクラ監督と組んだ「大統領の陰謀」も話題になった映画である。米映画の名作が目白押しである。(2014/05/22)


みる・よむ・きく
中山元著「思考の用語辞典」 〜引ける哲学辞典〜
  哲学者・翻訳家の中山元氏が書いた「思考の用語辞典」(ちくま学芸文庫)は引ける哲学辞典として本棚に一冊あると刺激になる。哲学関係の本を少しひもといてみようと思ったとき、障害になるのが独特の用語である。たとえば「文節」という言葉。たとえば「還元」という言葉。あるいは「超越」とか「超越論的」という言葉。(2014/05/22)


みる・よむ・きく
哲学者ジャンケレヴィッチを舞台にのせた戯曲 「人生は見事な即興曲」
  昨年秋、パリの劇場ポスターでジャンケレヴィッチを主人公にする舞台があることを知った。そうだ、これを見たかったんだ、とその時筆者は直感した。しかしながら、舞台を見に行く機会を失ってしまった。というのも日本語訳で読んでも理解が追いつかない文体を、舞台でフランス語で見て理解できるのか、という疑問があったからだ。しかしながら、翻訳つきの録画があれば見てみたいと思う。もしかすると、ジャンケレヴィッチを理解するヒントになったかもしれないからだ。(2014/05/21)


みる・よむ・きく
新日本風土記・川崎
  桜映画社の原村です。5月23日(金)夜9時から、NHK・BSプレミアムにて新日本風土記・川崎が放送されます。(2014/05/18)


コラム
集団的自衛権と「戦争終結」までの見通し
  集団的自衛権が正規の改憲手続きを無視して、安倍総理個人の政治的信念によって認められようとしている。集団的自衛権が認められれば他国の戦争に日本が巻き込まれることになる。その危険性は日本一国の領土に関わる自衛の戦争なら一定の歯止めがあるのに対して、領土を逸脱することが容認されれば歯止めもなくなってしまうところにある。そのことは戦闘状態に突入してから、戦争終結までの期間の問題に直結する。(村上良太)(2014/05/17)


教育
「日本とフランスの教育からみえること」 〜飛幡祐規&瀬川正仁〜
カフェらむぶる 第1回「日本とフランスの教育からみえること」講師:飛幡祐規さん、瀬川正仁さん 司会進行役:谷本道昭先生(東京芸術大学・放送大学非常勤講師)2014年5月28日(水曜日)14:30〜17:00文京学習センター2階 講義室2(2014/05/16)


コラム
アイヒマンは凡庸だったのか? 〜映画「ハンナ・アーレント」を見て〜
  最近、ナチ戦犯の裁判を扱ったドイツの話題の映画「ハンナ・アーレント」を見た。ハンナ・アーレントはユダヤ系ドイツ人として生まれたが、ナチスの台頭によって渡米し、米国で政治哲学者として活動した。その著書にはファシズムや全体主義のメカニズムを浩瀚な資料を網羅して追究した「全体主義の起源」「革命について」「人間の条件」などがある。このアーレントが自らの青春の受難ともかかわるナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンの裁判を傍聴にエルサレムに出かけた経緯を描いたのがこの映画である。(村上良太)(2014/05/16)


環境
北米のこうもりと風力発電機
  本日のインターナショナル・ニューヨークタイムズにはメキシコ国立自治大学やコロンビア大学などの生物学者が連名でこうもり保護のための寄稿をしていた。遺伝子組み換え作物や農薬にかわって害虫駆除をしてくれる生物がこうもりである。しかし、そのこうもりが北米で絶滅の危機にある。(2014/05/13)


みる・よむ・きく
ニコル・ぺシュキン作 コラージュ写真展 「デモをする人々」(Gens en marche)
  パリで活動しているアーチストのニコル・ぺシュキンさんが14区にあるギャラリーL'entrepotでコラージュ写真展を開催している。ぺシュキンさんの特徴はデモをしている人々を対象にしていることだ。(2014/05/13)

検証・メディア
ドイツの新たな媒体「SPRING誌」 〜商業主義に対抗し、気鋭の女性アーチストが集結し自前で出版〜 参加アーチスト&広報担当者に聞く
  ドイツでは気鋭の女性漫画家や女性アーチストが集結して自分たちで漫画誌を毎年、編集・出版しています。SPRINGという名前の媒体で、資金集めや編集すべてを参加アーチストが担当しており、非営利で出版されています。ソフィア・マルチネックなど世界で活躍しているアーチストも少なくありません。今年も今ようやく新年号を出版したばかりのようです。(2014/05/12)

市民活動
第11回「憲法を考える映画の会」『9条を抱きしめて〜元米海兵隊員アレン・ネルソンが語る戦争と平和〜』 花崎哲
  第11回「憲法を考える映画の会」のご案内をさし上げます。「集団的自衛権の行使」を認めるための『解釈改憲』を安倍政権が進めようとしています。もし解釈改憲が通れば憲法改正の手続きを経ず、第9条を空洞化され、日本は他国のために戦争ができる国になります。私達は、こうした現在の状況の中で、あらためて「ベトナム戦争において戦場を這い回り、帰還しても苦しみ抜いた若者の体験を通して戦争の無い世界について考え、第9条にたどりついたアレン・ネルソンさんがたどった道筋を描いた映画『9条を抱きしめて〜元米海兵隊員アレン・ネルソンが語る戦争と平和〜』をプログラムに選びました。 (花崎哲)(2014/03/30)


みる・よむ・きく
「基本がわかる はじめての中国語」 王ていてい著
  中国語の基礎を勉強しようと何度かトライして、何冊か参考書を買ったことがあったものの手が回らず毎回挫折を繰り返ししてきた。漢字文化なのだから、そう遠くない、と思いながら。それが今回、中国語がわかるかも・・・と初めてそういう思いを起こさせてくれた参考書に出会うことができた。成美堂出版の「基本がわかる はじめての中国語〜文法をしっかり学びたい人へ〜」である。(2014/03/30)


国際
中仏国交50周年記念 若きドゴールと毛沢東の肖像画がパリで
 今年は中国とフランスが国交を結んで50周年の記念すべき年、ということで現在、習近平主席がパリを訪ねている。一方、パスカル・バレジカ氏によると、17区の図書館では若いドゴールと毛沢東の肖像画が公開されている。(2014/03/29)


米国
米国の議論 〜最低賃金の底上げは米経済を改善させるか? 〜最低賃金のUPで雇用は減るか?
 今年に入って、米国で起きている主要な議論の1つが最低賃金制度である。オバマ政権は最低賃金を底上げすることで、労働者の収入を改善でき、米経済を活性化させることができると判断した。一方、最低賃金を上げるとかえって、企業が雇用を減らして失業率が悪化すると見るエコノミストも少なくない。そこでこの問題が新聞のオピニオン欄でも頻繁に取り上げられている。(2014/03/25)


欧州
移民の多い町マルセイユで社会党大敗 右翼政党・国民戦線が社会党の地盤を揺るがす
  23日に行われたフランス地方選、ルモンドによると、注目の選挙区、マルセイユ市では開票の結果、社会党の地盤だった北部の第七連合区で右翼政党の国民戦線がトップとなり、社会党の勢力が大きく後退している傾向が明らかになった。人口80数万人のマルセイユ市には行政区分として8つの連合区(secteur)があるが、第七連合区は人口が最も多い地区である。一方、マルセイユ市の南部はサルコジ大統領の属する国民運動連合がおさえている。(2014/03/24)


コラム
「思想的な背景」とは? 〜「アンネの日記」破損事件から〜
  東京都内など各地の図書館で「アンネの日記」が破損されていた事件で、今月30代の無職の男が逮捕されたと報じられた。男は犯行を供述したと報じられた。しかし、新聞報道によると「男は本を破った動機について具体的な供述をしていないが、捜査本部は男の言動などから、思想的な背景は薄いとみている」(朝日)とある。(2014/03/24)


欧州
フランス地方選開票速報 右翼政党・国民戦線が歴史的躍進(ルモンド) 第一回投票 いくつもの自治体でトップを確保
  23日、地方選の第一回投票が行われたフランスで、右派政党でマリーヌ・ルペンが率いる国民戦線が「歴史的な結果」(ルモンド)と報じられている。(2014/03/24)


文化
ユトレヒトでアニメ映画祭
  3月19日(水)から23日(日)まで、オランダのユトレヒトでアニメ映画祭が行われている。ユトレヒトは首都アムステルダムから30キロばかり南に下った町だ。長編や短編、さらに学生による作品など、カテゴリー別にコンペティションが行われる。ウェブサイトによると審査員は中国、トルコ、フランスなど多国籍からなる。(2014/03/23)


欧州
今日のフランス地方選2 〜フランス第二の都市マルセイユの場合〜 7000人収容のフランス最大のモスク建設計画が進行中
   今日はフランスの地方議員選挙である。フランス全土には様々な自治体がある。フランス語ではコミューンと呼んでいるが日本語では市町村に相当し、コミューンには100人未満の自治体もあれば人口100万人を超える自治体もある。さて、今回の選挙で注目されているのが右派政党・国民戦線であることはパート1で書いた通りだ。そして、注目の選挙区がマルセイユなのである。(2014/03/23)


欧州
今日のフランス地方選1 〜右派政党が躍進か? 〜社会党(PS)vs 国民運動連合(UMP)vs 国民戦線(FN) 三つ巴の戦い 2017年大統領選の前哨戦
  今日はフランス全土で地方議員選挙が行われる。フランスの地方議会には守備範囲によっていくつかのレベルがあるが、今回の選挙は最も基盤となる末端の市町村=コミューンの選挙である。コミューン(市町村)議員の選挙は6年に一度行われる。地方議会と言えば日本では市議会議員選挙とか、県会議員選挙などとある意味同様だから、衆議院議員や参議院議員を選挙で選ぶ国政選挙よりも地味な印象を持たれるかもしれない。だが、この一見、地味な印象の選挙が注目を集めているのだ。(2014/03/23)


コラム
パリの散歩道 〜会話でよく耳にする単語「シュウェット!」とは? 〜猛禽類の美
  パリの会話でよく耳にする単語が「シュウェット!」だ。つづりは’chouette’。いろんなところでこの言葉を耳にする。「それ、シュウェットね」のように。はじけた印象。親密な感じ。嬉しい表現だとわかるけれど、その意味がわからない。辞書を引いてみると、シュウェットには2つの意味があることがわかった。(2014/03/22)


社会
京都大学総長選の変貌について 〜京大名誉教授はこう見る〜
 学問の自由を誇ってきた京都大学。卒業生からは湯川秀樹や朝永振一郎、利根川進、福井 謙一 、野依 良治などのノーベル賞学者を輩出してきた。だが、総長の選挙が変わろうとしている。総長選の投票から当事者である京都大学の教職員が外されようとしていると報じられている。これは国立大学法人化から続く大学の管理を強める流れの中にある。大学はトップダウンで「改革」ができるように学長の権限を強化する方向にあり、その意味で学長の選挙は学問の自由に大きく影響を及ぼしかねない。「金融権力」などの著書がある金融倫理の研究者で、京都大学名誉教授・本山美彦氏は総長選の問題について次のように語る。(2014/03/18)


コラム
パリの散歩道 「サウジアラビアの映画を見たよ」
  「先週金曜、サウジアラビアの映画を見たんだ。ハイファ・アル・マンスール(Haifaa Al-Mansour)監督による「Wadjda」というタイトルの映画。驚いたことに、監督は女性なんだ。とても、とても興味深い。」(パスカル・バレジカ氏)(2014/03/18)


文化
侮りがたし! ドイツの芸術力 へニング・ワーゲンブレット氏(イラストレーター)の絵本  村上良太
  欧州で芸術と言えばフランス。あるいはイタリア。それが常識だが、ドイツも侮りがたいパワーを持っていた!今欧州の書店で売り出し中の絵本がロバート・ルイス・スティーブンソン作「海賊と薬剤師」(Der Pirat und der Apotheker)。表紙を見ればおわかりの通り、わくわくするイラストがつけられている。この本、パリで信頼できる個性的な書店複数で同時に売出し中だった。ドイツ語は不明だが、イラストにスタイルがあり、力があると思った。(2014/03/15)


科学
STAP細胞の論文騒動について 〜ある研究者はこう見る〜
  理化学研究所の小保方晴子氏らが英科学誌ネイチャーに発表した新しい万能細胞「STAP細胞」。しかし、その論文に様々な疑問が寄せられ、論文が撤回される方向に動いている。これをいったいどう見たらよいのか。この分野に詳しいある研究者に話を聞いた。(2014/03/15)


コラム
「わが内なる・・・・」
   1980年代くらいまでは「わが内なる・・・」という言い方がよくなされたように思う。「わが内なる帝国主義」とか、「わが内なる封建主義」とか言うような言葉だ。(封建主義という言葉はあの頃、頻出の言葉だった)(2014/03/14)


市民活動
「FASHION REVOLUTION DAY」〜バングラデシュ衣料品工場崩壊の悲劇を繰り返さないために〜
  フェアトレードの専門ブランド「ピープル・ツリー」と母体NGOの「グローバル・ヴィレッジ」は4月24日の国際的なキャンペーン「FASHION REVOLUTION DAY」に参加します。このキャンペーンの背景には、2013年4月24日、バングラデシュの首都・ダッカ近郊で1000人以上の犠牲者を出した、衣料品工場の崩落事故があります。この工場では、ヨーロッパの複数の大手ファッションメーカーが生産しており、その安全管理が疑問視されました。(ピープル・ツリーのニュースレターから)(2014/03/14)


福島から
「天に栄える村」 上映の輪 原村政樹
1年前に完成したドキュメンタリー映画「天に栄える村」の上映の輪がようやく徐々に広がり始めました。今月、3月は6カ所で上映されます(1か所は滋賀県ですでに8日に上映されました)。(2014/03/14)


文化
ドイツの才気ある女性芸術家・イラストレーターが集結「SPRING誌」 2004年から自 前で刊行
  ドイツ人の女性の芸術家やイラストレーターが集まって、漫画やイラストなどを中心にした個性的なビジュアル誌を毎年刊行している。媒体の名前はSPRING。今こそ女性の芸術パワーを示そうと2004年にハンブルクで最初の号が自主制作的に生まれ、今日まで参加アーチストたちが広告を取り、自前で定期的に発行を続けている。そして3月の現在、新刊の準備中だ。参加アーチストには国際的に活躍しているアーチストが多い。(2014/03/13)


東日本大震災
仏ヌーベルオプセルバトゥールが津波の特集
   フランスのヌーベルオプセルバトゥールが東日本大震災の津波の特集。シリル・ボネ(Cyril Bonnet)氏が写真を掲載している。(2014/03/11)


検証・メディア
ニューヨークタイムズの社説の訂正 〜争点の従軍慰安婦と南京大虐殺の個所は?〜
   ニューヨークタイムズは3月2日の社説で’Mr. Abe's Dangerous Revisionism’(安倍氏の危険な歴史修正記事)と題する一文を出した。この社説は反響が大きかったようだ。しかし、ニューヨークタイムズは3日後の3月5日に社説を訂正し、さらに社説を訂正したと書いた注を社説の末尾につけた。3月4日に安倍政権の菅官房長官からニューヨークタイムズに事実誤認があるという声明が出されたからだった。(2014/03/09)


国際
サウジアラビアがムスリム同胞団をテロリストに指定 〜「アラブの春」の波及を恐れる王室〜 カタールとの確執も
  サウジアラビアがムスリム同胞団をテロリストに指定したとフランスの新聞ルモンドが報じた。イスラム世界の中で、サウジアラビアとムスリム同胞団、何が違うのか?(2014/03/08)


国際
ウクライナとシェールガス 2 〜米国の飴と鞭〜
  今日のニューヨークタイムズにはシェールガスを外交の武器にせよ、という趣旨の社説が掲載されていた。もちろん、ウクライナの問題で、ロシアへの対抗措置ということがある。しかし、一読するとニューヨークタイムズはその見出しとは裏腹に、慎重なトーンが強く感じられた。(2014/03/08)


市民活動
独立後政情不安が続いた東ティモール 一人の女性とその家族の困難な歩みを描いたドキュメンタリー映画「Rosa's Journey」 第二回パルシックシネマカフェ
昨年12月に第1回を開催し、ご好評をいただいた「パルシックシネマカフェ」。第2回はフェアトレードをテーマに、世界フェアトレードデーの5月10日(土)に渋谷アップリンクにて開催します。(パルシックのニュースレターより)(2014/03/07)


米国
ロシアに対抗する米国の新兵器は新エネルギー「シェールガス」
 ウクライナ問題で、米国は従来と違う戦略を取っているようだ。これまでロシアは豊富な天然ガスの供給先としてウクライナやドイツなど欧州圏へエネルギーを政治的な切り札として用いてきた。ところがそこに新たな変化が生まれている。ここ数年の間に、米国内で莫大なシェールガスが採掘可能になったからだ。(2014/03/07)


国際
ウクライナを語るニューヨークタイムズ社説を読む
  ニューヨークタイムズ3月6日付の社説は通常2ネタの欄をウクライナ情勢1つに特集している力の入れようだ。'A RATIONAL RESPONSE TO MOSCOW'(モスクワへの理性ある返答)。(2014/03/06)


中南米
チャベスの死から1年 インフレ率が高まるベネズエラ 商店の棚は?? マドゥーロ大統領のカリスマと能力の欠如を報じるドイツ誌
 マネードクター、スティーブ・ハンケ(Steve Hanke)教授が今注目しているハイパーインフレ予備軍にベネズエラがある。ベネズエラは推定年間インフレ率がハンケ教授らの試算では302%。つまり1年で物価が4倍になっているという。(2014/03/06)


国際
ウクライナ問題解決の鍵を握るドイツ
 今、国際的問題になっているウクライナの政変とロシア軍介入の可能性。米紙ニューヨークタイムズでは問題解決の鍵はドイツが握るかも・・・という示唆を掲載した。’Germany may hold solution for Ucraine crisis'と題する記事であり、この中でドイツとロシアの関係の深さを伝えている。それによると、ロシアの輸出先のトップ3は以下。2012年の統計では(2014/03/05)


コラム
パリの散歩道 生演奏の町
   パリは欧州一二を争う観光地である。観光地ということは観光客に対するサービスが重要な要素だが美しい街並みだけが魅力ではないことは言うまでもない。ファッションや美食に加えて、意外と忘れられているのが音楽なのである。音楽と言うと隣国ドイツのベルリンがすぐに思い浮かぶのだが、パリの強みはあちこちで生演奏が行われていることだ。(2014/03/04)


コラム
「戦争の美しさ」を語る物語 〜感動と昂揚の戦争物語は戦後一貫した売れ筋商品〜 そして再び戦争は始まる
  人類の内面の中にある戦争好きの傾向を直視せよ、と警告してきた作家の一人がイタリアのアレッサンドロ・バリッコである。戦争は悲惨だが、同時に戦争は美しくもあり、日常では体験できない昂揚感もあると説く。そこを直視せず、戦争は悲惨だ、とだけ繰り返し説いてもアピールする力は弱いというのだ。(2014/03/02)


経済
ウクライナの経済危機 〜「マネードクター」のS.ハンケ教授は Currency Board 制を即導入せよと示唆〜
 ウクライナはソ連崩壊以来の政変を迎えているが、経済も破綻の危機にある。そこでマネードクターの異名を持つスティーブ・ハンケ教授はカレンシーボード制(Currency Board System)をすぐに導入せよ、と示唆している。(2014/02/28)


欧州
「漫画の国のアンネ・フランク」〜BDドキュメンタリーとは?〜 漫画、音声、映像、インタビューをコラージュして社会を描く
 フランス人が書いた「漫画の国のアンネ・フランク」という本がある。アラン・ルーコウィッツ(Alain Lewkowicz:監督),バンサン・ブルギョー( Vincent Bourgeau:漫画家), サミュエル・ポット(Samuel Pott) 、マルク・サンソーベ(Marc Sainsauve)らの執筆になる「ウェブ漫画」だ。(2014/02/27)


社会
破られた「アンネの日記」と国際紙
  第二次大戦中、ナチスのユダヤ人狩りを逃れるため、ドイツから家族でオランダに渡り、アムステルダムの家に隠れて暮らしていた少女、アンネ・フランク。しかし、やがて当局に潜伏先をつきとめられた彼女は収容所に入れられ、15歳で亡くなった。アンネが当時つづった日記、「アンネの日記」が東京都内の図書館で多数、ページが破り取られるなどして破損していたことが報じられた。このニュースは世界に発信された。国際紙は日本の右傾化を報じてきたが「アンネの日記」を破損した事件は改めて欧州人に警報を鳴らすことになってしまった。(2014/02/25)


経済
アルゼンチン・ペソの暴落 欧米紙はフェルナンデス大統領の失政と批判
  米国の金融緩和の縮小方針を端緒に、外国資金の引き揚げによって新興国通貨が暴落していると報じられている。その1つがアルゼンチンのペソ。これについて、ニューヨークタイムズ(NYT)はアルゼンチン政府の経済政策の問題であると繰り返し指摘している。(2014/02/20)


コラム
空っぽになった店の棚    超インフレと食糧難
 東京近郊。近くのコンビニに入ると、店の弁当類の棚が空っぽの状態。「時間の関係でしょうか?」と聞くと「いえ、大雪の関係です」駅前の大きなスーパーでもそうだった。豆腐もないし、食パンもない。売り場の棚が空っぽの光景はショックだった。なぜなら、その光景を少なくとも2回、資料映像で見たことがあったからだ。(2014/02/19)


コラム
オレオレ詐欺の進化
  先日、ある町を歩いていたらパトカーが「現在、この地域でオレオレ詐欺の電話が集中しています。」とアナウンスしていた。オレオレ詐欺の電話って、セールスマンみたいに地域集中で「営業」しているのか、と思った。(2014/02/17)


文化
ノーラのニューヨーク(写真)日記
  ニューヨークのブルックリン在住のイラストレーター、ノーラ・クリュークさんからのメールです。今、ニューヨークでも雪が降りやまないそうです。この写真を見てください、と。窓の外は白い雪景色。そんなノーラさん、それでも、と言います。(2014/02/17)


欧州
スイスの国民投票で移民制限強化政策が採択される 〜右派政党の提案をスイス国民が支持〜
   欧州は不況のまっただ中にある。そんな中、経済問題や社会問題の原因が外国人労働者にあるとして、移民の制限を強化する動きが起きており、スイスでも右派政党・民衆党の提案が国民投票で9日採択された。以下はワシントンポスト紙の見出し=’Swiss voters back limit on immigration’(スイス国民は移民制限を支持)。(2014/02/16)


政治
フランス地方選 低投票率を恐れる与党・社会党
  ルモンドによると、3月に予定されているフランスの地方選=全国の市町村議員を選出=で、投票率が低いのではないかとの世論調査会社の観測に、社会党が不安を感じているそうだ。(2014/02/14)


政治
フランスの左翼党幹部が来日 官邸前で原発廃止を訴える
  フランスの左翼党(Parti de gauche)幹部のコリーヌ・モレル=ダルルー(Corinne Morel-Darleux)氏が来日し、先週、官邸前で原発廃止を訴えた。モレル=ダルルー氏は左翼党の環境政策担当者。フランスは原子力大国だが、フランス国民すべてが原発支持ではない、と語った。そしてこぶしを挙げて「ゲンパツハンタイ、ゲンパツハンタイ・・・」とコールした。(2014/02/14)


経済
2014年 通貨戦争再発を警告する論
  今日、1ドル=102円。去年の今頃は90円台の前半だった。CNBCの経済コラムでは約1年前に始まったアベノミクスによる円安の影響で、2014年1月、隣国の韓国ではウォンが逆に上昇し、5年ぶりの高値となり、株価は下落した。CNBCでは年内に「1ドル=112円まで下落し得る」と見るエコノミストの声を紹介している。円は去年ドルに対して22%下落した。その結果、中国や韓国の人民元やウォンを相対的に押し上げるため、それらの国々との通貨戦争に突入するかもしれない、と言うのである。(2014/02/12)


検証・メディア
NYT元編集者が新たな報道プロジェクトの立ち上げに参加 〜米国の司法システムを報じる新媒体へ〜独自取材を含め、刑事司法改革を射程に市民の議論を促す
  約30年間、ニューヨークタイムズで活躍したベテラン記者・編集者・コラムニストのビル・ケラー(Bill Keller)氏がNYTを去り、今年の4月以降に新たな報道プロジェクトの立ち上げに参加するという。ケラー氏は現在65歳。いったいどんなジャーナリズムか、というと米国の司法システムを監視するものになるという。(2014/02/12)


政治
ロバート・ダール氏が死去 ‘ポリアーキー’で知られる元米政治学会会長 〜米国は民主主義国か?その統治者は誰か?〜
  先週、アメリカの政治学者ロバート・ダール(Robert Dahl)氏が死去した。元米政治学会会長で、98歳だった。ロバート・ダールと言えば「ポリアーキー(Polyarchy) という政治用語を用いたことで知られる。しかし、筆者が学生の頃、なかなかこの言葉には日本でイメージしづらいものがあった。「ポリアーキー」という著書を買ったことがあるのだが、恥ずかしながら何一つ記憶にないのである。そこで30年後にもう一度、ダール氏の学説がどのようなものだったのか概略だけでもつかみたいと思い、インターネットで調べてみることにした。(2014/02/10)


みる・よむ・きく
アーネスト・メイ著「歴史の教訓」 〜外交政策立案者は歴史を誤用する〜 失敗の分析と情報公開の大切さ
  小さな犯罪1つとっても失敗の可能性は無数に潜んでいる。まして外交である。ハーバーバード大学教授で米外交史家のアーネスト・メイは「歴史の教訓〜アメリカ外交はどう作られたか〜」で米外交政策の失敗について書いている。本書の中でメイは3つの命題を示す。(2014/02/09)


スポーツ
ソチ・オリンピックの開会式
  ロシアで開催されるソチオリンピックの開会式では選手入場に続いて、ロシアの歴史を舞踊でたどるショーが披露された。王政時代の社交ダンスなどは美しかったが、いささか定番すぎて退屈でもあった。俄然面白かったのは競技場に巨大な機関車が入って会場全体が照明で赤くなったあたりだ。(2014/02/08)


市民活動
憲法を考える映画の会 <大雪なので本日も予定通り上映しますが3月1日にも再上映します>
  「憲法を考える映画の会」に来ていただいたみなさまに急ぎご連絡します。本日開催予定の第10回憲法を考える映画の会についてご連絡します。映画の会は予定通り行いますが、大雪のため、交通機関が乱れること、また足下が心配で外出を控えられる方も多いと思います。そこで次回の予定(3月1日(土)13時半から)で同じ会場で同じプログラム『“私”を生きる』を再度上映したいと思います。(2014/02/08)


中東
イスラエル大統領シモン・ぺレス氏のツイッター  〜イランとの交渉とパレスチナ問題の解決〜 パレスチナ問題は解決間近か?
  イスラエル大統領のシモン・ぺレス(SimonPeres1923-)氏もツイッターでメッセージを発信している。ヘブライ語の時もあるが英文の時も少なくない。最新のメッセージでは世界の高校生9000人に向かってオンラインで講義を行った、というものだ。(2014/02/07)


検証・メディア
ルモンド紙 「日本の公共放送の経営委員が南京の虐殺を否定」 〜報道機関であるNHKに疑問を投げかける〜
  フランスの代表的新聞の1つ、ルモンド紙が2月4日、安倍首相の推薦でNHK経営委員になった百田尚樹氏の南京虐殺はなかったとする発言を取り上げた。百田氏は南京虐殺は当時日本と戦闘中だった蒋介石のプロパガンダに過ぎず、そのような事実はなかったと発言した、とルモンドで報じられた。同紙は虐殺はあったとする欧米の研究者の推定数字も合わせて紹介している。(2014/02/06)


市民活動
第10回「憲法を考える映画の会」 『“私”を生きる』(土井敏邦監督、138分) 〜取材を受けた土肥元校長も飛び入り参加〜
今回の映画「“私”を生きる」で紹介されていた元三鷹高校校長の土肥信雄さんが今度の映画の会(2月8日)にいらっしゃるとのお便りをいただきました。第10回「憲法を考える映画の会」『“私”を生きる』 (土井敏邦監督、138分) 〜教育現場の思想統制を考える〜(2014/02/06)


中東
サウジアラビアのテロ対策法 〜政治の改革派を弾圧する法案との批判も〜
  サウジアラビアで新たにテロ対策法が制定されたが、APなどの報道によると政府に改革を要求したり、汚職を追求しようとしたりするなどの活動をした者を逮捕することができるようになる。アラブの春で見られたような改革運動はもちろん取締りの対象となる。(2014/02/05)


欧州
ギリシア極右政党が改名 黄金の夜明け→国の夜明け 議員ら逮捕で壊滅の危機から5月の選挙で再浮上を狙う
 欧州通貨危機の震源地ギリシア。移民排斥を唱える極右政党「黄金の夜明け」(Golden Dawn)が名前を改めることになりそうだ。新党名は国の夜明け(National Dawn).(2014/02/05)


米国
1% 対 99% 〜国の崩れ方〜
  今朝のインターナショナル・ニューヨークタイムズの漫画。1%と99%と書かれた2つの分銅が天秤で重さが釣り合っており、天秤にはINCOME EQUALITY(所得の平等)と書かれている。この漫画はこれだけでどこの国とも書かれていないが、米国なのだろう。漫画の味わいは99%の分銅が巨大で、1%の分銅がとても小さいのに重さが釣り合っているところなのである。(2014/02/04)


みる・よむ・きく
デカルト著「方法序説」 〜近代を考える〜
   西欧近代哲学の始祖としてよく引き合いに出されるのがフランスのルネ・デカルト(Rene Descartes 1596-1650)である。そのもっとも知られた本が「方法序説」だ。批評家の小林秀雄がどこかで<「方法序説」という訳はいかめしい。本来は「方法について」くらいの平易なタイトルだ>と言った意味合いのことを書いていたように思う。実際に元のタイトルは'Discours de la methode'であり、直訳すると「方法についての論」なのである。デカルトが「方法序説」でかかげたその方法とは簡単に言えば以下の4つ。(2014/02/03)


米国
同性婚容認の背景は? 過去四半世紀、人工授精で子供を持つゲイのカップルが増加 家族の変貌
  パリでレズビアンの恋人同士を描いた映画「アデルの人生」を見た。これは去年、最高賞のパルムドールを受賞したからご存じの人も多いだろう。3時間にわたる二部構成の大作ながら飽きさせることはない。構成的には以下のようである。(2014/02/02)


社会
米国のカジノについて 〜特区構想を考える〜 負のコストも計算せよ
  たまたま西条氏の寄稿があったので、記事を書く事にしたのだが、米国のカジノについて。筆者はカジノの研究者でもなく、犯罪研究を専門にしている人間でもなく単なる一映像業者なのだが、90年代にこのカジノの話題に少し関連する情報に接したことがあったのだ。それはアリゾナ州のネイティブ・アメリカン(昔で言うインディアン)居留地にカジノがあり、ネイティブのコミュニティが崩壊しかけている、という話である。(2014/02/01)


コラム
オヤジはニュースが好き ソンタク
   最近ある放送局で新たに抜擢された会長の発言が波紋を呼んでいる。そのせいでソンタクという言葉をしばしば耳にする。「職員たちは会長の意向をソンタクして・・・」などと巷では言っている。しかし、ソンタクという言葉は難しい。(2014/02/01)


みる・よむ・きく
ミハイル・ブルガーコフ作 「巨匠とマルガリータ」
  ロシアで知り合った友達から一番に推薦された小説が「巨匠とマルガリータ」と題する長編小説だった。作者のミハイル・ブルガーコフは20世紀の作家で、ソ連時代に多くの作品が禁書に指定されている。「巨匠とマリガリータ」もまた作家の存命中は日の目を見ることがなかった作品である。(2014/01/31)


市民活動
第10回「憲法を考える映画の会」『“私”を生きる』 (土井敏邦監督、138分) 〜教育現場の思想統制を考える〜
第10回「憲法を考える映画の会」のご案内をさし上げます。2月8日(土)13時半〜16時。東京体育館 第4会議室(渋谷区千駄ヶ谷2-17-1)TEL 03-5474-2112。映画『“私”を生きる』 (土井敏邦監督、138分) (花崎哲)(2014/01/28)


コラム
西サハラと東京 〜1975年から難民生活〜
  西サハラを訪ねたのはおよそ2年前の12月。難民キャンプの人々と同じ施設に寝泊まりした。冬でも風呂はないし、あるのはシャワーだが温水などない。冷たい水である。西サハラも冬は冬、とても冷たい。ゆっくり風呂に入って1日の疲れをいやすというようなことはありえない。(2014/01/27)


農と食
再放送「戦後史証言」(山形・高畠 〜日本一の米作りをめざして)
記録映画監督の原村です。昨晩放送の「戦後史証言(山形 高畠 〜日本一の米作りをめざして)が再放送されます。2月1日(土)0:45(金曜深夜)よりNHK・Eテレにて。(2014/01/26)


TPP/脱グローバリゼーション
TPPを警戒する米市民 弁護士ロリ・ワラック氏のコメント 〜「TPPは企業による‘トロイの木馬’作戦」 〜蔓延する秘密主義 見えない中身 上陸前夜
  米国の非営利団体「パブリック・シチズン」のロリ・ワラック氏は自由貿易協定が米国市民の労働をいかに奪ってきたかなどその実態を紹介し、批判を行ってきた弁護士である。昨年10月の「デモクラシー・ナウ!」に出演した時はTPPについて米国市民の視点で語っている。これは「企業によるトロイの木馬作戦」であるという。(2014/01/24)


文化
独創的な作家エドワード・ゴーリーの記録映像 米ドキュメンタリー作家がウェブで公開
  A:エイミーは階段から転がり落ちた。B:ベイジルは熊に襲われた・・・子供たちがどう死んだかをワンフレーズでアルファベットのAから続けていく絵本「ギャシュリークラムのちびっ子たち」(The Gashlycrumb Tinies)。不気味な手毬歌のようだが、同時にあっさりと淡々とつづられていく。こんな作風で世界的に知られる不思議な米作家、エドワード・ゴーリー(Edward Gorey,1925年-2000年)。(2014/01/24)


欧州
オランド大統領の女優との不倫を報じた雑誌 〜その号は売り上げ2倍に 〜女優は雑誌をプライバシー侵害で告訴 〜オランド大統領の支持率は30%以下 〜報道の背景は?
  今月はフランソワ・オランド大統領にとって女性スキャンダル騒動の月となった。英国のインディペンデント紙によると、不倫を報じたフランスのCloser誌はその号の売り上げが60万部となり、通常の2倍になったと言う。一方、密会をスクープされた女優のジュリー・ガイエ(Julie Gayet)さんは私生活を侵害されたとして、5万4千ユーロの賠償金(および訴訟費用)を雑誌に求めて告訴していると言う。(2014/01/23)


みる・よむ・きく
戦後史証言「山形 高畠」 〜日本一の米作りを目指して〜 原村政樹
原村です。30年間、撮影でお付き合いしてきた山形県高畠町の米作りを通じて、戦後の日本の農業の歩みを描く番組を作りました。戦後史証言「山形 高畠」〜日本一の米作りを目指して〜NHK・Eテレ(チャンネル2)。今週土曜日(25日)夜11時〜12時半(2014/01/23)


コラム
立ち見する場所 〜スタジアムと国会の違い〜
   昨年暮れの12月5日と6日に国会前に出かけた。特定秘密保護法案の参議院での審議が最終段階に入り、今にも強行採決になりかねない勢いだったときだ。シラケ世代と言われるわが世代には集団で何かを主張したり、闘争したりすることを苦手とする傾向が他の世代より強い気がする。それでも駅前に夕食の食材を買いに出かけようとして、気がついたら電車に乗って国会に向っていた。本当はいくつもりはなかったのに。(2014/01/23)


みる・よむ・きく
10日間で完読! 独断と偏見で選んだ近代政治思想書 〜日本国憲法の源流をたどる〜
  近代政治思想の流れをたどる独断と偏見の10日間読書ガイド。これは日本国憲法の思想的源流をたどる旅でもある。(2014/01/21)


みる・よむ・きく
ハンナ・アレント著 「革命について」 〜アメリカ革命を考える〜
  革命というと、恐ろしい。それが多くの人にとってのイメージだろう。また革命と言うと、共産主義のイメージもある。それらのイメージの源はルイ16世をギロチンにかけたフランス革命であり、ロマノフ王朝を倒したロシア革命である。しかし、ドイツ出身の政治哲学者ハンナ・アレントはその著書「革命について」の中心を<アメリカ革命>に置いているのである。アメリカ、資本主義のチャンピオンを生んだ政変をアレントは世界で唯一の成功した「革命」と見ているのである。独立というだけでなく、革命だったのだ、と。(2014/01/20)


中東
イスラエル 「ナチ」という言葉の「不適切な」使用を制限する法案が可決寸前に 〜表現の自由を奪うとして論争が起こる〜 イスラエル人気作家の寄稿
  イスラエルでナチ(Nazi)という言葉が不適切に使用された場合に刑罰を課す法案が国会で可決寸前であると言う。ナチという言葉だけでなく、ユダヤ人の絶滅を目指したナチスドイツによる「ホロコースト」に関連する言葉もひっかかるという。ただ、どんな場合にでも処罰されるわけではなく、これを報じたニューヨークタイムズによると、'noneducational way' (教科書的な意味から外れるやり方)で使用された場合に刑罰が科せられる。(2014/01/20)


コラム
フランスの食事
  フランスで3週間仕事をした人がこんなことを筆者に言った。「フランスの飯は最低ですよ。レストランにも行きましたけど。ギョーザの方がよっぽどうまかったですね」彼がどんなレストランに入ったのかわからないが、日本人として理解できるところもある一方、彼の体験から零れ落ちている可能性のある事柄も推察せざるを得なかった。それは飯を食う場のことなのである。(2014/01/19)


みる・よむ・きく
開高健著 「名著ゼミナール 今夜も眠れない」
  開高健著「名著ゼミナール〜今夜も眠れない」(角川書店)は味わい深い読書ガイドだが、そこには仕掛けが施されている。開高健が教授になり、助手と本について対談する形式になっていることだ。そこで教授と助手の珍談が繰り広げられていくのである。(2014/01/18)


市民活動
第9回「憲法を考える映画の会」 18日(土) 『ニッポンの嘘 ─報道写真家 福島菊次郎 90歳』114分
  第9回「憲法を考える映画の会」の最終ご案内。映画:『ニッポンの嘘 ─報道写真家 福島菊次郎 90歳』114分。今回の映画を選んだ理由は、はじめのころ「自由民主党日本国憲法改正草案」、「集団的自衛権」、TPP、そして秘密保護法制定といった動きに対してのメディアやジャーナリズムの動きがどうもおかしいのではないかと思ったところからでした。(2014/01/17)


検証・メディア
週刊誌の部数(1号あたりの印刷部数)
 日本雑誌協会に週刊誌1号あたりのの印刷部数が公表されている。どのくらいの数字なのか、いくつか見てみよう。これは2013年7月〜9月の間の平均数字となっている。(2014/01/17)


みる・よむ・きく
本山美彦著 「金融権力 〜グローバル経済とリスク・ビジネス〜」
  京大名誉教授の本山美彦氏が岩波新書から「金融権力」を世に出したのはまさにリーマンショックが起こり、それが欧州に飛び火しようとしていた時だった。「金融権力」で本山教授は冒頭のあたりでこう筆を起こしている。「経済のグローバル化を推進した起動力は金融であった。」(2014/01/17)


コラム
パリの散歩道 地下鉄のトーカーたち
  パリの地下鉄に乗っていると、とにかく一人でぶつぶつ話をしている人がやたら多いのである。話し相手はその場にはいない。(2014/01/17)


アフリカ
安倍首相のアフリカ歴訪 〜アルカイダの襲撃に備えた警備訓練に約80億円の提供を約束〜 
   報道によるとアフリカを歴訪した安倍首相は西アフリカ諸国に対して地域防衛の為に8000万ドル(約80億円)を投じると約束したとされる。これはサヘル地域(サハラ砂漠南部とその周辺地域)に勢力を持つアルカイダ・グループの襲撃に備えた警備訓練のための費用である。(2014/01/15)


中東
シャロン元首相の追悼記事 2 〜領土問題〜 1949年の線をどうするか
  ニューヨークタイムズではシャロン元首相の追悼記事が続く。オピニオンの欄ではイスラエルの新聞ハーレッツ(Haaretz)の元編集長が寄稿している。タイトルは’What if Sharon still lived?'(もしシャロンが今、生きていたら?)というもの。(2014/01/15)


中東
シャロン元首相の追悼記事 〜なぜリクード党から中道政党にシフトしたのか?〜
  イスラエルのアリエル・シャロン元首相(Ariel Sharon,1928-2014)が先週末にテルアビブの病院で亡くなり、月曜のニューヨークタイムズでは多くのスペースがシャロン元首相について割かれている。(2014/01/14)


コラム
アメリカの政治映画と西部劇   ジョージ・クルー二―監督の「グッドナイト&グッドラック(Good Night and Good Luck)」
 アメリカの文物は10年か20年かはともかく、少し遅れて日本に入ってくると言われてきた。今日本に力づくで導入されようとしているのが「テロとの戦い」である。その前例は米国のブッシュ政権時代に生まれたテロ対策の一連の法案であり、また言論統制である。この時代に抗して作られた映画がジョージ・クルー二―監督の「グッドナイト&グッドラック(Good Night and Good Luck)」だった。(2014/01/14)


安倍政権を検証する
安倍政権の「ニュースピーク」 〜特定秘密保護法の「又は」と「かつ」〜 自民党と官僚の日本語に対する攻撃が続く
  教育を改変しようとしている安倍政権だが、一方で日本語に対する攻撃はやむことがない。「積極的平和主義」という言葉の本質は戦争、もしくは戦闘行為にある。これは平和という言葉を汚すだけでなく、言葉に対する攻撃と呼んでもいいだろう。すでに多くの人が指摘するように、ジョージ・オーウェルが未来型独裁国家を描いたSF小説「1984年」で強要される人工言語「ニュースピーク」と通底する言葉である。ニュースピークの象徴的なスローガンは「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」である。積極的平和主義はこれと同質の言葉である。(2014/01/13)


欧州
ヒトラーの‘Mein Kampf’(我が闘争)がe−bookのベストチャートに浮上 〜排外主義者の研究に活用する人も・・・
  20世紀最大の排外主義者アドルフ・ヒトラーの著書「我が闘争(Mein Kampf)」がアマゾンe−book(電子書籍)の政治プロパガンダ、政治心理部門の売り上げNO.1になっているという。(2014/01/12)


みる・よむ・きく
「独立宣言と米憲法」(The Declaration of Independence and The Constitution of the United States)
   アメリカを旅すると、空港の書店に「独立宣言と米憲法(The Declaration of Independence and The Constitution of the United States)」というペイパーバックの本が置いてあった。どの空港で買ったのかは覚えていない。あちこちの空港に置いてあるのだ。2.95ドルで比較的薄っぺらい本、というより冊子に近い。表題の通り、1776年に発表された独立宣言と、1787年に生まれた米憲法、さらに1791年に発表された修正米憲法が収録されている。(2014/01/10)


安倍政権を検証する
日本の‘女’は子供を何人産むべきか? 〜NHK経営委員になった学者の提言から〜 男女雇用機会均等法の是非
  安倍政権から推薦されてNHK経営委員となった長谷川三千子氏は日本の男女は<しかるべき年齢>で結婚して子供は2〜3人産むべきだと産経ニュースのウェブサイト(正論)で発言している。そうしないと今の出生率でいくと、1000年後に日本人がゼロになってしまうという計算からのようだ。だから、その元凶になった男女雇用機会均等法を廃止せよ、と主張しているのである。(2014/01/09)


安倍政権を検証する
オリンピックと警備〜共謀罪と決められる政治〜
 ニューヨークタイムズには今年2月ロシアで開かれるソチの冬季オリンピックにちなんだ風刺漫画が掲載された。戦車に乗り、銃を肩にしょった兵士が壁に五輪のポスターを糊付けしている。そこには’A celebration of the joyous human spirit!'(楽しい人類の心の祝典!)と書かれている。戦車の腹部には大きくSECURITY(セキュリティ)と書かれており、兵士4人が周囲を監視している。ソチの五輪前にロシアではテロ事件が複数起きている。楽しい祝典と、ものものしい警戒態勢が矛盾していることを描いた1枚。(2014/01/07)


文化
第一次大戦から100年 オランダからの手紙 〜日中関係を平和に解決しよう〜 ジャズマンのメッセージ
  1914年に始まった第一次世界大戦から100年が過ぎた欧州。オランダでディキシーランドジャズを演奏しているバート・ブランス(Bert Brandsma)さんから、メッセージが届きました。日本と中国の間の緊張が高まっている事に対してです。(2014/01/05)


みる・よむ・きく
米小説家デイブ・エガーズの話題作「サークル(The Circle)」 〜ソーシャルメディア時代の生を問う〜 とうとうプライバシーがなくなって・・・
  デイブ・エガーズ(Dave Eggers)の最新作は「The Circle(サークル)」と題する小説である。書評によると、今度はフィクションで、悪夢的な近未来小説のようだ。今全盛期を誇る検索エンジンとソーシャルメディアを売りにする<サークル>というIT企業に就職した若者たち。彼らは四六時中、端末に短いメッセ―ジを打ち続ける。会社にいる間だけでなく、家に帰ってもどこにいても。彼らにとってアクセス数を増やすことと、サムズアップ!(いいね!)マークをたくさんゲットすることは仕事なのである。こうして最早プライベートと仕事との境界線はなくなっていく。(2014/01/05)


欧州
世界のベタ記事から 冷戦時代のクロアチアの情報機関の元トップが逮捕される 〜ドイツでクロアチア人亡命者の殺人容疑〜 ドイツ当局が引き渡しを要求
  Josip Perkovic氏、ユーゴ時代の元クロアチア情報機関の長官が逮捕された。容疑は1983年にドイツでクロアチア人亡命者を殺害したことだとされる。ドイツ当局は引き渡しを要求している。一方、Perkovic氏は身柄の引き渡しを拒んでいる。(2014/01/04)


安倍政権を検証する
NYT社説<日本はTPP参加によって農業のリストラを強く希望していることがわかった>
  安倍政権の特定秘密保護法案や兵器輸出の解禁への方針に対して強く批判的な記事を出してきたニューヨークタイムズが今日の社説では一見TPPに参加を促す論を展開した。’Joining the new trade club'(新たな貿易クラブに参加すること)と題する社説である。(2014/01/03)


欧州
欧州連合 〜英国と独仏の確執〜2013年のキャメロン首相の国民投票宣言の波紋〜
  経済危機にある欧州連合はその存在が揺らいでいる。今年の欧州議員選挙では欧州連合からの離脱を志向する右翼政党が躍進するのでは、との見方も出ている。こんな中、昨年の英国のデビッド・キャメロン首相の発言がさらに波紋を呼んでいる。(2014/01/03)


社会
インドネシアの女性コピーライターの死 〜30時間労働に抗議の声〜 過労死をめぐる議論〜誕生日も午前3時まで働く・エナジードリンクを常用
  昨年暮れにインドネシアの首都ジャカルタで27歳の女性コピーライターAnanda Pradnya Paramitaさんが突然倒れ昏睡状態に陥り、亡くなった。彼女がその日、ツイッターで30時間の連続労働について書いていたことから、彼女が勤めていた広告代理店Young&Rubicamに抗議が多数寄せられていると言う。ニューヨークタイムズによれば彼女の親族は「もし非難するのであれば特定の企業でなく、業界全体にするべきだ」と語ったと言う。(2014/01/02)


社会
パリの公共自転車レンタルシステム Velib’ 
  パリには地下鉄が発達しているから、基本的には移動はできる。だが、決まったルートでなく、自由にあちこちを早く移動したいときに自転車が欲しいと思うことがある。しかし、自転車を買うのもな、と思った時に「ベリブを使えばよい」と友人が教えてくれた。(2014/01/01)


欧州
ロシアに対するドイツ外交の確執 〜社会民主党の「東方外交」とメルケル首相(キリスト教民主同盟)の対ロシア外交
  かつてインターナショナルヘラルドトリビューンのベルリン駐在記者として健筆をふるっていたジュディ・デンプシー(Judy Dempsey)記者は現在、Strategic Europeという媒体の編集長に就任している。彼女が最近こんな寄稿をしていた。「メルケルのプーチン問題」(Merker's Putin problem)と題する分析記事である。(2014/01/01)


みる・よむ・きく
ジャン=ジャック・ルソー著「社会契約論」(中山元訳) 〜主権者とは誰か〜
    ホッブズ、ロックと英国の先行する社会契約論者がいたにも関わらず、日本で社会契約論と言えばジャン=ジャック・ルソー(Jean-Jacues Rousseau、1712-1778)が圧倒的に有名である。ルソーの「社会契約論」(Du Contrat Social)はどこか違っていたのか。冒頭、ルソーは有名な文句を書いている。「人は自由なものとして生まれたのに、いたるところで鎖につながれている。」(2014/01/01)


反戦・平和
第九条にノーベル平和賞を 〜オバマ大統領より功績あり〜
  「憲法第九条にノーベル平和賞授与が決まりました」このような希望をもって、署名活動を行っている人びとがいる。(2013/12/31)


反戦・平和
ニューヨークタイムズ社説が日本の兵器輸出の解禁に警告
 今年最後の社説で、インターナショナルニューヨークタイムズ(ニューヨークタイムズの国際版)は安倍政権が進める兵器輸出の解禁の動きに対する警告を掲載した。今年1年を振り返れば安倍政権に対する批判・警告が社説や風刺漫画などで多数にのぼり、特に特定秘密保護法の国会論議以後、加速している印象がある。(2013/12/31)


中東
世界のベタ記事から 〜シリアの化学兵器処理で国連が声明「最も危険性の高い化学兵器の国外運びだしが年末期限に間に合いそうにない」
  シリア空爆回避の条件とされたのが化学兵器の廃棄だった。その期限は来年半ばと報じられたが、一部の危険性の高い化学兵器の国外への運びだしの期限が明日、12月31日つまり2013年末に設定されていたらしい。だが、その期限に間に合いそうにない模様だと国連が警告を出したと言う。(2013/12/30)


みる・よむ・きく
ユルゲン・ハーバーマス著 「人間の将来とバイオエシックス」
   ドイツの哲学者ユルゲン・ハーバーマスは今世紀中に人類の類概念が変わる可能性があると指摘している。人類が2種類に分裂してしまうかもしれないと言っているのである。それは遺伝子操作を受けた人類と、遺伝子操作を受けていない生の人類である。(2013/12/30)


みる・よむ・きく
トマス・ホッブズ著 「リヴァイアサン (国家論)」 〜人殺しはいけないのか?〜
  ひところ、若者が「人殺しをしたらなぜいけないのか?」という質問をして、年長者が驚き呆れていたと報じられた。かつてなら、ありえない質問だ、というのである。しかし、英国の政治哲学者トマス・ホッブズ(Thomas Hobbes)は人殺しをしても不正ではない、と記している。その本は1651年にロンドンで出版された「リヴァイアサン」(Leviathan)と題する本である。(2013/12/29)


国際
「靖国参拝によって安倍首相は北朝鮮の脅威に対する周辺国の足並みを乱した」 サイモンウィーゼンタールセンター
  ナチズムの責任を戦後追求してきたユダヤ人の組織、サイモン・ウィーゼンタールセンター(Simon Wiesenthal Center)は安倍首相の靖国参拝のタイミングについて、北朝鮮に対する周辺国の結束が必要な時に足並みを乱したことを非難している。(2013/12/29)


中東
イラクで反政府勢力がテロ活動を活性化 2008年以来最大 今年8000人以上が死亡 米軍が武器支援開始 イラクは集団的自衛権の領域か?
   イラクでは今年8000人以上がテロと内戦で亡くなっているとニューヨークタイムズで報道された。英国のガーディアンも2008年以来最大規模になっていると報告している。(2013/12/27)


TPP/脱グローバリゼーション
米国の二方面作戦 〜TPP交渉の裏で、ヨーロッパ=アメリカ自由貿易協定の交渉中〜
  TPP交渉を進めている米国だが、同時に大西洋の両岸で欧州連合と自由貿易協定の交渉を進めている。このことも欧州における排外主義の興隆の一因となっている。その理由は多国籍企業が国を相手取って訴訟を起こしたり、国境を越え各国の保険・医療・農業・環境政策を回避してなしくずしにする可能性があるからだ。(2013/12/26)


欧州
欧州でもファシズムが復活の兆し 〜1930年代と2010年代〜 欧州連合の緊縮政策が後押しか
  ニューヨークタイムズは12月19日付で’Is fascism returning to Europe?'(ファシズムは欧州で復活しつつあるのか?)と題する政治コラムを掲載した。(2013/12/26)


みる・よむ・きく
モンテスキュー著「法の精神」 〜「権力分立」は日本でなぜ実現できないか〜
  モンテスキュー(Montesquieu)著「法の精神」(DE L'ESPRIT DES LOIS,1748)は岩波文庫で上中下の三分冊になっている。一見、いかめしそうな印象だった。「法の精神」と言えば「三権分立」というのが学生時代の暗記のキーワードだったが、「法の精神」はその説をどう展開しているのだろうか。(2013/12/26)


TPP/脱グローバリゼーション
中身の不透明なTPP 〜アジア諸国は十分な情報公開がなければ参加してはいけない〜 外国人コラムニストの警告
  東京に滞在して筆を振るっているBloombergのWilliam Pesek氏はTPP(Trans-Pacific `Partnership)への参加は考え直した方がよいと警告を発した。’Wikileaks reveals why Asia should skip the TPP'(ウィキリークスがアジアがTPPを拒否した方が良い理由を暴露)と題するコラムである。その根拠は音頭を取る米政府の秘密主義にあるとする。Pesek氏はジョン・ケリー国務長官がアジア諸国に、TPPに参加れば「透明度」が高まり、「政治責任」も明確になると参加を促しているが、TPPの中身は秘密主義で、「透明性」とはほど遠く、参加した場合、国民の生活にどのような影響が出るかも明らかではないと批判し、警告した。(2013/12/26)


コラム
安岡章太郎とジングルベル
  日本の戦後を代表する小説家の一人、安岡章太郎には「ジングルベル」と題する一風変わった短編がある。読んだのは中学生の時だからもう30年以上経っている。それでも、クリスマスになると思い出す。(2013/12/25)


沖縄/日米安保
戦争と医療保険費
  解釈改憲によって集団的自衛権を行使した場合、自衛隊が海外のどこに派兵されるかは、時々の状況によるだろう。日本の場合、安保条約を結んでいる米軍と協力する可能性が高いと見られている。米軍は今年、シリア戦争直前で踏みとどまったが、債務危機がまた話題になるであろうように財政的には戦争どころではなくなっている(*年末の与野党財務委員会の妥協で軍事費は増強し、Medicareなど他の財源を大幅カットすることになりそうだ)。軍事予算で削れるところは核兵器であれ削減したいところなのだ。しかし、年々額が増加していて、削減不可能なものがある。それが米軍人に対する医療保健費である。(2013/12/25)


憲法
「特定秘密保護法に反対する学者の会」 〜賛同者の数は全体のどれくらいか〜
   特定秘密保護法が表現の自由や研究の自由を妨げるとして、「特定秘密保護法に反対する学者の会」が発足し、多くの学者が反対の声をあげ、その参加者は12月15日現在で5042名に達している。勇気のある行動である。しかし、それは日本全体の「学者」の中でどれくらいの割合なのだろうか。(2013/12/23)


コラム
都知事選は民意の現れか?〜都民は驕るなかれ〜
  次の東京都知事選は安倍内閣に対する民意の現れだという論者が少なくないようだ。特定秘密保護法案に対する国民の考えが今度の都知事選に集約され、もし自民党公認候補が勝てば特定秘密保護法に対する国民の信任となる・・・こういう論理である。(2013/12/22)


みる・よむ・きく
ジョン・ロック著 「統治二論」〜政治学屈指の古典〜
  将来、思想統制が行われ、本の選抜と焼却が行われる日が来るとしたら、まず最初に失われる本の中に、英国の近代政治思想家ジョン・ロックの「統治二論」があるのではなかろうか。思想統制と言えば戦前・戦中のイメージでマルクス主義や社会主義のことが頭に浮かぶだろうが、今問われているのは近代政治思想なのである。1690年に出版された「統治二論」はアメリカの独立宣言やフランス革命に影響を与えたとされる。その思想的な根拠は以下の3点である。(2013/12/22)


欧州
「ちょっと働き、もっと読もう」  
  フランスの地方都市を歩いていたら、書店の窓ガラスにこんな標語が張られていた。’Travailler moins pour lire plus ’(本を読むために、仕事を減らそう)(2013/12/21)


生活
アマゾンの新兵器 30分で宅配できる無人ヘリ構想
   パキスタン生まれの著名な風刺漫画家Chapatteが今日掲載した1コマ漫画はクリスマスの贈り物にまつわるもの。空を舞うサンタクロースがニコニコしている。下には家があり、子供がサンタを見上げている。荷物を落っことしたサンタが乗っているのはトナカイのそりではなく、インターネット通販のアマゾンが開発中の宅配用無人ヘリ「オクトコプター」だ。(2013/12/21)


コラム
外国の新聞とユーモア 〜ユーモアは必要?〜
   「日本の新聞はユーモアがないから総じてダメだ、それにひきかえ外国の新聞にはユーモアがある。」こんなことを言って日本の新聞を批判する人が時にいる。だが、本当なのか?(村上良太)(2013/12/19)


憲法
NYTが社説で安倍首相の傲慢さを非難 憲法改正案の危険な性質を指摘 世界に向けて警報を鳴らす
  アメリカの代表的新聞の1つ、ニューヨークタイムズが12月16日付の社説で再び特定秘密保護法案の危険性を指摘した。しかも、法案可決前の前回の社説と比べると、今回は非難の度合いが一段とスケールアップしている。(2013/12/16)


コラム
パリのアパートの扉〜一つ間違えると近所迷惑に〜
  パリのアパートで暮らし始めて、次第に分かってきたことは周辺の住民たちは週末になると、夜中に大騒ぎをするということだ。特に深夜に歌を朗々と歌ったりする。しばしばうるさくて睡眠の障害ではあるのだが、人間らしさもあって決して嫌いではなかった。ところが・・・。ある日、大家さんからEメールが届いた。(2013/12/15)


憲法
フランスでも言論の戦いが・・・ Mediapartにサルコジ元大統領の選挙資金疑惑の記事削除を求める判決。 他のメディアや市民団体らが連帯して言論の自由の闘いを継続中
  国民の知る権利が脅かされている。それは日本やロシアだけでなく、フランスでも起きていた。今年7月、フランスの新興インターネット新聞メディアパール(Mediapart)および雑誌ル・ポワン(Le Point)に対し、フランス控訴審で一連の記事の削除を求める判決が下された。その記事とはサルコジ元大統領の選挙資金スキャンダルに関係するもの。富豪リリアン・ベタンクールさんの自宅で行われた会話内容の記録とそれに関連する記事である。(2013/12/15)


人権/反差別/司法
人権国家フランスで警察がフランス国民の通話・通信を令状なしで傍受できる法案を可決 〜米国の盗聴監視への対抗措置か〜
  アメリカの機関NSAの通信傍受に怒りの声をあげたフランスだが、12月10日、テロとの戦いという名目で国民の通話・通信を警察が傍受できる法案(Military Programming Law)が国会で可決された。問題になっているのはその第13条である。第13条によればテロ対策や組織的犯罪を抑止するためには裁判所の捜査令状を取らなくても警察が個人の通話・通信を傍受できる、というものだ。また通信者のリアルタイムの位置情報も請求できる。(2013/12/14)


国際
ワシントンポストの論考 イスラエルとイランの核
  ワシントンポストに'Why is the U.S.OK with Israel having nukes but not Iran?'(なぜホワイトハウスはイスラエルの核兵器を容認し、イランはダメなのか?)と題する論考が掲載された。寄稿したのはMax Fisherという人で、「アトランティック誌」の記者・編集者だった人物だ。現在はワシントンポストの外交分野のブロガーだとされる。(2013/12/13)


欧州
「国境なき記者団」創設者のロベール・メナールが‘極右’政党FNの支援で立候補 〜2014年のフランス市町村議員選挙〜FN「価値観を共有」
   報道の自由のための啓蒙活動を行ってきた国境なき記者団のロベール・メナール氏が来年3月のフランス市町村議員選挙で、反イスラムを標榜する、いわゆる極右政党FN(国民戦線)の支援を受けて立候補を表明している。(2013/12/13)


人権/反差別/司法
ヒトラーが作った政治犯の強制収容所ダッハウ 〜ナチスの暴力の学校〜 対抗勢力は一網打尽
  1933年3月22日。首相となり権力を掌握し、野党議員を一網打尽に逮捕したヒトラーがさっそく作ったのがこの施設だった。ドイツ南部の都市ミュンヘン郊外にある「ダッハウ強制収容所」(Dachau)である。(2013/12/12)


政治
特定秘密保護法の怖さ 〜ジャパンタイムズが警告〜思想・良心の自由に介入
 日本で発行されている英字新聞ジャパンタイムズは社説で特定秘密保護法案の危険性について報じているが、その中のテロリズムに関するくだりではこう書かれている。(2013/12/12)


米国
デトロイト市の破綻が認められる 公務員の年金支給額は大幅減額の可能性も
  アメリカ自動車産業の本場、デトロイト市破綻のニュースは大きな衝撃を世界に与えた。デトロイト市は米自動車産業ばかりかアメリカ製造業の空洞化を象徴するものとして、とらえられてきた。デトロイトの中心部にはぼろぼろの無人のビルがいくつも並びアメリカ一の凶悪犯罪の発生率でも知られている。市の財政破綻は人口減少により税収が減ったことや、景気の悪化によって支出が増えていることなどが要因となった。(2013/12/11)


米国
米財務省がGM株をすべて売却 政府支援が終了
  リーマンショックの翌年、2009年6月、経営危機に陥った米最大手の自動車会社GMは連邦破産法の適用を申請し、破綻した。GMは同年就任したばかりのオバマ大統領の支援策によって存続が決まったが、この時、GMの株式の60%を米政府が保有する形となった。その後、GMはリストラを行ったほか、経営を改善し、2012年には業績が回復に向かった。そして、今月、米財務省が保有する最後の株式を手放し、4年におよぶ支援策がピリオドを打つことになった。(2013/12/11)


国際
プーチン大統領が国営放送2局を廃止 〜新たな国営国際報道機関‘ロシアの今日’に併合〜
  ロシアのプーチン大統領が国営放送局RIA Novostiとその系列の国際ラジオ放送局を廃止することに決めた。関係者は何も知らされていなかったと驚いているらしい。(2013/12/11)


検証・メディア
特定秘密保護法案とテレビ 民放とNHK
  特定秘密保護法案をマスメディアがどう報じてきたかをめぐってネット上で様々な声が飛び交っていた。初期はマスメディア、とくにテレビは総じてこの法案を無視している、という声が大きかった。しかし、11月の半ばを過ぎてから、あるいは11月の末あたりから、だんだんテレビでも民放がこの問題を熱心に取り上げるようになったらしい。民放の放送人が集まって特定秘密保護法案に対する反対の声明を記者会見をしたあたりだろうか。もちろん、そこには「成立したあとのアリバイ作りに過ぎない」という冷ややかな声もあった。本当に法案成立を阻止する気があったのなら、もっと早くから本腰を入れて取り組むべきだったというのである、メディア自らの運命を変える重大な法案なのだから。(村上良太)(2013/12/11)


欧州
NYTの社説 〜フランスの買春取締法について〜
  ニューヨークタイムズは12月10日付の社説で、フランスの国会下院で可決した買春処罰法について論じた。フランスで議論が起きていることは確かだ。たとえセックスワークは本人の選択だとか、処罰をすることでかえって地下にもぐり、一層売春する者が危険になるなどなど。しかし、ニューヨークタイムズはフランスにおける売春の状況をこう伝えている。(2013/12/10)


コラム
忘れないための闘い 〜石に刻む・金属に刻む〜
  地下鉄のある駅で他人と待ち合わせをしたとき、構内の壁に金属プレートが埋めこまれているのを見た。何かと思って近寄ってみたらこんな文章。(2013/12/10)


憲法
ヒトラーの言葉 「大衆の忘却力は大きい」
  ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーはその著書「わが闘争」でこんなことを書いている。(日刊ベリタ編集部)(2013/12/10)


コラム
パリの階段 〜カロリーを消費する時〜 
  パリ市内には築100年、築50年という古いアパートがたくさんある。これらの建物には基本的にエレベーターがない。古典のフランスのサスペンス映画などで、粋なエレベーターに乗って殺し屋がやってきたりするシーンがあるが、あのようなものはあまりないのである。だから住民は毎日、階段を上り下りすることになる。エレベーター完備の日本のマンションからすると、信じられないかもしれないが、パリの人々の多くはそのように暮らしているのである。(2013/12/10)


生活
エコロジーを楽しくするパリの雑貨屋 'rose BUNKER' 村上良太
  昔、パリのモンマルトルにアリスティード・ブリュアン(Aristide Bruant)という歌手がいた。ブリュアンはロートレックの版画にも出てくる粋な男だ。そのブリュアンの名前がついたアリスティード・ブリュアン通りに一軒の雑貨屋がある。名前はローズ・バンカー(rose BUNKER).入ってみると、2階建ての店の中に所狭しと様々な商品が並んでいた。(2013/12/09)


政治
2012年の記事から 秘密保全法案と民主党 〜どこから出てきた? 特定秘密保護法案〜
  日刊ベリタに2012年4月に掲載された、池田達夫氏による<牘旋回瓩了代状況を反映 「自民・改憲案」と「秘密保全法案」>という記事がある。ここには民主党の野田政権の時代に、特定秘密保護法案のもとになったと思われる「秘密保全法案」が国会提出されようとしていた経緯が批判的に書かれている。この秋、自民党によって急ごしらえされたものではないらしいのだ。(村上良太)(2013/12/08)


政治
選挙の問題点 〜民意をもっと反映する選挙制度へ〜小選挙区制の見直し、会期末に全法案に対する国民投票(チェック制度)、若者の政治参加
   国民の多くの希望に反して、このように与党が暴走することができた原因はいくつかある。ここで3つ揚げたい。〜挙制度の問題(小選挙区制は民意を正しく表現しているか)∩挙期間の争点と国会でのテーマのずれ若者の政治不参加である(村上良太)(2013/12/07)


欧州
買春の処罰化に向うフランス 下院で可決
  フランスの国会で議論の的になっているのが買春の処罰化だ。ついに国会の下院で多数決を行い、賛成268−反対138で買春の処罰化が決まった。残るはセナの可決を待つのみである。罰金は1500ユーロ、常習者の場合は3750ユーロとなる。(2013/12/06)


核・原子力
秘密期間最長60年 福島の原発事故現場の情報は・・・・
   チェルノブイリ原発事故が起きたのは1986年である。今回の崩落事故が起きたのは事故から、27年後になる。仮に2011年に起きた東日本大震災で同様の想定をすると2038年後になる。その時、新たな崩落事故を報じることはできるのだろうか。(2013/12/06)


コラム
弁護士と特定秘密保護法案
  多くの人が特定秘密保護法案の担当大臣である森雅子参議院議員の答弁のでたらめさに不安と怒りを感じている。担当大臣が法案をあまり理解していないのでは話にならない、という怒りの声がたくさんある。中でも森雅子氏が弁護士であるにも関わらず憲法に反する、そして人権を抑圧するこのような法案をなぜ支持しているのか?と。あるベテランの弁護士に多くの人が抱いている疑問をぶつけてみた。すると、こんな答えが返ってきた。(村上良太)(2013/12/06)


政治
強行採決を許すな! 国民の怒り爆発・怒涛の国会周辺
  12月5日夜。地下鉄・国会議事堂前駅の構内を出て、さっそく国会議事堂に向う。フランスから帰国して、まっさきに見に行ったのがコレである。今日特定秘密保護法案が参院で可決されるかもしれない。地上に出て、声が聞こえてくる方角へ向かった。国会周辺、歩道に少なくとも3つの大きな人の塊ができていて、それぞれ参加者がマイクを手に意見を述べている。(2013/12/05)


憲法
特定秘密保護法案  今日にも参院可決? 〜その条文をもう一度読んでみる〜
  特定秘密保護法案(10月25日の東京新聞発表によるバージョン。審議で多少文言が変わっている可能性あり)をもう一度、読んでみる。(2013/12/05)


社会
官僚の逆襲  〜国民に実態を見せない仕組み〜特定秘密保護法
  昨日、学者の会が特定秘密保護法案に対して反対の意見を表明した。その場で多くの学者が意見を述べたが、中でも東大教授の大沢真理氏による意見表明は特定秘密保護法案可決後の寒い風景を先取りしていた。つまり、税金で活動している官僚たちが国民にそのデータを還元したがらない、という実情である。(2013/12/04)


政治
クーリエ・アンテルナショナル 〜特定秘密保護法案は「検閲」〜 世界も日本の国会を注視
  特定秘密保護法案の危険性は米国だけでなく、フランスや世界でも認識されてきた。特に、放射能汚染の実態に強い関心を示しているフランスでは特定秘密保護法案で実態が覆い隠される可能性が高いとみる人が増えている。ルモンド紙系列の国際誌クーリエ・アンテルナショナルでも特定秘密保護法案の本質は「検閲」(censure)であると伝えた。(村上良太)(2013/12/04)


みる・よむ・きく
山口定著「ファシズム」2 〜全権授与法(全権委任法)と国家総動員法〜
  岩波現代新書から出ている山口定著「ファシズム」ではドイツ、イタリア、日本が第二次大戦において、それぞれどのようにファシズム化していったかが比較分析されている。このところ、日本の特定秘密保護法案に危惧を感じる人々が、現行の憲法を骨抜きにする政権党の手法はナチの「全権授与法」を手本にしたものだと指摘している。それはどういうことなのか?そこで「ファシズム」から、そのくだりを読んでみたい。(2013/12/03)


コラム
パリの物乞い
  パリを歩いていると、あちこちで物乞いに出会うことになる。フランス人の知人に聞くと、最近ぐっと増えたそうだ。物乞いの中には他国から渡ってきたであろう人々もいれば、零落したフランス人と見える人もいる。具体的に話を聞いたわけではないから、出身地とか事情は不明だが、確かなことはたくさんいる、ということだ。(村上良太)(2013/12/03)


みる・よむ・きく
「現代政治学の基礎知識」(有斐閣) 〜政治の再構築に向けて〜
    有斐閣から1975年に出された「現代政治学の基礎知識〜基礎概念・理論の整理と検証〜」という本がある。当時、政治学の教鞭を取っていた53人の教授・准教授が310の問題に対して、それぞれ担当した問いの模範解答を記している。世界政治から国内政治、地方自治まで様々なレベルの事項が問題・解答形式で読める本である。編集代表は内田満、内山秀夫、河中二講、武者小路公秀。この1冊を読むだけでも、政治を考えるためのかなりの基本的な視点が得られるはずである。だが、本書の価値は試験や就職のために限定されない。むしろ、労働者や市民が、この本で政治学の概略図をつかんで、原典に触れるためのものだ。(2013/12/02)


検証・メディア
ツワネ原則   〜国家秘密と国民が知る権利および内部告発者の保護に関する国際原則〜ウィキリークス以後の世界を考える
  国家の秘密と国民の知る権利をどう調整するか、その基本原則を国際的な会議の場で決めたのがツワネ原則(Tshwane Principles)である。様々な団体がこのツワネ原則の原文をウェブサイトで紹介している。ここにリンクを張るのは米国のACLUのウェブサイトである。(村上良太)(2013/12/01)


文化
イラストレーター ソフィア・マルチネック  〜見る人をわくわくさせる天才〜  
  パリはモンマルトルでドイツ文学を専門に扱うBUCHLADEN書店の女主人ギゼラ・カウフマンさんに推薦されたのがソフィア・マルチネック著「HUHNER、PORNO、SCHL’A’GERREI」という潤沢に自作のイラストをつけた本だ。ギゼラさんはパリ在住のドイツ人で、パリに住む多くのドイツ人が本を買いにやって来る著名な書店である。そして、ギゼラさんの本に対する造詣は深い(2013/12/01)


コラム
ある在仏スペイン人の名刺 「私は人間です」
  パリのカフェで本を読んでいたら、買い物帰りと思われる小さめの紙袋を抱えた高齢の男が入ってきて隣に座った。一瞬、その人物は誰かと話をしたがっている、という気がした。だから空いた席がたくさんある中で僕の隣のテーブルに腰をかけたような気がした。その人物はスペイン人だった。(村上良太)(2013/11/29)


文化
ファシズム研究の山口定氏、亡くなる
  今月17日、ファシズム研究に取り組んだ山口定(やすし)大阪市立大学名誉教授・立命館大学名誉教授が亡くなった。東大法学部卒業。79歳だった。山口氏の専門は欧州政治史で、中でもドイツのファシズム研究では第一人者だった。ナチスが政権を奪うまでの過程を分析した著書もあれば、戦後の新たな極右運動を分析紹介した本もある。(2013/11/29)


コラム
「ベニスの商人」 に見る、特定秘密保護法と違憲立法審査
  国民の過半数が反対しているか、もっと長い時間をかけた審議を求めていたあの特定秘密保護法案が衆議院で可決された。残るは参議院の審議のみである。しかし、もし参議院を通過したとしても、憲法に反する法律を審査する権限が裁判所には与えられている。特定秘密保護法は国民の知る権利を侵害する意味で違憲ではないのだろうか。(村上良太)(2013/11/27)


みる・よむ・きく
次の戦争をどこで起こすか〜ボリス・ヴィアン作「将軍たちのおやつ」〜  
  話題は次の戦争をどこで起こすか、だ。なぜ戦争をしなければならないか、といえば、政治家たちが失政を挽回し、国民の関心をそらすためである。さらに軍需産業からの要請でもある。そこで戦争しても必ず勝てる国を将軍たちは探し始める。間違ってもロシアとか、中国とか、アメリカのような核兵器を保有する大国とは戦争することができない。(2013/11/27)


コラム
ロシアから見る特定秘密保護法案  〜日本がソビエト化する日〜
  ロシアを旅した時、日本のある大手メーカーの現地職員を工場に訪ねたことがある。その工場はソ連時代の国営工場だったものを日本企業が買収して、日本人の経営者と技術者を送り込んで新たな製造ラインを稼働させていたものだ。その時、日本人のマネージメント担当者はロシア人の労働者についてこんな発言をした。「ロシア人は非常に勤勉ですよ。かつてロシア人は怠け者、というイメージがありましたが、決してそうではありません。ただ・・・」彼はこう続けたのだ。(村上良太)(2013/11/24)


みる・よむ・きく
パスカル・バレジカ著「フランスからの手紙」(No1〜No28) 〜仏語の原文をつけ日仏対訳にしました〜村上良太
  パリの著述家・翻訳家のパスカル・バレジカさんに2010年から2012年にかけて寄稿していただいた「フランスからの手紙」(No1〜No28)に、この度、バレジカさんによるフランス語のオリジナルテキストをつけました。(村上良太)(2013/11/23)


コラム
フランスから見る特定秘密保護法案
   特定秘密保護法案が衆院を通過しようとしている。この法案が通ったら日本の民主主義は終わってしまうと嘆く声が聞こえてくる。アンケート調査などによると、半数以上の日本国民がこの法案に反対か、もっと時間をかけた審議を求めているようだ。異国に滞在中なのでインターネットでかろうじて事の成り行きを推察するだけだが、印象として多くの人が憤っており、ある人は絶望しており、またある人は絶望するのはまだ早い、やれることはある、と激を飛ばしている。(村上良太)(2013/11/23)


憲法
STOP「秘密保護法」11.21大集会に1万人
昨日、STOP「秘密保護法」11.12集会が日比谷野音で開かれました。1万人の人々が会場を埋め尽くしました。(立山勝憲)(2013/11/23)


コラム
ツールの古城 〜ロワール河とフランス・ルネサンス そしてレオナルド・ダ・ヴィンチの晩年〜
  パリから南に列車でおよそ2時間のところにツール(Tours)という町がある。ここは昔から豊かな自然に恵まれ、王族らが狩りをして楽しんだ場所だったそうだ。週末、昼食を食べに来なさい、という目下借りているアパートの大家さんの招きで出かけた。大家さんはこの町に住んでいるのだ。列車はオテルリッツというパリ市内の駅から出ている。(村上良太)(2013/11/20)


市民活動
憲法を考える映画の会 「レーン・宮沢事件 〜もう一つの12月8日〜」(50分)
   第8回「憲法を考える映画の会」。いま、まさに特定秘密法案が衆院を通過されようとしています。法律とも言えないような矛盾に満ちた法案、どのようにも解釈でき、権力が国民の権利、人権を蹂躙するのにきわめて好都合な法案です。なぜこのような法案を無理矢理通そうとするのでしょうか?(2013/11/20)


欧州
11月11日は第一次世界大戦の終戦記念日
   11月11日は第一次世界大戦が終結した日で、欧州では休日になっている。1918年11月11日、休戦条約が結ばれたのだ。在仏日本大使館も休日である。近くの書店でも「1914−1918」と書かれた当時の白黒写真集が平積みで売られていた。(2013/11/10)


コラム
パリのスーパーの米 超簡単<米1・水2・10分間> 炊飯器無用  村上良太
   パリのモンマルトルで暮らしていると、日本のご飯が懐かしい。ご飯と味噌汁がついた、さんま焼き定食のようなものが無性に食べたいのである。当地ではご飯を食べるのはさぞ面倒なのだろうな、と思っていた。ご飯を炊くといっても炊飯器がない。それに米も高いのだろうと思っていた。ある日、試しに近所のモロッコ人家族が営むミニ食品スーパーに入ったら、箱に入った米を売っていた。1キログラム入りで、値札は5ユーロ30である。日本円で700円くらい。試しに買ってみた。(2013/11/10)


欧州
欧州も日本と同じ病に  リーマンショック後、金融が収縮へ  〜スティーブ・ハンケ教授の分析から〜
 日本で1991年にバブル経済が崩壊した後、銀行はバランスシートを健全化するために、融資を縮小し、自己資本比率を向上させることを求められた。そこで起きたのは貸し渋りや貸し剥がしだった。そのため、小さな企業が次々と倒産し、失業者が増え、賃金は下降し、自殺者が3万人を超え続けた。日本経済は10年を越える失われた時代を作ってしまった。米ジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンケ(Steve Hanke)教授の分析を読むと、リーマンショック以後、欧州でも同様の事態が進行している可能性がある。(村上良太)(2013/11/09)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画「天に栄える村」 上映情報  原村政樹 
  原発事故の後、福島で米作りに取り組む村を描いたドキュメンタリー映画「天に栄える村」が福島市でのロードショーに続き、11月16日から28日まで、東京・中野区のポレポレ東中野で上映(朝10時20分から)されることになりました。(ドキュメンタリー映画監督 原村政樹)(2013/11/09)


みる・よむ・きく
スリランカ映画『やさしい女』上映会&トークショー  12月16日
映画の上映と併せて活動報告を行うイベント『パルシック シネマカフェ』。開催. 第1回目となる今回は、スリランカ内戦に翻弄されたタミル人とシンハラ人の恋愛を描いた映画『やさしい女』を上映します。(2013/11/08)


アフリカ
フランス人ジャーナリスト2人がマリ北部で殺される〜仏政府はアルカイダ組織(AQMI)の仕業をほのめかす〜
  11月2日、アフリカのマリ北部でフランス人ジャーナリスト2人が射殺された。フランス政府は犯人を特定しなかったが、アルカイダ系グループAQMIの仕業というほのめかしをしたようだ。殺されたのはラジオフランスインターナショナル(RFI)のジャーナリスト、ギスレーヌ・デュポン(Ghislaine Dupont)氏と、放送技術者のクロード・ヴェロン(Claude Verlon)氏。(2013/11/05)


文化
パリの芸術家〜子供と親が遊べる文化の場を作る彫刻家ヴァンサン・ベルゴン〜
  パリで活躍している多彩な彫刻家、ヴァンサン・ベルゴン(Vincent Vergon)氏が今、取り組んでいるのは子供と親がともに遊べる場を作ること。それはアミューズメント産業が多額の投資をして建設するものとは性格を異にしていた。パリの北に位置する郊外のオーベルヴィリエ。アフリカなどから渡ってきた移民が多く暮らす地域だ。また同時に家賃が高くなったパリからやってきた芸術家たちの新たなアトリエの拠点にもなっている。(2013/11/04)


米国
アメリカ書店主協会(ABA)がアマゾンを批判
  今年7月30日、オバマ大統領はアメリカ、テネシー州チャタヌーガで<中流層を育てることが大切だ>という演説を行った。その時、オバマ大統領は<(ネット通販の)アマゾンが雇用を増やして米経済に貢献している>と賛美したらしく、またその演説会場もアマゾンの物流倉庫だった。そのことに対してアメリカで実際に書店を街で経営している書店主の協会、American Booksellers Associationがウェブサイトで批判記事をいくつかUPしている。またアメリカ各地の書店主たちがオバマ大統領に演説会場を考え直して欲しいと手紙を書いたりしたようだ。(2013/11/03)


みる・よむ・きく
レイモン・ドゥパルドン写真集 「PPP」〜世界の政治家42人の素顔を写す〜
  レイモン・ドゥパルドン(Raymond Depardon)。日本でその名前を知っている人はどれくらいいるだろうか。パリのクリシー広場に面した大きな書店の写真集のコーナーに足を運ぶと、文庫版になったレイモン・ドゥパルドンの写真集が10冊くらいずらっと並んでいて他を圧倒しているのだった。(2013/11/02)


反貧困
フェアトレードの最前線から 「Fashion Takes Action」
  以下はフェアトレード(公正な貿易・取引)に取り組んでいるファッションブランド「ピープル・ツリー」のニュースレターから。イギリス・ロンドンの「ピープル・ツリー」は、去る10月29日に、これからのファッション産業のあり方について考えるイベント「Fashion Takes Action」を開催しました。2013年4月にバングラデシュの首都ダッカで起こった「ラナ・プラザ」ビル倒壊事故の悲劇。縫製工場で働く1,133名が命を落とし、2,500名を超える負傷者を出したあの事故から半年がたった今、イギリスでは多くのメディアがファッションの今後に高い関心を示しています。(2013/11/01)


コラム
バンダ・アチェの津波博物館  村上良太
 バンダ・アチェには津波博物館が建てらている。津波博物館にはあの日を再現した模型がいくつか展示されていた。猛烈な高さの津波が海水浴客たちを飲み込もうとする瞬間が再現されている。また、船が陸に打ち上げられていく様子も再現されていた。あるいは地震から何分で津波が来るかをシミュレーションし、逃げている人々との関係を示したものもあった。しかし、そんないくつもの展示よりも、もっとも胸を打ち、忘れられないのは博物館の入口である。(2013/11/01)


コラム
秘密保護法案と日本の核武装
  アメリカにとって、安倍政権の秘密保護法案はどんな意味を持っているのだろうか。以下はまったくの個人的推測に過ぎない。アメリカは日本の核武装を恐れている。(2013/10/31)


憲法
ニューヨーク・タイムズが日本の特定秘密保護法案の危険性を社説で指摘
  ニューヨーク・タイムズ紙が安倍政権が国会で成立させようとしている特定秘密保護法案の危険性について社説で書いている。対象は防衛、外交、諜報、テロ対策分野とされるが、何を秘密にするかについてのガイドラインがないことがまず問題であり、「秘密にされるものが何か定義されていない」という曖昧性によって政府は都合の悪い情報は何でも隠蔽できる、と指摘している。NYTの社説で興味深いのは次の内容だ。(2013/10/30)


米国
<監視される米国民が負担するNSAの経費は高すぎる> スティーブ・ハンケ教授のコラムから
  米ジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンケ教授(経済学)のニュースレターから。ワシントン・ポストの報道によると。目下、批判の嵐にさらされている米政府機関NSAなどの極秘活動予算は52.6ビリオンドル(526億ドル)に上っており、農業省の予算の2倍、NASAの3倍に登っているという。(2013/10/30)


TPP/脱グローバリゼーション
ジョゼ・ボベ欧州議会議員がカナダ産ホルモン肥育牛の欧州への輸入に警告
   フランスの農民運動家で欧州議会議員のジョゼ・ボベ氏がカナダ産のホルモン肥育牛が欧州に入ってくることに警告を発している。パリジャン紙によると、欧州連合とカナダが自由貿易協定を結んだ結果、カナダ産のホルモン肥育牛が大量に欧州に輸入される可能性が高い。(2013/10/30)


みる・よむ・きく
アラン・マバンクゥ著 「黒人のすすり泣き」('Le sanglot de l'homme noir' par Aain Mabanckou )
 フランスで「プレス」と書かれた看板のある店には新聞・雑誌が専門に置かれている。しかし、近くのプレスには小さな文庫本のコーナーがある。50冊もないだろう。その中にアラン・マバンクゥ(Aain Mabanckou)という名の著者の作品が3冊置かれていた。筆者はまったくもって知らない作家だ。しかし、プレスの女主人が「いい作家だ」というので読みやすそうなエッセイ集を試しに一冊買ってみた。(2013/10/29)


欧州
西ヨーロッパは冬時間に切り替え  10月の最終日曜日
 「待ち合わせ時間を15分過ぎたけど、おかしいな・・・・」昨日はフランスやイタリアなどの西ヨーロッパ諸国では夏時間から冬時間に切り替える日。1年に2度、この地域では時計の針を進めたり、送らせたりする。それが10月の最終日曜日と、3月の最終日曜日だ。(2013/10/28)


労働問題
パリでセックスワーカーがデモ行進  「セックスワークも労働だ!」〜客の処罰化に抗議〜
   26日土曜の午後、パリのピガール付近の道路でセックスワーカーたちのデモ行進が行われた。参加者たちは大きな声をあげ、<SEXWORK IS WORK!>(セックスワークは労働だ!)というプラカードを掲げていた。(2013/10/27)


文化
パリの文化の危機  家賃の高騰で書店が閉店  芸術家は郊外へ
   パリでまた一つ書店が閉店することになった。モンマルトルで25年営業してきたブッシュラ−デン(BUCHLADEN)書店だ。この書店はドイツの本を中心に日本文学の翻訳書も含め、外国書の専門店として知られてきた。1年以内に店を閉じることになるという。(2013/10/26)


アフリカ
<カダフィの息子を救ったのはロシアの秘密部隊だった>  新刊のノンフィクション「サルコジ・カダフィ」から
  新刊のノンフィクション「サルコジ・カダフィ」(カトリーヌ・グラシエ著)によると、カダフィの息子(次男)セイフイスラム氏を救ったのはロシアの秘密部隊だった。2011年11月、セイフイスラム氏は護衛とともにトリポリから約180キロ南東にあるBeni Walidという町に潜伏していた。そこはゼンタンから10キロほどの距離にあった。しかし、この潜伏先が爆撃されたため(しっかり標的になっていたようだ)、命からがら逃亡。その時、護衛の一人は片足を失う傷を受けている。11月19日、セイフイスラム氏はついに反政府軍に捕まってしまう。記述によればこの時、殺される寸前だった。その時、間一髪である部隊がセイフイスラム氏を保護したとされる。(2013/10/23)


アフリカ
サヘル地域の不安   イスラム聖戦主義者(ジハーディスト)のマリ反攻に備えるフランス
  サハラ砂漠周辺のサヘル地域のイスラム聖戦主義者(ジハーディスト)たちは沈黙を守りながら、反攻の機会をうかがっていると見られている。フランスの情報機関はオランド大統領に再び、戦闘指揮を取ることになる可能性があると警告したとされる。(2013/10/23)


アジア
中国による drone(無人攻撃機)の輸出計画
   無人攻撃機ドローンと言えばアメリカやイスラエルの独壇場の印象があるが、中国も生産を行っており、海外のクライアントの開拓に積極的であるという。(2013/10/22)


みる・よむ・きく
ルモンド紙が「ビッグブラザー」に宣戦布告 
  近年、フランスのルモンド紙は今ひとつ面白さを感じないフラットな新聞になっていた感があった。ここでは新聞の政治的な位置は度外視して、新聞記事が面白いかどうか、読みたいかどうか、読者としての感覚を書いている。ルモンド紙が成長志向にとりつかれ経営を誤ったとか、腕利きの記者・編集者が去っていったとか、様々な批判に触れることがあった。ルモンド紙ばかりでなく、フランスの新聞の多くが独立した新聞でなく、大企業グループの資本傘下にあって自由ではない、ということも指摘されていた。そのルモンド紙が最近、面白い。その理由かどうかは定かではないが、最近編集長が女性に変わったということが1つある。(2013/10/22)


欧州
ロマの女生徒の強制送還事件  オランド大統領がテレビに出演し、解決の必要性に言及
  19日土曜の昼、フランスのオランド大統領がテレビに出演し、目下、問題になっている15歳のロマ(ジプシー)の女生徒の強制送還事件について話した。(2013/10/21)


みる・よむ・きく
生誕300周年 今も絶大な人気があるドニ・ディドロ 〜啓蒙思想家にして、風刺漫談作家〜
  フランスの啓蒙思想家と言えばルソーやヴォルテールがすぐに浮かんでくる。しかしフランスに来ると、ルソーやヴォルテールと同等か、時にはそれ以上に町の書店で存在感があるのがディドロである。(2013/10/20)


欧州
ロマ(ジプシー)の女生徒の強制送還に仏高校生らが抗議   フランスを揺さぶる争点に
   フランスではサルコジ政権時代から、ロマのキャンプの解体と、出身国への強制送還を継続しており、フランソワ・オランド社会党政権に移行しても、その姿勢はほとんど変わっていない。そんな最中、15歳のロマの女子生徒Leonarda Dibraniさんがスクールバスから警察官によって連行され、家族と共に出身国であるコソボに送還された事件はフランスの若者にショックを与えたようだ。今週木曜日にはパリで学生による抗議デモが起き、新聞等でも大きく報じられている。(2013/10/20)


文化
パリの芸術家  〜ベンジャミン・ハドソン・ディーン〜
  僕がベンジャミン・ハドソン・ディーン(Benjamin Hudson Dean)というフランス人らしくない名前の画家に出会ったのは一枚の絵を前にしている時だった。それはオランウータンの肖像画だった。オランウータンを肖像画にする、という発想に驚いたのと、オランウータンの毛が油絵にしても妙にゴワゴワと厚くなっていて、カンバス自体が起伏に富んでいて不思議な絵だな、と感じたのだった。人を食った印象もある。実はこの毛の素材は実際の樹皮を使っているのだと教えてくれた。「生素材」というコンセプトで芸術活動に取り組んでいる人々がいる。これをTXBRUT(テクスチュア・ブリュット)と呼んでパリで絵の連作を行っているのがベンジャミン・ハドソン・ディーン氏だ。(2013/10/19)


市民活動
第7回「憲法を考える映画の会」  〜ナオミ・クラインのノンフィクションに基づいたドキュメンタリー映画「ショックドクトリン」〜
   権力をもって、国民の大切にしてきたものを奪い取ろうとする横暴な政治が襲いかかっています。「特定秘密保護法」「解釈改憲による集団的自衛権」「TPP」「憲法の改悪」が次々と日本国民に襲いかかっています。そこで「憲法を考える映画の会」の第7回。襲いかかってくるこれらの政治情勢に対して、自分たちは何をなすべきかを考えて、選んだのが今回の作品「ショックドクトリンです。(花崎哲)(2013/10/19)


コラム
「新聞・テレビをやめよう」というつぶやきについて
   ツイッターなどのインターネット空間で<新聞・テレビをやめよう>、という言葉をしばしば目にする。大新聞やテレビは嘘を撒き散らし、産業界よりで、情報統制して国民に嘘をばらまいている、というのがその理由である。確かに、新聞やテレビなどのマスメディアが誤解を招きかねない情報を流したり、真相を隠したりすることはあると思う。政治家におもねることもあるし、スポンサー企業の意向に傾くこともあるかもしれない。だから、<新聞やテレビをやめよう>という訴えは理解できないこともない。しかし、訴えている人々は世の中から実際に、新聞やテレビが消滅した社会の可能性を想像したことがあるのだろうか。(村上良太)(2013/10/18)


米国
オバマ大統領に軍配が上がる  ワシントンDCの政治闘争
   財政破綻に直面し、債務上限を引き上げるかどうかをめぐり、10月の頭からオバマ政権と、議会の多数派を占める共和党議員との間で政治の攻防が繰り広げられてきた。その間、行政府ワシントンDCでは一部の政府機関が閉鎖を余儀なくされ、公務員たちも休業を強いられていた。しかし、およそ2週間後の10月16日、両派が債務上限を上げることで合意に達し、公務員たちも職場に復帰することになった。ルモンド紙など欧州メディアでは今回、議会の共和党勢力に妥協しなかったオバマ大統領に軍配が上がったと評価している。(2013/10/18)


欧州
ロマ(ジプシー)は国に統合可能か?〜フランスで議論白熱〜
  かつてジプシーと呼ばれ、最近ではロマと呼ばれる流浪の民がフランスで議論を呼んでいる。ルモンド紙でも、2ページに渡る大きな特集が組まれた。そのタイトルは'La France face a l'integration des Roms'(ロマの統合に直面するフランス)。(2013/10/18)


文化
フランスの演出家パトリス・シェロー氏の死
  10月7日、フランスの演出家、パトリス・シェロー(Patrice Chereau)氏がガンで亡くなった。68歳だった。舞台の演出家だったほか、映画監督としても「王妃マルゴ」「傷ついた男」「愛する者よ列車に乗れ」などの力作を作っている。ルモンド紙では3ページにわたる大々的な追悼記事を組んでいた。家族はもともと絵を職業としており、母親は服飾のためのデッサンを、父親は画家だった。子供の頃から絵を両親から手ほどきされた経験が、「対象を見つめる」演出家への素養となったのだろうと書かれている。映画監督としても知られる人だが、フランスにおいては舞台演出家としての存在感の方が先行している。(2013/10/16)


アジア
『思い出の将軍』  石垣巳佐夫
   今月4日、ベトナムの将軍、ボ・グエン・ザップ(Vo Nguyen Giap)氏が亡くなった。102歳だった。第一次インドシナ戦争やベトナム戦争を指揮したベトナム人民軍総司令官だった人である。ベトナム戦争中にザップ将軍と会ったカメラマンの石垣巳佐夫氏(日本電波ニュース社 社長)に寄稿していただいた。「来賓席は各国の国家指導者たちにうめられている。カンボジアからシハヌーク国王夫妻、日本からは共産党の野坂参三議長。ソ連からコスイギン、中国から葉剣英、ラオス愛国戦線の解放区からスハヌボン殿下とカイソン書記長、その隣にあのザップ将軍が厳しい顔で立っていた。」(2013/10/15)


文化
パリの芸術家  カンバスは地下鉄の切符の裏
  パリには地下鉄が発達している。様々なラインが網の目のように走っているおかげで、交通に不便はない。地下鉄の乗車賃はどこまで乗っても距離に関せず同額だ。駅の入口で切符を機械に入れてチェックが入ると、あとはどういう経路でもかまわない。出口で切符を機械に入れて回収することはない。扉を押して出るだけだ。合理的といえば合理的だ。そんな地下鉄の切符に絵を描いている画家に出会った。(村上良太)(2013/10/15)


文化
パリの芸術家  写真家ベルナール・ルッソ
  40人が参加したパリの芸術青空市、'Place aux artistes!'。そこには写真家も4〜5人参加していた。その一人、ベルナール・ルッソ(Bernard Russo)氏はアジアや中東など世界各地を旅行して写真を撮影していた。彼のブースに行くと、10数枚の写真が壁に掲げられて販売中だった。中心にアジアの田園や寺院を歩く女性の写真があり、また側面にはイスラム社会の静謐な一コマをとらえた写真が掲げられていた。(村上良太)(2013/10/14)


コラム
安部公房と2チャンネル
  当ウェブサイト編集長のツイッターによると、大企業などが2チャンネルに匿名の書き込みをして若者を煽っていたのではないか、という情報がある。2チャンネルなどインターネット社会の匿名性については、当ウェブサイト「日刊ベリタ」でも<匿名性こそインターネットの新たな解放性である>というような評価をしている論者もいたように思う。こういう社会をいち早く想像していた作家の一人が安部公房だろう。(村上良太)(2013/10/12)


欧州
フランス農民の知られざる悲劇 2日に1人自殺 金融危機が牛の酪農家にしわ寄せ
  ルモンド経済欄によると、フランスの農民の自殺率が全職業の平均値より20%近く上回っているというデータが発表された。フランス国立研究機関InVSが農業組織、MSA(Mutualite social agricol)の協力によってまとめた調査によると、2007年から2009年の間に農業部門で485人が自殺していた。(2013/10/12)


文化
パリの芸術家〜政治と芸術について〜写真家ニコル・ペシュキン 2 〜
  40人の芸術家による青空市「Place aux artisites !」に参加し、「デモ行進する人々」(Gens en marche)というコラージュ作品を展示していたニコル・ペシュキンさんに政治と芸術についてお聞きした。(村上良太)(2013/10/10)


文化
パリの芸術家 〜ラルザックの夏の思い出〜
  パリ5区のモーベール広場で行われた芸術展、「Place aux artistes!」。40人の芸術家が参加したが、中には写真家もいた。僕の目を惹きつけたものに写真のコラージュがあった。それは人々がデモ行進をしている写真の切り張りだった。タイトルは「Gens en marche」(行進する人々)。ウーマンリブもあれば、移民の権利を擁護するデモのコラージュもあった。しかし、中でも目を引いた1枚の大行進には「ラルザック→パリ 710km」という幕が掲げられていた。ラルザックとは何だろう?多くの人々が野原を行進している。何かの抗議運動に違いない。(2013/10/10)


文化
パリの芸術家〜 'place aux artistes !'  パリの空の下で40人展 〜
   ギャラリーに入るのは敷居が高くないか?普通の生活者の目に留まる場所で展示をやろう・・・。そんな考えを抱いたパリのギャラリーが青空の下で展示会を始めた。’Place aux artisites!'( 芸術家に場所を!)という展示会、この秋は10月5日から3日間、パリ5区のモーベール広場で行われた。展示に出品したのは40人の芸術家たち。(村上良太)(2013/10/08)


文化
ベルギーの人形劇団 TOF 〜切れ味が鋭い大人の笑い〜
 前回、フランス東部、シャルルビル=メジエールの国際人形劇フェスティバルについて報告した。その時参加していた個性的な人形劇団の1つを紹介しよう。ベルギーの「TOF」だ。1987年から人形劇を上演している劇団で、海外公演を盛んに行っているが、本国ベルギーでは首都ブリュッセルの国立劇場などで公演している。TOFとはベルギーの言葉で「すごい」とか「偉大な」という意味だそうだ。シャルルビル=メジエールで今年上演して大好評だったのが次の出し物。(村上良太)(2013/10/05)


文化
パリの芸術家   トリスタン・バスティ
  パリ19区にアトリエを構える画家のトリスタン・バスティ(Tristan Bastit)氏を訪ねた。バスティ氏はフランスでは巨匠に入る人だが、若い頃から中央画壇やアカデミズムには背を向け、独自の歩みを続けてきたと聞く。ベルヴィルという地下鉄の駅を出ると、あたりはチャイニーズとベトナム人がたくさんいる街であることに気づく。アトリエは2階。初めて訪ねると、バスティ氏は一人昼食のパスタを食べていたところだった。(村上良太)(2013/10/04)


欧州
ギリシアの極右政党「黄金の夜明け」壊滅の危機 〜国会議員6人逮捕 〜反排外主義のラップミュージシャン暗殺そのほか、女性人身売買などの犯罪容疑
  9月18日未明、反・排外主義のラップミュージシャンが暗殺され、反排外主義のデモで各地が騒然としていたギリシア。その後、大きな政変が起きている。9月28日から29日にかけて、ラップミュージシャンが批判していた極右政党「黄金の夜明け」の党首を含め、国会議員6人と党員13人が逮捕されたのだ。さらに「黄金の夜明け」とつながりがあった警察官8人も同時に逮捕された。(2013/10/04)


文化
パリの芸術家 ジャンヌ・ブシャール   
  同時代を生きるパリの芸術家はどんな人たちなのか。どんな作品を作り、どんな生活をしているのか。それを見たいと思った。今回訪ねた芸術家はジャンヌ・ブシャール(Jeanne Bouchart)さん。彫刻家で、1967年生まれのベテランだ。彼女はスペインやベルギーなど海外でも個展を開き、日本でも何度か展示を行っている。(村上良太)(2013/10/03)


コラム
パリの即席麺       村上良太
  観光ならともかく、滞在するとなると毎日クレープとか、バゲットばかり食べているわけにはいきません。そこで近所のスーパーに行くと、即席麺が積んであるではありませんか。中国製か、台湾製のようです。味もカレー味、鴨肉味、牛肉味、マッシュルーム味など数種類バリエーションがあります。(2013/10/02)


コラム
パリの書店 逆風に立ち向かう「捕まえ手」       村上良太
   僕が滞在しているパリ18区、モンマルトル地区はすぐ裏手にピカソが若い頃暮らしたアトリエ「洗濯船」の跡地や、カフェ「ムーランルージュ」などの跡地が多数残されており、散歩をするとあちこちで各国からの団体旅行客と彼らに説明する案内人の姿を目にする。作家マルセル・エイメの「壁抜け男」にちなんだ半身の銅像が壁からにゅっと出ているのもこのあたり。そこから石段を下ってぶらぶら歩いていると、一軒の書店に出会うことになる。L'Attrape-Coeursという名前の書店だ。(2013/09/29)


国際
オバマ大統領とロウハニ師
  ルモンド紙には'Coup de fil historique entre Obama et Rohani' (オバマ大統領とロウハニ師の歴史的電話)というタイトルのほぼ1ページにわたる記事が出た。これは国連総会に出席した後、帰国のため空港に向かうイランのロウハニ大統領とオバマ米大統領が金曜、電話で15分ばかり直接話をしたことを指している。(2013/09/29)


文化
パリの散歩道  シャルルビル=メジエール
  パリから東に240キロ離れた街、シャルルビル=メジエール。日本人にはあまりなじみのない名前かもしれないが、人形劇の国際フェスティバルが2年に一回開かれている。9月20日から29日の10日間の公演期間に世界中から人形劇団が集まってくる。実は世界的に有名な祭典で1961年に始まり、今年で17回目。かつては3年毎だったのが2009年から2年毎になり、フェスティバルの規模も年々発展しているようだ。今回、パリで取材中のアーチストがこのフェスティバルに参加することになり、取材でついていった。(村上良太)(2013/09/29)


コラム
パリの散歩道  満月夜の大宴会      村上良太
   当地では週末になると、あちこちで宴会が始まるようだ。先週も隣に何人か集まって宴会が始まり、歌を歌っていたが、それが終わって階下の部屋に引き上げたのだろう、ブザーを鳴らしまくり、扉をガンガン叩く。その叩き方はまさに暴力的だ。今夜は満月らしい。「らしい」というのは月を見ることが難しいからだ。(2013/09/21)


米国
オバマ外交のピークとなるか?〜国連総会でイラン大統領と会談の可能性〜実現すれば34年ぶりの転換に
  シリア空爆作戦をひとまず鞘に収めたオバマ大統領にイラン大統領のロウハニ師との会談が実現する可能性がささやかれている。実現すればホメイニ革命後に起きたアメリカ大使館員人質事件以来の国交回復のチャンスになる。(村上良太)(2013/09/21)


コラム
パリの散歩道  詩人の生活    村上良太
  パリではどんな詩が今日書かれているのだろう。フランス人の友人から一人の女性詩人を紹介してもらった。名前はカミーユ・ロイビエ(Camille Loivier)。パリ北部のモンマルトルで彼女は暮らしている。住まいはマンションの6階。エレベーターはない。訪ねると、丁度今、新たな詩集を作っているところだという。(2013/09/20)


みる・よむ・きく
カトリーヌ・グラシエ著「サルコジとカダフィ〜機密の裏切りの物語〜」
 今、パリで売り出し中の本が「サルコジとカダフィ」と題する本だ。筆者は未読だが、2007年のフランス大統領選と、2011年のカダフィ殺害が何か関係しているらしい。著者のカトリーヌ・グラシエ氏はジャーナリスト。「モロッコがイスラム原理主義になる日」「略奪者の王」などの著書がある。(2013/09/20)


コラム
化学兵器撤廃条約より、全兵器撤廃条約を
  シリアが化学兵器全廃に向けて動き出すことになった。化学兵器とか、核兵器とか、地雷とか、クラスター爆弾とか、ある種の兵器に限って撤廃したり、拡散を防止したりする条約が結ばれる。カラシニコフ銃などの通常兵器は公認され、こうした兵器は残虐だということで規制される傾向にある。(2013/09/17)


欧州
パリの芸術家   奇妙な装置を作る立体芸術家ゲノレ・アゼルチオップ
  パリのある芸術家のアトリエを訪ねた。パリ市の北東部に位置する10区。地下鉄を出て、サンマルタン運河の脇を通って地図を片手にラファイエット通りを歩いていくと彼のアトリエのある建物が見えてきた。建物の前から電話すると、出てきたのは白髪で、どこかアインシュタインに似た風貌の男だった。「すぐにわかったかね?」(村上良太)(2013/09/16)


みる・よむ・きく
新自由主義科学者の実態を描く、'Merchants of DOUBT'〜市場原理主義の米科学者がエコロジー研究を敵視〜
  筆者が未読の本だが、注目されている本と聞いたのでここで紹介。今日、企業が科学の研究データを金にものを言わせて改変していることがすでに世界で報告されており、科学の最大の問題となっている。「マーチャント・オブ・ダウト」(懐疑論の商人)はアメリカの科学史家、ナオミ・オレスケス(Naomi Oreskes)と、エリック・コンウェイ(Erik Conway)が共同で書き下ろしたもの。(2013/09/16)


中東
NYTより 〜シリアは2014年半ばまでに化学兵器完全廃棄〜ジュネーブで米露交渉妥結
   ジュネーブで行われたシリアに関する米露交渉で、米国のアサド政権懲罰攻撃は一旦回避され、シリアは来年半ばまでに保有する化学兵器を完全に廃棄することになった。ニューヨークタイムズによると、アサド政権は公式声明を出していないが、シリア国営放送が「スタート地点に立った」と肯定するコメントを出したとされる。(2013/09/15)


中東
ロシアの声より〜米露がシリアの化学兵器問題で合意〜空爆中止ただし1週間以内にシリアの化学兵器のデータ公開を〜
  「シリアは1週間以内に化学兵器のデータを公開すること」(’Syria must declare its chemical weapons in a week ’)でロシアと米国が合意した。これはアサド政権空爆に猶予を与えることを意味する。(2013/09/15)


欧州
ロシアの声から 〜極右政党仏FNのマリーヌ・ルペンがオランダの右翼政党に共闘を申し入れ〜 差別的な言動で起訴される可能性も
  欧州を観察している「ロシアの声」はフランスの極右政党FNがオランダの極右政党と来年5月の欧州議員選挙で共闘を申し入れていることを書いている。’Le Pen wants to campaign with Dutch far-right - report ’とする記事である。(2013/09/15)


欧州
2017年の大統領当選を狙う極右政党FN 〜第一歩は地方議会に足場を築く〜
  フランスのフロントナショナル(FN)と言えば移民排斥の極右政党として当地ではかなり警戒されてきた。その象徴は2002年5月の大統領選だった。この時、現職のシラク大統領とFNのジャン=マリー・ル・ペンが最終的に一騎打ちになった。その時、フランス人の大半が極右なんてとんでもない、とシラクに票を投じ、蓋を開けてみるとシラクの圧勝だった。あれから11年が立った。ルモンド紙に2017年の大統領選を狙うル・ペンの娘で現在FN党首、マリーヌ・ル・ペンの姿が大きく掲載されている。(村上良太)(2013/09/14)


核・原子力
汚染水ダダ漏れの福島 〜フランスの新聞から〜
  フランスで週刊新聞として読者数を増やしている稀有な媒体のカナールアンシェネ(Le Canard enchaine)。そこに福島第一原発3基の原子炉の冷却に投じた水が、ポンプで汲めども汲めども漏れていく様子が書かれていた。(2013/09/13)


中南米
9・11から40周年 〜1973年のチリのクーデター〜
  9月11日といえば2001年の同時多発テロの日として世界の人々の記憶に焼きついているだろうが、9・11とはもう一つの現代史の重要な日でもある。それは1973年9月11日、民主的な選挙で選ばれたチリのアジェンデ政権が軍部のクーデターで転覆させられた日だ。その裏には米国の関与があった。今年は丁度40周年にあたる。フランスのTVモンド5(サンク)でも、特集記事を出している。(2013/09/11)


コラム
パリの散歩道  〜モノと人と言葉〜
  パリに来ると、立体芸術に取り組んでいる人が多いのを感じる。鉄のパイプを溶接でつないだり、もっと小さなところでは針金で動物や乗り物などをかたどった土産物を作って売っていたり。平面と違った、こうしたモノとの戯れはときに「無駄な芸術」のように冷ややかに感じられることがあった。そもそも立体芸術は絵画に比べて、場所を取る。日本の家屋では収納スペースも限られているのだ。こうした芸術が毎年作られているとしたら、毎年ある程度は壊されているのだろうか。(村上良太)(2013/09/11)


欧州
ルモンド紙の風刺漫画   「福島を忘れるため」
  フランスの新聞ルモンドには週明け、漫画家プランチュ(PLANTU)のオリンピック開催地に対する風刺漫画が載った。メガネをかけた裸のアジア人が円盤投げのポーズで描かれている。しかし、円盤が原発のマークになっている。(村上良太)(2013/09/10)


みる・よむ・きく
ロジェ・グルニエ著「ユリシーズの涙」
  パリを歩いていると、犬を連れた人々が多いことを感じる。日本でも犬を連れて歩いている人が多いが、パリも多い。野良犬はいない。10年前に比べたら、歩道に落ちている犬の糞もまったく見かけなくなった。犬もさまざま。日本であまりみかけないタイプの色や形の犬も少なくない。(村上良太)(2013/09/10)


コラム
パリの散歩道  モンマルトルの部屋〜バレリーナの部屋だった・・・〜
  今回、僕が滞在しているのはパリ北部のモンマルトルという地域。行政区画としては18区になる。建物のすぐ裏手にピカソが若いころ暮らした「洗濯船」(vateau lavoir)というアトリエの跡がある。まだピカソが貧乏だった頃のいわゆる「青の時代」を生きたところだ。このあたりは坂道が多く、散歩をするには好ましい。住まいの建物は5階建てで、わが部屋は4階になる。(村上良太)(2013/09/09)


コラム
パリの散歩道  シリア騒動2  村上良太
  ルモンドを買って食後にベッドで読み始めたものの、秋の涼しさが疲れに心地よくて眠り込んでしまった。読みかけていたのはシリアへの軍事介入についてフランス人がどう考えているかという世論調査の記事だ。ルモンドが引用しているのはフランスの世論調査会社IFOP(民間のマーケティング会社)のデータ。それによると、目下フランス人の3分の2が介入に反対しており、その割合が8月末に行った調査時よりも上がっている。軍事介入反対の比率がもともと高かったドイツと足並みをそろえる結果となった。(2013/09/08)


コラム
パリの散歩道  〜シリア騒動〜  村上良太
  今、パリに来ています。こちらの新聞・雑誌ではシリア攻撃をめぐる賛否両論の記事がまさに集中豪雨的に出ている感じです。今回、フランスのオランド大統領がオバマ政権に賛同しているところが2003年のイラク戦争と根本的に違っています。「急げ、バラク。おいらは震えてるんだ」(2013/09/07)


文化
「カメラマンとは何か」〜フィルムからビデオへ〜
カメラマンとは何なのか。愚問かもしれない。だが、テレビの映像はカメラで撮影される。だからカメラマンの技術や感性が問われる。しかし、近年、誰でも手軽に撮影できる民生用のビデオカメラが普及して、カメラマンとは何なのか、その存在が改めて問われているように思う。そのことを考えるために、テレビの始まった当初のフィルム時代の話を往年のカメラマンに聞きに行った。フィルム時代とビデオ時代でカメラマンの仕事も大きく変わったのではないか、と思われたからだ。(村上良太)(2013/09/02)


農と食
守田志郎著「小農はなぜ強いのか」   〜私の原点〜映画監督・原村政樹
故・守田志郎先生の「小農はなぜ強いのか」を30年ぶりに読み返す。改めて感動の渦と開眼。哲学とはこういうことなのだ。(2013/09/01)


アフリカ
モダンノマドの日記  アンドレイ・モロビッチ
  サハラ周辺をさすらうスロベニア人の作家、アンドレイ・モロヴィッチさんから久々にメールが届いた。「今、ブルキナファソにいる。僕らはしばらく、電子機器から遠く離れていた。」(2013/08/31)


米国
追い詰められたオバマ大統領〜NYTの漫画より〜風刺漫画家 Patrick Chappatte
  本紙・風刺漫画家、橋本勝氏によれば日本の新聞政治漫画は長期低落傾向にある。そうだとすれば、その理由は切れ味が弱いことだろう。ではその理由は新聞漫画家の衰退にあるのか、編集側の姿勢にあるのか。アメリカに目を移せば今日も新聞風刺漫画家たちは健筆をふるっている。(2013/08/31)


中東
シリア戦争 「欧米の真の標的はイラン」 英インディペンデント紙のロバート・フィスク記者
  シリアはイランと軍事条約を結んでおり、シリアが攻撃された場合、イランは反撃を行うとしている。英国のインディペンデント紙の中東専門記者、ロバート・フィスク(Robert Fisk)記者は欧米の真の標的はイランだとしている(2013/08/30)


反戦・平和
ロンドンでもシリア戦争への反戦デモ
  昨日、ロンドンでもシリア戦争の開戦に反対する人々がデモを行った。(2013/08/30)


米国
米国の反戦デモ イラク戦争の二の舞はごめんだ!    〜アメリカのウェブサイトから〜戦争の連鎖を止めよ
  ニューヨークのタイムズスクエアで8月29日、シリア戦争に反対する反戦デモが行われた。デモの参加者は化学兵器をシリア政府が使ったかどうか定かではないのはイラク戦争の時の大量破壊兵器のケースと同じだ、とオバマ政府の姿勢を批判しているという。(2013/08/30)


みる・よむ・きく
エラスムス著「平和の訴え」  〜人類は500年間進歩なし〜
   最近、本でこんな一節を読んだ。「遠い昔のことはほとんど思い浮かべられないとしても、なんでしたら、過去12年の間に交わされてきた戦争を、この辺で一度考え直してごらんになったらどうでしょうか。その原因を掘り下げて調べてごらんになったらいかがでしょう。そうすれば、ありとあらゆる戦争が産業界の利益のために企てられ、戦争とは全然何の関係もない民衆の被害の上に遂行されたことがお判りになるでしょう。」この言葉は2001年から次々と戦争に余念がない米国のオバマ大統領に寄せられたもののように思えるが、書かれたのは1517年。(2013/08/29)


中東
米軍艦がシリア沖に  〜ヴォイス・オブ・ロシアより〜シリア戦争は始まるのか?
  シリア戦争に備えるべく、米軍艦のUSS Mahanがシリア沖に接近していることをヴォイス・オブ・ロシアが伝えた。さらにGravely, Barry 、Ramageの3隻も近海でスタンバイしているという。これらはトマホークミサイルを搭載しており、オバマ大統領のゴーサインが出ればただちに発射する。(2013/08/28)


アジア
世界のベタ記事から  中国でも無差別殺人〜チャイニーズドリームの終焉なのか?〜
  昨日、中国の四川省・成都市で無差別殺人事件が起きた。殺人犯は41歳の男性で、日曜夜に乗っていたバスの乗客をナイフで刺し始め、その後バスを下車して今度は歩行者を刺し始めた。男性は駆け付けた警官によって撃たれ逮捕されたという。(2013/08/27)


みる・よむ・きく
モリエール作「守銭奴」  〜現代の英雄〜
  最近若い人がこんなことを話していた。「多国籍企業は税金が高くなるのなら外国に拠点を移すと言って政府を脅していますが、貧乏人ならともかく、巨額の利益を出している企業なのにやっていることが貧乏くさい。いったい、なんでそうなるんでしょうね?」それを聞いて僕はある舞台を思い出した。(2013/08/27)


みる・よむ・きく
ベルクソン著 「時間と自由」  〜人間は自由なのか、決定されているのか?〜ベルクソンの青春の試論
  この夏、フランスの哲学者、アンリ・ベルクソン(Henri Bergson, 1859-1941)の「時間と自由」にトライした。かれこれ20年来、興味を持ちながらもなかなか読めないでいた本だ。興味を持ったのは本書の中に、ミミズのようなうねった線分が挿絵で描かれていたことだ。そしてM,O,X,Yという4つのアルファベットが線の脇に書き込まれている。このミミズのような線とアルファベットの説明図に僕は惹きつけられたのだ。人間は自由なのか、自由でないのか、それを論じている箇所である。(村上良太)(2013/08/24)


アジア
世界のベタ記事から  尖閣諸島周辺
   8月18日日曜早朝、日本のナショナリストの活動家と漁業者合わせておよそ20人が5隻の小船に乗り込んで中国と領土問題になっている小さな島々(尖閣諸島)に向かった。彼らの行動は日本の海上保安庁によって厳しく監視された。この日、中国側のパトロールがなく、トラブルは起こらなかった。(2013/08/22)


アジア
世界のベタ記事から  〜韓米軍事演習始まる しかし北朝鮮のマイルドな報道姿勢〜
  今週月曜から韓国軍と米軍の共同軍事演習が始まった。演習には韓国軍5万人、米軍3万人が参加するとされ、12日間続けられる。通常、韓米軍事演習が始まると、北朝鮮メディアは北朝鮮への侵略準備の開始だとして強く非難している。ところが、今回は非難こそしていても口調が和らかだ、とニューヨークタイムズは見出しを含めて13行のベタ記事で報じた。(2013/08/21)


ITフロント
新手のフィッシング詐欺 2 〜三井住友、三菱東京UFJも警告〜
  8月16日、三井住友銀行もウェブサイト上でユーザーに警告を出した。インターネットバンキング(SMBCダイレクト)のユーザー向けだ。「SMBCダイレクトにログインした直後等に、当行の画面を模倣した不正な画面を表示し、暗証番号等お客さまの情報を入力させようとするコンピュータウィルスの発生が確認されました。」(2013/08/21)


欧州
スペインの漫画から  裸の天国
スペインのエル・パイス紙の常連漫画家、Erlichの新作。 天国の男女が二組、左右に並んでいる。(2013/08/21)


コラム
民主主義とテレビ         村上良太
   イスラム世界を揺さぶった「アラブの春」の仕掛けの1つにデジタルビデオカメラを使った映像がある。先日、朝日新聞でアルジャジーラテレビの元編集長ワダ・カンファル(Wadah Khanfar)氏が「アラブの春」の報道について語っていた。アルジャジーラはビデオカメラを市民に配布してトレーニングし、市民が撮影した映像をニュース番組に盛り込んでいたという。そのための準備は数年前から行われてきた。カタールの放送局、アルジャジーラテレビは最も初期から「アラブの春」を報じ、ある意味煽ってきたメディアでもある。同じことはミャンマーの場合にもあてはまる。(2013/08/20)


中東
シリアの化学兵器 〜政府・反政府双方が相手を非難〜国連チームがダマスカス入り 検証が始まる
 シリアでは反政府側、政府側(およびロシア)の双方が相手が化学兵器を使用したと提訴している。そんな中、国連のチームが日曜にダマスカス入りした。これから検証が始まる予定だ。(2013/08/20)


ITフロント
新手のフィッシング詐欺日本上陸 MITB(マン・イン・ザ・ブラウザ)型への対策 欧米では被害多発
   銀行と信じて暗証番号や口座番号を空欄に入力したら、犯罪者による偽画面だった!こんな手口でインターネットを使ってユーザーを騙す手口をフィッシングと呼ぶ。従来型の手口はユーザーのもとに企業を騙ったメールを送り、リンクにクリックさせて偽サイトに誘導するタイプが多かった。ところが近年欧米で流行しているのは最初は本物の銀行のウェブサイトにアクセスしながら、その時、偽画面が出てくる(ポップアップする)手口だ。この新手のフィッシングはMITB型と呼ばれている。そしてこのMITB型が昨年ついに日本に上陸、昨年暮れには金融機関8社の顧客らが狙われ、総額数百万円が奪われたという。(2013/08/20)


みる・よむ・きく
クロエ作 「ジャンヌの季節」〜現代フランス女性のトホホな独白録〜
   フランスの漫画屋で「ジャンヌの季節」(Les saisons de Jeanne)という風変わりな作品に出会った。漫画では鳥のような顔の若い娘、ジャンヌの見た世界、感じた世界が描かれていく。絵は極めてシンプルで学生時代にノートに描きつけたいたづら描きのようだ。登場人物はみな同じような鳥顔である。けれども、眼差しが微妙に変わるので、気持ちは細やかに表現されている。著者はクロエ(Chloe)という名前の女性である。(村上良太)(2013/08/18)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画「天に栄える村」(1時間46分)の上映会
  福島県で原発事故に立ち向かう天栄村の農家の人達を原発事故の2年前から4年間撮影をして今年2月に完成したドキュメンタリー映画「天に栄える村」(1時間46分)の上映会のお知らせです。日時:8月24日(土)上映14時から(会場:13時半)場所:東京ウィメンズプラザホール  (原村政樹)(2013/08/17)


反戦・平和
8月15日の米紙のオピニオン頁
  昨日の8月15日は日本国民にとって8月6日および8月9日とともに重い一日である。米紙ニューヨークタイムズの論説オピニオンのページには米ロ関係の悪化(とうかロシアのプーチン政権に対する巻き返し策)とともに、'The trauma of colonialism'(植民地主義のトラウマ)と題された寄稿が掲載された。(2013/08/16)


米国
オバマ大統領の第二戦線 米国民の内なる敵“肥満” ベルトは締まったか 子供はどうだ?
  オバマ大統領にとって、アルカイダ掃討作戦もさることながら、肥満との戦いも冗談抜きで真剣な戦いである。というのは肥満が原因で起こる心臓病や成人病などにより、国民の医療費が底をつきかけないからだ。そんな中、8月8日付のニューヨークタイムズ国際版に「貧困家庭の子供の肥満率が減少」という朗報が踊った。(2013/08/13)


みる・よむ・きく
「赤ずきん」
 「赤ずきん」と言えばシャルル・ペローのコント集や、グリム童話でおなじみの童話の定番だ。狼が森で出会った赤い被り物をした少女に<食欲>を感じ、少女が訪ねる病気のおばぁさんの家を先回りする。まずベッドのおばぁさんを食べ、そのおばぁさんに化けて、赤ずきんを待ち伏せして、だまして食べてしまう。この話には別バージョンもある。(2013/08/11)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画「呉さんの包丁〜戦場からの贈り物〜」(監督:林雅行)
  民間の空襲被災者の人生や、日本の植民地だった台湾の人々の人生を濃密に描いてきた林雅行監督の最新作「呉さんの包丁〜戦場からの贈り物〜」が今月から、渋谷のユーロスペースを始め全国各地で上映される予定だ。ドキュメンタリー映画「呉さんの包丁」の舞台は金門島。だが、そう言われて金門島がどこにあるか正確な位置を示せる人は果たして何%いるだろうか。(2013/08/10)


コラム
北欧の玩具 2  「自然の猿真似ではいけない」
  デンマークの首都コペンハーゲンから北に海岸沿いをドライブしていくと、美しい海岸線の先でモダンな集合住宅に出会うことになる。デンマークが誇る著名な建築家、アルネ・ヤコブセンが海岸のリゾート地に建てたベラヴィスタ集合住宅である。住宅は白く、建築から70年を経ても、遜色のない美しさだ。(村上良太)(2013/08/10)


コラム
北欧の玩具   村上良太
   北欧に行くとシンプルで素敵なデザインの家具に出会うことができる。しかし、家具は基本的に持ち帰りが難しい。だが、そんな大きなものでなくても、北欧のデザインを満喫できるものがある。木製の玩具だ。猿や河馬など様々な動物のデザインがある。筆者が土産に買ってきたのは8センチくらいの小さな鳥の玩具だ。(村上良太)(2013/08/09)


みる・よむ・きく
再放送「ETV特集 焼け跡から生まれた憲法草案」
 参議院議員選挙を終えて、なお熱い夏ですね。第4回「憲法を考える映画の会」で見た『日本国憲法誕生』を作られたプロデューサーの方から下記の様な案内をいただきました。NHK・ETVセレクション 8月11日(日)00時00分〜(10日土曜日の深夜)「ETV特集 焼け跡から生まれた憲法草案」(戦争を考える映画の会 花崎哲)(2013/08/09)


アフリカ
ジンバブエ ムガベ大統領圧勝の理由とは? オックスフォード大学のジンバブエ人政治学者の視点
 7月31日に行われたジンバブエの大統領選挙で現職のムガベ大統領(89)が対抗馬のモーガン・チャンギライ首相(61)を破り、再選を果たした。これでムガベ氏は1980年の英国からの独立以来、一貫してジンバブエの政治リーダーであり続けている。前回の2008年の大統領選ではムガベ大統領陣営の選挙の不正が訴えられた。また、旧宗主国の英国を始めとした西欧メディアから、ムガベ大統領の独裁者ぶりがことあるごとに書き立てられてきた。しかし、今回の選挙はチャンギライ陣営が訴えているような不正選挙の結果だったのか?そのことに関して、英国のガーディアン紙上にジンバブエ人の政治学者が興味深い分析を寄稿している。(2013/08/07)


コラム
コンテンツを「単発で見せてくれ」〜放送局・映画館以外の第三の道は可能か〜
   日刊ベリタはかつて月間1050円の講読料だったのを今年から月400円に大幅値下げした。従来から、もっと下げた方がいいという声を外部の人から聞いていた。中には年間3000円が限度かな、という声も複数耳にした。しかし、何事も試行錯誤のインターネット媒体にとって大きな賭けなので実現に時間がかかった。それでも私の知る放送業界人からはこんな声も聞いた。(村上良太)(2013/08/06)


コラム
管理が強まる大学 〜政治と学問〜
  京都大学名誉教授の中山研一氏(刑法学者)が亡くなる前に執筆して公開していた「中山研一の刑法学ブログ」の中に、山形大学学長選をめぐる話がある。中山教授は学長選で選ばれた人物が文部科学省の官僚であり、つまり天下りであったことに憂慮しているのだ。かつて学長は学内選挙で選ばれた人物に決まっていたのに対し、昨今は学外者が多数入った学長選考会議で決定されているとして中山教授は危機感を抱いていた。(村上良太)(2013/08/05)


米国
ウィキリークス漏洩事件の軍事裁判   
  米国の機密文書を内部告発サイト「ウィキリークス」に漏洩した罪で軍事法廷で裁判が行われているブラッドリー・マニング上等兵について、一番重い「利敵行為」という罪状では無罪が言い渡された。しかし、その他のおよそ20の罪状については有罪判決が下された。(2013/08/04)


アフリカ
ジンバブエのコカコーラ     
  「コカコーラはMDC(チャンギライ候補が属する政党)を支援したわけではない」(ニュー・ジンバブエ紙)今年の選挙キャンペーンの過程でジンバブエ政府の広報紙とも言われている国営ヘラルド紙が「コカコーラはMDCを支援している」と噛みついたようだ。(村上良太)(2013/08/03)


コラム
エイミー・ジョー・ジョンソンの映画作り    村上良太
   20年来の東京在住者でラジオの国際ニュースキャスターをしているフランス人の友人、フィリップ・ヴァルドア(Philippe Valdois)はデジタルメディアに詳しい。先日、「これを見てくれ」、とアイパッドを開いた。クリックするとそこに流れた映像は歌だった。(2013/08/01)


みる・よむ・きく
難民がやって来た。受け入れか、排除か?シリア難民でエーゲ海の島が揺れた!「難民に揺れる島 ギリシャ・レスボス」(NHK/BS1)
  オリーブ畑が広がるエーゲ海の風光明媚なレスボス島。この島に最近、異変が。浜辺に打ち上げられる何体もの遺体。巡回パトロールの警備隊が発見した密入国のボート。そこには見馴れない風貌の人々がいた。シリアの難民だ。彼らはトルコ沿岸から小さなゴムボートに乗ってギリシャ領になっているエーゲ海の島々を目指す。最短距離のところでおよそ10キロ。(村上良太)(2013/07/31)


政治
山口定著「ファシズム」(岩波書店)
  ファシズムとは何か?政治体制だが、ファシズムと一言で言っても、さまざまな体制がある。ヒトラーのナチス、戦前・戦時中の日本、ムッソリーニのイタリア、スターリンのソ連(この場合はむしろ全体主義と呼ばれている)など、左派政権もあれば右派政権もある。ナチスドイツは国家社会主義ドイツ労働者党と称していた。山口定著「ファシズム」はファシズム研究の第一人者がこの問題に取り込んだ意欲的な書である。(村上良太)(2013/07/30)


安倍政権を検証する
スノーデン氏の帰国をうながす米司法省 〜死刑にはならないだろう〜内部告発・情報漏洩と処罰そして「秘密保全法案」〜
   米国家機密の漏洩で米国からパスポートを無効にされたまま、モスクワ空港に足止めを受けている元NSA職員のスノーデン氏のその後の状況が報じられている。今もスノーデン氏はモスクワに留まり、亡命先を探しているようだ。この状況に対し、米司法省は死刑になることはないだろう、と帰国を促している。(2013/07/28)


安倍政権を検証する
安倍政権が提出する「秘密保全法案」(仮名) 〜処罰は公務員だけではない〜国民が知るべき情報は国が決める
  日本弁護士連合会が安倍政権が国会に提出して通そうとしている「秘密保全法案」への危惧を訴えている。日弁連のパンフレットによれば法案の内容として、「国の存立にとって重要な情報」を新たに「特別秘密」に指定し、秘密を扱う人の「適正評価制度」を導入し、「特別秘密」を洩らした人は厳しく処分することなどがあげられる。(2013/07/27)


みる・よむ・きく
「ザ・ノンフィクション」<おじいちゃんの遺言〜あんたとボクの人生最後の3ヶ月〜> 井上秀明(映像編集)
28日(日)午後2時00分よりフジテレビ「ザ・ノンフィクション」 (2013/07/27)


みる・よむ・きく
山田文比古著「フランスの外交力〜自主独立の伝統と戦略〜」(集英社新書)
  山田文比古著「フランスの外交力〜自主独立の伝統と戦略〜」は冒頭にずばんとテーマを1行で語っている。「なぜ、フランスは米国に「ノン」と言えるのか。これが本書のモチーフである」(2013/07/27)


みる・よむ・きく
横塚眞己人著「ゾウの森とポテトチップス」(そうえん社)
  子供たちの夏休みも本番を迎えている。そんな今、町の書店で面白い本に出会った。そうえん社の「ゾウの森とポテトチップス」という本だ。これは課題図書にも指定されており、夏の読書にお薦めということにもなっている。この本の特徴はいくつかある。まずボルネオ島に生息するゾウの生態がよくカメラで撮影されていることだ。(2013/07/26)


市民活動
第5回「憲法を考える映画の会」〜GHQ草案の手本を書いた学者を描く劇映画『日本の青空』〜
暑い夏、お元気でお過ごしでしょうか?私たちは「夏の参議院選挙までに少しでも多くの人が憲法について考える機会を」とめざしてきましたが、その結果は予想通り残念なものでした。でも負けてはいられません。これからが本番です。第5回「憲法を考える映画の会」は、GHQ草案のお手本となった憲法研究会の鈴木安蔵を中心に、その過程を描いた劇映画『日本の青空』を見て、日本国憲法の原点を考え今の問題を話します。(2013/07/25)


米国
デトロイト市破綻の記事に寄せて 2  村上良太
  前回、朝日新聞が書いたデトロイト市の財政破綻に関する記事を読んで自分が去年取材した印象と違っていることを述べた。その記事は多くの方に読んでいただいたようだが、1つだけ今更ながらだが補っておく情報があったのでここに記したい。(2013/07/24)


文化
フランスの俳優〜フランソワ・パティシエ 喜劇に魅かれて〜
  フランス人の中には日本文化に関心を持つ人が少なくない。俳優のフランソワ・パティシエ氏もその一人。日本を訪れたことがあり、東日本大震災の時には励ましの言葉を送ってくれた。彼は舞台に立つことが多いが、映画にも出演する。最近だと、フランスの名匠、アニエス・ジャウイ監督の最新作「Au bout du conte 」。ジャウイ監督はパートナーのジャン=ピエール・バクリ(俳優)と喜劇の脚本を多数共同執筆しており、社会性のあるコメディを作ってきた。この映画に出演しているパティシエ氏も3年前に「何か自分たちでも面白いことをやろう」と俳優仲間と脚本を書き、後に30分の短編映画「不測の事態」(Contretemps)を自主製作した。これはやることなすことすべて裏目に出てしまう不器用な男の喜劇で、自ら主演している。手に触れるものすべてが壊れたり、事故ったりする。そして出会った女も男の不幸に飲み込まれていく。この短編映画は今春、カンヌ映画祭にも出品されたばかりだ。(以下はインタビュー)(2013/07/23)


コラム
デトロイト市破産の新聞報道を見て   村上良太
  昨日7月20日(土)の新聞でアメリカ・ミシガン州デトロイト市の破産が報じられた。負債総額は180ドル(約1兆8千億ドル)を超えるとされ、アメリカの地方自治体の破産としては過去最大のケースだと朝日新聞で報じられた。朝日新聞の見出しを見ると「自動車の街 無一文」「みんな出て行った」「工場は移転」「殺人年400件」「荒廃」とこれでもか、と言わんばかりである。確かに、デトロイトの経済は苦しい。しかし、昨年デトロイトに2回取材に行って僕が現地で見て、感じたことと何かずれている。(2013/07/21)


文化
パリの散歩道  ショーウィンドウのビザールな置物
  パリのショーウィンドウの写真が送られて来た。台の上に置かれているのは動物の置物のようだ。しかし、どこか風変わりな風貌である。(村上良太)(2013/07/21)


文化
南青山の前衛美術の現場  VOID+  
 地下鉄「表参道」駅から徒歩3分の東京・南青山に美術の展示場VOID+(ヴォイドプラス)がある。建物は瀟洒な住宅のようだが、テナントのデザイン会社が建物内部のわずか7平米の茶室のような空間を使って前衛美術の展示を行っている。実際、訪ねてみると「うわぁー、なんて狭いんだ!」とまず思うだろう。しかし、その限られた空間ならではの面白味がある。展示は年間4〜5回ほど。次回の展示は10月から2か月間催される3人の女性アートストによる連続展だという。(村上良太)(2013/07/19)


文化
焚書の光景  
 「対談 知識人たちの阿片」や「回想録」などの著書のあるフランスの社会学者・哲学者のレイモン・アロンはその日〜1933年5月10日〜、ベルリンで焚書を間近に見ることになった。(村上良太)(2013/07/19)


文化
パリの散歩道   夏の飲み物
   パリにも夏がやってきた。ここはセーヌ河の右岸に位置する4区のリボリ通り。後にそびえるのは「サンジャックの塔」。この塔はスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅の起点となっている。(村上良太)(2013/07/18)


アジア
世界のベタ記事から <東南アジアで近年最大の森林火災による煙害>〜インドネシア司法当局がマレーシアのアブラヤシ植林会社を告訴する方針〜
 インドネシアの警察当局は過去16年間で最大の森林火災による公害(大気汚染)をひきおこしたとしてマレーシアのプランテーション会社クアラルンプール・ケポン(Kuala Lumpur Kepong)の現地法人を告訴する方針を決めたと新聞発表された。(2013/07/18)


欧州
14Juillet 〜パリ祭の日に大統領から悲しい知らせ〜  
  昨日7月14日は「カトルズ・ジュイエ」=フランス革命の記念日で、恒例のパリ祭だった。しかし、フランソワ・オランド大統領はアキム(アフリカ北部マグレブ地方のアルカイダ組織)に人質に取られていたフィリップ・ベルドン(Philippe Verdon)氏が死亡した可能性があることを告げた。(2013/07/15)


文化
パリの散歩道  アパートの取り壊し
  これはパリの古いアパートの取り壊し風景。場所はパリ市内北部の18区。モンマルトルの周辺にマルティール通りという名の通りがある。3世紀にローマ皇帝の異教迫害命令によって斬首されたキリスト教徒の坊さんが自分の首を持って布教しながらこの通りを歩いたという言い伝えがあり、マルティール(Martyrs=殉教者)の名前はそこから来ている。これはその通りで撮影されたもの。1つの建物が解体されると、隣に残る古い建物の煉瓦の断面が露わになる。いつごろ建てられたものだろう。後に見える新しいアパートと対照的だ。ミヒャエル・ハネケ監督の映画「アムール」(Amour)で痴呆症の進む老妻を看る老夫(ジャン=ルイ・トランティニャン)が暮らしていたのもこんな古いパリのアパートの上の階だった。(村上良太)(2013/07/13)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画「天に栄える村」(監督:原村政樹)
  原村政樹氏によるドキュメンタリー映画「天に栄える村」が完成し、上映が始まった。映画の舞台は全国的に知られるうまい米の産地・福島県「天栄村」。映画は天栄村の水田が福島第一原発事故による放射性物資で汚染されてから、農民たちがどのような運命をたどったかを地に這うような地道な取材で活写している。放射能はどうすれば減らせるのか、どうすればゼロにできるのか。村をあげた全身全霊の戦いが始まる。この映画を見た福島県在住の作家・住職の玄侑宗久氏がこんな一文を寄せた。(2013/07/13)


みる・よむ・きく
柳澤恭雄著「戦後放送私見〜ポツダム宣言・放送スト・ベトナム戦争報道〜」   
  けやき出版から出ている柳澤恭雄著「戦後放送私見」は独自の道を歩んだテレビマンが書き下ろした個性的なテレビ史の証言記録である。柳澤氏は「日本のいちばん長い日」でもそのエピソードが描かれているのだが、天皇の玉音放送を守ったNHKの幹部だった。戦時中、NHKが戦争協力をしてきた歴史を反省し、戦後は左翼的立場からジャーナリズムを始めようとしたがレッドパージで追放されてしまう。そこで自ら起こしたニュース映像の配信会社が日本電波ニュース社である。それは安保闘争たけなわの1960年のことだった。(2013/07/12)


コラム
日本人のハートに火をつける安倍首相      村上良太
  安倍首相の人気は高い。参院選も自民党が圧勝する可能性が高いと新聞は報じている。安倍首相の願いは「戦後レジーム」からの脱却だとされる。それは論理的には戦前・戦中への回帰である。安倍首相は日本人の心に火をつけるかもしれない。それも今みたいなものではなくて、本当にハートに火をつけるかもしれない。(2013/07/12)


中東
ロシア外相「サリン兵器を使用したのは反政府勢力」
  ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はサリンを使った化学兵器を使用したのは反政府勢力だと声明を出した。3月19日にアレッポ付近で使用されたものだとして、調査結果を国連安保理に提出したとされる。この声明はロシアの国営放送局ヴォイス・オブ・ロシアのウェブサイトに掲載された。これはシリア政府が化学兵器を使用したとしてフランス外務省が声明を出した時の化学兵器とは違うケースである。(2013/07/11)


文化
パリの散歩道 〜詩の市場〜
  6月、パリのほぼ中心に位置する第六区のサン・シュルピス広場(Place Saint Sulpice )で「詩の市場」が開催された。会場には特設ブースが設置され、出版社・書店が集まってきて詩集を並べた。(村上良太)(2013/07/11)


中東
ハンケ教授「シリアはハイパーインフレに突入した可能性あり」
  シリアはハイパーインフレに突入した可能性がある・・・インフレを専門的に研究してきた米ジョンズホプキンス大学のスティーブ・ハンケ教授が発表した。(2013/07/11)


アフリカ
エジプトの政変をひきおこした経済事情〜米経済学者の分析では〜エジプト・ポンドの下落
 エジプトのムルシ大統領が軍から力づくで解任された件で現在もエジプトではムルシ派の市民がデモを行い軍と衝突、死傷者が続出する状況となっている。米ジョンズホプキンス大学の経済学者スティーブ・ハンケ教授はエジプト経済の近況をデータにして発表した。そのデータを見ればエジプトの政変の裏に、深刻な物価高が進行していたことが想像される。(2013/07/09)


みる・よむ・きく
門天ことばの交差点プロジェクト〜(第一回)講談の悟道軒圓玉師〜
皆様へ 新装開店《両国門天ホール》のシリーズ企画「ことばの交差点」のご案内です。このシリーズは芸のことば、音楽のことば、身体のことば・・・さまざまの分野で《いま光る言葉》を探って行こうというプロジェクトです。その第一回にご登場頂くのは講談の悟道軒圓玉(ごどうけん えんぎょく) 師。 昭和40年代、当時は火の消えたようと言われた講談界に彗星のように現れ二つ目時代に谷崎潤一郎の『刺青』などを講談化し、二度の芸術祭賞を得るなど注目されたが平成元年、脂の乗り切った47歳の時交通事故に遭遇。自転車ごと跳ね飛ばされ全ての記憶、言葉を失った。(伊東喜雄)(2013/07/08)


みる・よむ・きく
クロード・レヴィ=ストロース著  「野生の思考」
   経済的に豊かになること、効率化すること、進歩することに人類は弱い。それは経済成長の思想でもある。今、「民主化」と「市場主義」が手を携えて世界を席巻しつつある。これに対して人類は抵抗しがたい。これに抵抗しているか、あるいは条件をつけて全面受け入れを渋っているイスラム世界を西欧は遅れた社会と見なし、改革すべきだと考えている。デジタル機器が、そして銃が送り込まれている。我が国もそうした西欧の価値観に漬かっている。アフリカや中東の国々の人々を無条件に「遅れた人びと」と見る目線を持っているし、その自分の眼差しを当たり前のこととして疑うことがなくなってしまっている。そんな今、フランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロースが書いた「野生の思考」を読んでみた。(村上良太)(2013/07/07)


みる・よむ・きく
「かえる物語〜帰村宣言騒動記〜」 井上秀明(映像編集)
7月7日 七夕の日曜日.午後2時00分より、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」にて「かえる物語〜帰村宣言騒動記〜」を放送致します。(井上秀明)(2013/07/05)


米国
エジプトの政変〜オバマ大統領は「クーデター」と呼ばず〜アメリカ第二の軍事費支援国エジプト
  エジプトのムルシ大統領がエジプト軍によって解任された政変は、日本のメディアでは「クーデター」と表現されているが、アメリカのオバマ大統領は懸念を示しながらもクーデターという言葉を避けたと報じられている。(2013/07/05)


みる・よむ・きく
「日本国憲法誕生」(NHKスペシャルをDVD化)
  「夏の参議院選挙までに」を合い言葉にして来ましたが、その参議院選挙も目前に迫っています。第4回「憲法を考える映画の会」■7月6日(土)14時〜17時■婦選会館1階多目的ホール(渋谷区代々木2-21-11) TEL 03-3370-0239 プログラム 1、「日本国憲法誕生」(74分) 2、「STOP戦争への道」(30分)(2013/07/03)


検証・メディア
ジャーナリストか、活動家か。
  今回、スノーデン氏がNSA(米国家安全保障局)の極秘データを託したジャーナリストの1人がガーディアン紙の米担当記者、グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)氏だった。グリーンウォルド氏は弁護士でもあり、個人のプライバシーを護る<活動家>でもあった。だからこそ、スノーデン氏は彼に情報を託したのだった。米当局はエドワード・スノーデン氏に今後刑事訴追をかける可能性があるが、同様に<活動家>グリーンウォルド氏に対しても国の秘密を公開したことを手助けした罪が課せられる可能性もささやかれているようだ。果たして、彼はジャーナリストなのか、活動家なのか。(2013/07/03)


中東
シリアの通貨戦争 〜年間インフレ率200%に=1年で物価が3倍に〜シリア・ポンドを支えるイラン
  シリアの内戦の裏で、シリア通貨であるシリアポンド(リラ)の価値が下落し続けている。ついに年間インフレ率が200%になったと、インフレに詳しい米ジョンズホプキンス大のスティーブ・ハンケ(Steve H. Hanke)教授が発表した。これが本当であればシリアの物価は1年で3倍になることになる。(2013/07/03)


経済
スティグリッツ著「世界の99%を貧困にする経済」〜その2 インフレと失業率〜フィリップス曲線
  コロンビア大学の経済学者ジョセフ・E・スティグリッツ教授はアベノミクスを支持していることで最近、日本のメディアで取り上げられた。金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢を評価しているのだ。(そして金融財政政策を評価しながらも成長戦略については注文をつけている。)なぜアベノミクス支持なのか。(2013/07/02)


中南米
エクアドル外相とジュリアン・アサンジ氏の通信がハッキングされる
 ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏と現在、彼が亡命中のエクアドルの外相リカルド・パチノ(Ricardo Patino)氏のインターネット通信が何者かにハッキングされていた。パチノ外相が現地時間で日曜、ツイッターで表明した。(2013/07/01)


国際
「NSA(米国家安全保障局)のPRISMは欧州連合を標的にしていた可能性あり」〜ドイツ誌が暴露〜
  あるフランスの週刊誌は「NSA(米国家安全保障局)による極秘プロジェクト’PRISM’は欧州連合を標的にしていた可能性あり」との見出しを掲げている。(2013/06/30)


中東
キッシンジャー元米国務長官「シリアは分割されるべきだ」〜ヴォイス・オブ・ロシアより〜
  ロシア国営放送から中東のシリアを見ると、こんな記事が紹介されていた。アメリカのキッシンジャー元国務長官が「シリアを分割せよ」と主張しているというのだ。(2013/06/29)


米国
NSAのPRISMの背景にある米国愛国者法・対外情報監視法とその乱用〜米市民団体が抗議〜
  アメリカのNSA(米国家安全保障局)とその関連機関が極秘に大量の市民のEメールや電話記録を収集していた件につき、米市民団体American Civil Liberties Union (ACLU)が抗議を行っている。ニューヨークタイムズ紙もその合法性に疑問を提出する寄稿を掲載した。(2013/06/28)


経済
スティグリッツ教授(経済学)とグローバリズム 
  アメリカの経済学者のジョセフ・E・スティグリッツ教授と言えば「情報の非対称性」理論でノーベル賞を受賞したブリリアントな学者というだけでなく、格差問題やグローバリズムの弊害に良心的に取り組んでいるというイメージが強い。実際、そのような本も多数書いている。ところが東洋経済新報社から翻訳で出ている、スティグリッツ著「ミクロ経済学(第4版)」である。(2013/06/27)


米国
スノーデン氏、モスクワ空港入り〜プーチン大統領が発表〜米パスポート失効か??
  プーチン大統領は米国家機密をリークしたスノーデン氏がモスクワ空港に到着したことを発表した。(2013/06/26)


人権/反差別/司法
アラブの春の出発点 チュニジアで注目のある裁判 〜警察を侮辱して禁固2年のラッパーWELD AL15の控訴審〜
 「アラブの春」の出発点はチュニジアだった。そのチュニジアで今、注目されているのが人気を博しているラッパーWELD AL15の裁判だ。彼が逮捕されたのは歌の中で「警察はうんざりだ」などと警察当局を侮辱したからとされる。第一審では禁固2年の判決だったが、今、その控訴審が行われている。(2013/06/26)


核・原子力
ニューヨークタイムズが報じた日本の原発政策
  安倍政権の原子力政策についてニューヨークタイムズは6月20日付けの新聞(国際版)で新たな原発の規制案が出来たこと、7つの電力会社が合計13の原子炉再稼働の申請をするつもりだということ、そして野田民主党政権時代に掲げられていた原発廃止の目標が取り外されたことを報じた。(2013/06/25)


米国
アラブの春の設計者たち〜NYT寄稿 'When Arabs Tweet'(アラブがツイッターを始めるとき)
  国際政治コラムニスト、ラミ・クーリ(Rami G.Khouri)氏による「アラブがツイッターを始めるとき」がニューヨークタイムズに寄稿されたのはアラブの春が始まる半年ほど前の2010年7月ことだ。この中でクーリ氏はヒラリー・クリントン率いる米国務省が中東・北アフリカの「民主化」を狙って、ツイッターやフェースブックなどのデジタル機器を使った変革を起こす計画を推進していたと書いている。(村上良太)(2013/06/25)


コラム
「北京の春」    村上良太
  最初にお断りしておくと、本稿は北京とも春とも関係がない。フランスの作家ボリス・ヴィアンが書いた「北京の秋」にあやかったタイトルだ。「北京の秋」は北京とも秋ともなんら無縁の小説に前衛作家ヴィアンがあえてそんなタイトルをつけたのである。2011年以来、「アラブの春」という言葉が世界的に大流行している。(2013/06/24)


みる・よむ・きく
長谷川まり子著「ゴビンダの「補償金と生活」」(新潮45)
  ノンフィクション作家の長谷川まり子氏が今月発売の「新潮45」に「ゴビンダの「補償金と生活」」というレポートを書いている。ゴビンダ氏と言えば東電OL殺人事件で冤罪で投獄されていたゴビンダ・プラサド・マイナリ氏。ネパール人である。昨年暮れ、無罪が確定し、獄中生活に対する補償額およそ6800万円が支払われることになったとされる。そんなゴビンダ氏の帰国後の日々を追っている。(村上良太)(2013/06/23)


アフリカ
アフリカの動乱 ・マリ暫定政府とトゥアレグ族の分離独立派が停戦合意〜来月には大統領選挙〜
  2012年春のクーデター以来、マリ北部はトゥアレグ族の分離独立派とイスラム原理主義勢力によって占拠されてきた。しかし、今年1月のフランス軍の介入とその後のイスラム原理主義勢力の撤退によって、状況に変化が生まれている。その結果として今月18日、マリ暫定政府軍がトゥアレグ族の分離独立派と停戦に合意したとフランスの週刊誌ヌーベルオプセルバトゥールが報じている。(2013/06/22)


人権/反差別/司法
世界のベタ記事から〜98歳の男性がナチ戦犯として訴追される〜「上官の命令に従っただけ」
  ハンガリーで今月、ナチ戦犯として98歳の男性が訴追された。この男性、Lazlo Csatary被告はアウシュビッツ強制収容所にユダヤ人が送られるのを手助けした罪などに問われている。被告は「上官の命令に従っただけ」と無罪を主張している。記事はニューヨークタイムズなどによる。(2013/06/20)


米国
アメリカの政治風刺漫画  
 アメリカのベテラン風刺漫画家、ウォルト・ハンデルスマンは今も旺盛に1コマ漫画を発表している。5月に発表された1枚はまさに絶大な米大統領の権力を描いている。(2013/06/18)


中東
ロシア外相「シリア政府軍が今化学兵器をなぜ使う必要があるのか?」
  アサド政権を支援しているロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は先週土曜、シリア政府側が今、自国民に化学兵器をしかも少量に限って使用する必要性が理解できない、と語ったとされる。一方、ニューヨークタイムズではRamzy Mardini氏(Iraq Institute for Strategic Studies) がオバマ政権が反政府側に武器を提供するのは誤りだという文章を寄稿している。その理由はいくつかある。(2013/06/17)


みる・よむ・きく
ジョン・スチュアート・ミル著「自由論」    
  英国の哲学者ジョン・スチュアート・ミル著「自由論」が光文社古典新訳文庫から翻訳されて出ている。近年、「自由」という言葉が最も頻度をもって使われるのは新自由主義という言葉だから、この本も何かそれに関係があるのか、と思う人もいるかもしれない。すでに「自由」という言葉が私たちの生活の中で、ほとんどその本来の力を失ってしまったからだ。(村上良太)(2013/06/17)


中東
シリアから化学兵器使用の証拠サンプルを持ち帰ったルモンド記者
  ルモンド紙の「チャット」欄に、ルモンド記者がシリアから政府軍が化学兵器を使用した証拠のサンプルを持ち帰った経緯について問答形式で発表されている。記者はジャン=フィリップ・レミ氏。(2013/06/16)


コラム
映画とテレビ
 昨日、映画「日本国憲法」の上映会場で監督のジャン・ユンカーマンさんにお会いすることができました。ユンカーマン監督と言えば僕の場合、与那国島の漁師を撮影した「老人と海」をまず連想しますが、この映画も見そびれており、昨日が初めてみるユンカーマン作品でした。(村上良太)(2013/06/16)


中東
イランの「本当の」インフレ率  米経済学者の試算では・・ 〜大統領選の裏舞台〜
  イランの年間インフレ率はイラン政府発表の数字では31%だった。これは100円の商品が物価上昇で1年後に131円になっていることを意味する。今、日本の安倍政権が導入しているインフレ目標の2%とは100円のものが1年後に102円になることである。このイランの年間インフレ率=31%という数字自体かなり高い数字だが、こんなものではないと言う経済学者がいる。(2013/06/16)


反戦・平和
映画「日本国憲法」(ジャン・ユンカーマン監督)
  6月15日、代々木の婦選会館で「憲法を考える映画の会」という集まりがあり、ジャン・ユンカーマン(John Junkerman)監督のドキュメンタリー映画「日本国憲法」が上映された。ユンカーマン監督は憲法第九条に焦点を当てながら、戦後にこの憲法を作った人々がいかなる考えで作ったのか、またこの憲法が後にアジアや世界の人々にどう受け止められたのかを丹念に各地を訪問して取材している。会場には監督のユンカーマン氏も訪れ、様々な観客の感想を聞いた後、自ら撮影にまつわるエピソードや思いを語った。(2013/06/15)


米国
ロシアの声「個人情報を提供した米IT企業はドイツ司法大臣に明確な回答をせず」
  ヴォイスオブロシアによると、米IT企業が米当局に提供した個人情報に関して、ドイツ司法大臣がマイクロソフトとグーグルの代表と話したものの、核心部分はぼかされたままに終わった。(2013/06/15)


国際
ロシア外務省「この証拠ではシリアが化学兵器を使ったとは立証できない」〜米英仏はロシア説得に失敗〜
  ヴォイス・オブ・ロシア(ロシアの声:露国営放送)はロシア外務省が出した声明を伝えた。米英仏が主張しているシリア政府軍による化学兵器使用は立証できていない、というのであある。(2013/06/14)


米国
PRISMで「自分が監視されていたかどうか確認する権利がある」
  オバマ政権の下、インターネット上の個人情報が極秘に米当局によって収集されていたことが内部告発で発覚した件で、欧州連合のビビアン・レディング氏(欧州連合の司法担当行政官)が米国のエリック・ホルダーJr.司法長官に手紙を送った。ニューヨークタイムズの報道によれば中でもインパクトのあるのが以下のくだりだ。(2013/06/14)


米国
内部告発者 ワシントンポストの追跡記事 
  米政府が極秘にIT企業9社の協力を得て個人情報を収集していたことがエドワード・スノーデン氏の内部告発で出て、その対象が外国人だったことから世界中をも震撼させている。最初の記事を書いたワシントンポスト紙の追跡記事によればスノーデン氏が所属していたBooz Allen Hamilton 社はスノーデン氏を解雇した。(2013/06/12)


米国
米国のインターネット個人情報収集計画の内部告発者「その是非について公衆の議論に期待」
  やはり真実だったのだ。米国の国家機関がテロ対策という理由で、インターネット企業9社の保有する個人情報にアクセスしていたことだ。英国のガーディアンと米国のワシントンポストが内部告発資料を添えて記事にし、米当局の逆鱗に触れていたが、インターネット企業の多くは関与を否定していた。しかし、内部告発をした人物が名乗りを上げたことでこのイシューは今後、米国民の議論の対象となる可能性がある。(2013/06/11)


核・原子力
フランス「緑の党」が核に関するオランド大統領の言動をチェック
  フランスの週刊誌レクスプレス(L'express)はこんな見出しの記事を出した。’Nucleaire: les Verts surveillent Francois Hollande’「原子力:緑の党がフランソワ・オランド大統領を監視」。福島第一原子力発電所事故から2年、緑の党は事故の教訓をもとに原子力大国であるフランスのリスク管理体制を改善するべきだという。(2013/06/10)


みる・よむ・きく
『映画 日本国憲法』(監督ジャン・ユンカーマン)〜憲法を考える映画の会の第3回目〜花崎哲
  アジアの国の人々は日本が「戦争をしない国」だということ、戦争を放棄した日本国憲法をもっている国だと言うことを知っているのでしょうか?憲法を考える映画の会の第3回目は海外からの視点で日本国憲法をとらえた映画『映画 日本国憲法』をいっしょに見て、話し合い、わからないことに知恵を出し合って憲法を自分たちのものにしていきたいと考えています。第3回はアメリカ人のジャン・ユンカーマン監督の『映画日本国憲法』です。(花崎哲)(2013/06/10)


核・原子力
日仏共同声明「原発は重要です」〜フランス大統領の核政策〜
  先週フランスのオランド大統領と安倍首相が日仏共同声明で「原発の重要性」を認め、原子力発電事業の協力をうたった。日本の多くの人は驚いただろう。福島第一原発事故の処理すら未だ終息していないからだ。2011年3月11日、東日本大震災によって福島第一原発事故が発生した。施設の建屋が爆発する映像は世界に衝撃を与え、ドイツでは原子力発電からの撤退を決めることになった。フランスでもアンケート調査では国民の過半数が原子力発電からの撤退を希望したとされる。ところが、2011年秋に行われたフランス社会党の翌年行われる大統領選に向けた候補者選びでは原子力発電からの完全撤退を政策にするオブリ候補が敗れ、財界の意をくんで縮小にとどめるオランド大統領が勝利した。(2013/06/09)


米国
ワシントンポストが報じた米国家機関によるネット個人情報の収集プログラム‘PRISM’〜ネット企業各社は弁明〜
  ワシントンポストと英紙ガーディアンが同時に、米国家機関がグーグル、マイクロソフト、アップル、ヤフー、スカイプなどの協力を得て、個人情報の収集を行っていることを報じた。その目的はテロ撲滅にあるとされるが、この報道によって米市民の怒りが巻き起こっているらしい。その一方でナショナルインテリジェンスディレクター(国家情報長官)のジェームズ・クラッパー氏はワシントンポストなどに対して激烈な非難を行った。(2013/06/08)


アフリカ
悪評高かったジンバブエの土地改革の真実〜英国農業学者の意外な調査結果〜 
  欧米の新聞でもっぱら独裁者として批判が絶えない政治家の一人がアフリカ、ジンバブエのムガベ大統領だ。彼が欧米メディアから非難を浴び始めたきっかけは2000年に彼が行った土地改革にある。この土地改革はかつて少数の白人が独占的に所有していた農地を多数の黒人使用人たちに分け与えるものだった。この時、白人地主たちから無償で土地を没収したことやその際、暴力事件も多数発生してしまったことから、ジンバブエは国際社会から孤立することになった。その後、ハイパーインフレーションと食糧危機が起こり、ムガベ大統領の手痛い失政と見なされた。しかし、彼の土地改革は本当に失敗だったのか?そう問いかける常識破りの記事が登場した。ジンバブエの旧宗主国で白人農家のルーツだった英国のBBCである。(村上良太)(2013/06/07)


経済
グローバル時代の「ルイスの転換点」 〜アベノミクスの弱点〜 村上良太     
  昨年、ニューヨークタイムズの寄稿欄で中国在住の女性記者が書いた一文に強い印象を受けた。記事のタイトルは「中国の労働力はもう安くない」(’Chinese Labor, Cheap No More’)というもので、2月17日付けである。記事の骨子は中国が「ルイスの転換点」を迎えてしまったということである。(村上良太)(2013/06/07)


コラム
アベノミクスの論点    村上良太
  アベノミクスが始まったのが昨年12月だったから、約半年になる。この間、安倍政権は日銀の協力を得て為替を円安に誘導し、平均株価の上昇につなげた。庶民の多くは久々に景気のいい話だと喝采を送った。しかし、最近になって高騰していた株価が急激に下降する事態が何度か起き、アベノミクスは本当に大丈夫なのか、という不安も同時に広がっている。(2013/06/05)


みる・よむ・きく
報道カメラマン山城博明による「激動のOKINAWA42年」〜琉球新報創刊120年企画展〜
  琉球新報写真映像部に所属して活躍している報道カメラマン、山城博明氏の写真展「激動のOKINAWA42年」展が横浜の日本新聞博物館で開かれる。開催期間は6月22日(土)〜8月18日(日)。(2013/06/04)


みる・よむ・きく
「フレンチコネクション」「エクソシスト」の映画監督ウイリアム・フリードキンが薦める映画本
  映画監督のウイリアム・フリードキン(1935-)という名前を知っている人は多分40代以上かもしれない。1971年に型破りな刑事ドラマ「フレンチコネクション」を、1973年にはホラー映画ブームを作った「エクソシスト」を監督してその名を馳せた。そのフリードキン監督が最近どうしているかまったく知らなかったが、アメリカで買ったウォールストリートジャーナルに顔を出していた。それは読書欄だった。「ウイリアム・フリードキンお薦めの映画監督に関する本」というタイトルで、彼が5冊の本をチョイスしているのだった。(村上良太)(2013/06/03)


欧州
世界のベタ記事から〜ドイツ政府が高齢化したホロコースト生存者に支援金を拠出〜
  ドイツ政府はナチ時代に行われたユダヤ人絶滅政策「ホロコースト」の生存者たちに向けて来年から4年間、総額8億ユーロを拠出することに決めた。生存者たちが高齢化しているからだ。対象者は世界中に散らばっており、ケアを受ける人は56000人に及ぶ。さらに、9万人が食糧、薬、そのほかの支給を受けることになるという。(5月31日付、インターナショナルヘラルドトリビューンによる)(2013/06/02)


検証・メディア
紙媒体の危機 米トリビューン系列新聞(LAタイムズ、シカゴトリビューンなど8紙)が売りに出され・・・
  アメリカのトリビューン系列の8紙が売却されようとしている。8紙の中にはロサンゼルスタイムズやシカゴトリビューンなどの主要メディアが含まれている。そして、それを買おうとしている(らしい)人物が富豪で投資家のデビッド・コーク氏とチャールズ・コーク氏のコーク兄弟だ。コーク兄弟は共和党の中でも小さな政府を信奉するグループ「ティー・パーティ」の資金源になっている人物。そこでロサンゼルスでは「売却するな」と読者や市民らによるデモが行われている。新聞報道を綜合すると、。「新聞はパブリックトラストである。このような極端なイデオロギーを持つ人物の手に渡るのは問題だ」というのが反対する人々の共通の思いのようだ。(2013/06/01)


反貧困
持続可能な「これからのファッション」〜フェアトレード・ファッションショーに挑戦〜
フェアトレードの専門ブランド「ピープル・ツリー」は、5月27日からブラジル・リオデジャネイロで開催されている世界フェアトレード機関(WFTO)の年次総会「グローバル・フェアトレード・ウィーク」で、フェアトレード・ファッションショーをプロデュースし、持続可能な「これからのファッション」をアピールしました。(2013/05/31)


コラム
新聞のテレビ欄 〜なぜある番組だけ色をつけるのか?〜  村上良太
  新聞のテレビ欄(業界ではラテ欄と呼ばれている)にはそれぞれの放送局の番組担当プロデューサーたちが苦心して書いた番組の売りが印刷されている。1つの番組の持つスペースは放送時間の長さに比例するわけだが、その限られた枠の中で何とか読者(視聴者)の関心を引くために担当者たちはしのぎを削っているのである。欄が小さく、字数が少なければ少ないほど言葉の選択は難しい。だからラテ欄は戦場でもあるし、株式市場のようなフェアを要する場で本来はあるべきだと思っている。ところが最近、いくつかの番組だけが赤で色づけされていて、そこだけ放っておいても目に飛び込んでくる、という現象が起きている。本来フェアな戦いであるべき場と思ってきたテレビ欄に異変が起きているのだ。(2013/05/30)


核・原子力
ニジェールのウラン鉱山が襲われるのを警戒していたフランス 
  先週木曜、イスラム原理主義勢力によって襲われたアレバ社のウラン鉱山だが、フランスの週刊誌やニューヨークタイムズなどの報道によれば、最近、フランスは警戒を強め、警備体制を強化していたと伝えられている。フランスは電力の75%を原子力に依存しており、その原料となるウランの多くがニジェールのArlitやImourarenで採掘されている。ニューヨークタイムズによると、アレバ社の全ウラン採掘量の30〜35%がニジェール国内で採掘されている。(村上良太)(2013/05/28)


核・原子力
ニジェールでフランス原子力大手アレバ社のウラン鉱山を狙ったテロが起こる 原子力テロ時代の到来か
ニジェールで先週23日木曜、イスラム原理主義勢力Mujaoによる新たなテロが起こり、約20人が死亡したとされる。このテロについては複数のイスラム原理主義グループが声明を出していた。血盟団はニジェールに対する最初の報復攻撃に過ぎない、という内容の警告を伝えている。テロを起こしたとされるグループのMujaoはマリを占領していたイスラム原理主義勢力の1つで、今年1月、フランス軍によってマリから駆逐されていた。フランスの週刊誌ヌーベル・オプセルバトゥール誌などの報道によると、木曜にニジェールで起きたテロは2つのテロからなる。1つ目のテロは午前5時ころ、車に仕込んでいた爆弾が爆発したものだ。場所はウラン鉱山のあるアガデスのニジェール軍の軍事キャンプだった。死者の中には民間人もいる模様だ。それから30分後に2つ目のテロが行われた。場所は同じアガデス州だが今度は標的がニジェール軍ではなく、フランスの民間企業だった。 (2013/05/28)


みる・よむ・きく
ティナ・フェイ著 「Bossypants」
  最近、アメリカの空港で必ず目にする本がある。それが「ボッシーパンツ(Bossypants)」と題するペイパーバックだ。表紙はワイシャツにネクタイ姿の可憐な女性なのだが、腕だけが太くて毛むくじゃら。合成したものなのだが、一度見ると強烈で忘れがたい。この本、あちこちの書店で目にするもののそれがいったい何の本なのか、著者のティナ・フェイが何者かわからないままだった。(村上良太)(2013/05/24)


みる・よむ・きく
新日本風土記「川越」  原村政樹
私が暮らす町を紹介する番組、新日本風土記「川越」を作りました。埼玉県川越には東京では失われた江戸の文化が、街にも農村部にも残っています。その郷土の伝統文化を大切に守り続ける魅力的な市民をご紹介いたします。(ドキュメンタリー映画監督:原村政樹)(2013/05/19)


みる・よむ・きく
「ザ・ノンフィクション / オカン、ごめんな。〜京 涙の修業物語〜」 井上秀明(編集)
  5月19日(日)午後2時00分 フジテレビ「ザ・ノンフィクション / オカン、ごめんな。〜京 涙の修業物語〜」を放送します。努力しなければ、何とかしなけれれば、こんなはずではなかった、あ〜っ・・・。そう思いながらダメになって行く自分を感じるときってありますよね。(井上秀明:編集マン)(2013/05/17)


コラム
テキサスという土地    村上良太
  仕事でアメリカ南部のテキサス州を旅してきました。テキサスと言えばメキシコと国境で接しており、当然ながらメキシコ出身のヒスパニック系住民が多数暮らしています。この州で仕事で出会った人物はロドリゲスというヒスパニック系の苗字の持ち主でした。ですから、彼はヒスパニック系の移民なのかもしれないと僕は思いました。しかし、そうではなかったのです。ロドリゲス氏は旅をしながら、僕にこんなことを教えてくれました。(2013/05/16)


みる・よむ・きく
ミヒャエル・ハネケ監督「Amour(愛)」
  この春、オーストリアの映画監督ミヒャエル・ハネケによる映画「Amour (愛)」を見た。この映画はフランスの俳優を使ってフランスで撮影された(であろう)フランス語の映画ながら、やはりジャーマン的な、というかウィーン的なハネケ監督の感覚が強く感じられた。(村上良太)(2013/05/13)


市民活動
映画を見て憲法を考える会 〜『八十七歳の青春─市川房枝生涯を語る─』〜
   4月から映画を見て憲法を考える会を、月1回のペースで開いています。その第2回に市川房枝さんが婦人参政件運動について自ら語った『八十七歳の青春─市川房枝生涯を語る─』を上映して、その後参加者とともに話し合うことを予定しております。5月15日は市川房枝さんの120回目の誕生日です。市川房枝さんは男女同権(基本的人権)、反戦平和、国民主権の日本国憲法の実現のために戦後一貫して政治活動をしてきました。改憲が論議される中、市川房枝さんの活動から憲法について学び 考えようと、今回の「憲法を考える映画の会」を企画しました。(花崎哲)(2013/05/12)


欧州
パリジェンヌの日記〜映画監督ローラン・ノエル〜ヴィルジニー・ブリエン
Q「あなたが美術監督として参加した短編映画「不測の出来事」を作った監督のローラン・ノエルについて。いったいどんな作品をこれまで作ってきたんですか?俳優のフランソワ・パティシエの火事で焼けた家を使って撮影した短編とは?・・・」(編集部)ローラン・ノエルは最初は自主制作で映画を作っていた。テーマの多くは社会のあり方とか、人間関係だ。そこに一種のブラックユーモアを漂わせていた。2002年にノエルは長編を撮影した。「酔っぱらった4人の男」というタイトルだ。フランスの国家機関CNCの援助金も配給のための支援もなく、自前で作ったのだ。(2013/04/28)


コラム
ニュースの三角測量   村上良太
  最近僕は外国人の友人が多くなって、コミュニケーションも英語で結構やっています。上達した英語ではまったくありません。粗雑そのものです。それにしょっちゅう文法の誤りも犯しています。ですからもっと語数を豊かにして上達したいという思いは今も強くあります。そんな英語もままならない僕が同時にフランス語をやっているのは日本人はニュースソースを非英語圏からも1つ持っていた方がいいと考えているからです。(2013/04/28)


みる・よむ・きく
堀川惠子著「裁かれた命〜死刑囚から届いた手紙」 原村政樹(ドキュメンタリー映画監督)
 近年、これほど胸を打たれる感動を受けた本はない。中学時代、ドストエフスキーの「罪と罰」を正月休みに読みとおした時の感動以来であった。著者の堀川惠子さんは私と同業のドキュメンタリーディレクターで、かつ、活字メディアでも活躍している。彼女と初めて会ったのはある番組の懇親会、その時、一度きりだったが、これほどまでに凄い創り手だとは想像もつかなかった。死刑囚とそれに関わる検察官、裁判官、家族などとの手紙を通して、死刑という非常にシビアなテーマで、人間の深さを、事実を丹念に取材して...、私情を表に出すことなく、真実を伝えている。(2013/04/22)


コラム
新書が薄い    村上良太
  かつて新書と言えば岩波新書だった。岩波新書は中身が詰まっていた。誠実で個性的な研究者による何十年かの研究の成果がびっしり詰まっていたからだ。その新書市場に90年代以後、多数の出版社が参戦して、百花繚乱の時代となった。今や新書は電車で2時間で読める雑誌の特集だと誰かが書いていたが、なるほどと思った。新書は2時間で読み捨てる媒体になったのだ。以前は新書をよく読み、テレビ番組の企画づくりの参考にもしていた。しかし、最近では企画を作るから新書を読もう、という感じがまったくしなくなってしまった。新書を読みたいという気がなくなったし、新書コーナーに足をとめることも稀になった。(2013/04/21)


アフリカ
モダンノマドの日記  ボボ・ディウラッソの借家  アンドレイ・モロビッチ
  西アフリカのブルキナファソの都市、ボボ・ディウラッソでモロビッチさん夫妻は家を借りて滞在中だ。「ボボディウラッソの我が家の写真を何枚か送る。」(2013/04/20)


みる・よむ・きく
レーモン・クノー作「文体練習」 
  言語の実験に果敢に取り組んだフランスの作家レーモン・クノーの「Exercice de style」は日本で「文体練習」という題の邦訳で出版されている。これは短いひとつの話を99通りの表現で綴り集めたものである。その話とは次のようなものだ。(村上良太)(2013/04/14)


アフリカ
モダンノマドの日記  雨季を待ちながら  アンドレイ・モロビッチ
  サハラ周辺をさすらうスロベニア人の作家アンドレイ・モロビッチさんからメールが届いた。「eメールの書き手としては実に怠惰になってしまったことを本当にすまなく思っている。どういうわけか、僕はこのところパソコンを避けていたんだ」(2013/04/13)


文化
セルジュ・ラトゥーシュ氏が講演「消費社会からの脱出」 
 「経済成長なき社会発展は可能か?」を書いたセルジュ・ラトゥーシュ(Serge LATOUCHE)氏が来日し、講演を行う。タイトルは「消費社会からの脱出」。場所は東京・恵比寿駅に近い日仏会館にて。案内のちらしによれば5月24日(金)18:30〜20:30。要申込み。定員120名。参加費無料。(2013/04/12)


検証・メディア
サッチャー元英首相、逝去(87)
  英国のマーガレット・サッチャー元首相(1925−2013)が亡くなった。87歳だった。サッチャー氏は英国最初の女性の首相(1979−1990)として注目を集めた。80年代に規制緩和や国営企業の民営化を進め、米国のレーガン大統領とともに新自由主義の象徴的存在として知られる。産経新聞は「頼れる英国の母」と見出しに書き、サッチャー氏の政治家としての業績を大絶賛している。しかし、英国人にとってサッチャー氏が「母」なのかどうかは議論があるところではないか。(2013/04/09)


欧州
ドイツ傘下の欧州連合  ウルリッヒ・ベック教授の「リスク社会論」とドイツ
  ベック教授はドイツとユーロの状況自体がリスク社会のよい例だという。ドイツのメルケル首相はギリシアが欧州連合を揺さぶるとはまさか思っていなかったというのだ。(さらに福島の原発事故を見て原子力発電からも撤退を決めた。)先にどんなリスクが待ち受けているか見えなくなってきている。こうした状況にあっても、この先に待ち構えるリスクへの準備を行うことは可能だとベック教授は考えている。そのためには国境を越えた諸国の連携と、新自由主義にはできない未知のリスクに対する国家の政策と予算が必要だと説いている。(2013/04/07)


みる・よむ・きく
松本道弘著「giveとget〜発想から学ぶ英語〜」
  最近の書店で見かけなくなったいい本はたくさんある。松本道弘著「giveと get〜発想で学ぶ英語〜」もそんな一冊だ。英語をもう一度、やり直したい、という人が多いようだが、この本は刺激になるのではないか。というのも、松本氏はgiveと getの2つの動詞で相当多くのことが表現できるばかりでなく、この2語に英語の思考法が集約されていると説いているからだ。(村上良太)(2013/04/06)


米国
世界のベタ記事から 全米ライフル協会の提言
  アメリカの学校では無差別乱射事件が普通に起きている。そこで米上院で銃規制について議論されている今月、NRA(全米ライフル協会)が招集した政策チームが提言書を出した。ニューヨークタイムズによると政策チームを率いたのはアーカンサス州の元下院議員(共和党)、Asa Hutchinton氏。(2013/04/05)


経済
キプロスとロシア          
 国が金融破たんしたキプロスとその背後のロシアの関係について、インターナショナルヘラルドトリビューンで面白い寄稿を読んだ。欧州連合にあってキプロスは小さな国だが、そこに対するロシアの関係はなかなかに深い。その構図をわかりやすく説明したのが寄稿者のBen Judah氏である。(村上良太)(2013/04/04)


中東
エジプトの「アラブの春」の象徴、タハリール広場で女性への暴行・レイプが横行 女性の政治参加を牽制か
  エジプトのムバラク政権を倒した「アラブの春」の中心地、カイロのタハリール広場で複数の女性が暴行・レイプを受けていると報じられている。インターナショナルヘラルドトリビューンは今週末の社説を「タハリールのテロ」とタイトルを付し、ムスリム同胞団などイスラム主義勢力が政治から女性を外そうとしている動きだと批判した。(2013/03/30)


みる・よむ・きく
土井敏邦「異国に生きる〜日本の中のビルマ人」
  今日からポレポレ東中野で公開が始まったドキュメンタリー映画「異国に生きる」。監督の土井敏邦さんからメールが届きました。「「異国に生きる―日本の中のビルマ人」は「ビルマ問題」を論じ伝える映画ではありません。“祖国の民主化”の実現のために、家族と別れ、日本政府の難民政策の厚い壁に阻まれながらも、遠い異国・日本で懸命に生きるビルマ人青年の“生き方”を通して「人にとっていちばん大切なものは何か?」「個人は社会とどう関わるのか?」「真の“愛国心”とは何か?」を私たち日本人自身に問う映画です。(2013/03/30)


市民活動
憲法を考える映画の会   花崎哲
  2012年12月の総選挙の結果、安倍政権が誕生し、この夏の参議院議員選挙までは大人しくしているが、参院選で多数を取ることができれば一気に改憲に向かうと言う話がまことしやかに語られ、その動きも着々と進められています。国会議員の多くが何らかの形で憲法改正に賛成しています。そうした動きに対して大きな危機感を抱いている人もまた多いと思うのですが、その声や動きはまとまったものとしてなかなか伝わってきません。こうした中、自分たちに何かできることはないかと考え、それは自分たちの考えていることを話し、伝えていくことではないかと考えました。そこで表題のような「映画の上映と話し合いの会」を企画しました。(花崎哲)(2013/03/30)


中東
イラク戦争の死者数    
  今売出し中のフランスの雑誌、ルモンドディプロマティークは1面で「イラク戦争から10年 イラクはどうなった?」とする特集を組んでいる。一番気になるのはイラク人の死者数だ。同誌は'Comter les morts'(死者数を数える)と見出しをつけて推定の数字を複数紹介している。真実は数万〜100万までの間にあるとしている。(村上良太)(2013/03/29)


みる・よむ・きく
NHK・BS1「ドキュメンタリーWAVE〜シリア ある家族の戦争〜」
  ドキュメンタリー番組のプロデューサー、熊谷均さんから番組案内が届きました。NHK・BS1「ドキュメンタリーWAVE〜シリア ある家族の戦争〜」放送: 3月30日(土)22:00−22:49 再放送:3月31日(日)12:00−12:49(2013/03/29)


コラム
イラク戦争から10年 大新聞の記事を読んで 
  朝日新聞は3月20日付の朝刊でイラク戦争を取り上げ、「開戦から10年」という見出しの特集を大きく組んでいた。記事の目玉は当時、小泉政権の官房長官だった福田康夫氏へのインタビューである。この中で、福田氏は当時は大量破壊兵器がイラクにあるのかないのか、情報がなかったと語っている。(村上良太)(2013/03/27)


みる・よむ・きく
「タンタンの冒険」シリーズ.愁咼┘畔圈コンゴ編  村上良太
  ガルーダ航空の帰国便の出発まで7時間あまりあったので、何か気楽に読めるものを・・・と思っていたら、「タンタンの冒険」シリーズを発見した。コレクター向けの編集で、1冊に2つから4つの物語が収録されている。中でも、最も興味深かったのはタンタンシリーズの原点である「ソビエト編(In the land of the Soviets)」だった。これはタンタンがシリーズ化される前の、読み切りの1本でシリーズでは唯一の白黒である。(2013/03/27)


文化
ノーラのニューヨーク(写真)日記 2
  ニューヨークで雑誌や新聞にイラストを描いているイラストレーターのノーラ・クリューク(Nora Krug)さんから新たな写真が届きました。1枚の絵に見入っている女性。手は後ろ手に組んでいます。女性の服装には横にラインが入っており、絵画の線描とどこかシンクロしているという印象もあります。添えられた文章は短いものでした。 (2013/03/12)


コラム
あとがき不要論    村上良太
  本にはたいがいあとがきが添えてある。あとがきにはたとえば翻訳書の場合には翻訳者による解説が添えてある。また翻訳者以外にも、評論家などが解説を加えている。あとがき不要論などとタイトルを付したが、僕自身もあとがきをよく読むし、あとがきから読み始めることも少なくない。それでも、あとがきには必ず弊害がある。(2013/03/10)


欧州
パリジェンヌの日記 〜短編映画「不測の事態」のスタッフになる〜 ヴィルジニー・ブリエン
  撮影後少しの休みを経て、スタッフは再びエネルギーを取り戻し、さらに客観性をもって、仕上げ作業が始まった。(2013/03/10)


欧州
パリジェンヌの日記 〜短編映画「不測の事態」のスタッフになる◆繊.凜ルジニー・ブリエン
  撮影は3日間だ。2011年の5月11日、12日、13日に、パリ郊外及び、パリ5区とパリ12区で行われた。(2013/03/09)


欧州
パリジェンヌの日記 〜短編映画「不測の事態」のスタッフになる 繊.凜ルジニー・ブリエン
  今日は私が参加した短編映画について書くとしよう。映画のタイトルは「不測の事態(Contretemps)」。監督や俳優たちにインタビューをしたので舞台裏をしっかり書けるのだ。この映画は2012年にローラン・ノエルが監督したもの。私自身が参加したので私にとって特別な映画でもある。私は画家の傍ら、何年も映画美術を生業にしてきた。だからもしバジェットの少ない短編映画に参加するとしたら、その映画の企画が本当にやりたい場合に限る。「不測の事態」の場合もまさにその通り。参加したことを悔いていない。やりがいのある1つの冒険だった。この映画、とても希望と詩情にあふれているので、美術家として参加できたことは私の誇りよ。(2013/03/09)


中南米
女性のツイッター発信者’厳選’50人を紹介 チリのテルセラ紙
 チリのテルセラ紙はツイッターで発信している活動的な女性50人をセレクトして紹介している。女優、新聞記者、エコノミストと職業は様々だ。(2013/03/09)


中南米
チャベス大統領の葬儀  欧米はセカンドランクの使節を派遣 
  昨日、ベネズエラのカラカスでチャベス大統領の国葬が行われた。フランスのフィガロ紙が写真を掲載している。(2013/03/09)


アフリカ
ベルモフタル容疑者の死亡写真  本人かどうか議論を呼ぶ    
 1月にアルジェリアで起きた人質事件の首謀者とされるモフタル・ベルモフタル容疑者がマリ北部に展開するチャド軍によって殺されたというニュースが先週土曜に入った。フランスの雑誌ヌーベル・オプセルバテゥール誌(3月5日付)によると、チャド軍兵士の撮影したベルモフタル氏の死体とされる写真はさまざまなメディアに配布され、その1つRFI(フランスの国営国際ラジオ局)がウェブサイトで公開したという。(2013/03/07)


中南米
チャベス大統領の死 金曜に葬儀 
  ベネズエラのウゴ・チャベス大統領(Hugo Chavez,58)が亡くなった。キューバで癌の治療を終えて帰国して間もなくのことだった。南米のチリではピニエラ大統領が金曜の午前10時からベネズエラの首都カラカス行われる葬儀に参列する予定だ(テルセラ紙による)。同時に、チリ政府は3日間の喪の期間を設けることにした。一方、ベネズエラでは7日間の喪を設けている。(2013/03/07)


人権/反差別/司法
ベアテ・ゴードンさんと日本国憲法
  昨年暮れ、ベアテ・ゴードンさん(89)が亡くなった。ゴードンさんは日本国憲法を起草した米国チームの唯一の女性スタッフだった。そして、戦後憲法を起草した最後の現存するスタッフでもあった。それは戦後レジームからの脱却を唱え、憲法改正を訴える安倍内閣の登場と期を一にしていた。ベアテ・ゴードンさんが現存する最後の米国人スタッフだった理由は彼女が当時22歳という若さだったことにあった。ゴードンさんが起草したのは憲法14条と憲法24条である。(2013/03/05)


コラム
機内持ち込み品 2  村上良太
  何年か前にロシアの地方都市からサハリン(樺太)行きの飛行機に乗り込んだことがあった。飛行機は小型で、年季が入っているようだった。中央の通路をはさんで両側に2列ずつ座席があった。僕の隣の窓際の席には見知らぬロシア人の男が座っていたのだが、男は飛行機が離陸してしばらくすると、アタッシュケースを無造作に開いた。(2013/03/04)


アフリカ
「ベルモフタル司令官は生きている」 イスラム主義者が死亡を否定 フランス軍も死亡を未確認
  アルジェリアの天然ガスプラントで外国人を多数殺戮した首謀者のテロリスト、モフタル・ベルモフタル容疑者がチャド軍との交戦で死亡したという情報が流れている。しかし、フランスのヌーベルオプセルバトゥール誌は3月3日、慎重な報道を行った。(2013/03/04)


文化
ステファン・エセル氏、死去 (享年95) 世界の人権運動に貢献
  2月27日、パリの自宅でステファン・エセル(Stephane Hessel)氏が亡くなった。第二次大戦後、世界人権宣言の執筆に参加しただけでなく、近年は「ウォール街を占拠せよ!」という運動やアラブの春などの抗議運動にも大きな影響を与えた。その著書は、Stephane Hessel著「Indignez-vous!」(「怒りなさい!」。英訳のタイトルは「Time for Outrage(怒るとき)」)である。(2013/03/03)


米国
世界のベタ記事から 米軍が仏軍を支援 ニジェールに派兵
 オバマ大統領がマリの仏軍支援のため、米軍100人をニジェールに派遣することを告げたとされる。ニジェールに基地を設立し、そこから無人の監視・偵察用機を飛ばすという構想のようだ。(2013/03/01)


コラム
機内持ち込み品       村上良太
  先日、アフリカに行く用事があり、飛行機に乗った。航空会社はエミレイツ航空でドバイを経由する便だった。エミレイツ航空で機内食が出た時、ナイフやフォークが入っているカトラリーの容器が妙に重い。開けてみると、金属製のセットだったのでドキッとした。2001年の同時多発テロ事件以後、プラスティックの道具しか見たことがなかったからだ。とはいえ、ナイフと言っても鋭利なものではない。だから、大丈夫だと判断されたのだろう。そもそも金属だから危険で、プラスチックだから安全とは一概に言えないだろう。(2013/02/27)


欧州
マリ侵攻とフランス
 マリに軍事介入したフランス軍だが、フランス国内でアフリカ系フランス人に要注意だとフランスの判事(Marc Trevidic氏)がニューヨークタイムズで語っている。これまでフランス当局のテロ警戒の対象となってきたのはアフリカでも、アルジェリア、チュニジアといった北アフリカ出身の移民だった。ところが、マリ介入後の現在はマリ、セネガル、ナイジェリア、ニジェールといった国々出身の移民にまで広がっているという。(2013/02/25)


アフリカ
モダンノマドの日記  「生きている」  アンドレイ・モロビッチ
  マリでしばらく音信が途絶えていた作家のアンドレイ・モロビッチさんからメールが届いた。’hi man I'm still alive sure’「僕は生きている もちろんだ」(2013/02/10)


アフリカ
世界のベタ記事から フランスが国連平和維持軍のマリ派遣を求める
   Kidalを制圧したフランス軍はイスラム原理主義勢力が支配下に置いていたマリ北部のすべての都市を制圧した。そこでフランス国防大臣のジャン=イブ・ルドリアン氏は国連平和維持軍のマリ覇権を訴えている。実際に国連安保理でも、国連平和維持軍のマリ派遣を検討し始めたとされる。(2013/02/10)


文化
ノーラのニューヨーク(写真)日記
  ニューヨーク在住のドイツ人イラストレーター、ノーラ・クリューク( Nora Krug )さんから写真による便りが届きました。ノーラさんはニューヨークタイムズ、ガーディアン、ボストングローブ、ルモンドディプロマティーク、ヴァニティフェアなど、世界の新聞・雑誌にイラストを描いています。(2013/02/10)


文化
追悼 岩淵達治氏 (演出家・ドイツ文学者)     村上良太
   ドイツ文学の岩淵達治氏が亡くなられた。享年85。岩淵達治氏と言えば20世紀最大の劇作家、ブレヒトの研究では第一人者であり、個人訳で刊行したブレヒト戯曲全集訳はその最大の成果だろう。だが、それ以外に劇作家・演出家としての顔も持っておられた。戦後ドイツ演劇を肌で体験した貴重な演出家だった。こうして書いていると思い出されるのは岩淵さんが舞台上でアカペラで歌った「三文オペラ」の主題歌「マックザナイフ」だ。すっくと姿勢よくたち、朗々と歌われた。日生劇場でイタリアから歌手のミルバを招いてブレヒト作「七つの大罪」を演出した時の余興の一幕である。著名な知識人ながら、気取ったところはなかった。(2013/02/10)


コラム
不思議な世界   村上良太
   パリで彫刻家をしているフランス人の友人ヴァンサン・ベルゴン氏から聞いた話。彼の彫刻作品を扱っているギャラリーに、ロンドンからカタール首長の息子がやってきた。首長の息子の後ろには何人も護衛がついている。友人の彫像はブロンズの人間像だ。ジャコメッティを思わせる彫像は細くて、大胆なデフォルメが施されている。それでいて、ジャコメッティの猿真似ではない。仏像のように人間の魂が宿っている。そんなギャラリーに突然やって来たアラブの王族。なんと友人の彫像はただちに11体すべて売却済みになった。(2013/02/09)


米国
無人攻撃機ドローンの是非 新CIA長官が上院の公聴会で問われる
  無人攻撃機ドローンを使用することの是非についてオバマ政権の新CIA長官に任命されたジョン・ブレナン氏が上院インテリジェンス委員会で問われたそうである。情報はインターナショナルヘラルドトリビューン社説による。ドローンは2001年9月11日の同時多発テロをきっかけに使用頻度が高まってきたハイテク兵器である。社説によればパキスタン、イエメン、ソマリア合わせて3000人以上がドローンによる攻撃で殺されている。(2013/02/09)


アフリカ
ユネスコのイリナ・ボコバ事務局長、オランド仏大統領とトンブクトゥに入る
  フランスの侵攻でイスラム原理主義者が撤退したマリのトンブクトゥにユネスコのイリナ・ボコバ事務局長が入った。フランスのオランド大統領とともにである。(2013/02/06)


文化
パスカル・バレジカ著「パリの歴史的通り (Rue Historique de Paris)〜パリはシュールレアリストの町〜」
  パスカル・バレジカさんの新著が欧州で発売となった。タイトルは「パリの歴史的通り(Rue Historique de Paris)」。バレジカ氏はパリは超現実主義の町だという。その真意はパリは単に物質や歴史で構成されるだけでもなく、虚構が巧妙にまぜられた町だということだ。だからパリはシュールレアリストの町だという。それが何を意味しているかは、実際に本書をひもといていただくしかない。(2013/02/05)


みる・よむ・きく
ガーディアンの写真家 ショーン・スミス  
  英紙ガーディアンに戦慄を感じさせる写真を撮り続ける戦争写真家、ショーン・スミス(Sean Smith)氏がいる。シリアの内戦、リビアの内戦、そして今、焦点になってきたマリの内戦を撮っている。しかも、報道写真というにとどまらず、情感あふれる色彩感覚を持っている。(村上良太)(2013/02/03)


アジア
スタンリー・カーノウ氏死す〜ベトナムを見続けたジャーナリスト〜
  ベトナム戦争を見続けたジャーナリスト、スタンリー・カーノウ(Stanley Karnow)氏が亡くなった。87歳だった。カーノウ氏には「ベトナム〜1つの歴史〜」(1983年)という750ページの大著がある。また、テレビ報道でも知られ、13時間シリーズのPBSドキュメンタリー「ベトナム:1つのテレビ史〜」という大作がある。ニューヨークタイムズの追悼記事では、他の多くの報道がアメリカ人の見方を中心にベトナム戦争を切り取っていたのとは対照的に、カーノウ氏は複眼で様々な角度から現実を果敢に見つめたと讃えられている。(2013/01/30)


環境
シリコンバレー発  地球環境を守る工夫6      ウェイディ・リー
 私は電気自動車に乗り始めて12年になりますが、そのことを誇りに思っています。私が最初に乗った電気自動車はSolectrica Force。 1999年に作られた電気自動車で、鉛蓄電池をエネルギー源にしたものです。それからの12年間で、電気自動車をどう使えばより効率的に走れるかを学んできたのです。ユーザーによって差はあるでしょうが、私の場合の使用電力(キロワット時)あたりの走行距離数(1マイル=約1.6km)は次の通り。(2013/01/27)


アフリカ
モロビッチ氏の伴侶
  本紙に旅先のアフリカから寄稿しているスロベニア人の作家、アンドレイ・モロビッチさんには伴侶がいる。妻のスペラ・カルチクさんだ。スペラさんがモーリタニアからマリに車で移動中に足を怪我した話は前回書かれていた。モロビッチさんとスペラさんの夫婦は中古の軍用トラックを所有して、砂漠を移動してきたのだ。先々でイスラム原理主義勢力からフランス人が誘拐されてきただけに、今思えば危険な旅でもある。そんなところを旅する感覚に驚かされる。スペラさんもスロベニアの首都リュブリャナで生まれている。(2013/01/26)


核・原子力
シリコンバレー発  地球環境を守る工夫5   Waidy Lee
  福島で起きた原子力事故が警鐘となって、私たちはみんな原子炉の安全性を当然のことだと見なすことができなくなりました。アメリカにはNuclear Regulatory Commission(NRC)があり、全米104基の原子炉の安全性を改善する努力を行っています。原子炉は健康に対して有害ですし、水を汚染しています。しかも、原子炉ではおびただしい水を使用します。そんな中、トリウムエナジーアライアンスという組織は従来型とは違った原子炉の導入を提唱しています。(2013/01/23)


欧州
オランダの男たちが出産の痛みを体験  オランダの放送から
  ハフィントンポスト仏版がオランダで行われた実験を紹介している。二人の男が体に女性の出産時の筋収縮の痛みを追体験できる装置をつけるのだ。最初はくすくす笑っていた男たちだが・・・。(2013/01/20)


中東
カタールがマリ北部のイスラム原理主義勢力を支援?フランスメディアが疑惑を報じる マリーヌ・ルペンFN党首もカタールを非難
  サウジアラビアの隣にある小国、カタール(人口170万人)がフランスのメディアでイスラム原理主義勢力を支援しているのではないか、と報じられている。カタール経済は基本的に豊富な石油天然ガスの生産で成り立っている。日本も石油とLNGを輸入している。そのカタールについてフランスのインターネット新聞'Rue89'はいくつかの疑惑を報じている。さらに極右政党FNのマリーヌ・ルペン党首も記者会見でカタールがイスラム原理主義を支援していると非難した。(2013/01/20)


欧州
故カダフィ大佐からサルコジ元大統領への賄賂疑惑の捜査が始まる 関係者宅へ家宅捜査
 今問題になっているアルジェリアの人質問題、そのもとにはフランス軍のマリ侵攻がある。そして、その原因を作ったのがフランス軍のリビア攻撃にある。そしてそのもとにあるのは・・・今フランスではカダフィ政権打倒をバックアップしたサルコジ元大統領がカダフィ政権から巨額の賄賂(不正献金)を受けていたのではないか、という疑惑から捜査が始まっている。(2013/01/20)


中国
「中国経済は回復傾向に」 スティーブ・ハンケ教授
  ジョンズ・ホプキンズ大学のスティーブ・ハンケ教授(Stev (2013/01/19)


アフリカ
アルジェリアの天然ガス関連施設をイスラム武装勢力が襲う 日本人を含む約20人が人質に
 BBCによると、アルジェリア南部でイスラム武装勢力によって天然ガス関連施設が占領され、日本人を含む20人あまりがとらえられた。アメリカ人、ノルウェー人、フランス人、英国人も含まれる。アルジェリア人の多数の労働者は釈放されたという。ある労働者に証言によると、イスラム武装勢力はアルジェリアに拘束されている仲間100人の釈放を求めているとされる。別のレポートによると、フランス軍のマリからの撤退を要求しているとの情報もある。(2013/01/17)


アフリカ
仏軍マリ侵攻の背景にウラン鉱山か  
  先週末からフランス軍がマリ北部に侵攻し、同地を10か月間にわたって占拠しているイスラム原理主義勢力の一掃を目指している。しかし、「デモクラシー・ナウ!」によると、空爆によって市民11人が死亡、その中には子供3人が含まれているという。(2013/01/16)



視覚障害の男女が二人乗りタンデム自転車で米大陸縦断中2
 視覚障害の男女二人組が二人乗りのタンデム自転車で南米のアルゼンチン南端からアラスカを目指して北上中だ。二人の友人であるメキシコシティ在住のフランシスコ・平田さんから二人からのメールと写真を転送していただいた。(村上良太)(2013/01/15)


アフリカ
マリで戦争が始まる  イスラム原理主義勢力をフランス軍が空爆
  フランス誌「ヌーベル・オプセルバトゥール」によると、フランス軍は先週金曜、「テロとの戦い」を理由に、マリ北部を10か月にわたって支配しているイスラム原理主義勢力の南下を阻止すべく侵攻作戦を開始した。13日の日曜、フランス空軍が初めてGaoとKidalを空爆した。国連の安全保障理事会は週明けの14日月曜に会合を開く予定。フランスは先週金曜の夜、安全保障理事会に対してマリ政府の要請で侵攻作戦を行う旨を報告したとされる。(2013/01/14)


アジア
世界のベタ記事から  君が代で「日本を取り戻す」  
  8日付インターナショナルヘラルドトリビューンのベタ記事に<政権党が「日本を取り戻す」ためのステップとして国歌を歌う、(Leader's party sings anthem as step to 'take back Japan')>という見出しの記事が出た。(2013/01/14)


みる・よむ・きく
金原瑞人氏によるMy Favorites ’Franz Kafka ・The Metamorphosis(わが愛するカフカの「変身」) '
 青灯社から、ちょっと面白い試みの本が出ている。翻訳家・金原瑞人氏による、My Favorites ’Franz Kafka ・The Metamorphosis 'なる本だ。これは有名なカフカの「変身」を原文のドイツ語から英訳したものに、金原氏が注をつけた一冊だ。英訳自体はスタンリー・アップルボーム(Stanley Applbaum)氏による。(村上良太)(2013/01/13)


環境
シリコンバレー発  地球環境を守る工夫 4  Waidy Lee
■Q) アメリカでは週一日、肉を食べない日「ミートレスデイ」を設ける町が増えているという話ですが、どうやって実行しているのですか? A)1980年代にさかのぼりますが当時「ドレスダウンの日」(注:正装しない日、あるいはカジュアル服の日)というのがありました。これには毎日正装している経営陣に対するアンチの意味が込められていました。ドレスダウンの日に多くの人々はTシャツにジーンズ、さらにフリップフロップ(サンダル履き)で仕事をしました。もちろん、これはすべて自発的な行動です。(2013/01/13)



視覚障害の男女が二人乗りタンデム自転車で米大陸縦断中 
  視覚障害の男女が二人乗りのタンデム自転車で米大陸を縦断している。走行距離は16000マイル(25600キロ)、15か国を走ることになる。去年の1月、南米・アルゼンチンの南端からスタートし、18か月かけてアラスカまでたどり着くプランだ。二人は先週末にメキシコを通り、現在さらに北上している。世界の視覚障害者に可能性を示したいという。(2013/01/12)


教育
シリコンバレー発  地球環境を守る工夫 3
  昨年7月、日刊ベリタでアメリカの大学で導入が進んでいるオンライン教育について紹介した。たとえばシリコンバレー発のCourseraという教育ベンチャー企業が名門大学と提携して、無料の大学講座を今次々と立ち上げているという。今まで2万ドルから6万ドルまで高額の学費を払っていた学生や父兄は無料か、あるいは相当の低額で大学講座を受けられるようになるだろうし、その講座の受講を学位として認めることを検討する大学も出てきているようである。それらオンライン教育について、シリコンバレー在住のウェイディ・リーさんはどう見ているのか、メールで問い合わせてみた。(村上良太)(2013/01/11)


中東
新たな米国防長官とイラン
  アメリカの保守派のシンクタンク、CATO(ケイトーインスティテュート)に籍を置くスティーブ・ハンケ教授(経済学、ジョンズ・ホプキンス大)は「マネードクター(お金の博士)」のニックネームを持っている。そのハンケ教授は最新のニュースレターでこんなことを言っている。(村上良太)(2013/01/11)


みる・よむ・きく
私の乳がんドキュメンタリーの上映会&講演会 「乳がんが教えてくれたこと」   信友直子
 あけましておめでとうございます。今度私の乳がんドキュメンタリーの上映会&講演会をやります。今まで地方を回ってはいたのですが、東京でやるのは初めてなんです。★1月27日(日)14時〜16時★世田谷区玉川区民会館(東急大井町線「等々力」駅徒歩1分)にて。入場無料。(2013/01/06)


環境
シリコンバレー発  地球環境を守る工夫 2
  前回紹介したシリコンバレーで自家発電の太陽光発電で充電して電気自動車に乗っているウェイディ・リーさんにはもう一つ珍しい生活スタイルがある。ウェイディさんが「ヴィーガン」であることだ。「ヴィーガン」とは菜食主義者(ベジェタリアン)をさらに一歩進めたもので、完全菜食主義者とも呼ばれている。(2012/12/30)


人権/反差別/司法
世界のベタ記事から  カダフィの息子  
  今年10月にいくつかの英字紙に出たベタ記事。昨年の政変で殺されたリビアのカダフィ大佐の次男セイフイスラム氏(現在、リビア南部の都市ゼンタンで収監中)は民主化運動弾圧の容疑(抗議運動者らの殺人と迫害)で昨年、オランダのハーグにあるICC(国際刑事裁判所)から刑事訴追された。一方、リビアは自国でセイフイスラム氏の裁判を行うとセイフイスラム氏のICCへの引き渡しを拒んでいる。ICCでセイフイスラム氏の弁護活動を担当する弁護士の一人、メリンダ・テイラー氏はリビアが裁判を行えば「正義ではなく、復讐が行われる」と反対している。(2012/12/30)


米国
全米自動車労組の草創期を描くドキュメンタリー映画「Brothers on the Line」
  全米自動車労組(UAW)の草創期を築いたReuther3兄弟の一人、Victer Reuther氏の孫がUAWの歴史をつづったドキュメンタリー映画を完成させた。監督はSasha Reuther氏。(2012/12/30)


みる・よむ・きく
木田元著 「わたしの哲学入門」
  哲学者・木田元氏が書いた「わたしの哲学入門」は学生時代にその手の勉強を素通りしてきた私のような輩にはうれしい一冊だ。カント、ヘーゲル、ニーチェ、ハイデガーの考えがわかりやすく説かれているからだ。木田氏はハイデガーの専門家として特に著名だが、「わたしの哲学入門」の中で、ハイデガーとの距離について語っている。そこがとても興味深いし、木田元という人間をよく物語っているように思われる。(村上良太)(2012/12/29)


環境
シリコンバレー発  地球環境を守る工夫
  シリコンバレー在住の中国系の女性、ウェイディ・リーさんは大学生の子供2人を抱えるシングルマザー。自宅のガレージに日産リーフ、トヨタのRAV4EV(新旧), そしてテスラのモデルSと、なんと合計4台の電気自動車がある。(村上良太)(2012/12/28)


コラム
台北・松山空港の書店で      村上良太
  旅行帰りに空港の書店に立ち寄るのが習慣になっている。今回、用事で台湾に出かけたのだったが、帰りに台北・松山空港で書店を探した。僕が探していたのはサン・テグジュペリ著「星の王子様」の中国語訳だ。(2012/12/23)


欧州
世界のベタ記事から  冬のエーゲ海の死体
  今月17日付アテネ発のベタ記事。エーゲ海でボートが転覆し、18人の死体が回収された。1名の男性が救出された。男性の証言によると、女性や子供らを含む28人がトルコからボートに乗り込み、ギリシアに入ろうと試みたがボートが波でひっくり返ったというのだ。(村上良太)(2012/12/23)


米国
世界のベタ記事から   
  新聞の欄外の小さな扱いの記事はベタ記事と呼ばれる。昨日のインターナショナルヘラルドトリビューンにはマイアミ発のベタ記事が掲載されていた。キューバのグアンタナモ基地に収監されていたイエメン人の遺体がイエメンに移送されたという記事である。亡くなったイエメン人の男性の名前はAdnan Latifであり、9月8日に自殺したとされる。記事によれば死因は薬を過剰に服用したことにある。(村上良太)(2012/12/18)



「モダンノマドの日記」モーリタニアからマリに入る  アンドレイ・モロビッチ
  モーリタニアを南に下ってマリに入った。マリには不穏な空気が流れている。昨日もクーデターめいた騒動があったばかりだ。しかし、素敵で広々とした家を見つけることができた。モーリタニアからマリに入るとき、モーリタニア当局から、この先で何が起きても自己責任であると書類にサインさせられた。実は前日、マリのDiemaでフランス人が誘拐されていたのだ。僕と妻は夜のサバンナを車で走った。視界は悪く、案の定事故を起こしてしまった。(2012/12/18)


人権/反差別/司法
ギリシア 警察と極右政党「黄金の夜明け」の関係とは?
  ユーロ危機の引き金となったギリシアでは移民排斥を唱える極右政党「黄金の夜明け」が今年6月の総選挙で躍進し、18人(ギリシア議会定数は300議席)の国会議員を誕生させた。この「黄金の夜明け」がアテネでは陰で「警察活動」まで担っていると英国紙ガーディアンで報じられている。(2012/12/09)


中東
イスラエルがE1地区にさらなる住宅建設へ  イスラエル紙が報じる
   イスラエルはヨルダン川西岸(ウエストバンク)と東エルサレムに3000戸の新たな住宅を建設する計画を承認したとされる。さらにハーレツ紙によるとE-1コリドールと呼ばれるMa'aleh Adumimから東エルサレムまでの区域にも3400戸の入植計画を検討している模様。この区域にイスラエルが家を建て増すと、ヨルダン川西岸地区が南北に分断されることになる。これはパレスチナ国家建設にとっては障壁となる。(2012/12/06)


欧州
スペインの漫画から 
  エル・パイスには何人かの常連漫画家がいて、基本的に1コマ漫画である。その一人、エル・ロトの漫画は独特のタッチを持っているのだが、前回はカタルーニャ州の独立問題を扱っていた。今日、再びエル・パイスのウェブサイトを覗いてみた。エル・ロトは再び不思議な漫画を描いている。キャプションはない。(2012/12/03)


コラム
パリジェンヌの日記(Le journal d'une Parisienne)2 「狂気のバーゲンセール」 ヴィルジニー・ブリエン
  あぁ、パリの11月ったら! 枯葉が地に落ちていく。それに住民税・・・・。でも、一段とすごいのは大安売りの月だということ。パリのファッション店では服の大安売りが始まるのだ。まさに狂気と言っていいバーゲンセール。(2012/12/02)


文化
世界が見た韓国版ラップ「ガンナムスタイル」 渦巻く賛否両論
  韓国人のラッパー、PSYによる「ガンナム(江南)スタイル」という映像がユーチューブにアップされ、10億アクセスに迫る勢いになっている。世界中でパロディ版が生まれているほか、PSY自身も歌手・女優のマドンナと共演したりしている。「ガンナムスタイル」に対する世界の反応は賛否両論だった。(2012/12/01)


コラム
現代の遊牧民 「モダン・ノマドの日記 番外編」 アンドレイ・モロビッチ
  北アフリカのサハラ周辺をさすらっていたスロベニアの作家アンドレイ・モロビッチさんから久しぶりの連絡が届いた。(2012/11/30)


みる・よむ・きく
「ザ・フェデラリスト」(ハミルトン、ジェイ、マディソン)  アメリカ政治思想上の第一の古典
  岩波文庫から出ている「ザ・フェデラリスト」はアメリカ政治思想上の第一の古典と銘打たれている。アメリカ政治のテキストとしてはアメリカ合衆国憲法なども同じ岩波書店から出ている。しかし、「ザ・フェデラリスト」の面白さは米国の政治がどのように形成されたか、その歴史が刻まれており、その考え方が形成過程の議論から読めるところにある。それもそのはず、「ザ・フェデラリスト」はもともと3人の政治家による85の短い論文集であり、これらが書かれたのはアメリカ連邦政府をどう形成するか、特に合衆国憲法をどのようなものにすべきかを13の国家で検討していた時期だからである。(2012/11/25)


アジア
韓国のラップ’ガンナムスタイル’がユーチューブで大ヒット 8億ヒットを超える
  韓国のPSY(サイ)と呼ばれるラッパーがユーチューブ上で人気沸騰している。風変わりな乗馬スタイルでコミカルなダンスを披露している。ユーチューブでは億単位のヒットを記録している。(2012/11/25)


欧州
スペインの漫画から〜スペイン経済危機・カタルーニャ州は独立するのか?〜
 スペイン紙「エル・パイス」では常連漫画家のエル・ロト(EL ROTO)が不思議な漫画を描いている。赤い帽子をかぶった男がタバコをふかしながら暗い窓の外をぼんやり眺めている。(2012/11/23)


中東
NYT社説から 「ハマスにも問題あり」
  ニューヨークタイムズでもガザのイスラエルによる攻撃を連日報じているが、「ハマスにも問題あり’Hamas's illegitimacy'」と題する社説を水曜に出している。ガザ攻撃の責任はイスラエルだけでなく、ハマス側にもあったのではないか、とする主旨である。(2012/11/23)


中東
ガザの砲撃現場 エル・パイスの映像から 死者の4割が女性と子供
  スペインの新聞、エル・パイスの国際面ではイスラエル軍による砲撃を受けたガザのビルが映し出されている。イスラエル軍はガザの地元テレビ局を2度にわたって砲撃したという。(2012/11/20)


中東
イスラエルの攻撃でガザで少なくとも95人が死亡 700人以上が負傷
 「デモクラシー・ナウ!」によると、ガザでこれまで95人が死亡、700人以上が負傷した。Palestinian Center for Human Rights in Gaza の弁護士であるRaji Sourani氏が現地から報告をしている。空爆後の現地状況の映像もある。(2012/11/20)


中東
「逃げる場所がないガザの住民」デモクラシー・ナウが報じるイスラエルの攻撃
  デモクラシー・ナウによると、イスラエルのガザ空襲で、21人が少なくとも死亡した模様(16日現在)。さらにイスラエルは3万人の予備役を招集し始め、パレスチナ側との戦闘に備えているとも言われる。イスラエルの戦車や装甲車はガザとの境に集結しつつあるという。(2012/11/18)


米国
パネッタ国防長官がカンボジア入り 中国封じ込めを狙って軍事提携を周辺地域で次々と進める
  第二期目に入ろうとするオバマ大統領は今、アジアツアーを企画しており、今週月曜と火曜はカンボジア入りする。それに先立って国防長官のレオン・E・パネッタ氏がカンボジア入りし、国防大臣のTea Banh氏と会談した。ニューヨークタイムズによる。カンボジアは元来、中国とつながりが深かったが、現在、カンボジア軍はテロとの戦いの名目で米軍による訓練を受けている。(2012/11/18)


科学
「渚に戻るべからず」  ハリケーンに襲われた渚は近い将来また襲われる
  ニューヨークタイムズの論説欄にハリケーン・サンディの惨状を巡って地球・海洋科学者オリン・H・ピルキイ、デューク大学名誉教授が寄稿した。ピルキイ教授はハリケーンに襲われたニューヨーク州およびニュージャージー州の渚の家々はもう再建せず、内陸に撤退した方がよいと説得している。(2012/11/17)


文化
日本に関心を持つ売れっ子イラストレーター、ノーラ・クリューク(Nora Krug)  村上良太 
  作家デイブ・エガーズが編集したアメリカの短編小説を集めたアンソロジー「The Best American Nonrequired Reading 2012」の中に2篇の味わい深い漫画が収められていたことについては先日書いたばかりだ。その1篇はノーラ・クリューク(Nora Krug)による「kamikaze」という作品だった。これは第二次大戦中の神風特攻隊の隊員を描いた作品である。独特のタッチであるだけでなく、デフォルメされているとはいえ、日本の日常がかなりリアルに描かれていた。こうした日本の歴史がアメリカのアンソロジーに登場していることに僕は驚いた。この本を買ったのはデトロイト空港内の書店で、成田空港に向かう飛行機の中で読んだ。(2012/11/13)


米国
米マサチューセッツ州 医師による尊厳死法案は否決される
  11月6日、大統領選挙の投票日に、マサチューセッツ州では医師による安楽死を合法化するかどうかの投票も行われた。これは病気が進行して、治療が望めないケースに限っている。法案名は’Death with Dignity initiative((尊厳死)'。(2012/11/12)


みる・よむ・きく
デイブ・エガーズ著「ザイトゥーン」   村上良太
  エガーズは編集者としても知られており、今売出し中の「Then Best American Nonrequired Reading 2012」も編集している。この本は短編の佳作を集めたものだが、漫画も二編掲載されている。その一つは「Kamikaze」と題されたNora Krugの漫画である。(2012/11/12)


検証・メディア
ル・モンド紙の横顔〜「ル・モンド」20年の変遷〜ル・モンド・ディプロマティークの掲載記事から
  かねてからフランスのメディアは面白くないと言われるのをしばしば耳にしてきた。サルコジ(元)大統領が金の力を駆使して、メディアをコントロールしているからだと言われていた。ル・モンド系の総合雑誌「ディプロマティーク」にセルジュ・アリミ総編集長が同紙の体質について書いている。これは日本語のウェブサイトで和訳を読むことができる。(村上良太)(2012/11/04)


検証・メディア
NYTがオバマ大統領再選を推す
  ニューヨークタイムズ紙が2012年の大統領選でオバマ大統領の支持を打ち出した。そのウェブサイトには代々、ニューヨークタイムズ紙が大統領選挙の年に推してきた候補者の肖像が並べられている。これを見れば近年、ニューヨークタイムズは基本的に民主党支持なのだということがわかる。だが、共和党候補者を推す年もあった。(2012/10/29)


コラム
チリのドキュメンタリー番組を見て   村上良太
  シカゴ近郊の町に泊まった時、アメリカの公共テレビ局PBSで風変わりなドキュメンタリー番組を見た。スイッチをつけた時は番組がすでに途中だったのだが、つい時間を忘れてみていた。60代くらいの女性が砂漠に立っている。彼女が語っているのは遺体の発掘について。亡くなったのは彼女の兄弟らしい。いや、亡くなったのではなく、殺されたのだ。しかも集団で殺され、この砂漠に埋められたらしい。(2012/10/27)


みる・よむ・きく
カダフィの死を描いた3枚の絵画     
  カダフィの死体を描いた3つの絵画がエル・パイスで紹介されている。いずれもいたいたしい最期である。1つは「ユビュ王〜カダフィの頭〜」と銘打たれている。ユビュ王とはフランス世紀末に活躍した前衛作家アルフレッド・ジャリの戯曲の主人公である。(2012/10/15)


人権/反差別/司法
東京パブリック法律事務所 三田に外国人専門支所を開設
  東京弁護士会による公設の法律事務所、東京パブリック法律事務所が東京・三田に外国人・国際部門の法律事務所(支所)を開設予定。10月15日(月)がその予定日だ。 (2012/10/14)


社会
医師が手助けする安楽死を認めるか 11月6日の投票〜米マサチューセッツ州〜
  米マサチューセッツ州で、終末期医療で医師が安楽死を手助けすることを合法化すべきかどうか投票が行われる。死が避けられない患者により早く、より苦しみが少なく死ねる薬品を与えるかどうか。もちろん、患者本人が希望する場合においてのみである。(2012/10/14)


みる・よむ・きく
山形県の農民詩人・木村迪夫さんの映画実現に向けて   原村政樹
3年前から映画化を構想して参りました、山形県の農民詩人・木村迪夫さんの映画実現に向けて、山形国際ドキュメンタリー映画祭の関係者の方々が支援会を立ち上げてくださり、明日、10月13日に山形市で総会を開いてくださることになりました。(2012/10/12)


みる・よむ・きく
ジェームズ・サーバーの復刻を望む   村上良太
  最近書店でジェームズ・サーバー(James Thurber,1894−1961)の短篇集「傍迷惑な人々」(光文社)を見かけた。サーバーは雑誌ニューヨーカーで活躍したユーモア作家であり、漫画家でもある。サーバーが光文社から改めて出版されたことは嬉しいニュースである。(2012/10/11)


米国
NYTより 9月の全米雇用統計を巡って議論が・・・
  ニューヨークタイムズ(10月8日版)に9月のアメリカの雇用統計に関する社説が掲載された。'Better News on Jobs'と題するものだ。社説によると、8月の統計で失業率8.1%だったのが9月の統計では7.8%に下がった。ちなみに昨年暮れは9%台だった。この減少を巡って現在、大統領選たけなわの中、共和党がデータの操作だと攻撃しているようである。(2012/10/08)


欧州
巨匠ダリとCM    
  シュールレアリスムの巨匠ダリ(Salvador Dali, 1904-1989)には様々な逸話がある。頭の上にフランスパンを載せるといった奇行は日常茶飯事だったようだ。ダリはCMでもダリにしかできない味を出している。それはダリでしか作れないCMなのだ。(2012/10/08)


みる・よむ・きく
瀬川正仁著「教育の豊かさ 学校のチカラ」(岩波書店)
  ドキュメンタリー番組のディレクター、瀬川正仁さんが岩波書店の「世界」に1年間連載した「教育のチカラ」がこの夏、まとめられて一冊の本になった。書名は「教育の豊かさ 学校のチカラ〜分かち合いの教室へ〜」だ。瀬川さんは映像の専門学校で学生に教える傍ら、興味を持った各地の学校に出かけてこのルポを書き続けた。日刊ベリタにも、連載が始まる直前に寄稿していただいたことがあった。(2012/10/07)


欧州
スペインの漫画から 
  スペインの新聞、エル・パイスでは今日も不況を悲しむ漫画が描かれている。漫画家は常連のErlich。(2012/10/07)


コラム
ベシュレル〜フランスの動詞活用テキスト〜をもらって  村上良太
  最近ネットで、ベシュレル(Bescherelle)というフランス語の動詞活用テキストがいいという情報をいくつか見た。そこでNHKの国際放送を担当しているフランス人の友人に尋ねてみると「ベシュレルなら持っているから、差し上げますよ。少し古い版ですが」という答えが返ってきた。(2012/10/06)


みる・よむ・きく
マーティン・シャーマン作「ローズ」公演 
  米劇作家マーティン・シャーマンによる一人芝居「ローズ」が来月東京で上演される。女性ローズを演じるのは東京演劇アンサンブルの女優、志賀澤子氏。今回は同劇団ではなく、プライベートユニットを結成しての舞台となる。80歳の女性、ローズが木製のベンチに座って激動の人生を回顧する。(村上良太)(2012/10/06)


コラム
地下鉄と空き缶   村上良太
  都心の地下鉄構内の自販機で缶飲料を買ったものの、ごみ缶容器の口が段ボールの一片で閉ざされていた。段ボール紙の上にはIMF・世界銀行の年次総会が開かれるため特別警戒中だと説明が書かれていた。(2012/10/05)


中東
アラファトの検死 妻が依頼 毒殺の可能性も浮上
  8年前のアラファトの死に不審を抱いた妻のスーハさんが検死を希望していたが、現在、その作業が行われている。アルジャジーラがアラファトがポロニウムを使って毒殺された可能性があるとする記事を出したとニューヨークタイムズは伝えている。’Al Jazeera Says Arafat Might Have Been Poisoned’猛毒のポロニウムがアラファトの下着などに付着していたというものである。(2012/10/04)


みる・よむ・きく
NHKBSプレミアム「邦画を彩った女優たち〜闘う女優 寺島しのぶの告白〜」
  「日本の女優として35年ぶりにベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した寺島しのぶさんに、そこに至るまでの話を、プライベートも含めてうかがった。」(上田未生 プロデューサー)(2012/10/03)


みる・よむ・きく
郡史郎著「はじめてのイタリア語」(講談社現代新書)
  講談社現代新書の語学シリーズは電車の中で繰り返し読むのに最適だといつも感じさせられる。適度にくだけて読みやすくできているが、その傍ら文法の基本をしっかりおさえている。郡史郎著「はじめてのイタリア語」も肩の力を抜いて気楽にひもとくことができる。本書で特に面白かったのは終わりの方に、豆知識として「こんなことば、あんな由来」という章が設けているところだ。(村上良太)(2012/10/03)


コラム
パリジェンヌの日記(Le journal d'une Parisienne) ヴィルジニー・ブリエン
  8月のパリはとにかく閑散として、物静かだと言われている。住民がこぞってパリをあとにするからだと。でも、それは単なる伝説?それとも現実?確かに8月のパリは普段だったら人が歩いている歩道が空っぽ。交通量も少ない。地下鉄はラッシュが解消、人々のテンポもスローになる。商店も企業も閉まっているようだ・・・つまり、8月のパリが閑散としているというのは伝説ではない。だけど、たとえ現実であったとしてもだんだん真実ではなくなりつつある。(2012/10/02)


みる・よむ・きく
チェーホフ作「かもめ」(沼野充義訳)
  集英社文庫から沼野充義訳「かもめ」(アントン・チェーホフ作)が出た。長年、「かもめ」と言えば神西清(1903-1957) (2012/09/23)


人権/反差別/司法
モロッコによる西サハラ住民の弾圧 2010年11月
 2010年11月、モロッコの占領に抗議していた西サハラ住民およそ2万人に対して、モロッコ軍が急襲して弾圧した。モロッコは西サハラ住民の活動家100人以上を逮捕し、軍事法廷にかけるとした。(2012/09/15)


米国
駐リビア米大使殺戮事件に対する言説でロムニー米大統領候補への非難が高まる
 11日、米大使ら4人がリビアのベンガジにある領事館で殺された事件につき、ロムニー大統領候補(共和党)が語ったとされる言説について新聞などで批判が高まっている。(2012/09/15)


米国
米海軍特殊部隊 NAVY SEALs〜リビアの米領事館で2名殺害される〜
  イスラム教の預言者ムハンマドを冒涜したために中東各国の米大使館前で抗議が起きている。リビアのベンガジの米領事館でアメリカ人4人が殺されているが、そのうち2人は海軍特殊部隊NAVY Sealsの兵士だったとされる。NAVY Sealsに関して、時事ドットコムが多数の写真入りでその活動について説明している。(2012/09/14)


みる・よむ・きく
『NAKED FASHION -ファッションで世界を変える- おしゃれなエコのハローワーク』
  ファッションを軸に世界の貧困問題を解決しようとフェアトレードを行っている ピープル・ツリー。その代表サフィア・ミニー氏が書き下ろした最新著書『NAKED FASHION -ファッションで世界を変える- おしゃれなエコのハローワーク』が10月1日(月)に発売となる。内容はこれまでのファッション界のビジネスモデルの検証と改革のようだ。(2012/09/10)


アフリカ
現代の遊牧民 「モダン・ノマドの日記 12」 アンドレイ・モロビッチ
  イブラヒム・ディアロは使命感を持ち、先の見通せる男だ。彼の眼は、というか実際には体全体が、彼が話を始めると光を放ち始める。そしてまた沈黙した時もそうなのである。ずっと以前、イブラヒムは教師をしていた。多くのことを目撃し、さらに多くのことを耳にした。トゥアレグ族の反乱があり、IMFが訪れ、世界銀行が続き、ニジェールの経済活性化をめぐって様々な方策が行われた。(2012/09/09)


みる・よむ・きく
桜井啓子著「シーア派」(中公新書)  村上良太
  今、世界の新聞を読んでいるとシーア派という言葉が頻出している。シーア派はイスラム教の二大勢力の1つで、今シーア派が扱われるのは主流派を占めるスンニ派(スンナ派)との確執においてである。具体的にはシリア情勢を巡ってだ。シリアはアラウィ派が政権を握っている。アラウィ派はシーア派に近いとされる。中東でシーア派が多数派を占める国にはたとえばイランとイラクがある。著者の桜井啓子氏はイランの専門家である。(2012/09/08)


コラム
空港の書店で目にした一冊〜ノンフィクション’ZEITOUN’〜全米図書賞受賞作  村上良太
 アメリカのダラス国際空港の書店で目についたのが「ZEITOUN」というタイトルの本だった。表紙は洪水の町をカヌーを漕ぐ髭面の男のイラストである。このイラストのタッチが気に入った。(2012/09/07)


中東
外紙で読むシリア情報   村上良太
  9月5日付のIHT(インターナショナルヘラルドトリビューン)には「Yearning for home and sectarian revenge」と題する記事が掲載された。シリアからヨルダンに避難した子供たちがすでに宗教の違いによる憎しみを胸に刻み、いつか報復してやりたいと思う様が書かれていた。具体的にはスンニ派の子供がアラウィ派とシーア派に敵意をみなぎらせている姿だ。(2012/09/06)


農と食
ドキュメンタリー映画製作中〜福島県天栄村農民と東京で懇談する会〜
ドキュメンタリー映画監督の原村政樹さんから。「今私が制作中の放射能汚染ゼロに挑戦する福島県天栄村農家の映画の関係者と東京で懇談する会が8日にあります。お時間があればお越しください。 9月8日(土)17時〜19時 ●場所:アサンテサーナカフェ:目黒区三田2丁目7ー10 セントラル目黒1F 」(2012/09/06)


文化
テレビを見る   信友直子
  NHKのドキュメンタリーで久々に号泣しました!これを書いてる今もまだ胸がいっぱい。。。「我は勇みて行かん〜松本幸四郎“ラ・マンチャの男”に夢を追って〜」先日1200回公演を突破したミュージカル「ラ・マンチャの男」に挑み続ける松本幸四郎さんを追った作品です。(信友直子 TVドキュメンタリーディレクター)(2012/09/03)


中東
シリア情勢 「アルカイダがヒズボラと闘争」イスラエル紙が報じる
 シリア情勢がひどく複雑化しているらしいことはニューヨークタイムズの論説欄で指摘されており、日刊ベリタでもすでに紹介済みである。イスラエルの新聞ハーレッツ(Haaretz)はそれを裏付ける記事を掲載したばかりである。アルカイダグループがシリア政府を支援しているレバノンのシーア派武装組織ヒズボラに対して、シリアを舞台に武装闘争をしかけているらしいことだ。(村上良太)(2012/09/02)


みる・よむ・きく
映画「米の放射能汚染ゼロへの挑戦」〜明日須賀川で先行試写〜
  原発事故後、農業再生に全力をあげる福島の農民を取材中の原村政樹監督から。明日9月2日(日)16時20分より、福島県須賀川市の須賀川市文化センターで開催される「すかがわ国際短編映画祭」で「米の放射能汚染ゼロへの挑戦」が上映されます。(2012/09/01)


みる・よむ・きく
「90億人の食糧問題」(ジュリアン・クリブ著 シーエムシー出版)
   人口は70億人を突破した。10年強で10億人ずつ増えている。私が小学生の頃は約40億人だった。2050年には93億人になると国連人口基金は予測している。だがその一方で農地の拡大はすでに頭打ちになりつつある。だから今安価でいつでも入手できると思っている海外からの輸入食糧もいずれは入手が困難になるだろう。オーストラリアの科学ジャーナリスト、ジュリアン・クリブ著’The Coming Famine'(飢饉がやってくる)は邦題「90億人の食糧問題」として出版されている。副題は「世界的飢饉を回避するために」。本書の中でクリブ氏は90億人時代を賢く生きのびるための「食事」を提案している。(村上良太)(2012/09/01)


みる・よむ・きく
「アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く」
  アフガニスタンで取材活動を続ける谷津賢二さんから。ペシャワール会の中村哲医師らが取り組んできた用水路敷設事業を新たにDVDにまとめたという。タイトルは「アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く」。副題には「治水事業 7年の記録」とある。武力頼みの米国のオバマ政権とは違った日本人ならではの取り組みと言えよう。(村上良太)(2012/08/31)


みる・よむ・きく
伊藤太吾著「フランス語・イタリア語・スペイン語が同時に学べる単語集」
  伊藤太吾著「フランス語・イタリア語・スペイン語が<同時に>学べる単語集」(ナツメ社)を買った。これは「フランス語・イタリア語・スペイン語が<同時に>学べる本」の姉妹編に当たるものだ。「・・・<同時に>学べる本」が最初に出た時、帯に書かれた「一石三鳥は語学では可能です」というフレーズを見て、強いインパクトを感じないではいられなかった。その姉妹編が出版されたということは一定部数売れたからだろう。(村上良太)(2012/08/31)


欧州
フランスのロマ(ジプシー) 次々と追い立てられる
 ハフィントンポスト仏版は8月30日、さらにフランスでキャンプを撤去させられているロマ(ジプシー)の続報を出している。見出しは「Creteilの64人のロマのキャンプが撤去させられる」先日のEvryに続く行政措置である。マルセイユではおよそ100人のロマが追い立てを食ったとされる。記事によればCreteilのロマ達は12日間ホテルに滞在することができる。費用はサミュソシアル(SAMU Social)という慈善団体が支払うようだ。この団体は路上生活者を支援する慈善団体のようだ。(村上良太)(2012/08/30)


みる・よむ・きく
エマニュエル・トッド著「自由貿易は民主主義を滅ぼす」
  欧州はユーロ危機で新車の販売も落ち込み、世界の自動車メーカーの欧州事業は打撃を受けている。失業率も高まり、失業手当で食いつないでいる人たちには新車を買う余裕はなかろう。そして欧州需要の落ち込みが中国など途上国の製造業や日米など先進国の製造業にも暗雲を投げかけている。こうして先進国での需要の落ち込みがやがては途上国にとってもダメージとなっていく。(村上良太)(2012/08/28)


中東
自由シリア軍が地対空ミサイルを入手 政府軍ヘリを撃ち落とす
  読売新聞オンライン版によると、8月27日、シリアで政府軍と戦闘を続けている自由シリア軍は地対空ミサイルで政府軍のヘリを撃墜したという。場所は首都のダマスカスで、地対空ミサイルの入手経路は不明だ。(2012/08/28)


欧州
パリ近郊でロマ(ジプシー)がキャンプを撤収させられる
 27日付、ハフィントンポスト仏版記事によると、パリ近郊(南部)のEvryにキャンプを設営して生活していたロマ(ジプシー)72人がEvry市当局によって追い立てられた。彼らは公共鉄道RERの駅前にキャンプを設営していた。同記事の中で、前Evry市長で社会党の内務大臣マニュエル・バル氏がEurope1で同措置の正当性を語っている。子供や未成年が多く、そのままでは犯罪組織に取り込まれていく恐れもあり、どこかに住まいを見つけるとしても同じ場所は考えられないという。(村上良太)(2012/08/27)


福島から
福島のサイレントスプリング 
  フランスのルモンドに福島の蝶に奇形が一定以上生じているというレポートが写真入りで掲載されている。アンテナが折れ曲がっていたり、羽が余分についていたり、羽の模様が変わっていたり、目に異変が生じていたりといったケースがあるという。(2012/08/27)


みる・よむ・きく
エマニュエル・トッド著「アラブ革命はなぜ起きたか〜デモグラフィーとデモクラシー〜」
  フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)著「アラブ革命はなぜ起きたか」は「アラブの春」に対するクールな視点を提供している。トッド氏はジャーナリストや政治学者とは違った視点で事態を見ているが、それは人口動態から見ることである。どの社会も識字率が50%を超える頃、社会変動が起きる確率が高いという。(2012/08/26)


市民活動
重重 中国に残された朝鮮人元日本軍「慰安婦」の女性たち 安世鴻写真展
  重重プロジェクト・安世鴻 日本軍「慰安婦」写真展実行委員会事務局の李史織です。6月26日に新宿ニコンサロンでは、皆さまの応援を受けながら、安世鴻は「仮」に写真展を開催することができました。しかし、ニコンによる様々な規制があり、ご来場者の方々の様々なご要望にほとんどお応えできませんでした。この度、練馬区を中心に東京都内に暮らす方たちが、この事態に深くこころを痛め、作品を落ち着いて観ながら、安世鴻と一緒に語り合う場をつくりたいと今回の『重重』市民でつくる写真展in練馬実行委員会を立ち上げてくださり、重重プロジェクトと共に写真展を企画することになりました。(2012/08/26)


みる・よむ・きく
「我は勇みて行かん」〜松本幸四郎「ラ・マンチャの男」に夢を追って〜 
テレビディレクターの李憲彦さんから。「ドキュメンタリー番組のお知らせです。歌舞伎とミュージカルの両方に取り組む松本幸四郎さんの人生をミュージカル「ラ・マンチャの男」の制作過程と共に描きました。ご高覧いただければ幸いです。」(2012/08/25)


中東
シリアの内戦がレバノンに拡大する恐れ
  シリアの政府軍と反政府勢力との闘争は隣国レバノンに転移し、誘拐事件を頻発させているようだ。ニューヨークタイムズの「Assad suspected of stoking fire in Lebanon(アサドがレバノンに戦火を拡大させようとしている可能性がある」)とする見出し記事では、シリア国内で政府軍に近いシーア派と、反政府軍に近いスンニ派が抗争をしていることが描かれている。(村上良太)(2012/08/24)


社会
「おみすてになるのですか」上映会〜空襲被災者の声〜
  8月30日、午後4時半から衆議院第一議員会館の多目的ホールで「おみすてになるのですか」を上映予定。名古屋から96歳の被災者・杉山千佐子さんも訪れます。(2012/08/16)


米国
「シリア政府・軍幹部らに寝返りを呼びかけ」
  ルモンド紙によると、米国はシリア政府・軍の幹部らに寝返りを呼びかけている。シリアの首相だったRyad Hijab氏がアサド政権に見切りをつけて亡命したケースに続けという趣旨のようだ。ルモンドによれば、その呼びかけを行ったのは米財務省のデビッド・コーエン氏である。元首相のRyad Hijab氏はシリア政府に離反するまで米政府のブラックリストに載っていたが、亡命したことで個人的な預金封鎖の懲罰も免除されるらしい。他の幹部たちにも今寝返れば懲罰を免除するとする内容のようだ。(2012/08/15)


欧州
スペインの漫画から
スペインの漫画から。エル・パイス紙の常連漫画家Elrichは天国にやってきた人間を描いている。黒メガネの人間が大きく手を広げて「ついに昇天したわ。テキーラはどこ?」と言っている。(2012/08/07)


コラム
アンドレイ・モロビッチさん    村上良太
  モロビッチさんと会ったのは後にも先にも、この時の10分ほどのことである。食事を済ませて先に席を立つ時、モロビッチさんのメールアドレスと名前を手帳に書き込んでいただいた。その時点で、モロビッチさんがどんな「記者」なのか皆目見当もつかなかった。そればかりか、スロベニアがどこに位置するかさえ知らなかったのだ。(2012/08/04)


文化
フランスからの手紙28 〜マリの悲劇  La tragédie du Nord Mali〜パスカル・バレジカ
6月の末、ニジェールのマハマドゥ・イスフ大統領はパリの「日曜新聞」に「マリはアフリカにおけるアフガニスタンになろうとしている。リビアが巨大な武器庫となっており、様々な武器の密売人がそこから武器を仕入れていくのだ。そしてリビア南部はマリのジハーディストたちの後方基地になっている」と語った。実際、NATOがリビアに軍事介入した後、大量の高性能かつ最新兵器が捨てられ、それらのかなりの量はイスラム原理主義グループのアキム(AQMI)によってサハラに持ち運ばれた。(2012/07/31)


検証・メディア
ジャーアリスト、アレクサンダー・コックバーン氏、死去
  ジャーナリストのアレクサンダー・コックバーン(Alexander Cockburn)氏が7月21日に癌で亡くなった。鋭いメディア批評でも知られたとされる。生まれはスコットランドで、オックスフォード大学を卒業。1973年からはアメリカに居を移し、ビレッジボイス、ハーパーズマガジン、アトランティック、ウォールストリートジャーナルなどに寄稿した。近年はカリフォルニア発の政治ニュースレター「カウンターパンチ」編集長として批判精神に富む草の根ジャーナリズムを実行していた。(村上良太)(2012/07/29)


医療/健康
エイズ完治者第一号か  ドイツの元患者が語る
 「デモクラシー・ナウ!」でエイズ完治第一号と思われる元患者が語っている。ティモシー・レイ・ブラウン氏は1995年にエイズ感染と診断された。その後、白血病にも襲われたが、ドイツでその両方の治療に成功した。30年前にエイズが登場してから世界で最初の完治者と考えられている。(2012/07/29)


アフリカ
現代の遊牧民「モダン・ノマドの日記11」  アンドレイ・モロビッチ
  マリアムの夫もまたニジェールのアルリット(Arlit)のウラン鉱山で働いていた。今は政治家である。暑さは政治にはよくないし、政治は人生にはよくない。政治は人生を破壊するからだ。マリアムもまた政界に立候補したことがある。彼女は選挙で選ばれたのだったが、クーデターによって自治は失われ、マリアムの政治家としての人生もまた終止符を打った。(2012/07/28)


アフリカ
断食の月〜ラマダン〜にある国から  村上良太
  イスラム教徒は1年のうち、1か月間、断食の月〜ラマダン〜を過ごす。断食と言っても飲食が禁じられているのは日の出から日没までの間で、日が暮れると飲食してもよいとされる。イスラム暦の関係でラマダンの月は西暦とずれが出るが、今年は7月20日から8月19日頃まで。アルジェリアの首都アルジェに住むイスラム教徒の女性から、今、過ごしているラマダンについてのレポートが届いた。(2012/07/28)


農と食
放射能汚染に苦しむ福島の農家を支援する長編記録映画〜現在、制作中〜  原村政樹
私たちは2009年から福島県天栄村の「天栄米栽培研究会」という農家グループの活動を撮影しています。2010年1月には、NHK・ETV特集「よみがえれ 里山の米作り」で一部が紹介されました。彼らは日本一の米の美味しさを競う「全国米・食味鑑定分析コンクール」で4年連続金賞を受賞、また、耕作放棄田を再生するなど、村の環境を守ってきました。原発事故で田畑は放射能汚染されましたが、国や県には頼らず自分たちの力で、「米への放射能汚染ゼロ」への挑戦を始めました。世界初の試みです。(ドキュメンタリー映画監督・ディレクター 原村政樹)(2012/07/22)


米国
米大学に導入され始めたオンライン教育〜アメリカの報道から〜  
  オンライン教育がついにアメリカの名門大学でも導入され始めた、ということでその是非をめぐる議論もまた活発になっているようだ。オンライン教育とはインターネットを活用して行う教育のことである。7月17日にニューヨークタイムズに掲載された ’Top Universities Test the Online Appeal of Free’と題する記事は今、米教育界で何が起きているかが書かれている。Courseraという教育ベンチャー企業が名門大学と提携して、無料の大学講座を立ち上げているというのだ。(2012/07/22)


米国
ローンが払えず家を失う米高齢者たち 150万人の行方
  ニューヨークタイムズ(7月19日)に、住宅ローンが払えなくなった中高年が増加しており、50歳以上で家を失った米国人は2007年から2011年までで150万人に上ると報じられた。中でも最もその率が高いのは75歳以上の年齢層だとされる。(2012/07/21)


米国
米ノースラスベガス市が財政危機に
  米西部のネバダ州にあるノースラスベガス市が財政危機に直面し、女性市長Shari Buck氏(共和党)は’Fiscal State of Emergency’を宣言した。警察官や消防署員など、公務員をこれ以上解雇しないためには、給与のベースアップの凍結や残業手当の凍結など一連の行動を取る必要があるという。(村上良太)(2012/07/21)


コラム
アンコールワットと密林の猿たち
  19世紀半ば、フランスのナチュラリストで探検家のアンリ・ムオ(Henri Mouhot)はインドシナを旅している途中、密林の中に東洋の秘境アンコール・ワットを発見した。ムオはその時の探検の記録を残している。ナチュラリストだったというだけあって、ムオの探検記には動物たちの興味深い姿も描かれている。中でも目を引くのは密林の猿たちである。(村上良太)(2012/07/10)


コラム
動いてみないとわからない   村上良太
  外国に取材に行けるようになったのは僕の場合はもっぱら9・11同時多発テロ事件以後だ。それまでの数年は外国取材が減少しており、外国取材をもっぱらとする番組枠のスタッフでなかったら難しかった。それがテロ事件をきっかけに海外の動向が戦争を含めて再びニュースに取り上げられるようになった。だが、外国取材の経験が不足していると、初めて行く土地土地で勘違いや誤解、自分の無知を思い知ることになる。(村上良太)(2012/07/08)


みる・よむ・きく
瀬川正仁著「アジアの辺境に学ぶ幸福の質」(亜紀書房)
  瀬川正仁著「アジアの辺境に学ぶ幸福の質」はテレビドキュメンタリーディレクターの瀬川氏がこれまでアジアの辺境を数多く旅して報じてきた経験から、日本人の幸福を考えた本である。瀬川氏がこれまで旅した地はタイ、インド、ミャンマー、パレスチナ、インドネシアなど。圧倒的に途上国が多い。本書ではそれらが地域別に記述されるのではなく、テーマ別に書かれている。〇間について△金について仕事についてゅについてヌ燭砲弔い董最後に「辺境の民とは私達のことだった」と気づくことになる。(2012/07/08)


文化
フランスからの手紙27 〜ポルトガル人がアンゴラに移民〜L’émigration portugaise en Angola  パスカル・バレジカ
これまで移民の流れはそれが合法であれ、非合法であれ、アフリカから欧州に向かうものだった。しかし、ポルトガル、スペイン、ギリシアのいわゆる「南欧」が直面している深刻な不況を前に、これまでと異なる事態が生じており、非合法に欧州からアフリカに向かう流れが生じている。(2012/07/08)


人権/反差別/司法
池袋の法律駆け込み寺から〜東京パブリック法律事務所・外国人部門ニュースレター〜
   外国人の司法アクセス障害を解消することを目標に取り組んできた当事務所外国人部門ですが、今秋、品川近辺に新たな外国人法的支援の拠点となるべく、当事務所の支所を開設する運びとなりました。(2012/07/05)


アフリカ
トゥンブクトゥの霊廟が破壊される  マリの紛争  
  ニューヨークタイムズによると、マリ北部を占拠している分離独立派のイスラム原理主義勢力が先週土曜からユネスコの世界遺産に指定されている霊廟を破壊し始めた。このグループはAnsar Dineと名乗る勢力である。(2012/07/03)


アフリカ
現代の遊牧民「モダン・ノマドの日記10」  アンドレイ・モロビッチ
  アバイエ・マハマドゥはニジェールのアガデス州の教育局で働いている。アバイエは洗練された紳士であり、古いタイプのインテリだ。つまり、ネグリチュード運動の集会からすぐにやってきたような人物なのである。アバイエが教育の仕事に携わるようになったのは活動家時代の活動を通じてであった。だが、彼の職務は不条理とも言えるほど膨大にあり、たとえ創造主であっても絶望するほどだ。ともかく、教育分野は底なしに遅れている。(2012/07/01)


文化
フランスからの手紙26  あのキプロスが欧州連合理事会の議長国となる・・・Chypre va présider l’Union Européenne… パスカル・バレジカ
  2012年7月1日からキプロスは欧州連合理事会の議長国をつとめることになる。これは欧州連合の機能の一つである。半年ごとに、加盟国の1つが欧州連合理事会の議長国となるのだ。キプロスも27加盟国の公式の1国である。しかし、キプロスは通常の国ではない。そしてキプロスが投げかけるのは政治問題だけではない。経済問題や地政学的な問題をも投げかけているのだ。(2012/06/30)


米国
オバマ大統領の医療保険改革法と最高裁 2 
  ところで今更ではあるが「オバマケア(Obama Care)」とはなんだったのか?アメリカの報道番組「デモクラシー・ナウ!」によると「オバマケア」(オバマ大統領の医療改革法」)は’Affordable Care Act’と呼ばれており、その骨子は次のようなものだ。(2012/06/30)


米国
オバマケアを米最高裁が合憲と判断   
 オバマ大統領が進めた医療保険改革法を最高裁が合憲と判断した。アメリカの報道番組「デモクラシー・ナウ!」が報じている。(2012/06/30)


コラム
村上龍とテオ・アンゲロプロスの対談番組
  1990年頃だったと思うが、作家の村上龍氏とギリシアの映画監督テオ・アンゲロプロス(Theo Angelopoulos)氏が対談したNHKの番組があった。「旅芸人の記録」からその頃の最新作「霧の中の風景」まで、テオ・アンゲロプロス監督の映画を紹介しながら、ギリシアでの映画作りについて村上龍氏がインタビューしていた。(村上良太)(2012/06/24)


欧州
緊縮派の勝利は解決につながらない 〜ポール・クルーグマンのコラムから〜
  先日のギリシアの総選挙で、財政緊縮派が勝利を占め、かろうじてユーロ残留の道を残したとされる。多くの新聞が緊縮派の路線をよろこばしいこととして一定の評価をしている。そんな中、異論をはさんでいるのがニューヨーク・タイムズに寄稿している経済学者のポール・クルーグマン氏だ。クルーグマン氏は6月17日付のニューヨークタイムズに「犠牲者としてのギリシア(Greece as Victime)」と題するコラムを寄稿した。(村上良太)(2012/06/24)


コラム
テレビ業界人と食事  糖尿病とどうつきあうか 〜編集室の厨房で〜
  井上秀明さんはテレビ・ドキュメンタリーの編集者で、過去には賞を受けた番組を多数生み出してきた人です。以前、井上さんに編集の仕事についてインタビューにお伺いした時、井上さんの編集室のすぐ近くのファミリーレストランで夕食をともにさせていただきました。この時、井上さんは食事の写真をデジタルカメラで撮影されたのですが、その理由は糖尿病だからということでした。毎日、何を食べたかを写真に記録しているそうです。(村上良太)(2012/06/24)


中東
ステファン・エセル氏の声  中東の二国家による平和
  ステファン・エセル(Stephane Hessel )氏と言えば、アメリカを揺さぶった「オキュパイウォールストリート(ウォール街を占拠せよ)」運動のパンフレットとなった「怒りなさい」の著者として知られる。エセル氏はユダヤ人でホロコーストをかろうじて逃げ切り、フランスのドゴール将軍の元で抵抗運動に携わったのち、1948年には世界人権宣言の起草委員になっている。そのエセル氏がパリの自宅で、イスラエルの新聞ハーレッツ紙のインタビューを受けた記事が掲載されている。(2012/06/18)


中東
イランのアフマディネジャード大統領、3度目を求めず  
  イスラエルの新聞、ハーレッツ(Haaretz)によると、イランのアフマディネジャード大統領は2013年8月に大統領職の二期目の任期が満了する。ロシアのプーチン大統領のように政治家を続けず、大学に戻る意向だとドイツの新聞フランクフルターアルゲマイネ紙で述べたとされる。(2012/06/17)


中東
イスラエル人青年が軍刑務所でハンガーストライキ パレスチナの囚人に連帯を示す
  イスラエルの新聞ハーレッツ(Haaretz)によると、軍の刑務所に収監されているイスラエル人青年が獄中のパレスチナ人に連帯を示して、ハンガーストライキを続けているという。(2012/06/17)


文化
生涯現役・作家レイ・ブラッドベリ 91歳の死 〜成功の秘訣は図書館を卒業したこと〜
  今月、アメリカの作家レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury)氏が亡くなった。91歳だった。ブラッドベリ氏はSF詩人というあだ名を持っていたように、’下級文学’と主流派文学サークルから相手にされなかったSFの中に、文学性を持ち込んだと評価されている。そうした評価の対象は特に短編小説に顕著だが、その一方で、「華氏451度」(1953)のように、全体主義の怖さを巧みに描いた小説でも優れていた。(2012/06/16)


欧州
就任1か月 フランス大統領への懸念    
  ルモンド紙(国際版、6月2日号)にはオランド氏のアフガニスタン訪問の模様が書かれている。5月25日、カブールを電撃訪問したのだ。随行したのは外務大臣のローラン・ファビウス氏と、国防大臣のジャン=イヴ・ル・ドリアン氏。ルモンド紙によると、フランス軍はNATOの枠組みでアフガニスタンに3600人の兵士を派遣しているが、カブール北部にはその3分の2が駐留している。オランド氏は今年末までに2000人以上を撤退させると語った。テロの脅威が完全になくなったわけではないが、一定の効果があったからだと説明している。(村上良太)(2012/06/12)


コラム
外国のテレビと滋養    村上良太
  外国のテレビについて考えようとすると、反射的に思い浮かぶのは昔お世話になった制作会社の社長の話だ。アメリカに旅行した時、ホテルから一歩も出ず、朝から晩までテレビ三昧だったという。誇張はあるだろうが、真実に近い気がする。他国の放送で面白いものがあればアイデアをいただこうという腹なのだ。そのため外国に旅行しながら、ホテルに籠るという・・・。(2012/06/12)


みる・よむ・きく
浜田正晴著「オリンパスの闇と闘い続けて」(光文社)
今回紹介する浜田正晴氏によるノンフィクション「オリンパスの闇と闘い続けて」は、オリンパスが舞台となっているものの、損失隠し事件とは直接関係がない。2007年にオリンパス社員の浜田正晴氏が上司の行動に疑問を持ち、社内のコンプライアンス(法令順守)部門に内部告発したところ、経験のない部署に3回も異動させられるなど組織ぐるみで報復を受け、2008年、浜田氏がついに裁判に訴えた事件である。(村上良太)(2012/06/10)


中東
イスラエルで要人によるイラン攻撃に対する批判が続出 
  イランが核兵器を開発しているとの疑いから、イスラエルでは<単独攻撃も辞さず>とのメッセージがここ数年来繰り返されており、攻撃は今秋にも・・・というような憶測すら出ている。しかし、その一方で、ニューヨークタイムズなどによると、イラン攻撃に対する疑問がイスラエル国内の情報機関や軍の要人から出てきている。その1つが、ニューヨークタイムズに掲載された以下のタイトルの記事だ。’Israeli Army Chief Says He Believes Iran Won’t Build Bomb’(イスラエル軍の要人が「イランは核爆弾を作っていない」と語った)というもの。(2012/06/10)


みる・よむ・きく
ニューヨーカーが激論「オンラインデーティングについて」  恋愛ドラマの流入で自殺が増える村も・・?
  雑誌ニューヨーカーのサイトで、インターネットによる男女のマッチングを巡って討論している。いまどき、男女はどこで知り合うのか、論客たちが話し合っている。かつてなら、町のバーで出会ったらしいのだが昨今は事情が変わりつつあるようだ。パネリストは「恋愛科学」の第一人者で人類学者のヘレン・フィッシャー博士などの顔ぶれ。(2012/06/10)


欧州
コペンハーゲンの自転車   村上良太
  コペンハーゲンを旅した人であれば、必ず印象深く思うのが自転車乗りだろう。町をぼんやり歩いていると、あわよくば自転車にはねられかねない。快速で自転車が二台、三台、いや数十台単位でビューンと脇を走り抜けていく。(2012/06/06)


社会
メキシコ通信   ストリートチルドレン  
  メキシコの写真家、フリオ・アダムス(Julio Adams)氏から、映像のリンクが送られてきた。「最近僕はビデオをアップロードしたんだ。メキシコの悲しい現実だけど、ぜひ見てほしい」と。(2012/06/06)


文化
パリからのメール 幻灯師ヴァンサン・ベルゴン氏の近況
  パリで独自の芸術を披露しているヴァンサン・ベルゴン(Vincent Vergone)氏から近況を伝えるメールが届きました。(2012/06/06)


欧州
イタリアの新聞漫画から  
  イタリアの新聞、イル・マニフェストの新聞漫画から。(2012/06/05)


検証・メディア
西サハラの衛星放送局RASD-TV 〜テレビの草創期がここにある〜  村上良太
  昨年暮れの12月、モロッコによる西サハラの占領問題を長年追及しているジャーナリスト、平田伊都子氏に同行して西サハラの難民キャンプに入った。僕の役割は4年に一度開催される大統領選挙・議員選挙のビデオ撮影である。平田氏によれば、この選挙はアルジェリア国内に置かれた西サハラの難民キャンプで行われるのが通常なのだが、昨年暮れの場合は違っていた。アルジェリアからサハラ砂漠をランドクルーザー百台以上を連ねたコンボイで縦断し、彼らのホームグラウンド、西サハラ(非占領地)で行ったのだった。この時、同業者とも言える西サハラの衛星放送局RASD-TVが特に興味深かった。(2012/06/03)


アフリカ
現代の遊牧民 「モダン・ノマドの日記 9」 アンドレイ・モロビッチ
  「平和ホテル」はニジェール北部のサハラ砂漠にある州、アガデス(Agadez)で最大の建物ではないにしても、もっとも大きなものの1つに入る。このビルが建設されたのはそれほど昔の事ではない。近代技術を使って記録的な短期間で建てられた。基本的にはセメントのブロック使ったものだが、正面のファサードにはアフリカで伝統的な粘土と藁、牛馬糞が使用されている。アガデズで世界に出して恥ずかしくない施設は「平和ホテル」くらいしかない。部屋にはエアコンがついているし、プールもある。さらに様々な種類の酒が置かれたバーもある。この「平和ホテル」を作ったのはリビアのカダフィ大佐だ。(2012/06/03)


人権/反差別/司法
米大統領選・フロリダ州でヒスパニック系住民らを有権者リストから排除する動きに米司法省が警告
  米国内の報道によると、フロリダ州で共和党のリック・スコット州知事が約18万2000人の有権者が大統領選挙の投票資格を書いている可能性があるとして、リストに掲載された人々に米市民であることを立証させるなどを要求していた。報道によると、リストに掲載された人の大半は選挙資格があったとされる。その中には40年間選挙で投票してきたような人や第二次大戦に従軍した元兵士らが含まれている。(2012/06/02)


欧州
ノルウェイの連続テロ犯 デンマークの移民政策を賞賛
  昨年7月、ノルウェイの首都オスロで与党・労働党の集会などを狙った連続テロ事件が起きたのを覚えている人は多いだろう。死者は合計で77人に及んだ。その犯人、アンネシュ・ブレイビク被告(33)はイスラムとの対決を思想信条としており、犯行に及んだ動機が移民を受け入れるノルウェイ政府の移民政策にあったとされる。その公判がオスロで行われている。(2012/06/02)


人類の当面する基本問題
スイスで自殺ほう助が増加  
  APによると、スイスで自殺ほう助が増加している。現在、死者数の0.5%を占める。スイスの公式発表では1998年に3件だったが、2009年には300件に増加した。その90%以上は自殺者が55歳以上のケースで、女性の方が男性よりも希望者が多いとされる。(2012/06/02)


文化
モノの形と影   村上良太
    パリのアーチスト、ヴァンサン・ベルゴン(Vincent Vergone)氏の芸に光と影を使った見世物がある。プラキシノスコープと呼ばれる装置を使うものだが、日本では幻灯機と呼ばれてきた。暗闇の中でモノに光を投射し、その影で物語を作るのである。(2012/06/02)


世界経済
ガーディアン・サステナブル・ビジネス・リーダー・オブ・ザ・イヤー2012にサフィア・ミニー氏(ピープル・ツリー)がノミネート
  フェアトレードの「ピープル・ツリー」代表 サフィア・ミニー氏が英ガーディアン紙選出の「ガーディアン・サステナブル・ビジネス・リーダー・オブ・ザ・イヤー2012」のファイナリストに選出され、29日ロンドンで開催された授賞式へ出席した。(2012/06/01)


みる・よむ・きく
写真家フリオ・アダムス氏、骨を折る
 メキシコの写真家、フリオ・アダムス(Julio Adams)氏から「事故って手の骨を折ってしまったんだ」とのメールが届いた。(2012/06/01)


人権/反差別/司法
「レイプは刑罰の一部ではない」〜刑務所内レイプを減らせるか?米司法当局の新方針〜
  5月30日付のニューヨークタイムズに「刑務所の危険」と題する社説が掲載されていた。テーマはアメリカの刑務所内で常態化しているレイプをいかに減らせるか、ということだ。(村上良太)(2012/05/31)


米国
ユタ州に米国民監視センターが?   「デモクラシー・ナウ!」で紹介
  エイミー・グッドマン氏が司会しているアメリカの報道番組「デモクラシー・ナウ!」で今、テーマにあがっているのが<国民に対する監視>だ。番組に登場するのが元NSA(National Security Agency)の職員、ウイリアム・ビニー(William Binney)氏。(2012/05/30)


みる・よむ・きく
信友直子ディレクターの新作 「アイドルの家〜涙の数だけ抱きしめて」
  ニューヨークフェスティバルで銀賞に輝いたドキュメント番組「おっぱいと東京タワー」の信友直子ディレクターの新作が放送される。5月20日(日)14時〜14時55分 フジテレビ <ザ・ノンフィクション>「アイドルの家〜涙の数だけ抱きしめて」(2012/05/14)


みる・よむ・きく
作家スヴェン・リンドクヴィストとは?
 「現代の遊牧民〜モダン・ノマドの日記〜」を寄稿していただいているスロベニア人の作家、アンドレイ・モロビッチ氏はサハラを放浪しながら文章を書き続けている。モロビッチ氏の「日記」が興味深いのは主人公がアフリカの名もない民、その一人一人であることだ。そこがこれまでしばしば描かれてきたアフリカ人の肖像と大きく違っているように思う。そんなモロビッチ氏の愛読書にアフリカにやってきた欧州人を描いたジョーゼフ・コンラッドの「闇の奥」がある。「もう一人、僕が強く薦める作家はスヴェン・リンドクヴィストです」(村上良太)(2012/05/12)


みる・よむ・きく
ジェリー・ロスウェル監督「名も知らぬ精子ドナー(Donor Unknown)」 〜生物学上の父を訪ねて〜
  数日間、コペンハーゲンで過ごした。コペンハーゲンはこの季節、夜の9時頃まで日が照っている。そこで、夕飯を食べた後、ホテルでビールを飲みながら遅い夕暮れを待つ。北欧は鳥の鳴き声も違っているが、鳥は明るさに惑わされないのだろう、午後6時ころには夕暮れの鳴き声がこだまする。それから日が落ちるまで、物憂い時間を持て余す。テレビをつけると、フランス映画にロシア語の字幕がついていたり、ビリヤードの実況中継がノーカットで放送されていたりと随分日本と雰囲気が違う。ビリヤードの王座決定戦らしい対決を見に、多くの観客がスタジアムにつめかけて見守っている。一番印象深かったのはDR(デンマーク放送協会)が放送していた親子の劇的再開を描くドキュメンタリー番組だ。(村上良太)(2012/05/10)


欧州
フランスの失業率10%’恋・失業そしてシャンペン’〜笑劇「Bienvenue chez popole (ポポルへようこそ)」〜フランス職業斡旋局職員が自らを笑う〜
  経済危機の欧州は依然失業率が高い。フランスではついに10%の大台に上った。そんな中、パリのメニルモンタン劇場でこれから、職業斡旋をつかさどるフランスの国家機関ポール・アンプロワ(Pole emploi)を舞台に、労働と失業を舞台に乗せた笑劇が始まるらしい。タイトルは「ポポルへようこそ」。舞台づくりの中心となったのは、ポール・アンプロワの職員たちだという。(村上良太)(2012/05/09)


みる・よむ・きく
エリック・カール作「小さな雲(Little cloud)」   村上良太
  絵本作家エリック・カールの代表作は「はらぺこあおむし」と言われている。青虫が毎日、葉っぱから、果実さらにはお菓子の類まで食べてお腹をこわしたりするが、たくさん食べることでさなぎになり、蝶になる。それだけのシンプルな話だが、エリック・カールの絵には独特のユーモアと技巧があり、読者を魅了せずにはいられない。だが、今、ここで書きたいのはもっと地味な作品である。題は「小さな雲(Little Cloud)」である。(2012/05/06)


欧州
フランス大統領選 サルコジ氏とカダフィ政権の癒着が暴露
  フランス大統領選ではフランソワ・オランド氏(社会党)と現職のサルコジ大統領(国民運動連合=UMP)の決選投票が6日に予定されている。リードするオランド氏をサルコジ氏が追い上げている。その最中、サルコジ大統領が2007年の大統領選でカダフィ政権から資金提供を受けたとする暴露記事が出ており、サルコジ大統領に打撃となっているとみられる。(2012/05/04)


みる・よむ・きく
ジョーゼフ・コンラッド作「闇の奥」(岩波文庫)
  ジョーゼフ・コンラッド作「闇の奥」は優れた小説であるという話こそ耳にしていたけれども、フランシス・コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」の原作であることの方が僕の中では意識されていた。1979年に公開された映画「地獄の黙示録」はベトナム戦争を舞台にしている。「地獄の黙示録」は徴兵された若い米兵たちがベトナムに戦いに行く話だが、話の焦点になっているのはクルツという士官が米軍から離れ、勝手に現地で独立国のようなものを築いているため、そのクルツを抹殺して来いと若者が指令を受ける話である。クルツを演じたのがマーロン・ブランドで、暗殺指令を米軍から受けた若者がマーティン・シーンだった。今回、初めて原作小説を読んでみると、映画「地獄の黙示録」が原作小説の話の流れをかなり生かしていると感じさせられた。(村上良太)(2012/05/04)


文化
5月4日は故キース・へリングの誕生日
  今日はキース・へリングの誕生日にあたるとグーグル検索のページに出ていた。キース・へリングと言えば、ニューヨークの地下鉄の壁などに、ポップな絵を落書きしていたアーチストだ。しかし、1990年にエイズで亡くなった。亡くなったのは31歳だから早すぎる死と言えよう。(2012/05/04)


農と食
家畜のための環境改善に取り組むGlobal Animal Partnership
  アメリカで未だ農作物市場全体に占める割合こそ数%に満たないものの、オーガニック作物は急速に伸びている。スーパーマーケットの中にもホールフーズマーケット(Whole Foods Market)やニューシーズンズ(New Seasons Market)のようにオーガニックを売りにしたチェーン店が急成長を遂げている。アメリカ人の中にも、安全で美味しい野菜を食べたいと考える消費者が増えているのである。そのホールフーズマーケットが新しい試みを始めた。家畜を自然環境に近い状態で飼育し、できるだけ苦痛を取り去ろうと取り組んでいるアメリカの団体、グローバルアニマルパートナーシップ(Global Animal Partnership)と2年間提携して、家畜の生活環境改善に取り組むことになったのだ。(2012/05/04)


コラム
ボック先生 〜日米のシナリオ教育の違い〜
  90年代の初頭、オーディ・ボックというアメリカ人の日本映画研究者が日本の学校で日本映画を講じていた。黒澤明の自伝「蝦蟇の油」の英訳者であり、成瀬巳喜男や黒澤明、市川昆など日本の映画監督を論じた「Japanese film directors」という著作もある。日本語も堪能で、若い頃はNHKの英語講座で講師をしていたこともあるようである。ボック先生は映画のシナリオを書くためのシナリオ講座に関して、日米で教え方に基本的な違いがあると言っていた。(村上良太)(2012/05/03)


アフリカ
現代の遊牧民 「モダン・ノマドの日記 8」 アンドレイ・モロビッチ
  フジャはイフェルアン(Iferouane)という名の、牧歌的な小さな村で暮らしている。この村はサハラ砂漠の真ん中にあり、政治経済の中心地から遠く離れた北部に位置している。とはいえ、この地にも進歩の波は押し寄せていないわけではない。壮大な御影石の曲線からなるエール山脈に囲まれた小村はその高度から夏は猛烈な暑さから解放され、十分な水と肥沃な土地に恵まれている。さらに、略奪者の潜む危険なルートからも遠く離れているのだ。(2012/05/03)


欧州
スペインの漫画から FEITOとは?
  スペインの新聞エル・パイスにErlichの最新の漫画が載っている。例によって、スペイン情勢に疎いと(ただでさえ、スペイン語に詳しくないためもあって)意味が分かりにくい面がある。この漫画では男が新聞を読んでおり、画面奥にいると思しき妻に問いかけている。夫「このコーヒー変わった風味があるけど、何なんだい?」妻「アドレナリンよ」(2012/04/22)


中東
続く「アラブの春」〜バーレーンの民主化運動〜
  ペルシア湾上の島国バーレーンでは自動車レースのFIグランプリ開催(4月20日)に合わせて反政府運動が高まり、警官隊と抗議運動の市民との衝突が起きている。この衝突で、男性一人が死亡しているのが見つかった。(2012/04/22)


アフリカ
マリのトゥーレ大統領がセネガルに亡命
  フランスのヌーベル・オプセルバトゥール誌によると、クーデターで拘束された元マリ大統領のアマドゥ・トゥマニ・トゥーレ大統領が4月19日、隣国のセネガルに亡命した。(2012/04/21)


アフリカ
アラブの春、トゥアレグ族、マリ政変
  アフリカ北西部のマリでは3月にクーデターが起き、不穏な状態が続いている。「3月21日(水曜日),一部の国軍兵士らが騒乱を起こし,国営TVラジオ局を占拠,大統領宮殿を襲撃した。翌22日(木曜日)朝,「民主主義再建・国家復興のための国会委員会(CNRDRE)」を名乗る国軍兵士は,国営テレビを通じ国家の指揮権の掌握と憲法停止を発表した。」(外務省)(2012/04/21)


みる・よむ・きく
NHKBS1「企業が国を訴える〜エルサルバドル 自由貿易協定を巡る攻防〜」 多国籍企業と国の紛争
  TPPに日本も参加するべきかどうかで昨年来揺れている。自由貿易協定が世界的な広がりをみせる中、急増しているのが多国籍企業と現地国の間の法律紛争だ。自由貿易協定には「ISD条項」が書き入れられることが多い。このISD条項はグローバル企業が現地国の恣意的な規制などで損害を被った場合に国際的な調停機関に損害賠償や救済措置を求めて訴えることができる条項である。4月21日にNHKBS1で放送する「企業が国を訴える〜エルサルバドル 自由貿易協定を巡る攻防〜」はまさに多国籍企業と国家とのぶつかりあいを描いている。放送: 4月21日(土)22:00〜22:49、再放送: 4月22日(日)20:00〜20:49(2012/04/15)


みる・よむ・きく
今夜放送「嘆きのギリシア〜700ユーロ世代の真実〜」NHKBS1
  11年前、EUの共通通貨ユーロ導入を機に、外国から大量の資金が流れこみバブル経済に突入していったギリシャに、多額の債務が発覚したのは3年前のことだ。その債務の多くは、使途不明金。「僕らが返済する借金は、いったい誰が何に使ったものなのか!」700ユーロ世代が、債務の開示を求めて、立ち上がった。 (2012/04/14)


文化
「砲火にさらされる文化」 イリナ・ボコバ氏(ユネスコ事務局長)のNYTへの寄稿
  週末のニューヨークタイムズにユネスコ事務局長のイリナ・ボコバ氏が寄稿していた。タイトルは’Culture under fire'(砲火にさらされる文化)である。その発端となったのはシリアとマリのそれぞれの内戦で、内戦によって文化遺産が砲火にさらされ危機に瀕しているというのだ。(2012/04/10)


検証・メディア
AOLへの売却から1年 ハフィントンポストの次のステージとは?
  ニューヨークタイムズはウェブ媒体のハフィントンポストについて報じた。AOLへの衝撃的な売却から1年後である。(2012/04/08)


文化
フランスからの手紙 25  Paris existe-t-il ? (パリは存在するのか?) パスカル・バレジカ
  今、パリに関する本を1冊書き終えたばかりである。毎回、執筆の度に自問するのだが、それは「パリは本当に存在しているのか?」という問いである。なるほど、私たちは疑問の余地がないほど確かな現実の町で暮らしている。私はこの町で生まれたのだし、何十年とこの町をあらゆる方向に歩き回ってきた。徒歩で何キロもだ。確かにパリはそこにある。それでも欧州全域や世界から見ればとても小さな都市に過ぎない。ロンドンに比べればとても小さいし、欧州の大きな都市に比べても小さい。(2012/04/08)


みる・よむ・きく
ザ・ノンフィクション「花嫁のれん物語3」 井上秀明(編集)
  お元気でしょうか?風が強く、空気が冷たい日々ですが、景色はすっかり春です。市ヶ谷の桜も今週が見頃と言ったところでしょうか。さて、明日ですが、私が編集を担当致しました番組が放送されます。フジテレビ、午後2時から。ザ・ノンフィクション「花嫁のれん物語3」です。(2012/04/07)


コラム
突風に吹かれて    村上良太
  3日午後、首都圏もまた激しい突風に襲われた。偶然、その時間に千葉にいた筆者は東京行きのJR電車が突風でストップしてしまいまったく車内で動きがとれなくなってしまった。アナウンスはこう告げた。「運行の見込みはまったくたっていません」(2012/04/04)


アフリカ
現代の遊牧民 「モダン・ノマドの日記 7」 アンドレイ・モロビッチ
  鍛冶屋たちと女性の革職人たちは仲間意識と一致団結のよい例だ。どういうことかと思われる読者の方々の為に少し説明すると、鍛冶屋と女性の革職人たちは人種や出自にはこだわらず、皆ともに働いているということなのである。人種や出自で人を差別することをよしとできるのは特権を持つ人々だ。彼らは自己の存在がもろい1本の藁にかかったことなどないだろうから、そういう差別ができるのだ。(2012/04/01)


みる・よむ・きく
西サハラを撮影したメキシコの写真家、フリオ・アダムス
  昨年暮れ、平田伊都子氏ら日本の取材班が西サハラに入った。その模様は日刊ベリタの平田氏のレポートにくわしく記されているが、モロッコが占領したために国を追われた西サハラの難民やモロッコの占領下に生きる人々が4年に一度集まり、4年間の総括と新たな大統領などの選挙を行うのである。もともと西サハラの宗主国だったスペインはもちろんのこと、フランスやロシア、メキシコ、東欧など世界中から記者や写真家が集まってきた。メキシコの写真家、フリオ・アダムス(Julio Adams)氏もその一人である。(村上良太)(2012/03/29)


米国
「なぜゴールドマンサックスを辞めるか。」 話題のニューヨークタイムズへの寄稿
 「なぜ私はゴールドマンサックスを辞めるか」という寄稿が3月14日付のニューヨークタイムズに掲載された。話題になった寄稿文である。(2012/03/27)


みる・よむ・きく
「American Teacher( アメリカの教師)」  公教育をテーマにした米ドキュメンタリー
  日本で教師が心を病んだり、燃え尽きたりしているという話を聞くようになってかなりの時間が経った。それは日本特有の現象かと思っていたが、アメリカでも同様の事態があるようだ。2011年に完成されたドキュメンタリー映画「American Teacher(アメリカの教師)」は公教育の場で本来やる気もあり、優れた資質を持つ教師たちがいかに疲弊しているか、その実情を描いたものらしい。(2012/03/25)


検証・メディア
反ラッシュ・リンボーの広告  
  アメリカの右派でタカ派のラジオ・パーソナリティ、ラッシュ・リンボー氏の発言がまた波紋を呼んでいる。ハフィントン・ポストによると、リンボー氏のその問題発言とはジョージタウン大学法学部の女子学生が避妊に関する国会の公聴会に参加したことで、彼女を「slut(ふしだら)」などとラジオで語ったことのようだ。その発言が問題となり、全米の141社がスポンサーを降りたという。さらに、この発言を取り上げて、リンボー氏の番組を批判するラジオ広告が作られたという。(2012/03/24)


教育
アメリカの教師 〜低い所得で副業 辞めたい教師が3人に1人〜
  ニューヨークタイムズの3月12日付の教育に関する記事は衝撃的だ。アメリカのある調査で、米教師のおよそ3人に1人が5年以内に辞めるかもしれないと答えたという。3年前は4人に1人だった。背景には1クラスの人数が増加していることや教育予算が削減されている実情があると書かれている。(村上良太)(2012/03/24)


欧州
パリの花々
  パリの3月はまだ気候が多少不安定で、急に雨が降ってきたりする。しかし、春は訪れたようだ。(2012/03/22)


欧州
mardi 20 mars a Paris vers 14 heures (3月20日火曜午後2時頃のパリ)
 3月20日火曜午後2時頃のパリを写した1枚である。場所はバスチーユ地区。自転車が窓の外に置かれた建物の1階にはアトリエ・ヴェロルショネールと書かれている。(2012/03/22)


アフリカ
現代の遊牧民 「モダン・ノマドの日記 6」 アンドレイ・モロビッチ
  タンバラは美容院を経営している。わずか21歳に過ぎないが、すでに自立しており、誰の指図も受けない。タンバラにはボーイフレンドがいて、間もなく結婚する予定だが、それは彼が過ちを犯さなかった場合に限る。タンバラは南部から移住してきた女性だが、あらゆる点で突出しており、輝いている。(2012/03/20)


アフリカ
現代の遊牧民〜「モダン・ノマドの日記 5」 アンドレイ・モロビッチ
ハムは愛想がよく、社交的で頭のよい男である。ウィットに富むと同時に幸運にも恵まれている。ハムはアルリットのウラン鉱山で25年も働いた。最初は下級労働者であり、その後、かなりの期間を巨大なウラン掘削機の操縦者として過ごした。最後にはその勤勉ぶりが評価された結果、職場の安全性を管理するポストに就くことができた。(2012/03/19)


みる・よむ・きく
「アメリカ・ジャーナリズム」(下山進著 丸善ライブラリー)
  文藝春秋社で雑誌の記者をしていた下山進氏は1992年、モービルフェローの奨学生となり、ニューヨークのコロンビア大学ジャーナリズム科に学んだ。現役ジャーナリストとしてある研究テーマを追いかけるための資金を得たのである。下山氏が選んだテーマは3つ。.▲瓮螢のメディアの経営的な基盤 ▲Εーターゲート報道以降のアメリカの調査報道 真実と人権のバランスをどうとっているか。アメリカの報道がどう変化していたか。米社会全体がどう変貌しつつあったかがこの本から見えてくる。(2012/03/18)


東日本大震災
人間らしい生き方とは? 「Japan, One Year After 3.11 」〜 ピープル・ツリーが製作〜
震災後の日本を伝える映像「Japan, One Year After 3.11」について、完成した動画をweb上にアップロードいたしましたので、ご連絡いたします。お時間がございましたら、以下のリンクよりご覧ください。(2012/03/18)


みる・よむ・きく
特集・小川伸介と小川プロダクション
今日、東京・御茶ノ水のアテネフランセ文化センターにて、小川プロの「三里塚・辺田部落」を観てきました。ずーっと観たいと想いつつ、今まで観られなかった作品です。今、同センターでは「特集・小川伸介と小川プロダクション」を3月31日まで上映しています。(原村政樹)(2012/03/17)


みる・よむ・きく
ハフィントンポストのフランス語版 ロシアの反体制アーチストを紹介
  最近、ルモンドと提携してフランス語版をウェブで立ち上げたばかりのハフィントンポストに反プーチンのストリートアーチストが取り上げられている。男の名前はP183だ。(2012/03/05)


国際
本日日曜、ロシア大統領選の投票
  4日日曜、ロシアで大統領選の投票が始まった。プーチン首相、共産党のジュガーノフ委員長、ジリノフスキー自由民主党党首、公正ロシアのミロノフ党首、富豪プロホロフ氏らが立候補している。(2012/03/04)


みる・よむ・きく
監督のマイケル・マンがドキュメンタリー番組シリーズ制作へ(ケーブルテレビのHBO) 〜テーマは若き戦場カメラマン〜
  「ヒート」や「インサイダー」などのハリウッド映画の名匠、マイケル・マン監督がケーブルテレビ局HBOで新しいドキュメンタリーシリーズ制作に乗り出す。テーマは戦場カメラマンだ。(2012/03/04)


米国
ジョージ・クルーニー ブラピとのゲイの噂に動ぜず
  ハフィントン・ポストは俳優のジョージ・クルーニーがブラッド・ピットとのゲイの噂に対して、雑誌Advocateのインタビューで答えた言葉を掲載している。(2012/03/02)


文化
「セールスマンの死」がブロードウェイで再演 主演はフィリップ・シーモア・ホフマン、演出はマイク・ニコルズ
  ニューヨークタイムズによると、アーサー・ミラーの傑作「セールスマンの死」がブロードウェイで再演される。劇場はバリモア劇場、3月15日からだ。主演はフィリップ・シーモア・ホフマン、個性的な性格俳優だ。演出は「卒業」などの映画監督でもあるマイク・ニコルズである。(2012/02/27)


アフリカ
現代の遊牧民〜モダン・ノマドの日記 4〜アンドレイ・モロビッチ
  デインジャー・オマルは独学の思想家であり、哲学者だ。緩やかな水もとがった岩を滑らかにする。デインジャーは大半の時間を都市で過ごしているが、心は常に生まれ故郷のアザワクにある。そこはほとんど気がつかないほどゆるやかな起伏のある大平原で、アガデズ西部からマリにかけて広がっている。(2012/02/26)


アフリカ
現代の遊牧民〜モダン・ノマドの日記 3〜アンドレイ・モロビッチ
  スキー用品店でデインジャーはいつでも新米の弟子たちを呼んで茶を入れさせたり、土製の壺から冷たい水を1杯くんで持ってこさせたり、疲れた客たちの為にサンドイッチを持ってこさせたりする。だが、観光シーズンは短い。3月にはシーズンもオフに向い、4月になるとうだるような暑さが襲う。5月ともなれば目を半開きにしたまま、最悪の暑さを避け、猛暑が引き起こす特殊なインフルエンザ=ezisにかかるのを避けようとする。そして次の季節の到来を待ちわびるのだ。(2012/02/26)


中東
パレスチナの非暴力不服従運動 ムスタファ・バルグーティ議員のニューヨークタイムズへの寄稿
 2月23日付のニューヨークタイムズの論説・コラム欄にパレスチナ議員のムスタファ・バルグーティ(Mustafa Barghouthi)氏の寄稿が掲載されている。現在収監されているが、ハンガーストライキによって4月17日に釈放を勝ち取ったカデール・アドナン(Khader Adnan)氏とその非暴力不服従運動を讃えるものである。(2012/02/23)


みる・よむ・きく
ニューヨークの娼婦たち ’Through a Lens, Views of Bronx Streets’〜ニューヨークタイムズが映像配信〜
  ニューヨークタイムズがウェブで映像をUPしている。ニューヨークのブロンクスの街娼を撮影したものがこの映像だ。(2012/02/23)


文化
「医す者として」〜若月俊一医師と佐久総合病院の60年〜ポレポレ東中野で上映中
  東京・東中野のポレポレ東中野で「医す者として」というドキュメンタリーが上映されている。監督は鈴木正義さん、グループ現代というTV番組の制作プロダクションのプロデューサーである。「医す者として」が描いているのは佐久総合病院の院長だった若月俊一医師の医療活動とその信念だ。(2012/02/22)


文化
中国の反体制芸術家アイ・ウェイウェイとパリ
 スペインの新聞、エル・パイスは中国の反体制芸術家、アイ・ウェイウェイ(Ai Weiwei)氏がパリで回顧展を開いていることを報じている。(2012/02/21)


アフリカ
アルジェからの短信  
  アルジェに住むベルベル人の20代の女性ジャミーラさんから。(2012/02/21)


コラム
深夜タクシーの会話    村上良太
  仕事柄、深夜に帰宅することが少なくない。深夜タクシーに乗っていると、いろんな運転手に出会うが、夜のハイウェイで彼らの話を聞いていると飽きることがない。日刊ベリタに寄稿しているスロベニア人作家のアンドレイ・モロビッチさんがアフリカのモーリタニアをさすらっている話をすると、運転手はこう言った。「モーリタニアって、海岸線が短くて、内陸に入るとこんな形になって膨らんでいる形ですよね。」(2012/02/19)


文化
スペインの漫画から 「エセンシア」とは? 
 スペインのエル・パイスで健筆をふるう漫画家エル・ロト(El Roto) 。この日の1枚は逆行で顔が見えない男(高齢のようだ)が描かれている。頭にはベレー帽をかぶっている。キャプションには1行。「エセンシアを取り戻せ。ベレー帽を取り上げろ」(2012/02/18)


欧州
パリの散歩道 18  パスカル・バレジカ氏はパリの歴史本を執筆中  村上良太
  「フランスからの手紙」を寄稿していただいている著述家のパスカル・バレジカさんはパリで新しい本を書いているところだ。今書き下ろしている本はこれまでの本と趣向を異にする。「今度の本はフランス語と英語の両方で出版される予定だよ。だから特に英語圏の読者向けの情報が満載になるだろう。」(2012/02/18)


文化
現代の遊牧民〜「モダン・ノマドの日記 2」  アンドレイ・モロビッチ
   デインジャー(’危険’)は砂漠の真ん中にスキー用品店を開いている。シベリアの凍土地帯にではない。サハラ砂漠にだ。ここでデインジャーはスキー板やスキー靴を売っている。滑降、ターン、ジャンプすべての用途に答えるスキー用品がそろっている。(2012/02/16)


みる・よむ・きく
ドキュメンタリー映画「テレビに挑戦した男 牛山純一」 原村政樹
  桜映画社の原村です。ドキュメンタリー映画「テレビに挑戦した男 牛山純一」のご紹介です。(2012/02/15)


欧州
ランスの川辺
  フランスのパリの東にランス(Reims)という町がある。代々、フランス王の戴冠式が行われてきたノートルダム大聖堂で知られる歴史のある町である。この写真はランス周辺の川辺。(2012/02/15)


コラム
北米一周2ヵ月の旅 50万円でおつりあり  村上良太
  1985年のプラザ合意の後、円高が進んで1ドル145円になった1986年、大学時代の夏休みを使って北米大陸一周旅行をしました。海外旅行をするのは初めての体験でした。クラスメートが北米一周旅行をすると言うので、それに便乗させてもらったというのが真実です。(2012/02/14)


検証・メディア
ハフィントンポストがルモンドと提携 すでに英国・カナダ、そしてブラジルにも・・・?
 1年前、買収騒動に揺れたハフィントンポストだが、今ではフランスのルモンドグループと提携して、フランス語版をウェブで立ち上げている。(2012/02/13)


文化
米歌手ホイットニー・ヒューストンさん、48歳で亡くなる 死因は調査中
 アメリカの歌手、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)さんが48歳で亡くなった。スペインの新聞エル・パイスは12日付のウェブ版で、ヒューストンさんが(11日)死体で見つかったことを伝えている。エル・パイスの情報源はヒューストンさんの広報担当であるクリステン・フォスターさんがAPに伝えた内容であり、そこでは死因や死亡場所などの情報は伏せられていた。(2012/02/12)


ITフロント
米国のオンライン著作権法 その後の行方
  米議会で昨年末から話題になっていたインターネット上の著作権侵害に対する報復措置法=SOPA(下院)とPIPA(上院)がともに議案をもう練り直して出直す形になったとワシントンポスト(1月20日付)は報じている。ウィキペディアのデモ(ブラックアウト)など、二法案に対する抗議活動が効果を見せたようだ。(2012/01/31)


みる・よむ・きく
NNNドキュメント’12 「放射線を浴びたX年後 ビキニ水爆実験、そして・・・」が放送されて
   1月29日(日)24:50〜日本テレビ系NNNドキュメント’12で、「放射線を浴びたX年後 ビキニ水爆実験、そして・・・」(制作:南海放送)が放送された。このドキュメンタリーは何十年もの歳月が積み重なって生まれた重みが感じられた。それは高知県で高校教師をつとめていた山下正寿さんが被曝の実態を突き止めようとする足取りからくるものだった。放送によれば1954年、米軍は南太平洋のマーシャル諸島で水爆実験を繰り返した。第五福竜丸が被曝したのは最初の「ブラボー」(3月1日)である。続いて「ロメオ」(3月27日)も爆発した。ところが、考えてみると当たり前のことだが、この頃、ほかにも南太平洋にマグロ漁に出かけていた日本の漁船は数多くあった。(2012/01/30)


欧州
スペインの漫画から  食べ物が・・・
 スペインの新聞エル・パイスの漫画から。ホームレスなのか、あるいはその支援者なのか。円筒状の食品か食器らしいものを片手にこう語る。(2012/01/29)


みる・よむ・きく
お茶の時間  
  旅人を迎える時、お茶をわかす。北アフリカのマグレブ地方でも同じである。違うのは大地に近いことだろう。お茶を入れてくれる手さばきは見事である。この歌はトゥアレグ族のバンド「ティナリウェン」(Tinariwen)による。(2012/01/28)


欧州
スペインの漫画から 金融か、財政か?
 スペインのエル・パイス紙では常連の漫画家El Rotoが労働者のつぶやきを描いている。二人の男がシャベルを持って土を掘り返している。(2012/01/28)


みる・よむ・きく
小谷賢著「インテリジェンス」(ちくま学芸文庫)
  小谷賢著「インテリジェンス〜国家・組織は情報をいかに扱うべきか〜」は現代のインテリジェンス組織について包括的にレポートした本です。’インテリジェンス’という言葉は最近、巷に出てくるようになりましたが、細かい断片的なエピソードが多く、その全体像について書かれた本はあまりなかったと思います。そういう意味で貴重な1冊です。構成は以下のようになっています。(2012/01/28)


欧州
2012仏大統領選はサルコジ勝利か?・・・ロジャー・コーエンのNYTコラム「サルコジ効果」
  ニューヨークタイムズのコラムニスト、ロジャー・コーエンが「サルコジ効果(The Sarkozy effect)」という一文を寄稿した(1月24日付)。この一文でコーエンはサルコジが大きくポイントを稼ぎ、再選に近づいていることを報じている。それはいったいなぜなのか。(2012/01/26)


農と食
山羊を飼おう 〜山羊放牧で雑草を処理〜
  新潟県三条市在住の今井明夫さんは「全国山羊ネットワーク」の代表をつとめる。今井さんは自宅で山羊15頭を飼育している。えさはトウモロコシの茎や葉をカッターで刻んで発酵させたものや、くず野菜、くず米などを使う。夏場は雑草を食べさせる。実質的に、飼料代はタダだ。今井さんは山羊の持つ価値をもっと知ってもらおうと、いくつかのプロジェクトを立ち上げた。その1つが河川敷の雑草を山羊に食べてもらって処理しよう、というもの。(2012/01/25)


コラム
養殖にされる人間    村上良太
   西部劇の時代にエイリアンが飛来する、という奇想天外なハリウッド映画「カウボーイ&エイリアン」を見た。奇想天外なのは宇宙人がはるばる銀河の彼方から金を採掘に来る、というその動機であり、さらに驚くのは人間を生け捕りにする彼らの動機が金鉱で強制労働させることにあるのではなくて人間を養殖にして彼らの食料源にするところだ。(2012/01/25)


アフリカ
25日(水)エジプトで戒厳令が解除か  抗議運動から1周年
 エジプトでは本日1月25日(水)を持って戒厳令が解除される見込みだ。ムバラク時代から新政権への移行を見守る軍事評議会最高指導者フセイン・タンタウィ(Hussein Tantawi)氏がそう述べた、とアルジャジーラは伝えている。1月25日はエジプトでムバラク政権への反乱が始まった日で、1周年を迎える。(2012/01/25)


社会
独裁者を支えたインターネット監視技術は米仏の企業が提供 
  今月発行のフランスの月刊評論誌「ルモンド・ディプロマティーク」にインターネット監視技術に関する記事が出ており、興味深い内容だ。記事はジャーナリストのアントワーヌ・シャンパーニュ(Antoine Champagne)氏による「Surveillance ’profonde’ sur Internet(インターネットの高度の監視術)」である。(2012/01/24)


市民活動
山羊を飼おう 山羊を連れて東北の被災者を慰問
  山羊は心を癒す伴侶動物でもある。前回紹介した全国山羊ネットワーク代表の今井明夫さん(新潟在住)から、宮城教育大学のチームが山羊を連れて東北の被災者を慰問しているレポートが寄せられた(2012/01/24)


コラム
西陣の手打ち蕎麦の店   村上良太
  2000年に入って間もなくだったと思うが、京都西陣の町家をいくつか訪ね歩いた。西陣の伝統建築を解体から守るために、入居を希望する若い人々と大家を結びつける、町家倶楽部という地元の団体があったのだ。町家にはうなぎの寝床のように入り口は狭いのだが奥行きがある家がたくさんある。(2012/01/22)


米国
SOPAの米下院決議が延期か 抗議運動が強まる
  ボイス・オブ・ロシアはウィキペディアなどが抗議運動を行っている法案SOPAについて、下院での決議日が延期になったと報じた。(2012/01/21)


市民活動
豊島区の挑戦  「としまビジネスサポートセンター」 地域金融マンと組む
  東京・豊島区は他の多くの都市とも同じだが、町の高齢化と不況に伴い、中小零細企業が年々減少傾向にある。そこで区は中小零細企業をバックアップするために、地域金融のプロを招いて「としまビジネスサポートセンター」を2年前立ち上げた。場所は豊島区役所の裏手にある生活産業プラザ5Fである。「としまビジサポ」(通称)の特徴は無料相談から始まり、資金サポートから起業・販路拡大・交流会など様々な悩み事を一か所ですべて受けることができる点にある。(2012/01/21)


社会
「ロンドン証券取引所を占拠せよ」
  ロンドン証券取引所を占拠する「occupy LSX」の映像レポートをフェアトレードのPeople Treeがユーチューブで行っている。代表のサフィア・ミニー氏のブログ「ロンドン、セントポール大聖堂の抗議活動は新年まで継続可能に!」(11月4日付)で紹介されている。(2012/01/21)


アフリカ
ベルベル人の心の音楽「シャービ」  
ベルベル人の心を歌うイディール(Idir,1949-)の音楽を前回紹介した。イディールはアルジェリアの歌手だが、フランスを始め世界で高い人気を誇っている。彼の代表作「アババ イヌーバ(A Vava inouva)」はベルベル人が外敵に襲われ、山に逃げ込んだ歴史をモチーフにしている。(村上良太)(2012/01/20)


コラム
古書評論の必要性   
  今、古書店が消えていきつつある。ブックオフのような大手のチェーン店は拡大しているのかもしれないが、個人でやっているような小さな古書店が町から1つ、また1つと姿を消しつつある。古書店がなくなっている、ということは古書が売れなくなっているということである。その理由の1つとして、新聞・雑誌の書評のほとんどが新刊の案内しかしていないことがあると思われる。(村上良太)(2012/01/19)


緊急連載
アメリカのサイバー新法  国際的なメディア法の論壇サイトは・・・
  インターネットでメディア法を国際的に議論しているサイト「メディア法」ではハンガリーで進められる新メディア法と並んで、今、米議会で導入が検討されているメディア法案について論じている。これは今年に入った1月17日付のレポートである。(2012/01/19)


緊急連載
ウィキペディア(英文)がブラックアウトに突入 米規制法案に抗議 <その中身とは?>
 ウィキペディア(英文)が予告通り、24時間ブラックアウトに突入した。(2012/01/18)


緊急連載
ウィキペディア(英文)が米法案に抗議のブラックアウト予告
  インターネット時代の大衆の百科事典となったウィキペディア(英文)が1月18日(水)に24時間ブラックアウト(シャットダウン)を行う。これはウィキペディアの予告である。ウィキペディアがこのようなデモを行うのはこれが初めてのことだという。この決定は1800人のウィキペディア関係者が3日間議論して決めたことだとされる(2012/01/18)


コラム
パリのマクドナルド 〜遊牧民とトイレ〜
  パリのマクドナルドとなると、有機農業やスローフードの支持者たちから目の敵にされているんじゃなかろうか。実際、パリでマクドナルドに入ってもあまりハッピーな気分にならない。マクドナルドなら日本にもたくさんある。何もパリでまで・・・。しかし、何週間も滞在しているとカフェだけでは時間が持たせられなくなる。(村上良太)(2012/01/16)


文化
現代の遊牧民〜「モダン・ノマドの日記」〜アンドレイ・モロビッチ 
  アフリカからEメールが届いた。「僕はここに最低でも月に一度は来ることだろう。よそに移動する前にだね。これから僕はもう一度北に向かって3週間移動する。そこでラクダやヤギを飼っている遊牧民の一家と暮らすんだ。彼らの生活のリズムやデテールをもっと知りたいと思っているのさ。」Eメールの送り主はスロベニア人の作家アンドレイ・モロビッチ氏。スロベニアでは13冊本を出しているそうだ。モロビッチ氏が「ここ」と書いているのはアフリカ北西の海岸にあるヌアクショット(Nouakchott)という町である。(2012/01/15)


環境
メキシコ湾の原油流出事故の顛末 〜魚の美味しさをPRするBP〜
  2年前の2010年4月20日にメキシコ湾で原油を採掘していたブリティッシュペトロレアム(BP)は海上の採掘施設が爆発炎上を起こし、海底油田から原油の大量流出を伴う大事故を起こしてしまった。事故で11人の労働者が亡くなくなっている。これはBBCのウェブサイト(2010年6月15日)の記事の紹介である。(2012/01/14)


みる・よむ・きく
対談「ひとり女子旅のススメ」 〜原点は旅にあり〜
   ノンフィクション作家の長谷川まり子氏はネパールからインドの売春宿に売り飛ばされた少女たちの人身売買被害と彼女たちが救出された後の人生を長期間にわたってルポしてきた。また、彼女たちを支援するNGO「ラリグラス・ジャパン」を日本で立ち上げ、その活動も活発に行っている。そんな長谷川さんは今月27日、女性の一人旅をテーマに対談を行う。長谷川さんの原点は旅にあるという。(2012/01/12)


人権/反差別/司法
刑務所内のレイプ  
  アメリカの刑務所でのレイプが深刻な問題になっていることをアリゾナ在住のマクレーン末子氏が寄稿したのは2005年8月である。司法省が出した統計によると、刑務所の受刑者数は約210万人で、そのうち、1年間に刑務所内で行われた性的暴行は8210件に達しているという。一方、アメリカの刑務所内のレイプ撲滅に取り組む団体JDIは米国の刑務所で1年間に起きるレイプ事件は成人・未成年を合わせて20万件以上と見積もっている。(2012/01/11)


欧州
言論統制を進めるハンガリーの新メディア法
    ニューヨークタイムズなどの欧米紙で最近クローズアップされているのがハンガリーの憲法改正とその関連としての新メディア法である。以下はハンガリーにある日本大使館がウェブで公開している新メディア法に関する記述である。(2012/01/11)


農と食
山羊を飼おう 「全国山羊ネットワーク」
  かつて日本の各地で見られた山羊をもう一度飼おう、と山羊の良さをアピールしている団体がある。「全国山羊ネットワーク」である。1998年に宮崎で全国山羊サミットが開かれたのをきっかけに山羊と人間の暮らしを見つめなおし、その多面的な価値を考えるようと大学人・企業人・農業団体・農家などの有志が集まり、組織が生まれた。(2012/01/10)


みる・よむ・きく
韓国現代戯曲「荷(チム)」(作:鄭福根)を上演 演出は坂手洋二氏 
  東京・練馬に拠点を持つ東京演劇アンサンブルでは今年2月24日から3月4日まで韓国の現代戯曲「荷」を上演する。演出は坂手洋二氏。以下は同劇団のニュースレターから。「東京演劇アンサンブル2012年のスタートは、韓国演劇界のベテラン女性作家・鄭福根さんが書いた『荷』を日本初上演します。彼女との出会いは、2009年3月。シアタートラムで行われた日韓演劇交流センターによる「韓国現代戯曲ドラマリーディング」でのことです。」(2012/01/10)


欧州
ブルデューの死から10年 〜欧州を改造した知的傭兵部隊〜
  フランスの社会学者・思想家のピエール・ブルデュー(Pierre Bourdieu ,1930-2002)は亡くなる少し前に来日講演を行っている。この時の講演録は「新しい社会運動〜ネオリベラリズムと新しい社会支配〜」というタイトルで藤原書店から加藤晴久訳で出た。この本が刊行されたのは2001年9月20日で、これは9・11同時多発テロのすぐ後である。そして、ブルデューは翌年、2002年1月に亡くなった。(2012/01/09)


科学
「ヒッグス粒子ちゃん・・・」 エル・パイスの漫画から
  スペインの新聞エル・パイスの漫画家フォルヘスの一枚「2012年の大挑戦」〜ヒッグス粒子を見つけろ〜(2012/01/07)


欧州
闘牛と戦う人々 動物と人間に対する虐待をやめよ
  フランスにCRACという闘牛に反対する組織がある。闘牛は牛を大衆の前で何度も刺し殺す残虐な行為である、ということで1991年にフランスで活動を始めた。そのウェブサイトによれば、設立の中心人物はジャック・ダリ氏と、エーメ・タルデュー氏とされる。思想家たちも加わり、実際に闘牛を廃止させるべく、活動を広げていった。2004年に亡くなった哲学者のジャック・デリダも名誉会長を引き受けていたとされる。(2012/01/05)


みる・よむ・きく
「コルタサル短篇集」 (木村榮一訳 岩波文庫) 
  アルゼンチン出身で長くパリで暮らした作家フリオ・コルタサル(Julio Cortazar,1914-1984)には「石蹴り遊び」という何通りもの読み方を選択できる独創的な長編小説があるが、短編小説の名手でもある。コルタサルは現実と幻想が交錯する話をいくつも書いている。遠く離れた時代が交錯したり、夢と現実が交錯したり、静止しているはずの写真が動き出したりする。こうした小説は映画と親和性が高い。その延長線上に短編「南部高速道路」がある。この話はまさに3・11以後の日本を描いた作品のように読める。(村上良太)(2012/01/05)


欧州
スペインの漫画から エル・ロトの世界
  昨年末から、スペインの破滅的な空気を伝えるのがエル・パイス(El Pais)紙の漫画家、エル・ロト(El Roto)である。エル・ロトには独自のタッチがある。それは黒インクの使い方だろう。ウィキペディアによれば、エル・ロトはペンネームで、本名はアンドレ・ラバゴ・ガルシア(Andres Rabago Garcia)のようである。(2012/01/05)


欧州
フランスからの手紙24   「現代の黙示録?」 Apocalypse now ?   パスカル・バレジカ
  2011年は地球全体が恐ろしい事態に見舞われた。まず経済危機が先進国とそれ以外の国々を席巻した。(ギリシアは決して先進国ではない)。そして福島の原発事故。また「アラブの春」はチュニジアでもリビアでもイスラム主義者の勝利で終わった。NATO軍がリビアに持ち込んだ大量の最新かつ強力な兵器はAQMI(北アフリカのアルカイダ系組織、アキムとも呼ばれる)が手に入れ、サハラに持ち込まれた。アフガニスタンとイラクの後、次の戦争がサハラで始まる危険がある・・・(2012/01/04)


中東
IAEAのある変化 イラン制裁の推進力
  雑誌ニューヨーカー(11月18日付)にセイモア・ハーシュ(Seymour M. Hersh)記者はイラン制裁に向かうアメリカ共和党大統領候補者らの言動を報じた後、こうしたイラン制裁論の根拠となったものとしてIAEA(国際原子力機関)が昨秋配布した「証拠」について語っている。昨年末、アメリカはこれに基づき、イランに対する制裁法案を可決し、関係各国にはイランから原油を買わせず、イラン中央銀行と取引する米国外の金融機関は米国の金融システムから締め出す措置を決めたとされる。これは経済封鎖であり、強硬な措置である。日本もイラン制裁に国として加担するのであれば、その前にイランを制裁する根拠は何か。国はそこを国民が納得できるように説明する必要があるのではないだろうか。(日刊ベリタ編集部)(2012/01/03)


みる・よむ・きく
スペインの漫画から 「去年4回笑ったのはなぜだ?」
  スペインの新聞エル・パイスにフォルヘス(Forges)がこんな一枚を描いている。(2012/01/03)


みる・よむ・きく
ベルベル人の心を歌うイディール(Idir) 〜昔話 A Vava Inouva〜
  ベルベル(Berber)人という名称は遠い昔、世界史の時間に一度か二度耳にしたくらいで、その実像はまったく未知の民族だった。ベルベル人は北アフリカに古来から住み、ベルベル語なる言語を話す。人種的にはコーカソイド、つまりは白人に属するようである。ベルベル人には何人もの優れた歌手が出ているが、その一人がイディール(Idir)である。僕が聞いたのはイディールがアコースティックギターを奏でながら弾き語る「アヴァヴァ・イヌーヴァ(A Vava Inouva)」というタイトルの歌だった。1976年に歌ったこの歌でイディールは一躍フランスをはじめ世界に名前が知られるようになったそうである。(2012/01/02)


欧州
劇作家バツラフ・ハベル(Vaclav Havel)の死    村上良太
  12月下旬、トランジットのパリから東京に向かう飛行機で手にした新聞には北朝鮮の金正日総書記とチェコの元大統領バツラフ・ハベルの二人の政治家の死が大々的に報じられていた。アクチュアルな意味では金正日総書記の方がインパクトは大きく、ルモンドの記事でも一面から写真入りで取り上げられていた。一方、ハベルについてはすでに政界を退いていたこともあって、その扱いはより文化的かつ懐古的だった。(2012/01/01)


欧州
スペインの危うい空気  漫画から
  スペインの新聞「エル・パイス」の漫画から。2012年のスペインはすでに末期症状である。(2012/01/01)


米国
エル・パイス紙がペンタゴンの兵器輸出を報じる
  スペインの新聞、エル・パイスは昨年9月閉めの2011年度、アメリカの兵器輸出先の上位10か国と輸出額を報じている。上位3位はアフガニスタン、台湾、インドと続く。記事によれば買う金のない国については支援ということでペンタゴンが安く兵器産業から買って送っているとか。(2012/01/01)


みる・よむ・きく
アジアの時代を予感させる米パロディ短編映画監督フレディー・ワン  
   ユーチューブに2つのチャンネルを持つ中国系アメリカ人の映画監督フレディー・ワン(Freddie Wong)。その映像はハリウッド製の戦争アクション映画やカンフー映画をパロディにしたもので、20代のワン監督自身がコミカルな演技を繰り広げている。どこにでもいそうな東アジア人の風貌で、特段ハンサムと言うわけでもないが、どこか憎めないキャラクターである。その映像の多くが数百万アクセスを記録しているように、一定の人気を誇っているようだ。(村上良太)(2012/01/01)


アジア
戦場カメラマン・石垣巳佐夫氏〜妻をインドシナに連れていく 〜 村上良太
  ベトナム戦争、カンボジア紛争、中越戦争などインドシナの戦争を撮影してきた日本電波ニュース社の石垣巳佐夫さんには長年、申し訳ないと思ってきたことがあった。26歳で結婚して以来45年ともに暮らしてきた妻のれいこさんを一度もインドシナに連れていったことがなかったことだ。戦場カメラマンの妻は生きて帰ってくるかどうかも定かでないカメラマンを待ち続けた。夫が旅立ったのは米軍が爆弾を雨あられと注いでいたベトナムやラオスである。だが、戦場カメラマン志望の男と結婚したのだからしょうがない。石垣さんは11月、れいこさんを連れて成田から飛び立った。カメラマンとして過ごしたベトナムとカンボジアを訪ねる12日間の旅である。(2011/12/29)


コラム
新聞の翻訳力       村上良太
  新聞記者は言葉を道具とする稼業であり、当然ながらリテラシーの高い人々が携わっているものと、信じられてきた。しかしながら、その実態はどうか。(2011/12/29)


みる・よむ・きく
リチャード・メラン・バーサム著「ノンフィクション映像史」 山谷哲夫・中野達司訳
 リチャード・メラン・バーサム(Richard Meran Barsam)著「ノンフィクション映像史(Nonfiction Film)」には冒頭、ドキュメンタリー映画の定義が出てくる。「(ドキュメンタリーとは)人間の知識と理解に対する欲求を刺激し、拡大させ、経済、文化、そして人間関係の分野の問題をありのままに提示することを目的として、理性に、あるいは感情に訴えるために、現実の実写、またはまじめで正当な再構成を持って、セルロイド上に記録するすべての方法を意味する。」これは1948年に「世界ドキュメンタリー映画連盟」によって定義されたものだそうだ。(2011/12/29)


コラム
敵からぶん捕ったフィルムについて  村上良太
 書店に近年、ワンコイン=500円の第二次大戦史ドキュメンタリーシリーズが置かれてあり、その多くを買ってみた。これらのシリーズは「われらはなぜ戦うか?」と銘打たれ、ファシズム国家に対する自由主義陣営の戦いの正当性を訴える内容になっている。これらは戦争を記録したドキュメンタリー映像であり、戦時特有のものとして、しばしば目を引いたのが敵国からぶん捕ったフィルムの使用である。(2011/12/28)


農と食
「原発事故に立ち向かうコメ農家」再放送のお知らせと原村ディレクターからの手紙
  12月4日放送のETV特集「原発事故に立ち向かうコメ農家」の再放送のお知らせです。再放送日 2012年1月3日(火)午前2時30分(月曜深夜)よりNHK教育テレビにて。なお、ディレクターの原村政樹さんから大野編集長宛てに手紙をいただきました。(2011/12/26)


みる・よむ・きく
今週放送「シリーズ・ソ連崩壊から20年〜光なき孤児・東欧の小国の悲劇」
  以前、日刊ベリタで紹介させていただきましたテレビ編集者の井上秀明さんから新作の案内が届きました。NHK-BS1 「ドキュメンタリーWAVE」〜シリーズ ソ連邦崩壊から20年〜 (2011/12/26)


みる・よむ・きく
ピエール・ブルデュー編 「世界の悲惨」(La misere du monde)
  フランスの哲学者・社会学者ピエール・ブルデュー(Peirre Bourdieu 1930-2002)が亡くなったのは今からおよそ10年前の2002年1月のことだ。2001年9月に同時多発テロが起きた直後から、小生はフランス語の勉強を始めたのだが、その頃、フランスの思想界ではブルデューがリーダーだった。しかし、2002年6月に初めてパリの地を踏んだ時、ブルデューはすでにこの世の人ではなかったことを書店の追悼ポスターで知った。「去る者は日々に疎し」ということわざがある通り、ブルデューの死は早すぎたのではないか、と思えてならない。フランスにとってばかりでなく、世界にとってもである。今、小生が個人的に最も興味を持っているのはブルデューが1993年に出版した「世界の悲惨」(La misere du monde)と題する<聞き書き>である。(村上良太)(2011/12/26)


コラム
デュシャンの「泉」〜今更ながら著作権について 2 〜村上良太
  マルセル・デュシャンの作品「泉」は20世紀の芸術を変えたと言われている。泉は男性トイレの小便器を向きを変えて陳列したもので、作品にはR.Muttの署名を書き込んでいた。著作権の問題を巡って、芸術作品と記事の「引用」とでは簡単に比較できないだろうが、しかし、通底するテーマも含まれているように思われる。それは「引用」して新たに作成された記事が独自の価値を持ちうるかどうか、という点である。(2011/12/25)


コラム
今更ながら著作権について   村上良太
  今更ながらではあるが、他の媒体の記事を「引用」したり、「要約」したりする場合に著作権に抵触するかしないかについて調べてみた。1、記事の一部をそのまま使う「引用」はどのような条件を満たせば合法なのか?2、記事の「要約」の場合はどうなのか?とりあえずこの2つの疑問を明らかにしたい。(2011/12/24)


みる・よむ・きく
永井浩著「見えないアジアを報道する」(晶文社)   
  アジアとは何か、考えると難しい。ヨーロッパに比べると、アジアは一筋縄でいかないように思われる。80年代に「地球の歩き方」というガイドブックが出版され、円高を背景に海外旅行のブームが起きた時、発展途上国の、あるいはもっと直裁に言えば貧困だったアジア諸国を好んで旅する若者が少なくなかった。ところが僕にはそのような志向がまったくなかった。テレビの仕事に関係する人々の中で僕の知っている人々にもアジアにこだわってきた人が少なくない。(村上良太)(2011/12/07)


コラム
聞くことについて      村上良太
  週末二夜連続で放送されたNHKスペシャル「証言記録 日本人の戦争」は高齢化した体験者の声を4年にわたって聞き取ってまとめた番組で見ごたえがあった。兵隊だけでなく、その妻など銃後の人々やその遺族も含めると聞き取り対象者は800人を超える。体験を語りだす前に「今まで誰にも話したことがなかった」と前置きする人が少なくなかった。戦後、誰にも話せないまま、あるいは話すのを拒否したまま秘密とともに孤独に生きてきたことがうかがえた。(2011/12/05)


欧州
「まだヨーロッパなのか?」  エル・パイス紙の漫画より
  スペインのエル・パイス紙の漫画から。男女がベッドで寝ている。男が不安そうに妻に尋ねる。夫「もう日曜日なのか?」(2011/12/04)


みる・よむ・きく
「巨大種子企業に立ち向かうカナダの一農民」 〜米報道番組「デモクラシー・ナウ!」から〜遺伝子組み換え種子を売る企業の恐るべき実態 
  遺伝子組み換え技術は世界の貧困を救うための素晴らしい夢の事業ではないのか?企業の宣伝を読めば誰しもそんな風に思えるだろう。しかし、そうした企業の人間の振る舞いを見ると、企業の本質が見えるものである。きれいごととは違った顔がそこに透けて見えることもある。米報道番組「デモクラシー・ナウ!」に米モンサント社と一人で戦ったカナダの農民が登場した。その農民は脅しにも屈せず戦い続け、ついに勝利を勝ち取った。(2011/12/03)


みる・よむ・きく
セックス依存症を描く映画「恥」  スティーブ・マックイーン監督の新作
  ニューヨークタイムズに映画「恥」(Shame)の紹介記事が出ている。「恥」のテーマはセックス依存症である。主演はマイケル・ファスベンダー(Michael Fassbender)だ。ポルノを見ながらオナニーしている貧困で寂しい男の役ではない。金持ちでハンサムな青年という設定になっている。(2011/12/03)


文化
石堂淑朗氏(脚本家)が逝く
  脚本家の石堂淑朗氏が亡くなった。享年79。新聞で知ったばかりだが、亡くなったのは11月1日で本人と遺族の希望で公表を一か月控えていたという。今年は学生時代に恩恵を受けた人が次々と逝く。(村上良太)(2011/12/02)


みる・よむ・きく
NHKスペシャル「証言記録 日本人の戦争」  3日(土)夜から二夜連続 
NHK総合・NHKスペシャル「証言記録 日本人の戦争」明日夜から二夜連続。「太平洋戦争開戦から70年。NHKは、戦争体験者の証言を4年にわたり収集してきた。その数は、元将兵や市民を合わせ、800人以上にのぼる。第1回は、常時数十万を超える大量の兵力が動員された“大陸”を舞台に、日本人が国を挙げて邁進した“昭和の戦争”の実像を証言で記録する。」(2011/12/02)


コラム
セルバンテス賞の記事を読んで   村上良太
   昨日、セルバンテス賞の受賞者が発表された。この賞はスペイン語圏では最も権威がある文学賞と伝えられている。昨年、ノーベル文学賞を受賞した「緑の家」のマリオ・バルガス・リョサも過去のセルバンテス賞の受賞者である。そうは言っても、セルバンテス賞は日本で話題になったことは(多分)ないし、フランスのゴンクール賞ですら日本で報じられたとしてもベタ記事程度である。そもそも近代小説の元祖とされるセルバンテスの「ドン・キホーテ」ですら、ほとんど読まれていないだろう。恥ずかしい話ながら、今年のセルバンテス賞の受賞者であるニカノール・パラという名前も初めて聞いた次第である。(2011/12/02)


文化
チリのニカノール・パラが受賞 セルバンテス賞
  チリの新聞「ラ・テルセラ」によれば2011年のセルバンテス賞はチリの詩人、ニカノール・パラ氏(Nicanor Parra,1914−)が受賞した。スペイン語圏では最高の文学賞である。(2011/12/01)


文化
セルバンテス賞候補者  スペイン語圏のノーベル文学賞
  セルバンテス賞はスペイン語で書かれた文学を対象に与えられる文学賞である。スペイン語圏のノーベル文学賞と言われているそうである。だから、スペイン人に限らない。今年のセルバンテス賞の候補者がエル・パイス紙に報じられている。(2011/12/01)


東日本大震災
震災を撮る  島直紀ディレクターの記録から
  東日本大震災から8か月が経った。3月11日を境に日本は不可逆な変化を受けた。しかし、今、それがなんだったのか、次第に記憶が薄れつつあるように感じられる。(2011/11/30)


東日本大震災
漁港の復旧が遅すぎる   村上良太
 新聞報道によると、津波の被害を受けた八戸、釜石、大船渡、気仙沼、女川、石巻、塩釜、銚子の8漁港の復旧は2013年度末までに、という気長なスケジュールである。つまり、2014年3月末ということになる。地震から3年後だ。5月、意気消沈から立ち上がり、2か月も長い休暇を過ごしていた高齢の漁師たちは早く仕事を再開したいという意欲がみなぎっていた。だが、多くの漁師たちが未だに仕事ができない状況だ。復旧が遅れれば遅れるほど、仕事も停滞し、復興にかかる予算も増えるだけである。(2011/11/29)


みる・よむ・きく
放送案内「原発事故に立ち向かう農家」 〜今度の日曜放送予定〜
  有機農業に取り組む人々を長年取材してきた原村政樹ディレクターから新作の案内です。NHK・ETV特集「原発事故に立ち向かう農家」今度の日曜夜の放送予定です。(2011/11/29)


米国
米国のリビア介入論争〜オバマ大統領を訴えた米議員たち〜
  今年のリビアに対するNATO軍の介入は英仏主導と言われていた。しかし、カダフィの最期につながったコンボイの空爆には米機が参加していたとTBSの報道番組で伝えられた。米国はリビア作戦にどう参戦したのだろうか?アメリカのNPOによる放送「デモクラシー・ナウ!」には米国のリビア軍事介入をめぐる米議員たちの動きが取り上げられている。(2011/11/29)


農と食
おせち「奥州物語」 〜三陸漁師の復活に向けてインターネット企業が動く〜 
  地方の希少な食材を発掘し、大量生産大量消費ルートとは違ったインターネットを活用したシステムで販売している人がいる。「うまいもんドットコム」の萩原章史社長もその一人だ。その萩原社長が今、会社を挙げて取り組んでいるのが三陸沖の漁師たちの応援である。試みの1つがおせち。三陸沖の魚を使って、早稲田の割烹と組んで作るおせちである。(2011/11/27)


みる・よむ・きく
リング・ラードナー著「アリバイ・アイク」(新潮文庫)
  アメリカの作家リング・ラードナー(Ring Lardner,1885-1933) は短編小説の名手として名高い。もともと新聞のスポーツ記者だったこともあって、野球をモチーフにした物語が冴えている。ラードナーの作品集は日本でも翻訳が出ていて、身近なところでは新潮文庫の「アリバイ・アイク」(加島祥造訳)がある。しかし、近年、町の小さな書店で棚に置かれているのを見たためしがないのを淋しく思う。ラードナーは消費期限が切れた御用済み作家とでも言うのだろうか。(2011/11/27)


文化
スペインの漫画から 
 スペインのエル・パイス紙の漫画から。二人の男が穴を掘っている。いったい何をしているのだろうか。キャプションにはこうある。「頑張れば頑張るほど、沈んでいく。掘るのをやめろ」(2011/11/27)


中南米
ノリエガ将軍のパナマ引き渡し あとはフィヨン首相のサインのみ
  パナマのノリエガ将軍は今、フランスの監獄にいる。そのノリエガ将軍がパナマに引き渡されようとしている。パナマでは人道上の罪に問われているとされる。23日、フランスの裁判所が移送を認めたため、あとはフィヨン首相がサインすれば移送が実施されることになる。(2011/11/24)


欧州
スペインの漫画から
 スペインのエル・パイス紙の常連漫画家Erlichによる漫画、「総選挙の後、市場からのメッセージ」。(2011/11/23)


コラム
タダの情報    村上良太
  某大国の国立映像ライブラリーで映像資料を探したことがある。探していたのは毛沢東の映像だ。毛沢東の映像資料はたくさんあったが、映像をダビングして番組で使用するためには版権料を支払う必要がある。しかし、映像資料の中には「タダ」というカテゴリーもあった。無料で使用できる映像もまたあるのである。(2011/11/23)


欧州
イタリアの新聞風刺漫画から
  イル・マニフェスト紙の最新風刺漫画(11月21日)は家族が並んでおり、その前を一人の男が「へへへ」と笑いながら歩いていく絵である。(2011/11/22)


欧州
スペインで政権交代  民衆党が社会労働者党を破る
  11月20日、スペインで下院選挙が行われ、民衆党(PP)が社会労働者党(PSOE)を破った。下院の定数は350人で任期は4年。選挙結果はPPが186議席と過半数を単独でしめ、PSOEは110議席にとどまった。この結果、2004年4月から8年続いた社会労働者党政権は終止符を打った。スペインではこれから首相を選び、閣僚を決めることになる。(2011/11/21)


アフリカ
ムバラク退陣後、最大の衝突 カイロ 死者10数人 負傷者数百人か
  ニューヨークタイムズによれば、19日土曜朝からエジプトの軍主導の暫定政権に対する抗議デモが行われていた。午後、警察がデモの中心となっていたTahir Squareから人々を追い払おうとした時、ついに両者に衝突が起きた。2月のムバラク大統領退陣以来、最大の衝突になったとニューヨークタイムズは報じた。国会議員選挙の9日前にあたる。(2011/11/20)


みる・よむ・きく
貝塚茂樹訳注 「論語」(中公文庫)
  中国の古典「論語」については日本でも多数の翻訳書や解説書が出ている。それぞれ特色があるが、読者の好みも様々にあるのではないだろうか。しかし、一般に「論語」を手にする機会はそれほどない。若い世代にとっては小難しい説教集に思え、わざわざそれを手に取って読んでやろうという気になるのは難しいのではないだろうか。筆者もそもそも漢文に興味がなかったこともあって、「論語」は遠い書物でしかなかった。(2011/11/19)


反戦・平和
クラスター爆弾を容認するな!クラスター爆弾禁止条約改悪に欧州議会が反対 
 クラスター爆弾使用を容認する新法がジュネーブで審議されているという。クラスター爆弾に抗議している市民団体、クラスター爆弾連合(Cluster Munition Coalition)によると欧州議会は欧州の加盟国に新法を承認しないように訴えた。(2011/11/18)


欧州
スペインの政治風刺漫画家、フォルヘス(Forges)
 スペイン紙エル・パイスに寄稿している常連漫画家の一人、Forges(フォルヘス 1942−)が漫画を描いているシーンが映像で紹介されていた。(2011/11/18)


みる・よむ・きく
渡辺一夫評論選  「狂気について」
 ラブレーの研究などで知られる渡辺一夫の評論集「狂気について」(岩波文庫)の中に、「寛容(トレランス)は不寛容(アントレランス)に対して不寛容(アントレラン)になるべきか」と題する評論が納められている。この寛容と不寛容の問題の重要性が世界でクローズアップされてきているように思われる。そこには宗教が関係している。(2011/11/17)


反貧困
フェアトレードの現場から  インドから来日
フェアトレードの専門ブランド「ピープル・ツリー」と母体NGO の「グローバル・ヴィレッジ」は、インドの生産者パートナー「サイレンス」からチャンチャル・セングプタ氏を迎え、11月23日(水・祝)にmore treesと一緒にイベントを開催するほか、都内を中心に11 月22 日〜27 日までイベントを開催します。(2011/11/15)


欧州
イタリアの1コマ漫画から ベルルスコーニよ、さらば!
  イタリアのイル・マニフェスト紙の1コマ漫画から。ベルルスコーニの辞任がイタリア各紙の1面をにぎわせている。(2011/11/13)


みる・よむ・きく
アリエル・ドーフマン作 「死と乙女」
  今年8月18日、チリでは1973年9月11日にピノチェト将軍が起こしたチリクーデターによって人権侵害を受けた人の報告書がピニエラ大統領に手渡された。これは1990年に調査が開始され、1991年2月に報告書がまとめられたレティグ委員会(真相と和解委員会)が作成したレティグ報告書とは別で、調査委員会のレーダーの名前をとってValech報告書と呼ばれている。ちなみに1991年のレティグ報告書では3550ケースの告発が寄せられ、そのうち2296ケースを調査した。その結果、2279人が殺害ないしは行方不明と認定された。(2011/11/13)


中東
「アラブの春」の起源は20年前のパレスチナに
  アメリカのInstitute for policy studies(IPS)のフィリス・ベニス氏が「アラブの春」の始まりは80年代末のパレスチナの運動にあると記している。(2011/11/13)


欧州
「フランスを占拠せよ」  米から飛び火
  フランスの雑誌ヌーベルオプセルバトゥールのサイトに「オキュパイ・フランス」の写真集が掲載されている。(2011/11/13)


農と食
人肉食の時代   
  欧州の遺跡から、有史以前の人類が人肉食をしていたことが科学者によって報告されている。その記事はJeniffer Viegas氏が科学誌The Journal of Human Evolution(今年1月号)に掲載されたYolanda Fernandez-Jalvo と Peter Andrewsによる論文から紹介している。肉を食べた後に骨髄を食べた痕跡によって、宗教的儀式によって生じた傷跡ではないと判断したという。互いに食べあっていたようであり、必ずしも殺人ばかりとは限らず、死んだ人を食べていた可能性もあると見られる。(2011/11/12)


中東
米国の湾岸アラブ諸国のテコ入れ イラン包囲網を強調 しかし・・・ボイス・オブ・ロシアから
  ボイス・オブ・ロシアは米国がサウジアラビアなど湾岸アラブ諸国に兵器を販売していると伝えている。米国のイラク撤退後に備えたイラン対策ということになっている。しかし、ロシアの識者は湾岸アラブ国が米国傘下でイラン包囲網を強化しても、現実にはイランの抑止にはなっていないとその効力に疑問をはさんでいる。(2011/11/12)


文化
ベルリンフィルとナチスの「蜜月」を検証するドキュメンタリー映画
  ドイツのベルリンフィルは2007年に創設125周年を迎えたが、この機会をとらえて、映画監督のEnrique Sanchez Lansch 氏がベルリンフィルがヒトラーの第三帝国とどう関わったのかを検証するドキュメンタリー映画を作った。タイトルは「The Reichsorchester」で、「第三帝国の交響楽団」となる。この映画はベルリンフィルが営んでいるディジタルコンサートで視聴可能だという。当時の巨匠、ヴィルへルム・フルトベングラー、ハンス・クナッパーツブッシュ、エーリッヒ・クライバーら指揮者による演奏が挿入されている。(2011/11/12)


みる・よむ・きく
伊藤元重著「入門 経済学」(日本評論社)
  伊藤元重東大教授が書き下ろした経済学の入門書「入門 経済学」は画期的な本である。筆者は経済学が専門ではないが、そうした人間にとって非常にわかりやすい理論書だと感じさせられた。この本の魅力は現実の事例を豊富に紹介しながら、理論を説くところにある。それまでの数式や理論先行型の経済学のテキストにはない面白さがあったのである。最近ではそうした現実から説き起こすタイプの経済学のテキストも増えてきたが、本書が世に出たのは1988年であり、そうした試みの最初ではなかったろうか。伊藤氏はその意図をこう書いている。(2011/11/11)


核・原子力
米科学者が指摘 3000万本の使用済み核燃料の危険性 
  アメリカの市民団体Institute for policy studies(IPS) (2011/11/10)


欧州
スペインの1コマ漫画から 裁判官も手に負えず
  外国新聞の1コマ漫画から。告訴が山積み。裁判官も処理しきれず。(2011/11/10)


米国
企画 「イラク戦争の傷痕〜増える脳損傷者〜」  村上良太
  放送局に番組企画を提出しても企画が通るとは限らない。むしろ落とされる方が多い。だから、テレビ番組の製作者達は放送局員であろうと、インディペンデントであろうと企画書作りに賭ける。企画書を書きながら、番組のねらいを考え、イメージを作っていくのである。しかし、企画が通っても現場では想定とは異なる現実が起こることもあれば、取材の過程で取材者自身の当初の思い込みが覆されることもある。そうした過程を通して、どう作ったらいいのか、ディレクター、プロデューサー、そして撮影・録音・編集スタッフらが番組を共同で作っていく。以下は僕が書いた番組企画案だが、民放でいいところまで行ったものの、残念ながら実現できなかったものである。ネタ元はニューヨークタイムズの記事である。(2011/11/10)


核・原子力
ヘレン・カルディコット著「狂気の核武装大国アメリカ」(集英社新書)
  ヘレン・カルディコット氏はハーバード大学医学部小児科の講師だったが、79年に起きたスリーマイル島原発事故を境に職を辞し、原子力発電と核兵器に対する反対運動に取り組むようになった。その著書「狂気の核武装大国アメリカ」は1992年に当選したビル・クリントン大統領が「もし(あのとき)決断していたら・・・」と書き起こしている。あの時、もしモスクワに飛び、5年以内に米ソの核兵器を廃絶する条約に調印していたら・・・さらにフランス、中国、イギリス、イスラエルがこれに続いていれば・・・(2011/11/10)


コラム
「女の平和」   村上良太
  高校に入学したばかりの頃、古代ギリシアの喜劇作家・アリストパネースの戯曲を岩波文庫でいくつか読んだ。「女の平和」とか、「雲」とかだ。細かい筋はもう30年以上たつので思い出すことはできない。しかし、「女の平和」はギリシアが戦争ばかりしているので、その奥さんたちが男たちが戦争するのなら、もうセックスしません、と政治闘争を始める話だった。(2011/11/09)


文化
スペイン国民漫画賞はサンチアゴ・バレンスエラ氏の漫画「エリプティカ広場」に
  今年のスペインの国民漫画賞はサンチアゴ・バレンスエラ(Santiago Valenzuela)氏の「エリプティカ広場」(Plaza Eliptica)に決まった。(2011/11/08)


人権/反差別/司法
追悼・刑法学の中山研一京大名誉教授  異端の立場から
   京大名誉教授で刑法学者の中山研一氏が今年7月31日に永眠された。中山教授は主流派の刑法学者とは異なった視点から刑法学を研究し、犯罪を犯そうとする人間の主観よりも、危険が客観的に発生しているかどうかを重視する立場だった。脳死問題や共謀罪、そして最近では取り調べの可視化などについて刑法学者の立場から積極的に発言を行ってきた。以下は中山教授のブログから「竜頭蛇尾」と題されたものである。取り調べの可視化が進まないことを残念に思っていたようだ。(2011/11/08)


みる・よむ・きく
アレッサンドロ・バリッコ著「イリアス〜トロイで戦った英雄たちの物語〜」
  「イリアス」はもともとは古代ギリシア時代にホメロスが語った詩から構成された戦争の物語である。近年、ブラッド・ピットが英雄アキレスを演じたハリウッド映画「トロイ」のもとになった物語と言った方が早いかもしれない。ギリシアの連合軍が難攻不落だったトロイアをついに陥落させる話である。しかし、攻めるギリシアの軍勢もアキレスをはじめとして英雄たちは次々と命を失っていく。この話を現代イタリアの作家アレッサンドロ・バリッコ(Alessandro Baricco)が脚色して現代に蘇らせようとした。劇場で全編朗読したら40時間もかかってしまう話をテンポアップし、普通の劇の長さまで刈り込んだのである。そして実際に2004年にローマとトリノで朗読劇として上演された。なぜ、そんなことをしたのか?バリッコはその動機をあとがきに付されている「もうひとつの美―戦争についての覚書」の中でこう記している。(2011/11/08)


米国
ペンタゴンの軍事費削減  財政難から 11月23日までに超党派でまとめられなければペナルティとして削減額が倍増に・・・
  今年8月初旬に決められた財政難に対する議会の取り決めで米国のペンタゴンは軍事費を今後10年間で4500億ドル以上削減しなくてはならなくなった。レオン・パネッタ国防長官のもと、現在削減プランが作られようとしているが、11月23日までに民主・共和の超党派議員で構成された財政削減のための委員会で承認されなければ、4500億ドルに加えて、さらに今後10年間で5000億ドルの削減が課せられることになっている。ニューヨークタイムズが報じた。(2011/11/08)


文化
パリの散歩道17  欧州語の謎    村上良太
   古代ローマ帝国域内にあった国々の言語は帝国の解体後、ラテン語をベースにしながらもやがてフランス語やイタリア語、スペイン語などに分かれていった。サッカー日本代表のフィリップ・トルシエ監督の通訳をしていたフローラン・ダバディー(Florent Dabadie,1974-)氏はフランス人だが、「フランス語と日本語、英語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、韓国語の7か国語を操る」(ウィキペディア)。この話はダバディ氏の日本滞在記「「タンポポの国」の中の私」の中で読んだ記憶がある。ダバディー氏は本書の中で、フランス語を母語とする自分から見ると、イタリア語とポルトガル語は覚えやすいが、スペイン語は少し難しいといったことを書いている。それはなぜなのか。(村上良太)(2011/11/07)


欧州
「鳩にエサをやるな」 スペイン1コマ漫画
  欧州は財政難に不況が重なり・・・(2011/11/07)


人権/反差別/司法
西側で最も記者にとって危険な国 ホンジュラス 
  西側世界において、取材記者が最も危険に直面する国がホンジュラスだという。2007年以来、23人のジャーナリストが殺されているが、この数か月でクーデターで解任されたセラヤ大統領を支持していたジャーナリスト3人が銃で殺された。またロボ大統領になって以来、15人のジャーナリストが殺されたという。(2011/11/07)


社会
ハッカーが麻薬カルテルにビデオで警告「仲間を無事返さないと・・・」
 最近注目を集めているハッカーグループの「アノニマス(Anonymous)」がメキシコの麻薬カルテルにインターネットビデオで警告を出したという。「仲間を無事返さなければ、お前たちのメンバー(協力者)の名前を公開する」との警告だという。(2011/11/04)


米国
米下院に提出されたスパイ情報「カウンターインテリジェンス」〜中ロからも同盟国からも・・・〜
  ’Office of The National Counter Intelligence Exective’がまとめた経済分野に絡むスパイ情報(2009年−2011年)が米下院に送られ、ネット公開されている。それによると中国やロシア、さらには同盟国からも機密情報が盗み出されているとしている。中でも、近年著しいのはインターネットを使った情報の盗み出しとしている。情報が狙われるのは政府の場合もあれば企業の場合もある。レポートではあらゆる情報が盗まれているものの、狙われる対象として特に次の4つの情報を挙げている。(2011/11/04)


国際
米はユネスコ分担金支払いを中止〜パレスチナ加盟への報復〜ボゴヴァ事務局長がTVで訴え
  10月31日のパレスチナのユネスコ参加決定に対し、米国は報復措置としてユネスコに分担金の支払いを中止することになる。ワシントンポストによれば米国の分担金の比率は22%に及び(年間8000万ドル以上)加盟国中で最大となっている。これに対し、イリナ・ボゴヴァ事務局長はユネスコTVで米政府・米議員・米国民にユネスコへの拠金を中止しないように呼びかけた。(2011/11/03)


コラム
「一夫多妻制 または「アラブの春」が冬になる時」〜 スペイン紙のブログから 〜村上良太
  リビアがシャリアを導入し、一夫多妻制で行きます、とアブドルジャリル国民評議会議長が宣言したことが、世界で波紋を巻き起こしている。リビアが復活させようとしている一夫多妻制は男なら誰でも4人の妻をめとることができるとするものだ。このことが、特に「アラブの春」当事国の女性たちにとっても懸案事項になっている。(2011/11/02)


TPP/脱グローバリゼーション
自由貿易協定 米労働組合「2001年以来300万人の製造業の雇用が失われた」
  自由貿易協定の源・米国では2001年以来製造業界で300万人の雇用が失われたと労組AFL−CIOは批判している。だが、オバマ政権に移行後も自由貿易協定は次々と締結されている。(2011/11/01)


中東
ユネスコでパレスチナを加盟国として認める
  スペインの新聞エル・パイスによると、パリで開催されているユネスコの総会で、パレスチナが加盟国として承認された。賛成票107、反対票14、棄権52だった。加盟には参加国の3分の2以上が必要だったが、その票を獲得した。(2011/11/01)


アフリカ
リビアの反カダフィ派の拠点、ベンガジで数百人の男が示威行為 「シャリア法を導入せよ」
  今朝のインターナショナルヘラルドトリビューンに「リビアの女性に警報」と題されたルポが掲載されている。アブドルジャリル国民評議会議長がシャリア法に基づき、男性が複数の女性を妻にできるpoligamyを法律に組み込むと発表したからだ。軍事介入したフランスのジュペ外相も「これは問題だ」と発言しているという。新生リビアでは男性は4人の妻を持つことができるようになる見通しだという。(2011/10/31)


科学
中世の人口を半減させた黒死病 その原因のバクテリアが今も残存  なぜ死亡率が下がったのか?
 1347年から1351年にかけて欧州で猖獗した黒死病はYersinia pestis というバクテリアによって起こされた。黒死病はなんと当時の町々の人口をわずか5年間で推定30%から最大で50%まで減らしてしまったという。科学誌natureはこのバクテリアが現代も生息しているものの、致死率は低くなったことを取り上げ、その謎に取り組んだ科学者たちを特集している。(2011/10/30)


コラム
語学に再挑戦 9  イタリア語に挑戦   村上良太
  ドイツの科学者に取材の段取りの為に日本から電話をしたことがある。その頃〜今もさして変わらないのだが〜互いに顔の見えない電話での英会話には中々骨が折れた。もちろん、僕はドイツ語は話せなかった。科学者は当方の心中を察してくれたのであろう、こう助け舟を出してくださった。「英語が話しにくいのなら、フランス語はどうですか?」(2011/10/29)


みる・よむ・きく
来週火曜夜放送 「野菜をどう選べばいいのか?〜見直され始めた八百屋の存在〜」
  日本の農業問題を長年取材してきた原村政樹氏(ディレクター、プロデューサー)から放送案内が届いた。番組はテレビ東京のドキュメンタリー「ガイアの夜明け」の特集「野菜をどう選べばいいのか? 〜見直され始めた八百屋の存在〜」で来週火曜夜10時からの放送となる。(2011/10/28)


欧州
FNの大統領候補、マリーヌ・ルペン氏がリビアに軍事介入したサルコジ大統領を非難
  フランスの右翼政党FN(フロントナショナル)党首、マリーヌ・ルペン氏がサルコジ大統領が決断したリビアへの軍事介入を非難している。内戦終結の直後、ジャリル国民評議会議長がイスラム教至上主義のシャリーア法を導入し、それに反する法律制度は認めないと宣言したことがその背景にある。(2011/10/27)


アフリカ
「エジプトの陸軍元帥を大統領に」  将来も軍が実権を把握?
 エジプトでは次期大統領候補として、エジプト軍の陸軍元帥 (2011/10/27)


人類の当面する基本問題
ベトナムでジャワ犀が絶滅  角が目当てと見られる
  ベトナムで絶滅危惧種に指定されているジャワ犀(野生)が絶滅したことが確認された。この犀は去年4月、死んでいたのを発見されたもの。 (2011/10/26)


みる・よむ・きく
エフライム・カム(Ephraim Kam)著 「奇襲攻撃(Surprise Attack)〜攻撃された側から見る〜」    村上良太
  エフライム・カム(Ephraim Kam)著「奇襲攻撃(Surprise Attack 〜The Victim's Perspective〜」は第二次大戦から現代にかけて行われた奇襲攻撃について分析した戦略の本である。出版社はアメリカのHarvardだ。そして、著者はイスラエル軍の戦略シンクタンク,Jaffee Center for Strategic Studies に勤務する戦略家である。(2011/10/26)


アフリカ
カダフィ派53人と見られる死体がホテルから見つかる 処刑の可能性  イスラム主義の影響力が強まる
  10月25日付のニューヨークタイムズによると、カダフィ大佐の死に方が議論の的になっていたまっただ中の日曜、シルトのホテルの庭で、カダフィ派と見られる53人の死体が発見された。この中にはカダフィ政府の高官も含まれていた。いくつかの死体は後ろ手で縛られており、処刑されたと見られる。ヒューマンライツウォッチのPeter Bouckaert氏がこのことを記録した。また、カダフィ大佐の遺体を検死した医師は、頭部の銃撃が死因と発表した後、体には複数の傷があったことも付け加えたという。現在、リビアでは新たな政体への移行を準備しているが、国民評議会のアブドルジャリル議長は新政府はイスラム教に基礎を置くものになると発言した。(2011/10/26)


米国
ティー・パーティのファックス作戦を見る  
  「ウォール街を占拠せよ」運動を共和党右派である「ティー・パーティ」運動への対抗勢力ととらえる見方がある。そこで「ウォール街を占拠せよ」が盛り上がっている今、一方のティー・パーティのホームページをのぞいてみると、そこにはファックス作戦(Fax Blast)なるものがいくつも並んでいた。さらにCWTPなる「茶会」も勧められていた。誰でもすぐ簡単に政治参加できる仕組みが用意されているのである。(日刊ベリタ編集部)(2011/10/25)


教育
学費格安コースを導入する大学も 来年度から英大学で学費値上げへ
  英国の大学では去年の暮れに成立した法案により、2012年9月の新年度から大学が学費を値上げすることになる。学費は1年間で最大9000ポンド(現在1ポンド=121円→約109万円)になる。一方、学費が払えず借金に頼らなくてはならない学生も予想されることから、コベントリー大学では格安コースも設置することにした。(2011/10/24)


米国
「アラブの春」はブッシュ大統領が撒いた自由と民主主義のおかげ  〜ライス元国務長官が回顧録を来月出版〜
  ブッシュ政権時代に国務長官をつとめたコンドリーザ・ライス氏が回顧録を来月出版するという。ニューヨークタイムズによれば本は734ページにも及ぶ。(2011/10/24)


みる・よむ・きく
ワレーリイ・フォーキン監督「変身」   村上良太
カフカの「変身」がロシアの監督ワレーリィ・フォーキンによって映画化されている。フォーキンは演劇界の演出家である。このDVDを手にした時、最初に思ったことはグレーゴルが何に変わったのか?ということだった。(2011/10/24)


みる・よむ・きく
イラク撤退とノーベル賞 エル・パイスの漫画から
   オバマ大統領が年内に米軍をイラクから完全に撤退させると発表した。駐留期限が今年いっぱいだからだ。現在、約4万人の米兵がイラクに存在している。スペインの新聞、エル・パイスにはオバマ大統領を皮肉った漫画が出ていた。(2011/10/22)


アフリカ
ロシア外相がカダフィの死に言及「調査が必要」 さらにNATOは「国連決議を逸脱」
  ロシアのラブロフ外相は「ボイス・オブ・ロシア」でカダフィ大佐の死に対して調査が必要だとコメントした。ジュネーブ会議で構築された国際法や人道的原則に基づけば戦闘中に敵兵を捕まえた場合は負傷していれば手当てをするなどの措置が必要となる。殺すことを禁じていることは言うまでもない。「しかし、カダフィの最期の状況をビデオで見ると負傷したカダフィは捕まった後に殺されたことがわかる。」さらにNATOの空爆は国連決議を逸脱していたと批判する。(2011/10/22)


アフリカ
欧州のリビア向け武器輸出額データ〜「カダフィ大佐に武器を与えたのは誰?」〜英ガーディアン紙から〜
  カダフィ政権の独裁を告発してきた欧州がリビアにどれくらいの額の武器を輸出してきたか、英ガーディアン紙がそのデータを公開している。上位にランク入りしたのは意外な国だった。(2011/10/21)


アフリカ
カダフィの死をめぐるニュース  フランスの新聞・雑誌から
カダフィ大佐の死が世界で報じられている。フランスのルモンド紙は「写真とビデオがカダフィの死を映す」と題して、その最期についてレポートしている。というのは、カダフィ大佐の最期についてまだ不明な点が多く、正確な情報をより分け分析する必要を感じていたからだと同紙は書いているが、その一因としては今年5月にビン・ラディンの死が報じられたとき、フォトモンタージュで偽造された写真が出回ったことがあったからだ。(村上良太)(2011/10/21)


みる・よむ・きく
絵本作家エリック・カール 2  「頭から足指まで」
  エリック・カール(Eric Carle)には「頭から足指まで(From Head to Toe)」という風変わりな一冊がある。様々な動物たちが少年少女たちに「これ、できる?」と自分の特徴的なポーズをとって見せる。子供たちは「できるできる」と、同じポーズをとって見せる。(村上良太)(2011/10/20)


欧州
「葬儀の音楽にはジャズを」 オランダのジャズバンド
  「葬儀の音楽にはジャズを」。そんな音楽ビジネスを欧州で展開しているのが昨年紹介したオランダのバンド、ディキシーランド・クラッカージャックスだ。彼らの演奏しているのはニューオーリンズで今も演奏されているディキシーランド・ジャズである。「事前にご家族と、どの曲を演奏するか相談します。2005年に私たちが出したCD、「カリビーン・スイート」の中の「Westlawn Dirge」は本当にニューオーリンズで葬儀用に演奏されている曲です。(2011/10/19)


農と食
農水省統計から  肉と米 〜EPAとTPPの違い〜
  農水省の統計サイトに昭和40年度(1965年度)と昨年度の一人当たりの食品別消費量を比較したデータが出ている。http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/02.html(2011/10/19)


欧州
オランド氏がフランス社会党大統領候補となる  「エコロジスト達は肩を落とす」
  16日(日)の決選投票で、フランソワ・オランド氏がオブリ候補を破り、社会党からの大統領候補者に選出された。得票率はオランド候補が57%だった。オランド候補は「リアリスト」と銘打たれている。(2011/10/17)


コラム
町での立ち聞きから〜「幸福の三条件」とは?〜    村上良太
  二人はかれこれ70歳前後の男性だが、今の時勢を語り合っていた。「今の若い人たちの年収は、200万もらっていない人は随分と多い。せいぜい100万円ぐらいの人だっていっぱいいるようですよ。ひどい時代です。でも、昔を振り返ってみると、僕は娘たちに言うんですが、お前たちが子供だった頃、お父さんの給料でシュークリームを買ってやれたのは月に一度だったんだ、と。」(2011/10/17)


みる・よむ・きく
エリック・カール作 「小さな雲(Little Cloud)」
  絵本作家エリック・カール(Eric Carle)の代表作は「はらぺこあおむし」と言われている。青虫が毎日、葉っぱから、果実さらにはお菓子の類まで食べてお腹をこわしたりするが、たくさん食べることでさなぎになり、蝶になる。それだけのシンプルな話だが、エリック・カールの絵には独特のユーモアと技巧があり、読者を魅了せずにはいない。だが、今、ここで書きたいのはもっと地味な作品である。題は「小さな雲(Little Cloud)」だ。(村上良太)(2011/10/17)


アジア
分断を見る’北緯17度線への旅’ 〜戦場カメラマン・石垣巳佐夫〜 村上良太
  忘れがたい1枚の写真がある。蛸壺に入った女たちの写真だ。ベトナム戦争中に撮影されたもので、場所はハノイのトンニャットホテルの前である。撮影したのは日本電波ニュース社の支局員だ。ハノイの中心にあるトンニャットホテルには当時、日本電波ニュース社の支局があった。カメラマンだった石垣巳佐夫さん(現在69歳)もそこで働いていた。(2011/10/15)


アジア
人民日報がロシアの北方領土守備部隊の近代化を報じる
  中国の人民日報は今年に入り、ロシアが北方領土の軍備の近代化に乗り出していることを伝えている。3月1日の記事によるとロシアの「50年代の骨董品」だった旧式兵器を一新することになるそうだ。ロシア総参謀部の高官によれば北方領土に「高射砲や対空ミサイル、さらには最新の「S400トライアンフ」地対空ミサイルシステムまで配備する」という。こうした行動の背景は何なのか?(2011/10/15)


アジア
戦場カメラマン・石垣巳佐夫氏 〜内戦下のアンコール・ワットを撮る 1980年 〜 村上良太
  1980年4月、日本電波ニュース社のカメラマン石垣巳佐夫さんにアンコール・ワットの取材許可がおりたとの知らせが届いた。番組は日本テレビ「木曜スペシャル」だ。ポル・ポト政権崩壊後、世界で最初にアンコール・ワットを探査する企画である。当時、政府軍とポル・ポト派の戦闘は続いていたが、ベトナム政府が許可を出したのだ。石垣さんを中心にさっそく取材班が編成された。ディレクター野田耕造、プロデューサー寺元啓二、日本テレビ側は石川一彦である。石川氏とはベトナム戦争終結以前の1973年末から74年正月にかけてラオスを訪ね、米軍の爆撃下で洞窟生活を送っていた人々のその後を探るドキュメンタリー番組を作っていた。(2011/10/14)


核・原子力
フランスの核政策 社会党の大統領選候補者を反核団体はこう見る
  昨日、欧州の反核団体Sortir du nucleaireがオランダからフランスのラ・アーグへ核廃棄物輸送列車に抗議を呼びかけた記事をお伝えした。この団体のウェブサイトでは来年のフランス大統領選に向けて競っている社会党の2大候補者、マルティーヌ・オブリ候補とフランソワ・オランド候補について、政策を紹介した上で注文をつけている。二人のどちらが社会党候補者になるかは16日の決選投票で決まる。(2011/10/13)


コラム
フランス雑誌が入ってこなかった日々  村上良太
  2〜3年前のことだが、ルモンド紙やヌーベルオプセルバトゥール誌、あるいはルモンドディプロマティークなどのフランスの媒体が書店の洋書売り場から一斉に消えたことがあった。その原因は輸入代理店が破たんしたからで、業務が再開されるまでの期間は何カ月にも及んだ。一国を代表する新聞・雑誌も日本の輸入代理店1社の倒産でかくも滞ってしまうのか、と驚いた。その間、日仏会館などには置かれていたから、大使館などは別ルートで入手していたのだろう。(2011/10/12)


アジア
中国軍が攻めてきた!1979年2月 〜戦場カメラマン石垣巳佐夫氏に聞く〜社会主義国同士の亀裂
  早朝、若いベトナム人の兵士達が続々と自転車でハノイ駅に向っていた。自転車をこぐのは妻達で、後ろに兵士が座っている。皆、カラシニコフ銃(AK47)をかつぎ、リュックを背負っている。旧正月を切り上げて召集されたのだろう。「やはり始まったのだな」平和ホテルの3階の窓から石垣巳佐夫さん(当時38才)は駅前の大通りを見下ろしてそう思った。1979年2月18日のことだ。(村上良太)(2011/10/11)


米国
ボストンで100人近くが逮捕される アメリカの抗議運動広がる
  情報の出所はボストングローブ紙とされるが、今日、10月11日午前0時過ぎ、ウォール街への抗議運動が行われていたボストンの抗議現場に200人近い機動隊員が集まり、抗議者たちに退散するように命じた。しかし、従わなかった抗議者およそ100人近くが地面に倒され後ろ手に手錠をかけられ逮捕連行されたという。以下はルモンド紙に報じられたデモ現場の写真。(2011/10/11)


中南米
チリのピニエラ大統領 抗議運動を厳罰化する法案を国会に提出
  インターナショナルヘラルドトリビューン(10月10日付)によると、公教育の充実を求め、学生や教師、市民による激しいデモが全国で起きていたチリで、ピニエラ大統領は抗議運動を抑制するための厳罰化法案を国会に提出した。法案では学校などの公的施設を占拠した者は学生であるなしを問わず、懲役3年までの刑罰に処するという刑法改正案である。今年、5月以来、200以上の中学や大学が占拠されたとされる。(2011/10/10)


中東
バーレーンの選挙
  ニューヨークタイムズによると、9月24日(土)、中東のバーレーンで選挙が行われた。この日も反政府運動の人々はデモの中心となったパールスクエアに向ったが、機動隊とぶつかった。デモ参加者は数百人から数千人におよぶと見られており、機動隊は催涙ガスやゴム弾を使って鎮圧した。(2011/10/10)


米国
ウォール街デモ「金融システムへの不満」 オバマ大統領が記者会見 
  エル・パイス紙によると、ニューヨークで行われている市民のデモ「ウォール街を占拠せよ」について、昨日、オバマ大統領は初めて記者会見の場で言及した。「アメリカの金融システムのあり方に対する強い不満を表したものである」と大統領は語ったが、それが政局にどう影響するか、などについては言及しなかった。同日、ジョー・バイデン副大統領は「ニューヨークのストリートで行われている運動は(右派の)ティーパーティーと共通の要素を持っている」と語った。(2011/10/07)


中南米
チリ・クーデターの調査が進む バチェレ准将を拷問したのは誰か?
  チリの新聞「ラ・テルセラ」などによると、1973年9月11日のチリ・クーデターの事実が38年後の今、調査されており、新たな事実が浮かび上がりつつある。アジェンデ政府の本部があったモネダ宮を爆撃したパイロットの一人、エンリケ・モンテアレグレ・フリアン氏〜退役した元空軍の将軍〜はモネダ宮の爆撃の後、アジェンデ寄りの人々を拷問していた疑いも浮上した。(2011/10/05)


米国
反ウォール街デモで市民700人以上が逮捕される
  10月3日付、ニューヨークタイムズによると、先週土曜日のウォール街に対するデモ「ウォール街を占拠せよ」の途中、市民700人以上が逮捕された。場所はマンハッタン島の南東、イーストリバーにかかるブルックリン橋で、警察が逮捕した理由は歩道から車道にはみ出し車の通行を妨げたことだった。(2011/10/04)


教育
チリのピニエラ大統領 教育の無料化は否定し、最も貧しい層の40%の家庭の子弟に奨学金を提案
  昨年来、チリでは教育費の無料化を求めるデモが続いており、この夏、政治危機に発展した。中道右派のセバスチャン・ピニエラ大統領は無料化は不可能とする政府の見解を出した。一方で、最も貧しい層から40%の家庭の子弟には奨学金を与える制度を創設すると提案した。チリの新聞「ラ・テルセラ」による。(2011/10/02)


みる・よむ・きく
アル・パチーノ監督の映画「リチャードを探して」   最良のシェイクスピア入門
  俳優のアル・パチーノ(1940-)は40代に干された長い時代があった。「ゴッドファーザー」や「スケアクロウ」で押しも押されぬスターになったにも関わらず、毎回今一歩のところでアカデミー賞が取れず、やがて賞狙いの大げさな演技という悪名を受けたことが干された理由だという。その後、1992年の「セント・オブ・ウーマン」で完全復活を遂げるまで、パチーノは舞台でシェイクスピア劇に取り組んでいた。後に彼はシェイクスピアの「リチャード三世」の上演に取り組むドキュメンタリー映画を監督する。これは最良のシェイクスピア入門になっている。(2011/10/02)


米国
米民間請負業者への無駄な出費が指摘される
  同時多発テロ以後の10年間にアフガニスタンとイラクで米国の業務を請け負った民間企業に支払った費用が適正価格であったかどうかの調査が下院の超党派の委員会で行われた。3年がかりの査定報告によると、無駄と詐欺と横暴が指摘されている。これはインターナショナルヘラルドトリビューンの社説(9月20日付)による。調べによると、アフガニスタンの戦争開始から最初の2年間だけで委託先の民間企業に支払った2060億ドルのうち、控えめな査定でも、310億ドルから600億ドルが無駄だったという。(2011/10/01)


みる・よむ・きく
ロアルド・ダール作「予期せざる話」(Tales of the unexpected)
    英国の作家、ロアルド・ダールの短編小説は「奇妙な味」の物語としばしば言われる。意外な結末に味がある。しかし、そこに至る用意周到な話の運びもうまい。日本では田村隆一訳の短編集「あなたに似た人」や開高健訳「キス・キス」などがある。しかし、残念ながら近年、町の書店からロアルド・ダールの作品は姿を消しつつある。今回、およそ20年ぶりに原書を買って読み直してみた。(2011/09/29)


ITフロント
三菱東京UFJ銀行を騙る偽メールに注意  悪質なフィッシング詐欺
  情報セキュリティ会社「セキュアブレイン」(東京・千代田区)はフィッシング詐欺の対策に取り組んできた。独自に開発した検知ソフト「gred」で新たに発生した偽サイトや偽メールを探知している。今回、同社が発したアラート(警告)では、三菱東京UFJ銀行を騙った偽メールがインターネット空間に出回っていることに注意を喚起している。これはフィッシング詐欺の典型的な手口である。(2011/09/28)


検証・メディア
ウィキリークスとガーディアン  米公電全25万件の公開をめぐる謎
  ウィキリークスに寄せられる機密情報がどのように管理されるか不安があると去年書いたが、それが現実味を帯びてきた。今月2日、ウィキリークスは公開前に信頼できる報道機関の精査を経た上で公開する、という今までの手順を飛ばして一気に約25万件の米公電情報をインターネット上で公開した。ウィキリークスが当初、仮に善意でその活動をしていたとしても、そこに寄せられた情報がその後、どのように管理されるかは未知数だった。(2011/09/26)


コラム
忍者と山伏と公安警察官    村上良太
 今から20年以上も前に聞いた話である。その話をしてくれたのは元エリート警察官僚だ。彼の話によれば〜当時の記憶なので細かい点は違っているかもしれないが〜日本の公安警察官には二大出身地があるという。1つは伊賀・甲賀、1つは岡山だ。(2011/09/25)


コラム
カロリーとキロカロリーの違い    村上良太
  体重をコントロールしようとしている人にとって、食材がどのくらいのカロリーを含んでいるかは要チェックだが、しばしばカロリーという単位とキロカロリーという単位にお目にかかる。通常ならキロは1000倍である。1キロメートルは1メートルの1000倍だ。しかし、どうも変だ、という印象を受ける人も少なくないのではないか。カロリーとキロカロリーと2通りの表示があっても、その食材から考えて、同じ単位じゃないか、と思えることがしばしばあるからだ。(2011/09/23)


欧州
ドイツ最大のネオナチ組織が違法と認定される 
  APによると、ドイツ内務省はドイツ最大のネオナチ組織を違法とみなした。この団体はHNG(The Help Organisation for national Political Prisoners and their Families)である。HNGが禁止された理由は内務大臣のHans-Peter Friedrich氏によると、「平和的かつ民主主義的な法秩序に対し攻撃的姿勢を持つため」だ。(2011/09/22)


科学
米依存症研究の第一人者ノーラ・ボルコウ博士、半生を語る〜トロツキーの曾孫娘が大物科学者に〜
  ノーラ・ボルコウ博士はアメリカの薬物依存症の研究施設NIDA(National Institute on Drug abuse)のディレクターである。麻薬中毒、アルコール依存症、そして肥満(過食)。こうした依存症患者の脳をPETというスキャナーを使って解明し、治療法の確立に取り組んでいる。薬物依存症はアメリカ人の脅威となっており、米政府は巨額の研究費を投じた。その最前線にいる科学者がノーラ・ボルコウ博士なのである。彼女の動画インタビューがニューヨークタイムズのウェブサイトにUPされている。インタビューは8分ほどで、科学の話というより半生を振り返る話だが、そこには悲劇があった。(2011/09/22)


国際
中東問題をめぐるロシアと米国の見解の違い  第66回国連総会開催
ヴォイス・オブ・ロシアによるとロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は第66回、国連総会に向けてニューヨーク入りした。ヒラリー・クリントン米国務長官とリビア問題、シリア危機そしてパレスチナの国家樹立について月曜夜、4時間にわたり話し合った。(2011/09/21)


北朝鮮
「朝鮮戦争の終結」を希望  北朝鮮の外交官が米に提案
  「朝鮮戦争の終結」を北朝鮮がアメリカに提案したという記事がインターナショナルヘラルドトリビューン(7月28日)にベタ記事で出ていた。朝鮮戦争を公式に終結させるために平和条約を米国と締結したいと北朝鮮が希望しているという。(2011/09/21)


欧州
パリの散歩道 16 ついに個展会場をゲット  
  パリの女性画家、ヴィルジニー・ブリエン(Virginie Brien)さんを昨年取材した時は「個展を開きたいけど、なかなかギャラリーで開くのが難しい」と語っていた。しかし、この秋、彼女はパリ17区のギャラリーで女性写真家とともに合同展を開くことになった。(2011/09/19)


コラム
語学に再挑戦 8  戦争と語学   村上良太
日本人が英語を学ぶのは端的に言えばアメリカとの戦争に負けたからである。戦時中、英語は敵性外国語だった。野球用語も英語から日本語に換えられた。だから戦争は外国語の学習を左右する大きな要因である。また戦争は否応なしに「語学に再挑戦」を強いる。(2011/09/18)


みる・よむ・きく
歴史紀行「都市ヴェネツィア」 ( F・ブローデル )
「シャイロック」という芝居について書いた時、その戯曲が「ヴェニスの商人」を翻案したものだったことがあって、ヴェニス(ヴェネツィア)という言葉に敏感になっていたのだろう。書店でフェルナン・ブローデルの「都市ヴェネツィア」(岩波書店)という本に出会った。この本はフランス・アナール派の泰斗による歴史紀行というだけでなく、フォルコ・クイリーチによる詩情あふれる写真が多数つけられており、それも魅力になっている。(村上良太)(2011/09/15)


教育
日本の若者は内向きか?  統計数字を見ると・・・
  今週火曜日、新宿の紀伊國屋ホールで加藤嘉一講演会が行われた。タイトルは「内から見た中国、外から見た日本・・そして世界」である。加藤氏は最近、日本のテレビでも何度か紹介されているが、中国版のツイッターのフォロワーは65万人くらいいるそうだ。内向き志向と批判される若者たちだが、少し長いスパンで見れば実際には海外留学者は80年代の3倍から4倍に増えていた。そして中国への留学者数がアメリカに次ぐ2位に伸びている。(2011/09/10)


文化
語学に再挑戦 7 聾者の取材から見えた語学の心  村上良太
 語学というと、英語やフランス語などがすぐに頭に浮かぶが、手話もまた語学だと思う。1996年に聾者の映画監督とその妻を取材した時、口幅ったい言いかたになるが語学というものの本質に触れた気がした。監督はオーストラリアから来日して東京・両国で暮らしていたロバート・ホスキンさんである。妻の土屋靖子さんも聾者で、ホスキンさんの映画に女優として出演していた。(2011/09/09)


みる・よむ・きく
東京演劇アンサンブル公演「シャイロック」(アーノルド・ウェスカー作)
  英国の劇作家アーノルド・ウェスカーが書いた戯曲「シャイロック」が今週金曜から東京演劇アンサンブルによって上演される。シャイロックはシェイクスピアの戯曲「ヴェニスの商人」に登場するユダヤ人の金貸しの名前である。ご存じの方が多いだろうが、金の亡者の代名詞である。一方、「ヴェニスの商人」を改作したウェスカーはユダヤ系である。不愉快だったろう。そこで、ユダヤ人劇作家からこの芝居を見るとこう見える、というのがこの「シャイロック」である。だから、この劇はシェイクスピアとウェスカーの決闘という風にとらえたい。(2011/09/06)


みる・よむ・きく
水爆と深海の怪物 〜「それは海の底からやって来た」〜 村上良太
  核実験によって巨大な怪物が生み出される。これは日本が誇る怪獣映画「ゴジラ」のアイデアである。ゴジラが初めて上映されたのはウィキペディアによると、1954年11月3日だ。同年3月1日、米軍がマーシャル諸島のビキニ環礁で行った水爆実験で日本の第五福竜丸が被曝している。この悲惨な事件から8か月後に「ゴジラ」が上映されているのだから、当時の日本の映画製作者たちの感性とパワーに驚かざるを得ない。「ゴジラ」のようなメジャーにこそならなかったが、アメリカでも水爆実験の恐怖をモチーフにした怪獣映画が作られている。1955年に公開された「It came from beneath the sea」である。(2011/09/06)


コラム
地デジ難民  テレビの思い出   村上良太
  テレビを懐かしく思い出す。面白かった番組は無数にある。でも1本だけ選ぶとしたら、昭和52年12月に放送された「世界オープンタッグ選手権」だ。東京・蔵前国技館で行われたドリー・ファンク・ジュニア&テリー・ファンク 対 ブッチャー&シークのプロレスのタッグマッチである。(2011/09/04)


アフリカ
ウガンダの「平和を作るラジオ放送局」
  スペインの新聞「エル・パイス(El Pais)」によると、ウガンダ北部で小さなラジオ放送局が立ち上がり、リスナーとともに平和のための放送を続けている。この放送局の名前は「ピースメーカー」である。文字通り、住民たちが戦いを避けて平和に暮らすための放送局なのである。(2011/09/03)


みる・よむ・きく
フアン・ルルフォ著 「ペドロ・パラモ」
1980年にスペイン語圏の作家と批評家100人あまりにアンケートが行われた。「ラテンアメリカ文学の最良の作品は何か?」という問いに、トップの座を分かち合ったのがメキシコの作家、フアン・ルルフォ(Juan Rulfo, 1918-1986)の「ペドロ・パラモ」とガルシア・マルケスの「百年の孤独」だった。「百年の孤独」についてはあまりにも有名で誰でも知っているだろうが、「ペドロ・パラモ」はどうか?(村上良太)(2011/08/31)


コラム
地デジ難民として    村上良太
  地デジ難民になってしまった。テレビ屋の自分としては困ったことである。僕は裕福なわけではないが、かといって地デジ化する金がないわけでもない。ただ、タイミングを逸してしまったのだ。地デジ化についてこれまで深く考えた事がなかった。面倒だし、金もかかるからやっかいだな、と思っていたが、まだまだ先の事だと思っているうちに、7月の新聞に「明日地デジ化」と見出しがあるのを見た。(2011/08/29)


コラム
語学に再挑戦 6  漢文と中国語
何年か前、上海に滞在した時、ポケット版の会話辞典を携帯していた。会話辞典にはカタカナで中国語の読み方が併記されていた。漢字はある程度理解できるし、それほど苦労しないだろうとたかをくくっていたらとんでもない。中国版のコンビニに入って「目覚まし時計が欲しいのです」と会話辞典を参照しながら店員に尋ねたところ、店員は奥に入って物を探してきてくれた。「はい、どうぞ」と渡されたのはオイルサーディンの缶だった。(2011/08/28)


みる・よむ・きく
カンブリア宮殿「古材を使った家造り」〜原村政樹ディレクターの取材から〜
 日刊ベリタで取材させていただいたことのある原村政樹ディレクターから番組案内が届きました。9月1日(木)夜10時から、テレビ東京・カンブリア宮殿「古材を使った家造り」。番組では古材の活用を手がけている古材倉庫グループ、井上幸一代表が登場。愛媛の木材店の跡継ぎだった井上氏は貴重な材木を30年もたたないうちに使い捨てる戦後日本の住宅文化に疑問を持ったといいます。果たして井上氏の挑戦とは?(2011/08/28)


アフリカ
今夜放送「緊急報告 リビア・市民蜂起の真実」
  リビアで今、何が起きているのか?日刊ベリタで以前取材させていただいた熊谷均プロデューサーから、今夜、特集を放送するとの連絡が届きました。NHK BS-1 ドキュメンタリーWAVE「緊急報告 〜リビア・市民蜂起の真実〜」 放送は8月27日 (土)00:00〜00:49 (つまり今夜12時から、ということです)(2011/08/26)


コラム
語学に再挑戦 5     村上良太
 パスカル・バレジカさんの「フランスからの手紙」も23回を数えた。最初は自分のような半端もんがフランス語を翻訳してもいいのだろうか、と思った。しかし、それをやれたのはある経験があったからだ。2001年、ドイツ文化会館で行われたレッシング賞の授賞式に受賞者の岩淵達治氏に招いていただいた経験である。(2011/08/26)


中南米
サルサの女王、セリア・クルース 〜「ラテンの文化大使」〜
  2003年に亡くなった歌手のセリア・クルース(Celia Cruz)は「サルサの女王」と呼ばれていた。クルースの声は太く、美しい声とはほど遠い。しかし、クルースのエネルギッシュで明るい歌は周囲にエネルギーを放射し、聞く者を元気にする。これこそ、まさに「ラテン」の力だと思う。(2011/08/24)


文化
フランスからの手紙23 〜責任ある億万長者とは?〜Un milliardaire responsable ? パスカル・バレジカ
  およそ10年ほど前になるが、私はアフリカの政治経済文化を扱う「若いアフリカ(Jeune Afrique)」という週刊誌の記事を書いていた。ある時、編集長は私にリー・クアンユーとウォーレン・バフェットの回顧録を読ませて、彼らに関する記事を書かせようとした。(2011/08/20)


コラム
原発とサッカー     村上良太
  7月31日付の朝日新聞は興味深い記事を掲載していた。「原発攻撃 極秘に予測」という見出しである。1984年に外務省が日本国内の原発が攻撃を受けた場合の被害予測をしていたというものだ。シナリオは大きく分けて3つあり、〜甘展餐喙此´格納容器破壊 8胸厦Г猟樟槐鵬である。具体的な被害もシナリオごとに試算しており、ばらつきはあるが数万人が攻撃から間もなく死亡する、という予測だった。この記事を思い出したのは河村優監修・清水英斗著「イタリアに学ぶ ストライカー練習メニュー100」(池田書店)を読んでいた時だった。(2011/08/19)


中南米
チリの学生デモとパリ五月革命
  スペインの新聞エル・パイス(El Pais)紙によればチリの大学生たちによって結成されたチリ学生同盟(la Confederacion de Estudiantes de Chile)は16日、「学生の要求をまず政府が認めない限り、話し合いには応じない」と、上下両院から提示された話し合いを拒否した。そして右派のピニェラ政権に対する抗議活動をさらに強めている。チリ国民の80%が良質かつ無償の教育を要求している学生デモを支持しているという。ある社会学者はこの運動は68年のパリ五月革命に似ていると分析した。(2011/08/18)


文化
チリのデモと作家イサベル・アジェンデ
  チリの新聞「ラ・テルセラ(La Tercera)」より。チリでは公教育の充実を求める学生、教師、親たちのデモが盛んになっている。その余波を受けたのが「精霊たちの家」などの作品で知られるチリの作家イサベル・アジェンデ(Isabel Allende)さんだった。この8月、アジェンデさんはサンチアゴで2010年度の国民文学賞を教育省から受賞するため自宅のあるSausalito(米、カリフォルニア州)からサンチアゴ入りする予定だった。ところが、一連のデモのために授賞式は延期に・・・。そこで、アジェンデさんは旅の目的を新刊小説のPRに急遽切り替えた。(2011/08/17)


中南米
チリで再び大規模な学生デモ 273人が拘束される
  チリで学生のデモが起きたのは今月だけではない。昨年から教育民営化を改め、教育の機会均等を求めるデモがたびたび起きている。インターナショナルヘラルドトリビューンによれば先週火曜日の学生デモは数万人規模であり、首都サンチアゴだけでなく地方都市でも行われた。政府の発表では逮捕者は少なくとも273人に及び、警官23人が負傷した。こうしたデモが最近頻発している。(2011/08/15)


コラム
語学に再挑戦 4 〜スペイン語とポルトガル語の間〜  村上良太
  書店で講談社現代新書「はじめてのポルトガル語」(浜岡究著)を何気なく手にしてみたところ、目が離せなくなってしまった。「うーん」とうなってしまった。似ている。スペイン語に、である。もともとローマ帝国で使われていたラテン語から派生したのだから、似ているのは当然としても、イタリア語やフランス語とは似方がぜんぜん違っている。もうほとんど同じ、と言うと暴言になろうが、動詞活用のパターンも単語もかなり近い、というのがその時率直に感じたことである。(2011/08/14)


みる・よむ・きく
語学に再挑戦 3    村上良太
  去年の8月半ば、「語学に再挑戦2」と題する文章でスペイン語の勉強を始めた経緯を書きました。2年間でスペイン語の新聞が読めるようになろうというのがわが目標。勉強を始めたのが一昨年ですから、丁度2年がたちました。さて、その成果は?(2011/08/07)


市民活動
「ナノ祭り」 〜震災の影響で中断、4か月後の明日実現〜これからの町の生き方を問う
  明日、「ナノ祭り」というお祭りが埼玉県三郷市で行われます。お祭りと言っても盆踊りではなく、ステージでいろんな人が踊りを披露する祭りですが、主宰しているのが高次脳機能障害の患者家族を支援してきた「ナノ」というNPOで、代表の谷口眞知子さんにも高次脳機能障害になった長男がいます。ジャズダンスの教室を開いていた谷口さんは、高次脳機能障害の人々も、普段教えている主婦やOLたちと一緒に踊ったら楽しいんじゃないか、と思うようになりました。(2011/08/06)


文化
「おっぱいと東京タワー」が受賞を機に再編集版で放送
  乳がんと診断された自分にカメラを向け、闘病を通して家族や周囲の人々とのつながりを見つめ直した信友直子さんのTVドキュメンタリー「おっぱいと東京タワー」。放送は反響を呼び、国内ばかりか、海外の映像フェスティバルでも賞を得ましました。それを機に次の日曜日に再編集版で放送されることになったのです。(2011/08/02)


文化
文学と卒業   村上良太
  作家の開高健は海外旅行にしばしばスウィフトの「ガリヴァー旅行記」を携行していた。訳は中野好夫のものだった。「ガリヴァー旅行記」と言えば、少年少女文学全集で卒業してしまって以後、ホンモノを手にすることがない大人が多いと残念がっていた。(2011/08/01)


中南米
メキシコのExcelsior 紙〜 「不思議な世界」〜
  メキシコの新聞エクセルシオール(Excelsior)紙には「不思議な世界」(Un mundo raro)というページがある。黒猫が虫眼鏡を携えているのがトレードマークだ。最近の記事に、母親から育児放棄されたダチョウの子供の話がある。(2011/07/31)


遺伝子組み換え/ゲノム編集
欧州の大腸菌事件と遺伝子組み換え技術の関連性〜英科学者はこう見る〜
 5月以来、欧州で30人以上の死者を出した腸管出血性大腸菌O(オー)104が大きな話題になった。ドイツに端を発し、感染は13か国に及んだ。感染源はスペインから輸入したキュウリ(感染源ではなかったとされる)とか、ドイツ産のモヤシだとか様々な推測を呼んだ。具体的にどの食物から感染したかはともかく、この大腸菌が生まれた原因に遺伝子組み換え技術が関係している、と推測する科学者がいる。英国のメイワン・ホー(Mae-Won Ho)博士である。彼女は6月27日付で「遺伝子組み換え技術が大腸菌感染を生んだ可能性について」と題するブログを発表している。(2011/07/24)


みる・よむ・きく
伊藤千尋著「反米大陸」 その2 チアパスの蜂起
  伊藤千尋氏は「反米大陸」の中で、1994年1月にメキシコで起きた先住民の武装蜂起について語っている。いわゆる「チアパスの蜂起」のことだ。チアパスはメキシコの南部でグアテマラとの国境に位置する。蜂起したのはスペインの植民地時代から虐げられてきたマヤ民族の末裔たちだった。その発端はアメリカが音頭を取って実現しようとした自由貿易地域構想にあった。(2011/07/22)


みる・よむ・きく
伊藤千尋著「反米大陸」から もうひとつの9・11 チリ・クーデター
  中南米で9・11と聞くと1973年9月11日のことだと考える人も多いという。この日、チリの大統領官邸がピノチェット将軍の率いるクーデター軍に攻撃され、以後、1990年まで軍事独裁時代が続くことになったからだ。伊藤千尋著「反米大陸」(集英社新書)によれば、左派人民連合のアジェンデ大統領は官邸からラジオ放送で「アジェンデは降伏しない。チリは降伏しない」と宣言し、大統領警護隊とともに機関銃を手に戦った。(2011/07/22)


コラム
英字新聞を読む   村上良太
  ニューヨークタイムズなどの記事を紹介するとき、僕は日刊ベリタの読者を自分より英語ができる人と想定しながら書いてきた。もともとこの新聞の創刊に携わった方の中には新聞社の外信部にいた人もいる。僕よりはるかに語学力があるはずだ。そうした人々が少なくとも読者の一定人数を占めているのである。ただ、一方で英語が苦手とか、英語が嫌い、という人も読者の中にいるかもしれない。そういう人にもぜひ英字新聞を一度手に取って読んで欲しい、と思っている。ちょっとしたコツをつかめば英字新聞は誰にでも読めるからだ。(2011/07/20)


中南米
アジェンデ大統領の遺体を掘り起こす 
  スペインの新聞エル・パイス(El Pais)紙によれば1973年9月11日にチリで起きたピノチェット将軍のクーデターで、モネダ宮で処刑されたとも考えられていたサルバドール・アジェンデ大統領だが実は自殺していたことが新たに行われた遺体の調査でわかった。(2011/07/20)


検証・メディア
ニューヨークタイムズの論説欄  〜魑魅魍魎の魅力〜 村上良太
  日刊ベリタに最初に寄稿したのは丁度2年前の夏である。最初に書いたのはニューヨークタイムズ(以下NYT)のコラムニスト、ロジャー・コーエンについてだった。その後もNYTの論客について断続的に拙い紹介の文章を書き続けている。そもそも僕がNYT(インターナショナルヘラルドトリビューンはその国際版である)の論説欄を熱心に読むようになったきっかけは9・11同時多発テロだった。というのは、当時読んだコラムの中にサダム・フセインとアルカイダの関係を匂わせる文章が何度か出てきたからである。それは2001年の9月から年末にかけてのことだ。(2011/07/18)


文化
フランスからの手紙 22〜ますますバカバカしくなる世界〜La fin d’un monde de plus en plus absurde  パスカル・バレジカ
  ベルギーはすでに1年以上連邦政府を有していない。(正確には2010年6月13日からだ) それでもベルギーは正常に機能しているようである。さらに、地上に新たな独裁的な経済システムを押し付けている格付け会社の意見に反して、ベルギーは2010年に財政赤字を予想以上に早く削減することに成功した。そればかりか、2011年の前半の経済成長も予想を上回った。これは中央政府が役にたっていない証拠なのだろうか?(2011/07/16)


社会
企業スポンサーと研究結果の修正
  福島原発事故以来、原発推進派の「御用学者」が問題視されている。しかし、これは核物理学や原子力工学だけのことだろうか。2004年に日本で国立大学が法人化された。公的資金の削減の中で、研究者たちは互いに競争を強いられ、企業スポンサーの研究資金に依存を深めていると聞く。研究費を企業に依存する構造は欧米でも加速している。欧米の研究者に行ったある調査によれば研究者の約30%がスポンサーの意向に沿って研究結果を修正するように頼まれたという。(2011/07/12)


米国
米「依存症」研究の最前線 4 ケスラー医師が勧める肥満症から抜け出す方策
 では過食になってしまったらどうやって回復したらいいのだろうか?元FDA長官で小児科医のケスラー氏はアメリカのある減量薬を使った治療がもたらした経験について触れている。その減量薬はフェンフェンという名前だった。フェンフェンは心臓への副作用などから1997年に使用禁止になってしまったが、効果は抜群だったという。フェンフェンを服用した患者は「食べ物と正常な関係に戻れた」と口々に語ったというのだ。(2011/07/11)


米国
米「依存症」研究の最前線 その3 食品業界の手法
  米国食品医薬品局(FDA)元長官で小児科医のデイヴィッド・A・ケスラー(David A. Kessler)氏は2009年に「過食にさようなら〜止まらない食欲をコントロールする〜」という本を出版した。アメリカではどんどん異常な現象が加速している。その背景には食品業界の戦略があるという。(2011/07/08)


米国
米「依存症」研究の最前線 その2 肥満とドーパミン
  2001年2月、米エネルギー省ブルックヘイブン国立研究所で研究していたノーラ・ボルコウ(Nora Volkow)博士は同僚のジーン=ジャック・ワン博士と共同で研究結果を発表した。肥満の人々は普通の人々に比べて脳のドーパミン受容体が少ない、という事実だった。(2011/07/07)


農と食
「フランス女性は太らない」の著者が推薦するチョコ
  フランス出身のマダム、ミレイユ・ジュリアーノ(Mireille Guiliano)さんが書いた「フランス女性は太らない」(French Women Don’t Get Fat)は肥満が進むアメリカでミリオンセラーとなった。ジュリアーノさんはアメリカのテレビや雑誌などでひっぱりだことなり、カリスママダムとして食以外にもライフスタイル全般の指南をしている。そんなジュリアーノさんはチョコレートに目がない。チョコレートを食べても肥満にならないために彼女はこう指南している。(2011/07/03)


農と食
「飢餓人口が増加に転じた時代に生きている」
  世界銀行によると、昨年以来の食料品価格と燃料価格の高騰でECAと呼ばれる欧州から中央アジアにまたがる地域で貧困層が拡大している。この傾向により、この地域で新たにおよそ530万人が貧困に陥る見通しだ。特に、所得の低いアルメニア、グルジア、キルギス、モルドバ、タジキスタンの5か国にその影響が著しい。(2011/07/01)


環境
太陽光飛行機が国際飛行に初成功
  太陽光エネルギーを使った一人乗り飛行機が5月13日(金)、世界初の国際間フライトに成功した。飛行機はスイスの空港を飛び立ち、およそ600キロ離れたブリュッセルの空港に無事着陸した。フライト時間は12時間59分だった。(2011/06/28)


米国
米「依存症」研究の最前線 
アメリカでは近年、通常の麻薬依存よりも、精神科の治療で使われた薬物に対する依存や痛み止めで処方された薬への依存がクローズアップされている。米紙によれば治療で使われたドラッグの中毒で病院に運ばれた人が過去10年で5倍に、使用過多による死亡は4倍に上昇している。そのため、ある科学者を中心とする依存症の研究に10億ドルを超える緊急の国家予算がついた。(2011/06/25)


米国
肥満の研究  麻薬依存との関連
  アメリカで肥満を起こす脳の解明が進んでいる。最近、アメリカの研究者たちはドラッグ依存と肥満には共通する原因があるとネズミの実験から推測した。こうした脳の研究から肥満治療を一新する研究が始まっている。(2011/06/24)


核・原子力
「レベル6」の謎  その2
  インターナショナルヘラルドトリビューンでレベル6と表示されたキシュチュム核事故についてだが、朝日新聞ではレベル6の欄にこの事例が紹介されていなかったことはすでに書いた。もし本当にレベル6なら、福島第一原発のレベル7を含めても世界でワースト3位の大事故である。このような事故が紹介されなかったのはなぜか?もしかすると、IAEAが公式に認めていないケースかもしれない。そうしたことからIAEAの東京事務所に問い合わせてみた。(2011/06/24)


核・原子力
レベル6〜「ウラルの核惨事」〜はなぜ触れられないのか?
  福島第一原発事故の深刻度を表す1つの評価としてINES(原子力事故の国際評価尺度)がある。今回、福島第一原発の評価がレベル7に引き上げられチェルノブイリと並んだことでショックを受けた人が多いだろう。たが、この評価尺度の説明で不可解なことがあった。ソ連で起きたレベル6の「キシュチュム核事故」のことが触れられていないことである。(2011/06/23)


反戦・平和
反戦グラフィックの無料サイト
  イラク戦争では様々な反戦運動が行われたが、グラフィックデザインの分野でも無料で使用できる反戦グラフィックのインターネットサイトが生まれた。これは「Anti-War.US」というサイトである。世界中のクリエイターたちが作品を提供している。著作権フリーで、誰でも無料で使用できる。(2011/06/21)


みる・よむ・きく
「核時代を生きる」その2   原発が攻撃されたら
  高木仁三郎氏の「核時代を生きる〜生活思想としての反核〜」(講談社現代新書 1983年出版)の中に、原発が攻撃された場合の想定が描かれている。もっとも恐ろしいのは再処理工場の高レベル廃液タンクが攻撃を受けた場合である。風向き次第で核戦争と同じ惨状がもたらされることになる、と高木氏は指摘している。(2011/06/16)


米国
市民組織が米国務省を訴える 「ウィキリークスで漏れた外交公電を公開せよ」
  アメリカの市民組織The American Civil Liberties Union(ACLU)が「ウィキリークスで漏れた外交公電を一般公開せよ」と国務省を訴えた。ACLUが開示を求めている23の公電の中にはターゲットの攻撃に兵器「drone」を秘密に使用しているという公電や、米軍が収監者を拷問している写真の公開を拒否するといった公電が含まれている。(2011/06/15)


文化
悪魔の舌 
  ルモンドなどに寄稿しているパリの風刺画家サルドン(Vincent Sardon)はハンコ屋サルドン(tampographe Sardon)と称して、ハンコも制作販売している。サルドンのハンコのモチーフには悪魔や骸骨、裸体、独裁者など猥雑か不気味なものが多い。最近新しく構えたアトリエもペールラシェーズ墓地の裏にある。(2011/06/13)


核・原子力
高木仁三郎著「核時代を生きる〜生活思想としての反核〜」
  高木仁三郎著「核時代を生きる〜生活思想としての反核〜」は1983年に講談社現代新書から出版されたが、その頃アクチュアルな問題が「低レベル廃棄物」の海洋投棄問題だった。原発によって生み出される放射性廃棄物を海に捨てよう、という発想は古くから日本政府にあったことがわかる。(2011/06/13)


環境
「オーストラリア動物園」〜動物との養子縁組で保護活動〜
  オーストラリア東部クイーンズランド州にある「オーストラリア動物園」ではワニなどの養父母になってくれる人を求めている。養子縁組を待つ動物にはワニ、ラクダ、キリン、コアラ、トカゲ、サイ、パンダ、象、オウムなど様々だ。縁組の費用には50豪ドル(現在、1豪ドル=約84円)から1500豪ドルまである。こうして町の人に少しずつカンパしてもらうことで動物に親しんでもらうと同時に、動物園の維持と動物保護活動の資金源にしている。この動物園は民間の経営であり、国から資金提供を受けていない。(2011/06/13)


みる・よむ・きく
欧州のクラシックジャズバンド  
  ディキシーランドジャズを演奏しながら欧州をいくバンド、「ディキシーランド・クラッカージャックス」(Dixieland Crackerjacks)。オランダのバンドだが、ドイツ、フランス、英国、ベルギー、ポルトガルなど欧州各地で演奏してきた。不況の欧州に明るいニューオーリンズジャズを届けている。(2011/06/12)


農と食
食糧の備蓄と取引の透明性
  不動産取引が下火になって以後、今度は食糧が投機の対象となっている。国際的に反貧困活動を繰り広げてきたOxfamは11月にフランスで開催されるG20に向けてアクションを起こそうとしている。というのもG20のテーマの1つが食糧問題だからだ。注目されるのは食糧の備蓄と取引の透明性を求める制度を創設せよ、という提言である。(2011/06/11)


農と食
世界不況を起こした企業群が今度はアフリカで・・・投資のリターンは25%〜米シンクタンクが告発〜
  BBCなどによると、ヘッジファンドや外国企業がアフリカで農地を買収している。まともな売買契約の書類すら交わされていないケースも多いようだ。ヘッジファンドは買収した土地で、換金作物を作る。バイオ燃料や花などだ。一方、農地を追われる人々は多数に上っている。投資家にはハーバード大学などの名門も含まれており、投資に対するリターンの期待は25%に及ぶ。(2011/06/10)


コラム
記憶と映画      村上良太
  何日か、何週間か、あるいは何か月か前の話で、「言った」とか、「言わなかった」といった食い違いが生じることは誰にもあるだろう。そうした時のために、小型の録音機をスーツに仕込んでおけ、とか、きちんと書面でかわしておけ、とアドバイスする人もいる。互いに相手が故意に嘘をついている、と思い、怒りと不信感は増すばかりだ。しかし、ビジネスならいざしらず、日常生活でそんなことをしていたら、きりがない。いったいなぜそんなことになってしまうのか?(2011/06/09)


東日本大震災
津波が福島の原発を襲った瞬間
  福島の原発を津波が襲った瞬間の写真6枚がBBCで公開されている。(2011/06/09)


社会
「学費を下げてほしい」韓国で学生たちがデモ〜逮捕者は73人に上る〜
  5月29日、ソウルで学生たち数千人が「学費を下げろ」とデモを行った。International Student Movementによると、韓国では過去10年間で大学の学費が倍以上に増えている。2007年の大統領選挙で大統領候補だった李明博(現大統領)氏が「学費を半額にする」と約束したものの、実現されていない。そうしたことから、学生が学費の高騰に抗議のデモを行った。(2011/06/09)


文化
第18回東京国際ブックフェア テーマ国はスペイン
  7月7日(木)から10日(日)までの4日間、東京ビッグサイトで「第18回東京国際ブックフェア2011」が開かれる。今年のテーマ国は「スペイン」。スペイン文化省、スペイン書籍連盟が主催するパビリオンには幅広い分野のフィクション、ノンフィクションの本が出展される予定だ。(2011/06/08)


農と食
「主要作物は20年で価格が2倍になるだろう」
  世界で反貧困の活動を続けている国際組織オックスファム(Oxfam International)は以下のようなレポートを発表した。「トウモロコシのような主要作物の価格が今後20年間で2倍に上昇するだろう。」(2011/06/07)


市民活動
埼玉県三郷市の小さなカフェ
 埼玉県三郷市に小さなカフェがこの春オープンした。カフェの名前は「MILC」。立ち上げたのは高次脳機能障害・患者家族の会「ナノ」の谷口眞知子さんたち。高次脳機能障害は高齢化社会の進行で、大きな広がりを見せている。障害と取り組むためには地域の協力が欠かせない。このカフェは地域の情報の拠点としてだけでなく、安心して過ごせる場所にもしたいという。(2011/06/05)


農と食
フランスで深刻な旱魃 例年の45%
  フランスは旱魃に襲われており、農民は大きな打撃を受けているようだ。1970年代以来のスケールだという。1971年から2000年までの平均水量に比べて今年は45%しか降水量がないという。(2011/06/05)


中南米
セラヤ元大統領、ホンジュラスに帰国へ
  2年前の6月にホンジュラスで起きたクーデターで国を追われたマヌエル・セラヤ元大統領がホンジュラスに帰国することになりそうだ。(2011/06/04)


コラム
悪魔の企画会議    村上良太
  トルストイの短編小説にはしばしば悪魔が登場する。たとえば「イワンの馬鹿」は悪魔が善良な農夫の心を堕落させようと試みる話である。悪魔がなぜ人間を堕落させようとするか、といえば悪魔界にも出世の階段があり、多くの人を堕落させたらそれだけ出世できるシステムになっているからだ。悪魔にも上司や部下があり、定期的に企画会議も開かれている。(2011/06/04)


文化
ノーベル文学賞のマリオ・バルガス・リョサが来日講演
  昨年、ノーベル文学賞を受賞したペルーの小説家マリオ・バルガス・リョサが今月来日する予定だ。6月21日午後6時から東京のセルバンテス文化センターで講演を行う。講演は無料だが予約が必要だ。(2011/06/03)


みる・よむ・きく
「力の論理を超えて ル・モンド・ディプロマティーク 1998−2002」
  過去10年で、印象深かった本を1冊あげるとすると、「力の論理を超えて ル・モンド・ディプロマティーク1998−2002」(NTT出版)である。出版されたのは2003年8月だ。この年の春、イラク戦争がはじまり、サダム・フセインの像が引き倒されて一応の終結は見たものの、むしろ米軍が泥沼に陥っていく頃である。僕はこの本を初めて読んだとき、新しい時代が幕をあけた気がした。(村上良太)(2011/06/01)


東日本大震災
津波の被災地を訪ねて   
  津波に襲われた岩手県の沿岸部を連休に訪ねた。瓦礫の撤去作業や沈んだ船の引き上げ作業が行われていた。印象深かったのは津波で陸に打ち上げられて死んだ魚たちである。黒くなっており、その多くが身体をほぼ直角によじ曲げている。上半身と下半身が直角になっている。(村上良太)(2011/05/26)


生活
イースターパレード 〜四旬節と復活祭〜
  今日、ニューヨークの五番街(49丁目から57丁目まで)ではイースターパレードが行われる。イースター(復活祭)はキリストの苦難をしのび節食を行う四旬節の明けで、イエスの復活を祝うようだ。(2011/04/24)


アジア
長谷川まり子氏が講演を開催〜インドから児童買春防止に取り組む団体を招聘〜
  「がん患者のセックス」「少女売買」などの著者でジャーナリストの長谷川まり子さんが講演会を行う。長谷川さんは南アジアの児童買春防止活動を行うNPO団体ラリグリス・ジャパンを運営している。今回の講演ではインドから地元で児童買春防止に取り組んでいるレスキュー・ファンデーションを日本に呼ぶ。5月14日(土)横浜講演 11:00〜。5月15日(日)東京講演 13:30〜 講演会は無料。(2011/04/24)


みる・よむ・きく
マルク・デシモ著  「アール・ブリュットの庭」(Les jardins de l'art brut)    村上良太
  マルク・デシモ(Marc Decimo)氏はフランスの美術評論家である。フランスの前衛作家アルフレッド・ジャリの思想を信奉するコレージュ・ドパタフィジックに属し、風変わりな芸術や通念と異なる視点を尊ぶ。それがよく現れた1冊が美術書「アール・ブリュットの庭」である。デシモ氏はおきまりの美術館を後にし、欧州から北米まで庭や街路を歩きながら「fous(フー、狂人)の芸術」を探し求める。(2011/04/21)


文化
ロシアの猫芸 「ククラチョフの猫劇場」
  モスクワにはククラチョフの猫劇場なるものがある。「猫の家」「人間と猫」などのレパートリーがあり、世界でも珍しい猫芸が堪能できる。(2011/04/16)


東日本大震災
東京パブリック法律事務所「外国人部門」が外国人被災者を支援 無料法律相談も実施
  昨秋設立された東京パブリック法律事務所「外国人部門」が外国人被災者の支援に乗り出している。無料法律相談もある。(ニュースレターから) (2011/04/14)


文化
劇作家ニール・ラビュート(Neil Labute) 〜アメリカ再生への一歩〜村上良太
  数年前、ニューヨークの演劇専門書店に入ったとき、「80年代とそうかわり映えしないな」と感じた。米演劇人が聞いたら怒るかもしれないが、90年代以後に大物が出ていない印象を受けた。それでも店内で演劇人と思しき人に尋ねてみた。僕「90年代以後のアメリカの劇作家で誰がお薦めですか?」演劇人(らしい人)「ニール・ラビュートとトニー・クシュナーかな」(2011/04/10)


東日本大震災
地震から30日目  〜核の技術者たち〜 
  地震から30日目。この間、様々な報道があったが、一番打たれたのは「週刊現代」の1つの記事だった。4月16日号に、「福島第一原発は欠陥品です」という見出しで、設計者のデール・ブライデンボー氏が告白している記事である。インタビューを行ったのは大野和基氏だ。(2011/04/09)


みる・よむ・きく
ジョレス・メドヴェジェフ著 「チェルノブイリの遺産」 (みすず書房) 
  チェルノブイリ原発事故が起きたのは1986年4月26日。周辺農民たちにとっては春の作業の季節だった。今、福島第一原発事故を知った上でチェルノブイリの記録をひもとくと、数字の一致に意外な驚きを感じた。30キロ圏と、80キロ圏という避難エリアの数字である。メドヴェジェフ著「チェルノブイリの遺産」は1990年に出版された古い本だが、今読むと身近な話に思えてくる。当時はチェルノブイリ原発事故は遠い他人事に思えていたのだったが。チェルノブイリ原発事故では炉心溶融の後、爆発し、放射性降下物がウクライナ、白ロシア、ロシアなどを汚染した。(2011/04/07)


生活
駐輪場が欲しい!      村上良太
  今回の原発事故、計画停電、燃料不足で、自転車が見直されている。しかし、自転車が走る道や駐輪場はほとんど整備されていない。特に都心のオフィス街ではそうだ。(2011/04/06)


国際
ウイリアム・ヤング氏の死〜ラオスに秘密の軍隊を築いた男〜その2
  ウイリアム・ヤング氏がタイで亡くなったという記事がニューヨークタイムズで出たことを前回お伝えした。ベトナム戦争を報道した石垣巳佐夫カメラマンに当時のラオスについてお聞きした。ヤング氏が育てた少数民族の部隊には戦後、苦難が待ち受けていた。(2011/04/05)


核・原子力
深刻度 「レベル6」〜旧ソ連のキシュチュム核事故とは?〜
  日刊ベリタ(3月16日付)でフランスの原子力安全委員会が福島第一原発事故の重大性を国際基準INESで「レベル6」と判定したことを紹介した。「レベル6」は、スリーマイル島原発事故の「レベル5」よりも重く、チェルノブイリ原発事故の「レベル7」よりも軽いところに位置する。過去に「レベル6」と判定されたのは旧ソ連のキシュチュム(KYSHTYM)核事故だ。福島第一原発と同程度の深刻さを持つとフランスの原子力安全委員会が判定した、このキシュチュム核事故とは何なのか?(2011/04/04)


文化
パリの散歩道15  地震、津波、原発・・・   村上良太
  日刊ベリタでこれまでパリで取材させていただいた方々から、今度の震災や原発事故に関するメールをいただきました。(2011/04/02)


検証・メディア
フランスの風刺新聞が3年で部数を32%伸ばす〜カナール・アンシェネ紙が大健闘〜
  パリの新聞スタンドに行くとルモンドやフィガロなどに混じって、カナール・アンシェネ(Le Canard Enchaine )という週間新聞(水曜発行)が売られている。写真がなく、その代わりに風刺漫画がたくさん載っている。その漫画も水準が高い。特にカビュ(Cabu)という漫画家は抜群である。他にも優れた漫画家がたくさん活躍している。(2011/03/27)


文化
「おっぱいと東京タワー」がニューヨークフェスティバルで銀賞に輝く
  日刊ベリタで紹介した信友直子ディレクターの「おっぱいと東京タワー〜私の乳がん日記〜」がニューヨークフェスティバルで銀賞を受賞した。(2011/03/27)


検証・メディア
メディアの力学 「核廃棄物最終処分場の行方」〜ゴアレーベン(ドイツ)〜   村上良太
  何年か前、原発による放射性廃棄物の行方を探る番組企画をある放送局の関連会社に提出したことがあった。ドイツのゴアレーベンという場所に強固な岩盤があり、そこに核廃棄物を貯蔵すれば数万年は安全だ、と言われており、最終処分場の有力候補になっていたのだ。しかし、岩盤に亀裂があることが調査で発覚し、地元で反対運動が盛り上がった。その話を地元の農民目線で取材しようとしたのだ。ところが放送局の関連会社は「メルケル政権が原子力の積極利用に転換したという話に変えるなら、企画は進む可能性がある」と言った。それは企画の意図ではなかったため、こちら側で没にした。(2011/03/26)


ゴキブリと大統領
ニューヨークタイムズに核戦争の恐怖を訴える一面広告が打たれたことがあった。広告にはゴキブリが1匹だけ小さく描かれており、核戦争後に生き残るのは人類ではなく、ゴキブリだとキャプションがつけられていた。ゴキブリには放射能に対する耐久性があるのだそうだ。(日刊ベリタ編集部)(2011/03/24)


文化
安部公房 「方舟さくら丸」       村上良太
  安部公房(1924-1993)が亡くなって20年近くたつ。没後間もない1995年、オウム真理教信者によるサリン事件が起きた時、安部の小説「飛ぶ男」が話題になった。そして福島原発事故で揺れる今、小説「方舟さくら丸」が思い出される。「方舟さくら丸」は地下採石場跡の巨大な洞窟に、核シェルターを作り上げ、その「乗組員」を探す「ぼく」の話である。そのシェルターの構造は次のようになっている。(2011/03/22)


東日本大震災
3号炉は再処理プルトニウムのMOX燃料を使用  高濃度の放射能が流出する恐れも
  今回放出が決まった福島第一原発3号機では、使用済み核燃料を再処理して作ったプルトニウムがウラニウムに混ぜられてMOX燃料として使われていた。プルトニウムはウランの約1万倍も中性子を放射、プルトニウムによって起こされる発がん性はウラニウムよりもはるかに高いとされている。すでに3月15日以前に、プルトニウム漏出の決定的な証拠と考えなければならない中性子が検出されていた。今回の措置で濃度の高い放射能が流出する可能性はきわめて高い。(2011/03/20)


東日本大震災
原子力安全・保安院、3号炉の格納容器開放を発表  放射性物質を直接外気へ放出
  原子力安全・保安院は20日13時過ぎ、3号炉の格納容器の圧力が上昇しており、安全確保ために格納容器の弁を開放し、直接大気中に放出する、と発表した。開放時間については明示はなかった。風は、現在北西へ吹く南東の風が、夜には南東向へ吹く北西の風になる。雨雲が近付いている。 極力、雨には当たらないようにとの注意が出ている。(2011/03/20)


東日本大震災
地震から1週間がたち・・・   村上良太
  地震から1週間がたった。地震から3〜4日までは緊急時の心理だったが、さすがに週明けの月曜から、平時のモードに切り替えなくてはならなくなった。しかし、それでも、福島第一原発の危機は続いている。気になるのは福島第一原発の「燃料」が何であったのか?ということである。(2011/03/19)


東日本大震災
米政府、アメリカ市民に福島原発から半径80キロ圏外への避難を勧告
  福島第一原発の暴走を受け、アメリカ政府は原発から半径80キロ以内に住むアメリカ市民に対し、その圏外に避難するよう勧告した。TBS、朝日新聞などが報じた。(2011/03/17)


東日本大震災
シュピーゲル記事  〜福島第一原発とプルトニウム〜
 リンク記事で紹介されているドイツの雑誌シュピーゲルの記事がこれである。福島第一原発3号機で使用済み核燃料を再処理して作ったプルトニウムがウラニウムに混ぜられてMOX燃料として使われていた、という記事のようである。プルトニウムが混じることで、危険性ははるかに高まるようだ。(日刊ベリタ編集部)(2011/03/17)


東日本大震災
「ヨウ素を含む消毒剤など飲んではいけません」〜国立成育医療研究センターの医師が注意を喚起〜
  「ヨウ素を含む消毒剤など飲んではいけません」と、国立成育医療研究センターの原田正平室長が注意を喚起している。福島で起きている原発事故でインターネット界では根拠のないデタラメな情報が出回っているからだそうだ。(日刊ベリタ編集部)(2011/03/16)


東日本大震災
地震 〜欧米メディアの報道から 2 〜
  3月15日付けのルモンドは福島原発事故の重大性をフランスの原子力安全委員会がレベル0から始まる8段階のうちのレベル6と判定していることを伝えた。一方、カウンターパートに当たる日本の機関の判定は土曜の判定以後、レベル4に留まっている、と伝えている。(2011/03/16)


東日本大震災
地震から5日目       村上良太
  地震から5日目を迎えた。テレビで解説する原子工学専門家の楽観的な言葉とは裏腹に、福島第一原発の状況は悪化していく。「これぐらいの放射線量では人体に影響はない」という言葉がテレビ画面で頻繁に飛び交う。(2011/03/15)


東日本大震災
NYTがグラフィックを使って福島の原発事故を解説
  3月14日付けのニューヨークタイムズは福島第一原発で起きている炉心溶融(メルトダウン)のメカニズムをコンピューターグラフィックスで解説している。福島第一原発の立体イメージ図も出ている。(2011/03/15)


東日本大震災
米科学者は「チェルノブイリほどではないが、スリーマイルより悪い」〜2号機で爆発、格納容器破損〜株は大暴落〜
 テレビ報道から。15日(火)、福島第一原発の2号機で爆発が起きた。この爆発で格納容器の一部設備が破損した。日経平均株価も大暴落している。(2011/03/15)


文化
浦安で開催予定だった第一回ドキュメンタリー映画祭が地震で中止へ〜
  浦安でドキュメンタリー映画祭が初めて開催される予定だった「第一回うらやすドキュメンタリー映画祭2011」が地震の影響でで中止となった。開催期間は3月20日(日)、21日(月・祝)の2日間で、テーマは持続可能な社会だった。原発を見つめる「祝(ほうり)の島」など、力作がそろっていた。監督らによるパネル討論も予定していた(日刊ベリタ編集部)(2011/03/15)


東日本大震災
2号機でも冷却機能が低下・・・ その後、炉心溶融
  テレビ報道から。福島第一原発では14日午後1時半頃、2号機でも冷却装置が低下していることがわかった。翌15日には炉心溶融が起きていることが報じられている。(2011/03/14)


東日本大震災
福島第一原発で再び水素爆発 炉心溶融の可能性も
  テレビ報道から。福島第一原発の3号機で14日午前11時頃、爆発が起き、白煙が発生した。原子力安全・保安院の会見では爆発は水素爆発で、1号機の建屋で起きた爆発と同じ爆発だと推測しており、原子炉の格納容器は無事だと思われると発表した。作業員が怪我をしたため、救急車を呼んだという。(2011/03/14)


東日本大震災
14日の計画停電に伴う鉄道の運休情報
  首都圏の鉄道各社は東京電力の計画停電に応じて運行を大幅に減らしている。それぞれホームページ上で発表している。 (2011/03/14)


東日本大震災
千葉のコスモ石油「LPGタンク」の火災  〜スタンドでは給油制限も〜
  コスモ石油によると、地震の後、火災を起こしている千葉製油所のLPGタンク(千葉県市原市)は13日午後3時30分の時点で縮小しているが未だ鎮火できていない。コスモ石油ではサービスステーションの一部が休業になっている。(2011/03/13)


東日本大震災
地震体験 三日目       村上良太
  地震から3日目の日曜の午後、東京近郊の駅前にあるコンビニではおにぎりや弁当の棚がガラガラになっていた。現在、物流が滞っているため商品が並べられないという説明が書かれている。(2011/03/13)


東日本大震災
震災につけこむ偽メール、偽ウェブサイトに注意を!
情報セキュリティ会社が地震につけこんだ偽メールや偽ウェブサイトへの注意を喚起している。〜「コスモ石油工場爆発」に関する悪質なチェーンメールが発生しておりますので注意喚起のおしらせをさせていただきます。〜(2011/03/13)


東日本大震災
福島第一原発 3号機でも冷却装置が止まる
  福島第一原発では3号機の冷却装置も稼動しなくなった。このため、13日午前8時41分頃、3号機の格納容器内の圧力を下げるため、放射性物質を微量に含む蒸気の放出を行った。この作業は昨日、1号機で行った作業だ。これから3号機の炉心も冷却する必要がある。(2011/03/13)


東日本大震災
福島第一原発の冷却作業は?〜海水の注入は成功しているのか?〜
  13日午前5時半、地震以後の原発の状況について原子力安全・保安院の会見が行われた。建屋で爆発が起きた福島第一原発・1号機では炉心を冷やすため昨夜から、原子炉の圧力容器内に海水の注入を行っている。しかし、いくら海水を注入しても容器内の水位が上がっていない疑いがもたれていた。ということは、海水を注入しても何らかの形で水が流出して、炉心の冷却機能を果たせない可能性があることを意味する。(日刊ベリタ編集部)(2011/03/13)


地震 〜欧米メディアの報道から〜
  英国のインディペンデント紙は福島第一原発内の爆発を報じたが、枝野官房長官の「内側の格納容器は無事だった」という会見も伝えている。ルモンドも刻々と報じている。こちらは一夜明けた被災地の写真11枚が掲載されている。フランクフルターアルゲマイネ紙は12枚の写真入りで「宮城だけで1万人が行方不明」と報じた。(日刊ベリタ編集部)(2011/03/13)


東日本大震災
爆発音が・・・   〜地震と福島第一原発〜
  テレビ報道から。東京電力によると午後3時36分、直下型の揺れの後、福島第一原発内で爆発音がした。東京電力の会見によると「1号機のタービン建屋付近で白煙が発生した」社員2名と協力会社社員2名が病院に運ばれた。(2011/03/12)


東日本大震災
昨日の地震体験     村上良太
  昨日午後2時50分頃、大きな揺れを感じた。大きく横にゆさゆさ揺さぶられる感じだ。僕はそのとき、東京近郊の駅前にいた。不安になった人々が立ち止まっている。小さなビルからも人びとがぞろぞろ出て様子をうかがい始めた。長く揺れが続く。3階建てビルの屋上に取り付けてある看板が大きく揺れている。電線が揺れている。落ちてくるものはないか、頭上の安全を確認する。間違いなく過去に経験した最大の地震だ。ついに来たか、と、次に来るものの覚悟をした。(2011/03/12)


コラム
ダッハウ強制収用所の1枚の絵     村上良太
  今から15年近く前になるが、ドイツのミュンヘン近郊にあるダッハウ強制収用所跡の施設を訪ねたとき、展示室の中の1枚の絵に強い印象を受けた。その絵は谷底に潜む巨大な白い棺桶の中に、ハーケンクロイツ旗を掲げた蟻のようなナチの大軍が丘を上りつめたのち、怒涛のようになだれ落ちていく絵だった。絵は鳥瞰図で描かれていた。(2011/03/10)


コラム
読書の苦しみ    村上良太
  コラムニストのマイク・ロイコは学校で読まされる文学の類は名作と言われるものほどその退屈さにも磨きがかかっていた、と書いていた。コロンビアの文豪、ガルシア・マルケスは学生時代に「ドン・キホーテ」を読むのがいかに苦痛だったかを最近翻訳出版された回想録「生きて、語り伝える」(新潮社)の中で吐露している。(2011/03/09)


アジア
ポルポト政権崩壊直後の光景 〜カメラマン石垣巳佐夫氏のカンボジア体験〜
  日本電波ニュース社社長の石垣巳佐夫さん(69)は機材室で16ミリフィルムを整理していた。あたりにはインドシナの動乱を撮影したフィルムが山積みされている。石垣さんにとって生涯で忘れがたい光景は2つ。1970年の米軍に空爆されるラオスと、1979年のポル・ポト政権崩壊直後に見たカンボジアだ。(村上良太)(2011/03/05)


文化
佐渡島に復活する遍路旅  村上良太
  佐渡島で島の住職らが手を携え、88箇所の寺を回る佐渡遍路旅を復活させる努力を行っている。かつて空海や日蓮が訪れた佐渡島は古来信仰が熱く、約6万人の住民に対して寺が250、神社が250と過密な信仰地帯だ。しかし、昭和に比べ島民が半減し、檀家不足から多くの寺が補修すら満足にできない状態にある。そこで遍路旅の復活で島の信仰の再生を狙う。(2011/03/01)


文化
エドゥアール・グリッサンの死   
  2月3日、詩人・作家のエドゥアール・グリッサン(Edouard Glissant 1928-2011)がパリで亡くなった。享年82歳。グリッサンはカリブ海のマルティニク島で生まれ、パリで哲学と人類学を学んだ。マルティニク島はフランスの海外県にあたる。グリッサンの文学活動はグローバル化する世界の中で重要性を増している。彼が仲間と進めたクレオール文学とは?(村上良太)(2011/02/27)


教育
公教育の辺境から学べること   瀬川正仁
  一昨年、バジリコという出版社から『若者たち〜夜間定時制高校から視えるニッポン』を出した。その本を読んだ岩波書店の編集者から連絡をいただき、月刊『世界』で教育をテーマにした連載を1年にわたって書かせてもらうことになった。3月8日発売になる4月号から始まる。テーマはずばり「教育のチカラ」だ。(2011/02/26)


TPP/脱グローバリゼーション
信州・中川村のデモと新聞報道
  明日、村を挙げて反TPPのデモを行う予定の中川村。村のホームページには先月、東京の大手町で行われたTPP協定に反対する内橋克人氏の講演を伝える記事(農業協同組合新聞)がリンクされている。興味深いのは内橋氏がTPP協定は90年代半ばにOECD(経済協力開発機構)加盟国間で構想されたMAI(多国間投資協定)の焼き直しではないか、と指摘している点である。(2011/02/19)


コラム
駅からの電話    村上良太
  携帯電話を使うようになったのはいつのことだったか?今では思いだせないほど遠い昔に感じられる。しかし、僕は携帯電話を使い始めるまでに時間がかかった。同僚たちが一人また一人と使い始め、周囲の人々が皆携帯電話を持つようになり、いよいよそれなしには仕事に支障が出る、と思われてようやく買った。その携帯電話も去年まで15年以上使い続けた。「珍しいアンテナですね」と、皮肉混じりに言われていた。(2011/02/18)


文化
パリの散歩道14 〜幻灯師ベルゴンがアニメーションの原点に挑戦〜   村上良太
  パリで活躍中のアーチスト、バンサン・ベルゴン(Vincent Vergon) による6分11秒の短篇アニメーション、「ファントーシュの独楽(こま)」をご覧下さい。普段、僕らが見慣れた「アニメ」とは違った、アニメーションの原点があります。映像は以下のサイトで見られます。(2011/02/15)


文化
一枚の写真から 〜ルーマニアの実力派女優オフェリア・ポピ〜
  かつてルーマニアといえばコマネチだったが、今はこの人だ。ルーマニアの演劇祭「シビウ国際演劇祭」は今日、世界三大国際演劇祭の1つに至るまで発展を遂げた。毎年5月末から6月上旬にかけて世界70カ国から参加があり、1日約35000人がつめかける。第18回目となる今年は5月27日から6月5日までだ。不況の中でもシビウは演劇で活気を保っている。特に女優オフェリア・ポピさんの人気は抜群だという。(2011/02/06)


TPP/脱グローバリゼーション
TPPを考える1冊 〜 ジェーン・ケルシー著「異常な契約 TPP」(No Ordinary Deal)〜.
  21世紀の通商条約と言われ、菅政権も参加を検討しているTPPだが、その実態は日本ではまだあまり知られていない。そこで参加予定国のニュージーランドで反TPPの活動を繰り広げているオークランド大学教授ジェーン・ケルシー(Jane Kelsey)さんが編集した本を紹介する。(日刊ベリタ編集部)(2011/02/05)


文化
フランスからの手紙21 「フランス、チュニジア、未来...」La France, la Tunisie, l’avenir…パスカル・バレジカ
  21世紀最初の10年が終わった。新たなニュースは希望よりもむしろ脅威に響く。政治経済の指導者達は2001年に始まる世界の激変から教訓を得たのだろうか?否、彼らは何事もなかったかのように従来と同じ言動を繰り返している。そして世界は壁に激突していくのだ。(2011/02/04)


政治
故・市川房枝議員の記録映画を参議院議員会館で上映
 故・市川房枝参議院議員を描いたドキュメンタリー映画が2月10日、参議院議員会館で行われる。入場無料。2月11日は市川氏の30周忌の命日に当る。菅直人総理の政治活動は市川房枝議員の応援から始まったというのだが、総理は何を学んだのか。(2011/01/31)


米国
米失業率 9.4% 〜失業率9%以上が連続20ヶ月超は大恐慌以来〜
  中間選挙で破れた民主党のオバマ政権が時期大統領選で再選を果たすためには現在9.4%に上っている失業率を下げなくてはならない。1月22日―23日付けのニューヨークタイムズではピーター・ベイカー記者が米国の厳しい経済事情をレポートしている。失業率は昨年暮れの時点で9.4%だった。失業率が9%を越えるのは連続20ヶ月、1929年に起きた大恐慌以来だという。(村上良太)(2011/01/24)


イスラエル/パレスチナ
バラク氏の労働党からの離党とその波紋〜新党から4人が入閣へ〜
  イスラエルの国防大臣であるエフード・バラク(Ehud Barak, 1942-)氏が労働党から離党する。バラク氏に近い労働党議員4人もバラク氏と新党を立ち上げる見通しだ。ただし、バラク氏は連立内閣には留まるという。2009年の選挙以来、労働党は右派のリクードなどと連立内閣を組織してきたが、イスラエルの国会の力学に変化が起きている。(2011/01/22)


文化
フランスの女性映画監督たち 〜時代の転機を先取りしてヒット作を作ってきた〜
  フランスの女性映画監督にはヒットを飛ばしてきた人が何人かいる。時代の転機を先取りし、通念に挑み、新しい生き方を提案してきた。それらの映画は興行的にヒットしただけではなく、国の政策にすら影響を与えてきたと思われる。フランスの女性監督による3本の映画を例にとりたい。(村上良太)(2011/01/19)


反貧困
フェアトレードの現場から 〜ニット製品1着で本を1冊ネパールへ〜
  フェアトレードの専門ブランド「ピープル・ツリー」は1月14日(金)〜2月14日(月)の期間、ネパールの生産者団体「クムベシュワール・テクニカル・スクール(KTS)」の女性が手編みしたニット製品を売りだす。このキャンペーンではニット製品が1点売れるごとに、本を1冊ネパールの小学校の図書館に寄贈する。(2011/01/15)


みる・よむ・きく
「もし おじいさんが猫になったら」  〜ジャンニ・ロダーリと子どもの話〜
  イタリアの児童文学者ジャンニ・ロダーリ(Gianni Rodari 1920-1980)は最近、再び注目度を上げている。2006年に光文社から「猫とともに去りぬ」(関口英子訳)が出版されたが、大人にも楽しめる愉快な短編集だった。表題作はローマのおじいさんが猫になる話である。最初は家族から相手にされなくなったおじいさんだったが、柵をくぐって猫になってからはローマの廃墟にたむろする人気猫になるという話だった。(村上良太)(2011/01/12)


文化
今も続くオフ・ブロードウェイの傑作「ファンタスティックス」(The Fantasticks )    村上良太
ブロードウェイはエスタブリッシュメントだろうが、オフには自由と前衛の匂いがあった。その象徴がオフ・ブロードウェイミュージカル「ファンタスティックス」だった。今、この世界最長のロングランミュージカルは劇場を移して上演されている。(2011/01/05)


みる・よむ・きく
長谷川まり子著 「がん患者のセックス」(光文社)  
  ノンフィクションライターの長谷川まり子氏が書き下ろした「がん患者のセックス」(光文社)は今まで光の当らなかったがん患者の性の世界に切り込んだ、優れたルポルタージュである。がんにかかったら、性生活も大きな影響を受ける。しかし、どうしたら問題を解決できるのかわからない。相談する相手もいない。これが今までの「がん患者のセックス」だったのだ。(村上良太)(2011/01/05)


米国
Huffington Post とは? 米大手銀行を批判するインターネット新聞
  国から公的資金を注入されたアメリカの大手銀行は軒並み貸し渋りに回っているようだ。実体経済に資金を回すよりも手元に蓄える傾向が強いという。こうした大手銀行の貸し渋りがアメリカの経済に悪影響を及ぼしているとインターネット新聞「ハフィントンポスト」(2010年12月6日記事)は批判している。このハフィントンポストはどんな新聞なのだろう。(村上良太)(2011/01/02)


コラム
悪夢の思い出   村上良太
  悪夢に苦しめられた経験は誰にもあるだろう。振り返ると人生の節目節目に悪夢にうなされてきたことがわかる。悪夢の記憶をたどると人生の危機の歴史をたどることになる。(2010/12/31)


欧州
パリの大雪  映像と写真
  パリでは年の瀬に大雪が降り、自動車、列車、飛行機など、交通が麻痺しているという。(日刊ベリタ編集部)(2010/12/29)


生活
デパートの歳末古書市に掘り出し物あり
  京王百貨店(新宿店)の7階では26日から30日まで古書市が開催されている。東京だけでなく、青森、愛知、大阪、京都など、全国26の古書店が集まり、書籍だけでなく、戦前のマッチラベル、掛け軸、映画ポスター、水墨画、古い写真、古地図、古文書など興味深いものが多数売り出されている。(2010/12/29)


欧州
ギリシアでも数千人の学生が教育費削減反対のデモ 米準州プエルトリコの大学では逮捕者が20人以上か
  12月2日、ギリシアでも全国から数千人の学生が首都アテネに集まり、教育改革反対のデモを行った。ユーロ危機の発信源となったここギリシアでもイタリアや英国と同じく、教育費の削減と民営化が進められようとしている。ギリシアの学生達はさらに同じ問題に直面する英国の学生たちに連帯を示そうと、1000人を超える学生が英国大使館前でもデモを行ったという。映像には機動隊との激しいぶつかりあいが映し出されている。ただ人数は不明だ。(日刊ベリタ編集部)(2010/12/26)


欧州
教育費削減法案にイタリア各地で学生が抗議デモ 英国でも・・・
  BBCニュースによると、イタリアで奨学金の削減や大学の統廃合、民営化といった教育制度改革に反対する学生デモがローマ、パレルモ、シシリーなどで起きている。今週のローマのデモでは数千人の学生が集まり、教育改革法案の廃案を求めて国会前を歩いた。一方、パレルモやシシリーでは警察との衝突が起きたという。デモはミラノ、ベニス、ペルージャなどでも行われた。ベルルスコーニ内閣の大学改革法案が可決されれば、ある試算では教育関係者13万人の雇用が失われるという。(日刊ベリタ編集部)(2010/12/24)


文化
天才トミー・アンゲラーの「政治」展
  イラストレーター・画家・絵本作家のトミー・アンゲラー(Tomi Ungerer 1931〜)が来年3月末まで「ポリトリックス(Politrics)」と銘打った美術展を開催中だ。公開されているのはこれまでにアンゲラーが描いた政治をモチーフにしたポスターやイラストなど。開催場所はフランスのストラスブールにあるトミー・アンゲラー美術館だ。(村上良太)(2010/12/22)


コラム
映画館の入替制に思う 
  かつては映画館で一日何回でも同じ映画を繰り返し見ることができた。しかも一回分の料金で朝から晩まで。そう言うと最近では驚く人も少なくない。30代以下の観客には入替制しか知らない人が多いからだ。(村上良太)(2010/12/19)


文化
新訳 ジョージ・オーウェル著「1984年」 〜近未来の人間の言葉とは?〜
  オーウェルの「1984年」は全体主義社会の怖さを描く近未来SFである。舞台は「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」という不気味なスローガンを掲げる全体主義国家である。もとはソ連を描いたものと受け取られがちだったが、最近のアメリカにもよく当てはまるという人もいる。ハヤカワepi文庫「1984年(新訳版)」の巻末に寄稿しているアメリカの作家トマス・ピンチョンもその1人だ。(村上良太)(2010/12/18)


イラン核問題
イラン包囲網 〜5ヵ国の合同作戦が仏誌で報じられる〜
  ウィキリークスが紙面を大々的に飾ったのは11月30日だった。その直後に出た12月2日―8日号のル・ヌーベル・オプセルバトゥール誌(フランス)には「イランに対する秘密の戦争」と題された特集記事が出た。記事ではイスラエル、アメリカ、フランス、ドイツ、英国の情報機関が連携し、必死になってイランの核開発阻止を目指している話が紹介されている。(村上良太)(2010/12/13)


文化
コラムニストがいた時代  酒場で育ったマイク・ロイコ    村上良太 
  1980年代だったろう、コラムという耳慣れない言葉がわが国に入ってきたのは。勿論アメリカからだ。最も有名だったのはボブ・グリーンだろう。コラム集の「アメリカン・ビート」や「チーズバーガーズ」は日本でもベストセラーになった。またアート・バックウォルドの場合は、権力批判をベースにしたおちょくり気味のユーモアコラムだった。しかし、バックウォルドには世界を冷徹に見るジャーナリストの目があった。一方、上流階級を描くタキというギリシア系のコラムニストや、少し古風な作風のラッセル・ベイカーという人もいた。政治コラムニストではジェームズ・レストンが健在だった。ロジャー・サイモンの辛口コラムというのもあった。80年代にはこうしたコラムニストによるコラム集が日本で次々と出版された。(村上良太)(2010/12/11)


検証・メディア
「ネットで調べる経済指標」(久保田博幸著)〜経済記事の作られ方に迫る〜
  久保田博幸著「ネットで調べる経済指標」(毎日コミュニケーションズ)は内閣府、総務省から財務省や経済産業省、厚生労働省、国土交通省などの省庁、日銀、さらにはアメリカの商務省や労働省、FRB(連邦準備制度理事会)までカバーしており、どんな統計が公開されているかわかりやすく紹介している。本書の良さは、ホームページからそのデータにたどり着くまで何をクリックすればいいかまで解説していることである。実際、省庁のホームページを訪ねても、中々肝心のデータにたどり着けないことが少なくない。(村上良太)(2010/12/09)


検証・メディア
ハッカーとリーク 
  ハッカーという言葉にはアウトローあるいは反国家のイメージがつきまとう。ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジュ氏も元ハッカーだという。しかし、青少年時代にハッカーでならし、逮捕歴もある人たちの中にも、その後、米国防省や情報セキュリティ産業のビッグネームになっている人々がいる。ハッカーは一見、反体制のシンボルのようだが、特定の国家の利害と結びつくケースがある。彼らの磨いたハッキング技術はその後、国防や情報戦争に使われるのである。(村上良太)(2010/12/05)


検証・メディア
ウィキリークスとイランのミサイル技術
  リーク情報を受けて書かれた11月30日付けのインターナショナルヘラルドトリビューン紙「イランの兵器庫は北朝鮮のミサイルで増強」(Iran’s arsenal fortified by N.Korean missiles)によると、イランは北朝鮮から19基のミサイルを入手し、欧州やモスクワまで射程に入れた。しかし、今日は「イランのミサイル技術はリーク情報ほど明らかではない」(Iranian missile reality is murkier than leak)との見出しの記事が載った。(村上良太)(2010/12/04)


検証・メディア
ウィキリークスの理想は?
  今回、ウィキリークスによって入手された米外交文書は25万点にのぼる、と言われる。非合法で入手した外交公電を大量に公表することは本当によいことなのだろうか。ウィキリークスの大量の情報公開を肯定する論理は一体どこにあるのだろうか。政府が一切秘密を持たないようになることが理想なのか。今回のリークの目的はどこにあるのか?(村上良太)(2010/12/02)


生活
古着で手袋を作る  衣類のリサイクルを考える  村上良太
エコの時代、と言われながらも古着の再生は遅れています。「現在、1年間に供給されている家庭向け一般衣料はおよそ130万トン。一方、その7割に相当する100万トン近くが、可燃ごみや不燃ごみとして廃棄処分されている。」(テレビ東京「ガイアの夜明け」〜古着が宝の山となる日〜)。日本にはものを大切にする伝統がありながら、大切にしてきたものを処理に困って焼却する、ということが見られます。そこで古着をこつこつ再生している企業を訪ねました。(2010/11/30)


みる・よむ・きく
「パリ・ロンドン放浪記」(ジョージ・オーウェル)
  「1984」や「動物農場」などの傑作を残した英国の作家・批評家・ジャーナリスト、ジョージ・オーウェル(1903-1950)のデビュー作はパリとロンドンでの貧乏生活を描いた「パリ・ロンドン放浪記」である。これは窮乏生活を描いた傑作である。25歳のオーウェルは貧乏生活を断ち切ろうと本気で思えば断ち切ることもできただろう。しかし、偶然、パリで陥った経済的な窮地をネタにルポを書いて一旗挙げてやろう、という自負もあったのではなかろうか。(村上良太)(2010/11/25)


文化
「バイバイ フランス」〜閉ざされた島社会の肖像〜' Tchao la France', portrait d’une société bloquée  パスカル・バレジカ (フランスからの手紙 20)
  フラマリオン出版から出たコリーヌ・メイエ(Corinne Maier)著、「バイバイ フランス〜この国を去る40の理由〜」は一見、観光客には天国に見えるフランスが実際にはいかに暮らしづらい国になっているかを綴っている。著者のメイエはフランス人の精神分析医だが、数年前からベルギーで暮らしている。メイエがこの本で描いているのは閉ざされた国の姿である。(2010/11/21)


市民活動
「ただいま それぞれの居場所」 ある上映会
  大宮浩一監督のドキュメンタリー映画「ただいま それぞれの居場所」は今、各地で上映会が行われている。介護施設からはじかれてしまう認知症の高齢者と介護施設の若者のふれあいを描くこの映画は地域の介護と福祉のあり方を考えるきっかけになっているようだ。たとえば12月5日(日)に埼玉県三郷市で行われる上映会の主催者は「地域でともに生きるナノ」という団体だ。ナノは高次脳機能障害の患者家族の会である(2010/11/16)


文化
ベトナム戦争中のハノイから   戦場カメラマン石垣巳佐夫氏
  日本人の青年がにこやかな軍人の脇に立っている。軍人の手は青年のひじをつかんで激励しているようだ。この軍人はボー・グエン・ザップ、ベトナム人民軍総司令官である。撮影されたのは北ベトナムが米軍と戦っていた時代である。青年は石垣巳佐夫カメラマン。石垣さんは日本電波ニュース社ハノイ支局に派遣されていた。ベトナム戦争中、北ベトナムに支局を持っていたテレビ通信社は日本電波ニュース社だけだった。(2010/11/10)


米国
「分裂してこそ繁栄あり」 米中間選挙の結果を分析するジョナサン・ラウチ
  インターナショナルヘラルドトリビューン紙(11月9日付け)にジョナサン・ラウチ(Jonathan Rauch)という名の論客が米中間選挙に対する興味深い論評を出していた。今回の民主党の敗北は近年の米政治の常態だというのである。(「インターナショナルヘラルドトリビューンの論客たち 11」村上良太)(2010/11/09)


文化
シリーズ一枚の写真から 〜岩淵達治氏がドイツに発った日〜
  1人の若者が飛行機のタラップに立って振り返り、右手を挙げている。左手には鞄と花束。1957年10月5日、30歳の岩淵達治氏である。岩淵氏はこの日、ミュンヘンの大学に留学するため、羽田を出発した。現在、83歳の岩淵氏は演出家として、さらにブレヒト戯曲全集をすべて翻訳した翻訳家として知られる。後者ではその精緻な翻訳によって、1999年にドイツ政府からレッシング賞を授与された。だが、1957年のこの日にはまだ未知数の未来があっただけだ。(2010/11/06)


文化
フランスからの手紙19 フランスのウーマンリブ創設40周年〜70年以後のフランス女性の地位について〜La situation des femmes en France depuis 1970 パスカル・バレジカ
  1970年8月26日、10人ほどの女性解放運動(MLF)の闘士達はパリのエトワール凱旋門の下で無名戦士の妻に花束を捧げた。これがMLFの最初の公式の活動だった。その横断幕には「無名戦士よりも無名なのはその妻だ」と書かれていた。また「人類の二人に1人は女性である」とのスローガンもあった。後者は世の常識とはいうわけではかった。というのも、フランスで女性に選挙権が与えられたのは1944年のことであり、欧州では最も遅い国に入るからだ。(2010/11/03)


文化
カフカ作「変身」の中身     村上良太
  中学高校で課題図書として本が何冊か指定され、感想文を書かされる事がある。カフカの「変身」はそうした課題図書の中で最も短い本のひとつであり、僕も読んだ記憶がある。そればかりか美術の絵のモチーフにも使う事ができた。ところでこの小説の主人公であるグレーゴル・ザムザが変身した虫は具体的に何だったのか?という有名な謎がある。(2010/11/01)


みる・よむ・きく
三ツ星シェフによる画期的な料理本 「フライパン1本でできるお手軽フレンチ」
  シェフのダニエル・マルタン氏(Daniel Martin 1952−)は三ツ星料理店だったマキシムの副料理長を勤め、来日後はフランスの名門の料理学校であるル・コルドン・ブルー東京校の校長となった。彼は日本の人々に向けて手軽に作れるフランス料理の本を執筆してくれた。日本では様々なフレンチ料理本が出版されているが、本書は最も実用性が高いものに入る。その最大の売りは「フライパン1本でできる」ところにある。(村上良太)(2010/10/25)


文化
フランスからの手紙18  海峡華人‘ペラナカン’とシンガポール Les Chinois Peranakan et Singapour  パスカル・バレジカ
  パリのケ・ブランリ美術館で来年の1月30日まで興味深い催しが行われている。ペラナカン(Peranakan)の風習についてだ。ペラナカンとはマレーシア、インドネシア、シンガポールに何世代にも渡って住み着いた中国系の人々を指す。また彼らは「ストレートチャイニーズ」(海峡華人)と呼ばれることもある。(2010/10/24)


文化
「ただいま それぞれの居場所」(大宮浩一監督)が文化記録映画大賞を受賞
  日刊ベリタで紹介したドキュメンタリー映画プロデューサーの安岡卓治さんからメールが届きました。本年4月より全国劇場公開している「ただいま それぞれの居場所」(大宮浩一監督)が文化庁の文化記録映画大賞を受賞したそうです。「本作は、劇場公開に続き、全国各地での自主上映の動きにも広がりを見せております。今回の受賞が追い風となってくれることを望むばかりです。」(2010/10/22)


人権/反差別/司法
司法修習生になる若者たちの訴え 2 〜給費制の存続を求める〜
  今、問題になっている司法修習生への給費制打ち切りと貸与制への移行についての、これから司法試験に挑む人たちの声を紹介する。法科大学院生および法科大学院修了生のアンケートから。(村上良太)(2010/10/20)


人権/反差別/司法
司法修習生になる若者たちの訴え 〜給費制の存続を求める〜
  昨日、東京の弁護士会館で、9月に司法試験に合格し、11月から司法修習の研修を受ける若い法律家の卵たちが1年間の司法修習期間の「給費制」存続を訴えた。給費制の存続を訴えるこの集団は「ビギナーズネット」と言い、メンバーは1000人に達した。弁護士、司法修習生、法科大学院生たちからなる。(村上良太)(2010/10/19)


みる・よむ・きく
ドン・キホーテ 2  〜24時間朗読マラソン〜   村上良太
  5年前の2005年は「ドン・キホーテ」正編(第一部)の出版400周年だった。その年はスペインのみならず、世界中で様々な「ドン・キホーテ」の記念行事が行われた。中でも極めつけはアメリカ東部、ニュージャージー州のドリュー(Drew)大学で行われたマラソンリーディングだろう。「ドン・キホーテ」正編を10分または20分交代で、代わる代わる24時間ぶっ通しで朗読するのである。(2010/10/11)


文化
フランスからの手紙17  フランスとロマ  〜ロマの強制送還を考える〜  La France et les Roms   パスカル・バレジカ
  8月27日の報告によると、ジュネーブに本部を持つCERD(人種差別撤廃委員会)はロマに対するフランスの政策を非難した。9月末には、ブリュッセルの欧州委員会が、フランスは欧州連合内における自由な人の移動を尊重していない、とフランス政府を強く非難した。さらにローマ教皇やキューバのカストロ元議長もフランスをとがめた。サルコジ大統領のフランスはレイシストになったのか?そもそもロマとは何なのか?(2010/10/03)


中南米
あのホンジュラスのセラヤ元大統領は今?
  エクアドルでコレア大統領を監禁し、政府転覆を試みる事件があったようだ。地元の市民団体は「ホンジュラスのクーデターを繰り返すな」と言っている。昨年6月28日のクーデターでパジャマ姿のまま、大統領官邸で拘束され、政権を追われたホンジュラスのマヌエル・セラヤ大統領は現在、どうしているのだろうか。(日刊ベリタ編集部)(2010/10/03)


文化
パリの散歩道13    パリの芸術家天国      村上良太
  今、パリの5区で芸術家の青空市場が行われている。場所はモーベール広場(Place Maubert)だ。10月2日から4日まで、世界から集まった40人の芸術家が露天にそれぞれのブースを設けて展示を行う。実は、これは ‘Place aux artistes!’=「芸術家に広場を!」という取り組みの一環で、今回は第八回目の展示会になる。(2010/10/02)


農と食
アフリカの米
  カプシチンスキの「黒檀」を読んでいて、一人の日本人をふと思い出した。JICAの坪井達史さんである。坪井さんは「黒檀」の一篇、「氷の山のなかで」に描かれているウガンダを拠点に東アフリカ9カ国を飛び回って稲作指導をしていた。(村上良太)(2010/10/01)


反貧困
秋のフェアトレード・チョコレート
  フェアトレードの専門ブランド「ピープル・ツリー」が秋冬限定のフェアトレード生産によるチョコレートを売り出す。ラム酒がミルクチョコレートの中に詰められた「ラム」、エスプレッソとミルクが口の中で溶け合う「カプチーノ」、ヘーゼルナッツパウダーを練り込んだ「プラリネ」など、種類も豊富にある。(日刊ベリタ編集部)(2010/09/28)


農と食
野生猿を追って 3  〜サル学の現在〜
  もともと猿にまったく興味はなかった。企画がなかったとき、たまたま新聞で猿の記事を読んで企画会議で提案したら通ったというだけだった。そのうえ、日光駅に着くと雷混じりのどしゃぶりの豪雨で「あと1時間待ってやまなかったら諦めて東京に帰ろう」と決めた。ところが1時間の内にぴたりと降り止んだ。(村上良太)(2010/09/27)


農と食
野生猿を追って 2  〜日光で猿と熊と〜
  日光を荒らしている野生の猿を追っていたある早朝のことだ。道路脇の民家の屋根に猿たちが上っていくと、中から、おばさんが寝間着姿で出てきた。彼女は銀色の銃を手にしていた。猿の被害に遭っている土産物屋で働いているおばさんだった。「撃たなくても銃を見せるだけで猿は逃げていくんですよ」と説明してくれた。モデルガンだったのだ。被害に遭っている地元の人々の多くがモデルガンやエアーガンを持っており、猿が来ると威嚇のために撃っているのである。(村上良太)(2010/09/27)


農と食
野生猿を追って 〜禁断の味を知った猿〜
  その頃、小型ビデオカメラを手に、野生の猿を追っていた。90年代の末頃、日光や和歌山の山中などである。野生猿が人里にやってきて、田畑を荒らし、民家に侵入し、食糧を盗む。甚だしい場合は糞尿までしていく、という。そうした場面をできるだけ撮影して放送するのが狙いだった。日光の土産物屋では猿が客のように引き戸を開けて入ってきて、饅頭を持っていくと店主たちは怒っていた。周辺の田は猿に荒らされるので稲作を放棄しており、春に訪れたときは草がぼうぼうと生えていた。年をとった農夫は「もうすっかり猿にやられちゃって」とやる気を失っていた。(村上良太)(2010/09/26)


文化
フランスからの手紙16 ラスコー、人類の輝く遺産 〜ウェブでできる洞窟画の鑑賞〜 Lascaux, un trésor du patrimoine de l’humanité  パスカル・バレジカ
  70年前の1940年9月、4人の少年が飼い犬を探していたとき、偶然に大発見をした。フランス南西部、ペリゴールにおいてだ。それはおよそ17000年から18000年前にさかのぼる、旧石器時代の絵や彫り物で飾られた見事なラスコー洞窟だった。(フランスからの手紙16)(2010/09/25)


二極化社会を問う
淀川長治氏と「中流」
  映画評論家の淀川長治氏は晩年、こんなことを映画青年に説いていた。「映画監督に向いているのは極貧とか、大富豪の出身者です。自分がその中間だと思う人は、意識して自分を中流から外してみる努力が必要です」(2010/09/23)


文化
パリの散歩道12 詩人プレヴェールと「自由の街」  村上良太
  詩人ジャック・プレヴェール(Jacques Prevert1900-1977)に「自由の街」と題する詩がある。権力に抗する庶民の心を歌ったプレヴェールらしい詩である。(2010/09/19)


文化
パリの散歩道11 パリのブッキッシュな青春「1969年」  村上良太
  パリの出版社「六面体」を営むレミ・ベランジェ(Remy Bellenger)氏が、出版・書店業に足を踏み入れたきっかけは1969年8月のことだ。五月革命の1年後、ベランジェ氏は学生アルバイトで国鉄(SNCF)のパリ駅で切符切りをしていた。パリジャンの多くはバカンスに出かけていない。列車と列車の間はあくびが出るほど退屈だった。(2010/09/18)


テレビ制作者シリーズ1の2  谷津賢二さんのアフガニスタンからの報告
  テレビ制作者シリーズで最初に紹介した谷津賢二さんはその後もアフガニスタン東部、ニングラハル州で活動する中村哲医師の取材を続けている。中村医師が設計し、工事を監督してきた用水路は去年の8月に完成した。用水路は全長およそ26キロにおよぶ。クナール川から取水するこの用水路は一帯を潤し、ガンベリ砂漠へとつながる。この用水路によって砂漠化の進んでいたアフガニスタンの土地で小麦のほか、にんじん、大根、ほうれん草、蕪なども収穫できるようになった。そしてなんと米も収穫できるようになった。(村上良太)(2010/09/13)


文化
チェーホフ生誕150周年  〜演劇を革新した男〜
  今年はロシアの劇作家チェーホフ(1860-1904)の生誕150周年に当たる。チェーホフの劇には「かもめ」「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」「桜の園」の四大戯曲のほかに「熊」や「イワーノフ」などの比較的小品がある。東京演劇アンサンブルの演出家だった広渡常敏氏の胸には劇団創設以来、常にチェーホフ劇が、特に「かもめ」があったと聞く。しかし、ストーリー性や理屈だけで展開しない、デテールの豊富なチェーホフ劇には簡単にトライできない大きな壁があった。(村上良太)(2010/09/12)


文化
アンサンブルの時代に  〜ゴーリキー作「避暑に訪れた人びと」〜   村上良太
練馬に「ブレヒトの芝居小屋」と名付けられた劇場がある。ここを根城にしている劇団、東京演劇アンサンブルが9月11日(土)から、「避暑に訪れた人びと」を上演する。原作はマクシム・ゴーリキーの未完の戯曲「別荘の人びと」(1904)だ。モスクワっ子はダーチャと呼ばれる別荘を持っているが、「避暑に訪れた人びと」もダーチャにやってきた中産階級の男女数人の劇である。(2010/09/09)


検証・メディア
朝日新聞とは? 3
前回、朝日新聞8月29日付けのフェルドスタイン氏の発言をめぐる記事について触れた。朝日新聞記者が米エコノミストのフェルドスタイン氏に日本経済へのアドバイスを「ぜひ、聞かせてください」と懇願してその発言をもって記事を締めくくったことについてである。フェルドスタイン氏はレーガン政権の大統領経済諮問委員長であり、オバマ政権下では経済回復諮問委員会の委員であると、紹介されている。ところで、このフェルドスタイン氏はおそらく、宇沢弘文著「経済学の考え方」(岩波新書)に書かれている「マーティン・フェルドシタイン(Martin Feldstein)」氏のことであろう。(日刊ベリタ編集部)(2010/09/08)


教育
教育の機会均等を求める世界の学生たち
教育の機会均等を求める学生たちのデモが世界の様々な街角で起きている。8月18日、チリのサンチアゴで数千人の学生がデモを行った。チリでは今年、社会党政権から中道右派のビニェラ政権に代わり、教育民営化が進められている。学生たちは大学への公費助成の拡大や教育の機会均等を訴えたが、機動隊の催涙ガスを受け、逃げ惑った。国境を越えて教育民営化に抗する活動を行っている「International Student Movement」によると、デモで拘束された学生は66人に上るという。(東京=村上良太)(2010/09/06)


文化
戦争を企む人間を嗤うボリス・ヴィアン作「将軍たちのおやつ」  村上良太
  20世紀末、米国立公文書館の映像ライブラリーで資料検索していると、周りの視聴ブースではヒトラー、ムッソリーニ、東條、スターリンなどの映像があふれていた。あたかもその一角だけ、タイムスリップしたかの印象だった。アメリカの各局が20世紀を総括する歴史番組を準備していたのだろう。だが戦争の20世紀もようやく終わったとほっとする暇もなく、新たな戦争が始まった。ところで、フランスの作家・ジャズミュージシャン・作詞家のボリス・ヴィアン(1920-1959)は戯曲もいくつか残している。その傑作の1つに「将軍たちのおやつ」がある。テーマは戦争だ。(2010/09/05)


検証・メディア
朝日新聞とは? 2
 もとより新聞は自由にモノを書くべきだ。新聞が現実をどう伝えるか、その自由は新聞社にある。そういう意味で朝日新聞が何をどう伝えるかは勿論自由である。今朝の朝刊で朝日新聞は1面と2面を大きく割いて中間選挙を前にしたオバマ政権の苦境を伝えている。タイトルは「裏切られた中流の「夢」」である。オバマ政権が無策だったために失業状態が続き、民主党政権には裏切られた、と言うような内容の記事である。その一方、経済面には「フェルドスタイン氏に聞く」と題する記事が出ている。(日刊ベリタ編集部)(2010/08/29)


文化
フランスからの手紙15 欧州とアジア、過去の意外な関係( Des liens anciens et mal connus entre l’Europe et l’Asie)  パスカル・バレジカ
 パリのギメ東洋美術館では先週まで、1世紀から6世紀までの素晴らしいガンダーラ美術展が開催されていた。ガンダーラは現在のパキスタン北部とアフガニスタンにまたがり、そこでギリシア様式、ペルシア様式、インド様式が混合し、洗練された美術が花開いた。ペルシア世界とインド世界の境界に位置するガンダーラは、またマケドニアのアレクサンドロス大王の時代にギリシア人たちが到達した東の端でもあった。(2010/08/28)


経済
アメリカの岐路を振り返る〜新自由主義の黎明〜
今では絶版になってしまった岩田規久男著「日経を読むための経済学の基礎知識」(1988年出版)にこんな記述がある。▲低下する個人貯蓄率「個人貯蓄は、レーガノミックスが意図したのとは逆に、83年から86年にかけて、国民所得が増加したにもかかわらず、絶対額で減少している。所得減税は、貯蓄よりも消費を増加させてしまったのである。」(日刊ベリタ編集部)(2010/08/24)


検証・メディア
朝日新聞とは?
朝日新聞は8月23日付けの社説で「米軍のイラク撤兵」について書いている。「この戦争は何だったのか。開戦した米国も、戦争を支持した日本も、深く自問自答すべきだ」としている。イラク戦争を振り返って、「軍事力過信への戒め」として、「自衛隊派遣は、謝った選択ではなかったのか」としている。(2010/08/24)


経済
アメリカの新自由主義に関するメモ
 英国生まれの経済地理学者デヴィッド・ハーヴェイ(David Harvey、1935−)は現在、その論文が世界で最も引用される学者の一人だそうである。そのハーヴェイの著書「新自由主義〜その歴史的展開と現在〜」(作品社)の中には、レーガン時代以後、アメリカで急速に拡大した富の格差を見事に実証するデータがいくつか紹介されている。これらのデータの出所には呪文のようデュメニル&レヴィ(Dumenil & Levy)と記されている。(日刊ベリタ編集部)(2010/08/23)


文化
パリの散歩道10  郊外の瀟洒な劇場「アトリエ座」   村上良太
モンマルトルに瀟洒な劇場、「アトリエ座」(Theatre de l’Atelier)があります。19世紀に建造され、小ぶりながらも欧州の古典的な建築スタイルの劇場です。パリの8月はバカンスの時期、多くの人が南仏などに出かけてしまいます。しかし、そろそろ町に人も戻りつつある頃。この劇場では映画でおなじみの俳優ファブリス・ルキーニによる朗読が始まろうとしています。(2010/08/22)


沖縄/日米安保
マンスフィールド研修と対日政策   村上良太
アメリカ大使館のホームページによれば、マイク・マンスフィールドフェローシップ・プログラム(以下、マンスフィールド研修)が始まったのは1994年だ。元駐日米国大使マイク・マンスフィールドの名前にちなんだこの研修は日米政府間交流プログラムとされている。つまり、アメリカ合衆国連邦職員の中から選抜された「フェロー」が日本の各省庁に派遣され、1年間「日本と日本政府について理解を深め」ることが目的とされている。だが、その裏にあった真の目的は何か?(2010/08/19)


みる・よむ・きく
内田樹著 「街場のメディア論」(光文社新書)    村上良太
  最近、テレビドキュメンタリーを制作している知人のプロデュサーが内田樹氏に出演を依頼したところ、断られたそうです。「内田さんはテレビ出演は一切断っているんだそうだ」と残念がっていました。今月発売になったばかりの内田樹著「街場のメディア論」(光文社新書)に内田氏がテレビ出演を断るようになった経緯が書かれていました。(2010/08/19)


語学に再挑戦2        村上良太
何年か前、取材でワシントンDC郊外のホテルに宿泊しました。その時、衝撃を受けたのはホテルのスタッフが掃除のおばさんから、レストランのシェフ、給仕、フロントまで、ほぼ全員スペイン語を母語とする人々だったことです。その多くはエルサルバドルなど、中南米から働きに来ている人々でした。そこで、こう思わざるをえませんでした。「あと20年もしたら、スペイン語ができなかったらアメリカの取材は難しくなるだろう・・・・」(2010/08/17)


文化
フランスからの手紙14    ヨーロッパにおける分離独立の傾向について La tendance centripète en Europe    パスカル・バレジカ
  イタリアの作家クラウディオ・マグリス( Claudio Magris 1939-)のようなヨーロッパの偉大な良心の持ち主たちは、ヨーロッパは現存の国家を超えた連邦国家を形成するべきだ、と主張し続けている。ヨーロッパのいくつかの地域では分離独立を目指す動きが起きているが、そのような動きがヨーロッパに致命的な危険をもたらすと考えてのことだ。(2010/08/15)


文化
フランスからの手紙13  トルコは向きを変えるのか? La Turquie va-t-elle changer de cap ?  パスカル・バレジカ
ケマル=アタチュルクは第一次大戦後、大変動に直面したトルコを近代国家に作り上げた。オスマン帝国の残骸の上にだ。この共和国は第二次大戦では賢明にも中立を守ったのだが、宗教的には政教分離の国家となった。これは世界でも珍しいことであった。1950年代以降は明確に欧米寄りの路線を選択した。1952年にはNATOに加わり、1963年には欧州連合の前身である欧州経済共同体への加盟を申請した。しかし、今、トルコはその方向を変えつつある。(2010/08/04)


文化
パリの散歩道9 世界最小のサーカス団を率いる幻灯師ベルゴン    村上良太
バンサン・ベルゴン(Vincent Vergone)は幻灯機を使った見世物で評判のパリの人気アーチストだ。幻灯機とは、中心にランプがあり、絵を描いたガラス板をその前に置くと壁に絵が投射される仕掛けだ。単に一枚の絵だけでなく、絵を次々と投射すればアニメーションにもなる。幻灯機は映画の原型なのだ。ベルゴンは幻灯機を使って短編映画を撮影したり、自作のオブジェを影絵として動かすライブパフォーマンスを行ったりする。彼は彫刻家でもあり、オブジェ自体を作る才能もあるのだ。ベルゴンの不思議なオブジェと光と影の世界は一度見るとやみつきになる。(2010/07/30)


文化
瀬川正仁著「なぜ尾崎豊なのか。」    村上良太
  ドキュメンタリー番組のディレクター、瀬川正仁さんの新刊が出た。「なぜ尾崎豊なのか。〜明日が見えない今日を生きるために〜」(バジリコ)だ。昨年10代から40代までを対象に行われたオリコンのアンケートで「最も衝撃を与えたロック・アーチスト」は尾崎豊だったという。(2010/07/25)


文化
フランスからの手紙12 「大きな食前酒」、フランス社会の新現象 Les’ apéros géants’, un nouveau phénomène de société en France  パスカル・バレジカ
  1年ちょっと前からフランスで「大きな食前酒」という現象が始まった。行動原理はできるだけ多くの人が集まって公共の場でアルコールを飲み、ともに愉しむことである。「大きな食前酒」の呼びかけ人はしばしば匿名でフェースブックなど、インターネットを通じて呼びかけている。そのため、情報は一気に広まるのだ。最初の「大きな食前酒」は2009年3月にノルマンディーの小さな町で起きた。(2010/07/21)


文化
フランスからの手紙11 欧州の「幽霊国」マケドニア Un ’État fantôme ’ en Europe : la Macédoine  パスカル・バレジカ
  1991年に独立したマケドニアは旧ユーゴスラビアの解体によって生まれた国の1つである。アルバニア、モルドバと並び、欧州で最も貧しい三ヵ国の1つである。一人当たりの国内総生産は3200ドルに過ぎず、失業率は35%に及ぶ。(2010/07/18)


検証・メディア
サルコジ政権を揺さぶるネット新聞「Mediapart」
  今朝の朝日新聞に「サルコジ政権VSネット新聞 〜疑惑報道めぐりバトル〜」という見出しの記事が出た。今、フランスの政界を揺さぶっている大富豪リリアンヌ・ベタンクールさんの脱税疑惑をフランスのネット新聞が追及していることを報じている。さらに2007年の大統領選の時にサルコジ陣営が問題になっているベタンクールさんから秘密献金を受けた疑惑も同ネット新聞が追究している。このネット新聞は「Mediapart」で、サイトのアドレスは以下だ。(日刊ベリタ編集部)(2010/07/14)


文化
パスカル・バレジカさんの新刊「パリ」   村上良太
「フランスからの手紙」を寄稿していただいているパスカル・バレジカさんが書き下ろしたガイドブックが出ました。パリ関係の本を出版しているパリグラム出版で、タイトルは「パリ〜歴史の中心地をぶらり歩く〜」(Paris, Promenades dans le centre historique)です。(2010/07/13)


文化
フランスからの手紙10  常軌を逸したフランス人たち!Ils sont fous ces Français !  パスカル・バレジカ
  最近、フランスの多くの政治家の言動は精神分析学の対象にふさわしいものに思われる。パリ近郊にCretailというコミューン(日本の市町村に該当)がある。このコミューンから選出された社会党 のdepute-maire(国会議員と市長を兼務する政治家)のケースは精神分裂病か、あるいは二重人格の興味深い例だ。(2010/07/12)


真夏の夜の空襲         村上良太
  ドイツ人が第二次大戦中に体験した空襲についてドイツの作家W・G・ゼーバルト(1944-2001)がすさまじい有様を書いています。「1943年盛夏、長びく猛暑のさなかに、イギリス空軍は応援のアメリカ第八空軍とともにハンブルクを連続爆撃した。<ゴモラ作戦>と称する作戦の目標は、市街を及ぶかぎり完全に潰滅させ、灰燼に帰せしめることだった。」(2010/07/08)


テレビ制作者シリーズ13  中国庶民の生を伝える島直紀ディレクター    村上良太
7月、日本政府が中国人の個人観光客に与えるビザの発給要件を緩和したことがニュースになりました。中国政府が人民元のドルペッグ(固定)をやめてレートを切り上げる方針もニュースになったばかり。中国については軍事の増強ぶりや経済大国ぶりが伝えられる一方、中国人とは何かについてはまだまだ知られていません。そんな中国人について粘り強く報じてきたテレビ制作者が日本電波ニュース社の島直紀さんです。(2010/07/05)


教育
語学に再挑戦       村上良太
中公新書 「「超」フランス語入門」を手に取ったときの感動と震えは今でも思い出します。著者は東京外国語大学教授の西永良成氏。僕がこの本で本当に感動したのはおよそ200ページの中のわずか2ページでした。それはこんな文章です。「e で終わっている単語の多くは女性で、それ以外が男性だということがわかるでしょう。」(2010/07/02)


文化
フランスからの手紙9  〜6月18日はワーテルローの戦勝記念日でもある〜Le 18 juin, c’est aussi l’anniversaire de Waterloo  パスカル・バレジカ
  今月フランスの政治指導者たちは経済と社会の危機的状況を忘れさせようとあらゆる試みを行った。6月初めにはドゴール将軍のレジスタンス演説を繰り返し放送した。それは70年前の1940年6月18日にロンドンからドゴール将軍がフランス国民に呼びかけたものだ。サルコジ大統領もロンドンに行った・・・。(2010/06/30)


中東
サダム・フセイン弁護団の思い出  村上良太
  サダム・フセインがまだ生きていた頃・・・・こう書くと、今ではもうずっと昔のことのように思われますが、あるきっかけでサダム・フセインを弁護する国際弁護団の取材をすることになりました。イラク戦争の翌年、2005年の夏のことで場所はヨルダンの首都アンマンです。(2010/06/25)


文化
フランスからの手紙 8  中国とヨーロッパ 〜世界史から考える〜 La Chine et l’Europe  パスカル・バレジカ
  欧州人は中国の発展という重要な現象についてあまり意識していないようだ。中国と欧州の関係は中世にさかのぼる。当時は中国の方が進んでいた。紙、印刷術、羅針盤、火薬と火器はすべて中国の発明である。(2010/06/22)


文化
フランスからの手紙7 〜フランスの真ん中に生まれた中国のビジネス地域〜Un ’Business District ’Chinois en plein cœur de la France   パスカル・バレジカ
  シャトールー(Chateauroux)はフランス中部にある小さな街だ。住民はせいぜい5万人である。そこには1951年から1967年までフランス最大のNATO軍の基地があった。アメリカ人がやってきてそこに現実の街を作ったのである。最近、100万近い中国企業を束ねる軽工業連合会加盟の中国企業群がシャトールーの街とその空港に目をつけた。(2010/06/21)


沖縄/日米安保
沖縄の基地問題をアメリカに学ぶ 2 〜 トーマス・ペインという生き方 〜  村上良太
  「地球上にアメリカほど幸福の可能性を秘めた国はない。アメリカの位置は、紛争の絶えない世界から完全に隔離されている。アメリカがそれらの国と関係を持つのは、ただ貿易だけだ。」(トーマス・ペイン著「アメリカの危機」)今、これを読むと、一体、どこのアメリカのことだ?と思うでしょう。(2010/06/15)

文化
フランスからの手紙6 危機の「解決」  〜欧州経済危機とサッカー〜 La 'solution ' à la crise  パスカル・バレジカ
  欧州サッカー連盟(UEFA)が2016年の欧州選手権の開催国がフランスに決定したと発表すると、フランスのサルコジ大統領は素晴らしいと声高に力強く語った。部分的にであれ、「危機の解決策」が見つかったから、というのがその理由だった・・・。 (2010/06/12)

沖縄の基地問題をアメリカに学ぶ     村上良太
昨今、沖縄の基地の移設問題をきっかけに日米安保条約の是非について居酒屋などで一般人が盛んに論じている、といわれています。イラクではイラク戦争後すでに主権移譲がなされたのに戦後65年近く経ても未だ日本はアメリカの属国なのではないか。そんな怒りがその根底にあるようです。しかし、そもそもアメリカ人はその建国以来、自由とか独立を重んじていたのでは?そんなことを考えさせる一冊の本に出会いました。トーマス・ペイン(Thomas Pain1737-1809)の「コモン・センス(Common Sense)」です。この本は独立宣言が出された1776年に刊行され、アメリカで空前のベストセラーになったそうです。(2010/06/10)


インターナショナルヘラルドトリビューンの論客たち 10  ロシア詩人の死を追悼するセルジュ・シュメーマン(Serge Schmemann)    村上良太
  6月1日、ロシアの詩人ヴォズネセンスキー(Andrei Voznesensky 1933-2010)が亡くなりました。1950年代から60年代初頭にかけて開花したソ連の「雪解け」時代。その代表的詩人の一人として知られています。 (2010/06/09)


文化
パリの散歩道8  夜行性の風景画家マザル     村上良太
  黄昏時から夜にかけて活動する風景画家に出会いました。画家の名はティエリー・マザル(Thierry Mazal)。動物にも日中活動するタイプと夜行性のものとがいますが、マザルの場合は夜行性です。彼が活動するテリトリーはパリとその郊外。夜の場合、街灯やイルミネーションなどの光を生かして描きます。そんな夜行性の画家が描く風景画に興味を感じました。(2010/06/05)


ハンガリーで極右政党が台頭  金融危機を背景に第三位の政党に 
ハンガリーでは今春の国会議員選挙で極右政党Jobbik(ヨッビク)が全386議席中の47議席を獲得し、第三位に浮上した。党首はGabor Vona(32才)。元歴史教師でハンガリーの経済不振を背景に、グローバリズムに反対し、強固なナショナリズムを唱えている。さらにロマ(ジプシー)やユダヤ人を非難している。(日刊ベリタ編集部)(2010/06/04)


電車の中で    村上良太
関東の私鉄電車に乗っていてヒヤッとする場を見ました。ドアが閉まり際にお年寄りが1人乗り込んできました。何とか無事に入れましたが、杖がドアに挟まってしまったのです。近くの人が手伝ってその杖を引き込もうとしましたが、努力も甲斐なく、電車は杖をはさんだまま走り出してしまいました。杖は窓の外に少なくとも50cm〜60cmぐらいは突き出していました。(2010/06/03)


文化
フランスからの手紙5 ギリシアと欧州連合〜その異常さと冷笑主義〜La Grèce et l’Union Européenne : aberrations et cynisme  パスカル・バレジカ
  IMFと欧州連合はギリシア救済計画を採択し、ギリシア政府は厳しい再建策を発表した。ところでギリシアは欧州連合の中で脱税が最も盛んな国のひとつである。だがその異常さの最たるものは、莫大な富を持つギリシア正教会(ギリシアでも稀な大土地所有者である)が今まで課税されなかったことだ。(2010/05/29)


文化
パリの散歩道7 不動の金色の芸人  村上良太
モンマルトルのサクレクール寺院の脇に不動の姿勢を保っている金色の芸人がいます。名前は知りません。頭から靴先まで金色に塗りたくっていますが、顔はよく見ると甘いマスクです。手にバトンを握り、ゴミ箱かダンボールで作ったらしい台座の上に立っています。不動の姿勢を続けるのも疲れるのでしょう。時々、台を降り、タバコをふかします。俳優のアルバイトなのでしょうか、この芸が専門なのでしょうか?観光客の女性たちが黄色い声を上げて一緒に写真を撮っています。(2010/05/26)


テレビ制作者シリーズ12 「瞽女さんの唄が聞こえる」を作った伊東喜雄さん   村上良太
昭和46年(1971年)に撮影された盲目の女旅芸人である瞽女(ごぜ)の記録映像が40年近い時を経てドキュメンタリー映画になりました。「瞽女さんの唄が聞こえる」(34分)です。新潟県上越市で暮らしていた高田瞽女3人の暮らしと旅公演を記録したものです。瞽女は400年以上の伝統を持ち、その数々の歌は日本の音楽の原型になったと言われています。瞽女はその後、日本で絶えてしまったため、この映画も貴重な映像記録になってしまいました。完成後、地元の上越市で上映したところ、懐かしい、是非もう一度見たい、など大きな熱気に包まれました。現在、東京の門前仲町でも定期的に上映会を開いています。監督の伊東喜雄さん(69)はラジオやテレビ番組の構成の仕事をしてきました。伊東さんは上映会で「構想40年、34分の作品です」と舞台挨拶を行いました。(2010/05/24)


文化
フランスからの手紙4  ギリシアはどこへ? 欧州を考える(下)What about Greece ? 2   パスカル・バレジカ   
  一体なぜ欧州経済共同体(EC 欧州連合の前身)は1981年にギリシアの加盟を認めたのだろう?確かにギリシアは1959年に欧州経済共同体への参加を希望した。しかし、加盟条件の一つに民主主義国であるという条件があった。ギリシアといえば民主主義の生まれた国と思いがちだが、古代ギリシアを思い出してみると民主主義はアテネに限られていたし、その市民も多くなかった。女性は含まれていなかったし、アテネ市民が政治活動に参加できた理由は多くの奴隷がいたからだ。(2010/05/03)


文化
フランスからの手紙4 ギリシアはどこへ?欧州を考える(上) What about Greece ? 1 パスカル・バレジカ   
  欧州連合加盟国のギリシアが実質的に経済破綻した。加盟している他の国々は一概に無関心である。欧州の銀行や経済界のリーダー達は今回のギリシアの危機に乗じて利益を引き出そうと、法外な利息の融資を申し出た。人々はまじめな顔で有名なアテネのパルテノン神殿やパトモス島(島のキリスト教遺跡は世界遺産に指定されている)のような島々を売り払ったらどうか、などとギリシアに勧めさえした。しかし、結局のところ、ギリシアの経済破綻は欧州連合の倫理、政治、歴史における破綻を意味している。(2010/05/02)


文化
介護保険制度導入から10年 今上映中の映画「ただいま それぞれの居場所」を製作した安岡卓治氏に聞く  村上良太
  現在、上映中のドキュメンタリー映画「ただいま それぞれの居場所」(大宮浩一監督)は介護福祉施設の職員たちとそこに通い、暮らすお年寄りたちとの物語を描いています。今まで3K職場というイメージしか持てなかった介護施設がこの映画で素晴らしい場に見えました。 (2010/04/26)


文化
フランスからの手紙3 ’ユビュ的’な状況 〜西ロシアでの墜落事故に思う〜Une actualité ubuesque  パスカル・バレジカ
こう書くと人は僕の事を極悪非道だと思うかもしれない。しかし、4月10日、ロシア西部のスモレンスクで発生したポーランド大統領らを乗せた飛行機の墜落事故は壮大だった。すべてのアナーキストが夢見る出来事である。大統領、軍の首脳、政界幹部らを一気に片づける出来事というのは滅多にないからだ。ポーランド人アナーキスト達はお祭りをしたに違いない。僕の女友達は「フランスにはとてもこんなチャンスはないわね」と言ったものだ。(2010/04/18)


文化
フランスからの手紙2 〜なぜパリの住民はフランス人から嫌われるのか?〜Les Parisiens, mal aimés des Français  パスカル・バレジカ
  何世紀もの間、フランス人はパリの住民を嫌ってきた。パリの住民に嫉妬し、パリの住民の事を尊大だと思ってきたのだ。しかし、パリの住民とは何だろうか?中世から伝染病、戦争、虐殺、飢餓などが続いたため、パリの人口は自然に増えたわけではなかった。パリの人口が増えたのは地方からの移住者と外国からの移民によってである。たとえばイタリアのロンバルディアに由来する‘ロンバール通り’のように 、過去のイタリア人の移民を想起させる地名がパリにはある。今日でもパリ住民のうち、パリで生まれた人はわずか3分の1に過ぎない。ということはつまり、フランス人のパリの住民に対する嫌悪というものは、2〜3世代の間に地方や外国からパリにやってきた人々への嫌悪なのである。(2010/04/16)


文化
パリの散歩道6  モンマルトルの丘に立ち  村上良太
何年か前からパリを訪れるとモンマルトルの同じホテルに投宿する習慣が続いています。同じフロントマン(ウーマンでもある)が立っており、掃除のおばさんにも見覚えがあります。隣のカフェの主や近くの焼き栗屋台の夫婦にも見覚えがあります。そんな風にパリは懐かしい町になりつつあります。親しい知人も一人また一人と増え、彼らと食事をする機会なども生まれます。滞在期間には固定されたスジュールやノルマはまったくありません。(2010/04/13)


文化
テレビ制作者シリーズ11 「報道のお春」吉永春子ディレクター  村上良太
  TBSテレビで「魔の731部隊」「天皇と未復員」など数々の話題作を作った吉永春子ディレクターは「報道のお春」と呼ばれていました。帝銀事件、下山事件、松川事件などGHQ統治下に起きた一連の謎の取材を原点に、放送人生は55年に及びます。この20年近くは毎週、深夜のドキュメント番組「ドキュメント・ナウ」(旧「ドキュメントDD」)をプロデュースしてきました。ディレクターが一人でビデオカメラを回し、原稿・音楽・編集まで手がけるものです。こうした作り方に「カメラが安定しない」とか、「技術がない」などと批判する人も業界に大勢いました。しかし、吉永さんは信念をもっていました。「報道とは自分の目で発見したことを報じることである」現場で取材した人間が一番現場を知っている。その発見を伝える事がニュースである。そんな吉永さんの原点はラジオ時代にありました。(2010/04/08)


文化
パリの散歩道5 個性的なパリの書店に忍び寄る危機  村上良太
パリは文学・思想・哲学など本の都市でもあります。しかし、町の書店は疲弊しつつあります。本が売れない。町の書店が消える。人々の集まる場がひとつ、またひとつ失われている。そんな危機が忍び寄っています。書店の実数や売上額のデータは持っていませんが、書店の人々の話では厳しさがひしひしと伝わってきました。(2010/04/04)


文化
今法案化が進められている劇場法への懸念  文化統制につながる危険を演劇人が指摘
日本で演劇がどう作られ、運営されているか、一般にはほとんど知られていない。今、与党と一部の演劇人が劇場法という法律を作ろうとしている。しかし、それが施行されると文化統制につながる危険が懸念されている。一体何が起きているのか。木下順二作「山脈」を公演中の東京演劇アンサンブル・志賀澤子氏(共同代表)の寄稿を掲載する。(日刊ベリタ編集部)(2010/04/02)


文化
サリンジャーよ、永遠に!  フランスの作家ル・クレジオによる追悼の一文  村上良太
1月27日、アメリカの作家J.D.サリンジャー(1919-2010)が亡くなりました。享年91。「ライ麦畑でつかまえて」や短編集「ナイン・ストーリーズ」など、その作品は社会からドロップアウトしていく若者の心情を描いています。フランスの作家ル・クレジオはサリンジャーの死から10日ほど後のルモンド紙(2月8日)に「サリンジャーよ、永遠に」と題する一文を載せました。(2010/04/02)


文化
【フランスからの手紙】(1)パリは生きているか?〜パリの春・本の見本市〜Le printemps à Paris : le Salon du Livre  パスカル・バレジカ 
  パリの都市史を書いている著述家、パスカル・バレジカ(Pascal Varejka)さんから便りが届きました。これから不定期で、ファッション雑誌の華やかなイメージとは一味違う生活者の視点からパリと欧州の現実を綴っていただきます。1回目は「本の見本市」(le Salon du Livre)。(翻訳 村上良太)(2010/03/27)

文化
【パリの散歩道】(4) 「パリは死につつある」と語るパスカル・バレジカ氏(著述家)  村上良太
  「中世のパリ」「パリ 首都の物語」「図像で見るパリの歴史」などパリの都市史を多数執筆しているパスカル・バレジカさん(Pascal Varejka 1952-)を訪ねました。バレジカさんの本は日本の大学でも教科書として使用されています。文章が簡潔でわかりやすいだけでなく、写真や美術が多数使用されていて初心者にも読みやすいのです。パリの著述家はどんな暮らしをしているのでしょうか。(2010/03/23)


最も倫理的なファッション小売業 フェアトレードの現場から
  南北の経済格差を埋めるためのフェアトレード(公正な貿易)にファッション小売業として取り組んできたブランド「ピープル・ツリー」が、3月4日、イギリスで発行されているファッション雑誌「コスモポリタン」主催のコンテストCosmopolitan Fashion Awardsで、'Most Ethical Retailer'(もっともエシカル<=倫理的>なファッション小売業)に選ばれた。選考は読者投票による。ピープル・ツリーの受賞は2008年以来二度目。ただし、前回は'Most Ethical E-tailer'(もっとも倫理的なオンライン小売業)だった。(村上良太)(2010/03/18)


文化
【パリの散歩道】(3) パリジェンヌの孤独を描くヴィルジニー・ブリエンさん  村上良太
  世界中の女性が憧れるパリ。しかし、そこで生きるのは中々厳しいようです。フランス人の女性画家ヴィルジニー・ブリエンさん(Virginie Brien 1973-)は一見、雑誌エルやフィガロに登場しそうなパリジェンヌです。しかし、その絵には孤独、断絶、涙、身を引き裂くような心の葛藤が・・・。果たしてパリジェンヌの心の奥は?(2010/03/11)

文化
ひとが生きる意味を問う 木下順二追悼公演「山脈(やまなみ)」  村上良太
  2006年に亡くなった劇作家・木下順二の追悼公演が今月下旬,東京演劇アンサンブルによって行われる。同劇団は過去に「蛙昇天」「オットーと呼ばれる日本人」「沖縄」「おんにょろ盛衰記」などの木下作品の上演を行っている。今回は初期の作品「山脈(やまなみ)」(1949年)。戦争末期、敗戦に向う日本でどうすれば新しい時代をひらく事ができるのか、それを誠実に考えた人々の生と死を描いている。(2010/03/08)


【テレビ制作者シリーズ】(10) ふとした言葉が伝える心模様を描き出す信友直子ディレクター(エフ・エフ)  村上良太
  昨年12月6日、「おっぱいと東京タワー〜私の乳がん日記〜」と題するドキュメンタリーが放送されました。フジテレビ「ザ・ノンフィクション」です。ディレクター信友直子さんが自分の乳がん体験を描いた記録です。独身で45歳の信友さんはその頃、悪運の連続でした。43歳で子宮筋腫、44歳ではインドの列車事故で骨盤骨折、そして今回の乳がんと3年連続で病気や怪我に襲われます。列車事故から丁度1年目の日に乳がんが見つかり、さすがに運が尽きたかもしれないと恐怖で一杯になったそうです。(2010/03/06)


文化
【パリの散歩道】(2) MOMO(画家)  村上良太
  芸術の都パリ。大美術館でなく、普通の画廊に飛び込んで、今を生きる画家の暮らしや表現、そして思想に触れてみようと思いました。しかし、パリでも絵は玉石混交です。そんな中、強烈なパンチのある絵に出会いました。モモ(MOMO)という画家の絵です。すでにミラノやリスボンで個展を開き、ニューヨークでの展示も計画中とのこと。日本でも個展をぜひ開きたいと言います。(2010/03/01)


【TV制作者シリーズ【(9)アジアを舞台に農と食、そして人生を撮る原村政樹ディレクター  村上良太
  原村政樹ディレクター(桜映画社)が新作ドキュメンタリー「里山っ子たち」三部作を完成しました。NHK・ETV特集「里山保育が子どもを変える」(2007年10月28日)で放送した後、再編集して映画にしたものです。映画は千葉県の「木更津社会館保育園」で行っている面白い育児法を描いています。(2010/02/23)


文化
【パリの散歩道】(1) ヴァンサン・サルドン(版画家)  「芸術家」嫌いの風刺画家  村上良太
パリで旅行者がまず訪ねるのはセーヌ河畔のルーブル美術館やオルセー美術館です。筆者もそうした一人でした。ここには10代の頃、美術の教科書で見た名画がずらりと並んでいます。そうした美術を全身に浴びるのもよし。でも、今回はちょっと違った散歩を試みました。今を生きる等身大の絵描きや作家、編集者らを訪ねて見たのです。アメリカ発の不況は欧州にも雨雲をもたらしています。そんな中、彼らはどんな日々を生きているのでしょうか。(2010/02/18)


文化
戦災傷害者の無念を描く  ドキュメンタリー映画「おみすてになるのですか〜傷痕の民〜」  村上良太
  林雅行監督が新作「おみすてになるのですか〜傷痕の民〜」を完成しました。第二次大戦末期の空襲で重い傷を負い、暮らしに支障をきたしていても国家補償が得られず無念の思いを心に秘めて戦後を生きてきた民間の戦災傷害者たち。「国は私たちが死ぬのを待っているのか!」そんな彼らがカメラの前で体験を語り、傷ついた肉体を見せます(2010/01/21)


社会
在特会が京都朝鮮第一初級学校周辺でまたデモ、 警察は厳重な警備を敷く
  12月4日に京都朝鮮第一初級学校を襲った在特会(在日特権を許さない市民の会)ら排外主義を掲げた右翼集団が1月14日、再び小学校前の公園に集合、「朝鮮人から領土を奪還した」などと気勢を上げながら町内をデモをした。(2010/01/15)

【インターナショナルヘラルドトリビューンの論客たち】(9) 未来を警告する経済学者ポール・クルーグマン  村上良太
  朝日放送とテレビ朝日の日曜朝の番組「サンデープロジェクト」が今年3月で打ち切りになると聞きました。1989年4月から21年続いたこの番組の特集は調査に十分な時間と予算をかけることができ、海外取材もできる数少ない場でした。私事になりますが、アメリカの経済学者ポール・クルーグマン(Paul Krugman )のコラムにサンプロの取材で助けられた経験があります。(2010/01/08)


文化
【お正月読書案内】これで歴史はもう恐くない!  独断による歴史本 10日間コース  村上良太
  いよいよお正月。テレビを見てのごろ寝もいいが、たまにはまとめて読書もいい。ということで、独断的歴史書案内。今年、レヴィ・ストロース氏が亡くなりました。人類学のフィールドワークから線的に発展する歴史観にあえて異議を唱え、未開の民族の持つ循環的な歴史観にも存在理由があると訴えたのです。歴史には目的があるのか、ないのか。ないとすれば発展しつづける必然性はどこにあるのか。こうしたテーマが21世紀の今、立ち上がってきているように思われます。そこで、もう一度歴史書を読み直すことにも意味があるように思えます。(2009/12/31)


地域
人気殺到!稲村ガ崎の古い家具の店  村上良太
  江ノ電から湘南海岸を見下ろすと12月にも関わらず、黒いウェットスーツを着たサーファーの姿が幾十も波間に漂っているのが見えます。その江ノ電の線路脇に一軒の古い家具の店「R」あります。築100年以上の古民家を借りたその店には大正時代から昭和初期の家具や古道具が並んでいます。この店、20代〜30代を中心に全国から客が訪ねてくる人気の店なのです。(2009/12/27)


地域
地方の小さなスーパーの‘再生’物語  手づくり・有機・おいしさをお客さんと従業員でつくり、そろえる
 デフレスパイラルの今、価格戦争で大手スーパーに対抗できず、つぶれる店が少なくありません。そんな中、札幌市中央区に過去6年間、毎年前年比100%〜103%とわずかながらも売り上げを増やしてきたミニスーパーがあります。スーパーも百貨店も売り上げがダウンしている今、微増とは言え、売り上げが増えているのはすごいことです。(村上良太)(2009/12/15)


文化
国際有機農業映画祭(中) 改めて感じたレンズの力   村上良太
  国際有機農業映画祭2009を見ました。2本の映画について簡単に書きたいと思います。「みんな生きなければならない」(1984)と、「生きている土」(1982)です。これらはすでに四半世紀以上も前に制作されたフィルムによる記録映画です。しかし、今、改めて感じたのはレンズの力です。(2009/12/05)

中南米
ホンジュラス・セラヤ大統領、選挙前の見せ掛けの大統領職復帰を拒否すると声明
  約2週間後に迫ったホンジュラスの大統領選挙だが、首都テグシガルパにあるブラジル大使館に未だ籠城しているセラヤ大統領は先週土曜日ラジオで声明を発表した。11月29日の選挙のための大統領職への復帰は拒否するというものだ。(日刊ベリタ編集部)(2009/11/17)


グローバル経済を見つめる女性の視点に注目  アジア連帯経済フォーラム2009に参加して
  4日間に渡ったアジア連帯経済フォーラム2009が閉幕した。記者は国連大学と青山学院大学で行われた前半2日間の会議に出ただけだが、いくつか心に残ったことを記したい。(村上良太)(2009/11/12)

中南米
ホンジュラスで危機再燃か  米調停が不発の兆候も
  首都テグシガルパ入りしたアメリカ外交団の調停で、10月29日木曜の夜、一度は調停が成功し、危機が打開されたかに見えたホンジュラスの政変。ところがここに来て一転、雲行きが怪しくなってきた。セラヤ大統領側の交渉人ヴィクトル・メサ氏によると、クーデター政府側との合意ではセラヤ大統領を復職させるかどうかの国会決議を行い、それに従って一週間後の11月5日木曜までに統一政府を作るという期限が設定されていた。しかし、木曜の時点で未だ国会の投票すら行われていないと、テグシガルバ発でAP電が伝えている。(日刊ベリタ編集部)(2009/11/09)


7日からアジア連帯経済フォーラム2009開催  足元から人びとのつながりを取り戻し、自立の経済を作る
  連帯経済という新しい経済が世界で広がっています。連帯経済とは何か?それを知るのに絶好の機会が11月7日から東京の国連大学、青山学院大学、東京ウィメンズプラザを会場に開かれる「アジア連帯経済フォーラム2009」です。およそ15カ国から約50人の著名な活動家と研究者が集まり、20世紀型社会主義と資本主義に替わる新しい経済を展望します。(村上良太)(2009/11/04)


文化
イスラム圏と西欧を架橋する作家ヤスミナ・カドラが来日  東京日仏学院「読書の秋」シリーズ  村上良太
  アルジェリアの作家ヤスミナ・カドラ氏が来日し、11月12日午後7時から東京日仏学院で酒井啓子・東京外国語大学大学院教授と対談します。ヤスミナ・カドラ(Yasmina Khadra)は今世界の注目を集めています。すでに36カ国、33ヵ国語に翻訳され、フランスではゴンクール賞候補にもなりました。2003年ノーベル文学賞を受賞した南アフリカの小説家J.M.クッツェーはカドラを「現代の大物作家」と評しています。東京以外では10日は福岡、11日は京都で催しがあります。対談は東京日仏学院「読書の秋」シリーズの一環です。(2009/11/02)


【テレビ制作者シリーズ】(8) 反戦に意志を貫く個を描く、林雅行さん  村上良太
  昨年放送された「戦争は罪悪である〜ある仏教者の名誉回復〜」(NHK・ETV特集)は大きな反響を呼びました。日中戦争が始まった1937年、「戦争は罪悪である」と唱え陸軍刑法99条違反で逮捕された真宗大谷派の僧侶が70年後、宗派から名誉回復を得る物語です。僧侶の名は竹中彰元、逮捕当時71歳でした。竹中氏は名誉回復を待つことなく1945年に亡くなっています。有罪判決に続き、宗派からも地位を最下位に降格されていました。戦後、真宗大谷派は戦争協力したことを反省していますが、岐阜県の寺でひっそり亡くなった竹中氏のことは長く忘却されていたのです。番組を制作したプロデューサーの林雅行さん(クリエイティブ21)は周囲に迎合せず、反戦の意志を貫く人々を描いてきました。戦中戦後を問わず林さんのドキュメンタリーでは主人公に孤独の影が漂います。(2009/11/01)


中南米
ホンジュラスで調停成立 セラヤ大統領復職は国会にゆだねる
  10月28日水曜、ホンジュラスの首都テグシガルパ入りした米国務省一行の調停のもと、クーデター政府のミチェレッティ暫定政府大統領とセラヤ大統領との間で29日夜、交渉が成立した。セラヤ大統領を復職させるかどうかの判断を国会にゆだねることにしたのだ。しかし、まず最高裁がセラヤ大統領の復職を可能にする判定を下すことが前提となる。インターナショナルヘラルドトリビューン10月31日号でエリザベス・マルキン(Elisabeth Malkin)記者がメキシコシティ発で報じた。(イスラマバードからはMark Landler記者)。(日刊ベリタ編集部)(2009/10/31)


中南米
ニカラグアでも左派と米国との摩擦の種が
  中南米で起きている左派政権と米国との摩擦はホンジュラスだけではなかった。ワシントン発ロイター電によると、10月19日、ホンジュラスの隣国ニカラグアでは最高裁が左派のダニエル・オルテガ大統領が2011年の大統領選に再出馬できるとの判断を下した。米国務省は憂慮を表明している。(日刊ベリタ編集部)(2009/10/31)


中南米
米高官3名が水曜にホンジュラス入り  ミチェレッティ暫定政府大統領は「いかなる交渉にも応じない」と声明
  ホンジュラス入りする米政府高官の一行は3名で、水曜にホンジュラス入りしたと思われる。一行のトップはトム・シャノン(Tom Shannon)氏。国務省では西半球担当の次官(assistant secretary of state for Western Hemisphere affairs)にあたる。AP電が伝えた。(日刊ベリタ編集部)(2009/10/29)


中南米
チリのバチェレ大統領、軍事法廷の権限縮小を提案
  インターナショナルヘラルドトリビューン10月28日付けに掲載されたAP電によると、チリのミチェル・バチェレ大統領(社会党)は軍事法廷から市民を裁く権利を剥奪する法案をチリの議会に提出した。バチェレ大統領によれば軍事政権時代(1973年〜1990年)に軍の司法権限が異常に拡大したため、民主化した今、制限しなくてはならないという。(日刊ベリタ編集部)(2009/10/29)


中南米
今週、米高官がホンジュラス入りか
  今週米政府高官が危機打開に向けホンジュラス入りする予定だ。オバマ政権にとってはクーデター政府に対する最初の積極的な行動になると見られる。インターナショナルヘラルドトリビューン10月28日付記事でジンジャー・トンプソン記者(Ginger Thompson)が報じた。(日刊ベリタ編集部)(2009/10/28)


中南米
ホンジュラス、セラヤ大統領が立てこもるブラジル大使館の近況  食あたり、そして孫の誕生
  10月5日に戒厳令が解除されたものの、ホンジュラスの首都テグシガルパのブラジル大使館周辺には数百人の兵士と機動隊が集結し、ものものしい雰囲気が続いている。クーデターで追われたセラヤ大統領がこもるブラジル大使館周辺の道路は5箇所に渡ってバリケード封鎖中だ。10月7日付けルモンド紙でジャン=ミッシェル・カロア特派員が伝えるホンジュラスの近況だ。ブラジル大使館には約60人が立てこもっているが、そのなかには約10人のジャーナリストも含まれているという。(日刊ベリタ編集部)(2009/10/25)


【テレビ制作者シリーズ】(7) 面白く見せるヒント 井上秀明さん    村上良太
  有限会社イマージュ代表で編集マンの井上秀明さんはここ数年フジテレビの「ザ・ノンフィクション」を年5本のペースで手がけています。「ザ・ノンフィクション」は日曜午後の1時間枠のドキュメンタリー番組です。サラリーマンがごろ寝で楽しめるドキュメンタリーという、この長寿番組のプロデューサーは面白さに徹底的にこだわる人と知られています。そのプロデューサーから信頼されているベテラン編集マンが井上さんです。井上さんは撮影の途中から、時には取材が始まった時点からディレクターの相談に乗り、共同作業を行うことが多いそうです。井上さんが担当した「ザ・ノンフィクション」の仕上げについて聞きました。(2009/10/20)


文化
パリの文学の集いに2000人が殺到、中心はル・クレジオ氏   村上良太
  昨年ノーベル文学賞を受賞したフランスの小説家ル・クレジオ(1940−)はフランスばかりでなく世界中で人気を博しています。ルモンド紙(10月6日付け)で10月3日、パリで行われた文学の集いに2000人もの聴衆が詰めかけた様子が紹介されました。集いは「本の世界」と銘打たれ、日本でもお馴染みのジャン=フィリップ・トゥーサンはじめおよそ20人の作家が講演や討論に参加しています。しかし中心はル・クレジオ、昨年のノーベル賞受賞者でした。人気の秘密はどこにあるのでしょうか。(2009/10/14)


【テレビ制作者シリーズ】(6)  共に生きて共に撮る、長谷川まり子さん  村上良太
  今年3月15日に放送された「内偵員〜インド・人身売買との闘い〜」(NHK・BS世界のドキュメンタリー)は衝撃的な話でした。ネパールの農村から少女が「カトマンズの工場で仕事がある」など言葉巧み騙され、インドの売春宿に売りとばされているのです。その数、年間推定7000人。幼いほど人気があり、なんと5歳の少女まで売られていました。売春宿では窓のない一畳ほどの狭い空間に閉じ込められ、外出も禁じられています。1日50〜60人から多ければ百人もの客を取らされ、収益も少女には還元されません。HIV感染も蔓延していました。番組はこうしたネパールの少女救出に命を賭ける人々の物語です。(2009/10/10)


【テレビ制作者シリーズ】(5) 国際報道に賭ける、熊谷均プロデューサー(日本電波ニュース社)  村上良太
  かつて数十万頭生息していたタイの象は現在約五千頭に減り、絶滅の危機にあります。象の1つの群れはオスとメスに子象合わせて約10頭。象の数を増やすためには100の群れが交流できることが必要ですが、近年伐採で森が分断され、群れ同士の交流ができなくなりました。これが絶滅に向かう原因になっているそうです。(2009/09/28)


中南米
ホンジュラス クーデターで追放されたセラヤ大統領が電撃帰国  G20を控え世界にアピールを意図
  ホンジュラスでクーデターにより国外追放されていたセラヤ大統領が21日電撃帰国、首都テグシカルパのブラジル大使館に入った。6月28日のクーデター依頼、セラヤ氏復帰を求める運動が持続していた。セラヤ氏はブラジル大使館から国民への呼びかけを発している。G20のタイミングでのセラヤ大統領の帰国は、全世界にクーデターの不当を再び訴えることを意図しているとみられる。(日刊ベリタ編集部)(2009/09/22)


【テレビ制作者シリーズ】(4) 日本も韓国も世界も描く、李憲彦ディレクター(クリエイティブBe)  村上良太
  第一回目の朝鮮通信使が来日して400年目の2007年、李憲彦ディレクター(46)はNHK・ETV特集で「朝鮮通信使400年の真実」を放送し、大きな反響を得ました。江戸時代は果たして鎖国だったのか、と常識を覆す問題提起をしたからです。(2009/09/18)


文化
松林要樹著「ぼくと「未帰還兵」との2年8ヶ月 〜『花と兵隊』制作ノート〜」   村上良太
  現在、劇場公開中で評判を呼んでいるドキュメンタリー映画「花と兵隊」の監督・松林要樹さんが制作過程を記録した「ぼくと「未帰還兵」との2年8ヶ月」(同時代社)を今月15日出版します。これは制作日誌でありながら、単なる苦労話集でなく、映画で語られなかった濃い話が詰まっています。(2009/09/13)


《インターナショナルヘラルドトリビューンの論客たち》(4) リークを逆手に取ったロバート・ノバク  村上良太
  8月18日、アメリカのコラムニスト、ロバート・ノバク(Robert Novak、78)が脳腫瘍で亡くなりました。ノバクは2003年7月、CIAエージェントの実名をコラムで暴露し、大問題を起こした論客です。時計の針をイラク戦争開戦前夜に戻します。(2009/09/12)


【テレビ制作者シリーズ】(3) 再生の希望を辺境に見る、瀬川正仁ディレクター  村上良太
テレビで教育現場のルポを長年手がけてきた瀬川正仁さんがこの夏、本を出版しました。「若者たち〜夜間定時制高校から視えるニッポン〜」(バジリコ)です。定時制高校は偏差値の序列では底辺に位置し、生徒も多くが様々な事情を抱えていると言われています。瀬川さんはそんな東京と神奈川の2つの定時制高校に9ヶ月間通い、若者たちの話に耳を傾けました。西日が差す夕方5時、瀬川さんは高校の玄関に立ち、登校してくる生徒たちの様子を見守ります。記録用のテレビカメラはありません。観察が命です。(2009/09/05)


革命40周年 カダフィは今・・・  村上良太
  今年9月1日(火曜日)はカダフィが起こした、リビアの革命40周年に当ります。カダフィは「世界の悪玉」として特にアメリカから目の敵にされ、空爆されたり、経済封鎖を受けたりしてきました。しかし、今年2009年は「カダフィの年」と言われ、世界の注目を集めています。「カダフィ正伝」の著者でカダフィに詳しいジャーナリスト・平田伊都子さんの話と国際紙からカダフィの動きをまとめてみます(2009/09/01)


文化
これでギリシアはもう恐くない! <独断による古代ギリシア読書の旅 最短1週間>  村上良太
 今回は映画と読書でめぐる、「古代ギリシア1週間の旅」です。不況で旅行に行けないとお嘆きの方にもお薦めです。(2009/08/30)


【テレビ制作者シリーズ】(2) カダフィに、アラファトに、知られざる実像に迫るジャーナリスト平田伊都子さん  村上良太
  1989年、TBSテレビはカダフィ大佐やPLOのアラファト議長の独占インタビューを行いました。当時ベールに包まれ、実像の見えなかった男達です。もちろん日本初のスクープでした。二人の取材許可を取り付け、インタビューを行ったのは平田伊都子さん。アラビア語を独学で学んだという、当時ほとんど未知の女性でした。(2009/08/29)


《インターナショナルヘラルドトリビューンの論客たち》(3)  女性の視点から複眼で社会や政治をみるエレン・グッドマン  村上良太
  中絶をめぐってアメリカ社会がゆれています。今年5月31日、産婦人科医ジョージ・ティラー氏(67)がアメリカ、カンザス州の教会で射殺されました。ティラー氏は中絶手術で知られ、特に妊娠21週以後の後期中絶手術を行っていたため中絶反対のテロリストたちから標的にされていたそうです。CNNドットコム(6月4日)によるとティラー氏を殺害した容疑者もその一人です。女性コラムニストのエレン・グッドマン(Ellen Goodman) は昨秋、「中絶はまた押入れに入った」と題するコラムを書いていました(2008年10月17日 ボストングローブ紙)。同性愛者と中絶経験者のアメリカにおける受け入れられ方に大きな開きが生まれている、と論を起こし、スタンフォード大のパム・カーラン教授(法科)の言葉を引用します。(2009/08/20)

【テレビ制作者シリーズ】(1) アフガニスタンの大地と水と人の物語を撮る谷津賢二プロデューサー(日本電波ニュース社)  村上良太
  テレビがつまらなくなった。芸能人なるものが内輪の楽屋話ではしゃぎまわる、そんな番組が氾濫している。そんな中で混沌とした現実を映像で切り取り、人びとに衝撃を与える番組に出会うことがある。そんなときはうれしくなり、ホッとし、がんばれと拍手したくなる。きっとスポンサーや政治家やその意向を受けた局やらと渡り合いながら、次第に狭くなる隙間を縫って悪戦苦闘しているのだろうと想像する。そんなテレビ製作者列伝を、ご自身もドキュメンタリー制作の現場で苦闘している映像作家の村上良太さんによる新シリーズでお送りする。(ベリタ編集部)(2009/08/18)


《インターナショナルヘラルドトリビューンの論客たち》(2)  アフガンからの撤退を説く元CIAカブール支局長グラハム・フラー   村上良太
  オバマ政権は米軍のイラク撤退の傍ら、アフガニスタンではタリバン制圧に向け、米軍を増派する方針を打ち出しています。しかし、アフガニスタンが泥沼化すればオバマ政権の命取りになりかねない、という論者もいます。グラハム・フラー(Graham Fuller)です。フラーは「ヘラトリ」論壇の常連ではありませんが、中東については影響力を持つ論客です。CIAの元カブール支局長だからです。フラーは最近、「アフガニスタンから撤退せよ」とヘラトリで警鐘を鳴らしています。(2009/08/13)


文化
これで劇場はもう恐くない!読書ガイド <独断による現代劇 最短1週間コース>    村上良太
 戯曲を読むことの価値が今、問い直されているのではないでしょうか。そこでいささか強引ですが夏休みを利用してできる1週間のメニューを仮に組んでみました。題して「これで劇場はもう恐くない!読書ガイド」。難解な現代劇ももう大丈夫・・・。(2009/08/11)


《インターナショナルヘラルドトリビューンの論客たち》(1)  イラン抜きの中東の平和はありえないと説く<ロジャー・コーエン>  村上良太
  インターナショナルヘラルドトリビューン(以下ヘラトリ)は国際的な影響力を持つニューヨークタイムズ傘下の国際紙です。日本でも一部160円で売られています。ヘラトリには編集部が書く論説が2つと、寄稿者によるコラム・論説が6つほど毎日掲載されています。これから数回にわたって、論者一人一人の思想・傾向やプロフィール、そしてバックグラウンドなどに少しでも迫っていければと思います。第1回は、Roger Cohen (ロジャー・コーエン)。コーエンは最近精力的に執筆しているコラムニストです。特にイランの核開発問題にからむコラムを多数書いています。イランにはたびたび出かけて取材を行っているらしく、イラン大統領選挙後のデモ現場にも駆けつけています。コーエンはイランに一定の理解を示し、イランの協力をテコに中東に平和を打ちたてようと考えているようです。(2009/08/10)








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